【実施例】
【0009】
本発明の実施例に係る制動装置は、ハウジング10、可動体20、第1の内壁30、第2の内壁40、コイル50、磁気粘性流体60及び温度センサ70を有して構成されている。
【0010】
ハウジング10は、本体11と蓋12とを有して構成されている(
図1、
図2及び
図3参照)。本体11は、非磁性材料から成り、筒状の周壁11aと、周壁11aの一端側を塞ぐ円盤状の端壁11bと、端壁11bから外側に張り出したフランジ11cとを有して構成されている(
図1、
図2及び
図3参照)。端壁11bには、第1の穴11d及び第2の穴11eが形成されている(
図1及び
図2参照)。第1の穴11dは、端壁11bの中央において、端壁11bを貫通するように形成されている(
図1及び
図2参照)。第2の穴11eは、端壁11bの所定位置において、端壁11bを貫通するように形成されている(
図1及び
図2参照)。フランジ11cには、固定具が挿通される穴11fが形成されている(
図1、
図2及び
図3参照)。蓋12は、非磁性材料から成り、本体11の周壁11aに取り付けられる(
図2参照)。
【0011】
可動体20は、回転軸21、ロータ22及び連結部23を有して構成されている(
図2及び
図3参照)。回転軸21は、非磁性材料から成り、制御対象物(図示せず)が結合するための穴21aを有している(
図2及び
図3参照)。連結部23は、非磁性材料から成り、回転軸21と一体に形成されている(
図2及び
図3参照)。連結部23は、回転軸21とロータ22の間にあって、両者を連結する役割を果たしている。ロータ22は、軟磁性材料から成り、筒状の本体22aと、本体22aの端部から内側に突出した端壁22bとを有して構成されている(
図2及び
図3参照)。ロータ22は、端壁22bを連結部23に接着することによって回転軸21と一緒に回転するように構成されている(
図2参照)。
【0012】
第1の内壁30は、本発明の「保持部材」に相当する部品である。第1の内壁30は、軟磁性材料から成り、回転軸21が挿通される穴31aを有する筒部31と、筒部31の両側からそれぞれ外側に張り出したフランジ部32,33とを有して構成されている(
図2及び
図3参照)。フランジ部32,33の外周面は、本発明の「磁気粘性流体と接する周面」に相当する(
図2参照)。第1の内壁30は、ハウジング10の本体11を構成する端壁11bに接着されている(
図2参照)。
【0013】
第2の内壁40は、軟磁性材料から成る筒状体である。第2の内壁40は、その外周面がハウジング10の本体11を構成する周壁11の内周面に接する程の外径を有し、また、その内周面が、第1の内壁30の外周面(フランジ部32,33の外周面)との間に所定の空間を形成する程の内径を有している(
図2参照)。
【0014】
コイル50は、第1の内壁30の筒部31に巻き付けられ、第1の内壁30によって保持されている(
図2参照)。コイル50には、コイル50に電流を流すためのリード線51が接続されている(
図1、
図2及び
図3参照)。
【0015】
磁気粘性流体60は、第1の内壁30と第2の内壁40との間に形成される空間(室80)に充填されている(
図2参照)。磁気粘性流体60は、合成油等の流体中に強磁性粒子を分散させた懸濁液であり、無磁場の状態では液状であるが、磁場を印加すると分散していた粒子が互いに連結して架橋構造を形成し、磁場強度に応じて剪断応力が増加する性質を有するものである。磁気粘性流体60が充填される室80には、ロータ22が配置される(
図2参照)。磁気粘性流体60の漏洩を防止するために、蓋12と回転軸21との間及び第1の内壁30と回転軸21との間にOリング91,92が配置されている(
図2参照)
【0016】
温度センサ70は、第1の内壁30(第1の内壁30の筒部31)とコイル50との間に介在するように配置されている(
図2参照)。温度センサ70のケーブル71は、端壁11bに形成された穴11eを通って外部に引き出されている(
図1及び
図2参照)。リード線51とケーブル71は、異なる引出口から外部に引き出されても良いが、その場合、配線のまとまりが悪くなるという問題が生じる。本実施例では、温度センサ70が、第1の内壁30とコイル50との間に介在するように配置されていることから、リード線51とケーブル71の両方を1つの引出口(穴11e)から外部に引き出すことが可能になり、配線をひとまとめにできるという利点がある。
【0017】
上記のように構成される制動装置によれば、コイル50に電流を流さないときは、室80内が無磁場の状態となる。従って、ロータ22に作用する磁気粘性流体60の剪断応力は小さいので、可動体20は実質的抵抗を受けることなく回転し得る。
【0018】
一方、コイル50に電流を流したときは、コイル50の周囲に磁場が発生し、第1の内壁30、ロータ22及び第2の内壁40が磁化する。また、その磁場が磁気粘性流体60に印加され、ロータ22に作用する磁気粘性流体60の剪断応力が増大する。それにより、可動体20の回転運動に抵抗が付与され、可動体20の回転速度が減速し、或いは可動体20の回転が停止する。ここで、本実施例では、ロータ22の厚さを薄く(外径と内径との差を小さく)することによって、第1の内壁30及びロータ22だけでなく、第2の内壁40も磁路を構成するように構成されている。従って、本実施例の制動装置は、ロータ22の内周面のみならず、ロータ22の外周面にも磁気粘性流体60の剪断応力が作用するので、ロータ22の内周面にのみ磁気粘性流体60の剪断応力が作用する構成よりも大きな制動力を発生させることができる。
【0019】
制動時においてロータ22と磁気粘性流体60との間に発生する熱は、コイル50の表面からコイル50の全体に伝わるとともに、磁気粘性流体60と接する第1の内壁30のフランジ部32,33の外周面から第1の内壁30の全体に伝わって、コイル50及び第1の内壁30を加温する。コイル50及び第1の内壁30の温度は、制動時に発生する熱の温度として温度センサ70によって測定される。
図4は、温度センサ70の出力を示すグラフである。このグラフに示されるように、温度が上昇するに従って温度センサ70から出力される電圧が大きくなるので、この電圧値を温度に換算することができる。温度センサ70を用いて制動時に発生する熱の温度を監視することによって、異常過熱を検出することができる。従って、本実施例の制動装置によれば、異常過熱による不具合を未然に防止することが可能になる。
【0020】
また、本実施例の制動装置によれば、温度センサ70が、第1の内壁30だけでなく、コイル50にも接するように配置されているため、温度センサ70によってコイル50の温度を測定し、それにより、過電流によるコイル50の異常過熱も検出し得る。