特許第6018505号(P6018505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018505
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】分離又は反応システムの無菌接続
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/14 20060101AFI20161020BHJP
   B01J 19/24 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20161020BHJP
   G01N 30/60 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61M39/14
   B01J19/24 Z
   G01N30/26 N
   G01N30/60 P
   G01N30/60 Q
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-547984(P2012-547984)
(86)(22)【出願日】2011年1月10日
(65)【公表番号】特表2013-516315(P2013-516315A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】SE2011050010
(87)【国際公開番号】WO2011084101
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2013年12月26日
【審判番号】不服2015-3937(P2015-3937/J1)
【審判請求日】2015年3月2日
(31)【優先権主張番号】1050007-2
(32)【優先日】2010年1月11日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ゲバウアー,クラウス
【合議体】
【審判長】 豊永 茂弘
【審判官】 國島 明弘
【審判官】 日比野 隆治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−848(JP,A)
【文献】 特公昭53−43758(JP,B1)
【文献】 特開2007−283298(JP,A)
【文献】 特表2003−519004(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0030272(US,A1)
【文献】 特表平8−502339(JP,A)
【文献】 特表2002−514941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00−12/02
B01J 14/00−19/32
B81B 1/00−7/04
B81C 1/00−99/00
G01N 37/00
G01N 30/00−30/96
G03G 13/08、15/08
B01D27/00
B01D39/14
B01D63/08
A61M39/10−39/20
B25B27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の対合可能な分離又は反応ユニット(1;1’;81;81’;101)を含む分離又は反応システムであって、
各々の分離又は反応ユニットが、1以上の流体入口(3a、3b、5a、5b;3a’、3b’、5a’、5b’;85a、85b;103a、103b)及び1以上の流体出口(3a、3b、5a、5b;3a’、3b’、5a’、5b’;85a、85b;103a、103b)と、各々の流体入口及び流体出口の周りに設けられたガスケット(41;105a、105b)であって圧縮可能な発泡層(43)で取り囲まれたガスケットとを備えており、
1以上の流体入口及び1以上の流体出口の各々が、圧縮可能な発泡層(43)の上に設けられたフィルム(7、9;11;87a、87b;107a、107b)で封止されていて、フィルムの下の圧縮可能な発泡層が無菌状態であり、
ィルムが、別の分離又は反応ユニット上或いは分離又は反応ユニットが接続される流体分配ユニット(20;57;61)上の対応するフィルムと対合して、対合するフィルムを一緒に引き抜けるように構成されており、
当該システムが、さらに、
対合フィルムを引き抜いた後に、圧縮可能な発泡層の間に第1の無菌接続をもたらすように構成されたラッチ機構と、
