特許第6018510号(P6018510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6018510-制動装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018510
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】制動装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 66/00 20060101AFI20161020BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F16D66/00 A
   F16D63/00 P
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-10870(P2013-10870)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-142016(P2014-142016A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198271
【氏名又は名称】株式会社ソミック石川
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧井 正明
(72)【発明者】
【氏名】志村 良太
(72)【発明者】
【氏名】山田 大輔
【審査官】 中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06186290(US,B1)
【文献】 特開平07−293607(JP,A)
【文献】 特開2005−096680(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0014380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
F16D 37/00−37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体を有し、該可動体の回転運動を磁気粘性流体の剪断応力を利用して制動させ得る制動装置において、前記磁気粘性流体に印加される磁場を発生させるためのコイルと、前記磁気粘性流体と接する周面を有し、前記コイルを保持する保持部材と、該保持部材と前記コイルとの間に介在するように配置される温度センサと、前記コイルに接続されるリード線と前記温度センサのケーブルの両方を外部に引き出すための1つの引出口とを有する制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気粘性流体を用いた制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動体と、非可動体と、両者の間に充填される磁気粘性流体と、磁気粘性流体に印加される磁場を発生させるコイルとを備えた制動装置が知られている。この種の制動装置は、コイルに電流を流すことによって発生する磁場を磁気粘性流体に印加し、それにより磁気粘性流体の剪断応力が増加することを利用して、可動体の回転速度を減速させたり、その回転を停止させたりするものである。この種の制動装置は、制動時に熱を発するが、その熱の温度が異常に上昇すると、異常過熱による部品の変形や磁気粘性流体の機能低下等の様々な不具合が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4695835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、異常過熱による不具合を未然に防止し得る制動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、可動体を有し、該可動体の回転運動を磁気粘性流体の剪断応力を利用して制動させ得る制動装置において、前記磁気粘性流体に印加される磁場を発生させるためのコイルと、前記磁気粘性流体と接する周面を有し、前記コイルを保持する保持部材と、該保持部材と前記コイルとの間に介在するように配置される温度センサと、前記コイルに接続されるリード線と前記温度センサのケーブルの両方を外部に引き出すための1つの引出口とを有する制動装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の制動装置は、磁気粘性流体に印加される磁場を発生させるためのコイルと、該コイルを保持する保持部材と、該保持部材と前記コイルとの間に介在するように配置される温度センサとを備えている。従って、温度センサによって、コイル及び保持部材の温度を測定し得る。その上、本発明の制動装置は、保持部材が、磁気粘性流体と接する周面を有するので、制動時において可動体と磁気粘性流体との間に生じる熱が保持部材に直接伝わるようになっている。従って、本発明の制動装置によれば、制動時に発生する熱の温度を的確に検出することが可能で、それにより、異常過熱による不具合を未然に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施例に係る制動装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施例に係る制動装置の断面図である。
図3図3は、本発明の実施例に係る制動装置の分解斜視図である。
図4図4は、温度センサの出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明の技術的範囲は以下の説明の内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0009】
本発明の実施例に係る制動装置は、ハウジング10、可動体20、第1の内壁30、第2の内壁40、コイル50、磁気粘性流体60及び温度センサ70を有して構成されている。
【0010】
ハウジング10は、本体11と蓋12とを有して構成されている(図1図2及び図3参照)。本体11は、非磁性材料から成り、筒状の周壁11aと、周壁11aの一端側を塞ぐ円盤状の端壁11bと、端壁11bから外側に張り出したフランジ11cとを有して構成されている(図1図2及び図3参照)。端壁11bには、第1の穴11d及び第2の穴11eが形成されている(図1及び図2参照)。第1の穴11dは、端壁11bの中央において、端壁11bを貫通するように形成されている(図1及び図2参照)。第2の穴11eは、端壁11bの所定位置において、端壁11bを貫通するように形成されている(図1及び図2参照)。フランジ11cには、固定具が挿通される穴11fが形成されている(図1図2及び図3参照)。蓋12は、非磁性材料から成り、本体11の周壁11aに取り付けられる(図2参照)。
