特許第6018342号(P6018342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018342
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】車両用の投光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20161020BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161020BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20161020BHJP
【FI】
   F21S8/12 130
   F21Y115:10
   F21Y115:30
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520189(P2016-520189)
(86)(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公表番号】特表2016-524802(P2016-524802A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】AT2014050123
(87)【国際公開番号】WO2014205466
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】A50417/2013
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ラインプレヒト、マルクス
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−47091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源(5、13)と、これらの光源に割り当てられた光学系(3、9;11)とを有する、車両用の投光装置であって、
動的に可変の第1投光像を発生させるための少なくとも1つの光源(13)を有する第1投光ユニット(1)、並びに、少なくとも1つのレーザ光源(5)と、少なくとも1つの光線偏向ユニット(7)と、少なくとも1つの光変換ユニット(8)とを有する第2レーザ式投光ユニット(4)が設けられており、
前記第1投光ユニットにより発生された投光像と、前記第2レーザ式投光ユニットの前記光変換ユニットにおいて発生された投光像との両方の投光像を車道上の全配光にまとめるための光学系(3、9;11)が設けられており、
前記少なくとも1つの光線偏向ユニット(7)は、少なくとも1つの軸線の周りで旋回可能なマイクロミラーとして構成されていること
を特徴とする投光装置。
【請求項2】
前記第1投光ユニット(1)は、複数の光源(13)と、それぞれの光源に割り当てられた個別光学系(10;15)とを有すること
を特徴とする、請求項1に記載の投光装置。
【請求項3】
前記光学系は、別個の2つの光学系ユニット(3、9)を有し、各投光ユニット(1、4)には、それぞれの光学系ユニットが割り当てられていること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の投光装置。
【請求項4】
前記光学系は、唯一の共通の光学系ユニット(11)を有し、該光学系ユニットは、両方の投光ユニット(1、4)に割り当てられていること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の投光装置。
【請求項5】
少なくとも1つの光学系ユニット(3、9;11)は、レンズとして構成されていること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の投光装置。
【請求項6】
前記レーザ式投光ユニット(4)の、前記少なくとも1つのレーザ光源(5)と、前記少なくとも1つの光線偏向ユニット(7)と、前記少なくとも1つの光変換ユニット(8)とは、1つの構造ユニットにまとめられていること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の投光装置。
【請求項7】
前記レーザ式投光ユニット(4)の前記少なくとも1つの光変換ユニット(8)は、前記第1投光ユニット(1)においてその光出射面(16)の領域に設けられていること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の投光装置。
【請求項8】
前記第1投光ユニット(1)は、少なくとも2つの行の多数の列に配設された複数の個別光源(13)を有し、これらの個別光源は、車道上の動的に可変の配光を発生させるために制御可能であること
を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の投光装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光線偏向ユニット(7)は、前記光変換ユニット(8)において、選択的に照明可能なセグメントから成る動的に可変の投光像を発生させるために設けられていること
