(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
関節リウマチ、ループス及び過敏性腸疾患から選択される炎症性疾患又は障害の治療又は予防のための医薬の調製のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炎症性疾患又は障害の哺乳動物における治療及び/又は予防のために有用な有機化合物、特に、関節リウマチ、ループス及び過敏性腸疾患(IBD)の処置のための置換トリアゾールボロン酸化合物、それらの製造、それらを含有する医薬組成物、並びにLMP7阻害薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
発明の背景
LMP7は、T/Bリンパ球及び単球などの免疫細胞、並びにIFN−γ及びTNFαを含む炎症性サイトカインに曝露されている非免疫細胞において主に発現される、免疫プロテアソームの必須成分である。免疫プロテアソームは、抗原性ペプチドレパートリーの生成及びMHCクラスI拘束性CD8+T細胞応答の形成において重要な役割を果たしている。Moebius J. et al. European Journal of Immunology. 2010; Basler, M. et al. Journal of Immunology. 2004. 3925-34。新たなデータは、LMP7がまた、MHCクラスI媒介性の抗原提示の調節以外に、炎症性サイトカインの産生及び免疫細胞機能を調節することも示唆した。
【0003】
小分子LMP7阻害薬であるPR−957は、Th1/17の分化、B細胞のエフェクター機能及び炎症性サイトカイン(IL−6、TNF−α、IL−23)の産生を強く遮断することが示されている。Muchamuel T. et al. Natural Medicine. 2009. 15, 781-787; Basler M. et al. Journal of Immunology. 2010, 634-41。
【0004】
加えて、PR−957によるLMP7遮断は、いくつかの前臨床自己免疫疾患モデルにおいて治療的効果をもたらすことが実証されている。最初に、PR−957は、マウスCAIA及びCIA関節炎モデルにおいて、有意に低下した炎症及び骨侵食の特徴と共に、疾患スコアを有意に減少させることが実証された。Muchamuel T. et al. Natural Medicine. 2009. 15, 781-787。加えて、PR−957は、MRL/lprループス傾向のマウスモデルにおいて形質細胞の数及び抗−dsDNA IgGのレベルを減少させ、これらのマウスにおける疾患進行を抑制した。Ichikawa HT, et al. Arthritis & Rheumatism. 2012. 64, 493-503。さらに、PR−957は、マウスのDSS誘発大腸炎モデルにおいて炎症及び組織破壊を低下させた。Basler M. et al. Journal of Immunology. 2010, 634-41。最後に、LMP7ノックアウトマウスはまた、IBDモデルが疾患から守られることが示された。Schmidt N. et al. Gut 2010. 896-906。
【0005】
まとめると、データは、LMP7活性がB/Tリンパ球の機能及び炎症性サイトカインの産生(その全ては、関節リウマチ、ループス及びIBDの病因における臨床的に確証された標的/経路である)と密接な関係があることを強く示唆している。従って、既存のデータは、自己免疫疾患の適応のためにLMP7を標的化することについての強い論理的根拠を提供している。自己免疫のような慢性疾患における共有結合性阻害薬の長期使用に伴う潜在的な負担のために、可逆的共有結合性の又は非共有結合性の小分子LMP7阻害薬が自己免疫疾患の適応のために大変望ましい。
【0006】
発明の概要
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
R
1、R
1’及びR
1’’は、互いに独立して、水素、アルコキシ、ハロゲン又は−CF
3であり;そして
R
2は、C
1−7アルキル又はフェニルである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0007】
本発明はまた、当該化合物を含む医薬組成物、当該化合物を使用する方法、及び当該化合物を調製する方法を提供する。
【0008】
引用又は依拠される文献は全て、参照によって本明細書に明示的に組み入れられる。
【0009】
発明の詳細な説明
特に指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される以下の特定の用語及び表現は、次のように定義される:
【0010】
用語「部分」は、別の原子又は分子に1つ又は複数の化学結合によって連結されて、それによって分子の一部を形成する、原子又は化学的に結合された原子群を指す。例えば、式Iの可変部Rは、式Iの核構造に共有結合によって連結された部分を指す。
【0011】
1つ又は複数の水素原子を有する特定の部分に関して、用語「置換されている」は、その部分の水素原子の少なくとも1つが別の置換基又は部分に置き換わっていることを指す。例えば、用語「ハロゲンによって置換されているC
1−7アルキル」は、C
1−7アルキル(以下に定義される)の1つ又は複数の水素原子が1つ又は複数のハロゲン原子に置き換わっていることを指す(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、クロロメチルなど)。
【0012】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有する、脂肪族の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素部分を指す。特定の実施態様において、アルキルは、1〜10個の炭素原子、より特定すると、1〜7個の炭素原子を有する。
【0013】
用語「C
1−7アルキル」は、1〜7個の炭素原子を有するアルキル部分を指す。C
1−7アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルを含む。
【0014】
用語「アルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を示す。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシを含む。
【0015】
「アリール」は、単環式、二環式又は三環式の芳香族環を有する、一価の環式芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書において定義されるように場合により置換されていてよい。アリール部分の例は、特に限定されないが、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル(benzopiperadinyl)、ベンゾピペラジニル(benzopiperazinyl)、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニルなど(各々場合により置換されているその部分水素化誘導体を含む)を含む。
