(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018470
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】デビジョンバー構造
(51)【国際特許分類】
B60J 10/78 20160101AFI20161020BHJP
B60J 10/88 20160101ALI20161020BHJP
【FI】
B60J10/78
B60J10/88
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-222387(P2012-222387)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-73759(P2014-73759A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 保行
(72)【発明者】
【氏名】来須 修司
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
実公平01−023851(JP,Y2)
【文献】
実開昭58−148309(JP,U)
【文献】
実開昭59−019878(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00−10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアガラスと固定ガラスとの間に介在されるとともに、上下に延びる板状柱部の前後に、前記ドアガラスに摺接する車内側リップ及び車外側リップを有するグラスラン部と、前記固定ガラスに周設されたシール材を保持する一対の保持部とが一体的に成形されたゴム製または樹脂製のデビジョンバー本体を、その上端に組付けられたブラケットを介してドアサッシュに取付けるようにしたデビジョンバー構造であって、
前記ブラケットは、下方に延び第一突起部が設けられ前方に位置する前方脚部と、同じく下方に延び第二突起部が設けられ後方に位置する後方脚部と、前記ドアサッシュに固定される頭部を有するとともに、
前記デビジョンバー本体の板状柱部には、前記ブラケットの前方脚部及び後方脚部にそれぞれ設けられた第一突起部及び第二突起部に対応した第一穴及び第二穴が形成され、
前記ブラケットの前方脚部及び後方脚部で前記デビジョンバー本体の板状柱部を前後から挟むように前記ブラケットを前記デビジョンバー本体の上端に差し込み、前記前方脚部に設けられた第一突起部を、前記板状柱部に形成された第一穴に前方から嵌め込むとともに、前記後方脚部に設けられた第二突起部を、前記板状柱部に形成された第二穴に後方から嵌め込んで前記ブラケットを前記デビジョンバー本体に組付けてなり、
さらに、前記ブラケットの前方脚部は、左右両側に分離した二つの脚部であり、それら二つの脚部のそれぞれに前記第一突起部が設けられていることを特徴とするデビジョンバー構造。
【請求項2】
自動車のドアガラスと固定ガラスとの間に介在されるとともに、上下に延びる板状柱部の前後に、前記ドアガラスに摺接する車内側リップ及び車外側リップを有するグラスラン部と、前記固定ガラスに周設されるシール材を保持する一対の保持部とが一体的に成形されたゴム製または樹脂製のデビジョンバー本体を、その上端に組付けられたブラケットを介してドアサッシュに取付けるようにしたデビジョンバー構造であって、
前記ブラケットは、下方に延び前方に位置する前方脚部と、同じく下方に延び両側面に突起部が設けられ後方に位置する後方脚部と、前記ドアサッシュに固定される頭部を有するとともに、
前記デビジョンバー本体の一対の保持部には上下方向に延びる溝部がそれぞれ形成され、
前記ブラケットの前方脚部及び後方脚部で前記デビジョンバー本体の板状柱部を前後から挟むように前記ブラケットを前記デビジョンバー本体の上端に差し込み、前記後方脚部の両側面に設けられた突起部を、前記デビジョンバー本体の一対の保持部に形成された溝部に嵌め込んで前記ブラケットを前記デビジョンバー本体に組付けてなることを特徴とするデビジョンバー構造。
【請求項3】
前記後方脚部の両側面に設けられた突起部は、三角錐形状でその先端のエッジが、前記デビジョンバー本体の一対の保持部に形成された溝部に差し込まれるようにして嵌め込まれることを特徴とする請求項2に記載のデビジョンバー構造。
【請求項4】
前記溝部は、前記デビジョンバー本体の一対の保持部の先端に形成されてなることを特徴とする請求項2又は3に記載のデビジョンバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の例えばリヤドア後部などにおいてドアガラスと固定ガラスとの間に取付けられるデビジョンバーの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図8及び
