特許第6018424号(P6018424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018424硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置及びこれを用いた振動抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018424
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置及びこれを用いた振動抑制方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/08 20060101AFI20161020BHJP
   E02D 23/04 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   E02D23/08 Z
   E02D23/04 Z
   E02D23/08 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-133954(P2012-133954)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-256823(P2013-256823A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】相田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】松田 真二
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 賢児
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−001972(JP,A)
【文献】 特公昭27−004269(JP,B1)
【文献】 特開平10−037203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 23/00、23/04、23/08
E02D 27/10−27/18、29/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の硬質地盤との間に介在されて、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を行う硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置において、
剛性を有する材料からなり、前記天井スラブに下方に向けて突設され、前記ケーソン躯体を前記硬質地盤上で支持可能なサンドル本体、及び前記サンドル本体の下部に略水平方向に拡張して形成され、少なくとも上下2段の構造を有し、上段が下段よりも外周方向に張り出されて、前記ケーソン躯体の沈下時の衝撃荷重を受けて前記硬質地盤を押え込むストッパーと、
剛性を有する材料からなり、前記サンドル本体の底面の一部に下方に向けて突出され、前記ケーソン躯体の沈下時の衝撃荷重を受けて前記硬質地盤中に貫入可能な突起と、
を備え、
前記突起を前記硬質地盤中に挿入して、前記サンドル本体を前記硬質地盤上に設置し、
前記ケーソン躯体を沈下させる毎に、前記突起を前記硬質地盤中に貫入させ、前記サンドル本体の底面で前記硬質地盤を押える、
ことを特徴とする硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置。
【請求項2】
ストッパーは下段と上段との間の段差部が当該下段から上段に向けて上方傾斜の斜めに形成される請求項1に記載の硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置。
【請求項3】
突起は、垂直断面を上底が下底よりも大きい略台形とするブロックからなる請求項1又は2に記載の硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置。
【請求項4】
ケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の硬質地盤との間にサンドルを介在して、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を行う硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制方法において、
前記サンドルに請求項1乃至3のいずれかに記載の振動抑制装置を用い、
