(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽の液体を液体使用機に移送する液移送用配管と、該液移送用配管に設けられて前記貯留槽から取り込んだ液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、前記貯留槽から前記液体使用機へ前記液体を送る液体圧送ポンプとを備えた気泡混入液生成供給装置において、
前記液移送用配管は、上流端が前記貯留槽につながる第1の配管部と、該第1の配管部に並列に設置され上流端が前記貯留槽につながる第2の配管部と、前記第1の配管部と第2の配管部の各下流側を合流させて成る合流配管部と、この合流配管部に上流端がつながると共にその下流端が前記液体使用機につながる下流側配管部とを有し、
前記気泡混入機構が前記第1の配管部に設けられ、前記第2の配管部を流れる前記液体の流量を可変設定する合流用液調整手段が、前記第2の配管部に設けられ、
前記気泡混入機構には前記液体中への気泡の混入量を調整する気泡混入量調整バルブが装備され、前記合流用液調整手段を合流用液調整バルブにより構成し、
前記液体圧送ポンプの下流側で且つ前記気泡混入率測定手段の上流側に位置する前記下流側配管部分に、前記気泡混入液内の気泡の微細化促進用として機能する通路絞りバルブを装備したことを特徴とする気泡混入液生成供給装置。
液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽の液体が液体使用機に移送されるのを案内する液移送用配管と、該液移送用配管に設けられ前記貯留槽から取り込んだ液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、前記液移送用配管に取り込まれる前記液体に前記液体使用機への移送力を付勢する液体圧送ポンプとを備えた気泡混入液供給システムにおいて、
前記液移送用配管は、上流端が前記貯留槽につながる第1の配管部と、該第1の配管部に並列に設置され上流端が前記貯留槽につながる第2の配管部と、前記第1の配管部と第2の配管部の各下流側を合流させて成る合流配管部と、この合流配管部に上流端がつながると共にその下流端が前記液体使用機につながる下流側配管部とを有し、
前記第1の配管部に、気泡混入量調整バルブを備えた前記気泡混入機構を装備すると共に、前記第2の配管部には当該第2の配管部を流れる前記液体の流量を可変設定する合流用液調整バルブを装備し、
前記液体圧送ポンプの下流側配管部に、前記気泡混入液内の気泡の微細化促進用として機能する通路絞りバルブを装備し、
前記液体使用機の上流側に位置する前記下流側配管部に、前記液体使用機で使用する気泡混入液の使用量を調整する使用液量調整バルブを装備し、
前記各バルブの開閉量を、個別に設定制御する本体制御部を設けたことを特徴とする気泡混入液供給システム。
貯留槽の液体が液体使用機に移送されるのを案内する液移送用配管と、この液移送用配管の前記貯留槽との連結側を構成する第1の配管部に装備され且つ前記貯留槽から取り込まれる液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、この気泡混入機構にて気泡が混入された気泡混入液に必要な移送力を付勢する液体圧送ポンプとを備え、
前記第1の配管部には、その下流側端部の合流配管部で合流すると共に前記貯留槽の液体を取り込む第2の配管部が並列に設置されて成る気泡混入液供給システムにあって、
前記気泡混入機構を稼働状態に設定し且つ予め装備された気泡混入量調整バルブを調整して前記第1の配管部内を移動する前記液体に対して気泡を混入する第1の工程と、
この気泡混入機構の稼働と共に前記第2の配管部内を移動する前記貯留槽の液体の移動量を、当該第2の配管部に予め装備された合流用液調整バルブによって設定制御する第2の工程と、
前記合流配管部で合流されて成る所定の気泡混入率の気泡混入液についてその使用量を、前記液移送用配管の下流側を成す前記下流側配管部に予め装備された使用液量調整バルブ18が調整する第3の工程とを設けると共に、
この第3の工程の実行に先立って機能し、前記液体圧送ポンプの下流側配管部に配設装備された通路絞りバルブを作動させて前記気泡混入液内の気泡の微細化を促進させる気泡微細化促進工程を設け、
これら各工程における前記各バルブの動作を、予め装備された本体制御部が順次実行することを特徴とした気泡混入液供給方法。
貯留槽の液体が液体使用機に移送されるのを案内する液移送用配管と、この液移送用配管の前記貯留槽との連結側を構成する第1の配管部に装備され且つ前記貯留槽から取り込まれる液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、該気泡混入機構にて気泡が混入された気泡混入液に必要な移送力を付勢する液体圧送ポンプと、これら各部の動作を制御する本体制御部とを備え、
前記第1の配管部には、その下流側端部の合流配管部で合流すると共に前記貯留槽の液体を取り込む第2の配管部が並列に設置されて成る気泡混入液供給システムにあって、
前記気泡混入機構を稼働させ且つ当該気泡混入機構に予め装備された気泡混入量調整バルブを駆動制御し、前記第1の配管部内を移動する前記液体に気泡を混入し気泡混入液を生成する気泡混入液生成制御機能、
この気泡混入機構の稼働と同時に又は相前後して稼働し、前記第2の配管部内を前記合流配管部に向けて移送される前記液体の移送量を、該第2の配管部に予め装備された合流用液調整バルブを駆動制御して調整する合流用液調整制御機能、
前記液体圧送ポンプの下流側配管部に配設装備された通路絞りバルブを作動させて前記気泡混入液内の気泡の微細化を促進させる気泡微細化促進機能、
および前記合流配管部で合流されて生成される気泡混入液についてその使用量を、前記液移送用配管の下流側配管部に予め装備された使用液量調整バルブを駆動制御して設定制御する使用液量設定制御機能、
を設け、これら各バルブに対する各動作制御機能を、前記本体制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする液供給システム用制御プログラム。』
【背景技術】
【0002】
洗浄液又は潤滑オイル等の液体内に気泡を混入させる方法としては、従来より下記のようなものが知られている。
(1).圧送ポンプの吸い込み側の負圧を利用してエジェクタ(アスピレータ)による吸い込む方法。
(2).液体と気体を同一容器の立体空間内で攪拌する方法。
(3).液体と気体をスポンジのような微細な間隙を通す方法。
(4).加圧して溶解させた状態から圧力を下げて気泡を発生させる方法。
(5).超音波により気泡を微細化する方法。
【0003】
この従来より知られている方法は、何れも、液体中に気体を如何にして微細に且つ大量に混入させるかという課題に対応したものであるが、例えば混入率を定量的に制御するに必要な具体的な技術についての開示は見られない。
ここで、気泡混入率Kは、下式で定義される。
気泡混入率K(%)=〔(W−W’)/W〕×100
ここで、
W :純液体重量(100cc)
W’:気体混入した液体重量(100cc)
とする。
【0004】
