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前記電力段内の複数のブリッジ増幅器は、互いに直列に結合させた少なくとも第1のブリッジ増幅器、第2のブリッジ増幅器及び第3のブリッジ増幅器を含む、請求項1に記載の傾斜増幅器システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
磁気共鳴撮像(MRI)システムで使用するための例示的な傾斜増幅器システム並びに傾斜増幅器システムを制御するための方法の様々な実施形態を提示する(これについては以下で詳細に説明することにする)。以下に記載する方法及び傾斜増幅器システムを利用することによって、MRIシステムにおける電力損失及び熱応力を実質的に低減することができる。従来の幾つかのシステムは、ある種の条件になると電圧及び周波数を変更するような様々な電圧及び様々な周波数を利用していた。一例としてそのシステムは単一の周波数で動作しており、ある種の条件になるとその周波数を変更して損失を管理している。
【0017】
ここで図面に進み
図1を見ると、本技法の態様によるMRIシステムで使用するための例示的な傾斜増幅器システム100の概要図を示している。傾斜増幅器システム100については、制御器段102、電力段104及び傾斜コイル112を含むように概要を表している。各構成要素の働きについて
図1〜8を参照しながらさらに詳細に説明することにする。本明細書で使用する場合に「電力段」という用語は、傾斜コイル112を所望のレンジで駆動するために一例として約0アンペア〜約500アンペアのレンジの値を有する電流及び約0ボルト〜約2000ボルトのレンジの値を有する電圧を発生させるための電力増幅器を示すために用いている。一実施形態ではその電力段104は、500アンペアを超える値を有する電流及び2000ボルトを超える値を有する電圧を発生させることがある。同様に「制御器段」という用語は、傾斜コイル112に提供される電圧信号の振幅レベル及び周波数を制御または調節するように構成された制御器/プロセッサを示すために用いている。
【0018】
MRIシステムは典型的には、その各々が対応する電力段104によって駆動される傾斜コイル112などの1つまたは複数の傾斜コイルを含むことが理解されよう。傾斜コイル112は典型的には、高速の撮像を容易にするために数キロヘルツまでなどの周波数で傾斜磁場を生成することによってMRIシステムの主磁場を変化させるために用いられる。傾斜コイル112の典型的なインダクタンスレベルは一例として、約数百μH〜約1mHのレンジとすることがある。さらに傾斜コイル112の典型的な電圧レベルは一例として約1000ボルト〜約2000ボルトのレンジとすることがある一方、傾斜コイル112の電流レベルは約0アンペア〜約500アンペアのレンジとすることがある。以下に記載する実施形態はMRIシステムの用途を示しているが、忠実度が極めて高い高電圧及び高電流の使用が必要な別の用途における本技法の利用も想定される。
【0019】
目下企図される構成では、傾斜コイル112を電力段104の出力端子に結合させている。さらに傾斜コイル112は、電力段104から受け取ったコイル電流信号114と比例した磁場を発生するように構成されている。本明細書で使用する場合に「コイル電流信号」という用語は、傾斜コイル112に跨る所望の磁場を誘導するために電力段104によって傾斜コイル112に供給される電流を示すために用いている。
【0020】
さらに電力段104は複数のブリッジ増幅器を含む。具体的には目下企図される構成では電力段104は、互いに直列に結合された第1のブリッジ増幅器106、第2のブリッジ増幅器108及び第3のブリッジ増幅器110を含む。電力段104のこの実施形態について3つのブリッジ増幅器106、108、110に関連して記載しているが、電力段104は別の数のブリッジ増幅器を電力段104内に含み得ることに留意されたい。さらに一実施形態では、各ブリッジ増幅器は
図4に示したような左側レグ及び右側レグを備えたフルブリッジ増幅器とすることがある。さらに各ブリッジ増幅器は、直流(DC)電圧源及びトランジスタモジュール(図示せず)を含むことがあり、これについては
図4を参照しながらより詳細に説明することにする。
【0021】
さらに図示したこの例の電力段104の入力端子は、制御器段102の出力端子に結合させている。制御器段102は、電力段104に必要な制御信号を伝送することによって電力段104の動作を制御する。具体的には制御器段102は、ブリッジ増幅器106、108、110の各々の動作周波数を制御するために電力段104にパルス幅変調ゲート信号116、118、120を送っている。本明細書で使用する場合に「動作周波数」という用語は、ブリッジ増幅器をONとOFFに切替えるために利用される周波数を示すために用いている。一実施形態では、存在するのは単一の切替え動作周波数である。ブリッジ増幅器106、108、110をONとOFF状態の間で適当に切替えることによって、電力段104の出力位置において様々な中間的な合成電圧を実現している。一実施形態では、熱、スルーレート及び/または振幅の問題などある種の条件下において、システム性能を調節するためにパルス幅変調の周波数を制御器によって変更することが可能である。
【0022】
図1に示した実施形態では、制御器段102は入力として基準電流信号124とコイル電流信号114を受け取る。具体的には基準電流信号124を、ホストコンピュータ(