前記突起を前記硬質地盤中に挿入し、前記サンドル本体を前記硬質地盤上に設置した後、
前記硬質地盤を掘削し、前記サンドル本体の底面周囲の地盤をほぐし緩めて、前記ケーソン躯体を沈下させるときに、前記突起を前記硬質地盤中に貫入し、前記サンドル本体の底面で前記硬質地盤を押える、
ことを特徴とする前記振動抑制装置を用いた振動抑制方法。
【請求項5】
突起の硬質地盤中への貫入により、サンドル本体の底面周囲のほぐした土を前記サンドル本体の底面下に流入させ、前記ほぐした土を、前記ケーソン躯体の沈下を抑制するため前記サンドル本体の底面で地盤を押えるときのクッション材として使用する請求項4に記載の前記振動抑制装置を用いた振動抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質地盤でのニューマチックケーソン工法の施工時において、ケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の硬質地盤との間に介在して、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制に使用する、硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置及びこれを用いた振動抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トンネル立坑や橋梁基礎などの地下構造物の築造にニューマチックケーソン工法が採用されている。ニューマチックケーソン工法は、周知のとおり、ケーソン躯体を地上で構築し、地中に沈下させるものである。
この工法による工事では、掘削箇所が軟弱地盤の場合、ケーソン躯体の過沈下を防止するために、サンドルといわれる支柱構造が用いられる。一般に、このサンドルは、土砂サンドル、木製サンドル、鋼製サンドルの3種類があり、このようなサンドルをケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の地盤との間に介在して、ケーソン躯体の沈下量を制御している。
ところで、かかるサンドルを硬質地盤でのケーソン躯体の急激な過沈下に適用した場合、土砂サンドルや木製サンドルでは、歪み量が大きく、大きな抵抗力を期待することができず、また、鋼製サンドルでは、耐力が大きく、ケーソン躯体を沈下させることができない。また、この硬質地盤の場合、ケーソン躯体の沈下時の衝撃によって大きな振動が発生することが指摘されており、この振動が工事現場周辺の住宅などに伝わると、工事を中断せざるを得ない場合もあるため、その改善が求められている。
【0003】
そこで、このような事情に鑑み、この種のニューマチックケーソン工法において、ケーソン躯体の沈下量の制御とともに、沈下時の衝撃、振動を抑制するための衝撃吸収構造として、鋼製の部材と木製の部材との組み合わせからなるサンドルが特許文献1により提案されている。
【0004】
この文献1は、ニューマチックケーソン工法におけるケーソン躯体の作業室内に配置する振動緩和構造体に関するもので、この構造体は、ケーソン躯体の(下部)作業室の天井スラブから下方に突出して設けられ、剛性の高い材料(例えば、鋼材)で構成される伝達材と、伝達材の下方に載置され、所定の衝撃荷重を受けたときに変形するクッション材(例えば、太鼓おとしの木材)と、伝達材の下方に載置され、クッション材と伝達材又は地盤との間に生じる間隙分を埋めるべく配置される間隙調整材とを備え、ケーソン躯体の沈下時に、衝撃荷重が伝達材を介してクッション材に伝えられ、クッション材が変形することにより当該衝撃荷重を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−1972公報(段落0009及び図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の振動緩和構造体では、一部に木製のクッション材が採用され、ケーソン躯体の沈下時に、このクッション材を、ケーソン躯体から伝達材を介して伝達される衝撃荷重を受けて変形するようにしているため、ケーソン躯体が沈下する都度、このクッション材の交換が必要で、これが高気圧下の作業室での作業になることから、作業員の減圧症の発生リスクがあり、さらには材料の交換時にケーソン躯体が沈下する恐れもあり、安全上、好ましくない、という問題がある。