第1の無菌接続がなされた後に、ガスケットの間に液密シール及び第2の無菌接続をもたらすように構成された圧縮デバイス(71a、71b;91)と
を備える、分離又は反応システム
【請求項2】
当該システムがディスポーザルある、請求項1記載の分離又は反応システム
【請求項3】
フィルム(7、9;11;87a、87b;107a、107b)が流体入口及び流体出口の上で内側層と外側層とを形成するように折りにされ、その外側層がユニットの外にはみ出して、対合フィルムの他方のフィルムの対応する外側層と共に引き抜けるように構成される、請求項1又は請求項記載の分離又は反応システム
【請求項4】
分離又は反応ユニットの少なくとも1つが濾過ユニットである、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の分離又は反応システム
【請求項5】
分離又は反応ユニットの少なくとも1つがクロマトグラフィーユニットである、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の分離又は反応システム
【請求項6】
分離又は反応ユニットの少なくとも1つが、孔構造から調製される反応ユニットである、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の分離又は反応システム
【請求項7】
当該システムが、流体分配ユニット(20;57、61)をさらに備えており、流体分配ユニットが、分離ユニットに接続される側に、フィルム(30、31)で封止された1以上の分配ユニット入口又は出口(23、25、27、29)を有していて、フィルムの下の圧縮可能な発泡層が無菌であり、フィルム(30、31)が、分離ユニット(1)上の対応するフィルム(7、9)と対合するように構成されている請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の分離又は反応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離又は反応ユニット、流体分配ユニット、分離又は反応システム、並びに、2以上の分離又は反応ユニット或いは1以上の分離又は反応ユニットと1以上の流体分配ユニットとの間での無菌接続(aseptic connection)を実現するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスポーザルシステムとも呼ばれる使い捨てシステムがバイオプロセス産業においてますます使用されている。例えば、クロマトグラフィーシステム、フィルターシステム、又はバイオリアクターシステムなど分離又は反応システムは、現在、少なくとも一部がディスポーザルシステムとして提供されている。これにより、処理前、プロセス及びサイクル中、又は処理後に従来の再使用可能な器具に必要とされる再使用前に、洗浄及び洗浄バリデーションの必要がなくなる。ディスポーザルシステムを用いると、交差汚染が回避される。
【0003】
使い捨て器具を製品に接触させる前の洗浄の必要をなくするためには、器具自体の製造中に使い捨て器具のバイオバーデン管理が必要とされる。これは、通常、制御された環境(クリーンルーム)内で使い捨て器具を製造することによって行われ、その後にしばしば殺菌処理(γ線照射)が続く。バイオバーデン管理のレベルの要求度は用途ごとに異なる可能性があるが、器具のある程度までのバイオバーデン管理は、一部の用途において必須であるだけでなく、ディスポーザル器具を使用するほとんどの用途において好適であると考えられる。この器具を制御された環境内で生産することが、バイオバーデン管理手順前の汚染物質の初期レベルを確実に低くするために必要であり、これにより例えばエンドトキシンレベルが低下する。殺菌及び無菌状態は、システム、器具又は流体導管の状態を、バイオバーデンレベルが異なる程度で管理されていると定義するために使用される用語である。
【0004】
無菌コネクタは、使い捨て器具を、やはり使い捨て器具に相互接続するために、さらには、バイオバーデンを管理されている(消毒、殺菌など)従来の再使用器具に相互接続するために使用することができる。入手可能な無菌コネクタは、例えば、GE Healthcare社のReadyMateコネクタ及びPall社のKleenpackである。
【0005】
バイオマニュファクチャリングにおける無菌コネクタの典型的な用途は、流体ライン間、分離ユニット(フィルター、クロマトグラフィーカラム、吸着器、膜吸着器、膨張層又は流動層吸着器)間、或いは、反応ユニット(バイオリアクター、例えば酵素的変換を利用する反応ユニット又は(バイオ)変換ユニット)の間の接続である。