を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の投光装置。
【請求項10】
前記第1投光ユニット(1)の前記光源(13)は、LEDであること
を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の投光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源と、これらの光源に割り当てられた光学系とを有する、車両用の投光装置(例えば前照灯:ヘッドライト)に関する。
【0002】
この種の投光装置は、例えば下記特許文献1から知られるようになった。この投光装置には、ロービーム配光用の通常の投光装置モジュールの他に走査式レーザシステムも設けられており、該走査式レーザシステムでは、可動マイクロミラーを介して偏向された2つのレーザ光線が蛍光体マトリクス上で投光像を発生させ、該投光像は、レンズを用いて車道上へ投射され、それにより車道上には、動的に変更可能な光形態(ライトコンフィギュレーション)が発生される。
【0003】
下記特許文献2において開示された投光装置には、個別に制御可能な個々の発光領域を有する平坦なレーザ要素が設けられており、この際、それらの発光領域には、前置されたマイクロレンズアレイの各々のマイクロレンズが割り当てられており、前記マイクロレンズアレイは、その都度発生される投光像を車道上へ投射する。
【0004】
例えば下記特許文献3又は下記特許文献4において図示されて説明されているような、動的に可変の投光像を発生させるための他の投光装置には、個別に制御可能な個々の光源、好ましくはLEDによるアレイが設けられており、この際、各光源には、導光体(例えば光ファイバ)又はリフレクタの形式の個別光学系ないしライトガイドが割り当てられている。複数のライトガイドの光出射面にある投光像は、光学系を用い、通常はレンズを用い、車道上へ投射される。
【0005】
他方では、センタ光源が設けられており、該センタ光源の光が、多数の導光体を介し、特有の複数の光学系を介し、車道上に動的に可変の配光を発生させるために車道上へ投射されるという投光装置も知られるようになった。一部では、配光のために、下記特許文献5におけるような、デジタルライトプロセッサ(DLP)が使用されるか、又は例えば下記特許文献6におけるような、機械的に可動でありそれにより選択的に制御可能な導光体が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 2011/0249460 A1
【特許文献2】US 2008/0013329 A1
【特許文献3】DE 10 2008 013 603 A1
【特許文献4】DE 10 2011 054 234 A1
【特許文献5】US 7,156,542 B2
【特許文献6】DE 40 06 938 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術による上記の形式の投光装置は、確かにその都度の走行条件に動的に適合可能な投光パターンを可能とするが、それでも特にハイビーム機能と、投光像の比較的高い解像度とに関し、適応型前照灯システムおける更なる機能性について更に高い要求がある。しかしこれらの要求にもかかわらず、生産費は、許容可能な枠内に留まるべきである。
【0008】
従って本発明の課題は、できるだけ少ないコストで、特に投光装置照明の遠方領域において高い動的解像度を提供する、具体的な形式の投光装置を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明により、動的に可変の第1投光像を発生させるための少なくとも1つの光源を有する第1投光ユニット、並びに、少なくとも1つのレーザ光源と、少なくとも1つの光線偏向ユニットと、少なくとも1つの光変換ユニット(ライトコンバージョンユニット)とを有する第2レーザ式投光ユニットが設けられており、第1投光ユニットにより発生された投光像と、第2レーザ式投光ユニットの光変換ユニットにおいて発生された投光像との両方の投光像を車道上の全配光にまとめるための光学系が設けられている、冒頭に記載した形式の投光装置を用いて解決される。
即ち本発明の一視点により、複数の光源と、これらの光源に割り当てられた光学系とを有する、車両用の投光装置であって、動的に可変の第1投光像を発生させるための少なくとも1つの光源を有する第1投光ユニット、並びに、少なくとも1つのレーザ光源と、少なくとも1つの光線偏向ユニットと、少なくとも1つの光変換ユニットとを有する第2レーザ式投光ユニットが設けられており、前記第1投光ユニットにより発生された投光像と、前記第2レーザ式投光ユニットの前記光変換ユニットにおいて発生された投光像との両方の投光像を車道上の全配光にまとめるための光学系が設けられており、前記少なくとも1つの光線偏向ユニットは、少なくとも1つの軸線の周りで旋回可能なマイクロミラーとして構成されていることを特徴とする投光装置が