【0016】
用語「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」は、互換的に使用され得、置換基フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0017】
特に指示のない限り、用語「水素」又は「ヒドロ」は、H
2ではなく、水素原子(−H)の部分を指す。
【0018】
特に指示のない限り、用語「式の化合物(a compound of the formula)」又は「式の化合物(a compound of formula)」又は「式の化合物(compounds of the formula)」又は「式の化合物(compounds of formula)」は、その式によって定義される化合物の属(genus)から選択される任意の化合物(特に指定のない場合は、任意のそのような化合物の任意の薬学的に許容し得る塩又はエステルを含む)を指す。
【0019】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にもその他の面でも望ましくないことはない塩を指す。塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、好ましくは塩酸)及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、N−アセチルシステインなど)と形成され得る。加えて、塩は、遊離酸への無機塩基又は有機塩基の付加によっても調製され得る。無機塩基から誘導される塩は、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩などを含む。有機塩基から誘導される塩は、特に限定されないが、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂の塩を含む。
【0020】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態で存在することができる。本発明の化合物はまた、薬学的に許容し得るエステル(すなわち、プロドラッグとして使用される式Iの酸のメチル及びエチルエステル)の形態で存在することもできる。本発明の化合物はまた、溶媒和、例えば水和され得る。溶媒和は、製造プロセスの過程で達成され得るか、又は当初無水であった式Iの化合物の吸湿性の結果として起こり得る(水和)。
【0021】
同じ分子式を有するがそれらの原子の結合の性質若しくは順序又はそれらの原子の空間的配列が異なる化合物は「異性体」と呼ばれ、本発明の範囲内である。それらの原子の空間的配列が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。ジアステレオマーは、1つ又は複数のキラル中心において反対の立体配置を有する立体異性体であるが、エナンチオマーではない。互いに鏡像であるが重ね合わせることができない、1つ又は複数の不斉中心を有する立体異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有するとき、例えば、炭素原子が4個の異なる基に結合している場合、1対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心(1つ又は複数)の絶対配置によって特徴付けられ得、Cahn、Ingold及びPrelogのR及びS順位則によって又はその分子が偏光面を回転させる様式によって記載され、右旋性又は左旋性として(すなわち、それぞれ、(+)−異性体又は(−)−異性体として)表示される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はそれらの混合物のいずれかとして存在することができる。エナンチオマーを同じ割合で含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0022】
化合物の用語「治療有効量」は、疾患の症状を予防、緩和又は改善するために、あるいは処置される被検体の生存期間を延長するために効果的な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、当技術分野における技能の範囲内である。本発明に係る化合物の治療有効量又は投与量は、広い範囲内で変えることができ、当技術分野において公知の様式で決定され得る。そのような投与量は、投与される特定の化合物(複数)、投与経路、処置される病態及び処置される患者を含む、それぞれの特定の症例における個別の要件に対して調整されるだろう。一般に、およそ70Kgの体重の成人への経口又は非経口投与の場合、約0.1mg〜約5,000mg、1mg〜約1,000mg又は1mg〜100mgの一日投与量が適切であり得るが、必要であればその下限及び上限を超えてもよい。一日投与量は、単回用量として又は分割用量で投与され得るか、又は非経口投与の場合には点滴として与えられ得る。
【0023】
用語「薬学的に許容し得る担体」は、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌及び抗真菌剤、等張剤並びに吸収遅延剤を含む、薬剤の投与と適合性のある任意の及び全ての材料、並びに薬剤の投与と適合性のある他の材料及び化合物を含むことが意図される。任意の慣用の媒体又は薬剤が活性化合物と適合性でない場合を除いて、本発明の組成物におけるその使用が考慮される。また、補助活性化合物を当該組成物中に組み込むこともできる。
【0024】
本発明の組成物の調製に有用な薬学的担体は、固体、液体又は気体であり得;従って、当該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、粉剤、腸溶性コーティング製剤又は他の保護製剤(例えば、イオン交換樹脂に結合しているか又は脂質−タンパク質小胞に封入されている)、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル剤などの形態をとることができる。担体は、石油、動物、植物又は合成起源の油を含む様々な油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。水、生理食塩水、デキストロース水溶液及びグリコールが、特に(血液と等張である場合)注射用液剤のための好ましい液体担体である。例えば、静脈内投与用の製剤は、固体活性成分(複数)を水に溶解させて水溶液を生成し、その溶液を滅菌することにより調製される、活性成分(複数)の無菌水溶液を含む。好適な薬学的賦形剤は、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、乳糖、タルク、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。当該組成物には、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤、浸透圧調整用の塩、緩衝剤などの慣用の薬学的添加剤が付与され得る。好適な薬学的担体及びそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences by E. W. Martin に記載されている。そのような組成物は、いずれにしても、レシピエントへ適切に投与するための適切な投与剤形を調製するために、有効量の活性化合物を好適な担体と共に含有するだろう。