このようなリスクを回避するため、本願発明者らは、材料の交換をなくすことに着眼した。材料の交換をなくすために、当初は、この構造体全体を鋼材のみで作成することを検討したが、この場合、サンドルの耐力が高くなり、ケーソン躯体の沈下が生じない、という従来の鋼製サンドルが抱える問題が考えられた。そこで、本願発明者らは、材料の交換を要することなしに、硬質地盤でのケーソン躯体の沈下量を制御し、振動を抑制するサンドルの構造について鋭意研究を重ねた結果、硬質地盤でのケーソン躯体の適度の沈下を誘発し、その過度の沈下を抑制し得る新たなサンドル形状の制御構造物を見出し、本発明を提案するに至った。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、硬質地盤でのニューマチックケーソン工法の施工時において、ケーソン躯体が沈下する毎の部品、部材の交換を不要として、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を確実に行い得る、硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置及びこれを用いた振動抑制方法を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
ケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の硬質地盤との間に介在されて、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を行う硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置において、
剛性を有する材料からなり、前記天井スラブに下方に向けて突設され、前記ケーソン躯体を前記硬質地盤上で支持可能なサンドル本体、及び前記サンドル本体の下部に略水平方向に拡張して形成され、少なくとも上下2段の構造を有し、上段が下段よりも外周方向に張り出されて、前記ケーソン躯体の沈下時の衝撃荷重を受けて前記硬質地盤を押え込むストッパーと、
剛性を有する材料からなり、前記サンドル本体の底面の一部に下方に向けて突出され、前記ケーソン躯体の沈下時の衝撃荷重を受けて前記硬質地盤中に貫入可能な突起と
を備え、
前記突起を前記硬質地盤中に挿入して、前記サンドル本体を前記硬質地盤上に設置し、
前記ケーソン躯体を沈下させる毎に、前記突起を前記硬質地盤中に貫入させ、前記サンドル本体の底面で前記硬質地盤を押える、
ことを要旨とする。
また、この装置は各部が次のように具体化されることが好ましい。
(1)ストッパーは下段と上段との間の段差部が当該下段から上段に向けて上方傾斜の斜めに形成される。
)突起は、垂直断面を上底が下底よりも大きい略台形とするブロックからなる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の硬質地盤との間にサンドルを介在して、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を行う硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制方法において、前記サンドルに前記振動抑制装置を用い、前記突起を前記硬質地盤中に挿入し、前記サンドル本体を前記硬質地盤上に設置した後、前記硬質地盤を掘削し、前記サンドル本体の底面周囲の地盤をほぐし緩めて、前記ケーソン躯体を沈下させるときに、前記突起を前記硬質地盤中に貫入し、前記サンドル本体の底面で前記硬質地盤を押える、ことを要旨とする。
この場合、突起の硬質地盤中への貫入により、サンドル本体の底面周囲のほぐした土を前記サンドル本体の底面下に流入させ、前記ほぐした土を、前記ケーソン躯体の沈下を抑制するため前記サンドル本体の底面で地盤を押えるときのクッション材として使用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の振動抑制装置及びこれを用いた振動抑制方法によれば、この装置が、天井スラブに下方に向けて突設され、ケーソン躯体を硬質地盤上で支持可能なサンドル本体、及び前記サンドル本体の下部に略水平方向に拡張して形成され、少なくとも上下2段の構造を有し、上段が下段よりも外周方向に張り出されて、ケーソン躯体の沈下時の衝撃荷重を受けて硬質地盤を押え込むストッパーと、サンドル本体の底面に下方に向けて突出され、ケーソン躯体の沈下時の衝撃荷重を受けて硬質地盤中に貫入可能な突起とを備え、突起を硬質地盤中に挿入して、サンドル本体を硬質地盤上に設置した後、硬質地盤を掘削し、サンドル本体の底面周囲の地盤をほぐし緩めて、ケーソン躯体を沈下させるときに、突起を硬質地盤中に貫入し、サンドル本体の底面で硬質地盤を押えるようにしたので、ケーソン躯体を沈下させるときに、突起の周囲の地盤に微小なすべり破壊を生じさせて、ケーソン躯体の沈下を誘発するとともに、突起により破壊された地盤内へほぐし土を流入させて、ケーソン躯体の沈下と同時に、サンドル本体の底面で、直下のほぐし土を圧縮しながら、地盤を押える、この装置の作用により、ケーソン躯体を緩徐に沈下させ、ケーソン躯体の沈下量を制御して、過度の沈下を抑制することができるとともに、ケーソン躯体の沈下時に生じる大きな振動を吸収することができる。
