(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
改質低品位炭が充填される処理容器と、前記処理容器へ酸素を含むガスを供給するガス供給手段と、を備える改質低品位炭の自然発熱性を低下させるためのエイジング装置の運転方法であって、
前記処理容器内の測定温度値に基づいて前記ガス中の酸素濃度を調整するとともに、前記処理容器内の改質低品位炭が酸化による温度上昇で乾燥しないように前記ガスの湿度を調整し、
前記処理容器を出た前記ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、前記処理容器へ供給する前記ガス中の酸素濃度を低下させることを特徴とする、エイジング装置の運転方法。
改質低品位炭が充填される処理容器と、前記処理容器へ酸素を含むガスを供給するガス供給手段と、を備える改質低品位炭の自然発熱性を低下させるためのエイジング装置の運転方法であって、
前記処理容器を出た前記ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、前記処理容器へ供給する前記ガス中の酸素濃度を低下させることを特徴とする、エイジング装置の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、褐炭・亜瀝青炭といった低品位炭(低い等級の石炭)を改質して燃料として利用すべく研究・開発を行っている。低品位炭の改質とは、例えば低品位炭を乾燥(脱水)することであり、低品位炭を脱水することでその発熱量が高まる。低品位炭の脱水方法としては、低品位炭を油の中で脱水する油中脱水という方法がある。
【0005】
ここで、低品位炭を改質した改質低品位炭は、その製造直後において自然発火性が高いという性質を有する。改質低品位炭の自然発火性を低下させる方法として、例えば特許文献1に記載されているように、酸素を含むガスと炭素質材料とを接触させて炭素質材料を部分的に酸化させるという方法がある。これにより、低温で生じる炭素質材料の酸化活性が低減してその自然発火性が低下する。このような方法を、本出願人は「エイジング」と呼んでいる。
【0006】
このエイジングの工程では、特許文献1にも記載があるように、処理容器に充填された炭素質材料(製品)の温度を制御している。しかしながら、温度制御のみでは、エイジング工程における酸化によりエイジング工程直後において製品が乾燥する。乾燥した製品は、空気中の水分を吸着して吸着熱を出す。また、乾燥している製品はそもそも発熱しやすい。これらより、温度制御のみでは、エイジング工程直後において製品は自然発熱によって発火しやすい。この自然発熱による発火を防止するには、エイジング工程後に製品に水分補給するという別の工程(Rehydration Cooler)が必要になる。
【0007】
また、エイジング工程中、処理容器内の温度(処理容器に充填された炭素質材料の温度)が局所的に上昇することがある。なお、処理容器内(処理容器に充填された炭素質材料)の局所的に温度が上昇した部分を「ホットスポット」と呼んでいる。温度計による処理容器内の温度計測では、温度測定箇所が限定されるため、処理容器内の局所的な温度上昇箇所(ホットスポット)を把握することが難しいという問題点もある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することを防止できる技術を提供することである。これにより、エイジング工程後の改質低品位炭を安全にパイリングすることができるようになる。なお、パイリングとは、改質低品位炭などを、例えば山積みにしておくことをいう。
【0009】
また本発明の第2の目的は、処理容器内(処理容器に充填された炭素質材料)に生じるホットスポットを把握しつつエイジングを行うことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した第1の目的を達成するための第1の本発明は、改質低品位炭の自然発熱性を低下させるためのエイジング装置であって、改質低品位炭が充填される処理容器と、前記処理容器へ酸素を含むガスを供給するガス供給手段と、前記ガス中の酸素濃度を調整するための酸素濃度調整手段と、前記ガスの湿度を調整するための湿度調整手段と、前記処理容器内の温度を検出する容器内温度計と、前記容器内温度計の検出値に基づいて前記酸素濃度調整手段を制御して前記ガス中の酸素濃度を調整するとともに、前記処理容器内の改質低品位炭が酸化による温度上昇で乾燥しないように前記湿度調整手段を制御して前記ガスの湿度を調整する制御手段と、を備えることを特徴とするエイジング装置である。
