(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放射デバイスは、放射線源及びマルチリーフコリメータの組み合わせを有し、前記照射分布の拡張が定義される前記直線は、前記マルチリーフコリメータのリーフに沿って整列され、前記マルチリーフコリメータの前記リーフの実現可能なポジションは、夫々の直線に沿った照射分布の拡張の実現可能な拡張を定義する、
請求項1に記載のデバイス。
前記階層グラフ構造提供ユニット、前記拡張決定ユニット、及び前記第2重み決定ユニットは、前記階層グラフ構造の提供、前記拡張の決定、及び前記第2重みの決定が繰り返し実行されるように構成される、
請求項1に記載のデバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、IMRTを実行するために標的領域へ向けられる照射分布を決定するデバイス、方法及びコンピュータプログラムであって、改善された品質を有するIMRTを可能にするデバイス、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。本発明の更なる目的は、IMRTを実行する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様では、強度変調放射線治療を実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定するデバイスが与えられる。当該デバイスは、
フルエンスマップを提供するフルエンスマップ提供ユニットと、
階層グラフ構造を提供する階層グラフ構造提供ユニットであり、前記階層グラフ構造は、ノードを有する層を有し、ある層のノードは、放射デバイスによって実現される直線に沿った照射分布の実現可能な拡張を表し、別の層のノードは、別の平行な直線に沿った照射分布の実現可能な拡張を表し、隣接する層のノードは、第1重み及び正則化値が割り当てられるグラフエッジによって接続され、前記正則化値は、夫々のグラフエッジによって接続されるノードによって表される照射分布の拡張どうしの間の偏差に依存する、階層グラフ構造提供ユニットと、
複数の照射分布について平行な直線に沿った照射分布の拡張を決定する拡張決定ユニットであり、当該拡張決定ユニットは、前記階層グラフ構造を通じて前記グラフエッジによって接続されるノードの連続を決定することによってある照射分布について前記拡張を決定するよう構成され、前記連続、該連続に含まれるノードを接続する前記グラフエッジに割り当てられる前記第1重み及び前記正則化値の組み合わせに依存する費用関数を最適化して、当該照射分布の外形を決定する、拡張決定ユニットと、
前記拡張が決定された照射分布のフルエンスを定義する第2重みを決定して、前記提供されるフルエンスマップと、前記決定された拡張及び前記第2重みによって定義される前記フルエンスを有する照射分布の組み合わせとの間の偏差が最小限になるようにする第2重み決定ユニットと
を有
し、
前記階層グラフ構造提供ユニットは、前記提供されるフルエンスマップと、前記決定された拡張及び前記第2重みによって定義される前記フルエンスを有する照射分布の組み合わせとの間の偏差を示す偏差関数を決定し、該偏差関数に応じて前記第1重みを決定するよう構成される。
【0005】
夫々の直線に沿った照射分布のどの拡張が、よって、どの照射分布が、実現可能であるかを考慮する階層グラフ構造を、ノードの、よって、照射分布のための拡張の、連続を決定するために使用することによって、そして、照射分布のための第2重みを決定して、提供されるフルエンスマップと、夫々の決定された拡張及び夫々の第2重みによって定義される照射分布の組み合わせによって形成されるフルエンスマップとの間の偏差が最小限にされるようにすることによって、決定された照射分布は、提供されるフルエンスマップに非常に良く対応し、それらの照射分布は放射デバイスによって自動的に実現可能である。このことは、IMRTがそれらの決定された照射分布に従って実行される場合に、改善されたIMRTをもたらす。
【0006】
照射分布は、セグメントであると見なされてもよく、ある方向における、例えば、行方向又は列方向におけるその拡張によって定義され得る。すなわち、それは、その開口の形状によって、そして、この開口に沿った照射のフルエンスによって、定義され得る。好適には、フルエンスは、照射分布の、すなわち、セグメントの、開口に沿って一定である。夫々のセグメントの夫々の開口の一定のフルエンスは、夫々の照射分布のために決定された第2重みによって定義される。フルエンスは、夫々のビームオン時間及びビームの強度によって定義されてよい。
【0007】
前記フルエンスマップ提供ユニットは、記憶ユニットであることができる。該記憶ユニットには、所望の理想的なフルエンスマップが前もって記憶されている。あるいは、前記フルエンスマップ提供ユニットは、有線又は無線データ接続を介してフルエンスマップを受け取り、該受け取ったフルエンスマップを提供する受信ユニットであることができる。前記フルエンスマップ提供ユニットは、既知のフルエンスマップ計算アルゴリズムを用いることによって理想的な所望のフルエンスマップを計算する、プロセッサのような計算ユニットであることもできる。フルエンスマップ計算アルゴリズムは、人又は動物のような生物内の所望の放射線線量分布に基づきフルエンスマップを決定する。
【0008】
前記標的領域は、好適には、生物内で治療される領域である。例えば、前記標的領域は、体内の腫瘍領域であることができる。前記照射分布及び前記フルエンスマップは、好適には、夫々の照射方向に実質的に垂直である面における2次元フルエンス分布である。前記コスト関数は、好適には、ノードの連続に沿って横断する全ての第1重みの和に依存する。
【0009】
前記放射デバイスは、放射線源及びマルチリーフコリメータの組み合わせを有することが好ましい。前記照射分布の拡張が定義される前記直線は、前記マルチリーフコリメータのリーフに沿って整列され、前記マルチリーフコリメータの前記リーフの実現可能なポジションは、夫々の直線に沿った照射分布の拡張の実現可能な拡張を定義する。マルチリーフコリメータを用いることによって、任意の照射分布、特に、直線に沿った照射分布の任意の拡張は、技術的に比較的容易に且つ非常に正確に提供され得る。このことは、IMRTの更なる改善を可能にすることができる。
【0010】
前記階層グラフ構造提供ユニットは、前記偏差関数の傾きに応じて前記第1重みを決定するよう構成されることが更に好ましい。好適には、前記第1重みは、照射分布のピクセルに対する、すなわち、夫々の拡張の要素に対する、偏差関数の傾きに応じて決定される。特に、前記階層グラフ構造提供ユニットは、あるグラフエッジについての第1重みを、当該グラフエッジによって接続される前記ノードによって表される前記拡張についての前記傾きに応じて決定するよう構成され得る。好適には、あるグラフエッジのための第1重みは、そのグラフエッジによって接続されるノードによって全てのそれらのピクセル位置で表される拡張についての、すなわち、例えば、夫々の拡張の要素の全ての組み合わせについての、傾きに応じて決定される。例えば、前記階層グラフ構造提供ユニットは、あるグラフエッジのための第1重みを、そのグラフエッジによって全てのピクセル位置で接続されるノードによって表される拡張についての傾きの和に応じて決定するよう構成され得る。このように第1重みを決定することは、IMRTを実行することの品質を更に改善することができる。
【0011】
前記偏差関数は、好適には、前記提供されるフルエンスマップと、前記決定された拡張及び前記第2重みによって定義される前記フルエンスを有する照射分布の組み合わせとの間の自乗差の和を示す。
【0012】
