特許第6018518号(P6018518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018518機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法並びに設置用座部材及び補助座部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018518
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法並びに設置用座部材及び補助座部材
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20161020BHJP
   E04D 13/18 20140101ALI20161020BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20161020BHJP
【FI】
   E04D13/00 KETD
   E04D13/18
   H02S20/23 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-28606(P2013-28606)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-156741(P2014-156741A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】504232974
【氏名又は名称】株式会社ダイドーハント
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】肌勢 勝彦
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−033017(JP,A)
【文献】 特開平11−131710(JP,A)
【文献】 特開2002−013265(JP,A)
【文献】 特開2004−150137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板に軒側から棟側に向けて相互に上下オーバラップ状態で板状の瓦を敷設した屋根に機器搭載用の支持金具をビスにより固着設置する方法において、
上側瓦の軒側端部(2a)の端面(2b)に臨む下側瓦の所定部位(2c)に下孔(5)を穿孔する下孔形成工程と、
粘着性を有する塑性変形可能な盤状の座部材(6)を前記下側瓦の所定部位(2c)に貼着し、該座部材(6)により前記下孔(5)を被うと共に、該座部材(6)の上面を前記上側瓦の軒側端部(2a)よりも上位に位置させる座形成工程と、
前記支持金具(1)を前記座部材(6)に載置して粘着させる金具載置工程と、
螺糸を設けたネジ軸部(8b)を有するビス(8)を前記支持金具(1)に挿通すると共に回転させながら前記座部材(6)に貫通させることにより、座部材(6)の掻取り素材から成るシール材(10)をビスのネジ軸部(8b)に巻き付けるシール材形成工程と、
前記座部材を貫通したビス(8)を回転させながら下孔(5)に挿通させた後、野地板(3)に螺挿させるねじ込み工程とから成り、
前記座部材(6)の塑性変形により支持金具(1)を所定姿勢に支持すると共に、前記ネジ軸部(8b)に巻き付けられたシール材(10)により、前記下孔(5)とネジ軸部(8b)の間をシールする下孔シール部(10a)を形成するように構成したことを特徴とする機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法。
【請求項2】
前記座部材(6)は、未加硫ゴムにより形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法。
【請求項3】
ビスのネジ軸部(8b)が野地板(3)に螺挿されるとき、該螺挿されるネジ軸部(8b)のシール材(10)を野地板(3)の上面に掻き落とすことにより肉盛りシール部(10b)を形成し、該肉盛りシール部(10b)により野地板(3)とネジ軸部(8b)の間をシールするように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法。
【請求項4】
前記盤状の座部材(6)は、周縁の輪郭をV形とした縁部(6a)(6a)を備え、該V形の頂端(6b)を上側瓦の軒側端部の端面(2b)に向けて配置され、前記縁部(6a)(6a)により軒側に向けて流下する雨水の流れを末広がり状に整流するデフレクター手段を構成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法。
【請求項5】
前記金具載置工程の際に、粘着性を有する塑性変形可能な薄板状の補助座部材(7)を上側瓦の軒側端部(2a)に貼着すると共に前記座部材(6)に臨ませ、前記座部材(6)と補助座部材(7)の塑性変形により支持金具(1)を所定姿勢に支持するように構成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法。