図1では図示せず)などの外部源から受け取ることがある。基準電流信号124は、パルス幅変調ゲート信号を発生させるために利用される。しかる後に、発生させたパルス幅変調ゲート信号を用いて傾斜コイル112に跨る傾斜磁場を制御している。具体的には、一実施形態ではその傾斜磁場は、基準電流信号124に関連付けされたスルーレート及び振幅レベルに基づいて制御される。「スルーレート(slew rate)」という用語は、基準電流信号124の振幅が時間に対して変動する率を示すために用いている。
【0023】
さらに、傾斜増幅器システム100の安定な動作を容易にするために、電力段104の出力端子から制御器段102へのフィードバック信号としてコイル電流信号114が提供される。具体的にはフィードバック信号(コイル電流信号)114は、傾斜コイル112に送達される電力を安定化するために利用される。このために一実施形態では、電力段104の出力端子を傾斜コイル112に接続させるノードの位置に電流センサ122を配置させている。電流センサ122は、コイル電流信号114を検知すると共に、この検知したコイル電流信号114をフィードバック信号として制御器段102に伝送している。
【0024】
図2は、
図1の例示的な傾斜増幅器システム100の一実施形態200の概要図である。具体的には傾斜増幅器システム200は、制御器段202と
図1の電力段104などの電力段とを含む。
【0025】
一実施形態では制御器段202は、比例積分(PI)制御ユニット224の入力端子に結合された比較器222を含む。比較器222は、フィードバックコイル電流信号114を基準電流信号124と比較することによって誤差電流信号246を特定する。誤差電流信号246は、コイル電流信号114の基準電流信号124からの偏差を示すことがある。傾斜増幅器システム200の安定性または安定な動作を維持するためにコイル電流信号114の偏差を低減することが望ましい。こうした発生させた誤差電流信号246はPI制御ユニット224の入力端子に提供される。さらにPI制御ユニット224は、誤差電流信号246に対応するPI電圧236を発生させる。さらにPI制御ユニット224はまた、誤差電流信号246の累進的な最小化を支援し、これによりシステム200の過渡応答を強化することがある。
【0026】
本技法の態様では制御器段202はさらに、第1のフィードフォワードサブシステム226を含む。第1のフィードフォワードサブシステム226は、傾斜コイル112に跨るインダクタンス電圧降下238を決定する。制御器段202はさらに、第2のフィードフォワードサブシステム228を含む。第2のフィードフォワードサブシステム228は、傾斜コイル112に跨る抵抗性電圧降下240を決定する。一実施形態では第1のフィードフォワードサブシステム226と第2のフィードフォワードサブシステム228を組み合わせたものを1つのコイルモデルユニットとして示すことがある。このコイルモデルユニットは、傾斜コイル112に跨る誘導性及び抵抗性の電圧降下238、240を決定するために制御器段202において利用されることがある。
【0027】
さらに一実施形態では制御器段202は、入力端子位置で受け取ったPI電圧236、誘導性電圧238及び抵抗性電圧240を足し合わせる加算ユニット230を含むと共に、該加算ユニット230の出力端子の位置に電圧コマンド信号V
cmd242を提供する。さらに電圧コマンド信号V
cmd242は、電力段104中のブリッジ増幅器の数に基づいて電圧コマンド信号V
cmd242を分割する除算ユニット232に提供される。例えば電力段104がブリッジ増幅器106、108、110などの3つのブリッジ増幅器を含む場合、その電圧コマンド信号V
cmd242は等しい3つの部分に分割される。したがって、電力段104内のブリッジ増幅器106、108、110の各々に対して電圧コマンド信号V
cmd242の3分の1ずつが加えられる。
【0028】
さらに本技法の態様では、分割された電圧コマンド信号V
cmd242のうちの1つのユニットがパルス幅変調スキームに従って変調され、パルス幅変調ゲート信号248が生成される。パルス幅変調ゲート信号248は、基準電流信号124のスルーレート及び振幅レベルに基づいた周波数で生成させている。具体的には一実施形態では、基準電流信号124のスルーレートが決定されたしきい値レートを超えていれば、パルス幅変調ゲート信号248を第1の切替え周波数で生成させることがある。しかし基準電流信号124のスルーレートが決定されたしきい値レート未満である場合でも、基準電流信号124の振幅レベルが決定されたレベル未満であればパルス幅変調ゲート信号248を同じく第1の切替え周波数で生成させることがある。
【0029】
同様の方式で、基準電流信号に関連付けされたスルーレート124が決定されたしきい値レート未満でありかつ基準電流信号124の振幅レベルが決定されたレベルを超えることの発生時には、パルス幅変調ゲート信号248を第2の切替え周波数で生成させることがある。一実施形態ではシステム200内の電力損失及び熱応力を低減するために、この第2の切替え周波数は第1の切替え周波数の値より低い値に維持される。別の実施形態では、パルス幅変調スキームに従ってパルス幅変調ゲート信号248を生成するために、事前プログラムの命令/コードを有する制御ロジックモジュール(
図2では図示せず)を利用することがある。
【0030】
