特許第6018230号(P6018230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボッシュ株式会社の特許一覧

特許6018230圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法
<>
  • 特許6018230-圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法 図000002
  • 特許6018230-圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法 図000003
  • 特許6018230-圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法 図000004
  • 特許6018230-圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018230
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F23Q 7/00 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   F23Q7/00 605J
   F23Q7/00 605Z
   F23Q7/00 V
   F23Q7/00 605M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-560699(P2014-560699)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2014050621
(87)【国際公開番号】WO2014122958
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2013-23201(P2013-23201)
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】趙 艱
(72)【発明者】
【氏名】豊島 康夫
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0215080(US,A1)
【文献】 特開2011−144978(JP,A)
【文献】 特開2009−063256(JP,A)
【文献】 特表2009−520942(JP,A)
【文献】 特開2009−243709(JP,A)
【文献】 特開2010−139147(JP,A)
【文献】 特表2010−521645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室内に挿入されて使用される圧力センサ一体型グロープラグであって、ハウジングと、前記ハウジングから先端を突出させて保持されたロッド状のセラミックスヒータエレメントと、圧力センサとを備え、前記セラミックスヒータエレメントが、金属製の可撓部材によって前記ハウジングに保持されて前記ハウジングに対する位置を変位可能にされており、前記圧力センサが前記セラミックスヒータエレメントの変位によって前記燃焼室内の圧力を受けられるようにされた圧力センサ一体型グロープラグにおいて、
前記セラミックスヒータエレメントは、セラミックスヒータと、前記セラミックスヒータを一端側に保持するとともに他端側がハウジングの内部孔に挿入されて固定された金属製外筒と、前記セラミックスヒータの一方の電極に電気的に接続されるとともに前記金属製外筒の他端側に導出された導電部と、を備え、前記金属製外筒が前記燃焼室に対してシールされており、
前記シールを、前記セラミックスヒータエレメントの軸方向における少なくとも前記可撓部材よりも後端側に設け
前記圧力センサは、前記ハウジングに結合された固定シリンダ部材に固定されており、
前記燃焼室内の圧力は、前記金属性外筒を支持する力伝達スリーブを介して前記圧力センサに伝達されることを特徴とする圧力センサ一体型グロープラグ。
【請求項2】
前記シールは、前記可撓部材よりも後端側で前記導電部と前記金属製外筒との間に設けられた第1のシール部であり、前記第1のシール部以外に、前記セラミックスヒータエレメントの軸方向における前記可撓部材よりも先端側で前記セラミックスヒータと前記金属製外筒との間に設けられた第2のシール部を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ一体型グロープラグ。
【請求項3】
前記金属製外筒の後端側において前記導電部は絶縁性の固定部材を介して前記金属製外筒に保持されており、前記第1のシール部は前記固定部材と前記金属製外筒との間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ一体型グロープラグ。