【0011】
この構成によると、エイジング工程中に改質低品位炭の湿度を調整することができる。その結果、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することを防止することができる。
【0012】
また本発明において、前記制御手段は、前記処理容器内の改質低品位炭の水分が平衡水分に達するように前記湿度調整手段を制御することが好ましい。
【0013】
この構成によると、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することをより防止することができる。
【0014】
さらに本発明において、前記制御手段は、さらに、前記処理容器を出た前記ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、前記酸素濃度調整手段を制御して前記ガス中の酸素濃度を低下させることが好ましい。
【0015】
本発明者らは、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)にホットスポット(局所的な高温部分)が生じると、エイジングに供されたガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇することを見出した。
【0016】
すなわち、この構成によると、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)に生じるホットスポットを把握しつつエイジングを行うことができ、より安全に(処理容器内での自然発火を防止しつつ)エイジングを行うことができる。
【0017】
また、第1の本発明の第2態様は、改質低品位炭が充填される処理容器と、前記処理容器へ酸素を含むガスを供給するガス供給手段と、を備える改質低品位炭の自然発熱性を低下させるためのエイジング装置の運転方法であって、前記処理容器内の測定温度値に基づいて前記ガス中の酸素濃度を調整するとともに、前記処理容器内の改質低品位炭が酸化による温度上昇で乾燥しないように前記ガスの湿度を調整することを特徴とするエイジング装置の運転方法である。
【0018】
この構成によると、エイジング工程中に改質低品位炭の湿度を調整することができる。その結果、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することを防止することができる。
【0019】
また本発明において、前記処理容器内の改質低品位炭の水分が平衡水分に達するように前記ガスの湿度を調整することが好ましい。
【0020】
この構成によると、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することをより防止することができる。
【0021】
さらに本発明において、前記処理容器を出た前記ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、前記処理容器へ供給する前記ガス中の酸素濃度を低下させることが好ましい。
【0022】
この構成によると、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)に生じるホットスポットを把握しつつエイジングを行うことができ、より安全に(処理容器内での自然発火を防止しつつ)エイジングを行うことができる。
【0023】
また、前記した第2の目的を達成するための第2の本発明は、改質低品位炭の自然発熱性を低下させるためのエイジング装置であって、改質低品位炭が充填される処理容器と、前記処理容器へ酸素を含むガスを供給するガス供給手段と、前記ガス中の酸素濃度を調整するための酸素濃度調整手段と、前記処理容器を出た前記ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、前記酸素濃度調整手段を制御して前記ガス中の酸素濃度を低下させる制御手段と、を備えることを特徴とするエイジング装置である。
【0024】