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記されている図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)複数の光源と、これらの光源に割り当てられた光学系とを有する、車両用の投光装置であって、動的に可変の第1投光像を発生させるための少なくとも1つの光源を有する第1投光ユニット、並びに、少なくとも1つのレーザ光源と、少なくとも1つの光線偏向ユニットと、少なくとも1つの光変換ユニットとを有する第2レーザ式投光ユニットが設けられており、前記第1投光ユニットにより発生された投光像と、前記第2レーザ式投光ユニットの前記光変換ユニットにおいて発生された投光像との両方の投光像を車道上の全配光にまとめるための光学系が設けられていること。
(形態2)前記第1投光ユニットは、複数の光源と、それぞれの光源に割り当てられた個別光学系とを有することが好ましい。
(形態3)前記光学系は、別個の2つの光学系ユニットを有し、各投光ユニットには、それぞれの光学系ユニットが割り当てられていることが好ましい。
(形態4)前記光学系は、唯一の共通の光学系ユニットを有し、該光学系ユニットは、両方の投光ユニットに割り当てられていることが好ましい。
(形態5)少なくとも1つの光学系ユニットは、レンズとして構成されていることが好ましい。
(形態6)前記レーザ式投光ユニットの、前記少なくとも1つのレーザ光源と、前記少なくとも1つの光線偏向ユニットと、前記少なくとも1つの光変換ユニットとは、1つの構造ユニットにまとめられていることが好ましい。
(形態7)前記レーザ式投光ユニットの前記少なくとも1つの光変換ユニットは、前記第1投光ユニットにおいてその光出射面の領域に設けられていることが好ましい。
(形態8)前記少なくとも1つの光線偏向ユニットは、少なくとも1つの軸線の周りで旋回可能なマイクロミラーとして構成されていることが好ましい。
(形態9)前記第1投光ユニットは、少なくとも2つの行の多数の列に配設された複数の個別光源を有し、これらの個別光源は、車道上の動的に可変の配光を発生させるために制御可能であることが好ましい。
(形態10)前記少なくとも1つの光線偏向ユニットは、前記光変換ユニットにおいて、選択的に照明可能なセグメントから成る動的に可変の投光像を発生させるために設けられていることが好ましい。
(形態11)前記第1投光ユニットの前記光源は、LEDであることが好ましい。
【0011】
本発明により、個別光源の総数が、価格においても、例えば冷却機能やサイズに関する技術的な実現性においても、問題のない枠内に収まるにもかかわらず、高い解像度を提供する投光装置が得られる。
【0012】
実際に実証された一実施形態において、第1投光ユニットは、複数の光源と、それぞれの光源に割り当てられた個別光学系とを有することが考慮されている。
【0013】
また前記光学系が別個の2つの光学系ユニットを有し、この際、各投光ユニットには、それぞれの光学系ユニットが割り当てられていると、有利であり得る。
【0014】
他方、前記光学系が唯一の共通の光学系ユニットを有し、該光学系ユニットが両方の投光ユニットに割り当てられていると、小さい構成サイズに関し、推奨に値し得る。
【0015】
他の有意義な一変形形態において、少なくとも1つの光学系ユニットは、レンズとして構成されていることが考慮されている。
【0016】
特にサービスフレンドリの観点において、レーザ式投光ユニットの、少なくとも1つのレーザ光源と、少なくとも1つの光線偏向ユニットと、少なくとも1つの光変換ユニットとが1つの構造ユニットにまとめられていると、目的に適っている。
【0017】
極めてコンパクトな構成のための一変形形態において、レーザ式投光ユニットの少なくとも1つの光変換ユニットが第1投光ユニットにおいてその光出射面の領域に設けられていると有利である。
【0018】
極めて実証された一変形形態は、少なくとも1つの光線偏向ユニットが、少なくとも1つの軸線の周りで旋回可能なマイクロミラーとして構成されていることにより特徴付けられている。
【0019】
更に投光像の良好な適応性に関し、第1投光ユニットが、少なくとも2つの行の多数の列に配設された複数の個別光源を有すると有利であり、この際、これらの個別光源は、車道上の動的に可変の配光を発生させるために制御可能である。
【0020】
少なくとも1つの光線偏向ユニットが、光変換ユニットにおいて、選択的に照明可能なセグメントから成る動的に可変の投光像を発生させるために設けられていると、同様に適応可能性が改善される。
【0021】
第1投光ユニットの光源がLEDであれば、安価な価格構成のもとスペクトル光分布と光強度に関して大きな選択性が得られる。
【0022】
以下、図面に図示された実施例に基づき、更なる利点と共に本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施例として本発明による一投光装置の本質的な構成部材を模式的に示す図である。
図2】本発明による投光装置の第2実施例を示す図である。
図3】本発明による投光装置の第3実施例を示す図である。
