特許第6018293号(P6018293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018293
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】高圧消音装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/24 20060101AFI20161020BHJP
   G10K 11/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F02C7/24 C
   G10K11/00
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-507021(P2015-507021)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公表番号】特表2015-521244(P2015-521244A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】US2013033977
(87)【国際公開番号】WO2014018126
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2014年10月20日
(31)【優先権主張番号】13/453,388
(32)【優先日】2012年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ポトカー,クリストファー・ジョン
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭57−55933(JP,Y2)
【文献】 特開2000−213327(JP,A)
【文献】 特開平6−146844(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0042368(US,A1)
【文献】 特開昭59−145313(JP,A)
【文献】 実開平6−60738(JP,U)
【文献】 米国特許第4979587(US,A)
【文献】 特開平10−252443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/24
F01D 25/00
G10K 11/00−13/00
F01N 1/00−1/24,
13/00−13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消音装置(50)であって、
上流基部(136)および下流基部(138)を備え、前記上流基部(136)の直径(132)が前記下流基部(138)の直径(134)よりも大きい、略円錐切頭形に形作られた内部流調節器(110)であって、前記上流基部(136)の付近の吸気口(118)と、内部流調節器下流端壁領域(133)を有し、前記円錐切頭形の長手方向軸線(124)と実質的に直交し、略長手方向に向いた複数の内部流調節器下流端壁孔(122)を備える、略円形の内部流調節器下流端壁(114)と、前記上流基部(136)の付近から前記内部流調節器下流端壁(114)の付近まで先細り、略横方向を向いた複数の内部流調節器側壁孔(120)を備える、略円錐台形に形作られた内部流調節器側壁(112)と、を備える内部流調節器(110)と、
前記内部流調節器(110)の実質的に周りに配され、略円筒形に形作られた排気缶(102)であって、前記内部流調節器(110)の前記上流基部(136)の付近に配され、前記内部流調節器(110)の前記上流基部(136)を実質的に取り囲む、略環状の上流端壁(126)と、複数の排気スクリーン孔(106)を備える、略円形の排気スクリーン(104)と、前記上流端壁(126)の付近から前記排気スクリーン(104)の付近まで延びる、略環状の排気缶側壁(128)と、を備える排気缶(102)と
を備え、
前記内部流調節器(110)および前記排気缶(102)が、抽気流導管(44)から、前記吸気口(118)を通って前記内部流調節器(110)側へ内部流調節器(110)の内側から、前記内部流調節器下流端壁(122)および前記内部流調節器側壁(120)を通って内部流調節器(110)の外側かつ前記排気缶(102)の内側の領域へ、および内部流調節器(110)の外側かつ排気缶(102)の内側の領域から、前記排気スクリーン(106)を通って排気缶(102)の側へ、流体を導くように構成され、
