(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
前記カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含む、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
前記カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー又はこれらの組み合わせである、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
前記カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13記載のチップ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーを樹脂基板に固定化し、固定化された面を接合面として樹脂基板を接合することによって、チップ製造時におけるマイクロ流路の変形が低減でき、かつマイクロ流路内壁に正電荷を効率よく導入できる、との知見に基づく。本開示は、上記の製造方法により製造されたマイクロ流路チップによれば、ヘモグロビンの各分画を短時間で精度よく分離できる、との知見に基づく。本開示は、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーをマイクロ流路の内壁に固定化すれば、ヘモグロビンの各分画を短時間で精度よく分離でき、その再現性に優れる、との知見に基づく。
【0013】
本開示の製造方法により得られたチップによって、ヘモグロビンの各分画を短時間で精度よく分離できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。固定化されたカチオン性ポリマーは、流路表面に立体的に層を形成することから、流路表面近傍のみならず、流路表面周辺に立体的に正電荷を付与することになる。これにより、形成された層の上部と流路表面近傍との間に、泳動液が流入できるようになる。これらの結果、EOF(電気浸透流)が早くなり、分離速度が向上するとともに分離精度が向上すると考えられる。また、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーによっては、正電荷の立体的な付与が長期間保持されることから、分離の再現性が優れるものと考えられる。但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0014】
[チップの製造方法]
本開示は、一又は複数の実施形態において、マイクロ流路を備えるチップの製造方法に関する。
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、一対の樹脂基板のそれぞれの少なくとも一方の表面に、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーを固定化すること、及び前記カチオン性ポリマーを固定化した面を接合面として前記樹脂基板を接合することを含む。
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、一対の樹脂基板のそれぞれの少なくとも一方の表面に、気相又は液相表面処理を行うこと、前記処理面に、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマー溶液を接触させること、及び前記接触させた面を接合面として前記樹脂基板を接合することを含む。
【0015】
本開示の製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、マイクロ流路の形状の変化を低減できるという効果を奏しうる。本開示の製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、マイクロ流路の内壁に十分な正電荷を導入可能であるという効果を奏しうる。本開示の製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、強いカチオン性を示す第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーをマイクロ流路の内壁に簡便に固定化できる、という効果を奏しうる。
【0016】
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、樹脂基板の少なくとも一方の表面にアニオン性官能基を導入することを含む。アニオン性官能基は、一又は複数の実施形態において、気相表面処理又は液相表面処理を行うことにより導入することができる。本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、樹脂基板の少なくとも一方の表面に気相表面処理又は液相表面処理を行うことを含む。アニオン性官能基としては、一又は複数の実施形態において、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、水酸基、及びシラノール基等が挙げられ、導入が容易である点から、カルボン酸基が好ましい。気相表面処理としては、一又は複数の実施形態において、真空紫外線処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、及びオゾン処理等が挙げられる。液相表面処理としては、一又は複数の実施形態において、アルカリ溶液処理等が挙げられる。
