特許第6018304号(P6018304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018304
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】擁壁システム上のプリキャスト交通障壁
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/08 20060101AFI20161020BHJP
   E02D 29/02 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   E01F15/08
   !E02D29/02 305
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-520525(P2015-520525)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-522111(P2015-522111A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】US2013048286
(87)【国際公開番号】WO2014004892
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】61/665,545
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515004968
【氏名又は名称】アース ウォール プロダクツ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】レイニー、 トーマス エル.
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0318100(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0104724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/00−15/14
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
礎をなすコンクリート土留め擁壁の上部への組み付けのために構成されたプリキャスト交通障壁であって、
前記基礎をなすコンクリート土留め擁壁は、道路を移動する車両が転倒しないようにし、
前記プリキャスト交通障壁は、
前面と後面と上面と底面とを備える前部と、
水平カンチレバー三角形ステムと、
を備え、
前記水平カンチレバー三角形ステムは、
前記前部の前記後面から外向きに延在する水平ステムと、
前記前部の前記後面を前記水平ステムに接続し、前記前部の前記後面の上部と前記水平ステムの前記上面との間を横切ると共に前記水平ステムのカンチレバー圧力を前記前部に伝達する斜め部分と、
前記水平ステムの少なくとも一部に沿って延在する整列シートと
を備え、
前記水平ステムは、
垂直中央部分と、
前記垂直中央部分の左側から外向きに延在する左三角形突出部と、
前記垂直中央部分の右側から外向きに延在する右三角形突出部と、
を備え、
前記左三角形突出部と前記右三角形突出部とは、前記水平ステムの前記上面から前記水平ステムの底面まで下方に傾斜する、
プリキャスト交通障壁。
【請求項2】
前記整列シートは少なくとも、
前記基礎をなす土留め擁壁の前記上部、
前記前部の前記後面、
前記左三角形突出部の底面、及び
前記右三角形突出部の底面
と係合する、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項3】
前記整列シートは、
前記左三角形突出部の少なくとも一部に沿って後方に、及び前記左三角形突出部の底面から下向きに延在する左整列要素と、
前記右三角形突出部の少なくとも一部に沿って後方に、及び前記右三角形突出部の底面から下向きに延在する右整列要素と
を備える、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項4】
前記左整列要素は左突出ラグを備え、前記右整列要素は右突出ラグを備える、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項5】
前記左整列要素の前面は前記前部の前記後面と平行であり、前記右整列要素の前面は前記前部の前記後面と平行である、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項6】
水平カンチレバー三角形ステムを備える、基礎をなすコンクリート土留め擁壁の上部への組み付けのために構成されたプリキャスト交通障壁であって、
前記水平カンチレバー三角形ステムは、
前面と後面と上面と底面とを備える前部と、
前記前部の前記後面から外向きに延在するステムと、
前記ステムの少なくとも一部に沿って延在する整列シートと、
を備え、
記ステムは少なくとも左三角形突出部と右三角形突出部と斜め部分とを備え、
前記左三角形突出部は前記ステムの垂直中央部分の底部左側から外向きに延在し且つ前記ステムの上面から前記ステムの底面まで下方に傾斜し、
前記右三角形突出部は前記ステムの前記垂直中央部分の底部右側から外向きに延在し且つ前記ステムの前記上面から前記ステムの前記底面まで下方に傾斜し、
記斜め部分は前記前部の前記後面の上部と前記ステムとの間を移動し且つ前記前部に前記ステムのカンチレバー圧力を伝達し