【0006】
複数のユニットから形成されるディスポーザル分離ユニットの例が米国特許出願公開第2007/0241048号で説明されている。このシステムの問題は、ユニットを組み立てるときに処理側の無菌状態(又は、バイオバーデン管理)を維持するために、制御された環境(LAFベンチ)内で組み立てを行う必要があることである。
【0007】
現在利用可能である技術を用いて可能である解決策は、それぞれ別々のディスポーザル分離又は反応ユニットを無菌コネクタを用いて接続することである。しかし、これはコスト効率的でなく、また、相互接続する流体ラインのホールドアップ体積が大きいことにより分離効率が低い。
【0008】
したがって、現在入手可能であるディスポーザル分離又は反応ユニットはシステムの容量に関して柔軟性がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0241048号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、より柔軟性のある分離又は反応ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは請求項18に記載の方法によって達成される。それにより、複数の異なる分離又は反応ユニットを無菌で組み合わせることができる。それにより、顧客は分離又は反応システムを自分で設計することができ、無菌の分離又は反応システムに所望の容量を与えることができる。
【0012】
これは、請求項16に記載の分離又は反応システム、及び、請求項1に記載の分離又は反応ユニットによっても達成され、請求項10に記載の流体分配ユニットによっても達成される。
【0013】
適切な実施形態は本明細書及び従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a図1aは、本発明の一実施形態に係る分離ユニットを示す図である。
図1b図1bは、本発明の別の実施形態に係る分離ユニットを示す図である。
図2図2a及び図2bは、本発明の一実施形態に係る分離システム内の、図1aに示す分離ユニットと共に使用される流体分配ユニットの両側を示す図である。
図3図3は、例えば、図1a又は1bに示す分離ユニット又は図2a及びbに示す流体分配ユニットに設けられるフィルム又は接続部品を示す図である。
図4a図4aは、システムを接続する前の、本発明の一実施形態に係る分離システムを示す図である。このシステムは、図1aに示す2つの分離ユニット、図2a及びbに示す1つの流体分配ユニット、並びに、1つのエンドプレートを有する。
図4b図4bは、図4aに示す分離システム内で使用することができる流体分配ユニットの別の実施形態を示す図である。ここでは、2つの流体分配ユニットが使用され、一方の流体分配ユニットが原料入口のみを有し、もう一方の流体分配ユニットが透過液出口及び濃縮水出口を有する。
図4c図4cは、フィルムを2つずつ一体に解放するための第1の接続位置にある図4aのシステムを示す図である。
図4d図4dは、液密接続が形成されている、第2の接続位置(クランプ内に挿入されている)にある図4aのシステムを示す図である。
図5a図5aは、本発明の一実施形態に係る、直列に接続されるためのクロマトグラフィーユニットを示す図である。
図5b図5bは、本発明の別の実施形態に係る、直列に接続されるためのクロマトグラフィーユニットを示す図である。
図5c図5cは、図5a又は図5bに示すユニットを接続することができるシステムを示す図である。
図6a図6aは、分配/回収システムが各ユニットの内部に設けられる、クロマトグラフィーユニットの別の実施形態を示す図である。
図6b図6bは、図6aに示すユニットを接続することができるシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この説明及び特許請求の範囲で使用される無菌状態という単語は広い定義を有するものとし、すなわち、任意のレベルのバイオバーデン管理を含むものとする。バイオバーデン管理又は無菌状態は、菌体数/ml又はCFU(コロニー形成単位)として測定され得る。本発明の一実施形態では、無菌状態のレベルは100CFU/ml未満であるべきである。これは、食品グレードの製品に必要となるバイオバーデン管理レベルに相当する。低レベルのバイオバーデンは殺菌処理によって達成され得る。例えば、本発明のユニットはγ線滅菌を受けることができる。別の考えられる方法は、オートクレーブ、又は、エチレンジオキシドによるバイオバーデン管理である。