図2の参照を続けると、発生させたパルス幅変調ゲート信号248は次いで、各ブリッジ増幅器に対してそれぞれの対応する経路216、218、220を介して別々に加えられる。パルス幅変調ゲート信号248は、ブリッジ増幅器106、108、110の各々の動作周波数を制御するために利用される。本技法の例示的な態様では、各ブリッジ増幅器に対して実質的に同じパルス幅変調ゲート信号248が加えられるため、ブリッジ増幅器106、108、110の各々はいずれの時点においても実質的に同じ周波数で動作している。一例として最初にブリッジ増幅器106、108、110が第1のより高い切替え周波数で動作しておりかつ電力段104には第2のより低い切替え周波数を有するパルス幅変調ゲート信号が加えられている場合、ブリッジ増幅器106、108、110の各々の動作周波数は第1のより高い切替え周波数から第2のより低い切替え周波数に変更される。この切替え周波数の変更は、システム200内の伝導損失及び切替え損失を大幅に低減するのに役立つ。
【0031】
ブリッジ増幅器を実質的に同じ切替え周波数で動作させること以外に、ブリッジ増幅器に結合させたDC電圧源(
図4参照)も、実質的に同じDC電圧を対応するブリッジ増幅器に供給するように構成される。このブリッジ増幅器への実質的に同じ電圧の供給の結果、システム200内の電力損失の分布が一様となる。さらに実質的に同じブリッジ増幅器及びDC電圧源を利用しているため、設計及び製造上の制約が実質的に緩和される。このため、システム200の設計及び製造のコストも大幅に削減される。
【0032】
ここで
図3を参照すると、
図2の制御器段202の一実施形態を表したブロック
図300を示している。目下企図される構成では制御器段300は、コマンド発生器304、解析器306及びパルス幅変調器308を含む。コマンド発生器304は一実施形態では、
図2の比較器ユニット222、PI制御ユニット224、第1のフィードフォワードサブシステム226、第2のフィードフォワードサブシステム228及び加算ユニット230などのサブユニットを組み合わせて含むことがある。
【0033】
本技法の態様ではコマンド発生器304は、入力端子の位置においてコイル電流信号310及び基準電流信号312を受け取る。さらにコマンド発生器304は出力端子の位置に電圧コマンド信号314を生成する。具体的にはコマンド発生器304は、受け取ったコイル電流信号310及び基準電流信号312に基づいて電圧コマンド信号314を生成する。別の実施形態ではそのコマンド発生器304は、コイル電流信号310及び基準電流信号312に基づいた電圧コマンド信号314の生成を支援するための命令を保存したプロセッサ(
図3では図示せず)を含むことがある。さらに、この発生させた電圧コマンド信号314をパルス幅変調器308に供給することがある。パルス幅変調器308は、決定されたパルス幅変調スキームに従って電圧コマンド信号314を変調するように構成されている。
【0034】
解析器306は基準電流信号312を受け取ると共に、その基準電流信号312に関連付けされたスルーレート及び振幅レベルを決定する。別の実施形態ではその解析器306は、基準電流信号312に関連付けされたスルーレート及び振幅レベルの決定を支援するための命令を保存したプロセッサ(
図3では図示せず)を含むことがある。さらにある種の実施形態では、基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルをパルス幅変調ゲート信号の生成と同時に決定することがある。別法としてその基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルはまた、電圧コマンド信号314の生成前に決定することも、生成後に決定することもある。さらに、決定した基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルに関連付けされた情報316が、パルス幅変調器308に伝送される。さらに電圧コマンド信号314はまた、パルス幅変調器308に対する入力として提供される。
【0035】
さらにパルス幅変調器308は、パルス幅変調ゲート信号318を生成する。具体的にはパルス幅変調器308は、基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルに関連付けされた情報316に基づいた周波数でパルス幅変調ゲート信号318を生成するように構成されている。具体的には基準電流信号312のスルーレートが決定されたしきい値レートを超える場合に、パルス幅変調ゲート信号318を第1の切替え周波数で生成させることがある。さらに基準信号のスルーレートがしきい値レート未満でありかつ基準電流信号312の振幅レベルが決定されたレベル未満である場合にもまた、パルス幅変調信号318を第1の切替え周波数で生成させることがある。
【0036】
別法として、基準信号のスルーレートがしきい値レート未満でありかつ基準電流信号312の振幅レベルが決定されたレベルを超えている場合に、パルス幅変調ゲート信号318を第2の切替え周波数で生成させることがある。ある種の実施形態ではこの第2の切替え周波数は、傾斜増幅器システム200(
図2参照)内の電力損失及び熱応力を低減するために第1の切替え周波数より低くしていることに留意されたい。例えば、傾斜コイル112(
図2参照)などの傾斜コイルに跨る電圧を低くすることが所望であれば、ブリッジ増幅器106、108、110(
図2参照)などの各ブリッジ増幅器の動作周波数が、第1のより高い切替え周波数から第2のより低い切替え周波数に変更される。ブリッジ増幅器の各々の動作周波数のこの変更によって、傾斜増幅器システム200内の切替え損失及び伝導損失の大幅な低減が容易となる。
【0037】
図4は、本技法の態様による傾斜コイル112(
図1参照)などの傾斜コイル408を駆動するように構成された電力段104(
図1参照)などの電力段440の一実施形態400を表した回路図である。目下企図される構成では、電力段440は直列に結合させた3つのブリッジ増幅器402、404、406を含む。一実施形態ではこれらのブリッジ増幅器402、404、406によって