【請求項4】
前記導電部が細径部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサ一体型グロープラグ。
【請求項5】
内燃機関の燃焼室内に挿入されて使用される圧力センサ一体型グロープラグであって、ハウジングと、前記ハウジングから先端を突出させて保持されたロッド状のセラミックスヒータエレメントと、圧力センサとを備え、前記セラミックスヒータエレメントが、金属製の可撓部材によって前記ハウジングに保持されて前記ハウジングに対する位置を変位可能にされており、前記圧力センサが前記セラミックスヒータエレメントの変位によって前記燃焼室内の圧力を受けられるようにされた圧力センサ一体型グロープラグであって、前記セラミックスヒータエレメントは、セラミックスヒータと、前記セラミックスヒータを一端側に保持するとともに他端側がハウジングの内部孔に挿入されて固定された金属製外筒と、前記セラミックスヒータの一方の電極に電気的に接続されるとともに前記金属製外筒の他端側に導出された導電部と、を備え、
前記圧力センサは、前記ハウジングに結合された固定シリンダ部材に固定されており、
前記燃焼室内の圧力は、前記金属性外筒を支持する力伝達スリーブを介して前記圧力センサに伝達され、
前記金属製外筒が前記燃焼室に対してシールされるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法において、
前記シールは、前記可撓部材よりも後端側で前記導電部と前記金属製外筒との間に設けられた第1のシール部と、前記セラミックスヒータエレメントの軸方向における前記可撓部材よりも先端側で前記セラミックスヒータと前記金属製外筒との間に設けられた第2のシール部と、を含み、
前記第1のシール部及び前記第2のシール部を、同一の工程において形成することを特徴とする圧力センサ一体型グロープラグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの始動補助用として使用されるシース型グロープラグに筒内圧を検知するための圧力センサを一体化した圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自己着火式内燃機関であるディーゼルエンジンでは、発熱部をセラミック材料によって構成したセラミックスヒータ型グロープラグが燃焼室内に設けられている。また、近年では、筒内圧を検出するための圧力センサをグロープラグと一体化した圧力センサ一体型グロープラグが実用化されている。
【0003】
例えば、セラミックスヒータ型グロープラグは、燃焼室内に挿入するためのハウジングと、このハウジングから先端を突出させてハウジングに保持されたセラミックスヒータエレメントと、セラミックスヒータエレメントとハウジングとの間に配置された圧力センサとを備えて構成されている。この圧力センサ一体型グロープラグは、セラミックスヒータエレメントがダイヤフラム等の可撓部材によってハウジングに保持され、筒内圧によってセラミックスヒータエレメントがハウジング内を軸方向に変位し、この変位によって圧力センサが筒内圧を検出可能となっている。
【0004】
セラミックスヒータエレメントは、セラミックスヒータと、セラミックスヒータを一端側に保持するとともに他端側がハウジングの内部孔に挿入されて固定された金属製外筒と、セラミックスヒータの電極に電気的に接続されて金属製外筒の他端側に導出された導電部と、を備えている。このようなセラミックスヒータエレメントを備えた圧力センサ一体型グロープラグにおいて、セラミックスヒータエレメントとハウジングとの間の間隙は燃焼室に対して可撓部材によって気密にされ、また、セラミックスヒータエレメント内は金属製外筒とセラミックスヒータと接合により気密にされている。これにより、例えば、ハウジングの後端側に設けられる電子基板が排気中の煤等によって破損する等の不具合を防ぐようにしている。
【0005】
ここで、セラミックスヒータと金属製外筒との接合部のみでは、燃焼室内の熱負荷によって接合部が劣化して気密性が低下するおそれがあるため、シールエレメントとして低熱膨張係数を有する金属材料を用いて、このシールエレメントを金属製外筒に接合して気密を確保できるように構成したグロープラグが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−521645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のグロープラグは、シールエレメントと金属製外筒とを接合する工程が複雑になるおそれがある。また、特許文献1に記載のグロープラグは、シールエレメントと金属製外筒との接合部がハウジングの外部領域に位置し、燃焼室の高温に晒されやすい中で、この接合部の耐久性を十分に確保できないおそれがあった。
【0008】