また、この場合、この装置では、ストッパーの下段から外側に押し出されるほぐし土をストッパーの上段で押え込み、ほぐし土によるクッション作用をより増大させて、ケーソン躯体をより緩徐に沈下させ、大きな振動をより確実に抑制することができる。
したがって、ケーソン躯体が沈下する毎での部品、部材の交換を不要として、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態による硬質地盤のニューマチックケーソン工法における振動抑制装置を示す正面図
図2】同振動抑制装置を示す側面図
図3】同振動抑制装置の特に支圧板を示す平面断面図(図2のC−C断面図)
図4】同振動抑制装置の特に支柱を示す平面断面図(図2のD−D断面図)
図5】同振動抑制装置の特にストッパーを示す平面断面図(図2のE−E断面図)
図6】同振動抑制装置の特に突起を示す図((a)は平面図(b)は側面図(c)は正面図)
図7】同振動抑制装置を用いたケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制の方法を示す図
図8】同振動抑制装置を用いたケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制の方法を示す図(図7のつづき)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1及び図2に、硬質地盤でのニューマチックケーソン工法において、ケーソン躯体の作業室の天井スラブとその下方の硬質地盤との間に介在して、ケーソン躯体の沈下量の制御及び振動の抑制を行う振動抑制装置を示している。
なお、ここでは、ケーソン躯体の構成について図示を省略しているが、ケーソン躯体は、周知のとおり、上下方向に側壁が形成されて、この側壁の下部に刃口部が形成され、また、この側壁の内部の下部側に天井スラブが形成されてその下方に作業室が設けられる。このケーソン躯体内に、気圧調整及び土砂の搬出に使用するマテリアルシャフト及びマテリアルロック、作業員の昇降に使用するマンシャフト及びマンロックなど、地上部にケーソン躯体を構築するのに使用するタワークレーン、土砂を搬出するのに使用するスケータークレーンなど、地下部の作業室内に、ケーソン躯体下部の硬質地盤を掘削するのに使用する天井走行式の掘削機械など、ケーソン躯体の各部にそれぞれ、ニューマチックケーソン工法に必要な各種の設備が配置される。
【0013】
図1及び図2に示すように、振動抑制装置Mは、剛性を有する材料からなり、天井スラブA1に下方に向けて突設され、ケーソン躯体Aを硬質地盤G上で支持可能なサンドル本体1と、剛性を有する材料からなり、サンドル本体1の底面の一部に下方に向けて突出され、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を受けて硬質地盤G中に貫入可能な突起2とを備えて構成される。
【0014】
サンドル本体1は下部に外周方向に張り出されて、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を受けて硬質地盤Gを押え込むストッパーを有することが好ましい。
この場合、サンドル本体1は、天井スラブA1に一体的に固定され、当該天井スラブA1の損傷を防止する支圧板11と、支圧板11に固着されて略垂直方向に延び、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を硬質地盤Gに向けて伝達する支柱12と、支柱12の下部に略水平方向に拡張して形成され、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を受けて硬質地盤Gを押え込むストッパー13とにより構成される。
ここで、支圧板11は、ケーソン躯体Aを損傷しないように幅広の平板状に形成されることが好ましく、この場合、図3に示すように、複数の鋼材(この場合、H鋼)からなる板状部材111が水平方向に並列に配置されて、全体として、所定の平面積を有する略矩形の平板状に組み立てられ、各板状部材111が相互にボルト又は溶接により固着されて形成される。