前記内部流調節器(110)および前記排気缶(102)が、前記吸気口(118)を通って前記内部流調節器(110)へ内向きに、前記内部流調節器下流端壁(114)の内部流調節器下流端壁孔(122)および前記内部流調節器側壁(112)の内部流調節器側壁孔(120)を通って前記排気缶(102)へ、および前記排気スクリーン(104)の排気スクリーン孔(106)を通って外向きに、流体を導くように構成され、
前記排気缶(102)および前記内部流調節器下流端壁(114)が、前記排気缶(102)と前記内部流調節器下流端壁(114)との間に下流端環状領域(135)を少なくとも部分的に規定し、
前記内部流調節器下流端壁領域(133)に対する前記下流端環状領域(135)の比率が、前記内部流調節器下流端壁孔(122)の有効面積に対する前記内部流調節器側壁孔(120)の有効面積の比率に対して0.8〜1.9の係数(F)で釣り合う
消音装置(50)。
【請求項2】
前記内部流調節器下流端壁領域(133)に対する前記下流端環状領域(135)の前記比率が、前記内部流調節器下流端壁孔(122)の前記有効面積に対する前記内部流調節器側壁孔(120)の有効面積の前記比率に対して0.88〜1.58の係数(F)で釣り合う、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項3】
前記内部流調節器下流端壁領域(133)に対する前記下流端環状領域(135)の前記比率が、前記内部流調節器下流端壁孔(122)の前記有効面積に対する前記内部流調節器側壁孔(120)の有効面積の前記比率に対して0.97〜1.26の係数(F)で釣り合う、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項4】
前記下流端環状領域(135)に対する前記内部流調節器下流端壁領域(133)の前記比率が0.17〜0.20である、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項5】
前記内部流調節器下流端壁孔(122)が内部流調節器下流端壁孔直径(142)を有し、
前記内部流調節器下流端壁(114)が前記排気スクリーン(104)から消散距離(140)で離間し、
前記内部流調節器下流端壁孔直径(142)に対する前記消散距離(140)の比率が10よりも大きい、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項6】
前記内部流調節器下流端壁孔(122)が内部流調節器下流端壁孔直径(142)を有し、
前記内部流調節器下流端壁(114)が前記排気スクリーン(104)から消散距離(140)で離間し、
前記内部流調節器下流端壁孔直径(142)に対する前記消散距離(140)の比率が20よりも大きい、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項7】
消音装置(50)であって、
上流基部(136)および下流基部(138)を備え、前記上流基部(136)の直径(132)が前記下流基部(138)の直径(134)よりも大きい、略円錐切頭形に形作られた内部流調節器(110)であって、前記上流基部(136)の付近の吸気口(118)と、内部流調節器下流端壁領域(133)を有し、前記円錐切頭形の長手方向軸線(124)と実質的に直交し、略長手方向に向いた複数の内部流調節器下流端壁孔(122)を備える、略円形の内部流調節器下流端壁(114)と、前記上流基部(136)の付近から前記内部流調節器下流端壁(114)の付近まで先細り、略横方向を向いた複数の内部流調節器側壁孔(120)を備える、略円錐台形に形作られた内部流調節器側壁(112)と、を備える内部流調節器(110)と、
前記内部流調節器(110)の実質的に周りに配され、略円筒形に形作られた排気缶(102)であって、前記内部流調節器(110)の前記上流基部(136)の付近に配され、前記内部流調節器(110)の前記上流基部(136)を実質的に取り囲む、略環状の上流端壁(126)と、複数の排気スクリーン孔(106)を備える、略円形の排気スクリーン(104)と、前記上流端壁(126)の付近から前記排気スクリーン(104)の付近まで延びる、略環状の排気缶側壁(128)と、を備える排気缶(102)と
を備え、