【請求項6】
前記補助座部材(7)は、周縁の輪郭をV形とした縁部(7a)(7a)を備え、該V形の頂端(7b)を棟側に向けて配置され、頂端の両側の縁部(7a)(7a)により軒側に向けて流下する雨水の流れを末広がり状に整流するデフレクター手段を構成して成ることを特徴とする請求項5に記載の機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法。
【請求項7】
請求項1、2、3又は4に記載の方法に使用される機器搭載用支持金具の設置用座部材。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の方法に使用される機器搭載用支持金具の設置用座部材及び補助座部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上に機器を搭載するための支持金具、例えば、太陽光発電を行う太陽電池モジュールを屋根上に搭載するための架台等の支持金具を屋根に固着設置する方法に関し、更に、その方法のために使用する設置用座部材及び補助座部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根上に太陽電池モジュールを搭載する場合、軒側から棟側に向かうX方向に配置される架台を前記X方向に交差するY方向に間隔をあけて屋根上に列設した状態で、Y方向に隣り合う架台に太陽電池モジュールを架設状に搭載すると共に、複数の太陽電池モジュールを前記X方向に配置している。この際、前記架台は、長尺の金具により構成される場合と、短尺の金具により構成される場合がある。
【0003】
住宅の屋根は、一般的に、野地板の上に軒側から棟側に向けて相互に上下オーバラップ状態で板状の瓦を敷設した構造とされ、前記架台を構成する支持金具を簡便に固着設置する方法として、瓦の所定部位に下孔を穿孔し、瓦の上に載置した支持金具を挿通したビスを前記下孔に挿入した後、電動ドライバーにより回転させながら野地板にねじ込むことが行われている。
【0004】
そこで、このように瓦に下孔を穿孔する場合は、雨漏り防止手段が必要となるため、変成シリコン等のコーキング材を使用し、瓦に穿孔した下孔にコーキング材を充填することによりシールする方法や、支持金具の設置面の周囲をコーキング材によりシールする方法が実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−92551号公報
【特許文献2】特開2010−242379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のようなコーキング材によるシール方法は、作業が極めて煩雑である。例えば、下孔にコーキング材を充填する場合、野地板の上には少なくとも2枚の瓦が上下に重ねられているので、完全なシールを期するためには、下側瓦の下孔にコーキング材を充填した後、上側瓦の下孔にコーキング材を充填するという2回の充填作業を行わなければならず、ビスの固着個所に対応する多数の下孔に煩雑なシール作業を必要とする。また、支持金具の周囲をコーキング材によりシールする場合、コーキング材が硬化する前に支持金具が位置ずれ移動すると、再びシール作業を繰り返して行わなければならず、慎重な作業を必要とする。
【0007】
しかも、チューブのノズルからコーキング材を注出しながら作業を行うため、誤って瓦等に不要なコーキング材が付着して美観を損なうと、清掃作業のための無駄な労力が必要となる。
【0008】
そして、上記のようなコーキング処理にも関わらず雨漏りが実際に生じたときは、通常、雨漏りの原因究明が極めて困難であるから、コーキング処理のやり直しを余儀なくされるおそれがある。
【0009】
更に、上述のように瓦に対して直接に支持金具を設置することは、瓦を破損するおそれがあるため、本来、好ましいことではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決した機器搭載用支持金具を屋根に固着設置する方法並びに設置用座部材及び補助座部材を提供するものである。
【0011】
そこで、本発明が手段として構成したところは、野地板に軒側から棟側に向けて相互に上下オーバラップ状態で板状の瓦を敷設した屋根に機器搭載用の支持金具をビスにより固着設置する方法において、上側瓦の軒側端部の端面に臨む下側瓦の所定部位に下孔を穿孔する下孔形成工程と、粘着性を有する塑性変形可能な盤状の座部材を前記下側瓦の所定部位に貼着し、該座部材により前記下孔を被うと共に、該座部材の上面を前記上側瓦の軒側端部よりも上位に位置させる座形成工程と、前記支持金具を前記座部材に載置して粘着させる金具載置工程と、螺糸を設けたネジ軸部を有するビスを前記支持金具に挿通すると共に回転させながら前記座部材に貫通させることにより、座部材の掻取り素材から成るシール材をビスのネジ軸部に巻き付けるシール材形成工程と、前記座部材を貫通したビスを回転させながら下孔に挿通させた後、野地板に螺挿させるねじ込み工程とから成り、前記座部材の塑性変形により支持金具を所定姿勢に支持すると共に、前記軸部に巻き付けられたシール材により、前記下孔とネジ軸部の間をシールするように構成して成る点にある。
