(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018478
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】土質改良材
(51)【国際特許分類】
C09K 17/02 20060101AFI20161020BHJP
C09K 17/06 20060101ALI20161020BHJP
C09K 17/08 20060101ALI20161020BHJP
C09K 103/00 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
C09K17/02 H
C09K17/06 H
C09K17/08 H
C09K103:00
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-240032(P2012-240032)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-88518(P2014-88518A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390006758
【氏名又は名称】株式会社立花マテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100098213
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100175787
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 龍也
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100092602
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 三郎
(72)【発明者】
【氏名】谷四 四文
(72)【発明者】
【氏名】西田 智之
(72)【発明者】
【氏名】古澤 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 公彦
(72)【発明者】
【氏名】一之瀬 光明
(72)【発明者】
【氏名】橘田 一臣
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−051910(JP,A)
【文献】
特開平10−060434(JP,A)
【文献】
特開平02−225590(JP,A)
【文献】
特開2010−053023(JP,A)
【文献】
特開2001−079535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 17/00− 17/52
C02F 11/00− 11/20
B09B 1/00− 5/00
B09C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雨等により軟弱化しない材料(但し、半水セッコウ又は硫酸カルシウム系硬化剤を含む場合を除く)で構成した、泥土の流動性、粘り気等のハンドリングを改良するための土質改良材であって、
消石灰と、水酸化アルミニウムとして非晶質水酸化アルミニウムとを、化学量論的にカルシウムアルミネート水和物である3CaO・Al2O3・6H2Oを生成出来る材料比率で含有してなることを特徴とする土質改良材。
【請求項2】
前記非晶質水酸化アルミニウムが、アルミスラッジを乾燥粉砕してなる請求項1に記載の土質改良材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、河川、湖沼の
底泥、シールド工事等から発生する建設汚泥等、泥状物の処理、搬出等での改質直後のハンドリング性状を改良する土質改良材に関する。
【背景技術】
【0002】
底泥、建設汚泥等は、最適含水比を大幅に超える水分を含有しており、搬出、処理、運搬等に支障をきたす為、何らかのハンドリング改良が求められている。
【0003】
また、汚泥のハンドリング改良には、従来グアガムやアクリル系等の高分子吸水材、生石灰、半水石膏等を添加混合し、トラフィカビリティー等ハンドリングを改良して搬出、運搬されている。
【0004】
高分子吸水材は少量の添加で瞬時に土質性状を変える事が出来る優れた材料であるが、処分場に持ち込んだ後雨水等の浸入により再泥化するし、.強度は発現しない為処理土の地盤としての活用は出来ず、グアガム等天然物の場合は土中の微生物により分解され、腐敗臭を発生する粒子が見られ、処分場によっては嫌われる事がある等の問題点が有る。
【0005】
改良土が、アルカリ性になっても良い場合は生石灰が用いられる。生石灰は汚泥中の水分と反応して消石灰となる為、瞬時に吸水し、かつ発熱により蒸発による脱水も起こる為、広く活用されている。又土中の粘土鉱物とポゾラン反応し強度も発現出来る優れた材料である。
しかし、
第1に、石灰が土中のアンモニウム塩と反応しアンモニア臭を発生し、改良時の高い発熱により臭気が助長される。