支柱12は、ケーソン躯体Aの沈下時の荷重による座屈に耐え得る柱構造とすることが必要で、この場合、図4に示すように、複数の鋼材(この場合、H鋼)からなる柱状部材121が垂直方向に並列に配置されて、全体として、支圧板11の平面よりも少し小さい所定の平面積を有する略矩形の平面形状で、所定の高さを有する柱状に組み立てられ、各柱状部材121が相互にボルト又は溶接により固着されるとともに、これら柱状部材121の周囲に複数の鋼材(この場合、アングル鋼)からなる連結部材122が水平方向に渡されてボルト又は溶接により固着されて形成される。この支柱12は支圧板11の下面中央にボルト又は溶接により固着されて接合される。
ストッパー13は、ケーソン躯体Aの沈下を強制的に止める平板構造とすることが必要で、この場合、図5に示すように、複数の鋼材(この場合、H鋼)からなる板状部材131が水平方向に並列に配置されて、全体として、支圧板11の平面よりも大きい所定の平面積を有する略矩形の平板状に組み立てられ、各板状部材131が相互にボルト又は溶接により固着されて形成される。
また、このストッパー13は、図1及び図2に示すように、少なくとも上下2段の構造を有し、上段13Uが下段13Dよりも外周方向に張り出され、併せて、下段13Dと上段13Uとの間の段差部13Gが下段13Dから上段13Uに向けて上方傾斜の斜めに形成される。この場合、上下の各段13U、13Dは複数の鋼材(この場合、複数のH鋼)が水平方向に並列に配置固定されて形成され、全体が平板状に形成される。そして、上段13Uの相互に対向する側面に2箇所ずつ若しくは1箇所ずつ、それぞれ対にして、鋼材(この場合、H鋼)からなる突状部材132が水平方向に突出されて固着され、上段13Uの側面の一部が下段13Dの側面よりも水平方向に張り出される。また、この上段13Uに固着された各突状部材132の下面とこれに連接する下段13Dの側面との間に、下段13D下縁部から突状部材132の下面前縁部にかけて連続的な上方傾斜の斜めの面をなす鋼材(この場合、H鋼)からなる斜面部材133が固着されて、下段13Dと上段13Uとの間の段差部13Gが下段13Dから上段13U方向に上方傾斜の斜めに形成される。このようにして支柱12がこのストッパー13の上面中央にボルト又は溶接により固着される。この場合、支柱12の各側面の適宜の位置とこれに対応するストッパー13の上面の適宜の位置との間に鋼材(この場合、コーナーピース)からなる補強板134が立ち上げ設置され。ボルト又は溶接により固着される。
【0015】
突起2は、地盤Gに微小なすべり破壊を生じさせてケーソン躯体Aの沈下を誘発するように、また、ケーソン躯体Aに過度の沈下を生じさせないように、全体のサイズをサンドル本体に比べて小さくし、地盤の大きなすべり破壊を抑えられる形状とした。この場合、突起2は、図6に示すように、垂直断面を上底が下底よりも大きい略台形とするブロックからなり、サンドル本体1の底面に下方に向けて突状に設けられる。また、この場合、突起2は、鋼材からなる中空の本体21と、本体21内部に充填される充填材22とにより構成される。突起2の本体21は、サンドル本体1の底面、すなわち、ストッパー13の底面の中央に取り付け可能にかつストッパー13の底面から下方に向けて所定の寸法だけ突出可能に適宜の大きさの四角錐台形に形成され、略長方形の天面211と、天面211よりも小さい略長方形の底面212と、上底が下底よりも大きい略台形の正面213及び背面214と、上底が下底よりも大きく、水平方向に長い略台形の左右の各側面215、216とを有する。充填材22はモルタルが採用され、本体21内部に充填される。このようにして突起2はサンドル本体1のストッパー13の底面の中央にボルト又は溶接により固着される。
【0016】
この振動抑制装置Mは、このような構成からなり、突起2を硬質地盤G中に挿入し、サンドル本体1を硬質地盤G上に設置して、ケーソン躯体Aを沈下させる毎に、突起2を硬質地盤G中に貫入し、サンドル本体1の底面で硬質地盤Gを押えるようになっている。
【0017】
図7図8にこの振動抑制装置Mを用いたケーソン躯体Aの沈下量の制御及び振動の抑制の方法を示している。
まず、図7(1)に示すように、振動抑制装置Mをケーソン躯体Aの作業室の天井スラブA1の下面に取り付ける。この取り付けは、天井スラブA1の振動抑制装置取付位置に対向する硬質地盤G(以下、単に地盤Gという。)を振動抑制装置Mの設置に必要な深さまで掘り下げて行い、この装置Mの上部の支圧板11を天井スラブA1(この場合、スラブ鋼板)の下面にゴム板を介してボルト又は溶接により固着し、サンドル本体1を天井スラブA1の下面に下方に向けて設置する。これによりサンドル本体1下部のストッパー13の底面及び突起2が地盤Gに向けられる。そして、この振動抑制装置Mの下方の掘り下げられた地盤Gを埋め戻して、突起2を地盤G中に挿入し、サンドル本体1(のストッパー13)を地盤G上に設置する。この振動抑制装置Mの設置時は、既述のとおり、サンドル本体1下が余掘りされるため、荷重を受けていない。