【0012】
前記座部材は、未加硫ゴムにより形成することが好ましい。
【0013】
本発明の実施形態は、ビスのネジ軸部が野地板に螺挿されるとき、該螺挿されるネジ軸部のシール材を野地板の上面に掻き落とすことにより肉盛りシール部を形成し、該肉盛りシール部により野地板とネジ軸部の間をシールする。
【0014】
前記盤状の座部材は、周縁の輪郭をV形とした縁部を備え、該V形の頂端を上側瓦の軒側端部の端面に向けて配置され、前記縁部により軒側に向けて流下する雨水の流れを末広がり状に整流するデフレクター手段を構成することが好ましい。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、前記金具載置工程の際に、粘着性を有する塑性変形可能な薄板状の補助座部材を上側瓦の軒側端部に貼着すると共に前記座部材に臨ませ、前記座部材と補助座部材の塑性変形により支持金具を所定姿勢に支持するように構成している。
【0016】
この際、前記補助座部材は、周縁の輪郭をV形とした縁部を備え、該V形の頂端を棟側に向けて配置され、頂端の両側の縁部により軒側に向けて流下する雨水の流れを末広がり状に整流するデフレクター手段を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の本発明によれば、瓦2と支持金具1の間に座部材6が介装されるので、瓦2を破損するおそれがない。この際、座部材6は、粘着性を有する塑性変形可能な盤状体により形成されているので、粘着性により瓦2と支持金具1に貼着され、設置作業を容易にすると共に、適度に塑性変形することにより瓦2と支持金具1に密着し、良好なシールを可能とする。
【0018】
特に、座部材6は、ねじ込まれるビス8を貫通させる際、座部材6の掻取り素材から成るシール材10をビス8のネジ軸部8bに巻き付け状に付着し、瓦2の下孔5をシールする下孔シール部10aを形成するので、従来のコーキング処理のようなシール作業を行う必要がなく、ビス8をねじ込む1つの作業だけで支持金具1の固着設置とシール形成を同時に達成できる効果があり、しかも、座部材6の塑性変形により支持金具1を安定状態で支持できる効果がある。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、座部材6を未加硫ゴムにより形成しているので、施工時の粘着性と塑性変形性に優れるだけでなく、施工後は、いわゆる焼けにより次第に加硫されて弾性を保持するので、機器の荷重を弾性的に支持することが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の本発明によれば、ビス8が野地板3にねじ込まれる際、ネジ軸部8bに巻き付け状に付着したシール材10の掻き落としにより肉盛りシール部10bを形成するので、野地板3とネジ軸部8bの間を良好にシールする。
【0021】
請求項4及び5に記載の本発明によれば、屋根上を軒側に向けて流下する雨水は、補助座部材7の縁部7b、7bにより構成されたデフレクター手段により、座部材6に向けて流れないように、流れが末広がり状に整流され、しかも、横風等により座部材6の側面に吹き付けられる雨水は、座部材6の縁部6b、6bにより構成されたデフレクター手段により、ビス8から離れて流下するように末広がり状に整流される。
【0022】
請求項5に記載の本発明によれば、支持金具1を座部材6と補助座部材7の両方により好適に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明が目的とする屋根上搭載用の機器の1例としての太陽電池モジュールの配置例を示す斜視図である。
図2】本発明の1実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明に基づいて支持金具を固着設置した状態を示す断面図である。
図4】本発明の工程を示し、(A)は下孔形成工程後の座形成工程を示す断面図、(B)は金具載置工程を示す断面図である。
図5】本発明の作用を示し、(A)はシール材形成工程及びねじ込み工程における作用を示す断面図、(B)は下孔シール部及び肉盛りシール部を示す拡大断面図、(C)はシール材が形成される原理を説明する断面図である。
図6】本発明の方法により支持金具を固着設置した状態を示し、(A)は断面図、(B)はA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0025】
[機器の屋根上搭載例]
図1は、本発明が目的とする屋根上に搭載する機器の代表例として、太陽電池モジュールを示している。太陽電池モジュールを搭載するに際しては、軒側から棟側に向かうX方向に配置される支持金具1を前記X方向に交差するY方向に間隔をあけて屋根上に列設すると共に、Y方向に隣り合う支持金具1、1にパネル形態とされた太陽電池モジュールMを架設状に搭載した状態で、前記太陽電池モジュールMのX方向の端部を前記支持金具1に対して図例のような固定金具装置により固定する。尚、固定金具装置の構成は、本発明の目的ではないので、詳細を省略する。