一方、上述した気泡混入液にかかる先行技術としては、下記の特許文献1,2が知られている。
この内、特許文献1には、開閉バルブであるエジェクタ(アスピレータ)が並列に複数装備され、その開閉の数を調整することにより気泡の混入率を設定する技術が開示されている。
【0005】
又、特許文献2には、気泡が混入された液体と気泡が混入されていない液体とを一つの液槽内に入れ、予めそれぞれの量を設定しておくことによって、全体の気泡混入率を調整する技術が開示されている。
【0006】
液体中に気泡を混入させる具体的な従来手法として、他に、
図6に示すエジェクタ型の気泡混入器が知られている。この
図6に示すエジェクタでは、液体流入口102から液体を流入させ、流路の形状103を
図6に示すように図の中央部で絞り込む形状とし、その部分に、外部から気体を吸い込む気体用絞り部101を設ける。
このようにすると、流路形状103の絞り込み部分は流速が上がるため、当該箇所では圧力が下がり、このため、同図の上側に位置する気体絞り部101から気体が吸い込まれて気泡として混入されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液体中に気泡を混入させるに際しては、単に大量に気泡が混入されればいい、ということではなく、混入率について正確な調整が必要な場合がある。
例えば、電子部品を装備する基板等の洗浄に効果を発揮する気泡混入水や、生物育成のための酸素導入に際しては、気泡混入率の最適値にかかる一定幅の混入率範囲が存在し、それよりも多過ぎても少な過ぎてもその効果を損なう恐れがある。
【0009】
しかしながら、この
図6のエジェクタによる気泡混入方法にあっては、混入率を調整するための液体用絞り部の流路形状103の流速や圧力,更には当該流路形状103の調整等が、気体吸い込み量に大きく影響する。
このため、それぞれを固定した条件の下では混入率は安定するものの、混入率を変えようとする場合の調整は非常に難しいという本質的な問題がある。
【0010】
一方、特許文献1のものは、前述したように開閉弁と
図6に示すエジェクタと同等のエジェクタとを直列に対にして、更にこれらを並列に複数個並べて各弁の開閉を制御し、これによって、混入率を制御するようにしたものである。しかしながら、この方法では、構成が大がかりとなり制御も複雑になる、という不都合がある。
【0011】
又、特許文献2のものは、気泡混入液体の量と、気泡が混入されていない液体の量とを予めそれぞれ調整して槽の中に注ぎ込み、全体として気泡の混入率を調整するようにしたものであり、そのため、混入槽と攪拌機構の両方の設備を必要とするという不都合が常に存在する。
【0012】
更に、昨今にあっては、潤滑油に微細気泡を混入して潤滑効果を高める研究も見られる(特開2011-007524 号公報)。この場合、潤滑効果が良好な気泡混入率の設定については、多くの場合、潤滑油によって異なることから、最適な気泡混入率を特定するための試験装置(例えば、気泡混入率を0%から20%位迄可変設定可能なもの)を必要とする社会的要請もある。
【0013】
しかしながら、前述した関連技術および特許文献1,2にあっては、何れも上記社会的要請に対応可能な技術については、何ら開示されてはいない。
【0014】
〔発明の目的〕
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、洗浄水や潤滑オイル等の液体中に混入する気泡の混入量を任意に可変設定することができる汎用性の高い気泡混入液生成供給装置、気泡混入液供給システム、気泡混入液生成方法、及びそのプログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明にかかる気泡混入液生成供給装置は、液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽の液体を液体使用機に移送する液移送用配管と、該液移送用配管に設けられて前記貯留槽から取り込んだ液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、前記貯留槽から前記液体使用機へ前記液体を送る液体圧送ポンプとを備えた気泡混入液生成供給装置において、
前記液移送用配管は、上流端が前記貯留槽につながる第1の配管部と、該第1の配管部に並列に設置され上流端が前記貯留槽につながる第2の配管部と、前記第1の配管部と第2の配管部の各下流側を合流させて成る合流配管部と、この合流配管部に上流端がつながると共にその下流端が前記液体使用機につながる下流側配管部とを有し、
前記気泡混入機構が前記第1の配管部に設けられ、前記第2の配管部を流れる前記液体の流量を可変設定する合流用液調整手段が、前記第2の配管部に設けられ、
更に、前記気泡混入機構には前記液体中への気泡の混入量を調整する気泡混入量調整バルブが装備され、前記合流用液調整手段を合流用液調整バルブにより構成し、
前記液体圧送ポンプの下流側で且つ前記気泡混入率測定手段の上流側に位置する前記下流側配管部分に、前記気泡混入液内の気泡の微細化促進用として機能する通路絞りバルブを装備したことを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明にかかる気泡混入液供給システムは、液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽の液体が液体使用機に移送されるのを案内する液移送用配管と、該液移送用配管に設けられ前記貯留槽から取り込んだ液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、前記液移送用配管に取り込まれる前記液体に前記液体使用機への移送力を付勢する液体圧送ポンプとを備えている。
【0017】
更に、この気泡混入液供給システムでは、前記液移送用配管が、上流端が前記貯留槽につながる第1の配管部と、該第1の配管部に並列に設置され上流端が前記貯留槽につながる第2の配管部と、前記第1の配管部と第2の配管部の各下流側を合流させて成る合流配管部と、この合流配管部に上流端がつながると共にその下流端が前記液体使用機につながる下流側配管部とを有し、
前記第1の配管部に、気泡混入量調整バルブを備えた前記気泡混入機構を装備すると共に、前記第2の配管部には当該第2の配管部を流れる前記液体の流量を可変設定する合流用液調整バルブを装備し、
前記液体圧送ポンプの下流側配管部に、前記気泡混入液内の気泡の微細化促進用として機能する通路絞りバルブを装備すると共に、
前記液体使用機の上流側に位置する前記下流側配管部に、前記液体使用機で使用する気泡混入液の使用量を調整する使用液量調整バルブを装備し、
更に、前
記各バルブの開閉量を
、個別に設定制御する本体制御部を設けたことを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明にかかる気泡混入液供給方法は、貯留槽の液体が液体使用機に移送されるのを案内する液移送用配管と、この液移送用配管の前記貯留槽との連結側を構成する第1の配管部に装備され且つ前記貯留槽から取り込まれる液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、該気泡混入機構にて気泡が混入された気泡混入液に必要な移送力を付勢する液体圧送ポンプとを備え