そして、この振動抑制装置Mの設置後、作業室内の天井走行式の掘削機械で地盤Gを掘削し、図7(2)に示すように、ケーソン躯体Aを沈下させる(1回目の沈下)。このケーソン躯体Aの1回目の沈下では、ケーソン躯体Aとともに振動抑制装置Mが地盤Gの余掘り、埋戻しの上で降下するため、この時点での振動抑制装置Mの効果はない。
次に、ケーソン躯体Aの2回目の沈下を行うため、図7(3)に示すように、サンドル本体1のストッパー13の直近周囲の地盤Gを残して、盤下げ掘削を行う。
【0018】
続いて、図8(4)に示すように、サンドル本体1のストッパー13の直下の土塊を残して、ストッパー13の直近周囲の土塊をほぐす。この場合、土塊を掘削機械のバケットの爪を使ってほぐしていく。この地盤Gのほぐしとともに、サンドル本体1のストッパー13の地盤Gに対する押える面積が徐々に小さくなり、ケーソン躯体Aの荷重が徐々にサンドル本体1の中心に集まって、ストッパー13下面の突起2に集中し、ケーソン躯体Aの沈下を徐々に誘発する。そして、この地盤Gのほぐしによりサンドル本体1の周囲の地盤Gが緩くなって、支持力が低下すると、図8(5)に示すように、ケーソン躯体Aが2回目の沈下を開始し、サンドル本体1が降下して、ストッパー13底面の突起2が地盤Gの下方に貫入する。このケーソン躯体Aの沈下と同時に、サンドル本体1のストッパー13で地盤Gが押えられ、ケーソン躯体Aの沈下量が抑制される。この場合、図8(4)、(5)に示すように、突起2が地盤Gに貫入されて、この突起2にケーソン躯体の荷重が集中すると、突起2の周辺の地盤Gには微小なすべり破壊が生じる。突起2の所定の大きさから、このすべり破壊はすべり破壊線がストッパー13の外側に超えない範囲になる。このすべり破壊により、ストッパー13周囲のほぐし土の一部はストッパー13直下の、突起2により破壊された地盤G内に流入し、ケーソン躯体Aの沈下の開始と同時に、サンドル本体1のストッパー13は、直下の、突起2により破壊された地盤Gの土塊を圧潰し、地盤G内に流入されたほぐし土を圧縮しながら、地盤Gを押えていく。このストッパー13による地盤Gの押えにより、ケーソン躯体Aの急激な沈下や過度の沈下量が抑制され、ケーソン躯体Aの沈下は少しずつ進行し、また、ケーソン躯体Aの沈下の開始から停止までの間、ストッパー13はほぐし土を圧縮しながら地盤Gを押えていくので、このほぐし土がクッション材として作用し、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃によって生じる大きな振動が吸収される。
また、この場合、ストッパー13は上下2段の構造で、上段13Uが下段13Dよりも外周方向に張り出されて、地盤Gに対する押える範囲が拡大されており、しかも下段13Dと上段13Uとの間の段差部13Gが下段13Dから上段13Uに向けて上方傾斜の斜めに形成されているので、ストッパー13の下段13Dの下から外側に押し出されるほぐし土がストッパー13の上段13Uで徐々に押え込まれ、ほぐし土によるクッション作用がより増大して、ケーソン躯体Aは全体として緩徐に沈下され、沈下時の振動が大幅に抑えられる。
このようにしてケーソン躯体Aの沈下量が制御されて過度の沈下が抑制され、また、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃によって生じる大きな振動が大幅に抑制される。
【0019】
このようにしてケーソン躯体Aの2回目の沈下を終えると、図8(6)に示すように、サンドル本体1の周囲の盤下げ掘削に戻り、以降、同様のこと(図7(3)−図8(5)の工程)を繰り返す。すなわち、従来のようなクッション材の交換はなく、僅かなメンテナンスで、無人の掘削を継続すればよい。
【0020】
以上説明したように、この振動抑制装置M及びこれを用いた振動抑制方法によれば、この装置Mが、天井スラブA1に下方に向けて突設され、ケーソン躯体Aを地盤G上で支持可能なサンドル本体1と、サンドル本体1の底面に下方に向けて突出され、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を受けて地盤G中に貫入可能な突起2とを備え、突起2を地盤G中に挿入し、サンドル本体1を地盤G上に設置した後、地盤Gを掘削し、サンドル本体1の底面周囲の地盤Gをほぐし緩めて、ケーソン躯体Aを沈下させるときに、突起2を地盤G中に貫入し、サンドル本体1の底面で地盤Gを押えるようにしたので、ケーソン躯体Aを沈下させるときに、突起2により、突起2の周囲の地盤Gに微小なすべり破壊を生じさせて、ケーソン躯体Aの沈下を誘発し、また、突起2により破壊された地盤G内にほぐし土を流入させて、ケーソン躯体Aの沈下と同時に、サンドル本体1のストッパー13により、直下のほぐし土を圧縮し、これをクッション材としながら、地盤Gを押えて、ケーソン躯体Aの沈下を強制的に止める、この装置Mの作用により、ケーソン躯体Aを小さく沈下させ、ほぐし土をクッション材にして沈下を止めることができる。