図9に示すように、自動車のリヤドアには、通常、その後部に、デビジョンバーが取付けられている。従来、このデビジョンバー40には、
図10に示すように、金属サッシュ41の前側に、昇降するドアガラス2に摺設するグラスラン42が取付けられるとともに、金属サッシュ41の後側には固定ガラス(フィクスガラス)3に周設されるシール材43が取付けられている。
【0003】
このようなデビジョンバー40の上端には、
図10に示すように、金属製のブラケット60が金属サッシュ41に対して溶接によって組付けられていて、組付けられたブラケット5を介してデビジョンバー40はドアサッシュ4に取付けられている。
【0004】
しかし、
図12に示すように、グラスランが一体化されてなるデビジョンバー50では表面に金属部分が露出していないので、金属製のブラケット60を溶接で組付けることはできない。なお、デビジョンバー50には剛性強化させるための芯材51が埋設されている。
【0005】
これに対して、ゴム製または樹脂製のデビジョンバーを金属製のブラケットを使用してドアサッシュ側に取付けたものが知られている(特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載の発明は、合成樹脂よりなるパーテイションに形成された中空部に金属製のブラケット(取付け金具)の舌片を挿入しリベットで固定し、取付け金具の他端をねじでドアサッシュに螺合したものである。
次に、特許文献2に記載の発明は、弾性部材よりなるパーテイションにインサートされた金属製の芯材の端部に設けた穴部に金属製のブラケットの差込部を挿入した後、穴部を押し潰してブラケットをパーテイションに結合し、ブラケットの他端をドアサッシュに設けたフック係合部に結合したものである。
これらによれば、金属製のブラケットを溶接では組付けることのできないゴム製または樹脂製のデビジョンバーに対しても結合することができ、その結果、デビジョンバーを確実にドアサッシュ側に固定することができるので、デビジョンバーを金属製のものからゴム製または樹脂製のものに変えることで軽量化が図れるといった効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平1−23851号公報
【特許文献2】特開2002−59743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明によれば、金属製のブラケット(取付け金具)の舌片を挿入される中空部を長手方向(上下方向)に延長して互いに対向する2つの板材間に特別に形成する必要があるので構造が複雑であるのに加えて、中空部に挿入された金属製のブラケット(取付け金具)の舌片はリベットで固定されるため別部品が必要になりコスト高になるとともに組付作業も煩わしい。
また、特許文献2に記載の発明によれば、金属製のブラケットの差込部を挿入するための芯材が不可欠でさらに芯材には穴部を設ける必要がある。また、芯材の端部に設けた穴部に金属製のブラケットの差込部を挿入した後、穴部を押し潰すというカシメ作業を行う必要があるのでこちらも組付作業も煩わしいといった問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、組付作業が極めて簡易でしかもコストの低価格化が図れるデビジョンバー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のデビジョンバー構造は、自動車のドアガラス(2)と固定ガラス(3)との間に介在されるとともに、上下に延びる板状柱部(11)の前後に、前記ドアガラス(2)に摺接する車内側リップ(12)及び車外側リップ(13)を有するグラスラン部(15)と、前記固定ガラス(3)に周設されたシール材(43)を保持する一対の保持部(16,17)とが一体的に成形されたゴム製または樹脂製のデビジョンバー本体(1)を、その上端に組付けられたブラケット(20)を介してドアサッシュ(4)に取付けるようにしたデビジョンバー構造であって、
前記ブラケット(20)は、下方に延び第一突起部(21a,22a)が設けられ前方に位置する前方脚部(21,22)と、同じく下方に延び第二突起部(23a)が設けられ後方に位置する後方脚部(23)と、前記ドアサッシュ(4)に固定される頭部(25)を有するとともに、
前記デビジョンバー本体(1)の板状柱部(11)には、前記ブラケット(20)の前方脚部(21,22)及び後方脚部(23)にそれぞれ設けられた第一突起部(21a,22a)及び第二突起部(23a)に対応した第一穴(11a,11b)及び第二穴(11c)が形成され、
