【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の包装体供給装置は、扁平製品を複数束ねて個々の周縁によるフィン状ないしヒダ状の凹凸側面が形成されたバンド包装体につき、順次移送されてくる当該包装体を箱詰めに際して整列し供給する、多関節ロボットおよび整列台を含んだ包装体供給装置であって、多関節ロボットが、包装体を掴み持つ掴持体と、掴持体を複数の回動軸により任意の姿勢に配向
させ包装体の押出用の押出板体
も備えた関節部と、順次移送されてくる包装体の上空から整列台上空にわたり関節部を水平および垂直移動させる移動部と、を有し、整列台が、包装体を載置する傾斜のついた載置台と、載置台の傾斜を受ける位置に箱詰めのための押出方向に沿って立設された規制板と、を有し、多関節ロボットが、順次移送されてくる包装体を掴持し、底面を規制板側に、側面を載置台側に向けて傾斜の登り方向に所定数順次重ねて載置台上に整列載置して第一層を形成し、次いで、底面を規制板側に、側面を載置台側に向けて傾斜の登り方向に所定数順次重ねて第一層上に整列載置して第二層を形成し、層形成に際しては、各包装体を当該包装体側面の凹凸の延伸方向が直下層の包装体側面の凹凸の延伸方向とずれた状態であるように進入させて載置し、同様の層形成を繰り返して所定層形成し終わったところで、押出方向上流に回り込んで、整列載置された包装体を押出板体によりまとめて押出方向下流へ向けて押し出して供給することを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項1にかかる発明は、一台の多関節ロボットのみにより、引っ掛かりが生じやすい包装体を安定的に段積みして箱詰め姿勢を形成し、プッシャ機能も持たせて円滑に製函装置側へ押し出し供給することができる。詳細には、載置台を傾斜させることにより、包装体を寄りかからせて姿勢安定性を高め、かつ、上積みの際には凹凸をずらして進入抵抗を低減し載置安定性を高めるようにしている。
【0016】
箱詰め、とは、必ずしも直方体状の箱に詰めることに限定されず、包装体を姿勢良く収容するのであれば、例えば袋詰めも該当し、特に限定されるものではない。掴持体とは、被掴持物すなわち包装体を姿勢安定性よく移動および配向可能であれば特に限定されず、例えば陰圧により吸着する吸着カップや二本の爪体により外側から挟む態様を挙げることができる。
【0017】
任意の姿勢に配向する、とは、掴持した包装体を所定の姿勢に配向することを意味し、例えば、二軸で配向が可能であれば、三軸を有さなくとも、任意の姿勢に配向する、に含まれるものとする。また、関節部を水平および垂直移動させる、とは、本願では、掴持した包装体が、他の装置構成物と干渉しないように移動をおこなうことを意味し、干渉しないのであれば垂直移動を伴わなくても、関節部を水平および垂直移動させる、に含まれるものとする。
【0018】
関節部は、例えば、パラレルロボットを挙げることができるが、xyzの3軸回動等により任意の配向が可能であれば特に限定されない。また、移動部がおこなう関節部の水平および垂直移動には、掴持体の支持棒等が伸長等することも含まれるものとする。
【0019】
載置台の傾斜は、包装体の姿勢が押し出し時も含めて安定しているのであれば特に限定されないが、例えば水平から20°傾ける態様を挙げることができる。規制板は所定高さの平板を挙げることができるが、必ずしも板状に限定されず、網状体であっても、(複数の)棒体により形成されていてもよく、包装体の傾きを受け止めて全体の姿勢を安定化させるものであれば規制板に含まれるものとする。なお、規制板は、押し出しの際の姿勢も安定させるべく所定の長さとしたガイドとするのが好ましい。
【0020】
ずれた状態であるように進入させる、とは、多関節ロボットにより包装体の向きを直下の包装体の向きからずらして進入させる場合と、多関節ロボットの進入方向は変わらず、下層の包装体の向きが予めずれており、ずれた位置関係として進入することとなる場合のいずれも含まれるものとする。なお、ここでいう凹凸の延伸方向とは、上下の包装体の近接した面における方向、すなわち、下層の上面の凹凸延伸方向と上層の下面の凹凸延伸方向をいう。
【0021】