【0025】
本発明の方法の実施において、有効量の本発明の化合物のいずれか1つ又は本発明の化合物のいずれかの組み合わせ又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルは、当技術分野において公知の通常の許容し得る方法のいずれかを介して、単独又は組み合わせのいずれかで投与される。従って、当該化合物又は組成物は、経口(例えば、口腔)、舌下、非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)、直腸(例えば、坐剤又は洗浄剤によって)、経皮(例えば、皮膚エレクトロポレーション)又は吸入(例えば、エアロゾルによって)によって、錠剤及び懸濁剤を含む、固体、液体又は気体の投与剤形で投与され得る。投与は、適宜、単回の単位投与剤形の持続的治療で、又は単回投与治療で実施され得る。当該治療組成物はまた、パモ酸などの脂溶性の塩と併せた油乳剤又は分散剤の形態であっても、皮下又は筋肉内投与用の生物分解性の徐放性組成物の形態であってもよい。
【0026】
詳細には、本発明は、式(I):
【化2】
[式中、
R
1、R
1’及びR
1’’は、互いに独立して、水素、アルコキシ、ハロゲン又は−CF
3であり;そして
R
2は、C
1−7アルキル又はフェニルである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、R
1、R
1’及びR
1’’が、互いに独立して、水素、メトキシ、フッ素又は−CF
3である、式(I)の化合物を提供する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、R
1、R
1’又はR
1’’の1つが、水素であり、そして、他の2つが、互いに独立して、アルコキシ、ハロゲン又は−CF
3である、式(I)の化合物を提供する。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、R
1、R
1’又はR
1’’の1つが、水素であり、そして、他の2つが、互いに独立して、メトキシ、フッ素又は−CF
3である、式(I)の化合物を提供する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、R
1、R
1’又はR
1’’の1つがオルト位のメトキシであり、1つがメタ位のメトキシであり、そして、1つがパラ位のメトキシである、式(I)の化合物を提供する。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、R
1、R
1’又はR
1’’の1つがオルト位のフルオロであり、1つがメタ位の水素であり、そして、1つがパラ位の−CF
3である、式(I)の化合物を提供する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、R
1、R
1’又はR
1’’の1つがオルト位のメトキシであり、1つがメタ位の水素であり、そして、1つがパラ位の−CF
3である、式(I)の化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、R
2がメチルである、式(I)の化合物を提供する。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、R
2がフェニルである、式(I)の化合物を提供する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、以下:
(R)−3−メチル−1−(1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)ブチルボロン酸;
(R)−2−フェニル−1−(1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)エチルボロン酸;
(R)−1−(1−(2−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)−2−フェニルエチルボロン酸;若しくは
(R)−1−(1−(2−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)−2−フェニルエチルボロン酸
である、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、治療有効量の式(I)に係る化合物と薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、治療活性物質として使用するための、式(I)に係る化合物を提供する。
【0037】
別の実施態様において、本発明は、関節リウマチ、ループス及び過敏性腸疾患から選択される炎症性疾患又は障害の治療又は予防のための、式(I)に係る化合物の使用を提供する。
【0038】
別の実施態様において、本発明は、関節リウマチ、ループス及び過敏性腸疾患から選択される炎症性疾患又は障害の治療又は予防のための医薬の調製のための、式(I)に係る化合物の使用を提供する。
【0039】
別の実施態様において、本発明は、関節リウマチ、ループス及び過敏性腸疾患から選択される炎症性疾患又は障害の治療又は予防のための、式(I)に係る化合物を提供する。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、関節リウマチ、ループス及び過敏性腸疾患(IBD)から選択される炎症性疾患又は障害を処置するための方法であって、治療有効量の式(I)に係る化合物をそれを必要とする被検体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0041】
別の実施態様において、本明細書において上述される発明が提供される。
【0042】
合成
これらの化合物を調製する際に使用される出発物質及び試薬は、一般に、販売業者(例えば、Aldrich Chemical Co.)から入手可能であるか、又はFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals; 及び Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40 などの参考文献に記載される手順に従って、当業者に公知の方法によって調製されるかのいずれかである。
【0043】
以下の合成反応スキームは、本発明の化合物が合成され得るいくつかの方法を単に例示するものであり、これらの合成反応スキームに対して様々な変形を行うことができ、これらは当業者であれば本出願に含まれる開示を参考に示唆されるであろう。