前記ブラケット(20)の前方脚部(21,22)及び後方脚部(23)で前記デビジョンバー本体(1)の板状柱部(11)を前後から挟むように前記ブラケット(20)を前記デビジョンバー本体(1)の上端に差し込み、前記前方脚部(21,22)に設けられた第一突起部(21a,22a)を、前記板状柱部(11)に形成された第一穴(11a,11b)に前方から嵌め込むとともに、前記後方脚部(23)に設けられた第二突起部(23a)を、前記板状柱部(11)に形成された第二穴(11c)に後方から嵌め込んで前記ブラケット(20)を前記デビジョンバー本体(1)に組付けて
なり、
さらに、前記ブラケット(20)の前方脚部(21,22)は、左右両側に分離した二つの脚部であり、それら二つの脚部のそれぞれに前記第一突起部(21a,22a)が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、自動車のドアガラス(2)と固定ガラス(3)との間に介在されるとともに、上下に延びる板状柱部(11)の前後に、前記ドアガラス(2)に摺接する車内側リップ(12)及び車外側リップ(13)を有するグラスラン部(15)と、前記固定ガラス(3)に周設されたシール材(43)を保持する一対の保持部(16,17)とが一体的に成形されたゴム製または樹脂製のデビジョンバー本体(1)を、その上端に組付けられたブラケット(30)を介してドアサッシュ(4)に取付けるようにしたデビジョンバー構造であって、
前記ブラケット(30)は、下方に延び前方に位置する前方脚部(31,32)と、同じく下方に延び両側面に突起部(34a,34b)が設けられ後方に位置する後方脚部(33)と、前記ドアサッシュ(4)に固定される頭部(35)を有するとともに、
前記デビジョンバー本体(1)の一対の保持部(16,17)には上下方向に延びる溝部(16a,17a)がそれぞれ形成され、
前記ブラケット(30)の前方脚部(31,32)及び後方脚部(33)で前記デビジョンバー本体(1)の板状柱部(11)を前後から挟むように前記ブラケット(30)を前記デビジョンバー本体(1)の上端に差し込み、前記後方脚部(33)の両側面に設けられた突起部(34a,34b)を、前記デビジョンバー本体(1)の一対の保持部(16,17)に形成された溝部(16a,17a)に嵌め込んで前記ブラケット(30)を前記デビジョンバー本体(1)に組付けてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記後方脚部(33)の両側面に設けられた突起部(34a,34b)は、三角錐形状でその先端のエッジが、前記デビジョンバー本体(1)の一対の保持部(16,17)に形成された溝部(16a,17a)に差し込まれるようにして嵌め込まれることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記溝部(16a,17a)は、前記デビジョンバー本体(1)の一対の保持部(16,17)の先端に形成されてなることを特徴とする。
【0014】
ここで、文章中の前後とは、デビジョンバー本体がリヤドアの後方に取付けられた場合は車体の前後と一致し、左右とは各々の図の正面視における位置関係を示している。逆にデビジョンバー本体がフロントドアの前方に取付けられた場合は車体の後前と一致する。すなわち、一対の保持部に対してグラスラン部が設けられる方を前側として説明している。
【0015】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明のデビジョンバー構造によれば、ゴム製または樹脂製のデビジョンバー本体をブラケットを介してドアサッシュに取付けるもので、デビジョンバー本体に対してブラケットは、嵌め込むだけで組付けられている。
つまり、ブラケットは、下方に延び第一突起部が設けられ前方に位置する前方脚部と、同じく下方に延び第二突起部が設けられ後方に位置する後方脚部と、ドアサッシュに固定される頭部を有するとともに、デビジョンバー本体の板状柱部には、ブラケットの前方脚部及び後方脚部にそれぞれ設けられた第一突起部及び第二突起部に対応した第一穴及び第二穴が形成され、組付けるときには、ブラケットの前方脚部及び後方脚部でデビジョンバー本体の板状柱部を前後から挟むようにブラケットをデビジョンバー本体の上端に差し込み、ブラケット側に設けられた第一突起部及び第二突起部を板状柱部に形成された第一穴及び第二穴に嵌め込むだけでよい。
【0017】
これによれば、デビジョンバー本体の板状柱部側には、組付けられるブラケット側の第一突起部及び第二突起部に対応した位置に第一穴及び第二穴を形成する加工だけでよく、従来例で示したように、2つの板材を対向させてブラケットが挿入される中空部を形成する必要はなく、その上、ブラケットを挿入するために中空部が形成された芯材をわざわざ埋設する必要もないので複雑な構造を不要として極めて簡易にブラケットをデビジョンバーに組付けることができる。また、組付けは嵌め込み式でリベットなどの別部材を必要としないのでコストを抑えられる。