記整列シートは少なくとも、
前記基礎をなす土留め擁壁の前記上部、
前記前部の前記後面、
前記左三角形突出部の底面、及び
前記右三角形突出部の底面に接続される、
プリキャスト交通障壁。
【請求項7】
前記整列シートは少なくとも、前記前部の前記後面と整列された左ラグと、前記前部の前記後面と整列された右ラグとを備える、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項8】
前記ステムの前記垂直中央部分は、道路の少なくとも76.2cm下方にある、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項9】
前記斜め部分は、前記水平ステムに対して平行でない、請求項1に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項10】
前記斜め部分は、前記基礎をなすコンクリート土留め擁壁に対して平行でない、請求項1に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項11】
前記斜め部分は、前記ステムに対して平行でない、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項12】
前記斜め部分は、前記基礎をなすコンクリート土留め擁壁に対して平行でない、請求項に記載のプリキャスト交通障壁。
【請求項13】
前記前面は、上方グレード部と、下方グレード部と、を備える、請求項1に記載のプリキャスト交通障壁
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同時係属の2012年6月28日に出願された「擁壁システム上のプリキャスト交通障壁(PRECAST TRAFFIC BARRIER ATOP RETAINING WALL SYSTEM)」と題された米国特許仮出願第61/665,545号の優先権を主張するものであり、当該出願はその全体が参照によって本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来のコンクリート土留め擁壁は、建築における敷地開発及び道路/ハイウェイ建設の用途に一般に使用される。道路が、完成した土留め擁壁の上方に配置されるか又は完成した土留め擁壁の上に置かれる場合、車両が擁壁から落ちるのを防止するために交通障壁が必要とされる。従って交通障壁は、車両が擁壁から落ちるのを防止するために、車両からの衝撃を封じ込める必要がある。
【0003】
本発明の目的は、例示的形状の釣り合い重りステムを使用して、土留め擁壁の後ろのステム位置の上方に位置する裏込め土のより多くの重量を釣り合い重りとして働くように捉え、障壁の移動を防止する、という目的のために必要とされるコンクリートを最少にすることである。
【0004】
本発明の多くの態様は以下の図面を参照すればより良く理解できる。図面中の構成要素は必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。その上、図面において、同様の参照番号は複数の図を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の様々な実施形態による例示的プリキャスト交通障壁の図である。
図2】本開示の様々な実施形態による、土留め擁壁の上に位置している例示的プリキャスト交通障壁を有する土留め擁壁の断面図である。
図3】本開示の様々な実施形態による、プリキャストコンクリートユニットの最上段を構成する例示的プリキャスト交通障壁を有する土留め擁壁の立面図である。
図4】本開示の様々な実施形態による例示的プリキャスト交通障壁の側面図である。
図5】本開示の様々な実施形態による例示的プリキャスト交通障壁の上面図である。
図6】本開示の様々な実施形態による例示的プリキャスト交通障壁の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
通行車両が土留め擁壁から落ちるのを防止するための、土留め擁壁の上方の敷地に関連する例示的プリキャスト交通障壁の様々な図が本明細書中で開示される。図面に示されている実施形態について以下に詳細に説明する。複数の図を通して同様の参照番号は同様の部分を示す。
【0007】
道路、車道、又は車両進入路が、基礎をなす土留め擁壁の上方に計画される場合、通行車両が壁の先端から落ちるのを防止するための交通障壁が必要とされる。従来は、基礎をなす土留め擁壁の上方に計画された運転通路(drive isle)又は道路上を移動する車両を封じ込めるために、ガードレール又は現場打ちコンクリートの交通障壁が、基礎をなす土留め擁壁の上方に設置される。本例示的発明は、交通障壁を土留め擁壁システムの一部とすることによって交通障壁の設置を促進するものであり、ここで、交通障壁はモジュール式プリキャスト擁壁システムの最上段として機能して、水平カンチレバー三角形ステム上に置かれた裏込め土の重量を使用することによって転倒に対する抵抗を提供し得る。水平突出ステムの横及び上にある裏込め土による下向きの圧力は、例示的プリキャスト交通障壁を、垂直壁を有するカンチレバー基礎部として機能させ、グレード(grade)の上方に延在するプリキャスト交通障壁の一部に衝突する車両による衝撃荷重に耐えさせるための、抵抗圧力を提供する。
【0008】