【0017】
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、一対の樹脂基板のそれぞれの少なくとも一方の面に、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーを固定化することを含む。カチオン性ポリマーの固定化は、一又は複数の実施形態において、アニオン性官能基の導入を行った面に行うことが好ましい。この態様によれば、樹脂基板表面に導入したアニオン性官能基とカチオン性ポリマーの第4級オニウム基とがイオン結合し、カチオン性ポリマーが樹脂基板表面により強固に固定化される。カチオン性ポリマーの固定化は、一又は複数の実施形態において、樹脂基板の被処理対象面にカチオン性ポリマー溶液を接触させることにより行うことができる。接触は、一又は複数の実施形態において、例えば、塗布、浸漬、滴下、及び噴霧等を含む。
【0018】
カチオン性ポリマーは、一又は複数の実施形態において、強いカチオン性を示し、チップの分離精度を向上できることから、第4級オニウム基を有する。本開示において「オニウム基」としては、一又は複数の実施形態において、基準結合数よりも1大きい結合を持つカチオンの塩からなる官能基をいう。また、本開示において「オニウム基」としては、一又は複数の実施形態において、非共有電子対をもつ元素を含んだ化合物に、H+又は陽イオン型の原子団R+が配位して生じるカチオンが挙げられる。第4級オニウム基としては、一又は複数の実施形態において、第4級アンモニウム基、及び第4級ホスホニウム基等が挙げられる。カチオン性ポリマーは、一又は複数の実施形態において、第4級オニウム基を有するモノマーに由来する構成単位を含むことが好ましい。カチオン性ポリマーは、一又は複数の実施形態において、ポリマー一分子中に第4級オニウム基を複数個有するポリカチオン性ポリマーである。カチオン性ポリマーの分子量や、ポリマーに含まれる第4級オニウム基の個数は、泳動条件や緩衝液組成に応じて、適宜、至適な分子量、及び至適な個数を選択することができる。
【0019】
カチオン性ポリマーとしては、一又は複数の実施形態において、ポリクオタニウム、及びジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー等が挙げられる。本開示において「ポリクオタニウム」とは、第4級アンモニウム基を有するモノマーに由来する構成単位を含むカチオン性ポリマーをいう。ポリクオタニウムは、INCI(International Nomenclature for Cosmetic Ingredients) directoryで確認できる。ポリクオタニウムとしては、一又は複数の実施形態において、ポリクオタニウム−6(poly(diallyldimethylammonium chloride)、ポリクオタニウム−7(copolymer of acrylamide and diallyldimethylammonium chloride)、ポリクオタニウム−4(Diallyldimethylammonium chloride-hydroxyethyl cellulose copolymer)、ポリクオタニウム−22(copolymer of acrylic acid and diallyldimethylammonium chloride)等のポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ポリクオタニウム−1(Ethanol, 2,2',2 ' ' -nitrilotris-, polymer with 1,4-dichloro-2-butene and N,N,N',N'-tetramethyl-2-butene-1,4-diamine)、ポリクオタニウム−11(Copolymer of vinylpyrrolidone and quaternized dimethylaminoethyl methacrylate)及びポリクオタニウム−2(poly[bis(2-chloroethyl)eter-alt-1,3-bis[3-(dimethylamino)propyl]urea])等が挙げられる。ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマーとしては、一又は複数の実施形態において、ジメチルアミン−エピクロロヒドリン以外の構成単位を含んでいてもよく、例えばエチレンジアミン等を含んでいてもよい。