図1のブリッジ増幅器102、104、106の役割をさせることがある。ブリッジ増幅器402、404、406はさらに、傾斜コイル408と直列に結合させている。さらに一実施形態ではそのブリッジ増幅器402、404、406は実質的に同じトポロジーを有する。第1のブリッジ増幅器402に跨って第1のDC電圧源410を結合させており、第2のブリッジ増幅器404に跨って第2のDC電圧源412を結合させており、また第3のブリッジ増幅器406に跨って第3のDC電圧源414を結合させている。DC電圧源410、412、414の各々は、対応するブリッジ増幅器に跨って供給するDC電圧が実質的に同じとなるように構成されている。一例として約800ボルトのDC電圧を供給することが望ましい場合、DC電圧源410、412、414の各々は対応するブリッジ増幅器に約800ボルトのDC電圧を供給する。
【0038】
本技法のまた別の態様では、第1のブリッジ増幅器402は一実施形態によるトランジスタモジュール416、418、420、422を含む。これらのトランジスタモジュールは、絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、その他など適当な任意のタイプの半導体切替えデバイスとすることがある。具体的にはトランジスタモジュール416及び422は、第1のブリッジ増幅器402の第1のレグまたは左側レグを形成するように直列に接続されている。同様にトランジスタモジュール418及び420は、ブリッジ増幅器402の第2のレグまたは右側レグを形成するように直列に接続されている。第1のブリッジ増幅器402の第1及び第2のレグは並列に接続されている。このレグのいずれか一方を入力端子として動作するように構成させることがある一方、もう一方のレグを第1のブリッジ増幅器402の出力端子として動作するように構成させることがあることに留意されたい。同様の方式で第2のブリッジ増幅器404は、トランジスタモジュール424及び430を有する第1のレグと、トランジスタモジュール426及び428を有する第2のレグと、を含む。さらに第3のブリッジ増幅器406は、トランジスタモジュール432及び438を有する第1のレグと、トランジスタモジュール434及び436を有する第2のレグと、を含む。
【0039】
さらに、ブリッジ増幅器402、404、406の各々内のトランジスタモジュールは、
図2に示したように制御器段により提供されるパルス幅変調ゲート信号に基づいてONまたはOFFに切替えられるように構成されている。一例として第1のブリッジ増幅器402内において、時間期間T
1の間にトランジスタモジュール416及び422のベース端子にパルス幅変調ゲート信号が加えられる。具体的には時間期間T
1中において、左側レグのトランジスタモジュール416及び422をON状態に付勢させる一方、右側レグのトランジスタモジュール418、420はOFF状態に維持される。同様に後続の時間期間T
2中に、トランジスタモジュール418及び420のベース端子にパルス幅変調ゲート信号が加えられる。したがって時間期間T
2中では、右側レグのトランジスタモジュール418及び420がON状態に切替えられる一方、左側レグのトランジスタモジュール416及び422はOFF状態に切替えられる。第1のブリッジ増幅器402の各レグはそれぞれの時間期間/デューティサイクル中にONとOFFに切替えられるため、第1のブリッジ増幅器402の出力電圧は変調された出力電圧信号となる。
【0040】
さらに各ブリッジ増幅器は少なくとも2つのレグを含むと共に各レグがそれぞれの時間期間/デューティサイクル中は導通状態であるため、各ブリッジ増幅器の位置での変調済み出力電圧信号の周波数は加えられたパルス幅変調ゲート信号の周波数の少なくとも2倍となる。このため電力段440の出力位置における総出力電圧信号の周波数は、パルス幅変調ゲート信号の周波数と電力段440中のブリッジ増幅器の数の少なくとも2倍との積となる。一例として
図4に示した実施形態では、電力段440は3つのブリッジ増幅器を含む。したがって電力段440の出力位置における総出力電圧信号の周波数は、パルス幅変調ゲート信号の周波数とブリッジ増幅器の数の2倍(この例では、6)との積となる。理解を容易にするために、出力電圧信号の周波数について
図5及び6にグラフで表している。
【0041】
さらにブリッジ増幅器402、404、406が直列に接続されているため、電力段440の総出力電圧は、DC電圧源410、412、414の各々によって供給されるDC電圧の総和となる。一例として各DC電圧源が対応するブリッジ増幅器に対して約800ボルトのDC電圧を供給することが望ましい場合、電力段440の総出力電圧は電力段440に跨って約−2400ボルトから約+2400ボルトまでスイングさせることがある。ブリッジ増幅器402、404、406はすべてが実質的に同じDC電圧で動作する実質的に同じトランジスタモジュールを用いるように構成されているため、傾斜増幅器システム100(
図1参照)の性能を犠牲にすることなく傾斜増幅器システム100の設計及び製造コストを大幅に削減することができる。
【0042】
ここで
図5を見ると、本技法の態様による電力段440(
図4参照)などの電力段の出力電圧を表したグラフ500を示している。具体的には
図5は、搬送信号と