【0018】
また、本発明によれば、ブラケットの前方脚部及び後方脚部の両方又は一方を板状にすることができるが、前方脚部を左右両側に分離した二つの脚部にし、それら二つの脚部のそれぞれに第一突起部を設け、さらにそれに対応して第一穴も左右両側に二つ形成するようにすれば、ブラケットは三つの点によって安定的に支持された状態でデビジョンバー本体に組付けられる。
【0019】
また、本発明のデビジョンバー構造によれば、ブラケットは、下方に延び前方に位置する前方脚部と、同じく下方に延び両側面に突起部が設けられ後方に位置する後方脚部と、ドアサッシュに固定される頭部を有するとともに、デビジョンバー本体の一対の保持部には上下方向に延びる溝部がそれぞれ形成され、組付けるときには、ブラケットの前方脚部及び後方脚部でデビジョンバー本体の板状柱部を前後から挟むようにブラケットをデビジョンバー本体の上端に差し込み、ブラケットの後方脚部の両側面に設けられた突起部を、デビジョンバー本体の一対の保持部に形成された溝部に嵌め込むだけでよい。
これによれば、ブラケット側に設けられた突起部が差し込まれる溝部は、上下方向に延びるように形成されているので、突起部の厳密な位置決めは不要となり、ブラケット側に設けられた第一突起部及び第二突起部を板状柱部に形成された第一穴及び第二穴に嵌め込むものよりもさらに組付けが容易となる。
【0020】
また、本発明によれば、後方脚部の両側面に設けられた突起部は、三角錐形状でその先端のエッジを、デビジョンバー本体の一対の保持部に形成された溝部に差し込むだけで容易に嵌め込むことができる。
【0021】
また、本発明によれば、溝部はデビジョンバー本体の一対の保持部の先端に形成されているので、外部からの視認が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るデビジョンバー構造を示す
図9のA−A線拡大断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る別のデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るさらに別のデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係るデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る別のデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係るさらに別のデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図9】
図8のリヤドアに取付けられたデビジョンバー構造を示す拡大側面図である。
【
図10】従来例に係るデビジョンバー構造を示す
図9のA−A線拡大断面図である。
【
図11】従来例に係るデビジョンバー構造の要部を示す斜視図である。
【
図12】従来例に係る別のデビジョンバー構造を示す
図9のA−A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第一実施形態)
図1乃至
図4,
図8,
図9を参照して、本発明の第一実施形態に係るデビジョンバー構造について説明する。従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
図1は本発明の第一実施形態に係るデビジョンバー構造の要部を示し、
図2は本発明の第一実施形態に係るデビジョンバー構造を示す
図9のA−A線拡大断面を示している。
【0024】
本発明の第一実施形態に係るデビジョンバー構造は、
図8及び
図9に示すように、剛性の高い樹脂製のデビジョンバー本体1を、その上端に組付けられた金属製のブラケット20を介してリヤドア後部のドアサッシュ4に取付けるようにしたものである。
デビジョンバー本体1は、
図2に示すように、自動車のリヤドア後部において昇降するドアガラス2と固定ガラス3との間に介在されるとともに、上下に延びる板状柱部11の前後に、ドアガラス2に摺接する車内側リップ12及び車外側リップ13を有するグラスラン部15と、固定ガラス3に周設されたシール材43を保持する一対の保持部16,17とが一体的に成形されている。デビジョンバー本体1は、車内側リップ12及び車外側リップ13を除いた状態では断面略H字状である。なお、デビジョンバー本体1には剛性をさらに強化させるための芯材14(金属製であっても樹脂製であってもよい)が埋設されているが、芯材14を埋設しなくても高剛性が維持されるものであれば芯材14を省略することができる。
【0025】
ブラケット20は、ドアサッシュ4に固定される頭部25と、頭部25に連設された首部26と、首部26から下方に延び前方に位置する前方脚部21,22と、同じく下方に延び後方に位置する後方脚部23を有している。