【0044】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望であれば、特に限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含む慣用の技術を使用して単離及び精製され得る。そのような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む慣用の手段を使用して特徴付けられ得る。
【0045】
特に指定のない限り、本明細書に記載の反応は、好ましくは、不活性雰囲気下、大気圧で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは、約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、最も好ましくかつ好都合には、ほぼ室温(又は周囲温度)、例えば、約20℃で実施される。
【0046】
本発明の化合物は、多数の慣用の手段によって製造され得る。例えば、これらは、以下のスキームに概説されるプロセスに従って製造され得る。
【0047】
【化3】
【0048】
スキーム1に示すように、臭化物1を、アジ化ナトリウムを使用して、アジ化物2に変換することができ、次に、硫酸銅(II)及びアスコルビン酸ナトリウムの存在下で、プロピオル酸メチル3と反応させることで、1,2,3−トリアゾール4を位置選択的に与えることができる。N−Boc保護基は、HCl又はTFAなどの強酸を使用して除去され得る。得られたアミン塩5を、HATUなどの活性化試薬を使用して、可変的に置換された酸6とカップリングさせることで、エステル7を提供することができる。塩基性条件下での加水分解は、酸8を与える。R
1、R
1’及びR
1’’は、互いに独立して、例えば、水素、アルコキシ、ハロゲン又は−CF
3であり得る。R
2は、例えば、C
1−7アルキル又はフェニルであり得る。
【0049】
【化4】
【0050】
スキーム2に従って、酸8を、HATU又はTBTUなどの活性化試薬を使用して、可変的に置換されたピナンジオールボロン酸エステル9とカップリングさせることで、トリアゾール10を与えることができる。イソブチルボロン酸とのエステル交換は、所望のボロン酸11を提供することができる。R
1、R
1’及びR
1’’は、互いに独立して、例えば、水素、アルコキシ、ハロゲン又は−CF
3であり得る。R
2は、例えば、C
1−7アルキル又はフェニルであり得る。
【0051】
実施例
本明細書においては、特定の例示的実施態様を記述及び記載しているが、本発明の化合物は、適切な出発物質を使用し、本明細書に一般的に記載される方法に従って、かつ/又は当業者に利用可能な方法によって調製され得る。空気感受性の試薬が関与する反応は全て、不活性雰囲気下で実施した。試薬は、特に断りのない限り、販売業者から入手したものをそのまま使用した。
【0052】
中間体1
1−(2−アミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩
2−(Boc−アミノ)エチルブロミド(5.0g、22.3mmol)をDMF50mlに溶解し、アジ化ナトリウム(1.6g、24.5mmol)を加えた。反応混合物を80℃で12時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(200ml)で希釈し、水(3×)及びブライン(2×)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(2−アジド−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル3.9g(94%)を無色の粘性油状物として与えた。GC/MS: (M+H)
+ = 187.191。
【0053】
(2−アジド−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.9g、20.8mmol)及びプロピオル酸メチル(3.5g、3.71ml、41.7mmol)をtert−ブタノール50mlに溶解した。1.0M 硫酸銅(II)五水和物水溶液(4.17ml、4.17mmol)、続いて、1.0M アスコルビン酸ナトリウム水溶液(16.7ml、16.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で60時間撹拌した。反応混合物を水150mlでクエンチし、EtOAc(3×80ml)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、EtOAc/ジクロロメタン(勾配:0〜40%EtOAc)を用いた、シリカゲル70gのクロマトグラフィーにかけた。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮して、1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル3.2g(57%)をオフホワイトの固体として与えた。LC/HR-MS: (M+H)
+ = 271.1401。
【0054】
1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(1.75g、6.47mmol)をジオキサン中の4N HCl(16.2ml、64.7mmol)に溶解し、室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、1−(2−アミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩1.32g(99%)を白色の固体として与えた。
【0055】
実施例1
(R)−3−メチル−1−(1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)ブチルボロン酸
【化5】
フラスコに、2,3,4−トリメトキシ安息香酸(1.29g、6.08mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド57ml及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.9ml、16.9mmol)を投入した。反応混合物を0℃まで冷却した。HATU(2.83g、7.45mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。1−(2−アミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(1.4g、6.78mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を1.0M HClでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層をKHCO
3水溶液、水及びブラインで洗浄し、次に、濃縮し、高真空下で乾燥させた。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして、1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステルを明褐色の半固体として与え、これをさらに精製することなく使用した。