【0016】
本発明は、無菌で接続することができる無菌の分離又は反応ユニットに関する。好適には、これらのユニットはディスポーザルである。これらの分離又は反応ユニットは、例えば、フィルターシステム内に設けられるフィルターカセット、クロマトグラフィーシステム内に設けられるクロマトグラフィーユニット、又は、反応ユニットであってもよい。フィルターシステムのグループは、少なくとも無菌フィルター、粒子除去フィルター又はウィルス除去フィルターなどノーマルフローフィルター、及びクロスフローフィルターを含むものとする。クロマトグラフィーユニットのグループは、充填層クロマトグラフィー、モノリス又は別のタイプの固定層、さらには、改質膜(膜吸着器)、及び、吸着プロセスによって分離を行うために使用される別のタイプの表面又は構造を含むものとする。吸着プロセスの性質は、イオン交換、生物親和性、疎水性などに基づくものとすることができ、好適には、液体ベースの吸着プロセスとして実施される。反応ユニットのグループは、例えば生物変換プロセスのための固定層反応器、さらには、自由溶液又は流体中で少なくとも部分的に起こる反応に依存する別の構成を含むものとする。
【0017】
本発明を用いると、任意の所望の数の分離又は反応ユニットを1つのシステム内で互いに無菌で接続することができる。したがって、例えばフィルターシステム又はクロマトグラフィーシステムなどの任意の所望の容量の無菌システムを複数のユニットから構築することができる。さらに、これらのシステムはバイオバーデンを管理されていない環境内で構築することができ、そのすべての接続部を含むシステムが処理側で依然として無菌状態のままとなる。本発明によれば、保護フィルムが分離又は反応ユニットの入口/出口の上に設けられる。このフィルムは、好適には、ユニットを殺菌する前にユニットに取り付けられる。これは、取り付けられたフィルムを具備する分離又は反応ユニットを、殺菌されていない環境内で取り扱うことができ、一方、入口/出口を含めてその入口/出口によって閉じ込められているユニットの中身は、依然として殺菌された状態又は無菌状態で維持されていることを意味する。このフィルムは入口/出口の上で折り曲げられ、1枚のフィルムとしてユニットの外側に到達する。フィルムは接続されるユニット上の同様のフィルムと対合するはずであり、これらの2つのフィルムは、ユニットが一体に押圧されるときに2つのシングルシートをユニットの外側に到達するまで引くことにより、同時に解放されるはずである。これにより、2つのユニット上の入口/出口が確実に無菌で接続される。さらに、ユニット間を液密接続するのを可能にするために、1以上のガスケットが、各入口/出口の周りに、又は、デバイス及び用途にとって好適である場合には複数の入口/出口の周りに設けられる。発泡層がガスケットの周りに設けられ、その結果、複数のユニットを第1の無菌接続位置まで一体に押圧できるようになり、そこで、無菌処理側を殺菌されていない可能性がある環境に露出することなく、保護フィルムを取り外すことができる。圧縮可能な発泡パッドの目的は、隣接する折り畳まれたフィルムを引くことによって取り外するときに2つの対向する発泡パッドが互いに向かって膨張して無菌状態を維持するのを可能にするために、要求される程度の体積変動性(volumetric variability)をもたらすことである。この第1の接続位置は、好適には、各ユニットに設けられるフレームデバイス又は係止構成によって固定される(後でさらに説明する)。
【0018】
この第1の接続位置においてフィルムが解放されると、ユニットがさらに第2の位置へ一体に押圧される。この第2の位置では、係合されているガスケットを介して液密シールが形成される。
【0019】
好適には、分離又は反応ユニットはディスポーザルであり、すなわち、1回のみ使用されるように適合される。ディスポーザルシステムの1つの利点は、ディスポーザルシステムが既にある程度の無菌状態にあり、また、ディスポーザルシステムは再使用されるべきではなく、したがって使用の合間での洗浄が必要ないことから、システムを使用する前に洗浄又はバイオバーデン管理を行う必要がないことである。したがって、本発明が提供されるこの無菌接続の方法及び手段はディスポーザルシステムにおいて特に魅力的である。本発明を用いると、無菌状態の要求条件を依然として維持しながら、フィルターシステム又はクロマトグラフィーシステムなどのディスポーザルシステムを顧客が異なるユニットから所望の容量まで構築することができる。以下では、本発明のいくつかの例示の実施形態を与える。