カチオン性ポリマーは、入手が容易である点から、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、及び/又はジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマーを含むことが好ましく、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、及び/又はジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマーからなることがより好ましい。カチオン性ポリマーは、一又は複数の実施形態において、塩化物及び/又は硫化物である。カチオン性ポリマーは一種類で使用してもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、樹脂基板を接合することを含む。この接合により、マイクロ流路が形成される。樹脂基板の接合は、一又は複数の実施形態において、カチオン性ポリマーを固定化した面/カチオン性ポリマー溶液と接触させた面を接合面として行う。接合は、一又は複数の実施形態において、圧着、加熱圧着、及び超音波溶着等が挙げられる。加熱圧着の場合、その条件としては、一又は複数の実施形態において、40〜200℃又は60〜120℃であり、1〜100kgf/cm
2(0.0981MPa〜9.81MPa)又は5〜50kgf/cm
2(0.4905MPa〜4.905MPa)であり、1秒〜10分又は10秒〜3分である。
【0021】
少なくとも一方の樹脂基板は、一又は複数の実施形態において、接合面に凹部が形成されている。一又は複数の実施形態において、両方の樹脂基板の接合面に凹部が形成されていてもよい。凹部の断面の外接円の直径は、一又は複数の実施形態において、28〜280μm又は35〜140μmである。一方の樹脂基板は、一又は複数の実施形態において、試料及び泳動液を導入するための貫通孔が形成されている。
【0022】
樹脂としては、一又は複数の実施形態において、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、環状ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シクロオレフィン、ポリプロピレン、及びポリエチレン等が挙げられ、光透過性に優れる点から、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
【0023】
[マイクロ流路チップ]
本開示は、一又は複数の実施形態において、マイクロ流路を備えるチップに関する。本開示のマイクロ流路チップは、一又は複数の実施形態において、本開示の製造方法により製造されるチップである。本開示のチップによれば、一又は複数の実施形態において、ヘモグロビンの各分画を短時間で精度よく分離できるとの効果を奏しうる。本開示のチップによれば、一又は複数の実施形態において、分析の再現性に優れるとの効果を奏しうる。
【0024】
本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、マイクロ流路の内壁に第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーが固定化されている。したがって、本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、樹脂基板の接合によりマイクロ流路が形成されたチップであって、前記マイクロ流路の内壁に第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーが固定化されているチップに関する。カチオン性ポリマーは、一又は複数の実施形態において、アニオン性官能基を介してマイクロ流路に固定化されている。カチオン性ポリマーは、一又は複数の実施形態において、イオン結合によってマイクロ流路に固定化されている。本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、樹脂基板の接合部分に第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーが固定化されている。本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーを介して樹脂基板が接合している。樹脂、及びカチオン性ポリマーは、上述の通りである。
【0025】
本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、検体分析に用いることができる。本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、電気泳動用、及びキャピラリー電気泳動等の分析に用いることができる。本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、生体由来の検体の分析に行うことができる。生体由来の検体としては、一又は複数の実施形態において、血液成分を含む検体が挙げられ、例えば、血液、及び血液中の成分を含む血液由来物等が挙げられる。血液としては、生体から採取された血液が挙げられる。血液中の成分を含む血液由来物としては、例えば、全血、血清、血漿、及び血球が挙げられる。