本発明はそのような問題を解決するためになされたものであり、圧力センサ一体型グロープラグにおいて、比較的簡単な製造工程で、長期間にわたる気密性を維持することが可能な圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、内燃機関の燃焼室内に挿入されて使用される圧力センサ一体型グロープラグであって、ハウジングと、前記ハウジングから先端を突出させて保持されたロッド状のセラミックスヒータエレメントと、圧力センサとを備え、前記セラミックスヒータエレメントが、金属製の可撓部材によって前記ハウジングに保持されて前記ハウジングに対する位置を変位可能にされており、前記圧力センサが前記セラミックスヒータエレメントの変位によって前記燃焼室内の圧力を受けられるようにされた圧力センサ一体型グロープラグにおいて、前記セラミックスヒータエレメントは、セラミックスヒータと、前記セラミックスヒータを一端側に保持するとともに他端側がハウジングの内部孔に挿入されて固定された金属製外筒と、前記セラミックスヒータの一方の電極に電気的に接続されるとともに前記金属製外筒の他端側に導出された導電部と、を備え、前記金属製外筒が前記燃焼室に対してシールされており、前記シールを、前記セラミックスヒータエレメントの軸方向における少なくとも前記可撓部材よりも後端側に設けたことを特徴とする圧力センサ一体型グロープラグが提供され、上述した問題を解決することができる。
【0010】
すなわち、本発明の圧力センサ一体型グロープラグは、セラミックスヒータエレメントをハウジングに保持する金属製の可撓部材よりも後端側の低温環境にシール部を設けることとしているために、燃焼室の高温によってシールが劣化して気密性が失われることを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の圧力センサ一体型グロープラグを構成するにあたり、前記シールは、前記可撓部材よりも後端側で前記導電部と前記金属製外筒との間に設けられた第1のシール部であり、前記第1のシール部以外に、前記セラミックスヒータエレメントの軸方向における前記可撓部材よりも先端側で前記セラミックスヒータと前記金属製外筒との間に設けられた第2のシール部を備えることが好ましい。このように、可撓部材よりも後端側の第1のシール部以外に、先端側の第2のシール部を有することとすれば、気密性を高めつつ、比較的高温に晒されやすい先端側の第2のシール部が高熱によって劣化した場合であっても、低温環境にある第1のシール部によって気密性を維持することが可能となる。
【0012】
また、本発明の圧力センサ一体型グロープラグを構成するにあたり、前記金属製外筒の後端側において前記導電部は絶縁性の固定部材を介して前記金属製外筒に保持されており、前記第1のシール部は前記固定部材と前記金属製外筒との間に設けられることが好ましい。このように第1のシール部を設けることとすれば、セラミックスヒータと金属製外筒との接合部である第2のシール部を形成する工程で、同時に第1のシール部を形成することができ、製造工程を簡略にすることができる。
【0013】
また、本発明の圧力センサ一体型グロープラグを構成するにあたり、前記導電部が細径部を有することが好ましい。このように細径部を有する導電部とすれば、高温環境下でセラミックスヒータ等の熱膨張が生じた場合であっても、細径部において熱膨張による応力を緩和することができる。したがって、導電部とセラミックスヒータとの接合部が応力によって破損するおそれを低減することができる。
【0014】
また、本発明の別の態様は、内燃機関の燃焼室内に挿入されて使用される圧力センサ一体型グロープラグであって、ハウジングと、前記ハウジングから先端を突出させて保持されたロッド状のセラミックスヒータエレメントと、圧力センサとを備え、前記セラミックスヒータエレメントが、金属製の可撓部材によって前記ハウジングに保持されて前記ハウジングに対する位置を変位可能にされており、前記圧力センサが前記セラミックスヒータエレメントの変位によって前記燃焼室内の圧力を受けられるようにされた圧力センサ一体型グロープラグであって、前記セラミックスヒータエレメントは、セラミックスヒータと、前記セラミックスヒータを一端側に保持するとともに他端側がハウジングの内部孔に挿入されて固定された金属製外筒と、前記セラミックスヒータの一方の電極に電気的に接続されるとともに前記金属製外筒の他端側に導出された導電部と、を備え、前記金属製外筒が前記燃焼室に対してシールされるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法において、前記シールは、前記可撓部材よりも後端側で前記導電部と前記金属製外筒との間に設けられた第1のシール部と、前記セラミックスヒータエレメントの軸方向における前記可撓部材よりも先端側で前記セラミックスヒータと前記金属製外筒との間に設けられた第2のシール部と、を含み、前記第1のシール部及び前記第2のシール部を、同一の工程において形成することを特徴とする圧力センサ一体型グロープラグの製造方法である。