【0020】
図1aは、本発明の一実施形態に係る分離ユニット1を示す。この実施形態では、分離ユニットは、クロスフロー濾過プロセスを行うことを目的としたフィルターカセット1である。この例では、フィルターカセットは、フィルターカセット1の左側(図1aを参照)にある2つの第1の入口/出口3a、3bと、フィルターカセット1の右側にある2つの第2の入口/出口5a、5bとを有する。入口/出口の数はもちろん変化し得る。本発明によれば、第1の入口/出口3を覆う第1のフィルム7がフィルターカセットの左側に設けられる。第2の入口/出口5a、5bを覆う第2のフィルム9がカセットの右側に設けられる。図1bでは、本発明による分離ユニット1’の別の実施形態が示されている。ここでは、分離ユニット1’の左側の第1の入口/出口3a’、3b’及び分離ユニット1’の右側の第2の入口/出口5a’、5b’が共に1つの単一のフィルム11によって覆われている。これらの図では、フィルターカセット1、1’の一方の側しか見ることができない。しかし、これらのユニットの背面側も、好適には、入口/出口及び覆っているフィルムを有するように同様に設計される(これらのフィルムは背面側から示される場合に見ることができる)。フィルム7、9、11と第1のカセット1、1’との間の表面は無菌状態である。本記述の冒頭で説明したように、無菌状態は、要求条件に応じた様々なレベルのバイオバーデン管理を意味していてもよい。
【0021】
図2a及び2bは、本発明の一実施形態に係る分離システム内で、図1aに示す分離ユニット1と共に使用される流体分配ユニット20を示す。この実施形態では、流体分配ユニット20はフィルターシステム内で使用されるように適合され、フィルターユニットに接続されるように適合された側(図2aの前面側)において、入口/出口3a、b、5a、bの位置に対応する位置にある4つの入口/出口を有する。この例では、分配ユニット20の右側(図2aを参照)の下側部分に分配ユニット入口23が設けられ、入口23の上方に第1の分配ユニット出口25(透過液−濃縮水)が設けられ、分配ユニット20の左側に第2の分配ユニット出口27及び第3の分配ユニット出口29が設けられる。すべての入口/出口23、25、27、29は、接続されるように適合されたフィルターユニット1の入口/出口3a、b、5a、bに対応するように位置決めされる。本発明によれば、分配ユニット入口/出口はフィルムによって覆われる。この実施形態では、第1のフィルム30が分配ユニット入口23及び第1の分配ユニット出口25を覆い、第2のフィルム31が第2の分配ユニット出口27及び第3の分配ユニット出口29を覆う。また、これらのフィルム30、31は、この流体分配ユニットが接続されるべきフィルターカセットの第1のフィルム7及び第2のフィルム9と同じ寸法を有する。上記と同様に、これらのフィルムと流体分配ユニットとの間の表面も無菌状態である。
【0022】
図2bでは、図2aに示す流体分配ユニット20のもう一方の側が示されている。ここでは、分配ユニットの流体入口接続部23’が示されており、これは、流体分配ユニット20のもう一方の側の分配ユニット入口23に接続される。さらに、第1の分配ユニット液体出口接続部25’、第2の分配ユニット液体出口接続部27’及び第3の分配ユニット液体出口接続部29’が示されており、これらはすべて、流体分配ユニット20のもう一方の側の対応する出口に接続される。
【0023】
図3は、無菌バリアとして例えば図1a又は1bに示す分離ユニット或いは図2a及びbに示す流体分配ユニットに設けられるフィルム及び接続部分を示す。図3では、図1aの右側のフィルムに対応する参照符号が使用されている。ここでは図1aの第1の入口/出口3aである入口/出口が断面で示されている。(しかし、他のすべての入口/出口も同様に示され得る。)第1の入口/出口3aの周りにはガスケット41が設けられる。分離/反応ユニット及び流体分配ユニットの両方のそれぞれの入口/出口の周りには、1つのガスケットが設けられてもよい。場合によっては、2以上の入口/出口の周りに1つのガスケットが設けられることも可能である。さらに、ガスケット41の周りに圧縮可能な発泡層43が設けられる。折り畳まれたフィルム7が、第1の入口/出口3a、ガスケット41及び発泡層43の上に設けられる。フィルム7とガスケット41及び発泡層43との間の接続表面は上述したように無菌状態である。