図4】複数の光源を有する第1投光ユニットの投光像を示す図である。
図5】第2レーザ式投光ユニットの投光像を示す図である。
図6図4及び図5による投光像から構成された全配光を示す図である。
【実施例】
【0024】
先ず図1について述べると、図1は、本発明の第1実施例を大まかな模式図として示している。図1において、またそれ以降の図においても、本発明の機能にとって本質的である部材だけが図示されている。当業者にとって十分に既知であり投光装置(例えば前照灯:ヘッドライト)のために必要でもある、ハウジングや調節装置などのような他の部材は、図面の見易さのために省略されている。
【0025】
図1の右側には、第1投光ユニット1を見ることができ、該第1投光ユニット1は、更に詳細に図示されて説明されるが、個々の光源、特にLEDによるアレイを有し、これらの光源は、個々に又はグループごとに個別に制御可能である。図1において個々の光源は、同様に非図示の個別光学系に割り当てられており、これらの個別光学系は、例えば導光体又はリフレクタの形式で構成されており、光出射面2において投光像を発生させ、該投光像は、光学系を用い、ここではレンズ3を用い、車道上へ投射可能である。
【0026】
更に第2投光ユニット4、即ちレーザ式投光ユニット4が設けられており、該レーザ式投光ユニット4は、図1において左側に図示されており、本質的な構成部材として、レーザ光線6を発生させるレーザ光源5と、ここではマイクロミラーとして構成されている光線偏向ユニット7と、光変換ユニット(ライトコンバージョンユニット)8とを有する。この種の走査型のレーザ式投光ユニットは、既知であり、この際、レーザ光線6は、光線偏向ユニット7において1つの軸線又は2つの軸線の周りで振動(スウィング)するマイクロミラーにより、光変換ユニット8において、予設定可能な投光像を発生させ、該投光像は、更なる光学系、ここではレンズ9を用い、同様に車道上へ投射され、第1投光ユニット1により発生された投光像とまとめられ、車道上で1つの全投光像ないし全配光となる。
【0027】
ここでは2つのレンズ3、9が図示されているが、このことは、別の光学系構成が使用可能であることを排除しているわけではない。つまり(投光方向において)両方のレンズ3、9の後方に更なる光学系、例えばレンズを配設することも可能であり、或いはリフレクタを利用する複数の光学系を使用することも可能である。
【0028】
レーザ光源5は、例えば青色光を有するレーザ光線6を発生させることができ、この青色光は、光変換ユニット8の蛍光体(Phosphor)において白色光へ変換される。この例では、唯一のレーザ式投光ユニット4だけが図示されているが、少なくとも1つの更なるレーザユニットを使用することも勿論可能であり、該レーザユニットは、同じ光線偏向ユニットを介してか又は更なる光線偏向ユニットを介してレーザ光線を走査し、光変換ユニット8へと導く。
【0029】
従来技術からも見て取れるように、光変換ユニット8の蛍光体層を(投光方向において)後方からレーザ光線を用いて付勢することも可能であり、この際、蛍光体において変換された光の放射は、前方へと行われる。
【0030】
図2には、本発明の第2実施例が示されており、この際、第1投光ユニット1は、有利な一実施形態としてより具体的に図示されており(図1のものと)比肩可能な部材には、同じ符号が使われている。第1投光ユニット1の前面部には、複数の個別光学系10が見て取れ、これらの個別光学系10は、ここではリフレクタ(反射器)として構成されており、それらの底部には、図2では見ることはできないが、光源、好ましくはLEDが配設されている。本実施例において投光ユニット1は、3行で上から2行分は8列(8スリット)ずつ、下1行分は28列(28スリット)で配設された光源を有し、それに対応する数の個別光学系10ないしリフレクタを有する。またここでは、第1投光ユニット1の光出射面の領域に光変換ユニット8が設けられており、該光変換ユニット8において、レーザ光源5により発生されたレーザ光線6は、光線偏向ユニット7の振動するマイクロミラーにより偏向され、走査を実行する。ここでは、レーザ式投光ユニット4は、レーザ光源5と、光線偏向ユニット7と、第1投光ユニット1に配設された光変換ユニット8とにより構成されている。
【0031】
図1による第1実施例と比べ、ここでは、両方の投光ユニット1、4に対して共通の光学系11、即ちレンズが設けられており、該レンズは、複数の個別光学系10の出射面に位置する投光像と、走査するレーザ光線6により光変換ユニット8において決定された投光像とを1つにまとめ、車道上へ投射することが可能である。
【0032】
図3には、本発明による投光装置の第3実施例が模式的に図示されており、該第3実施例は、原理的に図2のものに対応し、この際、比肩可能な部材には、同じ符号が使われている。第1投光ユニット1は、ここでは、個々の光源13を有する光源ユニット12から成り、それらの光源13は、LEDとして実施されており、3列26行の形式で配設されている。この光源ユニット12ないし個々の光源13には、1次光学系14が割り当てられており、該1次光学系14は、LEDないし光源13の総数、ここでは78に対応するよう、個々の全反射導光体15を有し、これらの全反射導光体15は、前方に向かって延在し、光出射面16に通じている。この光出射面16には、ここでも光変換ユニット8が配設されており、該光変換ユニット8は、レーザ光線6により走査され、この際、単色のレーザ光が、車道照明のために使用可能な光(白色光)へ変換される。