、
前記第1の配管部には、その下流側端部の合流配管部で合流すると共に前記貯留槽の液体を取り込む第2の配管部が並列に設置されて
成る気泡混入液供給システムにあって、
外部からの動作指令に基づいて前記気泡混入機構を稼働状態に設定し且つ予め装備された気泡混入量調整バルブを調整して前記第1の配管部内を移動する前記液体に
対して気泡を混入す
る第1の工
程と、
この気泡混入機構の稼働
と共に前記第2の配管部内を移動する前記貯留槽の液体の移動量を、当該第2の配管部に予め装備された合流用液調整バルブによって設定制御す
る第2の工
程と、
前記合流配管部で合流されて成る所定の気泡混入率の気泡混入液についてその使用量を、前記液移送用配管の下流側を成す前記下流側配管部に予め装備された使用液量調整バルブ18が調整す
る第3の工程とを設け
ると共に、
この第3の工程の実行に先立って機能し、前記液体圧送ポンプの下流側配管部に配設装備された通路絞りバルブを作動させて前記気泡混入液内の気泡の微細化を促進させる気泡微細化促進工程を設け、
これら各工程における前記各バルブの
動作を、予め
装備された本体制御部
が順次実行することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明にかかる液供給システム用制御プログラムは、貯留槽の液体が液体使用機に移送されるのを案内する液移送用配管と、この液移送用配管の前記貯留槽との連結側を構成する第1の配管部に装備され且つ前記貯留槽から取り込まれる液体中に気泡を混入させる気泡混入機構と、該気泡混入機構にて気泡が混入された気泡混入液に必要な移送力を付勢する液体圧送ポンプと
、これら各部の動作を制御する本体制御部とを備
え、
前記第1の配管部には、その下流側端部の合流配管部で合流すると共に前記貯留槽の液体を取り込む第2の配管部が並列に設置されて
成る気泡混入液供給システムにあって、
前記気泡混入機構を稼働させ且つ当該気泡混入機構に予め装備された気泡混入量調整バルブを駆動制御し、前記第1の配管部内を移動する前記液体
に気泡を混入し気泡混入液を生成する気泡混入液生成制御機能、
この気泡混入機構の稼働と同時に又は相前後して稼働し、前記第2の配管部内を前記合流配管部に向けて移送される前記液体の移送量を、該第2の配管部に予め装備された合流用液調整バルブを駆動制御し
て調整する合流用液調整制御機能、
前記液体圧送ポンプの下流側配管部に配設装備された通路絞りバルブを作動させて前記気泡混入液内の気泡の微細化を促進させる気泡微細化促進機能、
および前記合流配管部で合流されて生成され
る気泡混入液についてその使用量を、前記液移送用配管の下流側配管部に予め装備された使用液量調整バルブを駆動制御し
て設定制御する使用液量設定制御機能、
を設け、これら各バルブ
に対する各動作制御機能を
、前記本体制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上のように構成したので、これによると、気泡混入機構で一定量の気泡が混入された気泡混入液の移送時に気泡が混入されていない若しくは気泡の混入量の少ない同質の液体を気泡混入率調整液としてその適量を合流させて移送するようにしたので、気泡混入液の気泡混入率を任意に且つ円滑に可変設定し得る汎用性の高い気泡混入液生成供給装置、気泡混入液供給システム、気泡混入液供給方法、及びそのプログラムを提供することができる(請求項1乃至
10)。
【0021】
又、本発明では、液体使用機に送られる前記液体の流量を制御する使用液量調整バルブが前記下流側配管部に設けられ、該使用液量調整バルブの上流側にて上流端が前記下流側配管部につながると共に、その下流端が前記貯留液槽につながる余剰液循環用配管を設けたので、例えば、使用液量調整バルブで液の使用量が制限された場合には、その余剰分が余剰液循環用配管を介して貯留槽へ円滑に戻される。使用液量調整バルブの急激な操作に際しても発生するサージ現象の悪影響を有効に回避することができる。即ち、液体の使用量に応じて使用液量調整バルブを調整するだけで、気泡混入液の余剰分は貯留槽へ自動的に戻される。これにより、液体の有効利用と装置の円滑な動作が担保されている(請求項2)。
【0022】
又、本発明によると、液体圧送ポンプを前記第1,第2の各配管部の合流点の下流側に装備したので、第1の配管部の合流点側、即ち気泡混入機構の下流側である気泡混入部分を、容易に且つ確実に負圧状態に設定することができ、このため、気泡混入機構部分での液体中への気泡の混入を有効に且つ効率よく行うことができる(請求項3)。
【0023】
更に、本発明では、液体圧送ポンプの下流側の前記液移送用配管部分に、液体中の気泡の混入率を計測する気泡混入率測定手段を装備したので、これにより、液体使用機に近い位置で気泡混入率が測定されることから、オペレータは当該液体使用機にて使用される所望の気泡混入率をリアルタイムで確認することができ、気泡混入率がずれた場合にはオペレータが迅速対応し得る点で都合がよい(請求項4)。
【0024】
又、本発明では、前記気泡混入機構には液体中への気泡の混入量を調整する気泡混入量調整バルブを装備すると共に、前記合流用液量調整手段を合流用液調整バルブにより構成したので、これにより、例えば動作開始前に設定された気泡混入量調整バルブを調整して動作開始後の液体中の気泡混入率を予め設定することができ、同時に、動作開始後は、合流用液調整バルブの開度を自在に可変設定して合流用液の混入量(気泡混入率調整液)の大小を自在に設定することができ、これによって、気泡混入機構にかかる気泡混入量調整バルブを可変制御することなく、液体中の気泡混入率を一定の範囲内で高低自在に可変設定することができる(請求項
1)。
【0025】
更に、本発明では、前述した液体圧送ポンプの下流側で且つ前記気泡混入率測定手段の上流側の前記配管部分に、前記気泡混入液内の気泡の微細化促進用として機能する通路絞りバルブを装備したので、通路絞りバルブのバルブ操作で気泡混入液内の気泡の微細化が促進され、これによって液体内の気泡の外部への逃げを抑制することができ、使用中でも一定の気泡混入率が維持されるので、例えば、予期した洗浄効果を継続して維持することができる(請求項
1)。
【0026】
更に、本発明では、貯留槽に、内部の液体の温度を予め設定された温度に設定制御する液温設定装置を併設し、この液温設定装置を、前記貯留槽内の液中に配置されたヒータと、このヒータに加熱される液体の温度を測定する液温センサと、この液温センサからの温度情報に基づいて作動し予め設定された適正温度の設定に向けて前記ヒータを通電制御する温度制御部とを含む構成としたので、これにより、貯留槽内の液温は、周囲環境の温度変化があっても常に一定温度に保持され、液体自身の温度特性(例えば潤滑度や洗浄能力などの)が常に一定の状態を維持し得るようになっている(請求項
5)。
【0027】