【0056】
フラスコに、1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(2.22g、6.1mmol)及びメタノール60mlを投入した。次に、1.0M NaOH(24ml、24mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を部分的に濃縮し、次に、水にとり、1.0M HClで酸性化し、EtOAc200mlで2回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をジクロロメタン70ml、EtOAc40ml及びメタノール10mlにとり、次に、約30mlの容量まで濃縮した。ジエチルエーテルを加え、懸濁液を濾過し、ジエチルエーテルですすぎ、高真空下で乾燥させて、1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸1.8g(84%)を白色の固体として与えた。LC/HR-MS: (M+H)
+ = 351.1293。
【0057】
1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸(160mg、0.46mmol)、TBTU(161mg、0.50mmol)及び(R)−BoroLeu(+)−ピナンジオール−HCl(138mg、0.46mmol)を0℃でジクロロメタン6mlに懸濁した。ジクロロメタン1mlに溶解したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.17ml、1.00mmol)を0℃で15分間かけて滴下した。反応混合物を0℃及び室温で3時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン50mlで希釈し、1M HCl50ml、2M KHCO
350ml及び水50mlで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、EtOAc/ジクロロメタン(勾配:0〜50%EtOAc)を用いた、シリカゲル20gのクロマトグラフィーにかけた。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮して、1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−3−メチル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−ブチル]−アミド111mg(41%)を白色の泡状物として与えた。LC/HR-MS: (M+H)
+= 460.2359。
【0058】
1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−3−メチル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−ブチル]−アミド(109mg、0.18mmol)、イソブチルボロン酸(52mg、0.51mmol)及び2N HCl(0.15ml、0.30mmol)をメタノール1.5ml及びヘプタン1.5mlに溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。メタノール層を分離し、ヘプタン3mlで2回洗浄した。メタノール層をEtOAc7mlで処理し、濃縮した。残渣をEtOAc7mlにとり、濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートした。得られた白色の固体をジクロロメタン及び水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして、(R)−3−メチル−1−(1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)ブチルボロン酸21mg(25%)を白色の固体として与えた。LC/HR-MS: (M-H)
-=462.2161。
【0059】
実施例2
(R)−2−フェニル−1−(1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)エチルボロン酸
【化6】
10mlの丸底フラスコ中、1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(150mg、0.43mmol)及び(R)−BoroPhe−(+)−ピナンジオール−HCl(158mg、0.47mmol)をDMF3mlに溶解し、0℃まで冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.19ml、1.09mmol)を0℃で滴下し、続いて、HATU(179mg、0.47mmol)を加えた。添加が完了した後、氷浴を取り外し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、1:1 ジエチルエーテル/EtOAc(40ml)で2回抽出した。有機層を水で2回、ブラインで1回洗浄し、次に、合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、EtOAc/ジクロロメタン(勾配:0〜50%EtOAc)を用いた、シリカゲル25gのクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮して、1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−2−フェニル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−エチル]−アミド153mg(57%)をオフホワイトの泡状物として与えた。LC/MS: (M-H)
-= 630。
【0060】
10mlの丸底フラスコ中、1−[2−(2,3,4−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−2−フェニル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−エチル]−アミド(151mg、0.24mmol)及びイソブチルボロン酸(70mg、0.69mmol)をメタノール1.2ml及びヘキサン2.4mlに溶解した。1.0M 塩酸(0.60ml、0.60mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をメタノール10mlで希釈し、ヘキサンで抽出した。ヘキサン層をメタノール10mlで逆抽出した。メタノール層をヘキサンで2回洗浄し、次に、合わせ、濃縮した。残渣をジクロロメタン20mlに溶解し、水2mlと飽和NaHCO