前記階層グラフ構造提供ユニットは、あるグラフエッジによって接続されるノードのうちの1つと当該グラフエッジによって接続されるノードのうちの他の1つとによって表される照射分布の拡張の組み合わせが前記放射デバイスによって実現不可能である場合に、前記1つから前記他の1つへの不可能な遷移を示すために、当該グラフエッジへ第1重みとして無限値を割り当てるよう構成されてよい。例えば、無限値は、第1重みとして夫々のグラフエッジへ割り当てられ得る。
【0013】
正則化値は、グラフエッジへ割り当てられる。正則化値は、夫々のグラフエッジによって接続されるノードによって表される照射分布の拡張どうしの間の偏差に依存する。正則化は、例えば、滑らかな開口外形及び/又はより大きい開口面積を実施するために、使用され得る。このことは、IMRTの更に改善された品質をもたらすことができる。
【0014】
実施形態において、前記階層グラフ構造提供ユニット及び前記拡張決定ユニットは、前記拡張決定ユニットがある照射分布の拡張を決定した後に、a)前記階層グラフ構造のノードが、前記決定された拡張に依存するよう選択基準に基づき選択され、b)正則化値が、前記グラフエッジへ割り当てられ、且つc)当該照射分布の拡張が再度決定され、このとき前記選択されたノードのみが考慮されるように、構成される。特に、正則化値は、選択されたノードに対応するグラフエッジにのみ割り当てられる。ノードは、決定された拡張に依存するよう選択基準に基づき選択されるから、ノードは、提供されるフルエンスマップと、決定された拡張及び第2重みによって定義されるフルエンスを有する全ての照射分布の組み合わせとの間の偏差を増大させないであろうノードのみが選択されるように、選択される。従って、ノードは、選択されたノードのみを考慮して再度照射分布の拡張を決定することが、品質の低下を伴った解決法をもたらしそうにないように、選択され得る。更には、選択されたノードのみを考慮する、照射分布の拡張のこの更なる決定において、グラフエッジに割り当てられる正則化値は第1重みに加えて使用されるので、照射分布の正則化された拡張は、計算量の削減を伴って決定され得る。
【0015】
好適な実施形態において、前記階層グラフ構造提供ユニット、前記拡張決定ユニット、及び前記第2重み決定ユニットは、前記階層グラフ構造の提供、前記拡張の決定、及び前記第2重みの決定が繰り返し実行されるように構成される。特に、前記階層グラフ構造提供ユニットは、前記第1重みを繰り返し決定することによって前記階層グラフ構造を繰り返し提供するよう構成されてよい。このように、照射分布は、アボート基準が満足されるまで、例えば、所定の繰り返し回数又は、提供されるフルエンスマップと、実際のフルエンスマップを形成する照射分布の組み合わせとの間の所定の偏差閾値が達成されるまで、繰り返しプロセスにおいて決定され得る。
【0016】
本発明の更なる態様では、強度変調放射線治療を実行する装置が与えられる。当該装置は、
標的領域に向けられる照射分布を提供する放射デバイスと、
前記放射デバイスによって実現可能であり且つ強度変調放射線治療を実行するために前記標的領域に向けられる照射分布を決定する、請求項1に記載のデバイスと、
前記決定された照射分布に従って前記放射デバイスを制御する制御ユニットと
を有する。
【0017】
本発明の更なる態様では、強度変調放射線治療を実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定する方法が与えられる。当該方法は、
フルエンスマップ提供ユニットによってフルエンスマップを提供するステップと、
階層グラフ構造提供ユニットによって階層グラフ構造を提供するステップ放射デバイスであり、前記階層グラフ構造は、ノードを有する層を有し、ある層のノードは、放射デバイスによって実現される直線に沿った照射分布の実現可能な拡張を表し、別の層のノードは、別の平行な直線に沿った照射分布の実現可能な拡張を表し、隣接する層のノードは、第1重み及び正則化値が割り当てられるグラフエッジによって接続され、前記正則化値は、夫々のグラフエッジによって接続されるノードによって表される照射分布の拡張どうしの間の偏差に依存する、ステップと、
拡張決定ユニットによって複数の照射分布について平行な直線に沿った照射分布の拡張を決定するステップであり、前記拡張は、前記階層グラフ構造を通じて前記グラフエッジによって接続されるノードの連続を決定することによってある照射分布について決定され、前記連続は、該連続に含まれるノードを接続する前記グラフエッジに割り当てられる前記第1重み及び前記正則化値の組み合わせに依存する費用関数を最適化して、当該照射分布の外形を決定する、ステップと、
第2重み決定ユニットによって、前記拡張が決定された照射分布のフルエンスを定義する第2重みを決定して、前記提供されるフルエンスマップと、前記決定された拡張及び前記第2重みによって定義される前記フルエンスを有する照射分布の組み合わせとの間の偏差が最小限になるようにするステップと
を有
し、
前記階層グラフ構造提供ユニットは、前記提供されるフルエンスマップと、前記決定された拡張及び前記第2重みによって定義される前記フルエンスを有する照射分布の組み合わせとの間の偏差を示す偏差関数を決定し、該偏差関数に応じて前記第1重みを決定する。
【0018】
本発明の更なる態様では、強度変調放射線治療を実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定するコンピュータプログラムが与えられる。当該コンピュータプログラムは、請求項1に記載のデバイスを制御するコンピュータで実行される場合に、該デバイスに、請求項
11に記載の方法のステップを実行させるプログラムコード手段を有する。
【0019】
請求項1のデバイス、請求項
10の装置、請求項
11の方法、及び請求項
12のコンピュータプログラムは、特に、従属請求項において定義されるような、類似した及び/又は同じ好適な実施形態を有することが理解されるべきである。
【0020】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項又は上記実施形態と夫々の独立請求項とのいずれかの組み合わせであることもできることが理解されるべきである。
【0021】
本発明のそれら及び他の態様は、以降で記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、IMRTを実行する装置1の実施形態を概略的に且つ例として示す。装置1は、テーブル8のような支持手段に横たわる人7の体内の標的領域に向けられる照射分布を提供する放射デバイス2を有する。放射デバイス2は、照射分布を形成する放射線5を発するデバイスであり、人7の周りで放射デバイス2を回転させるために回転式ガントリ6に取り付けられている。
【0024】
装置1は、IMRTを実行するために人7の体内にある標的に向けられる照射分布を決定するデバイス10を有する。デバイス10は、人7の周りの放射デバイス2の幾つかの回転位置についての幾つかのフルエンスマップを提供するフルエンスマップ提供ユニット11を有する。このように、フルエンスマップ提供ユニット11は、夫々のIMRTビーム角について2次元フルエンスマップを提供する。特に、フルエンスマップ提供ユニット11は、フルエンスマップ最適化(FMO;Fluence Map Optimization)アルゴリズムを実行するよう構成される。このアルゴリズムは、夫々の治療ビーム角について、すなわち、放射デバイス2の夫々の回転位置について、正値性条件(positivity constraint)最適化問題を解くことによって2次元の理想的なフルエンスマップを計算する。2次元フルエンスマップを決定するために、標的領域は、好適には、標的領域を含む人の3次元画像において描写されてセグメント化される。このとき、フルエンスマップ最適化アルゴリズムは、人7の体内の放射線線量分布の関数である目的を最適化する。好適には、フルエンスマップ最適化アルゴリズムは、描写されてセグメント化された標的領域が所定の放射線量を受け、一方で、治療されるべきでない人7の周囲部分が受ける放射線量は可能な限り小さいように、2次元フルエンスマップを決定する。