赤血球成分を含む血液由来物としては、血液から分離又は調製されたものであって赤血球成分を含むものが挙げられ、例えば、血漿が除かれた血球画分や、血球濃縮物、血液又は血球の凍結乾燥物、全血を溶血処理した溶血試料、遠心分離血液、自然沈降血液、洗浄血球などを含む。分析対象物としては、一又は複数の実施形態において、タンパク質等が挙げられ、中でもヘモグロビン、アルブミン、及びグロブリンが好ましい。ヘモグロビンとしては、一又は複数の実施形態において、糖化ヘモグロビン、修飾ヘモグロビン、及び異常ヘモグロビン等が挙げられる。糖化ヘモグロビンとしては、一又は複数の実施形態において、ヘモグロビンA1c、ヘモグロビンA1a、ヘモグロビンA1b、ヘモグロビンA1d1、ヘモグロビンA1d2、ヘモグロビンA1d3、ヘモグロビンA1e等が挙げられる。異常ヘモグロビンとしては、ヘモグロビンF、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンJ、ヘモグロビンA2、メト化ヘモグロビン等が挙げられる。修飾ヘモグロビンとしては、一又は複数の実施形態において、カルバミル化ヘモグロビン、アルデヒド化ヘモグロビン、アセチル化ヘモグロビン等が挙げられる。アルブミンとしては、一又は複数の実施形態において、糖化アルブミンが挙げられる。グロブリンとしては、一又は複数の実施形態において、IgA、IgG、IgM、IgE、IgD、IgY、Fab、F(ab')
2、及びこれらと抗原が結合した抗原抗体複合体等が挙げられる。グロブリンとしては、一又は複数の実施形態において、標識物が結合したグロブリンが挙げられる。標識物としては、色素、蛍光物質、発光物質、量子ドット、酵素、核酸等が挙げられる。
【0026】
本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、マイクロ流路と、試料保持するための凹部と、泳動液保持するための凹部とを含む。試料を保持するための凹部と、泳動液を保持するための凹部とは、マイクロ流路を通じてそれぞれ連通している。本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、2枚の樹脂基板が接合することによってマイクロ流路が形成されている。
【0027】
本開示のチップは、一又は複数の実施形態において、流路に泳動液が充填されていてもよい。泳動液としては後述のものが挙げられる。
【0028】
本開示のチップの限定されない実施形態を
図1に示す。
図1は、本開示のチップを説明するための概略模式図である。
図1aは樹脂基板1,2の上面図であり、
図1bは樹脂基板1,2の下面図であり、
図1cはチップの上側断面図及び側断面図である。
図1に示すチップは、一対の樹脂基板1,2で形成され、内部にマイクロ流路10を備える。マイクロ流路10の両端にはそれぞれ試料保持槽11及び泳動液保持槽12が形成されている。試料保持槽11と泳動液保持槽12との間であって、マイクロ流路10の上面には検出部13が形成されている。
【0029】
[キット]
本開示は、一又は複数の実施形態において、検体分析用のキットであって、本開示のチップと、分析用の溶液を備えたカートリッジとを含むキットに関する。分析用の溶液としては、一又は複数の実施形態として、泳動液、及び試料調製用液等が挙げられる。
【0030】
泳動液は、従来公知の泳動液を使用できる。泳動液は、一又は複数の実施形態において、pH緩衝物質、非界面活性剤型の両イオン性物質、及び水を含み、さらに、必要に応じてイオン性の擬似固定相等を含む。イオン性擬似固定相としては、分析精度の向上と測定時間の短縮化の観点から、一又は複数の実施形態において、アニオン性基を有する多糖類等が挙げられる。アニオン性基を有する多糖類として、硫酸化多糖類、カルボン酸化多糖類、スルホン酸化多糖類、及びリン酸化多糖類が挙げられ、分析精度の向上と測定時間の短縮化の観点から、硫酸化多糖類及びカルボン酸化多糖類が好ましい。硫酸化多糖類としては、限定されない一又は複数の実施形態において、分析精度の向上と測定時間の短縮化の観点から、コンドロイチン硫酸、へパリン、へパラン、フコイダン、又はその塩等が挙げられ、中でもコンドロイチン硫酸又はその塩が好ましい。コンドロイチン硫酸としては、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、及びコンドロイチン硫酸E等が挙げられる。
【0031】
試料調製用液としては、一又は複数の実施形態において、泳動液と同様の組成のものが挙げられる。試料調製用液としては、一又は複数の実施形態において、泳動液と異なる組成のものであっても良い。
【0032】
[分析方法]
本開示は、一又は複数の実施形態において、ヘモグロビンの分析方法であって、本開示のチップを用いて試料中の分析対象を測定することを含む分析方法に関する。本開示の分析方法によれば、一又は複数の実施形態において、試料中の分析対象の測定精度を向上でき、好ましくは分析対象の分離精度の向上及び又は測定時間の短縮が可能となるという効果を奏しうる。
【0033】
分析は、一又は複数の実施形態において、分離分析法により試料中の分析対象を分離することにより行うことができる。分離分析法としては、一又は複数の実施形態において、電気泳動法が挙げられ、中でもキャピラリー電気泳動法が好ましい。