又、本発明では、前述した気泡混入量調整バルブと前記合流液量調整バルブとを、それぞれ各バルブの駆動量を電気的に変更可能な構造とすると共に、この各調整バルブのバルブ開度を外部指令によって個別に設定するバルブ開度設定制御部を設けたので、これにより、まず、装置全体の稼働前に気泡混入量調整バルブの開度を調整して気泡混入量が例えば最大となるように設定することができ、次に、実際の装置稼働中に合流液量調整バルブの開度を自在に調整して第1,第2の各配管部の合流点以降の液移送用配管を流動する気泡混入液の気泡混入率を、予め設定された最大値以下の範囲内で、自在に且つ円滑に可変設定することが可能となる(請求項
6)。
【0028】
更に、本発明では、前述した通路絞りバルブの通路絞り量を電気的に変更可能な構造とし且つこの通路絞りバルブの絞り量を前記気泡混入率測定手段で得られる情報に基づいて調整する微細化調整制御部を設けたので、微細化調整制御部に外部から所定の指令を入力して通路絞りバルブの通路絞り量を自在に可変設定し、これによって液移送用配管内を流動する気泡混入液内の気泡の微細化を図り、気泡の液中閉じ込めを図り、必要とする気泡混入率の気泡混入液を液体使用機に確実に供給し得るようにした(請求項
7)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を、
図1乃至
図4に基づいて説明する。
(全体的な構成)
本発明にかかる気泡混入液供給システム1は、
図1に示すように、その中枢部を成す気泡混入液生成供給装置2と、この気泡混入液生成供給装置2の全体の動作を各構成要素毎に個別に制御する本体制御部3とを備えている。
【0031】
この内、気泡混入液生成供給装置2は、
図1の右端部に設置され液体使用機1Aに当該液体使用機1Aで必要としている液体(本第1実施形態では洗浄液)を供給するための装置で、当該洗浄液としての液体の必要量を予め貯留する貯留槽10と、この該貯留槽10の液体を液体使用機1Aに移送する液移送用配管11と、この液移送用配管11に設けられ前述した貯留槽10から取り込んだ液体中に気泡を混入させる気泡混入機構12及び気泡混入量調整バルブ12Cと、貯留槽10から液体使用機1Aへ前記液体を送る液体圧送ポンプ15とを備えている。
【0032】
ここで、液移送用配管11は、上流端が貯留槽10につながる第1の配管部11Aと、この第1の配管部に並列に設置され上流端が前述した貯留槽10につながる第2の配管部11Bと、これら第1の配管部11Aと第2の配管部11Bの各下流側を合流させて成る合流配管部11Gと、この合流配管部11Gに上流端がつながると共にその下流端が上記した前記液体使用機1Aにつながる下流側配管部11Cとを備えて構成されている。
【0033】
そして前述した気泡混入機構12は上記第1の配管部11Aに設けられ、第2の配管部11Bを流れる前記液体の流量を可変設定する合流用液調整手段としての合流用液調整バルブ14が、第2の配管部11Bに設けられている。
【0034】
ここで、貯留槽10には、当該貯留槽10内の液体の温度(以下「液温」という)を常時一定に保持する液温設定装置20が併設されている。又、貯留槽10内の液体については、本第1実施形態では、液体使用機1Aでの基板等の洗浄を意図して洗浄液としているが、後述するように、液体使用機1Aの実態に応じて、例えば洗浄液に代えて潤滑油を気泡混入の対象液としてもよい。
【0035】
上記気泡混入液生成供給装置2は、更に、上記第1の配管部11Aに並列に装備された装備され当該第1の配管部11Aにて前記貯留槽10から連続して取り出される液体に気泡を混入させる気泡混入機構12及び気泡混入量調整バルブ12Cに対応して、上記第2の配管11Bに、前記貯留槽10から連続して取り出される液体の流量を自在に調整する合流用液調整手段14を装備している。
【0036】
この合流用液調整手段14は、前述した気泡混入機構12から送り出される気泡混入液に対して、貯留槽10から取り出される液体の流量を調整してその適量を合流させて液中の気泡混入率を調整するためのもので、本第1実施形態では前述したように合流用液調整バルブが使用されている。
【0037】
また、前述した合流配管部11Gは、第1及び第2の各配管部11A,11Bで取り出した前記液体を合流させる配管合流点を示す。本第1実施形態では、この合流配管部11Gにおいて、上述した第1及び第2の各配管部11A,11Bの配管の各下流端と前述した液移送用配管11の下流側配管部11Cの上流端とが、一体的に連結されている(
図2参照)。
【0038】
このように、所定量の気泡が混入された気泡混入液の移送中の配管内である合流配管部11Gで、当該気泡混入液と同質の気泡の混入の少ない(又は気泡の混入のない)液体の適量とを気泡混入率調整用として合流させるようにしたので、第2の配管部11Bの合流用液調整バルブ(合流用液調整手段)14のバルブ開度を調整することにより、第1の配管部11Aで生成される気泡混入液の気泡混入率を、気泡混入機構12側の気泡混入量調整バルブ12Cを可変制御しない場合でも、任意に且つ円滑に可変設定することができる。
【0039】
ここで、この気泡混入量調整バルブ12Cについて、例えば動作開始前に調整して動作開始後の液体中の気泡混入率を予め設定してもよい。同時に、動作開始後は、合流用液調整バルブ14の開度を自在に可変設定して合流用液の混入量(気泡混入率調整液)の大小を自在に設定することができ、これによって、上記したように、気泡混入機構12にかかる気泡混入量調整バルブ12Cを可変制御することなく、移送液体中の気泡混入率を所定の範囲内で高低自在に可変設定することができる。
【0040】
更に、前述した液移送用配管11上で、
図1の合流配管部11Gから下流側の液体使用機1Aに至る下流側配管部11C上には、図示の如く、上流側から順に前記貯留槽10から第1及び第2の各配管部11A,11Bを介して取り出され気泡が混入された上記液体に対して必要な移送力(流力)を付勢する液体圧送ポンプ15と、前述した気泡混入液内の気泡の微細化促進用として好適な通路絞りバルブ16と、この通路絞りバルブ16を通過後の気泡混入液の気泡混入率を測定する気泡混入率測定手段17と、液体使用機1Aで実際に使用される気泡混入液の量を調整する使用液量調整バルブ18と、この使用液量調整バルブ18から送り出される気泡混入液の流量を測定する流量センサ19とが、直列に装備されている。
【0041】
この場合、液体圧送ポンプ15を、合流配管部11Gの下流側に装備したので、第1の配管部11Aの合流配管部11G側、即ち、気泡混入機構12の下流側である気泡混入部分を容易に且つ確実に負圧状態に設定することができ、このため、気泡混入機構12部分での液体中への気泡の混入を、気泡混入量調整バルブ12Cを調整するだけで効率よく行うことが可能となる。
【0042】
また、液体圧送ポンプ15の下流側の下流側配管部11C部分に、前述したように液体中の気泡の混入率を計測する気泡混入率測定手段17を装備したので、液体使用機1Aに近い位置で気泡混入率が測定されることから、当該液体使用機1Aにて使用される所望の気泡混入率を、オペレータはリアルタイムで確認することができ、気泡混入率が目標値からずれた場合には当該オペレータが迅速に対応し得る点で都合がよい。
【0043】