前記内部流調節器(110)および前記排気缶(102)が、抽気流導管(44)から、前記吸気口(118)を通って前記内部流調節器(110)側へ内部流調節器(110)の内側から、前記内部流調節器下流端壁(122)および前記内部流調節器側壁(120)を通って内部流調節器(110)の外側かつ前記排気缶(102)の内側の領域へ、および内部流調節器(110)の外側かつ排気缶(102)の内側の領域から、前記排気スクリーン(106)を通って排気缶(102)の側へ、流体を導くように構成され、
前記排気缶(102)および前記内部流調節器下流端壁(114)が、前記排気缶(102)と前記内部流調節器下流端壁(114)との間に下流端環状領域(135)を少なくとも部分的に規定し、
前記内部流調節器下流端壁孔(122)が内部流調節器下流端壁孔直径(142)を有し、
前記内部流調節器下流端壁(114)が前記排気スクリーン(104)から消散距離(140)で離間し、
前記内部流調節器下流端壁孔直径(142)に対する前記消散距離(140)の比率が10よりも大きい
消音装置(50)。
【請求項8】
前記内部流調節器下流端壁孔直径(142)に対する前記消散距離(140)の前記比率が15よりも大きい、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項9】
前記内部流調節器下流端壁孔直径(142)に対する前記消散距離(140)の前記比率が20よりも大きい、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項10】
前記下流端環状領域(135)に対する前記内部流調節器下流端壁領域(133)の比率が0.16〜0.28である、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項11】
前記下流端環状領域(135)に対する前記内部流調節器下流端壁領域(133)の比率が0.17〜0.20である、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項12】
前記内部流調節器下流端壁領域(133)に対する前記下流端環状領域(135)の比率が、前記内部流調節器下流端壁孔(122)の有効面積に対する前記内部流調節器側壁孔(120)の有効面積の比率に対して0.88〜1.58の係数(F)で釣り合う、請求項に記載の消音装置(50)。
【請求項13】
前記内部流調節器下流端壁領域(133)に対する前記下流端環状領域(135)の比率が、前記内部流調節器下流端壁孔(122)の有効面積に対する前記内部流調節器側壁孔(120)の有効面積の比率に対して0.97〜1.26の係数(F)で釣り合う、請求項に記載の消音装置(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、概ね消音システムに関し、より具体的には、大きな圧力降下および望ましい流れ特性を引き起こしうる消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、作動中に圧縮モジュールで空気が加圧される。圧縮モジュールを通って供給された空気は、燃焼器で燃料と混合されて点火され、高温燃焼ガスを発生させ、高温燃焼ガスは、ファンおよび圧縮機ローターに動力を供給するためのエネルギーを抽出するタービン段を通って流れ、エンジン推力を発生させて飛行中の航空機を推進したり、発電機等の負荷に動力を供給したりする。
【0003】
幾つかのガスタービンエンジンでは、例えば、圧縮機からの抽気等の一部の高圧空気が様々な必要性のために圧縮機から抽出または抽気されてもよい。これらの必要性は、例えば、作動性を改善するため、およびタービンを冷却し、軸受サンプを加圧し、空気をパージし、または航空機環境を制御するために使用されてもよい圧縮機流抽気を含む。空気は、圧縮機の特定部または特定段に位置する抽気スロットを用いて圧縮機から抜き取られてもよい。
【0004】