【0026】
支持金具1は、一般的に架台と称されるもので、X方向に長く延びる長尺レール状のものでも良いが、図例は、短尺の金具を示しており、X方向に間隔をあけて所定個数が列設される。尚、本発明の支持金具1は、それ自体により架台を構成するものを図示しているが、レール状の架台を下方から支持する別個の金具であっても良い。
【0027】
上述のように、住宅の屋根は、野地板に軒側から棟側に向けて相互に上下オーバラップ状態で板状の瓦を敷設した構造とされている場合が多く、本発明においても、支持金具1を簡便に固着設置するため、瓦の所定部位に下孔を穿孔し、瓦の上に支持金具1を載置した状態で、ビスを支持金具1のビス孔から電動ドライバー等の工具により回転させながら挿入し、前記下孔に挿通させた後、野地板にねじ込む方法を採用している。
【0028】
図2及び図3に示すように、瓦2は、野地板3の上に軒側X1から棟側X2に向けて相互に上下オーバラップ状態で敷設されている。尚、野地板3の上には防水シート4が敷設されている。この際、屋根上においては、図3に矢印Fで示すように、棟側X2から軒側X1に向けて雨水が流下するので、瓦の下孔が雨漏りの原因となるおそれや、図3に矢印Rで示すように、軒側X1から棟側X2に向けて吹き付ける風雨が瓦の上下オーバラップ部分の隙間から浸入する可能性があるので、瓦の下孔及び野地板を貫通するビスが雨漏りの原因となるおそれがあり、雨漏り防止のためのシール処理が最重要課題となる。
【0029】
[下孔形成工程]
先ず、支持金具1を固着設置する予定個所に対応して、相互にオーバラップする上側瓦2の軒側端部2aの端面2bに臨む下側瓦2の所定部位2cに下孔5を穿孔する。図示のように、前記所定部位2cには、上下2枚の瓦2、2が重ねられているので、ドリルにより、野地板3に向けて上下2枚の瓦を貫通する下孔5、5が穿孔される。
【0030】
[座形成工程及び補助座形成工程]
次いで、図2に示すように、前記瓦2の所定部位2cに座部材6を貼着し、該座部材6により前記下孔5を上から被う。座部材6は、粘着性を有する塑性変形可能な分厚い盤状体により形成されている。図示実施形態の場合、座部材6は、未加硫ゴム(いわゆる生ゴム)から成る盤状体により構成され、これにより粘着性と塑性変形性を具備している。尚、未加硫ゴムのゴム素材は、ブチルゴム等の合成ゴムが好ましいが、天然ゴムでも良い。従って、座部材6は、粘着力により前記所定部位2cに固定状態で貼着され、しかも、後述するように支持金具1を押し付けると適度に塑性変形する。
【0031】
前記座部材6は、前記所定部位2cに貼着した状態で、該座部材6の上面を前記瓦の軒側端部2bよりも上位に位置させるように分厚く形成されており、図示のように、瓦の軒側の端面2bの厚さT1と、座部材6の厚さT2は、T1<T2となるように形成されている。例えば、瓦の端面2bの厚さT1が6mmの場合、座部材6の厚さT2は、9mm以上(従って1.5×T1≦T2)とするのが良い。
【0032】
前記座部材6の輪郭形状は、図示のような矩形の他、種々の形状とすることが可能であるが、少なくとも、周縁の輪郭をV形とした縁部6a、6aを備え、該V形の頂端6bを軒側端部の端面2bに向けて配置され、前記縁部6a、6aにより、軒側X1に向けて流下する雨水の流れを末広がり状に整流するデフレクター手段を構成する。図示実施形態の場合は、座部材6の輪郭形状を正方形等の矩形に形成し、前記頂端6bを端面2bに当接したとき、該座部材6の中央が下孔5の上に位置するように構成している。
【0033】
更に、図示実施形態の場合、前記座部材6に加えて、前記所定部位2cの棟側X2に位置する上側瓦2の軒側端部2aには、補助座部材7が貼着される。補助座部材7は、座部材6と同様の未加硫ゴム(いわゆる生ゴム)を素材とする薄板状に形成されており、粘着性を有すると共に塑性変形可能である。従って、補助座部材7は、粘着力により前記軒側端部2aに固定状態で貼着され、しかも、後述するように支持金具1を押し付けると適度に塑性変形する。
【0034】
上記のようにT1=6mm、T2=9mmとされている図示実施形態において、前記補助座部材7の厚さT3は、約2mmとされており、T3≦(T2−T1)とするのが良い。
【0035】
前記補助座部材7の貼着による補助座形成工程は、補助座部材7を上側瓦2の軒側端部2aに貼着した後、その上に支持金具1を載置しても良いが、予め補助座部材7を支持金具1の底面に貼着しておき、該補助座部材7を軒側端部2aに貼着させながら支持金具1を載置しても良く、要するに、支持金具1を座部材6に載置した状態で、軒側端部2aと支持金具1の間に補助座部材7が介装されるように構成すれば良い。
【0036】