【0034】
本開示の分析方法は、一又は複数の実施形態において、チップのマイクロ流路の一端に試料を導入すること及びマイクロ流路の両端に電圧を印加することを含む。本開示の分析方法は、一又は複数の実施形態において、チップのマイクロ流路に試料を導入すること及びマイクロ流路の全体又は一部に電圧を印加することを含む。本開示の分析方法は、一又は複数の実施形態において、検体を希釈して試料を調製すること、泳動液をチップのマイクロ流路の一端に導入して、泳動液でマイクロ流路を充填すること、前記チップのマイクロ流路の一端に、試料を導入すること、及びマイクロ流路の両端に電圧を印加することを含む。泳動液は、上述の通りである。
【0035】
検体の希釈は、一又は複数の実施形態において、上述の試料調製用液を用いて行うことが好ましい。
【0036】
つぎに、
図1に示すキャピラリー電気泳動チップを用いた試料の分析方法の一例について説明する。
【0037】
まず、キャピラリー電気泳動チップの泳動液保持槽12に泳動液を充填し、毛細管現象により泳動液をキャピラリー流路10に充填する。
【0038】
つぎに、キャピラリー流路10に泳動液が充填された前記キャピラリー電気泳動チップの試料保持槽11に試料を配置する。
【0039】
試料保持槽11に配置する試料は、試料原料である全血を希釈することにより調製できる。試料原料の希釈率は、一又は複数の実施形態において、1.2〜200倍であり、好ましくは2〜100倍又は3〜80倍である。
【0040】
ついで、キャピラリー流路10の両端、すなわち、試料保持槽11及び泳動液保持槽12との間に電圧を印加する。これにより、試料保持槽11からキャピラリー流路10への試料の導入及びキャピラリー流路10において分離が行われ、ヘモグロビンを含む試料が試料保持槽11から泳動液保持槽12に向かって移動する。キャピラリー流路10の両端に印加する電圧は、一又は複数の実施形態において、0.5〜10kVであり、好ましくは0.5〜5kVである。
【0041】
そして、所定の位置において測定を行う。測定は、一又は複数の実施形態において、吸光度測定等の光学的手法により行うことができる。分析対象物質がヘモグロビンの場合は、例えば、波長415nmの吸光度の測定を行うことが好ましい。
【0042】
測定を行う位置、すなわち、分離に要する長さは、キャピラリー流路10の長さ等に適宜決定できる。例えば、キャピラリー流路10の長さが10〜150mmである場合、キャピラリー流路10の試料保持槽11側の端部から5〜140mm、10〜100mm又は15〜50mmの位置である。
【0043】
上述のように分析を行うことによって、ヘモグロビンの測定を行うことができ、好ましくはHbA1cとその他のヘモグロビン成分、さらに好ましくは糖尿病診断の指標となる安定型HbA1cとその他のヘモグロビン成分とを分離して測定することができる。その他のヘモグロビン成分としては、不安定型HbA1c、HbA1d1、HbS、HbF、HbA2、HbC等が挙げられる。さらに、得られたエレクトロフェログラムを解析することにより、例えば、HbA1cの比率(%HbA1c)やHbA1cの量を測定することができる。このため、本開示の分析方法は、糖尿病の予防、診断及び治療等の用途に利用することができる。
【0044】
本開示は、以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
〔1〕 マイクロ流路を備えるチップの製造方法であって、
一対の樹脂基板のそれぞれの少なくとも一方の表面に、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーを固定化すること、及び
前記カチオン性ポリマーを固定化した面を接合面として前記樹脂基板を接合することを含む、チップの製造方法。
〔2〕 マイクロ流路を備えるチップの製造方法であって、
一対の樹脂基板のそれぞれの少なくとも一方の表面に、気相又は液相表面処理を行うこと、
前記処理面に、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマー溶液を接触させること、及び
前記接触させた面を接合面として樹脂基板を接合することを含む、チップの製造方法。
〔3〕 前記樹脂基板のそれぞれの少なくとも一方の表面に、アニオン性官能基を導入すること、及び
前記アニオン性官能基を導入した面に、前記カチオン性ポリマーの固定化を行うこと、を含む、〔1〕記載の製造方法。
〔4〕 前記アニオン性官能基の導入は、気相又は液相表面処理により行う、〔3〕記載の製造方法。
〔5〕 前記気相表面処理は、真空紫外線処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、及びオゾン処理からなる群から選択される、〔2〕又は〔4〕記載の製造方法。