幾つかの小型ガスタービンエンジンでは、幾つかの作動条件で生じるエンジン作動中に、燃焼プロセスを含む必要性のために要求されるよりも多くの空気を圧縮機が圧送する場合があることが問題である。エンジンの作動性および燃焼性能を管理するために、圧縮機からの過剰抽気の一部は、抽気導管を通って送られ、バイパス流ストリームへ、エンジン排気へ、または環境中に排気されてもよい。圧縮機から抽気される空気ストリームの圧力および温度は、非常に高くなる場合がある。例えば、抽気圧力は、約1375kPaを超え、抽気温度は、摂氏約538度を超える。過度抽気弁(transient bleed valve)システム(TBV)は、圧縮機から排除された空気を抽気および排気するために時折使用される。抽気排気システムの特定の従来設計は、騒音の発生を低減するために大型および/または高重量の消音装置を使用する。例えば、従来の幾つかの抽気システムの排気領域は、用途による音響制約を満たすために要求されるよりも低いレベルまで排気位置での流速を低減するように設定される場合がある。排気領域、および元圧と排気との間での比較的緩やかな拡張は、これらのシステムの比較的大きなサイズおよび/または重量の一因となる場合がある。幾つかの用途(例えば航空機)では、大型および/または高重量の部品の使用が望ましくない場合がある。
【0005】
加えて、航空機に関する従来の幾つかの排気設計は、音響制約を満たす排気速度が一旦達成されると、排気位置の近くの他の部品の広範な熱的遮蔽を要求する場合がある。高温空気の性質によって、過剰に膨張されて低い速度が一旦達成されると、高温空気と混合する空気が抽気を圧倒し、エンジンの周辺構造に高温空気が「投げ出される(lay down)」場合がある。幾つかの航空機では、周辺構造は、低い温度性能を有する軽量複合材料または他の金属材料で作られる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2610441号明細書
【発明の概要】
【0007】
上記問題の少なくとも1つの解決策は、図示的な教示のために提供されて限定を意味しない、例示的な実施形態を含む本開示によって提供される。
【0008】
本開示の少なくとも幾つかの態様による消音装置の例は、上流基部および下流基部を含む、略円錐切頭形に形作られた内部流調節器を含んでもよい。上流基部の直径は、下流基部の直径よりも大きくてもよい。内部流調節器は、上流基部の付近の吸気口と、内部流調節器下流端壁領域を有し、円錐切頭形の長手方向軸線と概ね直交し、略長手方向に向いた複数の内部流調節器下流端壁孔を備える、略円形の内部流調節器下流端壁と、上流基部の付近から内部流調節器下流端壁の付近まで先細り、略横方向を向いた複数の内部流調節器側壁孔を備える、略円錐台形に形作られた内部流調節器側壁と、を含んでもよい。消音装置は、内部流調節器の実質的に周りに配され、略円筒形に形作られた排気缶を含んでもよい。排気缶は、内部流調節器の上流基部の付近に配され、内部流調節器の上流基部を実質的に取り囲む、略環状の上流端壁と、複数の排気スクリーン孔を備える、略円形の排気スクリーンと、上流端壁の付近から排気スクリーンの付近まで延びる、略円形の排気缶側壁と、を含んでもよい。内部流調節器および排気缶は、吸気口を通って内部流調節器へ内向きに、内部流調節器下流端壁の排出開口および内部流調節器側壁の排出開口を通って排気缶へ、および排気スクリーンの排出開口を通って外向きに、流体を導くように構成されてもよい。排気缶および内部流調節器下流端壁は、排気缶と内部流調節器下流端壁との間に下流端環状領域を少なくとも部分的に規定してもよい。下流端環状領域に対する内部流調節器下流端壁領域の比率は、約0.12〜約0.97であってもよい。
【0009】
本開示の少なくとも幾つかの態様による消音装置の例は、上流基部および下流基部を含む、略円錐切頭形に形作られた内部流調節器を含んでもよい。上流基部の直径は、下流基部の直径よりも大きくてもよい。内部流調節器は、上流基部の付近の吸気口と、内部流調節器下流端壁領域を有し、円錐切頭形の長手方向軸線と概ね直交し、略長手方向に向いた複数の内部流調節器下流端壁孔を備える、略円形の内部流調節器下流端壁と、上流基部の付近から内部流調節器下流端壁の付近まで先細り、略横方向を向いた複数の内部流調節器側壁孔を備える、略円錐台形に形作られた内部流調節器側壁と、を含んでもよい。消音装置は、内部流調節器の実質的に周りに配され、略円筒形に形作られた排気缶を含んでもよい。排気缶は、内部流調節器の上流基部の付近に配され、内部流調節器の上流基部を実質的に取り囲む、略環状の上流端壁と、複数の排気スクリーン孔を備える、略円形の排気スクリーンと、上流端壁の付近から排気スクリーンの付近まで延びる、略円形の排気缶側壁と、を備えてもよい。内部流調節器および排気缶は、吸気口を通って内部流調節器へ内向きに、内部流調節器下流端壁の排出開口および内部流調節器側壁の排出開口を通って排気缶へ、および排気スクリーンの排出開口を通って外向きに、流体を導くように構成されてもよい。排気缶および内部流調節器下流端壁は、排気缶と内部流調節器下流端壁との間に下流端環状領域を少なくとも部分的に規定してもよい。下流端壁領域に対する下流端環状領域の比率は、内部流調節器下流端壁孔の有効面積に対する内部流調節器側壁孔の有効面積の比率に対して約0.8〜約1.9の係数で釣り合ってもよい。