更に、液体圧送ポンプ15の下流側で且つ前記気泡混入率測定手段17の上流側の下流側配管部11C部分に、前記気泡混入液内の気泡の微細化促進用として機能する通路絞りバルブ16を装備したので、この通路絞りバルブ16のバルブ操作によって気泡混入液内の気泡の微細化が促進され、これにより、液体内の気泡の外部への逃げを抑制することができ、使用中でも一定の気泡混入率が維持されるので、例えば、予期した洗浄効果を継続維持することができる点で都合がよい。
【0044】
又、上記気泡混入液生成供給装置2は、前述したように、気泡混入率測定手段17の下流側に、使用液量調整バルブ18と当該使用液量調整バルブ18から送り出される気泡混入液の流量を測定する流量センサ19とを装備したので、液体使用機1Aに送り込まれる気泡混入液の流量を、オペレータは常時把握しその増減設定を自在に成し得るようになっている。
【0045】
このように構成することにより、複雑で高度の機器を装備することなく、液体使用機1Aに対し、気泡混入率が管理された気泡混入液の適量を、比較的安価な設備で円滑に且つ自在に設定することが可能となるという利点がある。
ここで、上記気泡混入率測定手段17については、後述するように液体用密度計17Aによって構成してもよい。
【0046】
又、上記気泡混入率測定手段17と使用液量調整バルブ18との間に位置する下流側配管部11C部分には、使用液量調整バルブ18で使用量が制限された気泡混入液の余剰分を前述した貯留槽10に向けて戻す余剰液循環用配管(余剰液循環路)11Eが設けられている。
【0047】
即ち、前述した液体使用機1Aに送られる液体(気泡混入液)の流量を制御する使用液量調整バルブの上流側にて上流端が前述した下流側配管部11Cにつながると共に、その下流端が前述した貯留液槽10につながる余剰液循環用配管(余剰液循循環路)11Eを設けた。このため、例えば、使用液量調整バルブで液の使用量が制限された場合には、その余剰分が余剰液循環用配管11Eを介して貯留槽10へ円滑に戻される。この場合、使用液量調整バルブ18の急激な操作に際しても、発生するサージ現象の悪影響を有効に回避することができる。即ち、気泡混入液の使用量に応じて使用液量調整バルブ18を調整するだけで、気泡混入液の余剰分は貯留槽10へ自動的に戻される。これにより、液体の有効利用と装置の円滑な動作が担保されている。
【0048】
これにより、使用液量調整バルブ18は、上述した各部の適正動作を許容しつつ当該各構成部分に負荷変動を与えることなく、液体使用機1Aに供給する気泡混入液の液量を、自在に調整し且つ自由に可変設定することができる、という汎用性の高い且つ耐久性ある気泡混入液生成供給装置2が得られる。
【0049】
又、本第1実施形態では、上記気泡混入液生成供給装置2に加えて、オペレータが意図する気泡混入率を備えた気泡混入液を得るために、前述した各バルブ12C,14,16,18の各動作およびの液体圧送ポンプ15の動作を、予め個別に設定されたプログラムに従って可変制御する本体制御部3が装備されている。そして、この本体制御部3と上記した気泡混入液生成供給装置2とにより、前述したように、気泡混入液供給システム1が構成されている。
【0050】
次に、上記気泡混入液生成供給装置2の各構成について、更に具体的に説明する。
【0051】
(気泡混入液の生成部および気泡混入率の調整部)
気泡混入液を生成する気泡混入機構12は、前述したように第1の配管部11Aに装備されている(
図1,
図2参照)。
この第1の配管部11Aは、気泡混入機構12を介して連結された取液側配管部11Aaと気泡混入液送出側配管部11Abとからなる。そして、取液側配管部11Aaの先端部が前述した貯留槽10内の液中に配設され、又、気泡混入液送出配管部11Abの下流側が前述した合流配管部11Gにて液移送用配管11の下流側配管部11Cに連結されている。
【0052】
又、気泡混入機構12には、取液側配管部11Aaを介して貯留槽10から取り出された液体に所定量の気泡を混入するための気泡混入量調整バルブ12Cが、前述したように装備されている。この気泡混入量調整バルブ12Cは、そのバルブの開度を調整することにより、気泡混入機構12における気泡の混入率を設定する機能を備えている。
【0053】
これにより、前述した液体圧送ポンプ15に付勢されて貯留槽10から取液側配管部11Aaを介して取り込まれた液体中に、気泡混入量調整バルブ12Cによって設定されたバルブ開度と気泡混入機構12内の負圧との関係で特定される所定量の気泡が、当該気泡混入機構12部分で効率よく連続して混入されることとなる。
即ち、気泡混入機構12によって所定量の気泡が混入された気泡混入液が、第1の配管部11Aから合流配管部11Gに向けて連続して送り出されるようになっている。
【0054】
ここで、上記気泡混入機構12は、本第1実施形態では
図4に示すようにエジェクタが使用されている。このエジェクタについては、具体的には後述するが、
図6に示すエジェクタと同等のエジェクタが使用されている。
【0055】
一方、気泡混入率を調整するための合流液の適量を調整する合流用液調整バルブ14は、前述したように第2の配管部11Bに装備されている。
ここで、この第2の配管部11Bは、
図2に示すように、合流用液調整バルブ14を介して連結された取液側配管部11Baと合流用液送出側配管部11Bbとにより構成されている。そして、取液側配管部11Baの先端部が(前述した第1の配管部11Aの場合と同様に)前述した貯留槽10内の液中に配設され、又、合流用液送出配管部11Bbの下流側が上記合流配管部11Gにて前述した第1の配管部11Aに合流し且つ前記液移送用配管11の下流側配管部11Cに連結されている。
【0056】
この内、合流用液調整手段14は、前述した気泡混入機構12から送り出される気泡混入液を合流配管部11Gで合流させることを前提として、その合流液全体の気泡混入率を連続的に且つ高精度に調整するためのものであり、上述したように本第1実施形態では合流用液調整バルブが使用されている。
【0057】
即ち、この合流用液調整バルブ(合流用液調整手段)14は、そのバルブの開度を調整することにより、前述したように合流配管部11Gで前述した気泡混入液に合流させる気泡を含まない(若しくは気泡混入量の少ない)液体の適量を、予め調整し設定する機能を備えている。
これにより、液移送用配管11を介して前述した液体使用機1Aに送り込む気泡混入液の気泡混入率を、用途に合わせて小刻みに(又は任意の割合に)且つ自在に設定することが可能となる。
【0058】
(貯留槽10)
上記貯留槽10には、洗浄液としての液体の必要量が、予め蓄えられている。そして、この液体については、システム全体の稼働と共に、その不足分が外部から常時補給されるようになっている。
符号10Aは液体補給バルブを示し、符号10Bは廃液バルブを示す。又、前述した第1,第2の各配管部11A,11Bは、貯留槽10内では前述した液体補給バルブ10A側とは微細ゴミ除去網1Cで仕切られて反対側に配設されている。
【0059】
又、この貯留槽10には、内部の液体を常時一定温度(例えば20〔℃〕、40〔℃〕、又は60〔℃〕等)に維持する温度設定装置20が装備されている。