3溶液2mlの混合物で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、MeOH/ジクロロメタン(勾配:0〜10%MeOH、次に、10%MeOH/クロロホルム)を用いた、シリカゲル4gのクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして、(R)−2−フェニル−1−(1−(2−(2,3,4−トリメトキシベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)エチルボロン酸24mg(20%)を白色の粉状物として与えた。LC/MS: (M+Na)
+= 520;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) □: 8.23 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.88 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.72 (br. s., 1H), 7.18 - 7.33 (m, 5H), 6.77 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.71 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.98 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.36 (br. s., 1H), 3.06 (dd, J = 14.1, 4.8 Hz, 1H), 2.87 (dd, J = 14.1, 9.3 Hz, 1H)。
【0061】
実施例3
(R)−1−(1−(2−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)−2−フェニルエチルボロン酸
【化7】
2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸(2.31g、11.1mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド160mlに溶解した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.75ml、27.8mmol)を加え、反応物を0℃まで冷却し、HATU(4.64g、12.2mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌後、1−(2−アミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(2.29g、11.1mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に、1M HClでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相をKHCO
3水溶液、水及びブラインで洗浄し、次に、濃縮した。粗残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして、1−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル2.79g(70%)をオフホワイトの固体として与えた。LC/HR-MS: (M+H)
+ = 361.0921。
【0062】
1−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(2.79g、7.74mmol)をMeOH60mlに懸濁した。粘性のスラリーに、1.0M NaOH(31ml、31.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、その間に反応物は均質になった。MeOHを蒸発させ、次に、残渣を水にとり、HCl水溶液で酸性化し、EtOAcで2回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、少量の固体を与えた。水層を合わせ、NaOH水溶液で塩基性化し、濃縮した。残渣を0℃まで冷却し、濃HClで酸性化した。得られた沈殿物を濾過によって回収し、高真空下で乾燥させた。2つのバッチを合わせ、1−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸2.0g(75%)を白色の固体として与えた。LC/HR-MS: (M+H)
+ = 347.0760。
【0063】
10mlの丸底フラスコ中、1−(2−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(125mg、0.36mmol)及び(R)−BoroPhe−(+)−ピナンジオール−HCl(133mg、0.40mmol)をDMF2.5mlに溶解し、0℃まで冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.16ml、0.92mmol)を0℃で滴下し、続いて、HATU(151mg、0.40mmol)を加えた。添加が完了した後、氷浴を取り外し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、1:1 ジエチルエーテル/EtOAc(40ml)で2回抽出した。有機層を水で2回、ブラインで1回洗浄し、次に、合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、EtOAc/ジクロロメタン(勾配:0〜40%EtOAc)を用いた、シリカゲル25gのクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮して、1−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−2−フェニル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−エチル]−アミド124mg(49%)を無色の油状物として与えた。LC/MS: (M-H)
-= 626。
【0064】
10mlの丸底フラスコ中、1−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−2−フェニル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−エチル]−アミド(117mg、0.17mmol)及びイソブチルボロン酸(50mg、0.49mmol)をメタノール0.8ml及びヘキサン1.6mlに溶解した。1.0M 塩酸(0.42ml、0.42mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をメタノール10mlで希釈し、ヘキサンで抽出した。ヘキサン層をメタノール10mlで逆抽出した。メタノール層をヘキサンで2回洗浄し、次に、合わせ、濃縮した。残渣をジクロロメタン20mlに溶解し、水2mlと飽和NaHCO
