【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の問題は:
− 第1の切断端部を有する静止切断ブレード、及び
− 静止切断ブレードに対して弾性的に付勢され且つ第1の切断端部と平行に配置される第2の切断端部を有する可動切断ブレード、を有し、
切断ブレードの一方は、前記切断ブレード内の応力誘起の反りを補償するための2つのスロットを有し、前記2つのスロットは互いに位置合わせされ且つ2つの切断端部と平行に延びる、
毛刈り込み装置のための切断組立体によって解決される。
【0014】
本発明の更なる態様によれば、上述の問題は、このような切断組立体のための切断ブレードによって解決され、切断ブレードは、切断端部及び前記切断ブレード内の応力誘起の反りを補償するための2つのスロットを有し、前記2つのスロットは互いに位置合わせされ且つ切断端部と平行に延びる。
【0015】
本発明の更なる態様によれば、上述の問題は、上述の切断組立体を有する毛刈り込み装置によって解決される。
【0016】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項に規定される。請求項に記載された切断ブレード及び請求項に記載された毛刈り込み装置は、請求項に記載される切断組立体及び独立請求項に規定されるように、同様の及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解されるべきである。
【0017】
本発明による切断組立体は、切断ブレードの新しい設計を含む。静止切断ブレード又は可動切断ブレードのどちらかは、製造公差/誤差から生じる一方又は両方の切断ブレードの平坦でないことに起因して生じ得る前記切断ブレード内の反りを補償するための少なくとも1つのスロットを有する。切断ブレードの一方の中の少なくとも1つのスロットは、前記平坦でないことに起因して2つの切断ブレードの間に生じ得るギャップの弾性的な補償を可能にする。スロットはしたがって、対応する切断ブレード内の応力誘起の反りを補償する。少なくとも1つのスロットは、対応する切断ブレードが多少弾性的に曲がることを可能にする。この増大した可撓性は、反りの発生を補償し、したがって、引っ張り効果が発生するリスクを最小化する。
【0018】
切断ブレードの一方の中の少なくとも1つのスロットによってもたらされる増大した可撓性は、少なくとも1つのスロットの長さ及びサイズによって調整され得る。一方では、そうでなければ特に切断ブレードの対称軸に沿った剛性が失われるので、スロットはあまりに大きくなるべきではない。他方、あまりに小さいスロットは、毛刈り込み装置の動作中、切断ブレードの反りを補償するための十分な可撓性を許容しない。したがって、対称軸に沿った剛性と少なくとも1つのスロットを有する切断ブレードの許容される弾性変形との間にバランスがなければならない。
【0019】
スロットの設計はまた、可動切断ブレードを静止切断部レートに押し付けるスプリングの力伝達が、歯圧、すなわち、それによって両切断ブレードが互いに押し付けられる、両切断ブレードの切断端部における圧力に対して、依然として十分大きいことを考慮しなければならない。提供される反り補償のために、2つの切断ブレードは、これが従来技術による大部分の従来の切断組立体で必要とされるほど強く互いに対して付勢される必要はない。したがって、2つの切断ブレードの間の摩擦が減少し得るので、要約すると、より良い切断性能がより小さいモータで達成されることができ、より少ないエネルギ消費が、依然としてあなどり難い引っ張り効果を避けることによって、達成され得る。
【0020】
少なくとも1つの補償スロットが局所的に配置されることができる可能性は、ほとんど無限である。少なくとも1つの補償スロットが2つの切断端部に実質的に平行に延びることが確実にされるべきである。言い換えると、少なくとも1つのスロットの断面は、2つの切断端部に垂直に配置される。
【0021】
両切断端部、静止切断ブレードの第1の切断端部及び可動切断ブレードの第2の切断端部はいずれも、鋭く且つ直線の端部として又はずらりと並んだ歯を持つ歯付き端部として設計されることが留意されるべきである。歯付き端部の場合、第1及び第2の切断端部は、複数の歯のそれぞれの先端部分を接続する仮想直線を示すべきである。したがって、少なくとも1つのスロットは、この線/切断端部に実質的に平行である。