フルエンスマップ提供ユニット11は、A. Brahmeによって著された文献“Optimization of stationary and moving beam radiation therapy techniques”、Radiotherapy and Oncology、12: 129〜140頁(1998年)で開示されているアルゴリズムのような既知のFMOアルゴリズムを使用するよう適応され得る。なお、その文献は、参照により本願に援用される。しかし、他の既知のアルゴリズムも使用されてよく、例えば、D. M. Shepard等によって著された文献“Iterative Approaches to Dose Optimization”、Physics in Medicine and Biology、45:(1): 69〜90頁(1999年)及びS. Webbによって著された文献“Optimizing the planning of intensity-modulated radiotherapy”、Medicine and Biology、39:(12): 2229〜2246頁(1994年)において開示されているアルゴリズムがある。それらの文献は、参照により本願に援用される。
【0025】
標的領域は、自動的に描写されてセグメント化されてよく、あるいは、それは、キーボード、マウス、タッチスクリーン、などのような入力ユニット15、及びディスプレイ16を使用することによって、半自動的に又は完全に手動により描写されてセグメント化されてよい。フルエンスマップ提供ユニット11は記憶ユニットであることもできる。記憶ユニットには、放射デバイス2の種々の回転位置についての2次元フルエンスマップが前もって記憶される。あるいは、フルエンスマップ提供ユニット11は、有線又は無線データ接続によって、2次元フルエンスマップを計算した他のデバイスから2次元フルエンスマップを受け取る受信ユニットであることができる。受信ユニットは、受け取った2次元フルエンスマップを提供することができる。
【0026】
デバイス10は、階層グラフ構造を提供する階層グラフ構造提供ユニット12を更に有する。階層グラフ構造は、ノードを有する層を有する。層に含まれるノードは、直線に沿った、放射デバイス2によって実現可能である照射分布の拡張b
rを表す。異なる層は、異なる平行な直線に対応し、隣接する層のノードは、第1重みe
rが割り当てられるグラフエッジによって接続される。この実施形態では、放射デバイス2は、放射線源3及びマルチリーフコリメータ4の組み合わせを有する。照射分布の拡張b
rが定義される直線は、マルチリーフコリメータ4のリーフに沿って整列され、マルチリーフコリメータ4のリーフの実現可能なポジションは、夫々の直線に沿った照射分布の実現可能な拡張b
rを定義する。マルチリーフコリメータ4のリーフ17は、
図2において概略的に且つ例として表されており、両矢印19によって示される方向に沿って動くことができ、それにより、矢印19と平行である直線に沿った照射パターン18の実現可能な拡張b
rは、リーフ17の可能なポジションによって定義される。従って、リーフ17のポジションは、照射分布18の開口又は形状を定義する。
【0027】
マルチリーフコリメータ4は、放射線源3によって発せられた入射する広範な光子ビーム20の一部分のみを選択する可塑性の遮断デバイスである。選択された部分は、放射線5及び夫々の照射部分18を形成する。結果として得られたビーム5は、選択された部分において一定の強度レベルを有する。すなわち、夫々の照射分布18は、実質的にただ2つのフルエンス値しか有さない。すなわち、ゼロと、ゼロよりも大きいフルエンス値である。マルチリーフコリメータ4の複数の開口をその後に重ね合わせることによって、すなわち、セグメントであるとも見なされ得る、複数の結果として得られた照射分布18を重ね合わせることによって、任意のフルエンスマップが、人7における任意のプロファイルを近似するために、夫々の照射方向について生成され得る。リーフ17のポジションは、最小リーフ間ギャップ、リーフの相互嵌合、リーフの最大中心オーバトラベル、などのような物理的な制限及び制約に起因して制限される。供給可能な開口、すなわち、実現可能な照射分布18を生成するために、物理的な制限及び制約は、リーフ・シークエンシングプロセスであるとも見なされ得る、照射分布を決定するプロセスの間に階層グラフ構造を使用することによって、考慮に入れられる。
【0028】
デバイス10は、幾つかの照射分布について平行な直線に沿って照射分布の拡張b
rを決定する拡張決定ユニット13を更に有する。拡張決定ユニット13は、階層グラフ構造を通じてグラフエッジによって接続されるノードの連続を決定することによって、ある照射分布のための拡張b
rを決定するよう構成される。これは、連続に含まれるノードを接続するグラフエッジに割り当てられる第1重みe
rに依存するコスト関数を最適化する。更には、デバイス10は、放射デバイス2の夫々の回転位置について決定されるべきであり且つ拡張b
rが決定されている照射分布のフルエンスを定義する第2重みwを決定する第2重み決定ユニット14を有する。それにより、提供される夫々のフルエンスと、決定された拡張b
r及び第2重みwによって定義されるフルエンスを有する照射分布の組み合わせmとの間の偏差は、最小限にされる。
【0029】
階層グラフ構造提供ユニット12、拡張決定ユニット13、及び第2重み決定ユニット14は、階層グラフ構造の提供、拡張b
rの決定、及び第2重みwの決定が繰り返し実行されるように構成される。階層グラフ構造は、第1重みを繰り返し決定することによって、繰り返し提供、すなわち、繰り返し決定される。このように、階層グラフ構造の提供、拡張の決定、及び第2重みの決定は、アボート基準が満足されるまで、繰り返し実行され得る。アボート基準は、所定数の繰り返しステップが達成されること及び/又は、提供されるフルエンスマップと、決定された拡張b
r及び第2重みwによって定義されるフルエンスを有する照射分布の組み合わせmとの間の偏差が所定の閾値より小さいことであってよい。
【0030】
階層グラフ構造提供ユニット12は、夫々の提供されるフルエンスマップと、決定された拡張b
r及び第2重みwによって定義されるフルエンスを有する照射分布の組み合わせmとの間の偏差を示す偏差関数fを決定し、偏差関数fに応じて第1重みe
rを決定するよう構成される。この実施形態では、階層グラフ構造提供ユニット12は、照射分布のピクセルに対する傾き、すなわち、局所勾配に応じて、第1重みe
rを決定するよう構成される。偏差関数fの傾き情報は、夫々の提供されるフルエンスマップと照射分布の組み合わせmとの間の差を最小限にするために使用される。特に、階層グラフ構造提供ユニット12は、全てのピクセル位置で夫々のグラフエッジによって接続されるノードによって表される隣接する拡張b
r、b
r−1の対についての偏差関数fの傾きに応じて、グラフエッジのための第1重みe
r(b
r,b
r−1)を決定するよう構成される。偏差関数は、好適には、夫々の提供されるフルエンスマップと、決定された拡張b
r及び第2重みwによって定義されるフルエンスを有する照射分布の組み合わせmとの間の自乗差の和を示す関数である。
【0031】
デバイス10は、供給可能なフルエンスマップモデル、すなわち、決定された拡張b
r及び第2重みwによって定義されるフルエンスを有する照射分布の供給可能な組み合わせmを見つけるよう構成される。これは、提供されるフルエンスマップ、すなわち、放射デバイス2の夫々の回転位置についてフルエンスマップ提供ユニット11によって提供される所与の目標フルエンスマップ、を近似する。この実施形態では、フルエンスマップのためのモデルは、列ベクトルmによって表される。列ベクトルmは、互いの上に積み重ねられるフルエンスマップモデルの幾つかの行又は列を表す。フルエンスマップモデルは、N個のマルチリーフコリメータ開口、すなわち、N個の照射分布又はセグメント、の組によって形成される。照射分布の夫々1つは、セグメント重みであるとも見なされ得る第2重みw