【0024】
フィルム7は不均一に折り畳まれ、結果として、このフィルムは分離又は反応ユニット或いは流体分配ユニットの上で二重になり、1枚の最上層として分離ユニット、反応ユニット又は流体分配ユニットの外側に到達する。この部分は、システムが接続されるときに、握持するために、また適合するフィルムと共にフィルムを引き出すために使用される。図1に示す2つの分離ユニットが接続されるとき、これらのフィルムは2つずつ一体に対合し、接続中、これらのフィルムは2つずつ共に引き出される。その結果、分離ユニットの無菌状態の表面(以前フィルムによって覆われていた)が対合し、無菌状態が維持される。これは後でより詳細に説明する。
【0025】
図4aは、システムが接続される前の、システムの一実施形態に係る分離システムを示す。このシステムは、図1aに示す2つの分離ユニット1と、図2a及び2bに示す1つの流体分配ユニット20と、1つのエンドプレート51とを有する。この例では、エンドプレート51は入口又は出口を一切有さない。単なる平坦な表面であるが、最も近い分離ユニット1上のフィルムと対合するフィルムを具備する。ここでは、システムが接続されるときにフィルムがいかにして2つずつ一体に対合するかを見ることができる。
【0026】
図4bは、図4aの分離システムの別の実施形態を示す。この実施形態では、図4aの流体分配ユニット20及びエンドプレート51の代わりに、入口接続部59を1つのみ有する第1の流体分配ユニット57、並びに、3つの出口接続部63a、b、cを有する第2の流体分配ユニット61が使用される。これにより別のタイプの分離システムが与えられるが、フィルムを使用することによる、無菌接続を用いた本発明の考え方は同じである。
【0027】
エンドプレート及び分配プレートの別の構成も可能である。例えば、図4a及び4bに示すように2つの出口接続部を使用する代わりに、単一の出口接続部に濾過液出口(透過液)を集めることができる。同様に、流体接続部、プレート及びカセットの別の位置及び向きも可能である。
【0028】
図4cは第1の接続位置にある図4aのシステムを示しており、ここでは、フィルムが2つずつ一体に矢印の方向に解放される。この第1の接続位置は、表面を互いに一体に接続するように移動させてシステム及びそのユニットをこの第1の位置で係止することにより、達成される。これは、例えば、対合する係止部分が分離又は反応ユニットのそれぞれの接続側にさらには流体分離ユニットに設けられるような、ラッチ構成によって行うことができる。これは、例えば、ユニットの一方の側にフックを有する突出部、及び、突出部を受けるように適合されるもう一方側にある凹部であってもよい。突出部を凹部内に押圧するとき、フックがショルダ上を通過する必要があり、それによりフックが定位置で掛止される。
【0029】
第1の接続位置を達成するための別の代替形態は、カセット及びエンドユニットに適度な圧縮力を加えるクランプデバイス内にシステムを入れることである。この第1の接続位置では、分離ユニット1及び流体分配ユニット20並びにエンドユニット51の外側に到達するフィルムの部分が2つずつ一体に握持されてシステムから引き出される。
【0030】
図4dは第2の接続位置にある図4aのシステムを示しており、ここでは液密接続が形成されている。この第2の接続位置は、流体分配ユニット20及びエンドユニット51に対して互いに向かう方向により強い力を加えることによって達成され、すなわち、システムのすべての部品の間の距離がより小さくなり、ガスケットが係合される。この例では、分離システムは、第1の圧縮プレート71a及び第2の圧縮プレート71bを有する圧縮デバイスの内側に設けられ、第1の圧縮プレート71a及び第2の圧縮プレート71bには、必要である液密シールを形成するために圧縮力が加えられ得る。圧縮デバイス71a、71bは圧縮位置で係止することができ、それにより液密シールが維持される。
【0031】
図5aは、本発明の一実施形態に係る、直列に接続されるためのクロマトグラフィーユニット81の形態の分離ユニットを示す。この実施形態では、ユニットは立方体として提供される。クロマトグラフィーユニット81は充填層83を有し、充填層83の各端部にはフィルター85a及び85bがあり、それぞれユニットの頂部及び底部に面している。これらのフィルター85a、85bはこの事例ではユニットの入口/出口である。本発明の前の実施形態で説明したものと同じ種類の保護フィルム87a及び87bが各フィルター85a、85bの上に設けられる。したがって、このクロマトグラフィーユニットは同じ種類の別のクロマトグラフィーユニットに接続することができ、カラムを無菌状態で接続することができる。