図4の3つのブリッジ増幅器402(HV1)、404(HV2)、406(HV3)に跨る出力電圧との間の関係をグラフで示している。プロット502は、パルス幅変調ゲート信号を生成するためにパルス幅変調スキームで利用される搬送波形/信号を表している。さらにプロット504は、第1のブリッジ増幅器402の左側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表している。同様にプロット506は、第1のブリッジ増幅器402の右側レグに加えられる、決定された時間遅延を伴うパルス幅変調ゲート信号を表している。さらにプロット508は第1のブリッジ増幅器402の出力電圧を示している。第1のブリッジ増幅器402の出力電圧は、プロット508で示したような変調済みの出力電圧である。具体的には、第1のブリッジ増幅器402の出力端子の位置で変調済み出力電圧508を取得するために、第1のブリッジ増幅器402の左側レグ及び右側レグに対してパルス幅変調ゲート信号が加えられる。
【0043】
同様の方式でプロット510及び518はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404(HV2)及び406(HV3)に対応する搬送波形/信号を表している。さらにプロット512及び520はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404及び406の左側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表している。プロット514及び522はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404及び406の右側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表している。さらにプロット516及び524はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404、406に跨る出力電圧を表している。さらにブリッジ増幅器402、404、406は直列に接続されているため、プロット508、516、524で表したブリッジ増幅器402、404、406の各々に跨る個々の出力電圧を足し合わせることによってプロット526で表した電力段440の総出力電圧(
図4参照)が得られる。本技法の態様では、ある時点において電力段内の1つのブリッジ増幅器だけが出力電圧を発生させるような方式でブリッジ増幅器402、404、406にパルス幅変調ゲート信号が加えられる。各ブリッジ増幅器に対するパルス幅変調ゲート信号のタイミングは制御器段202(
図2参照)などの制御器段の形で実現される制御ロジックによって制御される。
【0044】
さらに
図4に関連して上で指摘したように、各ブリッジ増幅器は少なくとも2つのレグを含む。さらに時間期間T
1では、対応するパルス幅変調ゲート信号に基づいてブリッジ増幅器の各レグが導通する。時間期間T
1において各ブリッジ増幅器の両方のレグが導通状態であるため、各ブリッジ増幅器の出力位置における周波数はパルス幅変調ゲート信号の周波数の2倍となる。したがって電力段の出力位置における総出力電圧の周波数は、プロット526に示したようにパルス幅変調ゲート信号の周波数と電力段内に含まれるブリッジ増幅器402、404、406の数の少なくとも2倍との倍数となる。一例として、変調を受けたパルス幅の周波数がf
pwmでありかつ電力段内に3つのブリッジ増幅器が利用されている場合、総出力電圧信号の周波数f
totalは次式のように表すことができる。
【0045】
f
total=6*f
pwm (1)
図6は、本技法の態様による異なる切替え周波数及び可変の基準電流信号にある電力段440(
図4参照)などの電力段の出力電圧を表したグラフ600である。プロット602、612、622は、時間遅延が異なる搬送波形/信号を表している。さらにプロット606は第1のブリッジ増幅器402(
図4参照)の左側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表しており、一方プロット608は第1のブリッジ増幅器402の右側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表している。本技法の例示的な態様では、2つのパルス幅変調ゲート信号606、608のうちの一方がハイ状態すなわちON状態にあるときにだけ第1のブリッジ増幅器402に跨る出力電圧が得られるように、第1のブリッジ増幅器402の各レグに対してパルス幅変調ゲート信号が異なる時間期間で加えられている。第1のブリッジ増幅器402に跨る出力電圧の全体をプロット610で表している。さらにプロット614及び624はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404及び406の左側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表している。さらに、プロット616及び626はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404及び406の右側レグに加えられるパルス幅変調ゲート信号を表している。さらにプロット620及び630はそれぞれ、第2及び第3のブリッジ増幅器404及び406に跨る出力電圧を表している。
図5に関連して上で指摘したように、これらのブリッジ増幅器が直列に接続されているため、ブリッジ増幅器402、404及び406の各々に跨る個々の出力電圧610、620、630を足し合わせることによって電力段の総出力電圧632が得られる。
【0046】
引き続き
図6を参照すると時間期間T
1(638)の間は基準電流信号634の振幅レベルは決定されたレベル636未満でありかつスルーレートも決定されたしきい値レート未満である。したがって時間期間T