iと関連付けられる。リーフコリメータ開口及び、フルエンスを定義する第2重みは、調整可能な機械パラメータである。マルチリーフコリメータは、mに含まれるあるピクセル位置について、フルエンスを遮断するか、あるいは、十分に開かれているかのいずれかであるとすると、夫々のセグメントの要素は、バイナリと見なされる。n番目のセグメント開口はs
nによって表現可能であり、このベクトルs
nのベクトル要素は、夫々のピクセルがマルチリーフコリメータによって遮断されるか否かに応じてゼロ又は1である。バイナリ行列Sが定義可能であり、このバイナリ行列の列はベクトルs
nによって形成される。n番目のセグメント又は照射分布のための第2重みはw
nによって表現可能であり、全ての第2重みはベクトルwにおいて集められ得る。その場合に、フルエンスマップモデルは、次の式に従って、バイナリ行列Sと対応する第2重みとの線形結合として定義され得る:
【0032】
【数1】
コリメータリーフ対の移動方向19がフルエンスマップ画像の行内にあるとするならば、バイナリセグメント開口s
nは、行ごとに1つである、R個のより小さいバイナリサブベクトルb
rへと退位され得る。夫々のバイナリサブベクトルb
rは、夫々の直線に沿った、すなわち、この実施形態は、夫々の行に沿った拡張を表し、Rは、マルチリーフコリメータ4によって提供されるリーフ17又は行の対の総数を示す。
【0033】
階層グラフ構造は、好適には、全ての物理的な制約とともに、任意に、更には、ユーザ定義された制約も満足するセグメント開口s
nを決定するために使用される。この実施形態では、グラフの夫々の層は、マルチリーフコリメータグリッドの1つの行、すなわち、一対のリーフに相当する。夫々の層について、特定の数のノードが、マルチリーフコリメータ座標における全ての実現可能なリーフ対位置を表すために使用される。特に、r番目のコリメータ行における左リーフ位置と右リーフ位置との間の開口は、夫々のサブベクトルb
r、すなわち、夫々の行に沿った照射分布の夫々の拡張、のバイナリパターンを決定する。このとき、全ての開かれているピクセルは、1によって識別され、マルチリーフコリメータ4のリーフ17によって遮断されているピクセルは、0によって識別される。単一開口のような単一の行における対向するリーフ17の位置、最小ギャップ、最大オーバトラベル、などを生じるそれらの制約は、b
rにおける潜在的な開口組み合わせの数を減らす。グラフエッジは、隣接する層のノードを接続する。このとき、コストであるとも見なされ得る対応する第1重みは、夫々のグラフエッジに割り当てられる。
【0034】
第1重みを決定するために、階層グラフ構造提供ユニット12は、フルエンスマップの傾きに基づく目的を使用することができる。すなわち、例えば、偏差関数fは、提供される理想的な目標フルエンスマップと、実際のモデリングされるフルエンスマップmとの間の自乗差の和であることができる。この偏差関数fは、目的関数であると見なされてもよく、フルエンスマップピクセルに対してこの関数の傾きを決定することによって、リーフ・シークエンシングのために使用され得る。偏差関数fの傾き情報は、理想的な目標フルエンスマップとフルエンスモデルmとの間の差を最小限にするために使用される。第1重みe
r(b
r,b
r−1)は、好適には、有効な開口b
r及びb
r−1について偏差関数fの局所勾配値を与えることによって、隣接するノードb
r及びb
r−1のグラフエッジについて決定されて割り当てられる。ここで、偏差関数fの傾きを、局所的な、すなわち、隣接するb
rの対の、寄与の和へと分解することが考えられる。よって、フルエンスマップピクセルに対する目的関数、すなわち、偏差関数は、最良の探索方向を決定するために使用され得る。
【0035】
階層グラフ構造提供ユニット12は、あるグラフエッジによって接続されるノードのうちの1つと当該グラフエッジによって接続されるノードのうちの他の1つとによって表される照射分布の拡張b
r、b
r−1の組み合わせが、例えば、相互嵌合違反によって、放射デバイス2によって実現不可能である場合に、1つのノードから他の1つのノードへの不可能な遷移を示すために、当該グラフエッジへ無限の、すなわち、無効な第1重みe
r(b
r,b
r−1)を割り当てるよう構成される。例えば、機械制約がr番目の行とその前の行との間の開口の、すなわち、拡張b
r及びb
r−1の、組み合わせを許さない場合に、無限の、すなわち、無効な、値が、対応するグラフエッジへ第1重みとして割り当てられ得る。
【0036】
図3は、階層グラフ構造提供ユニット12によって提供される可能な階層グラフ構造21を表す。
図3において、階層グラフ構造21は、異なったノード28及びグラフエッジ29を有する幾つかの層24〜27を有する。r番目の層26について、及び(r−1)番目の層25について、拡張、すなわち、対応するバイナリベクトルb
r、b
r−1が、例として示されている。更には、幾つかのグラフエッジ29について、第1重みe
rが、例として示されている。
【0037】
更には、
図3において、ボックス22、23は、階層グラフ構造21を通じてグラフエッジによって接続されるノードの連続の始まり及び終わりを夫々表す。そのような連続は、連続に含まれるノードを接続するグラフエッジに割り当てられる第1重みに依存するコスト関数を最適化する。よって、ボックス22、23は、仮想開始ノード及び仮想終了ノードを夫々表し、階層グラフ構造21における最短経路探索は、仮想開始ノード22から始まって、仮想終了ノード23で終わる。
【0038】
図3において、階層グラフ構造21は、最大限にR個の行及びC個の列を有する照射分布の組を表す。この簡単な例では、Rは4であり、Cは2である。層ごとのノードの数は、本例では(0 0)、(0 1)、(1 0)である画像行内のC個のピクセルについての有効なリーフ対開口の組み合わせの数によって定義される。夫々のノード28は、バイナリ行開口パターン、すなわち、夫々の拡張b
r、によって特性化される。(r−1)番目の層においてb
r−1を有するノードは、b
r及びb
r−1が、隣接するリーフ対のための有効な構成、例えば、相互嵌合を伴わない構成を表す場合に、方向を持ったグラフエッジ29により、r番目の層においてb
rを有するノードと接続される。対応するエッジ重み、すなわち、対応する第1重みは、e
r(b
r,b
r−1)である。
【0039】
階層グラフ構造提供ユニット12は、好適には、正則化値P
rをグラフエッジに割り当てるよう更に構成される。正則化値は、夫々のグラフエッジによって接続されるノードによって表される照射分布の拡張b
r、b
r−1の間の偏差に依存してよい。正則化値は、正則化重みであると見なされてもよく、好適には局所勾配に基づく重みである第1重みに加えられ得る。正則化値は、滑らかな開口外形及び/又はより大きい開口面積を実施するために使用され得る。例えば、次の正則化項は、より滑らかなセグメント開口外形を実施するために第1重みe
rに加えられてよい:
【0040】
【数2】
重み付けパラメータαは、第1重みe
rと平滑化ペナリゼーションP
rとの間の最良のトレードオフを調整するために使用され得る。重み付けパラメータαは、異なる重み付けパラメータαを試して、フルエンスマップ提供ユニット11によって提供される理想的なフルエンスマップの最良の近似をもたらす重み付けパラメータαを選択することによって、決定されてよい。
【0041】
図4は、より滑らかなセグメント開口外形のための正則化を概略的に且つ例として表す。
図4において、L
r及びR
rは、r番目の対の左右のリーフを表し、一方、b
rは、対応するリーフ対開口、すなわち、2つのリーフL
r及びR
rによって画定される直線に沿った照射分布の対応する拡張、を示す。L
r+1及びR
r+1は、隣接する(r+1)番目の対の左右のリーフを表し、一方、b