本発明者らは、前記した第2の目的を達成すべく鋭意検討した結果、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)にホットスポット(局所的な高温部分)が生じると、エイジングに供されたガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇することを見出した。この知見に基づいて上記した第2の本発明が完成したのである。
【0025】
この第2の本発明によると、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)に生じるホットスポットを把握しつつエイジングを行うことができる。その結果、より安全に(処理容器内での自然発火を防止しつつ)エイジングを行うことができる。
【0026】
また、第2の本発明の第2態様は、改質低品位炭が充填される処理容器と、前記処理容器へ酸素を含むガスを供給するガス供給手段と、を備える改質低品位炭の自然発熱性を低下させるためのエイジング装置の運転方法であって、前記処理容器を出た前記ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、前記処理容器へ供給する前記ガス中の酸素濃度を低下させることを特徴とするエイジング装置の運転方法である。
【0027】
この構成によると、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)に生じるホットスポットを把握しつつエイジングを行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
第1の本発明によれば、エイジング工程においてこれまで制御概念のなかったエイジング用ガスの湿度を制御(調整)することで、エイジング工程中に改質低品位炭の湿度を調整することができる。その結果、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することを防止することができる。これにより、エイジング工程後の改質低品位炭を安全にパイリングすることができるようになる。
【0029】
また、第2の本発明によれば、エイジング用ガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率に基づいて当該ガス中の酸素濃度を制御(調整)することで、処理容器内(処理容器に充填された改質低品位炭)に生じるホットスポットを把握しつつエイジングを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、「エイジング」の対象を改質褐炭としている。前記したように、「エイジング」とは、酸素を含むガスと炭素質材料とを接触させることで炭素質材料を部分的に酸化させて、低温で生じる炭素質材料の酸化活性を低減させることをいう。これにより、炭素質材料の自然発火性が低下する。
【0032】
また、改質褐炭とは、褐炭を乾燥(脱水)したもののことをいう。褐炭を脱水することでその発熱量が高まる。褐炭の脱水方法としては、褐炭を油の中で脱水する油中脱水という方法がある。なお、改質褐炭ではなく、亜瀝青炭・亜炭・泥炭などを改質した改質低品位炭を以下に説明するエイジング装置を用いて「エイジング」処理することもできる。
【0033】
(第1実施形態)
(エイジング装置の構成)
図1を参照しつつ本発明の第1実施形態に係るエイジング装置100について説明する。
図1に示すように、エイジング装置100は、改質褐炭が充填される処理容器1と、処理容器1へエイジング用ガスを供給するための送風機2と、を備えている。なお、エイジング用ガスとは、酸素を含むガスのことである。
【0034】
送風機2と処理容器1とはガス供給経路31およびガス戻経路32で相互に接続されている。ガス供給経路31およびガス戻経路32は、ガスの通路となる導管(ダクト)である。なお、本実施形態では、送風機2と処理容器1との間をエイジング用ガスが循環する形態としているが、送風機2と処理容器1との間でエイジング用ガスを循環させなくてもよい。すなわち、処理容器1から排出されたエイジング用ガスを送風機2に戻さずに外部へ排気する形態としてもよい。
【0035】
また、ガス供給経路31には熱交換器3が設けられている。この熱交換器3は、処理容器1に供給するエイジング用ガスを冷却することで当該エイジング用ガスの温度および湿度を調整するためのものである。熱交換器3には、冷却水を熱交換器3に供給するための冷却水導入経路37(冷却水導入管)が接続されている。冷却水導入経路37には冷却水量調整弁9が取り付けられている。