【0033】
図2及び図3による実施例においては、個別光源の光出射開口部の所定数分が、対応の蛍光体面を有する光変換ユニット8により覆われている。この際、図3における複数の個別光源13ないしLEDのスペクトル光分布を、これらの個別光源13ないしLEDが蛍光体に光線を通し、ないし蛍光体を発光へと励起させるように、光変換ユニット8の蛍光体へ適合させるという可能性があり、それにより図2及び図3に図示された面(光出射面及び蛍光体面)は、照明のために「失われる」ことはない。しかしまた対応の領域(蛍光体面の領域)を個々の光源によっては照明しないことも可能であり、この際には、この領域において個別光源を省略することも可能である。
【0034】
図4図6には、本発明による投光装置の3つの投光像が図示されており、この際、図4は、第1投光ユニットの投光像を単独で示しており、この際、この例において、垂直方向の照明は、−1°〜+5°の投射角で延在し、水平方向の照明は、左15°〜右15°の投射角で延在し、3列で各28行の分割形態が設けられている。この際、任意の分割を行うことが可能であり、例えば各列に同数の行を設ける必要はないことは、勿論明らかである。
【0035】
図5は、第2レーザ式投光ユニットにより発生される投光像の一例を拡大尺度で示している。この際、水平方向の投射角範囲としては、左6°〜右6°が有利であり、垂直方向の投射角範囲としては、−1°〜+2°が有利であり、それは、これらの領域が、暗闇の中での走行時に運転者に対して必要不可欠な印象(光学的印象)の大部分を提供するためである。
【0036】
これらの両方の投光像は、光学系3と光学系9又は光学系11により重ね合わせられ、車道上へ投射される1つの全投光像にまとめられる。それに対応する投光像が図6に示されており、図6からは、図4による投光像と図5による投光像の合成状態を見ることができ、図5に示された範囲の追加的な照明により、投光装置の機能性が遥かに向上され、それは、この範囲に対し、高解像度のレーザ式投光ユニットが使用可能であるためであり、該レーザ式投光ユニットは、例えば、全照明範囲において0.5°の垂直方向の解像度を可能とし、水平方向の範囲おいては0.1°の解像度を可能とする。
【0037】
次に記載する値は、本発明の利点を更に強調するであろう。LEDに基づく個々のピクセルの照明最大値は、現在ほぼ80〜100ルクス(lx)であるが、この値は、ハイビームのためには比較的小さい値である。同様に例えば80〜100ルクス(lx)の最大値を達成するレーザ式投光ユニットとの組み合わせが行われると、ハイビーム最大値において180〜200ルクス(lx)の照明を提供するハイビームを得ることになり、このことは、良好な投光装置に対する現在の要求に適っている。
【0038】
様々な投光像を重ね合わせることにより、色彩効果も混合可能であり、均質の同色の光像(投光像)を発生させることが可能である。
【0039】
また両方の投光ユニットの組み合わせは、高い動的解像度に達することも可能とする。第1投光ユニット1の比較的「粗い」ピクセルにより、比較的大きな面が覆われるが、この面は、高解像度のレーザ式投光ユニット4により更に細分化されることになる。それにより極めて小さな範囲を直接的に制御することが可能であり、従って全システムの解像度は、既述のように、水平方向において0.1°よりも小さく、垂直方向において0.5°よりも小さくすることが可能である。
【0040】
上記の数値は、単なる例であり、これに関し、更に高い解像度の2次元レーザスキャナを使用することにより、更に良い値を得ることが可能である。
【0041】
勿論、投光像が組み合わされる範囲を、その都度の要求に対応して任意に構成することも可能であり、このことは、決してハイビームに限定して想定されることではない。
【0042】
両方の投光ユニットの組み合わせにより、車速が比較的低速の場合には、レーザ式投光ユニット4による照明を省略することもでき、このことは、安全上の理由から有利であり、それは、例えば車両の停止時には、人間に対して恐らく危険ないし不愉快な、レーザ式投光ユニットにより放射される光が、放射されなくて済むからである。
【0043】
最後に、両方の投光ユニットの組み合わせにより、レーザスキャナだけを基礎とした投光装置と比べ、有利な価格性能比が得られることを強調しておく。
【符号の説明】
【0044】
1 第1投光ユニット
2 光出射面
3 レンズ
4 第2投光ユニット/レーザ式投光ユニット
5 レーザ光源
6 レーザ光線
7 光線偏向ユニット
8 光変換ユニット
9 レンズ
10 個別光学系
11 共通の光学系(レンズ)
12 光源ユニット
13 光源(LED)
14 1次光学系
15 全反射導光体
16 光出射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6