〔6〕 前記第4級オニウム基は、第4級アンモニウム基及び第4級ホスホニウム基からなる群から選択される、〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕 前記カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕 前記カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含む、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
〔9〕 前記カチオン性ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせである、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
〔10〕 前記カチオン性ポリマーは、塩化物及び/又は硫化物である、〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の製造方法。
〔11〕 前記樹脂基板の接合により、マイクロ流路が形成される、〔1〕から〔10〕のいずれかに記載の製造方法。
〔12〕 〔1〕から〔11〕のいずれかに記載の製造方法により製造される、マイクロ流路を備えるチップ。
〔13〕 前記流路の内壁に、第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーが固定化されている、〔12〕記載のチップ。
〔14〕 樹脂基板の接合によりマイクロ流路が形成されたチップであって、
前記マイクロ流路の内壁に第4級オニウム基を有するカチオン性ポリマーが固定化されている、チップ。
〔15〕 前記カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム、ジメチルアミン-エピクロロヒドリンコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、〔13〕又は〔14〕に記載のチップ。
〔16〕 前記チップは、検体分析用である、〔12〕から〔15〕のいずれかに記載のチップ。
〔17〕 検体分析用のキットであって、
〔12〕から〔16〕のいずれかに記載のチップと、
分析用の溶液を備えたカートリッジとを含む、キット。
〔18〕 ヘモグロビンの分析方法であって、
〔12〕から〔16〕のいずれかに記載のチップを用いて試料中の分析対象を測定することを含む、分析方法。
〔19〕 検体を希釈して試料を調製すること、
泳動液を前記チップのマイクロ流路の一端に導入して、前記泳動液でマイクロ流路を充填すること、
前記チップのマイクロ流路の一端に、前記試料を導入すること、及び
前記マイクロ流路の両端に電圧を印加すること、を含む、〔18〕記載の分析方法。
〔20〕 泳動液を前記チップのマイクロ流路に充填すること、
前記チップのマイクロ流路に、試料を導入すること、及び
前記マイクロ流路の全体又は一部に電圧を印加することを含む、〔18〕記載の分析方法。
【0045】
以下に、実施例及び比較例を用いて本開示をさらに説明する。但し、本開示は以下の実施例に限定して解釈されない。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
[チップの作製]
図1に示すような部品を使用し、チップを作製した。
<樹脂部品の準備>
材料としてPMMA(ポリメタクリル酸メチル)を使用し、成形によって樹脂部品A(
図1a)と、樹脂部品B(
図1b)との二つの樹脂部品を準備した。流路10は0.04mm×0.04mm×30mmとし、試料保持槽11及び泳動液保持槽12の容量は10μLとした。また、検出部13は、その中心が試料保持槽11及び泳動液保持槽12からそれぞれ20mm及び10mmの位置となるようにした。
<カチオン性ポリマーの固定化>
樹脂部品A及びBの接合面に、エキシマランプによって大気圧下で紫外線を照射し、アニオン性官能基を導入した。その後、樹脂部品A及びBを下記処理液1に24時間室温にて浸漬した。
(処理液1)
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDADMAC,ポリクオタニウム−6,シグマアルドリッチ社製、分子量100000以下)1%w/v,水酸化ナトリウム 100mM,水溶液
浸漬後、水にて十分に洗浄し、圧縮空気を噴射して樹脂部品A及びBを風乾した。この一連の工程により、カチオン性ポリマーが、樹脂部品の接合面上のアニオン性官能基と結合し、接合面に固定化される。
<マイクロ流路チップの形成>
接合面にカチオン性ポリマーが固定化された樹脂部品A及びBを、接合面同士を接触させて加熱圧着(温度80℃、圧力16kgf/cm
2(1.57MPa)、1分間)し、
図1cに示すマイクロ流路チップを得た。これにより、樹脂部品A及びBが接合され、かつ、流路内壁にカチオン性ポリマーが固定化されたチップが得られた。得られたチップは、マイクロ流路にほとんど変形が見られなかった。
【0047】
[チップの接合面の評価]
得られたチップについて、樹脂部品Aと樹脂部品Bとの接合を評価した。評価は、接合強度と、接合面からの液体の漏れの有無とで行った。接合強度は、得られたチップを接合面で強制的に剥離し、接合面に残る剥離痕の深さを測定することにより確認した。液体の漏れの有無は、色素溶液をキャピラリーに通液し、顕微鏡にて観察することにより行った。その結果、得られたチップは、接合深さが2μm以上であり、十分な接合強度を有し、また接合面からの液体の漏れは見られなかった。つまり、樹脂部品Aと樹脂部品Bとは十分に接合されていることが確認できた。
