特許第6018224号(P6018224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018224
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】固定システム
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20161020BHJP
   H02G 3/38 20060101ALI20161020BHJP
   F03D 13/00 20160101ALI20161020BHJP
【FI】
   H02G3/22 280
   H02G3/38
   F03D13/00
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-553660(P2014-553660)
(86)(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公表番号】特表2015-508274(P2015-508274A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013000194
(87)【国際公開番号】WO2013110454
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2015年5月12日
(31)【優先権主張番号】102012001408.2
(32)【優先日】2012年1月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513021718
【氏名又は名称】ハイダック アクセサリーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガンク ブラベンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン カスパリ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー エフェン
(72)【発明者】
【氏名】ブルハン ヤクチ
【審査官】 伏本 正典
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102011076940(DE,A1)
【文献】 特開2005−137097(JP,A)
【文献】 特開2001−327053(JP,A)
【文献】 実開昭59−013037(JP,U)
【文献】 特開2006−246549(JP,A)
【文献】 特開2000−253544(JP,A)
【文献】 特開平11−055836(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0068496(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
F03D 13/00
H02G 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に風力発電設備における例えばケーブル又はライン等の索状機能要素(5)のための固定システムであって、
受容室(7)によって形成された索通路(3)を備える本体(1)を有し、該受容室(7)は、前記索状機能要素(5)を挿入するためにカバー装置(49、43)により閉鎖可能な開口部(13)を有し、且つそれぞれの受容室(7)の外側開口部(13)から内側端部(17)に延びる受容軸線(15)を形成する、索状機能要素(5)のための固定システムにおいて、
前記本体(1)は少なくとも2個の扇形エレメント(11、12)によって形成されており、該扇形エレメント(11、12)はそれぞれ前記索通路(3)を有し、少なくとも1個の接続部(21)で互いに連結可能であり、
複数の前記受容軸線(15)は、前記本体(1)において連続している前記索通路(3)から外方に拡散しており、
前記扇形エレメントの前記少なくとも1個の固定部(21)は、前記扇形エレメント(11)の相対的揺動を可能にするヒンジ継手(25)として形成されていることを特徴とする、索状機能要素(5)のための固定システム。
【請求項2】
前記本体は、前記索通路(3)が仮想弧線に沿って配置された星形体(1)の形を有することを特徴とする、請求項1に記載の固定システム。
【請求項3】
前記カバー装置は、前記星形体(1)を包囲する締付けストラップ(43)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定システム。
【請求項4】
少なくとも2個の前記扇形エレメント(11、12)が同一に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項5】
全ての扇形エレメント(11、12)が同一に形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項6】
前記扇形エレメント(11、12)の前記索通路(3)は、トラフ状窪みの形をした受容室(7)を有し、前記カバー装置は、前記索通路(3)内に挿入された機能要素(5)をそれぞれの受容室の前記開口部(13)に予備固定するために当該扇形エレメント(11、12)と掛止可能である保持体(49)を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項7】
前記扇形エレメントは前記星形体(1)に統合可能な象限(11)の形で形成されており、該星形体(1)の外周沿いに延びる環状線上に前記受容室(7)の前記開口部(13)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項8】
前記象限(11)は、半径方向面沿いに延びて前記受容室(7)の側方を形成する壁(19)で接続部(21)を介して互いに連結可能であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項9】
前記象限(11)は前記索通路(3)の前記開口部(13)と反対側の内側で四分円沿いに延びる壁(23)によって形成されており、該壁(23)は形成された星形体(1)において円形の中央開口部(27)を形成することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項10】
前記中央開口部(27)内に受容可能な、少なくとも1個の追加索通路(3)を有する内側インサート(29)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の固定システム。