【0036】
送風機2と熱交換器3との間のガス供給経路31には、窒素ガスをガス供給経路31に供給するための窒素ガス導入経路34(窒素ガス導入管)、および蒸気をガス供給経路31に供給するための蒸気導入経路35(蒸気導入管)が接続されている。窒素ガス導入経路34は蒸気導入経路35よりも上流側に配設されている。窒素ガス導入経路34には窒素供給弁7が取り付けられ、蒸気導入経路35には蒸気供給弁8が取り付けられている。
【0037】
また、ガス戻経路32には戻ガス量調整弁5が取り付けられている。戻ガス量調整弁5と送風機2との間のガス戻経路32には、外気(空気)をガス戻経路32に供給するための外気導入経路36(外気導入管)が接続されている。外気導入経路36には外気供給弁6が取り付けられている。処理容器1と戻ガス量調整弁5との間のガス戻経路32には、処理容器1を出たガスを外部へ導く排気経路33(排気管)が接続されている。
【0038】
なお、戻ガス量調整弁5、外気供給弁6、窒素供給弁7、蒸気供給弁8、および冷却水量調整弁9は、いずれも、バルブ開度を中間開度で保持可能な例えば電動弁である。
【0039】
処理容器1には、その容器内の温度を検出するための容器内温度計10が取り付けられている。エイジング処理において、処理容器1には改質褐炭が充填されているので、容器内の温度を検出することと、充填された改質褐炭の温度を検出することとは等しい。すなわち、容器内の温度を検出するとは、充填された改質褐炭の温度を検出することを意味する。なお、処理対象の改質褐炭は、例えば、押し固められたブリケットの形態とされている。エイジング用ガスは、処理容器1の下部から処理容器1内へ供給され、処理容器1の上部からガス戻経路32へ出ていく。容器内温度計10は、複数本、処理容器1に取り付けられる(入れられる)ことが好ましい。
【0040】
熱交換器3と処理容器1との間のガス供給経路31には、処理容器1に供給されるエイジング用ガスのガス中酸素濃度を測定するための酸素濃度計11、エイジング用ガスの湿度・温度・流量を測定するための湿度計12、温度計13、流量計14が取り付けられている。
【0041】
ここで、エイジング装置100は制御ユニット4を具備している。制御ユニット4は、容器内温度計10により検出された処理容器1内の温度(充填された改質褐炭の温度)に基づいて、送風機2から処理容器1へ供給されるエイジング用ガスの酸素濃度、湿度、温度、流量を制御するためのものである。例えば、制御ユニット4は、処理容器1内の温度(充填された改質褐炭の温度)が、40℃〜70℃の間となるように、エイジング用ガスの酸素濃度、湿度、温度、流量を制御する(
図2参照)。なお、上記温度は、適宜、最適な範囲にすることができる。
【0042】
本実施形態の制御ユニット4は、戻ガス量調整弁5、外気供給弁6、窒素供給弁7、蒸気供給弁8、および冷却水量調整弁9の開度を制御している。容器内温度計10、酸素濃度計11、湿度計12、温度計13、および流量計14からの信号が制御ユニット4に取り込まれている。
【0043】
(酸素濃度制御)
制御ユニット4は、酸素濃度計11からの信号に基づいて、戻ガス量調整弁5、外気供給弁6、および窒素供給弁7のうちの少なくともいずれかの開度を制御することで、エイジング用ガスの酸素濃度を制御する。処理容器1内でエイジング用ガス中の酸素が消費されるため、処理容器1を出たガス(循環ガス)中の酸素濃度は下がる。本実施形態では、この循環ガスを利用してエイジング用ガスの酸素濃度を調整しているため、酸素濃度調整に使用する窒素ガスの量を削減することができている。外気導入経路36からの外気供給量が一定であれば、戻ガス量調整弁5の開度を大きくすれば送風機2に吸引されるガス(循環ガス)量が増えてエイジング用ガス中の酸素濃度は下がり、戻ガス量調整弁5の開度を小さくすれば送風機2に吸引されずに排気経路33から外部へ排出されるガス量が増えてエイジング用ガス中の酸素濃度は高まる。なお、エイジング用ガスに添加する酸素濃度調整用のガスは窒素ガスである必要はなく、窒素ガス以外の不活性ガスを用いてもよい。
【0044】
本実施形態では、戻ガス量調整弁5、外気供給弁6、および窒素供給弁7が、エイジング用ガスの酸素濃度を調整するための酸素濃度調整手段に相当する。なお、エイジング用ガスを循環させない場合には、戻ガス量調整弁5、および外気供給弁6がエイジング用ガスの酸素濃度を調整するための酸素濃度調整手段に相当する。