【0015】
すなわち、本発明の圧力センサ一体型グロープラグの製造方法によれば、金属製外筒内を燃焼室に対してシールするための第1のシール部を、セラミックスヒータと金属製外筒との接合部である第1のシール部と同一の工程で同時に形成することができる。したがって、気密性を長期間維持することが可能な圧力センサ一体型グロープラグを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかる圧力センサ一体型グロープラグの先端側の部分を示す部分断面図である。
図2】本実施の形態にかかる圧力センサ一体型グロープラグの製造方法のうちのセラミックスヒータエレメントの製造工程について説明するために示す図である。
図3】本実施の形態にかかる圧力センサ一体型グロープラグの製造方法のうちのセラミックスヒータエレメントの製造工程について説明するために示す図である。
図4】本実施の形態にかかる圧力センサ一体型グロープラグの製造方法のうちのセラミックスヒータエレメントの製造工程について説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる圧力センサ一体型グロープラグに関する実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
なお、以下に説明する圧力センサ一体型グロープラグ及びその製造方法は、本発明の一態様を示すものであって本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。また、それぞれの図中において同じ符号が付されているものは、特に説明がない限り同一の構成要素を示しており、適宜説明が省略されている。
【0018】
1.全体的構成
図1は、本発明の実施の形態にかかる圧力センサ一体型グロープラグ(以下、単に「グロープラグ」と称する。)1の先端側を部分的に示す軸方向断面図である。
図1に示すグロープラグ1は、セラミックスヒータ7を金属製外筒8の先端側で保持し、金属製外筒8の後端側をハウジング3の内部孔3a内に保持したシース型グロープラグとして構成されたものであって、例えば、ディーゼルエンジン等の自己着火型の内燃機関に用いられるグロープラグ1として構成されている。
【0019】
このグロープラグ1は、ロッド状のセラミックスヒータエレメント2を有しており、セラミックスヒータエレメント2は、予燃焼型の内燃機関の場合には予燃焼室に挿入され、直噴型の内燃機関の場合には内燃機関の燃焼室に挿入されて、固定される。本明細書において「燃焼室」という場合には、燃焼室だけでなく予燃焼室も含むものとする。セラミックスヒータエレメント2は、セラミック製の発熱部であるセラミックスヒータ7を有するセラミックスヒータエレメント2として構成されている。
【0020】
グロープラグ1は、ハウジング3を有している。このハウジング3は金属材料からなることが好ましい。ハウジング3は同心状の内部孔3aを有しており、セラミックスヒータエレメント2の後端側は、部分的にハウジング3の内部孔3aに配置され、ハウジング3の先端側に設けられた開口4の箇所でハウジング3から内燃機関の燃焼室の内部に突出可能になっている。
【0021】
本実施形態において用いられているロッド状のセラミックスヒータエレメント2は、セラミックスヒータ7と金属製外筒8と導電部9とを有している。導電部9は金属等の導電性材料からなり、細径部9aと太径部9bとによって構成されている。具体的には、細径部9aとなるコネクティングワイヤを、太径部9bとなるエレクトロードセンタ内に挿入することで、細径部9a及び太径部9bからなる導電部9が構成されている。
【0022】
細径部9aの先端部はキャップ状に形成され、セラミックスヒータ7の後端部に設けられた正側電極と電気的に接続されている。導電部9に細径部9aを設けることにより、燃焼室内の高温環境下でセラミックスヒータ7や金属製外筒8の熱膨張が生じた場合であっても、細径部9aにおいて熱膨張による応力を緩和して、導電部9とセラミックスヒータ7との接合部が応力によって破損するおそれを低減することができる。
【0023】
導電部9の太径部9bは電気配線13に接続されており、この電気配線13はハウジング3の後端側に導出されている。導電部9の後端側の太径部9bは、電気絶縁性の固定部材12によって保持されて金属製外筒8の後端部に固定されている。本実施の形態にかかるグロープラグ1では、後述するように固定部材12の外周面と金属製外筒8の内周面とがロウ材により接合されるために、固定部材12はアルミナ等の絶縁性のセラミックからなっている。
【0024】