ここで、符号20Aは防水型加熱器を示し、符号20Bは温度センサを示し、符号20Cは温度調整器を示す。又、符号20Eは温度制御部を示す。この温度制御部20Eは、後述する本体制御部3の主制御部35からの指令で作動し、温度調整器20Cを介して防水型加熱器の通電電流を制御し貯留槽1内の液温を一定値に設定制御する機能を備えている。
【0060】
この貯留槽10には、更に、前述した余剰液循環用配管11Eの液戻り側の端部が、配設されている。この余剰液循環用配管11Eは、前述したように、液移送用配管11の下流側で余剰の気泡混入液が生じた場合に当該余剰の気泡混入液を貯留槽10に戻すための液戻し配管として機能する。
このため、貯留槽10内に貯留される液体としては、実際には、気泡が混入されない液体の場合と使用状況に応じて気泡が僅かに混入された状態の液体との両方の場合が含まれている。
【0061】
ここで、貯留槽10内に設置される前述した余剰液循環用配管11Eの液戻り側の端部(排出口)は、本第1実施形態では、前述した第2の配管部11Bの取液側配管部11Baの吸液口部分の設置位置から十分離れた位置に配設されている。より好ましくは、第1の配管部11Aよりも離れた位置であるとよい。
【0062】
これにより、第2の配管部11Bでは、気泡混入率の低い液体が取液(取り込まれる)されることとなり、気泡混入率の調整用として有効に機能するものとなっている。
【0063】
(気泡混入機構12)
第1の配管部11Aに装備された気泡混入機構12として、本第1実施形態では、前述した
図4に示すエジェクタが使用されている。
この
図4において、エジェクタ(気泡混入機構)12は、液流入口102から吸液配管部11Aaを介して貯留槽10内の液体が流入するようになっており、又、流路の形状が
図4に示すように絞り込む形状に予め形成されている。
【0064】
この気泡混入機構12は、具体的には、流路の絞込み部103の吸気幅103Aを設定する軸芯体12Bと、この軸芯体12Bを
図4の左端部でねじ部12aを介して保持するエジェクタ本体12Aとを備えている。そして、前記絞込み幅103部分には、
図4の上部から外部の気体が吸入されるのを許容する構造となっている。そして、当該気体の吸入量を調整する気泡混入量調整バルブ12Cが、前述したように装備されている。
【0065】
このようにすると、下流側に位置する液体圧送ポンプ15のポンプ吸引力によって絞込み部103で液体の流速が上がり同時に当該箇所の圧力が下がり(負圧状態の発生)、このため、
図4の上側に位置する気体絞り部101から気体が吸気幅103Aを介して吸い込まれ、連続的に混入されるようになっている。
【0066】
この場合、エジェクタによる気泡の混入率は粗い調整でよい。そして、これによって生成される気泡混入液に対して、前述したように、第2の配管部11Bを介して貯留槽10内の液体を合流配管部11Gで合流させることにより、エジェクタのみでは不安定な気泡混入率の可変設定が、第2の配管部11Bに装備された合流用液調整バルブ(合流用液調整手段)14の調整によって、気泡混入機構12側の気泡混入量調整バルブ12Cを可変制御することなく、任意に且つ円滑に可変設定することができる。
【0067】
(気泡混入率の計測)
又、前述した液体圧送ポンプ15の下流側に位置する液移送用配管11の下流側配管部11C部分に、前述したように、液体中の気泡の混入割合を計測する気泡混入率測定手段17が装備されている。これにより、気泡混入液の使用領域に送り込む気泡混入液の気泡混入率を連続的に捕捉し外部に知らしめることが可能となっている。この場合、気泡混入率測定手段17は、例えば第2実施形態に示す液体密度計を使用してもよい。
【0068】
(通路絞りバルブ16/気泡の微細化促進)
更に、前述した液体圧送ポンプ15の下流側で且つ前記気泡混入率測定手段17の上流側の前記下流側配管部11C部分に、前記気泡混入液内の気泡の微細化を促進するための通路絞りバルブ16が装備されている。
即ち、液合流後の液体圧送ポンプ15の後に、絞り弁(通路絞りバルブ16)を設けると、この絞り弁を通り抜けると圧力が急減し且つ通常圧の液体に衝突するので、混入した気泡は更に微細化する。
これにより、液体使用機1Aに送り込む気泡混入液の気泡粒が更に微細化され、洗浄液として好適な気泡混入液を得ることができる。
【0069】
(各バルブ用駆動制御部)
ここで、上述した各バルブ12C,14B,16,18の各動作を個別に制御する各バルブの駆動制御部について説明する。
まず、前述した気泡混入量調整バルブ12C及び合流液量調整バルブ14Bについては、何れもバルブ開度を電気的に変更可能なものが使用され、これに対応して、外部指令により設定された開度情報に基づいて各バルブ12C,14Bのバルブ開度を個別に設定制御するバルブ開度設定制御部31が設けられている。
【0070】
又、前述した通路絞りバルブ16及び使用液量調整バルブ18についても、何れもバルブ開度が電気的に変更可能なものが装備され、動作開始時になされる外部指令にて設定される開度情報に基づいて作動し、対応する各バルブ16,18のバルブ開度を個別に設定する微細化調整制御部32,液量調整制御部33が、それぞれ個別に設けられている。
これらの各バルブの動作制御部31,32,33および前述した液体圧送ポンプ15は、本第1実施形態ではオペレータによる外部からの設定指令又は設定操作に基づいて動作するように構成されているが、後述する主制御部35の指令に基づいて各バルブを駆動制御するように構成してもよい。
【0071】
(本体制御部3)
この本体制御部3は、前述したように、上記各バルブ開度設定制御部31,微細化調整制御部32,及び液量調整制御部33と、これらの各動作制御部の所定の動作指令を発信する主制御部35とを含んで構成されている。
この場合、主制御部35からの指令によって、各動作制御部がオペレータによる外部指令に基づいて各バルブ12C,14B,16,18を個別に動作制御するように構成してもよい。
又、液体圧送ポンプ15については、本第1実施形態では主制御部35からの指令に基づいてその出力動作が設定制御されるように構成されているが、操作盤(図示せず)からのオペレータによる直接指令に基づいて動作するように構成してもよい。
【0072】
又、主制御部35には、予め指令入力部35A,記憶部36,および表示部37が併設されており、前述した各制御部31,32,33に対する制御動作指令は、この入力部35Aからの外部指令により、又は前記記憶部36に予め格納されたプログラムや動作基準情報に基づいて発信されるようになっている。液体圧送ポンプ15に対しても同様である。そして、主制御部35による上記各動作指令等については、時間の経過順に前記表示部37に表示されるようになっている。
ここで、上記主制御部35については、その制御指令その他の制御動作について、これを実行するコンピュータを予め装備するように構成してもよい。
【0073】
ここで、符号40は、サンプル採取用バルブを示す。このサンプル採取用バルブ40は、使用液量調整バルブ18を通過して液体使用機1Aへ供給される直前の気泡混入液をサンブル採取して、気泡混入率を厳密測定するためのものである。符号41はサンブル採取器を示す。