1の間ではブリッジ増幅器402、404、406の各々は第1の切替え周波数f
1で動作することがある。一実施形態では基準電流信号634の振幅レベルと無関係に、基準電流信号634のスルーレートが決定されたしきい値レートを超えている場合に、ブリッジ増幅器402、404、406の各々は同じく第1の切替え周波数f
1で動作することがある。
【0047】
さらに
図6に示したように時間期間T
2(640)の間に、基準電流信号634は平坦な頂部に到達する。基準電流信号634のこの平坦な頂部が持続している間では、基準電流信号634のスルーレートが決定されたしきい値レート未満でありかつ基準電流信号634の振幅レベルは決定されたレベル636を超えるまたはこれに等しいことに留意されたい。したがってこの時間期間T
2(640)の間では、パルス幅変調ゲート信号によってブリッジ増幅器402、404、406の各々の動作周波数が第1の切替え周波数f
1から第2の切替え周波数f
2に切替えられる。このようにブリッジ増幅器の各々の動作周波数を第1の切替え周波数f
1から第2の切替え周波数f
2に変更することによって、傾斜増幅器システム100(
図1参照)などの傾斜増幅器システムの電力損失が実質的に低減される。具体的には時間期間T
2(640)では、所望の磁場を発生させるのに要する傾斜コイルに跨る電圧が低いため電力損失が低減される。
【0048】
ここで
図7を参照すると、本技法の態様による
図1の傾斜増幅器システム100などの傾斜増幅器システムを制御するための方法を表した流れ
図700を示している。本技法の理解を容易にするために、本方法を
図3の構成要素を参照しながら説明することにする。本方法は、コイル電流信号310(
図3参照)などのコイル電流信号と基準電流信号312(
図3参照)などの基準電流信号が傾斜増幅器システムによって受け取られるステップ702で開始される。具体的には制御器段300内のコマンド発生器304(
図3参照)が、基準電流信号312及びコイル電流信号310を受け取る。コイル電流信号310は、電力段の出力端子を傾斜コイル(
図2参照)に接続しているノードからのフィードバック電流信号として受け取られる。さらに上で指摘したように基準電流信号312は、外部源から受け取られることがあり、また傾斜コイル312(
図2参照)に跨る磁場を制御するためにこれが利用される。
【0049】
引き続きステップ704では、受け取ったコイル電流信号310及び基準電流信号312に基づいて、コマンド発生器304が電圧コマンド信号314を生成する。さらにステップ706では、制御器段300内の解析器306が基準電流信号312を受け取ると共に、この基準電流信号312に関連付けされたスルーレート及び振幅レベルを決定する。基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルは、傾斜コイル112に跨る所望の電圧または磁場に応じてランダムに変更されることがある。さらに上で指摘したように、基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルをパルス幅変調ゲート信号の生成と同時に決定することがある。別法として基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルはまた、電圧コマンド信号314の生成前や生成後に決定されることもある。
【0050】
さらにステップ708ではパルス幅変調器308によって、スルーレートが決定されたしきい値レート未満であるか否かが検証される。具体的にはステップ708において基準電流信号312のスルーレートが決定されたしきい値レート未満であると判定されると、ステップ710で示したように基準電流信号312の振幅レベルが決定されたレベルを超えるか否かを検証するための追加のチェックが実施される。ステップ710において基準電流信号312の振幅レベルが決定されたレベルを超えると判定されると、ステップ712に示したように第2の切替え周波数のパルス幅変調ゲート信号を生成させる。しかしステップ710において基準電流信号312の振幅レベルが決定されたレベル未満であると判定されると、ステップ714で示したように第1の切替え周波数のパルス幅変調ゲート信号を生成させる。
【0051】
ステップ708に戻り基準電流信号312のスルーレートが決定されたしきい値レートを超えると判定されると、ステップ714に示したように第1の切替え周波数のパルス幅変調ゲート信号を生成させる。第1の切替え周波数(ステップ714)と第2の切替え周波数(ステップ712)のいすれかでのパルス幅変調ゲート信号の生成に続いて、ステップ716に示したように制御器段300がこのパルス幅変調ゲート信号をブリッジ増幅器の各々に加える。さらにある種の実施形態ではステップ708〜716を実行するように制御器段300内のパルス幅変調器308を構成している。
【0052】
基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルに基づいて、加えられるパルス幅変調ゲート信号によってブリッジ増幅器の各々の動作周波数が変更されることがある。基準電流信号312のスルーレート及び振幅レベルに従って動作周波数を変更することによって、傾斜増幅器システムの電力損失及び熱応力を実質的に低減することができる。
【0053】
図8は、本技法の態様による例示的な傾斜増幅器システム100(
図1参照)を含むMRIシステムを表したブロック