3溶液2mlの混合物で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、MeOH/クロロホルム(勾配:0〜10%MeOH、次に、10%MeOH/EtOAc)を用いた、シリカゲル4gのクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして、(R)−1−(1−(2−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)−2−フェニルエチルボロン酸19mg(21%)をオフホワイトの粉状物として与えた。LC/MS: (M+Na)
+= 516;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) □: 8.21 (br. s., 1H), 8.02 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.77 (br. s., 1H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.06 - 7.30 (m, 7H), 4.55 - 4.63 (m, 2H), 3.92 (d, J = 4.5 Hz, 2H), 3.22 (br. s., 1H), 2.90 - 2.98 (m, 1H), 2.71 - 2.82 (m, 1H)。
【0065】
実施例4
(R)−1−(1−(2−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)−2−フェニルエチルボロン酸
【化8】
50mlの丸底フラスコ中、1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(500mg、1.85mmol)をジクロロメタン7mlに懸濁した。トリフルオロ酢酸(4.0ml、52mmol)をゆっくり加え、全ての固体を溶解させた。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、次に、濃縮し、高真空下で乾燥させた。残渣をDMF5mlに溶解し、2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸(390mg、1.77mmol)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.5ml、8.6mmol)を滴下し、続いて、HATU(741mg、1.95mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に、水でクエンチし、石油エーテルで希釈した。得られた懸濁液を濾過し、水及び少量の石油エーテルですすぎ、次に、高真空下で乾燥させて、1−[2−(2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル557mg(84%)をオフホワイトの固体として与えた。LC/MS: (M+H)
+= 373;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) □: 8.30 (dd, J = 8.1, 0.8 Hz, 1H), 8.19 (br. s., 1H), 8.14 (s, 1H), 7.37 (dd, J = 8.1, 0.8 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.69 - 4.76 (m, 2H), 4.02 - 4.09 (m, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.98 (s, 3H)。
【0066】
50mlの丸底フラスコ中、1−[2−(2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(555mg、1.49mmol)をメタノール3ml及びTHF30mlに懸濁した。水酸化リチウム(161mg、6.71mmol)、続いて、水3mlを加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に、有機溶媒を蒸発させた。水性残渣を0℃まで冷却し、pH約2まで1.0M HClで酸性化し、沈殿物を生じさせた。懸濁液を濾過し、水で洗浄し、次に、高真空下で乾燥させて、1−[2−(2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸452mg(84%)をオフホワイトの固体として与えた。LC/MS: (M+H)
+= 359。
【0067】
10mlの丸底フラスコ中、1−[2−(2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸(150mg、0.42mmol)及び(R)−BoroPhe−(+)−ピナンジオール−HCl(155mg、0.46mmol)をDMF2.5mlに溶解し、0℃まで冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.19ml、1.09mmol)を0℃で滴下し、続いて、HATU(175mg、0.46mmol)を加えた。添加が完了した後、氷浴を取り外し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、1:1 ジエチルエーテル/EtOAc(40ml)で2回抽出した。有機層を水で2回、ブラインで1回洗浄し、次に、合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、EtOAc/ジクロロメタン(勾配:0〜50%EtOAc)を用いた、シリカゲル25gのクロマトグラフィーにかけた。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮して、1−[2−(2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−2−フェニル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−エチル]−アミド195mg(66%)を無色の油状物として与えた。LC/MS: (M-H)
-= 638。
【0068】
10mlの丸底フラスコ中、1−[2−(2−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−エチル]−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸[(R)−2−フェニル−1−((1S,2S,6R,8S)−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.0
2,6]デカ−4−イル)−エチル]−アミド(189mg、0.27mmol)及びイソブチルボロン酸(78mg、0.77mmol)をメタノール1.3ml及びヘキサン2.6mlに溶解した。1.0M 塩酸(0.67ml、0.67mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をメタノール10mlで希釈し、ヘキサンで抽出した。ヘキサン層をメタノール10mlで逆抽出した。メタノール層をヘキサンで2回洗浄し、次に、合わせ、濃縮した。残渣をジクロロメタン20mlに溶解し、水2mlと飽和NaHCO