【0045】
(温度および湿度制御)
制御ユニット4は、湿度計12および温度計13からの信号に基づいて、蒸気供給弁8、および冷却水量調整弁9のうちの少なくともいずれかの開度を制御することで、処理容器1内に充填された改質褐炭がエイジング用ガスとの接触による低温酸化に起因する温度上昇で乾燥しないように、エイジング用ガスの湿度(および温度)を制御する。エイジング用ガスの湿度を例えば高めるには、蒸気供給弁8の開度を大きくしてエイジング用ガスに供給する蒸気量を増やしたり、冷却水量調整弁9の開度を大きくして熱交換器3に供給する冷却水量を増加させてエイジング用ガスの温度を下げたりする制御を行う。
【0046】
本実施形態では、蒸気供給弁8、および冷却水量調整弁9が、エイジング用ガスの湿度(および温度)を調整するための湿度調整手段(温湿度調整手段)に相当する。
【0047】
(流量制御)
制御ユニット4は、流量計14からの信号に基づいて、戻ガス量調整弁5、外気供給弁6、窒素供給弁7、および蒸気供給弁8のうちの少なくともいずれかの開度を制御することで、エイジング用ガスの流量を制御する。なお、制御ユニット4は、エイジング用ガスの前記した酸素濃度制御、および温湿度制御を行いつつ流量制御を行う。
【0048】
(制御ユニットによる具体的な制御例)
図1および
図2を参照しつつ制御ユニット4による具体的な制御例について説明する。なお、
図2は、エイジング工程中における処理容器1に充填された改質褐炭の含水率、処理容器1内(充填された改質褐炭)の温度、エイジング用ガスのガス中酸素濃度・湿度・温度・流量の変化を示すチャート図であり、その横軸は時間である。
【0049】
まず、制御ユニット4からの信号により、外気供給弁6を開、戻ガス量調整弁5・窒素供給弁7・蒸気供給弁8・冷却水量調整弁9を閉の状態にする。なお、送風機2は稼動しているものとする。これにより、外気(エイジング用ガス)が処理容器1に供給される。処理容器1内で外気と改質褐炭とが接触することで改質褐炭が部分的に低温酸化していくとともに処理容器1内の温度は上昇していく。このとき、処理容器1から出たガスは、排気経路33から全量排出される。
【0050】
なお、戻ガス量調整弁5を開、外気供給弁6・窒素供給弁7・蒸気供給弁8・冷却水量調整弁9を閉の状態にして、ガス供給経路31およびガス戻経路32に存在するガスを循環させた後、外気供給弁6を徐々に開いて外気を入れていってもよい。また、蒸気供給弁8・冷却水量調整弁9は必ずしも閉でなくてもよい。
【0051】
処理容器1内の温度がT
Uに達したら、制御ユニット4により、窒素供給弁7を所定の開度まで開いてエイジング用ガスに窒素を供給する。これにより、エイジング用ガスのガス中酸素濃度が下がり、改質褐炭の酸化速度が低下する。その結果、処理容器1内の温度が低下していく。なお、ここで、戻ガス量調整弁5を開いてエイジング用ガスを循環させることによってもエイジング用ガスのガス中酸素濃度を下げる。エイジング用ガスの循環量によっても酸素濃度を調整することで、酸素濃度調整に使用する窒素ガスの量を削減することができる。なお、このとき、外気供給弁6を閉にして外気の供給を完全に止めてもよい。
【0052】
処理容器1内の温度がT
Lまで低下したら、制御ユニット4により、窒素供給弁7および戻ガス量調整弁5を閉にして、処理容器1に再び外気を供給する(または、外気の比率を増やす)。これにより、エイジング用ガスのガス中酸素濃度が上がり、処理容器1内の温度は上昇していく。しかしながら、処理容器1内の温度はT
Uまで上昇する前に低下を始める。改質褐炭の酸化活性の低下が進行しているからである。
【0053】
処理容器1内の改質褐炭の酸化速度を測定して、酸化速度が所定の値に達したら、処理容器1から改質褐炭を取り出す。なお、改質褐炭の酸化速度は、処理容器1中から少量をサンプリングし、密閉容器内での一定時間における酸素消費量で測定する。
【0054】
上記したエイジング用ガスのガス中酸素濃度制御の間、エイジング用ガスの流量、温度、および湿度は、処理容器1内の温度および改質褐炭の性状(酸化速度、含水率)の挙動に基づいて制御される。なお、改質褐炭の含水率は、工業分析JIS M 8812.5で測定する。
【0055】
例えば、