同様の層形成を繰り返して所定層形成し終わる、とは、一層積みの後に繰り返して積層動作をおこなうことを意義し、三層以上の形成に限定されず、二層形成も含むものとする。使用の態様により、縦○個、横○個、高さ○個という3次元的な広がりを持たせた箱詰め姿勢を形成させることもできる。
【0022】
押出板体は、規制板と同様に、必ずしも板状に限定されず、網状体であっても、(複数の)棒体により形成されていてもよく、箱詰め姿勢に整列された包装体の総ての側面(端面)に一様に当接するものであれば押出板体に含まれるものとする。
【0023】
押出方向下流へ向けて押し出して供給する、とは、製函装置のライン上に待機させている大箱へそのまま押し込む態様であってもよく、また、別途受取コンベアを設け、受取コンベアへ供給する態様であってもよい。なお、受取コンベアを設ける場合は、その後受取コンベアから製函装置のライン上に待機させている大箱へ包装体を押し込む。
【0024】
請求項2に記載の包装体供給装置は、扁平製品を複数束ねて個々の周縁によるフィン状ないしヒダ状の凹凸側面が形成されたバンド包装体につき、順次移送されてくる当該包装体を箱詰めに際して整列し供給する、多関節ロボットおよび整列台を含んだ包装体供給装置であって、多関節ロボットが、包装体を掴み持つ掴持体と、掴持体を複数の回動軸により任意の姿勢に配向
させ包装体の押出用の押出板体
も備えた関節部と、順次移送されてくる包装体の上空から整列台上空にわたり関節部を水平および垂直移動させる移動部と、を有し、多関節ロボットが、順次移送されてくる包装体を掴持し、底面を規制板側に、側面を載置台側に向けて規制板によせて順次所定段まで段積みして第一山を形成し、次いで、第一山の前記傾斜登り方向の横隣に、底面を規制板側に、側面を載置台側に向けて順次所定段まで段積みして第二山を形成し、段積みに際しては、各包装体を当該包装体側面の凹凸の延伸方向が直下段の包装体側面の凹凸の延伸方向とずれた状態であるように進入させて載置し、同様の傾斜登り方向への山形成を繰り返して所定山形成し終わったところで、押出方向上流に回り込んで、整列載置された包装体を押出板体によりまとめて押出方向下流へ向けて押し出して供給することを特徴とする。
【0025】
すなわち、請求項2にかかる発明は、一台の多関節ロボットのみにより、引っ掛かりが生じやすい包装体を安定的に段積みして箱詰め姿勢を形成し、プッシャ機能も持たせて円滑に製函装置側へ押し出し供給することができる。詳細には、載置台を傾斜させることにより、包装体を寄りかからせて姿勢安定性を高め、かつ、上積みの際には凹凸をずらして進入抵抗を低減し載置安定性を高めるようにしている。
【0026】
同様の傾斜登り方向への山形成を繰り返して所定山形成し終わる、とは、一山を形成した後に繰り返して横に山形成動作をおこなうことを意義し、三山以上の形成に限定されず、二山形成も含むものとする。使用の態様により、縦○個、横○個、高さ○個という3次元的な広がりを持たせた箱詰め姿勢を形成させることもできる。
【0027】
請求項3に記載の包装体供給装置は、請求項1または2に記載の包装体供給装置において、
規制板の所定位置には凸体が配されており、規制板側一つ目の包装体の底面が凸体に当接して当該包装体が傾斜登り方向に対して斜めの姿勢に載置されることにより、傾斜登り方向の当該包装体と同一層の包装体それぞれが追従して斜めとなり、直上層の包装体が前記ずれた状態であるように進入することを特徴とする。
【0028】
すなわち、請求項3にかかる発明は、多関節ロボットを複雑化することなく簡素な駆動機構で「ずらし進入」ないし「すらし載置」を可能とする。換言すれば、下の包装体が自然に傾けられて整列載置されるので、多関節ロボットは包装体の底面を規制板と平行としたまま進入および載置可能となる。
【0029】
なお、凸体は、高さ方向に位置をずらして複数設けることにより、三層以上ないし三段以上の互い違いに若干傾けた(若干ずらした)安定的な箱詰め姿勢を形成することができる。
【0030】
請求項4に記載の包装体供給装置は、請求項1,2または3に記載の包装体供給装置において、バンド包装体がPTPシートのバンド包装体であることを特徴とする。
【0031】