図示のように、補助座部材7は、輪郭形状を三角形とすることが好ましく、少なくとも、周縁の輪郭をV形とした縁部7a、7aを備え、該V形の頂端7bを棟側X2に向けて配置され、前記縁部7a、7aにより、軒側X1に向けて流下する雨水の流れを末広がり状に整流するデフレクター手段を構成する。
【0037】
[金具載置工程]
そこで、図4(A)に示すように、前記座部材6及び補助座部材7の上に支持金具1が載置される。この際、支持金具1は、底壁等により構成される座壁1aのビス孔1bが座部材6の中央に臨むように配置される。図示実施形態の場合、輪郭を矩形とされた座部材6の中央が下孔5の上に位置しているので、ビス孔1bは、座部材6の中央に臨ませれば、下孔5の直上に位置決めされる。尚、ビス孔1bを長孔に形成しておけば、多少の位置ずれがあっても、下孔5に合致させることが容易となる。支持金具1は、座部材6及び補助座部材7に載置された状態で、粘着力により固定状態で貼着され、該支持金具1を下向きに押し付けると、図4(B)に示すように、座部材6が適度に塑性変形することにより、該座部材6と補助座部材7の上面を面一とした状態で支持金具1を納まり良く保持する。
【0038】
[シール材形成工程及びねじ込み工程]
この状態から、図5に示すように、ビス8を前記支持金具1のビス孔1bに挿入し、電動ドライバー等の工具で回転させながらねじ込む。ビス8は、頭部8aと螺糸を設けたネジ軸部8bを備え、ネジ軸部8bの首部にパッキン9を装備している。ネジ軸部8bが回転しながら座部材6を貫通するとき、該ネジ軸部8bの螺糸(ねじ山及びねじ谷)により座部材6の素材(未加硫ゴム)が掻取られ、掻取られた素材から成るシール材10をネジ軸部8bに巻き付けながら付着する。つまり、図5(C)に原理を示すように、座部材6を貫通するネジ軸部8bは、先端から順に、掻取られた未加硫ゴムから成るシール材10を巻き付けながら、下孔5を挿通した後、防水シート4を突き破って野地板3にねじ込まれる。
【0039】
これにより、図5(B)に示すように、ネジ軸部8bに巻き付けられたシール材10が下孔5とネジ軸部8bの間に充填され、下孔シール部10aを形成し、下孔5をシールする。
【0040】
ネジ軸部8bが先端から野地板3にねじ込まれる際、該ねじ込み部分に巻き付けられたシール材10は、野地板3の表面により掻き落とされ、該野地板3の表面に肉盛りシール部10bを形成し、該野地板3とネジ軸部8bの間をシールする。
【0041】
図示のように、野地板3(防水シート4)と下側瓦2の隙間Sは狭小なため、前記肉盛りシール部10bは、ネジ軸部8bの周囲で隙間Sに充填される。更に、ネジ軸部8bが野地板3を貫通して螺進する際、掻き落とされたシール材19が螺糸に沿って押し上げられながら肉盛りシール部10bを形成するので、肉盛りシール部10bと下孔シール部10aが一体化した良好なシール構造を形成する。
【0042】
ビス8を野地板3にねじ込むと、図6(A)に示すように、ビス8の頭部8aにより支持金具1が押し付けられ、座部材6及び補助座部材7が適度に塑性変形することにより支持金具1を安定状態で支持し、作業が完了する。
【0043】
多数の支持金具1を所定個所に固着設置した後、太陽電池モジュール等の機器が搭載される。この際、支持金具1は、機器の荷重を受ける場合でも、座部材6及び補助座部材7が塑性変形可能であるから、適度に馴染まされた姿勢で機器を良好に支持する。しかも、瓦2は、座部材6及び補助座部材7により保護された状態で支持金具1を受止めているので、亀裂等の破損のおそれがない。この際、座部材6及び補助座部材7を未加硫ゴムにより形成しておけば、太陽光の影響により次第に加硫され(いわゆる焼け)、弾性を保持するので、機器の荷重を弾性的に支持することが可能となる。
【0044】
そして、図6(B)に示すように、屋根上を軒側に向けて流下する雨水は、補助座部材7の縁部7b、7bにより構成されたデフレクター手段により、座部材6に向けて流れないように、流れが末広がり状に整流される。従って、図示のように、補助座部材7の最大幅L1は、座部材6の最大幅L2に対して、L1>L2となるように形成することが好ましい。更に、横風等により座部材6の側面に吹き付けられる雨水は、座部材6の縁部6b、6bにより構成されたデフレクター手段により、ビス8から離れて流下するように末広がり状に整流される。従って、原因究明が困難とされる雨漏りが発生した場合、瓦の上面を検査すれば、水流の痕跡から雨水がビス8に向けて流れていないことを確認できるので、支持金具1の設置部分が雨漏りの原因であるとの疑いを生じることはない。
【符号の説明】
【0045】
M 太陽電池モジュール
1 支持金具
1a 座壁
1b ビス孔
2 瓦
2a 軒側端部
2b 端面
2c 所定部位
3 野地板
4 防水シート
5 下孔
6 座部材
6a 縁部
6b 頂端
7 補助座部材
7a 縁部
7b 頂端
8 ビス
8a 頭部
8b ネジ軸部
9 パッキン
10 シール材
10a 下孔シール部
10b 肉盛りシール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6