r+1は、対応するリーフ対開口を示す。提案されているペナリゼーション重みP
rは、左右の隣接するリーフ先端間の距離ΔL
r及びΔR
rを最小限にすることによって、より滑らかなセグメント開口外形を実施する。最終の結合されたエッジ重み、すなわち、重み付けパラメータαを用いることによる夫々の第1重み及び正則化値の結合は、階層グラフ構造21を通る“コストがかからない”経路、すなわち、ネットワーク理論に関して“最短経路”を、よって、以下で記載されるように最良のセグメント開口を見つけるために、使用される。
【0042】
夫々の開口s
nは拡張b
rの連続によって定義されるとして、供給可能な開口s
nの最適な組を生成するために、拡張決定ユニット13は、好適には、階層グラフ構造21を通る最良の経路を見つけるために最短経路探索を適用する。無限の重みと関連付けられたグラフエッジを含む経路は考慮されない。更に、入来又は出立するグラフエッジを有さないノードも考慮されない。最短経路に沿った、すなわち、この実施形態では、グラフエッジに割り当てられている横断される重みの最小和に対応する、ノードの連続は、セグメント最適化問題の解に対応する。このとき、ノードの連続に含まれる夫々のノードは、バイナリ画像行開口に関連付けられる。グラフ横断の間に、動的プログラミングプロシージャは、夫々の訪問されるノードについて、最短部分経路を決定する。この原理は、画像行の数において探索複雑性を、例えば、指数関数的成長ではなく、線形に保つ。グラフ探索を実行するために、幅優先や深さ優先型アルゴリズムのような探索アルゴリズムが使用され得る。エースター(A*)探索又はビーム探索枝刈りのような更なるヒューリスティックスは、探索を更に高速化するために使用されてよい。
【0043】
セグメント開口の条件付き最適化は、好適には、セグメント単位で実行される。特に、セグメントごとのストラテジにおいて、ひと組のセグメント開口は、セグメントバイナリ行列Sの残りのセグメント開口を一定に保ちながら、最適化される。例えば、n番目のセグメント開口s
nを、条件付き最適化プロシージャの対象であるとする。この場合に、中間のフルエンスマップ
(外1)
は、セグメント開口s
n及び第2重みw
nをフルエンスマップモデルの決定(式(1)を参照)から除くことによって、定義されてよい。一般に、s
nを最適化することによる目標は、偏差関数fにおける減少がセグメント重みパラメータwにより達成されるように、すなわち、
(外2)
であるように、実現可能な方向ベクトルsを見つけることに等しい。このアプローチは、ライン探索に基づく反復最適化における探索方向の決定と同様であり、セグメント重みパラメータwはステップ幅に比例し、探索方向ベクトルsは機械特性によって制約される。なお、アプローチは、第2重み決定ユニット14が個々のセグメント開口s
nの最適化の後に全ての第2重みwを最適化することを可能にすることによって、古典的なライン探索法と相違する。
【0044】
重みwを有して方向sに沿って中間のフルエンスマップ
(外3)
から移動するときの偏差関数fの変化は、次の式によって与えられる:
【0045】
【数3】
偏差関数fの変化を局所的な、すなわち、隣接するb
rの対の、寄与の和へと分解することは、好適には、次の式に従って、全てのセグメント行Rについて考えられる:
【0046】
【数4】
従って、偏差関数fの変化は、好適には、隣接する拡張b
r、b
r−1の対について決定される。局所的な寄与の和へのそのような分解は、階層グラフ構造内で動的プログラミングプロシージャを用いることを可能にし、このことは、探索複雑性を線形に保つ。
【0047】
階層グラフ構造提供ユニット12による階層グラフ構造の決定は、次の式に従って、隣接する拡張b
r、b
r−1の有効な対についての偏差関数fの表現δf
r(式(4)を参照)と、放射デバイス2によって許されない構成を表す隣接する拡張b
r、b
r−1の組み合わせのための無限の、すなわち、無効な値とに応じて、グラフエッジのための好適には局所的な第1重みe
r(b
r,b
r−1)を使用する:
【0048】
【数5】
そのような関数e
r(b
r,b
r−1)を使用すると、条件付き最適化問題は、実現可能な拡張(b
1・・・b
R)
Tについて最適なn番目のセグメント開口
(外4)
を見つけるよう、条件のないセグメント最適化問題として再公式化され得る:
【0049】
【数6】
特に、式(6)の規則的且つ局所的な画像行ごとの構造は、R個のノード層から成る方向を持った非循環的なグラフにおける最短経路探索として等価な公式化を可能にする。例えば、r番目の層において、夫々のノードは、r番目のコリメータ行におけるリーフ対の実現可能な開口b
rと関連付けられる。r番目の層における夫々のノードは、エッジを介して前の層におけるノードに接続される。夫々のエッジは、重みに関連しており、リーフ対開口b
r及びb
r−1に関連する2つのノードを接続するエッジの重みは、式(5)における関数e
r(b
r,b
r−1)によって与えられる。グラフにおける最短経路探索のために、無限の重みに関連する全てのエッジは考慮されず、入来又は出立するエッジを伴わないノードは考慮されない。最短経路上の画像行開口(b
1・・・b
R)
Tに関連するノードの組は、式(6)における問題の最適な解
(外5)
に対応する。
【0050】
この実施形態において、式δf(式(3))は、好適には、次の式に従って一次テイラー展開によって近似される:
【0051】
【数7】
他の実施形態では、テイラー展開のより高い次数(特に、2次)も、適用されてよい。傾き情報
(外6)
は、隣接する拡張b
r、b
r−1の有効な対のための局所勾配と、第1重みe
r(b
r,b
r−1)からの偏差関数の最適な低下とを決定するために利用される。好適には、球面トリートメント、すなわち、第1重みを決定するためにただ1つの傾きのみを用いること、が第1の行r=1について実行される。
【0052】
選択的な正則化項は、例えば、大きな開口又は滑らかな開口外形を優先するよう、偏差関数fに加えられてよい。例えば正則化項Pr(式(2)を参照)のような如何なる正則化項も、好適には、第1重みe
r(b
r,b
r−1)と同じ局所性の式に従う。
【0053】
第2重み決定ユニット14は、好適には、セグメント重みであるとも見なされ得る第2重みwを決定し且つ最適化する場合に、セグメントバイナリ行列Sを形成するセグメント開口s
nの一定の組を推測するよう構成される。第2重みは、下限制約最適化問題が好適には解かれるように、負でない値である。なお、制約最適化問題は、変数置換によって条件無し問題に変換され得る。例えば、条件付き最適化問題、すなわち、w≧w
0の場合に初期の第2重みw
0に対して偏差関数fから最適化された第2重みwを決定することは、実現可能なセグメント行列Sについて変数置換
(外7)
によって条件無し最適化問題に変換され得る:
【0054】
【数8】
式
(外8)
は、要素ごとに新しいパラメータベクトル
(外9)
の二乗をとることを表す。よって、
(外10)
は、正の値しか有さない。選択的な正則化項は、
(外11)
について好ましからざる値、例えば、非常に長いビームオン時間に対応するwにおける大きい値を不利にするよう、
(外12)
の決定ルーチンに加えられる。共役勾配オプティマイザ又はL−BFGSオプティマイザのような二次収束非線形条件無しオプティマイザは、第2重み決定ユニット14によって式(8)の内部最適化問題に適用され得る。好適には、計算は、変換されたセグメント重み
(外13)
に対する偏差関数fの一次導関数
(外14)
とともに、幾つかの場合には二次情報を必要とする。変換されたセグメント重み
(外15)
に対するフルエンスマップに基づく偏差関数fの傾きは、傾き連鎖規則から、元の第2重みwに対する傾きから容易に求められ得る:
【0055】
【数9】
この式において、
(外16)
は、変換されたセグメント重みベクトル
(外17)
の要素から構成される対角行列を表す。
【0056】