【請求項11】
前記扇形エレメント(12)は、隣り合う該扇形エレメント(12)の間に、少なくとも1個の追加索通路(3)を有する追加エレメント(59)を受容可能な空所(57)が形成されるように連結可能であることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか1項に記載の固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に風力発電設備における例えばケーブル又はライン等の索状機能要素のための固定システムであって、受容室によって形成された索通路を備える本体を有しており、該受容室は、前記機能要素を挿入するためにカバー装置により閉鎖可能な開口部を有し、且つそれぞれの受容室の外側開口部から内側端部に延びる受容軸線を形成する、索状機能要素のための固定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
慣用的な風力発電設備ではタワー上に回転可能に配置されて発電装置及び付属ユニットを含んでいる機械室は、運転時に機械室が停止制御される前に最大3回転する。それゆえタワーを通って機械室に続いている索状の運転機能要素、例えば生産されたエネルギーの搬出、制御、運転監視、通信等のためのケーブル、可撓外装ケーブル等は、特に機械室からタワー内に懸垂している領域では整然と位置決め及び固定されなければならない。運転安全性を保証するために、ケーブル等はタワー内に懸垂しているループ内で、回転運動時に互いに擦り合わないように間隔を置いて保持されなければならない。現代の風力発電設備では当該本体の索通路内に受容されるべき索状機能要素の数は比較的多いため、考慮の対象となる本体に対して相当な寸法が生じる。その結果として、考慮される製造方法、例えばプラスチック又は金属合金からのプレス成形又は射出成形では、相応に大型の部材を製造するために高い生産コストが生じるのが普通である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
(原文に記載なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題点に鑑みて、本発明の課題は、廉価な製造を可能にする考察された種類の固定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明により特許請求項1の特徴を全部有する固定システムによって解決される。
【0006】
これにより本発明の本質的な特徴は、本体は少なくとも2個の扇形エレメントによって形成されており、これらの扇形エレメントはそれぞれ索通路を有し、少なくとも1個の接続部で互いに連結可能であり、受容軸線は本体において連続している索通路から外方に拡散していることである。扇形エレメントから構成された本体が設けられていることによって、比較的大きい寸法の部材の形をした本体を製造する必要がなくなるが、これは従来技術では大きい金型及び相応に大きい射出成形機を必要とする。それに代えて比較的小さい機械ユニットを使用することにより生産は単純で廉価になる。さらに受容軸線が本体において連続する索通路から外方に拡散していることにより、本体に対して湾曲した外形が生じるが、このことは扁平な、条片状の本体を有する慣用的な固定システムに比べて、
風力発電設備で機械室からタワー内に懸垂しているような索束を形成するために好都合である。
【0007】
特に好適には本体が、索通路が外側に位置する開口部で仮想弧線に沿って配置された星形体の形を有することができる。
【0008】
円弧状の外周領域を有するそのような本体において、索通路の受容室の開口部を閉じるカバー装置は、好適には追加部材として索体を包囲して運転中に発生する可能性のある短絡力を防止する締付けストラップを有する。
【0009】
星形体を構成するために、例えば全星形体が同一部材として形成された2個の扇形エレメントからなることによって、少なくとも2個の扇形エレメントが同一に形成されているように配置構成されてよい。
【0010】
代替的に3個以上の扇形エレメントから形成された星形体が設けられて、全ての扇形エレメントが同一に形成されているようにすることもできる。
【0011】
扇形エレメントの連結に関して、扇形エレメントの少なくとも1個の固定部が、扇形エレメントの相対的揺動を可能にするヒンジ継手として形成されているように配置構成されてよい。そうすることによって本体を形成するために、扇形エレメント又は互いに接続された扇形エレメント群は、それらの間に追加の索体内部にある追加的な中央受容室が生じて追加の機能要素を敷設できるように互いに連結可能である。
【0012】
扇形エレメントの索通路はトラフ状窪みの形をした受容室を有しており、カバー装置は索通路内に挿入された機能要素をそれぞれの受容室の開口部に予備固定するために当該扇形エレメントと掛止可能である保持体を有することが好適である。これにより機能要素は順次簡便に索通路内に挿入でき、そこで固定過程が最終的に完了する前に脱落するのを、例えば保持体を周囲から締め付ける締付けストラップによって防止できるので組立過程が容易になる。
【0013】
特に有利な実施例において、扇形エレメントは星形体に統合可能な象限の形で形成されており、星形体の外周沿いに延びる環状線上に受容室の開口部が配置されている。受容室は、索通路の開口部と反対側の内側で四分円沿いに延びる壁によって形成されてよく、この壁は形成された星形体において追加の機能要素を敷設するための受容室を形成する。
【0014】
ここで特に有利には、追加索通路を形成するために中央開口部内に受容可能な内側インサートが設けられており、これが少なくとも1個の追加索通路又は場合によっては1個以上の別の追加索通路を形成するように配置構成されてよい。
【0015】
以下に、本発明を図面に示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】2個の索通路にそれぞれ3本のケーブルからなる束が挿入されている、本発明による固定システムの実施例の側面図である。
図2】星形体として形成された本体を形成する4個の四分円が1対の扇形エレメントに統合されている実施例の、ヒンジ状継手箇所で互いに解離して示された部分図である。
図3】唯一の象限のやや拡大した縮尺で示した側面図である。
図4図3に示した象限の斜視図である。
図5】索通路内に索状機能要素が挿入されていない、本発明による固定システムの第2の実施例の側面図である。
図6図5の実施例の斜視図である。