【0010】
本開示の少なくとも幾つかの態様による消音装置の例は、上流基部および下流基部を含む、略円錐切頭形に形作られた内部流調節器を含んでもよい。上流基部の直径は、下流基部の直径よりも大きくてもよい。内部流調節器は、上流基部の付近の吸気口と、内部流調節器下流端壁領域を有し、円錐切頭形の長手方向軸線と概ね直交し、略長手方向に向いた複数の内部流調節器下流端壁孔を備える、略円形の内部流調節器下流端壁と、上流基部の付近から内部流調節器下流端壁の付近まで先細り、略横方向を向いた複数の内部流調節器側壁孔を備える、略円錐台形に形作られた内部流調節器側壁と、を含んでもよい。消音装置は、内部流調節器の実質的に周りに配され、略円筒形に形作られた排気缶を備えてもよい。排気缶は、内部流調節器の上流基部の付近に配され、内部流調節器の上流基部を実質的に取り囲む、略環状の上流端壁と、複数の排気スクリーン孔を備える、略円形の排気スクリーンと、上流端壁の付近から排気スクリーンの付近まで延びる、略円形の排気缶側壁と、を含んでもよい。内部流調節器および排気缶は、吸気口を通って内部流調節器へ内向きに、内部流調節器下流端壁の排出開口および内部流調節器側壁の排出開口を通って排気缶へ、および排気スクリーンの排出開口を通って外向きに、流体を導くように構成されてもよい。排気缶および内部流調節器下流端壁は、排気缶と内部流調節器下流端壁との間に下流端環状領域を少なくとも部分的に規定してもよい。内部流調節器下流端壁孔は、内部流調節器下流端壁孔直径を有してもよい。内部流調節器下流端壁は、排気スクリーンから消散距離で離間してもよい。内部流調節器下流端壁孔直径に対する消散距離の比率は、約10よりも大きくてもよい。
【0011】
本明細書では、特許請求の範囲を求める主題が具体的に指摘されて請求される。しかし、主題および主題の実施形態は、添付図面と合わせて以下の実施形態を参照することによって最も良く理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】消音装置の例を含む抽気システムの例を含むガスタービンエンジン組立体の例の概略断面図である。
図2】消音装置の例を含む抽気システムの例の斜視図である。
図3】消音装置の例の断面図である。
図4】全てが本開示の少なくとも幾つかの態様による、消音装置の例の部分切断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を成す添付図面が参照される。図面では、他に規定されない限り同様の記号が典型的に同様の部品を示している。詳細な説明、図面および請求項で説明される図示的な実施形態は、限定を意味しない。ここで示される主題の主旨または範囲から逸脱せずに、他の実施形態が利用されてもよく、他の変形が施されてもよい。本明細書で概ね説明し、図に図示するように、本開示の態様を広範な様々な形態で構成し、置換し、組み合わせ、設計することができ、それらの全ては、明示的に考慮されており、本開示の一部を成している。
【0014】
本開示は、特に消音システムを含み、より具体的には、大きな圧力降下および望ましい流れ特性を引き起こしうる消音装置を含む。
【0015】
本開示は、最近の高効率ターボファンエンジンが尾部圧縮機段からの高圧/高温抽気を使用して作動性および性能を向上してもよいことを考慮している。この抽気は、ファンダクトまたは他の位置へ導かれてもよく、これによってエンジン作動の幾つかの段階で追加騒音を発生させる場合がある。
【0016】