ハウジング3の貫通孔3aには、セラミックスヒータエレメント2及び図示しない圧力センサが固定された固定シリンダ部材27が挿入されて固定されている。セラミックスヒータエレメント2は、固定シリンダ部材27の先端側に接続された可撓性を有する金属性の可撓部材15としての鋼ダイヤフラムを介して固定シリンダ部材27に連結されている。すなわち、可撓部材15としての鋼ダイヤフラムは一方ではハウジング3に、他方では円筒環状部18においてセラミックスヒータエレメント2の金属製外筒8に、それぞれ結合されている。可撓部材15は、セラミックスヒータエレメント2が、グロープラグ1のハウジング3の軸線方向において、ハウジング3に対して相対的に移動可能となるように、可撓性を有して形成されている。
【0025】
なお、可撓性を有する金属性の可撓部材15は、鋼ダイヤフラムに限定されるものではなく、ベローズ等、従来公知の圧力センサ一体型グロープラグに用いられている可撓部材15とすることもできる。
【0026】
図示しない圧力センサは、固定シリンダ部材27の後端側の内部に配置されている。この圧力センサは、例えば圧電式のセンサ素子として構成することができる。この圧電式のセンサ素子は機械的な負荷を受けると電荷を発生させ、この電荷は圧力センサのコンタクト領域において検出可能となっている。検出された電荷は電気配線等を通じてグロープラグ1のハウジング3から導出される。圧力センサは、燃焼室等から遠い方の側(後端側)においてハウジング3に結合された固定シリンダ部材27に固定されている。他方において、圧力センサは力伝達スリーブ28を介してセラミックスヒータエレメント2に結合されている。この場合、セラミックスヒータエレメント2は主としてその金属製外筒8の部分で力伝達スリーブ28に支持されている。
【0027】
グロープラグ1が組み付けられた状態では、内燃機関の燃焼室内の圧力に基づいて、セラミックスヒータエレメント2に作用する力が発生する。この力はグロープラグ1の軸線方向でセラミックスヒータエレメント2に作用する。この力は、力伝達スリーブ28を介して圧力センサに伝達される。圧力センサは伝達された力に応じて電気配線等を介して検出信号を導出し、この検出信号から、燃焼室等に形成された圧力が測定される。燃焼室の内部に発生した圧力を精度よく測定するためには、セラミックスヒータエレメント2及び力伝達スリーブ28がハウジング3に拘束されることなく、軸方向において自由に移動できる状態を確保することが必要となる。
【0028】
一方で、構成部材の接合に用いるロウ材や、導電部9の温度が著しく高くなって耐熱温度を超えることのないように、セラミックスヒータエレメント2において生じた熱をハウジング3に効率的に伝達して、放熱することが必要となる。本実施の形態にかかるグロープラグ1の場合、セラミックスヒータ7の熱は、金属製の可撓部材15を介してハウジング3に逃がされるように構成されている。
【0029】
2.シール構造
ここで、本実施の形態にかかるグロープラグ1において、燃焼室で発生した排気がグロープラグ1の後端側へ侵入しないようにするシール構造を有している。セラミックスヒータエレメント2の外側は、可撓部材15が金属製外筒8及びハウジング3にそれぞれ接合されており、燃焼室に対する気密性が確保されている。一方、金属製外筒8の内側には、第1のシール部21及び第2のシール部22が形成され、燃焼室に対する気密性が確保されている。
【0030】
このうち、第2のシール部22は可撓部材15が設けられた位置よりも先端側に設けられて金属製外筒8とセラミックスヒータ7との間をシールする一方、第1のシール部21は可撓部材15よりも後端側に設けられて金属製外筒8と固定部材12との間をシールする。
【0031】
具体的に、第2のシール部22は、セラミックスヒータ7の外周面に設けられた負側電極を含む領域の全周部分と金属製外筒8の内周面とをロウ材によって接合することによって形成される。すなわち、第2のシール部22は、セラミックスヒータ7の負側電極と金属製外筒8とを電気的に接続し、セラミックスヒータ7及び金属製外筒8を接合する接合部が、第2のシール部22として機能する。本実施の形態において、少なくとも第2のシール部22では、セラミックスヒータ7の外周面全周にわたって金属製外筒8と接合され、シールされている。
【0032】
また、第1のシール部21は、金属製外筒8の後端側で導電部9の太径部9bを保持する絶縁性の固定部材12の外周面全周と金属製外筒8の内周面とをロウ材によって接合することによって形成される。少なくとも第1のシール部21では、固定部材12の外周面全周にわたって金属製外筒8と接合され、シールされている。
【0033】
セラミックスヒータ7と金属製外筒8、あるいは、固定部材12と金属製外筒8を接合するためのロウ材は、例えば、銀ロウ(BAg8)が用いられるが、これに限られるものではない。
【0034】