図800である。MRIシステム800は、スキャナ802、スキャナ制御回路804及びシステム制御回路806を含むように概略図で示している。MRIシステム800は適当な任意のMRIスキャナまたは検出器を含み得るが、図示した実施形態では本システムは、患者812や適当な任意の対象物をスキャンのための所望の位置に配置させ得るようにテーブル810がその内部に位置決めされる患者ボア808を含んだ全身用スキャナを含む。スキャナ802は適当な任意の規格タイプのものとすることができ、0.5テスラ規格から3テスラ規格やこれを超える値まで様々としたスキャナを含む。
【0054】
さらにスキャナ802は、制御式の磁場を発生させるため、無線周波数(RF)励起パルスを発生させるため、並びにこうしたパルスに応答して患者812内部の磁気回転物質からの放出を検出するために一連の関連コイルを含むことがある。
図8の概要図において、一般に患者ボア808と整列した主磁場を発生させるために主磁場コイル814を設けることがある。検査シーケンス中に制御式の傾斜磁場を発生させるようにコイルアセンブリ内で一連の傾斜コイル816、818及び820をグループ分けすることがある。磁気回転物質を励起するための無線周波数パルスを発生させるように無線周波数(RF)コイル822を設けることがある。
図8に示した実施形態では、RFコイル822は受信コイルの役割もしている。したがって磁気回転物質からの放出を受信すること及びRF励起パルスを印加することのそれぞれのための受動モードと能動モードでRFコイル822を駆動及び受信回路と結合させることがある。別法としてRFコイル822から分離させた受信コイルの様々な構成を提供することがある。こうしたコイルは、頭部コイルアセンブリその他の標的解剖部位に特に適した構造を含むことがある。さらに受信コイルは、フェーズドアレイコイルその他を含む適当な任意の物理的構成で提供されることがある。
【0055】
目下のところ企図される構成では、傾斜コイル816、818及び820はMRIシステム800におけるその機能に適応させた異なる物理的構成を有することがある。これらのコイル816、818、820は、以下に記載するように制御パルスの印加時に傾斜磁場を発生させるコイル構造が形成されるように巻き付けられまたは切断された伝導性のワイヤ、バーまたはプレートを含む。傾斜コイルアセンブリ内部へのコイル816、818、820の配置は、幾つかの異なる順序で実施されることがある。一実施形態では、Z軸コイルが最内側の箇所に位置決めされることがあり、またこれを一般にRF磁場に対する影響が比較的少ないソレノイド様構造として形成することがある。したがって図示した実施形態では、傾斜コイル820がZ軸ソレノイドコイルである一方、コイル816及び818はそれぞれY軸コイルとX軸コイルである。
【0056】
スキャナ802のコイルは、所望の磁場及びパルスを発生させるため並びに磁気回転物質からの信号を制御された方式で読み取るために外部回路によって制御されることがある。患者の組織内に束縛されるのが一般的なこの磁気回転物質が主磁場の影響を受けると、組織内の常磁性の原子核の個々の磁気モーメントが該磁場と部分的に整列することが指摘できよう。偏向磁場の方向に正味の磁気モーメントが生成されている間では、直交する面における該モーメントのランダム方向の成分は全体として互いに相殺される。検査シーケンス中に、関心対象物質のラーモア周波数あるいはこれに近い周波数でRF周波数パルスを発生させ、これにより正味の横方向磁気モーメントを生成するための正味の整列モーメントの回転が得られる。この横方向磁気モーメントは主磁場方向の周りに歳差運動し、所望の画像を再構成するようにスキャナ802により検出されて処理を受けるRF信号が放出される。
【0057】
さらに傾斜コイル816、818及び820は、その強度が事前定義の視野域全体にわたり典型的には正極性及び負極性に伴って変化するような精細に制御された磁場の発生を容易にするように構成されることがある。各コイルが既知の電流によって付勢されると、得られる磁場傾斜が主磁場の上に重なり合うと共に、磁場強度のZ軸成分に視野域全体にわたる望ましい線形変動を生じさせる。この磁場はある1つの方向では線形に変動するが、その他2つの方向では均一となる。3つのコイル816、818、820はその変化方向に関して互いに直交する軸を有しており、これにより3つの傾斜コイル816、818、820を適当に組み合わせて任意の方向に線形磁場傾斜を印加することが可能となる。
【0058】
さらにこのパルス状傾斜磁場は、撮像過程に不可欠な様々な機能を実行する。これらの機能のうちの幾つかは、スライス選択、周波数エンコード及び位相エンコードである。これらの機能は、元の座標系のX軸、Y軸及びZ軸に沿って、あるいは個別の磁場コイルに印加されるパルス状電流の組み合わせにより決定される別の軸に沿って適用されることがある。
【0059】
さらにスライス選択傾斜は、患者内の撮像しようとするある厚みの組織や解剖部位を決定している。スライス選択傾斜磁場は、同じ周波数で歳差運動する既知のスピンボリュームを希望するスライス内に励起させるために周波数選択RFパルスと同時に印加されることがある。このスライス厚は、RFパルスのバンド幅及び視野域全体にわたる傾斜強度によって決定される。
【0060】
周波数エンコード傾斜は、読み出し傾斜とも呼ばれており、スライス選択傾斜と直交する方向で印加されるのが通常である。一般に周波数エンコード傾斜は、RF励起に由来する磁気共鳴(MR)エコー信号の形成前や形成中に印加される。この傾斜の影響を受けた磁気回転物質のスピンは、傾斜磁場に沿ったその空間的位置に従った周波数エンコードを受ける。収集された信号をフーリエ変換によって解析し、周波数エンコードによって選択したスライス内のその箇所を特定することができる。
【0061】