すなわち、請求項4にかかる発明は、複数のフィンが形成された、抵抗の大きなバンド包装体を円滑に積み上げて箱詰め姿勢を形成することができる。
【0032】
請求項5に記載の包装体供給装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の包装体供給装置において、整列台は傾斜角を調整できるようにしたことを特徴とする。
【0033】
すなわち、請求項5にかかる発明は、扁平包装体の束ね数による上下面幅と束ね厚の比に追従させて、整列台への安定的な載置が可能となる。
【0034】
この他、本発明の包装体供給装置は、次の構成を備えていてもよい。
【0035】
(付加構成1)
載置台には押出方向の中途から台面が下流側へ向けて下る傾斜もつけてあり、当該傾斜面上に規制板に略平行であって規制板と共に整列載置された包装体を案内する補助板を設け、整列載置された包装体を型崩れなく高さずれを解消し供給をおこなう構成。これにより、段差をなくして同じ供給高さとし、より安定的に箱詰め姿勢を保持して供給先へ包装体を押出供給できる。なお、使用の態様により、載置台末端辺より供給先のラインの高さを若干下げて受け取りをおこなうようにしても良い。
【0036】
(付加構成2)
載置台に押出方向の中途から下流側へ向けて立設され、規制板に略平行であって規制板と共に整列載置された包装体を案内する補助板と、載置台を傾斜状態から水平状態へ傾きを変化させる駆動部と、を設け、整列載置された包装体が押出板体によりまとめて押出方向下流へ向けて押しだされ補助板に包装体が差し掛かった後に、駆動部が載置台を水平状態にする構成。これにより、供給高さを同じとし、より安定的に箱詰め姿勢を保持して供給先へ包装体を押出供給できる。駆動部は特に限定されないが、例えば、規制板直下を支軸として整列台を軸回動させる機構を挙げることができる。なお、押出供給後は、再び傾斜姿勢に戻して次の包装体を載置させていくようにする。
【0037】
(付加構成3)
載置台に押出方向の中途から下流側へ向けて立設され、規制板に略平行であって規制板と共に整列載置された包装体を案内する補助板と、補助板より押出方向上流に位置し、載置台に倒伏した状態から起立して整列載置された包装体を横支えして補助板へ導く起立板と、載置台を傾斜状態から水平状態へ傾きを変化させる駆動部と、を設け、包装体が所定数順次重ねて載置台上に整列載置された後に、駆動部が載置台を水平状態にする構成。これにより、段差をなくして同じ供給高さとし、より安定的に箱詰め姿勢を保持して供給先へ包装体を押出供給できる。また、早期に水平姿勢をとることができるので、供給速度を上げることも可能となる。起立板は補助板の立設延長線上を支軸としたフラップとすることができる。起立板と補助板とは必ずしも近接している必要はないが、包装体の長辺より短い間隔として円滑な受け渡しが実現されるようにするのが好ましい。なお、押出供給後は、再び起立板を倒伏状態に戻して、多関節ロボットとの間で干渉が生じないようにする。
【0038】
(付加構成4)
押出方向下流に、間欠駆動し、整列台から押し出される包装体を受け取る受取コンベアを有し、当該受取コンベアが、包装体の整列姿勢を保持する保持体を備え、包装体を更に下流の製函装置へ移送する構成。これにより、製函装置との間に受取コンベアを介在させ、安定的な姿勢維持を実現しつつ製函装置の汎用性を高めた箱詰めをおこなうことができる。保持体は特に限定されないが、受け取り上流で拡幅した二枚の保持板により構成することもでき、また、バケットにより構成しても良く、製函装置の仕様にあわせた設計とすればよい。なお、製函装置は使用の態様により箱詰め装置と言い換えることができる。製函装置によっては、製函装置の一構成として受取コンベアが設置されている場合もあり、これを利用する態様であっても良い。
【0039】
(付加構成5)
包装体を順次移送する移送コンベアを有し、多関節ロボットは移送コンベアから包装体を順次掴持する構成。これにより、ベルトコンベア(無端コンベア)を用いて円滑な包装体の供給が可能となる。なお、掴持体よる包装体の掴持は、適宜センサを用いて位置検出をおこなうようにする例を挙げることができる。なお、吸着して掴む場合は包装体の吸着性を妨げる部位を避けて吸着するようにすれば、吸着の確実性および姿勢安定性が高まる。