【0011】
可動体20は、回転軸21、ロータ22及び連結部23を有して構成されている(図2及び図3参照)。回転軸21は、非磁性材料から成り、制御対象物(図示せず)が結合するための穴21aを有している(図2及び図3参照)。連結部23は、非磁性材料から成り、回転軸21と一体に形成されている(図2及び図3参照)。連結部23は、回転軸21とロータ22の間にあって、両者を連結する役割を果たしている。ロータ22は、軟磁性材料から成り、筒状の本体22aと、本体22aの端部から内側に突出した端壁22bとを有して構成されている(図2及び図3参照)。ロータ22は、端壁22bを連結部23に接着することによって回転軸21と一緒に回転するように構成されている(図2参照)。
【0012】
第1の内壁30は、本発明の「保持部材」に相当する部品である。第1の内壁30は、軟磁性材料から成り、回転軸21が挿通される穴31aを有する筒部31と、筒部31の両側からそれぞれ外側に張り出したフランジ部32,33とを有して構成されている(図2及び図3参照)。フランジ部32,33の外周面は、本発明の「磁気粘性流体と接する周面」に相当する(図2参照)。第1の内壁30は、ハウジング10の本体11を構成する端壁11bに接着されている(図2参照)。
【0013】
第2の内壁40は、軟磁性材料から成る筒状体である。第2の内壁40は、その外周面がハウジング10の本体11を構成する周壁11の内周面に接する程の外径を有し、また、その内周面が、第1の内壁30の外周面(フランジ部32,33の外周面)との間に所定の空間を形成する程の内径を有している(図2参照)。
【0014】
コイル50は、第1の内壁30の筒部31に巻き付けられ、第1の内壁30によって保持されている(図2参照)。コイル50には、コイル50に電流を流すためのリード線51が接続されている(図1図2及び図3参照)。
【0015】
磁気粘性流体60は、第1の内壁30と第2の内壁40との間に形成される空間(室80)に充填されている(図2参照)。磁気粘性流体60は、合成油等の流体中に強磁性粒子を分散させた懸濁液であり、無磁場の状態では液状であるが、磁場を印加すると分散していた粒子が互いに連結して架橋構造を形成し、磁場強度に応じて剪断応力が増加する性質を有するものである。磁気粘性流体60が充填される室80には、ロータ22が配置される(図2参照)。磁気粘性流体60の漏洩を防止するために、蓋12と回転軸21との間及び第1の内壁30と回転軸21との間にOリング91,92が配置されている(図2参照)
【0016】
温度センサ70は、第1の内壁30(第1の内壁30の筒部31)とコイル50との間に介在するように配置されている(図2参照)。温度センサ70のケーブル71は、端壁11bに形成された穴11eを通って外部に引き出されている(図1及び図2参照)。リード線51とケーブル71は、異なる引出口から外部に引き出されても良いが、その場合、配線のまとまりが悪くなるという問題が生じる。本実施例では、温度センサ70が、第1の内壁30とコイル50との間に介在するように配置されていることから、リード線51とケーブル71の両方を1つの引出口(穴11e)から外部に引き出すことが可能になり、配線をひとまとめにできるという利点がある。
【0017】
上記のように構成される制動装置によれば、コイル50に電流を流さないときは、室80内が無磁場の状態となる。従って、ロータ22に作用する磁気粘性流体60の剪断応力は小さいので、可動体20は実質的抵抗を受けることなく回転し得る。
【0018】
一方、コイル50に電流を流したときは、コイル50の周囲に磁場が発生し、第1の内壁30、ロータ22及び第2の内壁40が磁化する。また、その磁場が磁気粘性流体60に印加され、ロータ22に作用する磁気粘性流体60の剪断応力が増大する。それにより、可動体20の回転運動に抵抗が付与され、可動体20の回転速度が減速し、或いは可動体20の回転が停止する。ここで、本実施例では、ロータ22の厚さを薄く(外径と内径との差を小さく)することによって、第1の内壁30及びロータ22だけでなく、第2の内壁40も磁路を構成するように構成されている。従って、本実施例の制動装置は、ロータ22の内周面のみならず、ロータ22の外周面にも磁気粘性流体60の剪断応力が作用するので、ロータ22の内周面にのみ磁気粘性流体60の剪断応力が作用する構成よりも大きな制動力を発生させることができる。
【0019】
制動時においてロータ22と磁気粘性流体60との間に発生する熱は、コイル50の表面からコイル50の全体に伝わるとともに、磁気粘性流体60と接する第1の内壁30のフランジ部32,33の外周面から第1の内壁30の全体に伝わって、コイル50及び第1の内壁30を加温する。コイル50及び第1の内壁30の温度は、制動時に発生する熱の温度として温度センサ70によって測定される。図4は、温度センサ70の出力を示すグラフである。このグラフに示されるように、温度が上昇するに従って温度センサ70から出力される電圧が大きくなるので、この電圧値を温度に換算することができる。温度センサ70を用いて制動時に発生する熱の温度を監視することによって、異常過熱を検出することができる。従って、本実施例の制動装置によれば、異常過熱による不具合を未然に防止することが可能になる。
【0020】
また、本実施例の制動装置によれば、温度センサ70が、第1の内壁30だけでなく、コイル50にも接するように配置されているため、温度センサ70によってコイル50の温度を測定し、それにより、過電流によるコイル50の異常過熱も検出し得る。
【符号の説明】
【0021】
10 ハウジング
11 ハウジングの本体
11a 周壁
11b 端壁
11c フランジ
11d 第1の穴
11e 第2の穴
11f 穴
12 蓋
20 可動体
21 回転軸
21a 穴
22 ロータ
22a ロータの本体
22b 端壁
23 連結部
30 第1の内壁(保持部材)
31 筒部
31a 穴
32,33 フランジ部
40 第2の内壁
50 コイル
51 リード線
60 磁気粘性流体
70 温度センサ
80 室
91,92 Oリング
図1
図2
図3
図4