【0022】
さらに、少なくとも1つのスロットは、対応する切断ブレードの全厚さを切り通すことが留意されるべきである。少なくとも1つのスロットはまた、スリットと見なされ得る。切断ブレードを切り通さないが切断ブレード内に小さい溝を形成するのみである単純な刻み目は、それが切断ブレードに対して動作中に前後に屈曲するために十分な可撓性を許容しないので、その代わりに上述の反り補償のためには不十分である。
【0023】
本発明の実施形態によれば、切断ブレードの一方は、互いに位置合わせされ且つ両方が2つの切断端部と平行に延びる2つのスロットを有する。
【0024】
この実施形態では、可動切断ブレード又は静止切断ブレードのいずれかは、1つのスロットだけではなく、2つのスロットを有する。これらの2つのスロットは、互いに位置合わせされる、すなわち、両スロットは2つの切断端部に対して同じ距離を有する。
【0025】
好適な実施形態によれば、2つのスロットは、対応する切断ブレードの2つの対向する横方向側部から2つのスロットを橋渡しする前記切断ブレードの中央部分に向かって延びる。したがって、2つのスロットは、前記中央部分によって互いから離される。第1のスロットは例えば、それぞれの切断ブレードの第1の横方向側部から中央部分に向かって延び、第2のスロットは、それぞれの切断ブレードの第2の反対側の横方向側部から中央部分に向かって延びる。中央部分は、2つのスロットの間のある種の棒を形成する。この棒は、2つのスロットを橋渡しするだけではなく、2つのスロットによって互いから離された切断ブレードの2つの部分も橋渡しする。中央部分はしたがって、それぞれの切断ブレードに機械的な可撓性を提供することによって上述の方法で反りを補償するある種のトーションスプリングとして働く。
【0026】
さらなる実施形態によれば、前記中央部分は、対応する切断ブレードの対称軸上に配置される。
【0027】
中央部分は前述のようにある種のトーションスプリングを形成するので、切断ブレードの対称軸上の配置は、それが毛刈り込み装置の動作中に対称の機械的な可撓性を提供するので、特に有利である。前述のように、2つの補償スロット及び中央部分はいずれも、可動切断ブレードの中又は静止切断ブレードの中に配置され得る。好適な実施形態によれば、2つのスロット及び、それらを接続する中央部分は、通常ガードとしても示される、静止切断ブレードの中に配置される。
【0028】
本発明のさらなる実施形態によれば、2つの切断端部に垂直な方向で測定される前記少なくとも1つのスロットの幅は、同じ方向における対応する切断ブレードの寸法に比べて小さい。前記少なくとも1つのスロットの幅は、好ましくは0.1から3mmの範囲内である。
【0029】
2つの補償スロットは好ましくは、2つの切断ブレードの一方の中の非常に細いスリットとして実現される。大き過ぎるスリットは、対応する切断ブレードの不安定性につながり、この不安定性は切断性能と相反する。非常に細いスロット/スリットは、動作中に生じ得る任意の応力誘起の反りを補償するのに十分である。これらのスロット/スリットは、非常に簡単に製造され得る。スロット/スリットは、単に対応する切断ブレードに切り込まれさえすればよく、2つの対向する横方向側部で始まり、残存する中央部分に向かって切断端部に平行に切断し続ける。
【0030】
あなどり難い引っ張り効果の防止は、上述の反り補償システムを2つの切断ブレードの間の滑り摩擦システムと組み合わせるとき、さらにいっそう効果的になり得る。
【0031】
本発明の実施形態によれば、切断組立体はさらに、静止と可動切断ブレードとの間に配置される少なくとも1つの第1のボールベアリングを有する。この少なくとも1つの第1のボールベアリングは、少なくとも1つの回転するボールによって、静止切断ブレード上で可動切断ブレードを案内する。
【0032】
可動切断ブレードが通常静止切断ブレード上を滑る、従来技術の既知の毛刈り込み装置とは対照的に、摩擦はその結果著しく減少する。知られているように、滑りと転がり摩擦との間には大きな違いがある。滑り摩擦は通常、F
R=μ・F
Nによって計算され、ここで鋼対鋼に対する滑り摩擦係数μは0.3から1.5の間であり;他方では、転がり摩擦:F
R=c
R・F
Nは、鋼対鋼に対する0.001から0.0005の間の転がり摩擦係数c
Rを有する。
【0033】