特に、D. Pflugfelder等によって著された文献“A Comparison of three optimization algorithms for intensity modulated radiation therapy”、Zeitschrift fur medizinische Physik、volume 18、number 2、111〜119頁(2008年)に開示されているアルゴリズムは、第2重み決定ユニット14によって使用され得る。なお、その文献は、参照により本願に援用される。
【0057】
階層グラフ構造提供ユニット12、拡張決定ユニット13、及び第2重み決定ユニット14は、好適には、反復プロシージャにおいて稼働されるよう構成される。反復プロシージャにおいて、機械パラメータ、すなわち、S及びwは、拡張決定ユニット13によって実行されるセグメント開口s
nの最適化と、第2重み決定ユニット14によって実行される第2重みの最適化との間を切り替える反復技術において、最適化される。例えば、最初に、第2重みは一定に保たれ、セグメント開口は最適化される。次いで、セグメント開口は一定に保たれ、第2重みは最適化される。以降同様に続く。特に、全てのセグメントの、すなわち、決定されるべき全ての照射分布の、リーフ開口を含む行列Sは、行列Sの残りの要素を固定されたままとしながら、列ごとに、すなわち、セグメント開口ごとに、最適化される。行列Sの夫々の個々の列s
nの最適化の後、全ての第2重みwは、上述されたように第2重み決定ユニット14によって再度最適化されてよい。行列SにおけるN個全ての列がこの方法によって最適化された後、プロシージャ全体は、例えば、行列Sの最初の列から再開することによって、再度繰り返されてよい。反復プロシージャは、好適には、偏差関数の所望の閾値、すなわち、理想的な目標フルエンスマップがフルエンスモデルmによって十分に近似されること、が達成されるといったアボート基準が満足されるまで、実行される。セグメント開口s
n及び第2重みwは、最初に初期値を有する。これらの値は、ユーザによって提供され得る演繹的知識に基づいてよい。なお、初期値は、他の方法においても与えられ得る。例えば、任意の初期値が使用されてよく、あるいは、最初に、リーフ対は、例えばS=0であるように完全に閉じられているとされてよい。この場合に、反復的手法は、列生成に対応する。新しいセグメント開口s
nの夫々の生成によれば、行列Sの更なる列ベクトルが生成される。列生成プロシージャは、好適には、所望の最大数のセグメントs
nが達成されるといったアボート基準が満足されるまで、実行される。
【0058】
IMRT装置1は、決定された照射分布に従って放射源デバイス2を制御する制御ユニット9を更に有する。特に、デバイス10がセグメント開口snと、理想的な提供されるフルエンスマップを近似する照射分布を定義する対応する第2重みwを決定した後、制御ユニット9は放射デバイス2を制御して、放射デバイス2の夫々の回転位置で、放射デバイス2のこの回転位置について決定された照射分布が、IMRTを実行するために標的領域に向けられるようにする。
【0059】
以下では、IMRTを実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定する方法の実施形態が、
図5に示されるフローチャートを参照して例として記載される。
【0060】
ステップ101で、幾つかの理想的なフルエンスマップは、放射デバイスの異なる回転位置について提供される。夫々のフルエンスマップは、決定される照射分布の組み合わせによって近似されるべきである。ステップ102で、方法は、初期化される。特に、セグメント開口s
n及び第2重みwによって定義される初期照射分布が、放射デバイスの夫々の回転位置について提供される。ステップ103で、階層グラフ構造が提供される。階層グラフ構造は、ノードを有する層を有する。層に含まれるノードは、放射デバイスによって実現可能である、直線に沿った照射分布の拡張b
rを表す。異なる層は、異なる平行な直線に対応する。隣接する層のノードは、少なくとも第1重みe
rが割り当てられるグラフエッジによって接続される。好適には、正則化値もグラフエッジに割り当てられる。直線は、好適には、マルチリーフコリメータのリーフの対によって定義される照射分布の行に対応する。
【0061】
ステップ104で、平行な直線に沿った照射分布s
nの拡張b
rは、幾つかの照射分布について且つ幾つかの回転位置について決定される。ステップ105で、拡張b
rが決定された照射分布のフルエンスを定義する第2重みは、第2重み決定ユニットによって回転位置について決定される。それにより、夫々の回転位置について提供されるフルエンスマップと、決定された拡張br及び第2重みwによって定義されるフルエンスを有する対応する照射分布の組み合わせmとの間の偏差は、最小限にされる。ステップ106で、アボート基準が満足されているかどうかが決定される。これが当てはまる場合は、照射分布を決定する方法はステップ107で終了する。そうでない場合は、方法は、繰り返しステップ104を続ける。これらのステップは、放射デバイスの夫々の回転位置について実行される。それにより、夫々の回転位置について、セグメント開口s
n及び第2重みwによって定義される照射分布の組は決定される。これは、放射デバイスの夫々の回転位置について提供される理想的なフルエンスマップを近似する。
【0062】
IMRTを安全に且つ効率よく実施するよう、マルチリーフコリメータ及び関連する発射システムの特性並びにIMRTに適用される場合の夫々のシステムの制限が理解されるべきである。複数の静的なセグメント化されたフィールドを用いて、すなわち、“ステップ・アンド・シュート・アプローチ”を用いて2次元強度変調ビーム発射方法を実施することが知られている。所望の“理想的な”フルエンス分布、すなわち、理想的なフルエンスマップから始まって、既知の方法は、マルチリーフコリメータにより複数レベルの強度を供給する一連のセグメント化されたフィールドを生成する。この放射線治療プランニングアルゴリズムの必須の構成要素は、所望のビームフルエンスパターンを生成するリーフ位置決めシーケンスを決定する手段である。なお、この既知の方法によって、リーフ間最小ギャップ、リーフ相互嵌合、最大リーフオーバトラベル、などのようなマルチリーフコリメータの物理的な制約及び制限、並びに更なるユーザ定義のソフト制約は、変換プロセス又はセグメンテーションプロセスであるとも見なされ得るリーフ・シークエンシングプロセスの間考慮されない。特に、既知のリーフ・シークエンシングプロセスは、理想的なフルエンスマップの離散化された複数レベルのフルエンス近似を生成する。このとき、セグメント化されたフィールドの組が生成される。プロセスの終わりにのみ、セグメントは確認され、全てのマルチリーフコリメータ制約が満足されることを確かにするよう後処理される。そのような手法によれば、多くの供給不能なセグメントは無視される。これは、その後に、放射線治療プランの劣化を生じさせる。
図1乃至5を参照して上述された、IMRTを実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定するデバイス及び方法は、この問題を解決する。
【0063】
デバイス及び方法は、好適には、直接にリーフ・シークエンシングのために、H. Edwin Romeijn等によって著された文献“A column generation approach to radiation therapy treatment planning using aperture modulation”、Journal on Optimization、Society of Industrial and Applied Mathematics SIAM J. OPTIM.、volume 15、number 3、838〜862頁(2005年)において提案されている放射線療法治療プランニングに列生成アプローチを適用するよう構成される。このことは、最終的に生成されるセグメントの組、すなわち、確かに供給可能な照射分布の組を第2重みとともにもたらす。更に、