【0074】
(全体的動作)
次に、
図3のフローチャートに基づいて上記第1実施形態の動作を説明する。
最初に、本第1実施形態の要部である気泡混入液生成供給装置2の基本的な動作を説明し、その後に、気泡混入液供給システムの全体的な動作を説明する。
【0075】
まず、システム全体が稼働状態に設定されると、貯留槽10の温度設定装置20が作動し、貯留槽1内の液体が例えば20〔℃〕に設定制御され、同時に液体圧送ポンプ15が稼働し(
図2:ステップS101,S102)、これによって、まず、貯留槽1内の液体が第1,第2の配管部11A,11Bで気泡混入用としてそれぞれ各別に取り出される。続いて、液移送用配管11の下流側配管部11Cを介して液体使用機1Aへ移送される状態が設定される。
【0076】
次に、外部(主制御部35)からの動作指令に基づいて前記気泡混入機構12および予め装備された気泡混入量調整バルブ12Cが稼働し、第1の配管部11A部分で前記気泡混入機構12が所定量の気泡を混入し、当該液体を気泡混入液として合流配管部11Gに送り出す(
図2:ステップS103/第1の工程)。
【0077】
同時に、第2の配管部11B部分では、前述したように、貯留槽1内の液体の所定量が連続的して取り出され、その適量が合流用液調整バルブ(合流用液調整手段)14の開度調整によって設定され、同じく前記合流配管部11Gに向けて送り出される。
【0078】
そして、この合流配管部11Gでは、第1の配管部11A部分で生成された気泡混入液と第2の配管部11B部分で設定された適量の気泡混入率調整用の同質液体とが合流され、これによって所定の気泡混入率に調整された気泡混入液が、液移送用配管11の下流側配管部11Cへ送り出される(
図2:ステップS104/第2の工程)。
そして、これら一連の液の移動は、液移送用配管11の下流側配管部11Cに装備された液体圧送ポンプ15の吸引動作によって実行される。
【0079】
次に、前記液体圧送ポンプ15の下流側に装備された通路絞りバルブ16が稼働し、前記下流側配管部11C内を移送される気泡混入液中の気泡が当該通路絞りバルブ16によって絞り込まれ、適度に微細化される(
図2:ステップS105/気泡微細化工程)。
【0080】
続いて、微細化された気泡が混入された気泡混入液は、前記下流側配管部11C内を、下流側に装備された使用液量調整バルブ18及び流量センサ19を介して液体使用機1Aに送り込まれる(
図2:ステップS106乃至S109/第3の工程)。
同時に、この使用液量調整バルブ18では液体使用機1Aでの液体使用量が制限されるが、その余剰分は、前述した液体圧送ポンプ15に必要以上の過負荷変動を与えることなく、余剰液循環用配管11Eを介して自動的に前述した貯留槽1へ送り戻される。
【0081】
そして、この場合、これら各工程における各バルブの開度調整およびその設定は、前記各バルブに予め併設された前記本体制御部3が外部指令に基づいて発信する動作指令により実行されるが、オペレータにより手動で実行されるように構成してもよい。
【0082】
以下、これを更に詳述する。
前述したように、システム全体が稼働状態に設定されると、まず、貯留槽10に併設された温度設定装置20が作動し、貯留槽10内の液体の温度を、例えば20〔℃〕に設定制御する。
続いて、本体制御部3の主制御部35が作動し(
図2:ステップS101,S102)、液体圧送ポンプ15を稼働状態に設定し、各バルブ12C,14B,16,18の各々に対応する動作制御部31,32,33に、予め設定された内容の動作指令を順次発信する。
【0083】
この場合、バルブ開度設定制御部31は、第1の配管部11A側の気泡混入バルブ12Cに対しては、主制御部35からの指令に基づいて作動して気泡混入機構12が液移送用配管11内を流動する液体中に許容される最大の気泡混入率が得られるように、そのバルブ開度を調整する(
図2:ステップS103)。
【0084】
同時に、このバルブ開度設定制御部31は、第2の配管部11B側の合流用液調整バルブ(合流用液調整手段)14に対しては、合流液用として貯留槽1内から取り出される液体の適量を主制御部35から指令された所定の流量にして送出するために、当該合流液量調整バルブ14Bのバルブ開度を調整する(
図2:ステップS104)。
【0085】
次に、微細化調整制御部32は、通路絞りバルブ16のバルブ開度を、装置全体の作動開始後は、気泡混入率測定手段17で検出される気泡混入率が主制御部35から指令される一定値になるように、改めて設定制御する(
図2:ステップS105)。
【0086】
この場合、気泡混入率測定手段17で測定される気泡混入率が、設定値X〔%〕の許容範囲か否かが、主制御部35で判定される(
図2:ステップS106)。
この設定値X〔%〕の許容範囲については、予め入力部35Aを介してオペレータにより外部入力され記憶部36に記憶されている。このX〔%〕の許容範囲は、具体的には、例えばその最大値が5〔%〕±1〔%〕,10〔%〕±2〔%〕,15〔%〕±3〔%〕,又は20〔%〕±4〔%〕の如く、予め設定され若しくは切替え設定されるようになっている。
【0087】
そして、判定結果がイエス(はい)の場合(
図2:ステップS106/イエス)、前述したように、微細化気泡が混入された気泡混入液は、液移送用配管11の下流側配管部11C内を下流側に装備された使用液量調整バルブ18及び流量センサ19を介して液体使用機1Aに送り込まれる(
図2:ステップS106乃至S109)/第3の工程)。
【0088】
一方、このステップS106で、判定結果がノー(いいえ)の場合(
図2:ステップS106/ノー)、直ちに気泡混入率の再調整工程に移行する。
そして、まず、液体圧送ポンプ15の出力が主制御部35によって調整される(
図2:ステップS110)。このステップS110では、前述した気泡混入率の判定で、気泡混入率が設定値X〔%〕の許容値よりも大きい場合には液体圧送ポンプ15の出力を、例えば10〔%〕下げるように調整し、逆の場合には液体圧送ポンプ15の出力を、例えば10〔%〕上げるように調整される。これらの出力調整は前述した主制御部35によって実行される。
【0089】
次に、このステップS110での出力調整後に、液体圧送ポンプ15が正常に動作しているか否かが判定される(
図2:ステップS111)。
正常に動作しておれば、前述した合流用液調整バルブ14の開度調整(
図2:ステップS104)に戻って、気泡混入率の、設定値X〔%〕の許容値の範囲を可変調整するために当該合流用液調整バルブ14の開度調整が実行される。
【0090】
一方、液体圧送ポンプ15が正常動作していない場合には、液体圧送ポンプ15の稼働を停止し、修理後の再稼働を前提として、当該気泡混入液供給システム1の全体が停止状態に設定される。
【0091】
ここで、上述した第1乃至第4の各工程およびこれに準ずる各動作工程における各バルブ12C,14B,16,18および液体圧送ポンプ15の動作にかかる制御処理については、これをプログラム化し前述した主制御部35が備えているコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0092】