【0048】
[ヘモグロビンの分析]
得られたチップを用いて、キャピラリー電気泳動によるヘモグロビンの分析を行った。電気泳動溶液は、蒸留水に下記物質を下記濃度となるように添加することにより調製した。
(電気泳動溶液1)
40mM クエン酸
1%w/vコンドロイチン硫酸Cナトリウム
500mM NDSB−201(品名、3−(1−Pyridinio)−1−propanesulfonate、Anatrave Products LLC製)
0.1%w/v エマルゲンLS−110(製品名、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、花王製)
0.1% アジ化ナトリウム
ジメチルアミノエタノール(pH調製用)
pH6.0
(電気泳動溶液2)
40mM クエン酸
1.25%w/v コンドロイチン硫酸Cナトリウム
0.1%w/v エマルゲンLS−110
0.1% アジ化ナトリウム
ジメチルアミノエタノール(pH調製用)
pH5.0
【0049】
キャピラリー電気泳動は、以下の手順で行った。
1.マイクロ流路チップを、アークレイ製の電気泳動装置にセットした。
2.電気泳動溶液2をマイクロ流路チップの泳動液保持槽に9μL添加し、毛細管現象によりマイクロ流路を電気泳動溶液2で満たした。
3.ヒト全血を電気泳動溶液1で41倍に希釈し、試料とした。
4.上記試料を、マイクロ流路チップの試料保持槽に9μL添加した。
5.試料保持槽に陽電極、泳動液保持槽に負電極を接触させ、1600Vの電圧を印加して電気泳動を開始した。
6.検出部にて415nmの吸光度を測定し、エレクトロフェログラムを得た。電気泳動は60秒間行った。
【0050】
得られた分析結果を
図2に示す。
図2に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出され、かつ各分画は十分に分離された。具体的には、
図2に示すように、不安定型HbA1c(
図2の○)、安定型HbA1c(
図2の△)及びHbA1d1(
図2の□)のそれぞれのピークを明確に確認することができた。つまり、実施例1のチップは、短時間でヘモグロビンの各分画を精度よく分離できることが確認できた。
【0051】
(実施例2)
樹脂部品A及びBの材料としてポリスチレンを使用し、かつ加熱圧着の温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。また、得られたチップは、マイクロ流路にほとんど変形が見られなかった。
【0052】
得られた分析結果を
図3に示す。
図3に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出され、かつ不安定型HbA1c(
図3の○)、安定型HbA1c(
図3の△)及びHbA1d1(
図3の□)のそれぞれのピークを明確に確認することができた。つまり、実施例2のチップは、短時間でヘモグロビンの各分画を精度よく分離できることが確認できた。
【0053】
(実施例3)
樹脂部品A及びBの材料としてシクロオレフィンを使用し、かつ加熱圧着の温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。また、得られたチップは、マイクロ流路にほとんど変形が見られなかった。
【0054】
得られた分析結果を
図4に示す。
図4に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出され、かつ不安定型HbA1c(
図4の○)、安定型HbA1c(
図4の△)及びHbA1d1(
図4の□)のそれぞれのピークを明確に確認することができた。つまり、実施例3のチップは、短時間でヘモグロビンの各分画を精度よく分離できることが確認できた。
【0055】
(実施例4)
処理液1を、下記の処理液2に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。
(処理液2)
ポリ[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]、四級化体(ポリクオタニウム−2、CAS No.68555-36-2、シグマアルドリッチ社製)1%w/v,水酸化ナトリウム 100mM,水溶液
得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。また、得られたチップは、マイクロ流路にほとんど変形が見られなかった。
【0056】
得られた分析結果を
図5に示す。
図5に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出され、かつ不安定型HbA1c(
図5の○)、安定型HbA1c(
図5の△)及びHbA1d1(
図5の□)のそれぞれのピークを明確に確認することができた。つまり、実施例4のチップは、短時間でヘモグロビンの各分画を精度よく分離できることが確認できた。