すなわち、ケーソン躯体Aを緩徐に沈下させ、ケーソン躯体Aの沈下量を制御して過度の沈下を抑制することができ、また、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃によって生じる大きな振動を吸収することができる。
したがって、ケーソン躯体Aが沈下する毎に、部品、部材の交換を不要として、ケーソン躯体Aの沈下量の制御及び振動の抑制を確実に行うことができる。
【0021】
また、この装置Mでは、サンドル本体1は、天井スラブA1に一体的に固定され、当該天井スラブA1の損傷を防止する支圧板11と、支圧板11に固着されて略垂直方向に延び、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を地盤Gに向けて伝達する支柱12と、支柱12の下部に略水平方向に拡張して形成され、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を受けて地盤Gを押え込むストッパー13とを備えるので、ケーソン躯体Aの沈下時に、サンドル本体1から地盤Gに伝わる衝撃荷重、サンドル本体1から天井スラブA1に伝わる衝撃荷重をそれぞれ分散して、ケーソン躯体Aの沈下量の制御及び振動の抑制を確実に行うことができる。
なお、サンドル本体1の構成は任意に変更可能であり、どのような構成であっても、サンドル本体1の下部に外周方向に張り出されて、ケーソン躯体Aの沈下時の衝撃荷重を受けて地盤Gを押え込むためのストッパー13を設けることにより、ケーソン躯体Aの沈下時のサンドル本体1から地盤Gに伝わる衝撃荷重を分散して、ケーソン躯体Aの沈下量の制御及び振動の抑制を確実に行うことができる。
さらに、この装置Mでは、特に、ストッパー13が少なくとも上下2段の構造を有し、上段13Uが下段13Dよりも外周方向に張り出されるので、ストッパー13の下段13Dから外側に押し出されるほぐし土をストッパー13の上段13Uで押え込み、ほぐし土によるクッション作用をより増大させて、ケーソン躯体Aをより緩徐に沈下させ、大きな振動をより確実に抑制することができる。
また、この場合、ストッパー13は下段13Dと上段13Uとの間の段差部13Gが当該下段13Dから上段13Uに向けて上方傾斜の斜めに形成されるので、ストッパー13の下段13Dから外側に押し出されるほぐし土をストッパー13の上段13Uで徐々に押え込むことができ、ケーソン躯体Aをより緩徐に沈下させ、大きな振動をより確実に抑制することができる。
さらに、この装置Mでは、突起2は、垂直断面を上底が下底よりも大きい略台形とするブロックからなるので、この突起2を折れにくい構造として地盤Gに確実に貫入させることができる。
【0022】
また、この振動抑制装置Mを用いた振動抑制方法では、突起2の地盤G中への貫入により、サンドル本体1の底面周囲のほぐした土をサンドル本体1の底面下に流入させ、ほぐした土を、ケーソン躯体Aの沈下を抑制するためサンドル本体1(のストッパー13)の底面で地盤Gを押えるときのクッション材として使用するので、従来のようなクッション材の交換を不要とし、作業時間の短縮とコストの低減及び高気圧下での作業の安全性を図ることができる。
【0023】
なお、この実施の形態では、突起2について、垂直断面を上底が下底よりも大きい略台形とするブロックとしたが、この突起2は、地盤に微小なすべり破壊を生じさせてケーソン躯体の沈下を誘発するように、また、ケーソン躯体に過度の沈下を生じさせないように、全体のサイズをサンドル本体に比べて小さくし、地盤の大きなすべり破壊が抑えられる形状とすればよく、その形状は種々に変更可能である。
【符号の説明】
【0024】
A ケーソン躯体
A1 天井スラブ
G 硬質地盤
M 振動抑制装置
1 サンドル本体
11 支圧板
111 板状部材
12 支柱
121 柱状部材
122 連結部材
13 ストッパー
131 板状部材
132 突状部材
133 斜面部材
134 補強板
13U 上段
13D 下段
13G 段差部
2 突起
21 本体
211 天面
212 底面
213 正面
214 背面
215、216 側面
22 充填材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8