本開示による幾つかの例示的な実施形態は、最小の音響衝撃を有する小型軽量の過度/作動可能な抽気排気消音装置(「ペッパーポット」と一般に称される場合がある)を提供する。高圧/高温圧縮機排出抽気の音響効果は、ファンダクトへの高い排気速度で達成されてもよく、幾つかの例示的な実施形態では、ペッパーポット本体(「排気缶」と称される場合がある)内の単一の流れ調節要素(「内部流調節器」と称される場合がある)のみを使用してもよい。そのような実施形態の幾つかは、「単一段」消音装置と称される場合がある。本開示は、「COMPACT HIGH−PRESSURE EXHAUST MUFFLING DEVICES」と題する2011年12月28日に出願された米国仮特許出願第61/580,675号と、「COMPACT HIGH−PRESSURE EXHAUST MUFFLING DEVICES」と題する2012年1月11日に出願された米国特許出願第13/347,728号とに幾つかの「単一段」消音装置が記載されていることを考慮しており、これらは、参照によって本明細書に組み込まれる。本開示は、幾つかの他の音響ペッパーポットが、エンジンの重量を増す場合がある複数(例えば3つから5つまたはそれよりも多く)の内部流調節要素を利用してもよいことを考慮している。
【0017】
加えて、本開示は、熱的問題に対処するために、幾つかの他の音響的に役立つペッパーポットが逆噴射装置構造を広範に遮蔽することを必要とする場合があることを考慮している。本開示による幾つかの例示的な実施形態は、高温抽気の少なくとも実質的に一部を冷却ファンダクト流の略中央に導くことによって、そのような遮蔽の必要性を低減または排除してもよく、これによって、逆噴射装置または他の航空機面に実質的に衝突せずに高温プルームがファンダクトに出ることを可能にしてもよい。
【0018】
図1は、本開示の少なくとも幾つかの態様による、消音装置50の例を含む抽気システム40の例を含むガスタービンエンジン組立体10の例の概略断面図である。図2は、本開示の少なくとも幾つかの態様による、消音装置50を含む抽気システム40の斜視図である。ガスタービンエンジン組立体10は、高圧圧縮機14、燃焼器16および高圧タービン18を含む、コアガスタービンエンジン12を含む。図1に示す例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン組立体10は、コアガスタービンエンジン12の軸方向下流側に結合された低圧タービン20と、コアガスタービンエンジン12の軸方向上流側に結合されたファン組立体22とも含む。ファン組立体22は、ローターディスクから径方向外向きに延びるファンブレード24の配列を含む。図1に示す例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン組立体10は、吸気側28および排気側29を有する。コアガスタービンエンジン12とファン組立体22と低圧タービン20は、第1のローターシャフト31によって連結され、高圧圧縮機14と高圧タービン18は、第2のローターシャフト32によって連結される。
【0019】
作動中、空気は、ファンブレード24を通って流れ、高圧圧縮機14に供給される。ファン組立体22から排出された空気は、高圧圧縮機14に供給され、高圧圧縮機では、空気流がさらに圧縮されて燃焼器16に供給される。燃焼器16からの燃焼生成物は、高圧タービン18および低圧タービン20を駆動するために利用され、低圧タービン20は、第1のローターシャフト31を介してファン組立体22を駆動する。
【0020】
ガスタービンエンジン組立体10の例では、特定の作動条件で、圧縮空気の一部が抽気システム40を通って送られ、それによって抽気2になってもよい。高圧圧縮機14からの抽気2は、抽気流導管44に進入してもよい。抽気2は、抽気流導管44を通過し、消音装置50に進入してもよく、昇温装置は、バイパス流路4等の流路へ抽気2を導き、その空気をファン流ストリーム1等の他の流れと混合する。抽気流導管44を通る流れは、抽気弁45によって制御されてもよい。抽気流導管44は、比較的高温高圧である抽気2の流れに耐えうるように選択されてもよい、金属等の様々な材料で作られてもよい。
【0021】
本明細書で以下により詳しく説明するように、消音装置50は、抽気流導管44と流体連通してもよく、したがって、抽気2は、出口流ストリーム5としてバイパス流路4へ排出され、出口流ストリーム5とファン流ストリーム1の混合によって発生する騒音の低減を促す。
【0022】
図2に示すように、抽気流導管44は、抽気弁45から消音装置50まで抽気2を運んでもよい。本開示の少なくとも幾つかの態様による幾つかの例示的な実施形態では、この装置によってもたらされる音響改善の一部または全ては、消音装置50内で生じ、これによって、排気缶の非常に近くの位置へ流れを導くために比較的小径かつ軽量の配管の使用を可能にしてもよい。
【0023】