第2のシール部22は高温環境となる内燃機関の燃焼室に晒されるために、場合によっては、セラミックスヒータ7及び排気熱の影響を受けて熱劣化し、シール性が低下するおそれがある。これに対して、第1のシール部21は低温環境に位置しており、セラミックスヒータエレメント2の熱をハウジング3に伝達する機能を有する可撓部材15よりもさらに後端側に存在することから、第1のシール部21の熱劣化のおそれは低く、これによりシール性は長期間にわたって維持される。
【0035】
3.製造方法
次に、本実施の形態にかかるグロープラグ1の製造方法として、セラミックスヒータエレメント2部分の製造方法の一例について、図2図4を参照しつつ説明する。セラミックスヒータエレメント2の製造工程以外の工程については、従来行われている工程にしたがって実施することができるものであり、ここでの説明を省略する。
【0036】
図2図4は、第1のシール部21及び第2のシール部22を備えたセラミックスヒータエレメント2の製造工程を説明するために示す図である。
まず、図2(a)〜(b)に示すように、セラミックスヒータ7を準備するとともに、負側電極33が設けられた領域の外周面にメタライズ層24を形成する。メタライズ層24自体は公知の方法に準じて形成することができる。
【0037】
次いで、図3(a)に示すように、セラミックスヒータ7を金属製外筒8内に挿入して位置決めするとともに、セラミックスヒータ7と金属製外筒8とを接合するためのコイル状のロウ材11aを配置する。次いで、図3(b)に示すように、金属製外筒8の後端側から導電部9を挿入し、導電部9の先端部をセラミックスヒータ7の後端部に当接させる。このとき、導電部9の細径部9aには、導電部9とセラミックスヒータ7の後端部とを接合するためのコイル状のロウ材11bが配置されている。
【0038】
次いで、図4(a)に示すように、導電部9の後端側から固定部材12を嵌挿するとともに金属製外筒8の後端部に嵌め込み、金属製外筒8を封止する。さらに、図4(b)に示すように、固定部材12と金属製外筒8との間の間隙、及び、導電部9の太径部9bと固定部材12との間の間隙を接合するためのコイル状のロウ材11c,11dを金属製外筒8の後端部及び固定部材12上に配置する。その後、図4(c)に示すように、それぞれの接合部を加熱してロウ材11a,11b,11c,11dを溶かすとともにそれぞれの間隙にロウ材11a,11b,11c,11dを流し込み、冷却することによってそれぞれの接合部を接合する。
【0039】
このとき形成されるセラミックスヒータ7と金属製外筒8との接合部は第2のシール部22として機能し、固定部材12と金属製外筒8との接合部は第1のシール部21として機能する。すなわち、本実施の形態のグロープラグの製造方法によれば、第1のシール部21と第2のシール部22とが同一の加熱工程及び冷却工程で形成されることとなる。これによりセラミックスヒータアセンブリ20が得られる。
【0040】
その後は図示しないが、セラミックスヒータアセンブリ20を電気配線や圧力センサ、スリーブ、力伝達スリーブとともにハウジングに組み込むことによって、本実施の形態にかかる圧力センサ一体型グロープラグ1を得ることができる。
【0041】
4.効果
以上説明したように、本実施の形態にかかるグロープラグ1によれば、セラミックスヒータエレメント7をハウジング3に保持する金属製の可撓部材としての鋼ダイヤフラム15よりも後端側の低温環境に第1のシール部21を設けることとしているために、燃焼室の高温によってシールが劣化して気密性が失われることを防ぐことができる。
【0042】
また、本実施の形態にかかるグロープラグ1においては、鋼ダイヤフラム15よりも後端側に設けられた導電部9の太径部9bと金属製外筒8との接合部を上記の第1のシール部21とし、これ以外に、鋼ダイヤフラム15よりも先端側のセラミックスヒータ7と金属製外筒8との接合部を第2のシール部22としている。したがって、燃焼室に対する気密性を高めつつ、比較的高温に晒されやすい先端側の第2のシール部22が高熱によって劣化した場合であっても、低温環境にある第1のシール部21によって、長期間にわたって気密性を維持することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態にかかるグロープラグ1においては、導電部9を固定するための固定部材12と金属製外筒8との接合部を第1のシール部21としているために、セラミックスヒータ7と金属製外筒8と接合部である第2のシール部22を形成する工程で、同時に第1のシール部21を形成することができ、製造工程を簡略なものとすることができる。
【0044】
また、本実施の形態にかかるグロープラグ1においては、導電部9が細径部9aを有することとしているために、高温環境下でセラミックスヒータ7等の熱膨張が生じた場合であっても、細径部9aにおいて熱膨張による応力を緩和することができる。したがって、導電部9とセラミックスヒータ7との接合部が応力によって破損するおそれを低減することができる。
図1
図2
図3
図4