一般に、グレードの上方に延在するプリキャスト交通障壁の部分は、各州の道路、ハイウェイ、及び計画された運転通路に沿って設置される全ての交通障壁を通して標準的な又は均一な、様々な州の運輸省によって規定された形状及び寸法を有する。従って、道路グレードの上方に延在するプリキャスト交通障壁の垂直部分の形状は州によって異なってもよい。
【0009】
図1を参照すると、例示的プリキャスト交通障壁100の水平カンチレバー三角形ステム105は、前部115と、水平ステム190と、整列シート(alignment seat)165とを有する。前部115は、グレード上方前面130と、グレード下方前面120と、上面140と、後面180と、傾斜部分150とを有する。グレード上方前面130は、道路グレードの上方に垂直に延在し、グレード下方前面120は、道路グレードの下方に垂直に延在する。グレード下方前面120は、基礎をなす土留め擁壁の上部を含む。前部115の上面140は、一般に、道路又は車道の地表高度の32〜36インチ(約81.28〜約91.44cm)上方にある。前部115の後面180はグレードの上方に延在する。車両衝突は、後面180及び傾斜部分150に対して発生する。水平ステム190の横及び上に置かれた裏込め土に由来する釣り合い重りによる全体的安定性によって例示的プリキャスト交通障壁100の転倒が防止される。後部ステムの突出部110は、周囲の裏込め土の重量を捉えて、水平ステム190上への下向きの重量によって抵抗力を追加するために役立つ。水平ステム190の垂直中央部分160は、公共設備の設置を可能にするため、及び舗装部分がプリキャスト交通障壁100の部品又はユニットによって覆い隠されないように、車道又は道路グレードの約30インチ(約76.2cm)下方にある。例示的プリキャスト交通障壁が擁壁の上で摺動するのを防止するために、整列要素(aligning elements)170を含む整列シート165が例示的プリキャスト交通障壁100の下方に延在して、土留め擁壁の上部コンクリートプリキャストユニットに固定される。整列要素170は、例えば2つの突出ラグを含んでもよい。
【0010】
図2は、土留め擁壁の上に位置している高架の道路グレード220の断面200を示す。例示的プリキャスト交通障壁100の水平ステム190は、妨害を防止するために舗装グレード220の十分下に位置する。例示的プリキャスト交通障壁100の設置のために、角穴240が例示的プリキャスト交通障壁100内に形成されて、所定の位置への持ち上げ及び引き上げが容易にされる。水平ステム190上への下向きのカンチレバー圧力を例示的プリキャスト交通障壁100の前部115に伝達して、障壁に向かう車両交通による後面180に対する衝撃を防止するために、斜め部分210が必要とされる。例示的プリキャスト交通障壁100は、基礎をなす土留め擁壁の上部に係合される整列シート165によって、基礎をなす土留め擁壁と整列される。
【0011】
図3は土留め擁壁の前面の立面図300を示し、ここで、例示的プリキャスト交通障壁100は、土留め擁壁の土保持の要求を完了する又は仕上げるためにコンクリート土留め擁壁の最上段を構成する。提案される道路のグレード220は、プリキャスト交通障壁100の障壁部分の下方にあり、しかしプリキャスト交通障壁100の水平カンチレバー三角形ステム105の上方にある。
【0012】
図4には、例示的プリキャスト交通障壁100が示されている。整列要素170は、水平ステム190の底部の下方に延在して、下方の土留め擁壁に固定される。整列要素170は、水平ステム190の突出部110の底面185から下向きに、及び水平ステム190の突出部110に沿って後方に延在する。プリキャスト交通障壁100のグレード下方前面120は、基礎をなす擁壁、及び整列要素170の前面175と垂直整列して、土留め擁壁の垂直面の整列を完成する。例えば、整列要素170は、前部115の後面180と平行に整列されてもよい。
【0013】
図5は、転倒抵抗のための重量を提供するために利用可能な裏込め土の全体的釣り合い重り面積の約50%をカバーする、水平ステム190の三角形突出部110を表す上面図を示す。三角形突出部110は、水平カバー面積の低減を可能にし、従ってプリキャストコンクリートの面積及び体積が節約される。三角形突出部110は、水平ステム190の垂直中央部分160の底部側面195から外向きに延在する。斜め部分210は、後面180を水平ステム190の垂直中央部分160と接続する。
【0014】
図6は、水平ステム190の垂直中央部分160をプリキャスト交通障壁100の前部115の垂直後面180まで接続する斜め部分210を示す、例示的プリキャスト交通障壁100の後面図である。
【0015】
本開示の上述の発明は、三角形ステムによって土留め擁壁の裏込め土内でアーチ作用を実施し、裏込め土の垂直重量を利用して、運転通路又は道路グレードの上方のステム部分への水平車両衝突からの抵抗力を提供するものである、ということが強調されるべきである。グレードの上方の部分の寸法は、道路に沿った衝突障壁についての様々な運輸省のガイドラインによって異なってもよい。
【0016】
本発明の上述の実施形態は、特にいかなる「好ましい」実施形態も、単に本発明の原理の明確な理解のために述べられた可能な実装の非限定的な例にすぎない、ということが強調されるべきである。本発明の精神及び原理から実質的に逸脱するすることなく、本発明の上述の実施形態(1つ又は複数)に対して多くの変形及び修正が行われ得る。全てのそのような修正及び変形は、本開示及び本発明の範囲内に含まれることが本明細書において意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6