図3は、本開示の少なくとも幾つかの態様による消音装置50の例の断面図である。図4は、本開示の少なくとも幾つかの態様による消音装置50の例の部分切断斜視図である。消音装置50は、下流端の排気スクリーン104(略円形であってもよい)、上流端壁126(略環状であってもよい)および側壁128(略円形であってもよい)を含んでもよい、排気缶102を備えてもよい。排気缶102は、中心軸線124の周りに配置され、直径130を有する略中空円筒形であってもよい。排気スクリーン104は、複数の孔106を含んでもよく、複数の孔を通って排気缶102の内部108から空気が排出されてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、排気スクリーン104は、外向きに湾曲してもよい。
【0024】
本開示の少なくとも幾つかの態様による幾つかの例示的な実施形態では、内部流調節器110が排気缶102内に配されてもよい。内部流調節器110は、中心軸線124の周りに排気缶102と同軸に配置された略中空円錐切頭形でもよい。内部流調節器110は、内向きに先細る側壁112、および略円形であってもよい下流端壁114を含んでもよい。側壁112は、略円錐台形として形作られてもよい。下流端壁114は、中心軸線124と略直交してもよい。内部流調節器110は、上流基部136(上流端壁126によって実質的に取り囲まれてもよい)から下流基部138(下流端壁114に近接してもよい)まで内向きに先細ってもよい。側壁112および下流端壁114は、内部流調節器110の内部116を少なくとも部分的に規定してもよい。側壁112は、略横方向に向いた複数の孔120を含んでもよく、および/または下流端壁114は、略軸方向に向いた複数の孔122を含んでもよく、複数の孔を通って加圧空気が排気缶102の内部108へ排出されてもよい。内部流調節器110は、吸気口118(上流基部136に近接してもよい)を通って抽気流導管44から加圧空気を受け入れるように配置されてもよい。内部流調節器110は、吸気口118に近接する上流基部直径132を有してもよく、および/または下流端壁114に近接する下流基部直径134を有してもよい。上流基部直径132は、下流基部直径134よりも大きくてもよい。内部流調節器110は、吸気口118が排気缶102の上流端壁126内に配されるように排気缶102の内側に取り付けられてもよい。
【0025】
下流基部138は、下流端壁114の略軸方向下流に面する領域であってもよい下流端壁領域133を少なくとも部分的に規定してもよい。下流基部138および排気缶102は、下流端壁114と排気缶102の側壁128との間の略軸方向下流に面する領域であってもよい下流端環状領域135を少なくとも部分的に規定してもよい。幾つかの例示的な実施形態では、下流端環状領域135に対する下流端壁領域133の比率は、約0.12〜約0.97であってもよい。幾つかの例示的な実施形態では、下流端環状領域135に対する下流端壁領域133の比率は、約0.16〜約0.28であってもよい。幾つかの例示的な実施形態では、下流端環状領域135に対する下流端壁領域133の比率は、約0.17〜約0.20であってもよい。
【0026】
作動中に、内部流調節器110および排気スクリーン104は、吸気口118を通って内部流調節器110の内部116へ内向きに、内部流調節器110の孔120および/または孔122を通って排気缶102の内部108へ、および排気スクリーン104の孔106を通って外向きに加圧空気を導くように構成されてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、排気缶102の内部108は、内部流調節器の孔120および孔122と排気スクリーン104の孔106との間の流れ障害物を実質的に欠いてもよい。
【0027】
消音装置50の例は、個別の孔サイズ(例えば、直径および/またはスロット長/幅)および面積を有する孔106、120、122を含んでもよい。個別の孔は、その測定可能な物理的な面積とは異なる流体流の有効面積を有してもよい。流体流の孔有効面積は、既知の方法で求められてもよく、孔のサイズおよび形状に依存してもよい。例えば排気スクリーン104の孔106等の複数の孔は、既知の方法を用いて計算されてもよい流体流の有効面積を有してもよい。例えば、内部流調節器110の側壁112の孔120は、有効流面積を有してもよく、および/または、内部流調節器110の下流端壁114の孔122は、有効流面積を有してもよい。
【0028】