図1乃至5を参照して上述されたデバイス及び方法は、例えば、滑らかな開口外形又は大きい開口を実施するために、ユーザ定義され得る追加のソフト制約を含むことを、階層グラフ構造に加えられる正則化値を用いることによって可能にすることによって、アルゴリズムの拡張を提供する。特に、デバイス及び方法は、好適には、最良の供給可能なセグメント開口を見つけるために制約組み合わせ最適化問題を解くよう構成される。このとき、フルエンスマップに基づく関数傾き情報がデバイス及び方法によって使用され、選択的な正則化項は、例えば、最終的な解において大きい開口又は滑らかな開口外形を優先するために、目的関数に加えられてよい。制約組み合わせ最適化問題を解くことによって生成される新しいセグメントを考えると、対応する重み、すなわち、対応する第2重みは、制約最適化問題を解くことによって計算される。ここで、セグメント重みに対する、すなわち、第2重みに対する、フルエンスに基づく関数傾きは、オプティマイザを最小値に向かわせるために使用され得る。これらのステップ、すなわち、最良の供給可能なセグメント開口の発見及び対応する第2重みの計算は、ユーザ定義され得る最大数のセグメントが達成されるまで、繰り返し実行される。
【0064】
図6は、放射デバイス2の特定の回転位置についてフルエンスマップ提供ユニット11によって提供される理想的なフルエンスマップを概略的に且つ例として示す。
図7は、デバイス10によって放射デバイス2のその回転位置について決定された幾つかの照射分布を概略的に且つ例として示す。
図8は、モデリングされたフルエンスマップを形成する
図7に示された照射分布の組み合わせを概略的に且つ例として示す。
図9は、
図6に示された理想的な提供されるフルエンスマップと、
図8に示されたモデリングされたフルエンスマップとから計算される差画像を概略的に且つ例として示す。この例では、マルチリーフコリメータは40個のリーフ対を有する。夫々のリーフは1cmの幅を有し、リーフの最小ギャップは0.6cmであり、リーフ相互嵌合は0.6cmであり、リーフ最大オーバトラベルは12.5cmであり、最大リーフ移動分解能は0.1cmである。
【0065】
目標フルエンスマップであるとも見なされ得る提供される2次元フルエンスマップ、及びマルチリーフコリメータによって定義されるグリッドは、好適には、同じ座標系において与えられ、そうでない場合には、理想的なフルエンスマップは、好適には、マルチリーフコリメータのジオメトリに適合するよう変換される。このジオメトリ変換は、多数の可能なリサンプリングアプローチのうちの1つを用いることによって実行され得る。例えば、提供されるフルエンスマップのピクセルフルエンスは、リーフ幅と整合し、よって、原理上実現可能である新しい行列を定義するために、リーフ幅に沿って平均化され得る。更に、提供されるフルエンスマップは、マルチリーフコリメータのグリッドに正確に適合させるために、移動、回転及び/又は変形されてよい。任意に、追加のローパスフィルタリングは、提供される理想的なフルエンスマップにおいて存在し得るノイズを低減するために、その提供される理想的なフルエンスマップに適用されてよい。
【0066】
実施形態において、階層グラフ構造提供ユニット12及び拡張決定ユニット13は、拡張決定ユニット13が照射分布の拡張を決定した後に、a)階層グラフ構造のノードが、決定された拡張に依存するよう選択基準に基づき選択され、b)正則化値がグラフエッジに割り当てられ、且つc)照射分布の拡張が再度決定され、このとき、選択されたノードのみが考慮されるように、構成されてよい。これは、
図10に示されるフローチャートを参照して以下で説明される。
【0067】
ステップ201で、このステップはステップ101に対応し、幾つかの理想的なフルエンスマップが、放射デバイスの異なる回転位置について提供される。夫々のフルエンスマップは、決定される照射分布の組み合わせによって近似されるべきである。ステップ202で、セグメント開口及び第2重みによって定義される初期照射分布は、放射デバイスの現在の回転位置について提供される。ステップ203で、階層グラフ構造は、現在のセグメント開口が最適化されるために提供される。階層グラフ構造は、ノードを有する層を有する。層に含まれるノードは、放射デバイスによって実現可能である、直線に沿った照射分布の実現可能な拡張を表す。異なる層は、異なる平行な直線に対応する。隣接する層のノードは、第1重みが割り当てられるグラフエッジによって接続される。直線は、マルチリーフコリメータのリーフの対によって定義される照射分布の行に対応する。更に、ステップ203で、セグメント開口、すなわち、照射分布は、平行な直線に沿った照射分布の拡張を決定することによって決定される。それらの拡張は、階層グラフ構造を通じてグラフエッジによって接続されるノードの連続を決定することによって決定される。ノードの連続は、その連続に含まれるノードを接続するグラフエッジに割り当てられる第1重みに依存するコスト関数を最適化する。ステップ204で、階層グラフ構造のノードは、選択基準に基づき選択され、これは、決定された拡張に依存する。式(2)で定義される正則化値のような正則化値は、グラフエッジに、特に、選択されたノードに対応するグラフエッジにのみ割り当てられ、照射分布の、すなわち、決定される現在のセグメント開口の、拡張は、再度決定される。このとき、選択されたノードのみが考慮され、それによって、改善された正則化された照射分布、すなわち、セグメント開口を生成する。ステップ205で、照射分布の、すなわち、セグメント開口の、フルエンスを定義する第2重みは、第2重み決定ユニットによって決定される。それにより、現在の回転位置に対応するフルエンスマップと、その現在の回転位置について第2重みによって定義されるフルエンス及び決定された拡張を有する照射分布の組み合わせとの間の偏差は、最小限にされる。ステップ206で、現在の回転位置について、全ての開口が既に最適化されたかどうかが判定される。全て開口が最適化されていない場合は、方法はステップ203を続ける。全ての開口が最適化されている場合は、ステップ207で、最適化プロシージャは、全ての回転位置について実行されているかどうかが確認される。全ての回転位置について実行されていない場合は、最適化プロシージャはステップ202を続ける。全ての回転位置について実行されている場合は、プロシージャはステップ208で終了する。ステップ206では、偏差関数のユーザ定義の閾値が達成されたかどうかも確認される。閾値が達成されていない場合は、プロシージャが全てのセグメント開口について実行されているとしても、セグメント開口を更に改善するために、プロシージャはステップ203を続ける。
【0068】
多基準最適化理論から、2つ以上の相反する目的どうしの加重線形和の最小化は、意志決定因子の要求に最も合うパレート解を達成するために、飽き飽きする重み調整プロセスをもたらし得ることがよく知られている。
図10を参照して上述された最適化プロシージャは、この問題を解決する多段階アプローチを提供する。ステップ203及び204は、第1に、傾きに基づく関数を最小化することによって最適なセグメント開口を見つけ、第2に、その外形を、正則化に基づく関数を最適化することによって精緻化する二段階の辞書式順序付け方式を提供する。選択基準は、傾きの低下のためにユーザ定義された最大閾値を使用することによって提供され得る。このとき、選択プロセスによって、全ての可能なノードは、階層グラフ構造から除かれる。このことは、前もって決定された傾きに基づく解の受け入れられない劣化をもたらし得る。そのような閾値の設定は、重み係数を調整することよりもユーザにとって直観的な手段を有する。更に、正則化動作に対する計画者の制御を増やすことによって、この辞書式スキームは、飽き飽きする厄介な重み調整プロセスを回避することができ、リーフ・シークエンシングの精度と開口形状の正則化との間のより良いトレードオフをもたらすことができる。セグメント生成のための辞書式順序付けのこのような概念はまた、直接機械パラメータ最適化(DMPO;Direct Machine Parameter Optimization)フレームワーク内で適用されてよい。