この場合、本プログラムは、記録媒体(例えばDVD,CD,フラッシュメモリ等)に記録したものであってよい。そして、本プログラムは、記録媒体から前記コンピュータによって読み出され、実行される。
【0093】
以上のように、本第1実施形態では、前述したように、貯留槽10内の液体を取り出す流路として二本の流路(第1,第2の各配管部11A,11B)を並列に設け、更に、第1の配管部11Aには気泡混入機構12及び気泡混入量調整バルブ12Cが、第2の配管11Bには合流用液調整バルブ14が、それぞれ装備されている。
【0094】
また、前述したように、一方の流路である第1の配管部11Aでは気泡混入機構12によって気泡が混入された液体を生成するも気泡混入率の微調整はしない。ここでは気泡混入率については粗い調整が行われる。これに対して、他方の流路である第2の配管部11Bでは、合流用液調整バルブ14の開度調整によって設定された貯留槽10内の液体の適量が気泡混入率調整用としてそのまま使用される。
【0095】
そして、この一方の流路である第1の配管部11A側で生成された気泡混入液に、合流配管部11Gで、第1の配管部11A側で設定された気泡混入のない(若しくは少ない)液体が合流される。
即ち、本第1実施形態では、一方の流路で生成された気泡混入液の気泡混入率を、他方の流路に設置された合流用液調整バルブ14による合流用液の適量調整によって所定の値に調整することが連続して且つ容易に実行可能な構成となっている。
【0096】
かかる点において、本第1実施形態によると、気泡混入率を安価な設備で任意に且つ容易に調整することができるという利点を有する。
【0097】
又、その合流した気泡混入液が流れる液移送用配管11の液体圧送ポンプ15の後に、前述したように通路絞りバルブ16を設けた。そして、この通路絞りバルブ16通過すると、圧力が急降下して気泡は更に微細化する。
このようにして、微細化された気泡が混入された液体が生成され、この液体の必要量は、下流側の使用液量調整バルブ18で調整される。
【0098】
即ち、本第1実施形態は、上記したように構成され機能するので、これによると、一定量の気泡が混入された気泡混入液の管内移送中に、気泡が混入されていない若しくは気泡の混入量の少ない同質の液体を、混入液としてその適量を合流させて移送させるようにしたので、液体中への気泡混入量を任意に且つ円滑に可変設定可能な汎用性の高い気泡混入液生成供給装置、気泡混入液供給システム、気泡混入液供給方法、及びそのプログラムを得ることができる。
【0099】
また、上記した本第1実施形態では、気泡混入機構12とこれに並列に設置された合流用液調整バルブ14とは、液体圧送ポンプ15の液体圧送力を利用して貯留槽10から別々の流路で液体を吸出するように構成したので、各々は相互に他の動作の影響を受けることなく自在に動作することができ、かかる点において、気泡混入機構12と合流液調整バルブ14の各々は予め設定された機能を迅速に且つ効率よく実行して安定した状態で、合流液体の気泡混入率を予め設定された範囲内で自在に且つ円滑に可変設定することができるという利点がある。
【0100】
ここで、上記第1実施形態では、貯留槽10を1個設けた場合を例示したが、前述した第1,第2の各配管部11A,11Bに対応した専用の貯留槽10,10を独立して個別に設けると共に、前述した余剰液循環用配管11Eの液戻り配管部を第1の配管部11Aに対応した専用の貯留槽10側に設置するように構成してもよい。
このようにすると、第2の配管部11Bから送出される気泡ゼロの合流用液の適量(予め設定された気泡混入率に適合した量)を何時でも高精度に設定することができ、外部から気泡混入率を変える指令が入力されても、これに迅速に対応して予め特定された適量の合流用液を合流配管部11Gに迅速に送り出すことができるという利点がある。
【0101】
尚、上記第1実施形態では、前述した第1,第2の各配管部11A,11Bの先端部(貯留槽10側の端部)を、貯留槽10内の液体を別々に吸い込むように別々に構成した場合を例示したが、この第1,第2の各配管部11A,11Bについては、その上流端が共通の吸込口を備え、その吸込口の下流で第1の配管部11Aと第2の配管部11Bとに分離するように構成してもよい。
このようにしても、前述した第1実施形態の場合と同様の作用効果が得られるほか、貯留槽10に対する配管装備作業が容易となるという利点がある。
【0102】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
この第2実施形態は、前述した第1実施形態が液体を洗浄液としたのに対し、液体を潤滑油(以下、「オイル」という)とした点に特徴を有する。
一方、この第2実施形態では、使用する各構成部材については、前述した第1実施形態のものが、そのまま使用されている。
【0103】
この場合、この第2実施形態では、前述した第1実施形態で装備した気泡率測定手段17として、液体用密度計17Aを使用した点に特徴を有する。
その他の構成は、前述した第1実施形態の場合と同一となっている。
【0104】
ここで、気泡混入されたオイルの密度変化と、気泡混入されたオイルをサンプリングし直接厳密に測定して得られたオイル中の気泡混入率の変化との対応関係を、実験的に確認してみた。その結果を、
図5(A)(B)に示す。
この場合、
図5(A)は油温が40〔℃〕の場合を示し、
図5(B)は油温が60〔℃〕の場合を示す。オイルについては、消泡剤を添加したエンジンオイルを使用した。
【0105】
図5(A)は、液体用密度計17Aで検知された液体の密度情報から逆算して得られた混入率と、
図1のサンプル採取器41からサンプリングして実測した混入率との関係を示すグラフである。両者間には図示のように高い相関があることが分かり、当該液体用密度計17Aでリアルタイムで気泡混入率を知ることができる。実験的には、合流用液調整バルブ14による流路調整により、気泡混入率をパーセントオーダーの精度で調整することが可能であった。
【0106】
又、
図5(B)は、油温を60℃とした場合の他は、
図5(A)の場合と同一の回路および手段で気泡混入率を測定し、同様にグラフ化したものである。油温40〔℃〕の時と同様に両者には高い相関があり、図中の近似式より、密度計でリアルタイムに気泡混入率を知ることができる。この場合も、合流用液調整バルブ14による流路調整により、気泡混入率をパーセントオーダーの精度で調整することが可能であった。
【0107】
この
図5(A)(B)から明らかのように、オイルの気泡混入率とオイルの密度とは密接な相関関係があり、オイルの密度変化をリアルタイムで測定することにより、オイルの気泡混入率をリアルタイムで正確に検知することができることが判明した。
【0108】
このため、この液体用密度計17Aを装備した本第2実施形態によると、オイル中の気泡混入率及びその変化を迅速に得られるばかりでなく、比較的安価で且つ小型堅牢な構造であることから装置全体を安価に得ることができ、且つ耐久性増大を図ることができるという利点がある。
その他の構成及びその作用効果は、前述した第1実施形態と同一となっている。