本開示の少なくとも幾つかの態様による幾つかの例示的な実施形態では、下流端壁領域133に対する下流端環状領域135の比率は、内部流調節器110の下流端壁114の孔122の有効面積に対する内部流調節器110の側壁112の孔120の有効面積の比率に対して約0.8〜約1.9の係数で釣り合ってもよい。数学的に表現すると、
【0029】
[数1] 下流端環状領域135/下流端壁領域133=F×孔120の有効面積/孔122の有効面積
ここで、Fは、幾つかの例示的な実施形態では、約0.8〜約1.9であってもよい。幾つかの例示的な実施形態では、Fは、約0.88〜約1.58であってもよい。幾つかの例示的な実施形態では、Fは、約0.97〜約1.26であってもよい。
【0030】
本開示の少なくとも幾つかの態様による幾つかの例示的な実施形態では、吸気口(例えば吸気口118)の有効流面積に対する内部流調節器(例えば内部流調節器110)の孔(例えば孔120および孔122)の有効流面積の比率は、約0.7〜約1.2であってもよい。本開示の少なくとも幾つかの態様による例示的な実施形態では、吸気口の有効流面積に対する内部流調節器の孔の有効流面積の比率は、約0.76〜約0.91であってもよい。
【0031】
本開示の少なくとも幾つかの態様による幾つかの例示的な実施形態では、内部流調節器110は、下流端壁114の孔122を通る空気流が排気缶102の排気スクリーン104に到達する前に実質的に消散するように排気缶102内に配されてもよい。例えば、下流端壁114は、排気スクリーン104から消散距離140で離間してもよい。下流端壁114を通る1つ以上の孔122は、孔直径142を有してもよい。幾つかの例示的な実施形態では、孔直径142に対する消散距離140の比率は、10よりも大きくてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、孔直径142に対する消散距離140の比率は、15よりも大きくてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、孔直径142に対する消散距離140の比率は、20よりも大きくてもよい。
【0032】
本開示の少なくとも幾つかの態様による幾つかの例示的な実施形態は、排気スクリーン104に接近する空気流144が排気缶102の直径130に亘って実質的に均一であるように構成されてもよい。
【0033】
出口流ストリーム5をバイパス流路4へ排出することに関連する幾つかの例示的な実施形態について説明してきたが、出口流ストリーム5を他の場所に導くことも本開示の範囲内である。例えば、本開示による幾つかの消音装置は、エンジンパイロン、タービン後方フレーム、および/またはコアノズル/中央抽気チューブに装着されてもよい。幾つかの例示的な実施形態は、出口流ストリーム5をガスタービンエンジン組立体10の略後方に導くように構成されてもよい。
【0034】
この明細書は、例を用いて、ベストモードを含む本発明を開示し、任意の装置またはシステムの製作および使用、並びに組み込まれた任意の方法の実施を含めて当業者が本発明を実践することも可能にする。本発明の特許性を有する範囲は、請求項によって規定され、当業者が想起する他の例を含んでもよい。それらの他の例は、それらの他の例が請求項の文言と相違しない部品を有する場合、または請求項の文言と実質的に相違しない同等の部品を含む場合には、請求項の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 ファン流ストリーム
2 抽気
4 バイパス流路
5 出口流ストリーム
10 ガスタービンエンジン組立体
12 コアガスタービンエンジン
14 高圧圧縮機
16 燃焼器
18 高圧タービン
20 低圧タービン
22 ファン組立体
24 ファンブレード
28 吸気側
29 排気側
31 第1のローターシャフト
32 第2のローターシャフト
40 抽気システム
44 抽気流導管
45 抽気弁
50 消音装置
102 排気缶
104 排気スクリーン
106 孔
108 内部
110 内部流調節器
112 側壁
114 下流端壁
116 内部
118 吸気口
120 孔
122 孔
124 中心軸線
126 上流端壁
128 側壁
130 直径
132 上流基部直径
133 下流端壁領域
134 下流基部直径
135 下流端環状領域
136 上流基部
138 下流基部
140 消散距離
142 孔直径
144 空気流
図1
図2
図3
図4