最後に、読み出し傾斜前かつスライス選択傾斜後に位相エンコード傾斜が印加されるのが一般的である。磁気回転物質内のスピンの位相エンコード方向での位置特定は、データ収集シーケンス中に順次印加される若干異なる傾斜振幅を用いてその物質の歳差運動するプロトンに対して位相変動を順次誘導することによって実施されることがある。位相エンコード傾斜によって位相エンコード方向でのその位置に従って物質のスピンの間に位相差を生成することが可能となる。
【0062】
さらに本明細書の上に記載した例示的な傾斜パルス機能並びに本明細書では明示的に記載していない別の傾斜パルス機能を利用するパルスシーケンスについて多くの変形形態を考案することができる。さらに、選択スライスと周波数及び位相エンコードの両方を適当に方向付けし所望の物質を励起させると共に得られるMR信号を収集して処理するようにパルスシーケンスの適応を実施することがある。
【0063】
スキャナ802の各コイルは、所望の磁場及びRFパルスを生成するようにスキャナ制御回路804によって制御を受ける。
図8の概要図では制御回路804はしたがって、検査中に利用するパルスシーケンスを指令するため並びに受信した信号を処理するための制御回路826を含む。制御回路826は、汎用または特定用途のコンピュータのCPUやディジタル信号プロセッサなどの適当な任意のプログラム可能論理デバイスを含むことがある。制御回路826はまた、スキャナにより実現される検査シーケンス中に使用される物理及び論理軸構成パラメータ、検査パルスシーケンス記述、収集画像データ、プログラミングルーチン、その他を保存するための揮発性及び不揮発性の記憶デバイスなどのメモリ回路828と通信可能に結合させている。
【0064】
制御回路826とスキャナ802のコイルの間のインタフェースは、増幅/制御回路830によって並びに送信/受信インタフェース回路832によって管理されることがある。増幅/制御回路830は、制御回路826からの制御信号に応答して磁気コイルに駆動電流を供給するために各傾斜磁場コイル向けの増幅器を含む。ある種の実施形態ではMRIシステム800は、
図1の傾斜増幅器システム100などの例示的な傾斜増幅器システム854を含むことがある。傾斜増幅器システム854は一実施形態では、制御回路804と動作可能に結合させることがある。しかしある種の別の実施形態ではその制御回路804は、傾斜増幅器システム854を含むことがある。送信/受信(T/R)インタフェース回路832はRFコイル822を駆動するための追加的な増幅回路を含む。さらに、RFコイル822がRF励起パルスの放出とMR信号の受信の両方の役割をしている場合には、T/Rインタフェース回路832は典型的には能動モードすなわち送信モードと受動モードすなわち受信モードとの間でRFコイル822をトグル切替えするための切替えデバイスを含むことがある。主マグネット814を付勢させるために、その全体を
図8の参照番号824で表した電源が設けられている。最後に制御回路804は、構成及び画像データをシステム制御回路806とでやり取りするためのインタフェース構成要素834を含むことがある。本説明では超伝導主磁場マグネットアセンブリを利用する水平円筒状ボア撮像システムに言及しているが、本技法はさらに超伝導マグネット、永久磁石、電磁石あるいはこれらの手段の組み合わせにより発生させた垂直磁場を利用するスキャナなど様々な別の構成にも適用し得ることに留意されたい。
【0065】
システム制御回路806は、オペレータや放射線医とスキャナ802の間のスキャナ制御回路804を介したインタフェースを容易にするための広範なデバイスを含むことがある。図示した実施形態では例えば、オペレータ制御器836を汎用または特定用途向けコンピュータを利用するコンピュータワークステーションの形態で設けている。ワークステーション836はさらに、検査パルスシーケンス記述、検査プロトコル、ユーザ及び患者データ、画像データ(未処理データと処理済みデータの両方)、その他を保存するためのメモリ回路を含むのが典型的である。さらにワークステーション836はまた、ローカル及びリモートのデバイスとでのデータの受け取り及びやり取りのための様々なインタフェース及び周辺ドライバを含むことがある。図示した実施形態におけるこうしたデバイスには、従来のコンピュータキーボード838やマウス840などの代替的な入力デバイスが含まれる。ドキュメントのハードコピー出力及び収集データから再構成した画像を生成するためにプリンタ842が設けられることがある。さらに、オペレータインタフェースを容易にするためにコンピュータモニター844が設けられることがある。さらにシステム800は、
図8においてその全体を参照番号852で示した様々なローカル及びリモートの画像アクセス/検査制御デバイスを含むことがある。こうしたデバイスは、画像蓄積伝送システム(PACS)、遠隔放射線システム(teleradiology system)、その他を含むことがある。
【0066】
本明細書の上で記載した方法及びシステムによって傾斜増幅器システムにおける電力損失の低減が支援される。さらに、電力段内のブリッジ増幅器の各々が実質的に同じ切替え周波数及びDC電圧で動作しているため、この電力損失をブリッジ増幅器全体に一様に分布させることができる。さらに実質的に同じDC電圧源及びブリッジ増幅器を用いているため、傾斜増幅器システムの設計コスト及び製造コストが実質的に削減される。
【0067】
本発明のある種の特徴についてのみ本明細書において図示し説明してきたが、当業者によって多くの修正や変更がなされるであろう。したがって添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲に属するこうした修正や変更のすべてを包含させるように意図したものであることを理解されたい。