転がり摩擦条件における摩擦力はしたがって、相当する滑り摩擦力のわずか3%である。器具の可動切断ブレードと静止切断ブレードとの間のボールベアリングはしたがって、2つの切断ブレードの間の摩擦挙動に著しく恩恵をもたらす。静止切断ブレードに対して可動切断ブレードを、例えば、2つのボールベアリングを用いて案内することによって、先端から先端の距離(2つの切断端部の間の距離)もまた、可動切断ブレードの動作中に一定のままにされる。減少した摩擦(転がり摩擦)のために、電気モータの電力消費もまた減少する。これはまた、上述の望ましくない引っ張り効果のリスクも減少させる。それは、ユーザが、彼/彼女の毛を切断する間に、引っ張られる切断要素を通じて傷つけられないという信頼性を消費者に与える。これは、毛切断装置に対するユーザの安全性及び信頼を高める。その他に、減少した転がり摩擦は、電気モータから可動切断ブレードへの力の伝達が著しく向上するので、同じタイプの電気モータを使用する一般の毛刈り込み装置と比べて、より高い切断速度をもたらし得る。2つの切断ブレードの一方の中の少なくとも1つのスロットを通じて実現される上述の反り補償システムと共に、少なくとも1つの第1のボールベアリングは、引っ張り効果の発生のリスクをほとんど完全に防ぐ。
【0034】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの第1のボールベアリングは、静止切断ブレード及び可動切断ブレードそれぞれに形成された2つの案内凹部の間に配置され、この2つの案内凹部は2つの切断端部と平行に延びる。2つの案内凹部は好ましくは交差して配置され、ボールベアリングのボールは間に配置される。
【0035】
一般の切断ユニットは、可動切断ブレードを静止切断ブレードに押し付けるスプリングのレバーによって動作を案内することを考慮して設計される。これらのスプリングのレバーは、可動及び静止切断ブレードの間のクランプ力を増加させる。幾つかの切断要素は、静止切断ブレードの長方形スロットへの駆動ブリッジ部のプラスチック係合で案内することによって案内される。これらの場合、案内部分は、滑り摩擦力が存在するため、動作のためにより大きいスペースを必要とする。
【0036】
ここで提案されるボールベアリングは代りに、最も低い可能な転がり摩擦を提供する。本発明による毛刈り込み装置での切断テストは、非常に堅い毛、著しい量の毛の下で又は他の困難な動作条件の下で、非常に良好な性能を示した。本発明による装置は、あなどり難い引っ張り効果の発生無しに完璧な毛切断結果を示した。
【0037】
さらなる実施形態によれば、前記2つの案内凹部の切断端部への距離は、少なくとも1つのスロットと切断端部との間の距離より大きい。ボールベアリングはしたがって、切断端部からそらされる少なくとも1つのスロットの側に配置される。言い換えると、少なくとも1つのスロットは、それぞれの切断ブレードを2つの部分、切断端部を含む一方の部分及び切断端部と平行に延びる案内凹部を含む他方の部分に分ける。
【0038】
さらなる実施形態によれば、切断組立体は、静止切断ブレードと可動切断ブレードとの間に配置される少なくとも1つの第2のボールベアリングを有することができ、少なくとも1つの第1のボールベアリング及び少なくとも1つの第2のボールベアリングは、少なくとも1つのスロットの異なる側に配置される。3つのボールベアリングを持つ変形形態は、これが静的に決定される条件につながるので、特に好ましい。例えば、2つのボールベアリングは、少なくとも1つのスロットと可動切断ブレードの切断端部との間に配置され得るとともに、第3のボールベアリングは、少なくとも1つのスロットの他の側、すなわち、切断組立体の後方側に、配置される得る。しかし、3つのボールベアリングの配置はまた、逆に、すなわち、少なくとも1つのスロットと可動切断ブレードの切断端部との間の1つのボールベアリング及び切断組立体の後方側の2つのボールベアリングであり得る。
【0039】
ボールベアリングの全ての上述の配置の変形形態において、少なくとも1つの第1のボールベアリングの中心及び/又は少なくとも1つの第2のボールベアリングの中心は、切断平面(切断レベル(cutting level))内に配置されることが好ましい。これは、ボールベアリングが、駆動力が伝達される切断面内に配置されるので、傾動モーメント又は転倒(overturning)トルクがボールベアリングに作用しないという技術的な効果を有する。