【0069】
特に、ステップ203は、傾きに基づくセグメント開口最適化ステップであると見なされ得る。最適な供給可能開口を生成するために、このステップでは、最短経路探索が、階層グラフ構造を通る最良の、すなわち、コストがかからない経路を見つけるために、適用されてよい。無限の第1重みに関連するエッジを含む経路は考慮されず、入来又は出立するエッジを伴わないノードは考慮されない。最短経路上の、すなわち、横断する第1エッジ重みの最小和を有する、ノードの組は、ステップ203でのセグメント最適化問題の解に対応する。このとき、ノードは、バイナリ画像行開口に関連する。グラフ横断の間、動的プログラミングプロシージャは、夫々の訪問されるノードについて、最短部分経路を決定する。この原理は、画像の数において探索複雑性を、指数関数的成長ではなく、線形に保つ。如何なる適切な探索アルゴリズも、幅優先や深さ優先型アルゴリズムのように、グラフ探索のために使用され得る。エースター(A*)探索又はビーム探索枝刈りのような更なるヒューリスティックスは、探索を更に高速化するために使用されてよい。
【0070】
ステップ204は、セグメント開口平滑化正則化ステップであると見なされ得てよい。最適なセグメント開口b
roldがステップ203で生成された後、正則化は、ステップ204で、その形状を精緻化するよう、例えば、開口外形を滑らかにするよう、適用される。階層グラフ構造は、ユーザによって予め定められた最大閾値よりも高い傾きの低下を生じさせ得る全ての選択されていないノードb
>rを除くことによって、変更されてよい。例えば、前に決定された最適な開口b
roldの局所勾配の部分p∈[0,1]が閾値として使用され得る:
【0071】
【数10】
傾きの低下とユーザにより予め定められた最大閾値との比較は、従って、拡張b>rを表すノードを各グラフ層において除くために選択基準として使用され得る。概して、ノードの除去は、よりずっと小さいグラフ構造をもたらし、それにより、その後の最短経路探索は、通常は、ステップ203で実行された最短経路探索よりも速い。滑らかな開口外形及び/又はより大きい開口面積を実施するために、正則化機能は、上記の式(2)で定義される正則化値であってよい。最適な規則的な供給可能なセグメント開口を生成するために、最短経路探索は、変更された階層グラフ構造を通じて最良の、すなわち、コストがかからない経路を見つけるために、再度適用される。
【0072】
フルエンスマップ提供ユニットは、異なる回転位置について最初に幾つかのフルエンスマップを提供するよう構成され、最適化プロシージャ全体の間、提供されるフルエンスマップは不変であってよい。なお、フルエンスマップ提供ユニットはまた、最適化プロシージャが夫々の回転位置について実行される場合に、回転位置ごとにフルエンスマップを決定するよう構成されてよく、それにより、ある回転位置について最適なセグメント開口が決定された後、フルエンスマップ提供ユニットは、次の回転位置についてセグメント開口を最適化するためにフルエンスマップを提供する。
【0073】
図1乃至9を参照して上述された、IMRTを実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定するデバイス及び方法は、定義によって、全ての生成されるセグメント、よって、対応する照射分布が常に供給可能であることから、IMRTプランの品質を改善することができる。更に、デバイス及び方法は、正則化の適用が滑らかな外形又はより大きい面積を持った開口をもたらすことを可能にする。照射分布を決定するための記載されるデバイスは、好適には、上述されたようにオプティマイザを最小値に向けるためにセグメント重みに対してフルエンスに基づく関数傾きを使用するよう構成される。
【0074】
上記の実施形態では、マルチリーフコリメータが照射分布を生成するために使用されてきたが、他の実施形態では、他の手段、特に、他のコリメータも、照射分布を生成するために使用され得る。例えば、コリメータは、単一の照射ライン、すなわち、実質的に一次元のラインを、可変な長さを有して生成するために使用されてよく、この照射ラインは、放射デバイスの回転動作の回転軸に実質的に垂直に向けられることができ、平行な直線に沿った照射分布の拡張を提供するために回転軸の方向において動かされてよい。
【0075】
開示されている実施形態に対する他の変形例は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求されている発明を実施する際に当業者によって理解され達成され得る。
【0076】
特許請求の範囲において、語「有する(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、単称(不定冠詞a又はan)は、複数個を除外しない。
【0077】
単一のユニット又はデバイスは、特許請求の範囲において挙げられている複数の項目の機能を満たしてよい。ある手段が相互に異なる従属請求項において挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0078】
1つ以上のユニット又はデバイスによって実行される、理想的なフルエンスマップの提供、特に、理想的なフルエンスマップの決定、階層グラフ構造の提供、特に、階層グラフ構造の決定、照射分布の拡張b
rの決定、第2重みの決定、等のようなプロシージャは、幾つのユニット又はデバイスによっても実行され得る。例えば、ステップ101乃至107は、単一のユニットによって、又はその他個数のユニット若しくはデバイスによっても、実行され得る。それらのプロシージャ及び/又は、IMRTを実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定する方法に従う、IMRTを実行するために標的領域に向けられる照射分布を決定するデバイスの制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段、及び/又は専用のハードウェアとして、実装され得る。
【0079】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその部分として供給される適切な媒体、例えば、光記憶媒体又はソリッドステート媒体において記憶/分配されてよいが、他の形態においても、例えば、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介して、分配されてよい。
【0080】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、適用範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0081】
本発明は、IMRTのための照射分布を決定するデバイスに関する。階層グラフ構造が照射分布のための拡張を決定するために使用され、それは、夫々の直線に沿った照射分布のどの拡張が、よって、どの照射分布が実現可能であるのかを考慮する。更には、照射分布のフルエンスを定義する第2重みが決定され、それにより、提供されるフルエンスマップと、夫々の決定された拡張及び夫々の第2重みによって定義される照射分布の組み合わせによって形成されるフルエンスマップとの間の偏差は、最小限にされる。この決定は、提供されるフルエンスマップに非常に良く対応し且つ放射デバイスによって自動的に実現可能である照射分布をもたらす。このことは、改善されたIMRTをもたらし、決定された照射分布が実際に実現可能であることを確かにするための決定された照射分布の後処理は、必ずしも必要とされない。