図7図5の扇形エレメントと扇形エレメントの間に取付け可能な2個の追加エレメントを図5よりやや小さい縮尺で分解して示した側面図である。
図8】第3の実施例により星形体に統合された図7の扇形エレメントと追加エレメントの側面図である。
図9】星形体の中央開口部内に内側インサートが受容されている第1の実施例の、図1に対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施例の全体を示す図1では、星形体1の形をした本体が設けられており、その外周領域に沿ってトラフ状窪みの形をした索通路3が形成され、その中に固定しようとする索状機能要素を挿入できる。図1では例として単に2個の索通路3に挿入された機能要素のみが示されている。機能要素はそれぞれ3本のケーブルからなるケーブル束5であり、索通路3内に形成された受容室7内に挿入されている。図1で明らかなように、それぞれの受容室7の形状と寸法を必要に合わせることによって、種々異なる形状と寸法の機能要素の固定を可能にするために、若干の索通路3にはアダプタインサート9が挿入されている。
【0018】
図2図4は、いわゆる同一部材として形成された、星形体1に統合可能な扇形エレメント11の詳細な細部を示している。ここに示す例では4個の扇形エレメント11が設けられており、それぞれ開口部13が外側に位置するトラフ状窪みの形をした2個の索通路3を有する。扇形エレメント11は、ここに示す例では円形星形体1の象限として円弧状に形成されている。受容室7によって形成された、索通路3の外側開口部13から内側端部17に延びる受容軸線15(図3参照)は、扇形エレメント11の外側に向って拡散している。扇形エレメント11は側方では半径方向面に延びる壁19によって形成されており、これらの壁で扇形エレメント11は接続部21を介して互いに連結可能である。索通路3の開口部13と反対側の内側では扇形エレメント11は四分円に沿って延びる壁23によって形成されている。図2に示すように、各2個の扇形エレメント11は接続部21で2個の象限からなる1組の対に結合されており、両対はヒンジ継手25として構成された接続部で互いに揺動可能に結合されている。
【0019】
象限対が図2に示す開張された揺動位置から互いに畳んで閉じた星形体1に結合されると、閉じられた中央開口部27が形成され、ここに内側インサート29が受容可能であり、象限対を畳み合わせることによってその中で摺動可能である。図9に示すように、このような内側インサート29が追加の索通路31、33、35を形成してよく、中央開口部27を貫通して追加の索状機能要素を敷設できる。
【0020】
特に図4から見て取れるように、接続部21は壁19に凸部37と凹部39が形成されるように構成されている。これらは交互に配置されていて、組み立てた状態では形状係合が生じて一種の噛合いを形成して荷重を吸収できるようになっている。索通路3の開口部13に接続する外側表面41は、星形体1を包囲する、ターンバックル45によって締付け可能な締付けストラップ43のために、弧線に対応する湾曲を備えている。締付けストラップ43の側方案内のために、壁19の近傍には表面41から突出した耳片47がある。
【0021】
索通路3の開口部13を閉じるために、それぞれ1個の保持体49が設けられており、図示されないジョイントフォークにより揺動部51で当該索通路3の開口部13に連結されて、開口部13を開放する揺動位置から、図1及び図9に示された、索通路3を閉鎖する位置に揺動できるようになっている。この保持体49は掛止片53(図1及び図9では一部しか番号が付されていない)を有しており、これにより保持体49は閉鎖位置に掛止可能であり、索通路3内に挿入された機能要素の予備固定が行われた後で締付けストラップ43が保持体49の上側で締め付けられる。保持体49は弾性的に負荷されて可動な押圧体55(図1及び図9では一部しか番号が付されていない)を有しており、これらの押圧体55は索通路3内に挿入された機能要素、例えばケーブル又はケーブル束5に保持力を及ぼす。このように構成することによって、それぞれの星形体1が、機械室からタワー内に懸垂している、ループ形成体としてのケーブル及び/又はラインからなるループに対する一種のスペーサとして働いて、回転運動時にケーブル又はラインが擦り合うのを防止する固定システムが実現される。それ以外に、この固定システムによってセグメント方式のタワー構造の内部でもケーブル又はラインは確実に案内及び固定され得るが、このことはそのようなタワーの構成を極めて容易にする。
【0022】
図5及び図6に示す実施例では、星形体1は同一に構成された2個の扇形エレメント12から形成されており、これらの扇形エレメント12はそれぞれ2個の索通路3を有しており、これらの索通路3は扇形エレメント12のその他のコンポーネントと同様、先行例の扇形エレメント11と同一に形成されている。しかしながら相違点は、扇形エレメント12は先行例の象限とは異なり、互いに連結されたときに完全な星形を形成せず、扇形エレメント12の間に空所57が形成されている点である。扇形エレメント12の結合は第1の実施例で形成されているような接続部21で、扇形エレメント12の材料内に螺入されたねじによって行われる。これは第1の実施例でも同様であるが、図5及び図6に示す第2の実施例では内側の壁23に接する接続部21のみが利用される。第1の実施例におけるように、索通路3の開口部には、閉鎖位置で掛止可能である揺動可能な保持体49が連結されている。この場合、第1の実施例におけるように、締付けストラップ43は保持体49の上側を案内されている。
【0023】
図7及び図8は、上述した図5及び図6に従う例を拡張した形で別の実施例を示している。ここでは2個の追加の索通路3を形成するための追加エレメント59が設けられており、これらの追加エレメント59は扇形エレメント12の間の空所57に挿入可能であり、接続部21を介してこれに定着可能である。各追加エレメント59は索通路3を軽視し、扇形エレメント12と共に外輪郭がやや楕円形の星形体1を形成する。
【0024】
したがって同一部材として形成された上記の扇形エレメントを用いて、索通路の種々の配置構成、例えば図1及び図2に従う配置構成、又は図5及び図6に従う配置構成を作成することができる。上述した扇形エレメントをより小さく構成して、例えばこれらの扇形エレメントが10°〜45°、好ましくは約30°の円弧部分しか覆わない場合は、より多様なモジュールを得ることが出来、多数の扇形エレメントによって一種のモジュール方式で種々異なる定着システム(図示しない)を実現できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9