3溶液2mlの混合物で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をジエチルエーテル/EtOAcでトリチュレートして、(R)−1−(1−(2−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド)−2−フェニルエチルボロン酸51mg(38%)を白色の粉状物として与えた。LC/MS: (M+Na)
+= 528;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) □: 8.26 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 7.97 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 7.71 (br. s., 1H), 7.34 (dd, J = 8.1, 0.9 Hz, 1H), 7.24 - 7.28 (m, 4H), 7.16 - 7.23 (m, 1H), 7.14 (s, 1H), 4.70 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.94 - 4.05 (m, 2H), 3.89 (s, 3H), 3.30 - 3.40 (m, 1H), 3.07 (dd, J = 14.3, 5.1 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 14.3, 10.0 Hz, 1H)。
【0069】
実施例5
アッセイプロトコール及び結果
細胞ベースのプロテアソーム活性/選択性アッセイ
細胞ベースのプロテアソームサブユニット活性/選択性アッセイは、培養細胞中のプロテアソーム複合体と関連する、β5c又はβ5i(キモトリプシン様活性)、β2c/2i(トリプシン様)、及びβ1c又はβ1i(カスパーゼ様)プロテアーゼ活性の活性を独立に測定する一連の5種の蛍光アッセイであった。具体的には、それぞれのサブユニット活性に以下の基質を使用した:β1i:(PAL)
2Rh110、β1c:(LLE)
2Rh110、β2c/2i:(KQL)
2Rh110、β5c:(WLA)
2Rh110、β5i:(ANW)
2Rh110。手順は以下に従った:
【0070】
細胞の調製:Ramos細胞(DPBS中2×10
6/ml)25μlを、ハーフエリアプレート(PerkinElmer Cat 6005569)中に、最終5×10
4細胞/ウェルでプレーティングした。100×4倍段階希釈した試験化合物又はDMSO0.5μlを各ウェルに加えた。試験した化合物の最大濃度は、20μMであり、従って、化合物の段階希釈を200mMから開始した。37℃で30分間インキュベートした。次に、室温で15分間平衡化した。DPBS中の0.025%ジギトニン、各基質20μM及び0.5Mスクロースからなる2×反応混合物25μlを加えた。700rpmで1分間振盪した。室温で120分間インキュベートした。次に、Envisionマルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer)によって500nm励起/519nm発光でプレートを読み取った。
【0071】
改変PBMCプロテアソーム活性アッセイ
この細胞ベースのプロテアソーム活性アッセイは、先のRamos細胞ベースのアッセイと基質が類似していたが、反応バッファーとしての10%FBS含有完全RPMIとの関連でヒトPBMCを使用した。このアッセイは、初代ヒト細胞中の試験化合物の細胞透過のレベルを評価するように設計された。手順は次に従った:健康なドナーから新たに単離したPBMCを、V底96プレート中に、10%FBS含有完全RPMI100μl中の1×10
5細胞/ウェルでプレーティングした。100×4倍段階希釈化合物1μl/ウェルを加え、1時間インキュベートした。試験した最大化合物濃度は、20μMであった(100×作業溶液を2mMから開始する)。細胞を2000rpmで5分間スピンダウンした。上清を全て除去した。次に、細胞をDPBS25μlに再懸濁し、細胞を新鮮なハーフエリアプレート(PerkinElmer Cat 6005569)に移した。最終反応容量は、細胞懸濁液25μl、100×阻害薬又はDMSO0.5μl、基質混合物(0.025%ジギトニン、20μM基質(基質:(PAL)
2Rh110、(LLE)
2Rh110、(KQL)
2Rh110、(WLA)
2Rh110、又は(ANW)
2Rh110)/10%FBS及び0.5Mスクロース混合物を含有する)25μlを含む50μlであった。1分間(700rpmで)振盪した。2時間インキュベートし、次に、Envisionプレートリーダーで500nm励起/519nm発光を使用してプレートを読み取った。
【0072】
PBMC IP−10アッセイ
次のようにして、全血からPBMCを単離した:血液を無菌環境でヘパリン処理した管中に回収した。血液を等容量のPBS/2%FCSで希釈し、この混合物30mlを、800gで30秒間遠心しかつ室温まで温めておいた、Histopaque-1077 15mlを含有するACCUSPIN管に加えた。次に、管を、室温にて800gで20分間、ノーブレーキで遠心した。ポリエチレンフリットの真上の単核細胞のバンドを、パスツールピペットによって取り出した。これらの単核細胞を滅菌PBSで3回洗浄し、カウントし、10%加熱不活性化したウシ胎仔血清、10mM HEPES、1mM ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及びグルタミン(2mM)を補填したRPMI1640中、約1.5×10
6/mlに再懸濁した。96ウェル組織培養プレート(BD Falcon 353072)に約2×10
5細胞/ウェルをプレーティングし、1%DMSOの最終濃度で、化合物の滴定物と共に60分間/37℃でプレインキュベートした。次に、細胞を、A型CpG(Invivogen, Cat # tlrl-2216; ODN 2216)により2.5μMの最終濃度で刺激した。細胞を一晩インキュベートし、上清を除去した。ウェル中に残留しているPBMC細胞の生存率を、ATPliteルミネッセンスアッセイ(Perkin-Elmer)で製造業者の説明書に従って測定した。ルミネッセンスをPerkin-Elmer Envisionでルミネッセンスフィルターを使用して測定した。IP10レベルを、CXCL10/IP10 AlphaLISAキット(Perkin-Elmer)で、全ての容量を半分にする以外は製造業者の説明書に従って測定した。蛍光を、EnvisionマルチラベルプレートリーダーでAlphaScreen標準設定を使用して測定した。
【0073】
結果:
本発明の代表化合物についての上記アッセイの結果を以下の表1に提供したが、表中のIC50及びEC50活性値は、μMである:
【0074】
【表1】
【0075】
本発明において特定の実施態様の変更を行ってもよく、これが依然として添付の特許請求の範囲の範囲内にあることから、本発明は上述した本発明の特定の実施態様に限定されないことを理解されたい。