頭部25にはドアサッシュ4に固定するためのねじが挿入される螺子穴25aが形成されている。首部26は頭部25に対して所定の角度に延びるとともに頭部25よりも幅狭に形成されている。
【0026】
前方脚部21,22は、首部26から左右両側に分離した二つの脚部、より詳細には首部26から左右両側方向にそれぞれ延び、そこから前方に延びさらに下方に延びるように分離したものであり、それら二つの脚部の先端後方側にはそれぞれ球状の第一突起部21a,22aが設けられている。
また、後方脚部23は、首部26と同じ幅で首部26からそのまま下方に延びたものであり、先端前方側には球状の第二突起部23aが設けられている。
なお、前方脚部21,22の先端後面と後方脚部23の先端前面との間隔は、デビジョンバー本体1の板状柱部11の前後方向の厚さと同等に設定している。
【0027】
また、デビジョンバー本体1の板状柱部11には、デビジョンバー本体1にブラケット20を組付けたときに、ブラケット20の前方脚部21,22及び後方脚部23にそれぞれ設けられた第一突起部21a,22a及び第二突起部23aにそれぞれ対向する位置に板状柱部11を貫通する第一穴11a,11b及び第二穴11cが形成されている。
【0028】
そして、ブラケット20をデビジョンバー本体1に組付けるときには、ブラケット20の前方脚部21,22及び後方脚部23でデビジョンバー本体1の板状柱部11を前後から挟むようにブラケット20をデビジョンバー本体1の上端に上方から差し込み、前方脚部21,22に設けられた第一突起部21a,22aを、板状柱部11に形成された第一穴11a,11bに前方から嵌め込むとともに、後方脚部23に設けられた第二突起部23aを、板状柱部11に形成された第二穴11cに後方から嵌め込むようにして行う。
このように、デビジョンバー本体1に対するブラケット20の組付けは嵌め込み式であるので極めて簡単である。
なお、ブラケット20がデビジョンバー本体1に組付けられた後に、
図2に示すように、固定ガラス3に周設されたシール材43が一対の保持部16,17間に嵌め込まれるものであり、シール材43と板状柱部11との間には、ブラケット20の後方脚部23が配置できる隙間が確保されている。また、ドアガラス2を閉じきった際にドアガラス2の先端がブラケット20に当たらないように、2つの脚部21,22の間隔は設定されている。
【0029】
また、第一穴11a,11bの大きさは、球状の第一突起部21a,22aよりやや小さく、第一穴11a,11bに対して第一突起部21a,22aは圧入することにより嵌め込まれ、同様に、第二穴11cの大きさも、球状の第二突起部23aよりやや小さく、第二穴11cに対して第二突起部23aも圧入することにより嵌め込まるようになっている。
これにより、デビジョンバー本体1にブラケット20が組付けられると、ブラケット20はデビジョンバー本体1に対して上下方向,左右方向,前後方向の全周にわたって動きが規制され、安定した状態で支持される。
【0030】
なお、
図1では、ブラケット20において前方脚部21,22は左右両側に分離した二つの脚部としたが、
図3に示すように、板状の前方脚部21としてその先端の左右に第一突起部21a,22aを左右に二つ設けるようにしてもよい。また、第一突起部21aを一つだけ設けそれに対応した一つの第一穴11aに嵌め込むようにしただけでもデビジョンバーに対してブラケット20を組付けることは可能である。脚部21,22を二つとした際は、ドアガラス2の先端が脚部21,22の間に納まるように脚部の間隔を調整したが、このように一つの脚部の場合ではドアガラス2の閉じきり時にドアガラス2の先端が当たらないまでの長さだけ脚部の長さを調整している。
さらには、ブラケット20において後方脚部23については首部26と同様の幅にしたが、
図4に示すように、頭部25と同様に広い幅にしてもよい。
図4では、後方脚部23の幅は前方脚部21の幅と同一でさらにデビジョンバー本体1に形成された一対の保持部16,17の内側の間隔と同一にしている。
【0031】
なお、第一実施形態では、第一穴11a,11b及び第二穴11cに対して、球状の第一突起部21a,22a及び球状の第二突起部23aを嵌め込むようにしたが、第一穴11a,11b及び第二穴11cに対して、第一突起部21a,22a及び第二突起部23aが確実に嵌め込まれ安定的に支持されるものであれば第一突起部21a,22a及び第二突起部23aの形状は特に限定されるものではなく、例えば鉤状のものであってもよい。また、第一穴11a,11b及び第二穴11cも、デビジョンバー本体1の板状柱部11を必ずしも貫通するものでなくてもよい。
【0032】
(第二実施形態)
次に
図5乃至
図7を参照して、本発明の第二実施形態に係るデビジョンバー構造について説明する。従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