【0032】
図5bは、本発明の別の実施形態に係る、直列に接続されるためのクロマトグラフィーユニット81’を示す。図5aに示すクロマトグラフィーユニットとの違いは、このユニットが円筒として提供されていることのみである。別の幾何形状の充填層も可能である。充填層は、それぞれ、粒子及び懸濁液から作られてもよい。代わりに、例えば化学的に調製されたモノリス又は焼結構造体といったようなブロックとして、多孔構造のクロマトグラフィーユニットが提供されてもよい。上で説明したように、充填層及びユニットは、例えば生物変換を行うための、反応ユニットとして構成されてもよい。
【0033】
図5cはシステム91を示しており、ここでは、図5a又はbに示すユニット81、81’を接続することができる。このシステムは、底部圧縮プレート94a及び上側圧縮プレート94bを有する圧縮デバイス93を有し、底部圧縮プレート94aと上側圧縮プレート94bとの間には、所望される数のクロマトグラフィーユニット81、81’が配置される。底部圧縮プレート94aは第1の入口/出口95aを有し、上側圧縮プレートを第2の入口/出口95bを有する。システム91は、底部圧縮プレート94aとシステム内に配置されるクロマトグラフィーユニットとの間に、第1の分配プレート97aをさらに有する。第1の分配プレート97aはさらに第1の入口/出口95a接続され、本発明によるフィルム99aを具備する。フィルム99aは、接続されるべきユニットの最も下の位置に配置されるクロマトグラフィーユニット81、81’のフィルム87bと対合するように適合される。システム91は、上側圧縮プレート94bとシステム内に配置されるユニットとの間に配置される第2の分配プレート97bをさらに有する。第2の分配プレート97bは第2の入口/出口95bに接続され、本発明によるフィルム99bを具備する。
【0034】
図5cでは、3つのクロマトグラフィーユニット81、81’がいかにしてシステム91内に設けられるかが示されている。また、本発明のこの実施形態では、ユニットは圧縮プレート94a、94bの間で圧縮されて、対合しているフィルムを解放するための箇所の第1の位置に達し、次いで、液密シールが形成される第2の位置に達する。
【0035】
図5a、5b及び5cに関連して上述したクロマトグラフィーユニット81、81’はまた、例えばモノリスといったようなブロック材料としても提供されてもよい。この場合、フィルターは必要ない。しかし、フィルム87a、87Bが同様の形で提供され、図5cに関連して説明した圧縮デバイスと同様の圧縮デバイス91を使用することができる。
【0036】
図6aはクロマトグラフィー又は反応ユニット101の形態の分離ユニットの別の実施形態を示しており、ここでは、分配/回収システムが各ユニットの内部に提供される。クロマトグラフィー又は反応ユニット101の内部では、分配/回収システムが充填層の各端部に設けられる。これは示されていない。第1の入口/出口103aがクロマトグラフィー又は反応ユニット101の一方の側の中央に示されており、第2の入口/出口103bがクロマトグラフィー又は反応ユニット101のもう一方の側の中央に示されている。入口/出口103a、103bの周りには、図3にも示されるように、ガスケット105a、105b及び発泡層(図示せず)が設けられる。本発明によるフィルム107a、107bが各入口/出口103a、103bの上に設けられる。
【0037】
図6bは、図6aに示すユニットを接続することができるシステムを示す。このシステムは図5cに示すシステムに類似しており、ここではさらに説明しない。これらのフィルムは上述したように2つずつ対合し、上述したようにユニットの間に無菌接続が形成される。
【0038】
上述したこれらのすべての実施形態では、プロセス流体に接触する部分及び表面は、好適には、(生物)薬剤製造品質又は食品グレード品質における通常の材料要求に従う材料から選択される。例えば、材料は好適にはUSP Class VI及び21 CFR 177に準拠する。さらに、材料は、好適には、動物質を含まない(animal-free origin)材料であり、EMEA/410/01に準拠する。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b