【0057】
(実施例5)
処理液1を、下記の処理液3に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。
(処理液3)
ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー(商品名:ユニセンスKHE105L、センカ社製)1%w/v,水酸化ナトリウム 100mM,水溶液
得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。また、得られたチップは、マイクロ流路にほとんど変形が見られなかった。
【0058】
得られた分析結果を
図6に示す。
図6に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出され、かつ不安定型HbA1c(
図6の○)、安定型HbA1c(
図6の△)及びHbA1d1(
図6の□)のそれぞれのピークを明確に確認することができた。つまり、実施例5のチップは、短時間でヘモグロビンの各分画を精度よく分離できることが確認できた。
【0059】
(比較例1)
処理液1を、下記の処理液4に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。
(処理液4)
ポリエチレンイミン(PEI、和光純薬工業社製)1%w/v,水溶液
得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。得られた分析結果を
図7に示す。
図7に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出されるものの、各ピークが不明確であり、ヘモグロビンの各分画の分離が不十分であった。
【0060】
(比較例2)
処理液1を、下記の処理液5に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。
(処理液5)
ポリアリルアミン塩酸塩(PAA,ニットーボーメディカル社製)1%w/v,水酸化ナトリウム 100mM,水溶液
得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。得られた分析結果を
図8に示す。
図8に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出されるものの、安定型HbA1c分画(
図8の△)及びHbA0分画(
図8の×)の検出後に吸光度が低下する異常が見られた。
【0061】
(比較例3)
実施例1で準備した樹脂部品A及びBに、以下に示すように、紫外線照射によるアニオン性官能基の導入及びアミノシランの塗布を行い、マイクロ流路チップを得た。
<アミノシランの塗布>
樹脂部品A及びBの接合面に対し、エキシマランプによって大気圧下で紫外線を照射し、アニオン性官能基を導入した。その後、樹脂部品A及びBを下記処理液6に3時間30℃にて浸漬した。
(処理液6)
アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903, 信越化学社製)5%w/v,水溶液
浸漬の後、水にて十分に洗浄し、圧縮空気を噴射して樹脂部品A及びBを風乾した。
<マイクロ流路チップの形成>
接合面にアミノシランが塗布された樹脂部品A及びBを、接合面同士を接触させて加熱圧着し、
図1cに示すマイクロ流路チップを得た。加熱圧着は、温度70℃、圧力18.7kgf/cm
2(1.83MPa)で5分間行った。
この一連の工程により、アミノシランと樹脂部品が共有結合し、かつアミノシラン同士が共有結合することで、樹脂部品が接合され、キャピラリー内壁にアミノシラン層が形成される。
【0062】
得られたチップを用い、実施例1と同様に接合面の評価、及びヘモグロビンの分析を行った。得られたチップは、十分な接合強度を有しており、接合面の液体の漏れは見られなかった。得られた分析結果を
図9に示す。
図9に示すように、ヘモグロビンの各分画は30秒以内に検出されなかった。また、各分画のピークも不明確であり、各分画の分離は不十分であることが分かる。
【0063】
[再現性試験]
実施例1、4及び5並びに比較例1及び2で得られたマイクロ流路チップを用いて、日差再現性試験を実施した。再現性試験は、各チップを乾燥剤と共に密封し、50℃条件下にて5日間保存し、保存前、保存2日後及び5日後に、各チップ2回ずつ測定することにより行った。測定は、実施例1のヘモグロビンの分析と同様に行い、下記式にて安定型HbA1c値を算出した。その結果を下表1に示す。
HbA1c(%)=(HbA1c分画の吸光度/総ヘモグロビンの吸光度)X100
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、再現性を示すCV(Coefficient of Variation)値が、比較例1及び2のチップでは4%以上であるのに対し、実施例1、4、及び5のチップでは1%前後であった。つまり、実施例1、4、及び5のチップにおいて良好な再現性を得られることが分かった。