図2に示したように、処理容器1へ供給するエイジング用ガスの流量、温度、および湿度が、エイジング処理中、いずれも一定となるように、制御ユニット4によって、処理容器1へ供給するエイジング用ガスの流量、温度、および湿度を制御する。エイジング用ガスの湿度の制御目標値は、例えば、改質褐炭の吸着等温線から設定する。
【0056】
ここで、処理容器1内の改質褐炭の水分が、エイジング処理後において平衡水分に達するように、処理容器1へ供給するエイジング用ガスの湿度を制御することが好ましい。なお、改質褐炭の水分が、これ以上変化しない状態になることを水分が平衡するといい、このときの水分値を平衡水分という。平衡水分の値は、改質褐炭(改質低品位炭)の湿度に応じて変化する。
【0057】
(効果)
本実施形態のエイジング装置100によると、改質低品位炭に対してそのエイジング工程中に水分を補給して当該改質低品位炭の湿度を調整することができる。その結果、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することを防止することができる。これにより、エイジング工程後の改質低品位炭を安全にパイリングすることができるようになる。
【0058】
また、処理容器1内の改質低品位炭の水分が平衡水分に達するようにエイジング用ガスの湿度を調整することで、エイジング工程後に改質低品位炭が水分を吸着して発熱することをより防止することができ、エイジング処理後、より安全に(より自然発火を防止できる形態で)改質低品位炭をパイリングすることができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、
図3を参照しつつ本発明の第2実施形態に係るエイジング装置101について説明する。なお、
図1に示した第1実施形態のエイジング装置100を構成する機器、計器と同様の機器、計器については、同一の符号を付している。
【0060】
本実施形態のエイジング装置101と第1実施形態のエイジング装置100との相違点は、本実施形態のエイジング装置101では、処理容器1から出たガス中の一酸化炭素濃度および二酸化炭素濃度の値を測定し、処理容器1内の温度だけでなく、これらの値に基づいてもエイジング用ガスの酸素濃度を制御している点である。
【0061】
具体的な構成としては、処理容器1と戻ガス量調整弁5との間のガス戻経路32に、一酸化炭素濃度計15および二酸化炭素濃度計16を取り付け、これら計器からの信号を制御ユニット4に入れている。そして、制御ユニット4は、一酸化炭素濃度計15および二酸化炭素濃度計16の検出値に基づいて、処理容器1を出たガス中の一酸化炭素濃度に対する二酸化炭素濃度の比率が上昇した際に、複数の酸素濃度調整手段(戻ガス量調整弁5、外気供給弁6、および窒素供給弁7)のうちの少なくともいずれかを制御してガス中の酸素濃度を低下させる制御を行うように構成されている。
【0062】
ここで、処理容器1に充填された改質褐炭層の中にホットスポット(局所的な温度上昇箇所)は生じないときは、処理容器1を出たガス中の一酸化炭素濃度(体積比)に対する二酸化炭素濃度(体積比)の比率は10(CO
2/CO=10)程度で一定である。しかしながら、改質褐炭層の中にホットスポットが生じると、処理容器1を出たガス中の一酸化炭素濃度(体積比)に対する二酸化炭素濃度(体積比)の比率が上昇して、20(CO
2/CO=20)程度になる。よって、本実施形態では、例えば、ガス中の一酸化炭素濃度(体積比)に対する二酸化炭素濃度(体積比)の比率が20(CO
2/CO=20)に達したらガス中の酸素濃度を低下させる制御を行う。
【0063】
なお、改質褐炭層の中にホットスポットが生じていないときはCO
2/CO=10程度で一定、改質褐炭層の中にホットスポットが生じるとCO
2/CO=20程度になるというのは、改質褐炭の場合であって、炭種が異なればこの数値も変わってくる。
【0064】
一方、容器内温度計10による処理容器1内の温度計測では、温度測定箇所が限定されるため、処理容器1内の局所的な温度上昇箇所(ホットスポット)を把握することが難しい。
【0065】
しかしながら、本実施形態のエイジング装置101によると、処理容器1内(充填された改質褐炭層)に生じるホットスポットを容易に把握することができる。そして、ホットスポットの発生を抑制しつつエイジングを行うことができる。すなわち、より安全に(処理容器1内での自然発火を防止しつつ)エイジングを行うことができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。