図1は本発明の第二実施形態に係るデビジョンバー構造の要部を示している。
【0033】
本発明の第二実施形態に係るデビジョンバー構造は、上述した第一実施形態に係るデビジョンバー構造と比較して、ブラケット30側では、前方脚部31,32に第一突起部21a,22aを設けないようにした点,後方脚部33では第二突起部23aにかえて両側面に突起部34a,34bを設けた点,デビジョンバー本体1側では、板状柱部11に第一穴11a,11b及び第二穴11cを形成しないようにしてかわりに一対の保持部16,17に溝部16a,17aを形成した点が異なり、その他の構成は同様である。
【0034】
ブラケット30は、ドアサッシュ4に固定される頭部35と、頭部35に連設された頭部首部36と、首部36から下方に延び前方に位置する前方脚部31,32と、同じく下方に延び後方に位置する後方脚部33を有している。頭部35にはドアサッシュ4に固定するためのねじが挿入される螺子穴35aが形成されている。首部36は頭部35に対して所定の角度に延びるとともに頭部35よりも幅狭に形成されている。
前方脚部31,32は、首部36から左右両側方向にそれぞれ延び、そこから前方に延びさらに下方に延びるように分離したものであり、また、後方脚部33は、首部36よりも広い幅で首部36からそのまま下方に延びたものであり、左右両側面には三角錐形状の突起部34a,34bが複数設けられている。
なお、前方脚部31,32の先端後面と後方脚部33の先端前面との間隔は、デビジョンバー本体1の板状柱部11の前後方向の厚さと同等に設定している。
【0035】
また、デビジョンバー本体1の一対の保持部16,17には上下方向に延びる突部16b,17bが形成されており、これにより溝部16a,17aがそれぞれ形成されている。
【0036】
そして、ブラケット30をデビジョンバー本体1に組付けるときには、ブラケット30の前方脚部31,32及び後方脚部33でデビジョンバー本体1の板状柱部11を前後から挟むようにブラケット30をデビジョンバー本体1の上端に上方から差し込み、後方脚部33の両側面に設けられた突起部34a,34bの先端のエッジを、デビジョンバー本体1の一対の保持部16,17に形成された溝部16a,17aに差し込む(突き刺す)ようにして嵌め込みを行う。
【0037】
これによれば、ブラケット30側に設けられた突起部34a,34bが差し込まれる溝部16a,17aは、上下方向に延びるように形成されているので、突起部34a,34bの厳密な位置決めは不要となるので、第一実施形態のように、ブラケット20側に設けられた第一突起部21a,22a及び第二突起部23aを板状柱部11に形成された第一穴11a,11b及び第二穴11cに嵌め込むものよりもさらに組付けが容易となる。
【0038】
なお、
図5では、ブラケット30において前方脚部31,32は左右両側に分離した二つの脚部としたが、
図6に示すように、板状の前方脚部31としてもよい。
さらには、
図7に示すように、突起部34a,34bが差し込まれる溝部16a,17aを突部16b,17bを設けることなく掘り込みにより形成してもよい。
また、突起部34a,34bについてはその形状を三角錐形状としてその先端のエッジを溝部16a,17aに突き刺すようにしたが、溝部16a,17aに対して突起部34a,34bが差し込まれ支持されるものであれば他の形状であってもよい。
【0039】
なお、第一,第二実施形態では、デビジョンバー本体1を樹脂製のものとしたが、ゴム製であってもよい。
また、ここではデビジョンバー本体1を、その上端に組付けられた金属製のブラケット20,30を介してリヤドア後部のドアサッシュ4に取付けるようにした例について説明したが、フロントドア前部において固定ガラスと昇降するドアガラスの間に介在されたものにも適用可能である。また、ブラケット20,30はその強度が保たれれば金属製である必要はなく樹脂製であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 デビジョンバー
2 ドアガラス
3 固定ガラス
4 ドアサッシュ
11 板状柱部
11a,11b 第一穴
11c 第二穴
12 車内側リップ
13 車外側リップ
14 芯材
15 グラスラン部
16,17 保持部
16a,17a 溝部
16b,17b 突部
20 ブラケット
21,22 前方脚部
21a,22a 第一突起部
23 後方脚部
23a 第二突起部
25 頭部
25a 螺子穴
26 首部
30 ブラケット
31,32 前方脚部
33 後方脚部
34a,34b 突起部
35 頭部
35a 螺子穴
36 首部
40 デビジョンバー
41 金属サッシュ
42 グラスラン
43 シール材
50 デビジョンバー
51 芯材
60 ブラケット