第2に、生石灰は顆粒状又は粉状品でも数mm篩で篩分けられたもので改良土に白い石灰の粒子が見られ、処分場によっては嫌われる事がある。
第3に、生石灰を現場で貯蔵する場合は加水による発熱の懸念が有り、消防署への届出が必要となる。
【0006】
また、半水石膏は、中性固化材として用いられ、固化反応がセメントに比べて極めて速いので搬出までの間にハンドリング性状を改善する事が出来る。しかし、石膏は高含水比の汚泥では再泥化し、また、石膏の中にはフッ素を含有するものが多く、さらには、処分場でのフッ素溶出の懸念が有り、石膏が土中の硫酸還元菌により還元され、硫化水素を発生する場合がある、という問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−225590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、泥土に加えて混合攪拌する事により直ちにハンドリング性状を改善し、搬出運搬後に強度を発現するので処理場で再泥化しない土質改良材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この請求項1の発明に係る土質改良材にあっては、石灰と水酸化アルミニウムとして非晶質水酸化アルミニウムを用い、泥土の流動性、粘り気を除去し、ハンドリングを改良し、降雨等により軟弱化しない材料で構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の土質改良材を技術的前提とし、前記石灰として消石灰用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
それ故、この発明に係る土質改良材にあっては、アルミ二ウム製品の表面処理工程であるアルマイト処理で発生するアルミスラッジを乾燥粉砕した水酸化アルミニウムは非晶質で活性が高く、色々な分野で活用されているが、これに消石灰を加えると直ちにカルシウムアルミネート水和物を生成し、土壌のハンドリング性状を改善し、石灰として生石灰を用いるより効果が高い事を見出した。
又、上記水和物生成により粒子間の間隙水を急速に取り除き、粘り気が残らない為、夾雑物除去の為の篩い分け時にも団子状にならず、篩目を通過出来る。従来技術の特開2012−176394では含水した荷電を有する粒子及び異物を含む廃棄物が対象であるが、本発明は凝集作用ではなく、水和物生成によるハンドリング性状の向上である。
【0012】
生成するカルシウムアルミネート水和物 3CaO・Al2O3・6H2O から純度を100%で材料比率を算出すると消石灰58.7%、非晶質水酸化アルミニウム41.3%であるが各々湿分不純物を含んでおり各々50%程度が良く、消石灰が過剰でも土中の粘土鉱物と反応することができる。
石灰として生石灰、水酸化アルミニウムとして結晶質を用いる場合も上記化学量論的にカルシウムアルミネート水和物を生成出来る比率が望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明の実施の一形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0014】
1.
初期性状
丸中シルト#250に水を加えた模擬泥土にA〜Dの配合の改良材を加えた。直ちに性状が変化するのでホバートミキサーで30秒混合攪拌し、ミニスランプでその初期性状を比較した。。
【0016】
表1からも明らかなように、Aはほとんど0に近い値でほぼコーンの原型のままとなった。AとBとの差は水酸化アルミニウムの違いであり、非晶質水酸化アルミニウムの水和活性の高さにより初期性状が大きく改善された。
【0017】
AとCとの差は石灰の種類で非晶質水酸化アルミニウムを用いる場合は生石灰より消石灰の方が水和反応が速い事を見出した。一方、BとDでは、生石灰の吸水反応が寄与する為、Bの方がスランプ値が大きくなった。
【0020】
各々原土に加水し、泥土状とし改良材を30kg/m3添加した。
【0021】
その結果、僅かな添加量で変質し、低強度ながら固化し、材例の経過による再泥化は見られなかった。
【0023】
尚、表3中、泥土 : 宮城県石巻市の河川に堆積したヘドロ、見かけは黒い色をした羊羹状ゲルの状態で、木屑等のゴミを多く含むものを使用した。単位体積重量1.12kg/L。
また、改質剤
(A)は、非晶質水酸化アルミニウム1 : 消石灰 1
改質剤(B)は、非晶質水酸化アルミニウム
1 : 消石灰 2
高分子ポリマー(A)は、高分子凝集剤系材料 一般残土の改質としては、1.0〜3.0g/L、
高分子ポリマー(B)は、高分子吸水性樹脂材料 一般残土の改質としては、1.0〜5.0g/L 、
さらに、手順としては、
先ず、泥土1000gを計量してパレットに広げ、改質材料を所定量計量し泥土にまぶす様に添加した。
次に、手の指先で、軽く3分ほどの混合を行なった。
目視評価は、3分経過した泥土の状態を評価した。
網の通過は、1辺角20mmの篩い網を軽く叩きながら改質した泥土を1000ccを通過させた残量を計量した。