特許第6018522号(P6018522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018522基板処理装置、膜形成装置およびマスクのセット方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018522
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】基板処理装置、膜形成装置およびマスクのセット方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/08 20060101AFI20161020BHJP
   B05B 15/04 20060101ALI20161020BHJP
   B05D 1/32 20060101ALI20161020BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20161020BHJP
   H05B 33/10 20060101ALN20161020BHJP
   H01L 51/50 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   B05B5/08 F
   B05B15/04 102
   B05D1/32 B
   B05B13/02
   !H05B33/10
   !H05B33/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-36202(P2013-36202)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-161814(P2014-161814A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】本田 顕真
(72)【発明者】
【氏名】岩出 卓
【審査官】 富永 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−224396(JP,A)
【文献】 特開2003−133069(JP,A)
【文献】 特開2012−201970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B5/00−5/16
B05B12/00−13/06
B05B15/04
B05D
H01L51/50
H05B33/10
C23C14/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の近傍に配置され、所定の開口パターンを有するマスクと、
前記基板の前記マスクとは反対側の表面を吸着する吸着部を有する吸着ステージとを備え、
前記マスクは、前記マスクの端部近傍が支持された状態で、前記マスクの下方への第1撓み変形量が前記基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるように構成されており、
前記吸着ステージの前記吸着部は、前記基板を前記第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記吸着ステージの前記吸着部の表面は、前記基板の前記第2撓み変形量に対応する撓み形状を有している、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記マスクは、前記マスクの端部近傍が支持された状態で前記基板に密着するように前記基板に対して相対的に移動される際に、前記基板への密着状態が進行するのに伴って、前記第1撓み変形量を有する状態から前記第2撓み変形量を有する状態に変化するように構成されている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
溶液材料に所定の電圧を印加した状態で噴霧して上方に位置する撓み変形した基板に薄膜を堆積するノズルと、
前記ノズルと前記基板との間の前記基板の近傍に配置され、所定の開口パターンを有するマスクと
前記基板の前記マスクとは反対側の表面を吸着する吸着部を有する吸着ステージとを備え、
前記マスクは、前記マスクの端部近傍が支持された状態で、前記マスクの下方への第1撓み変形量が前記基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるように構成されており、
前記吸着ステージの前記吸着部は、前記基板を前記第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている、膜形成装置。
【請求項5】
所定の開口パターンを有するマスクの下方への第1撓み変形量が、吸着ステージの吸着部により第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持されている基板の下方への前記第2撓み変形量以下の大きさになるように、前記マスクの端部近傍を支持するステップと、
前記マスクの端部近傍を支持した状態で前記基板に密着するように前記基板に対して相対的に移動させて、前記第1撓み変形量を有する状態から前記第2撓み変形量を有する状態に前記マスクを変化させるステップとを備える、マスクのセット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理装置、膜形成装置およびマスクのセット方法に関し、特に、所定の開口パターンを有するマスクを備える基板処理装置、膜形成装置およびマスクのセット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の開口パターンを有するマスクを備える基板処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、有機ELデバイス用の溶液材料に電圧を印加した状態(溶液材料が帯電した状態)で噴霧するノズルと、ノズルから噴霧された溶液材料が堆積されて有機発光層などの有機ELデバイス用の薄膜が形成される基板と、基板の上方に配置され所定の開口パターンを有するマスクとを備えるエレクトロスプレー装置(基板処理装置)が開示されている。このエレクトロスプレー装置では、溶液材料に印加される電圧と基板側との間の電位差(電界)により、溶液材料が、ノズルから下方(基板側)に噴霧されるとともに、マスクの開口部を介して基板上に堆積されることにより、所定の形状の薄膜が形成される。
【0004】
また、従来では、基板の下方にマスクが配置されるとともに、マスクの下方にノズルが配置されるエレクトロスプレー装置が知られている。このエレクトロスプレー装置では、溶液材料が、ノズルから上方(基板側)に噴霧されることにより、マスクを介して基板に所定の形状の薄膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−175921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、溶液材料がノズルから上方(基板側)に噴霧されるエレクトロスプレー装置では、基板の下方にマスクが配置されているため、マスクが自重によって下方に撓むという不都合がある。なお、基板も自重によって下方に撓む一方、一般的には、基板よりもマスクの方が撓む量が大きいため、基板とマスクとの間に隙間ができる。このため、溶液材料が基板とマスクとの間の隙間に回り込むので、マスクの開口パターンの転写性が悪くなるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、基板とマスクとの間に隙間ができることに起因してマスクの開口パターンの転写性が悪くなるのを抑制することが可能な基板処理装置、膜形成装置およびマスクのセット方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による基板処理装置は、基板の近傍に配置され、所定の開口パターンを有するマスクと、基板のマスクとは反対側の表面を吸着する吸着部を有する吸着ステージとを備え、マスクは、マスクの端部近傍が支持された状態で、マスクの下方への第1撓み変形量が基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるように構成されており、吸着ステージの吸着部は、基板を第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている
【0009】
この第1の局面による基板処理装置では、上記のように、マスクの端部近傍が支持された状態で、マスクの下方への第1撓み変形量が基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるようにマスクを構成することにより、マスクが基板に密着するように、マスクを基板に対して相対的に移動させることによって、マスクが第1撓み変形量を有する状態から第2撓み変形量を有する状態にすることができるので、マスクと基板との間に隙間がない状態でマスクと基板とを密着させることができる。その結果、基板とマスクとの間に隙間ができることに起因してマスクの開口パターンの転写性が悪くなるのを抑制することができる。
【0010】
また、基板のマスクとは反対側の表面を吸着する吸着部を有する吸着ステージをさらに備え、吸着ステージの吸着部は、基板を第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている。これにより、基板が撓んでいない場合でも、吸着ステージの吸着部により基板を第2撓み変形量を有するように撓ませた状態にすることができるので、容易に、マスクの下方への第1撓み変形量が基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるようにすることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、吸着ステージの吸着部の表面は、基板の第2撓み変形量に対応する撓み形状を有している。このように構成すれば、基板を吸着部の表面に吸着させるだけで、容易に、基板を第2撓み変形量を有するように撓ませた状態にすることができる。
【0012】
上記第1の局面による基板処理装置において、好ましくは、マスクは、マスクの端部近傍が支持された状態で基板に密着するように基板に対して相対的に移動される際に、基板への密着状態が進行するのに伴って、第1撓み変形量を有する状態から第2撓み変形量を有する状態に変化するように構成されている。このように構成すれば、マスクを基板に対して相対的に移動することにより、容易に、第1撓み変形量を有する状態のマスクを、第2撓み変形量を有する状態に変化させることができる。
【0013】
この発明の第2の局面による膜形成装置は、溶液材料に所定の電圧を印加した状態で噴霧して上方に位置する撓み変形した基板に薄膜を堆積するノズルと、ノズルと基板との間の基板の近傍に配置され、所定の開口パターンを有するマスクと、基板のマスクとは反対側の表面を吸着する吸着部を有する吸着ステージとを備え、マスクは、マスクの端部近傍が支持された状態で、マスクの下方への第1撓み変形量が基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるように構成されており、吸着ステージの吸着部は、基板を第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている
【0014】
この第2の局面による膜形成装置では、上記のように、マスクの端部近傍が支持された状態で、マスクの下方への第1撓み変形量が基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるようにマスクを構成することにより、マスクが基板に密着するように、マスクを基板に対して相対的に移動させることによって、マスクが第1撓み変形量を有する状態から第2撓み変形量を有する状態にすることができるので、マスクと基板との間に隙間がない状態でマスクと基板とを密着させることができる。その結果、基板とマスクとの間に隙間ができることに起因してマスクの開口パターンの転写性が悪くなるのを抑制することが可能な膜形成装置を提供することができる。
【0015】
この発明の第3の局面によるマスクのセット方法は、所定の開口パターンを有するマスクの下方への第1撓み変形量が、吸着ステージの吸着部により第2撓み変形量を有するように撓ませた状態で吸着して維持されている基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるように、マスクの端部近傍を支持するステップと、マスクの端部近傍を支持した状態で基板に密着するように基板に対して相対的に移動させて、第1撓み変形量を有する状態から第2撓み変形量を有する状態にマスクを変化させるステップとを備える。






【0016】
この第3の局面によるマスクのセット方法では、上記のように、所定の開口パターンを有するマスクの下方への第1撓み変形量が基板の下方への第2撓み変形量以下の大きさになるように、マスクの端部近傍を支持するステップを備えることにより、マスクの端部近傍を支持した状態で基板に密着するように、マスクを基板に対して相対的に移動させて、第1撓み変形量を有する状態から第2撓み変形量を有する状態にマスクを変化させることによって、マスクと基板との間に隙間がない状態でマスクと基板とを密着させることができる。その結果、基板とマスクとの間に隙間ができることに起因してマスクの開口パターンの転写性が悪くなるのを抑制することが可能なマスクのセット方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、基板とマスクとの間に隙間ができることに起因してマスクの開口パターンの転写性が悪くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の側面図である。
図3】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の吸着ステージの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置のマスクの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置の昇降部の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置のマスクが基板にセットされる前の状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置のマスクを基板にセットしている途中の状態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるエレクトロスプレー装置のマスクが基板にセットされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1図6を参照して、本実施形態によるエレクトロスプレー装置100の構成について説明する。なお、エレクトロスプレー装置100は、本発明の「基板処理装置」および「膜形成装置」の一例である。
【0021】
図1および図2に示すように、エレクトロスプレー装置100は、ノズル1と、吸着ステージ2と、ノズル1と吸着ステージ2との間に配置されるマスク3と、マスク3を矢印Z1方向および矢印Z2方向に昇降する昇降部4とを備えている。また、塗布時は、吸着ステージ2とマスク3との間には、ガラスなどからなる基板5が配置されている。そして、ノズル1からマスク3越しに吸着ステージ2に載置された基板5へ溶液材料を噴射することにより、基板5に薄膜を形成する。
【0022】
ノズル1は、溶液材料(たとえば、導電性ポリマーであるPEDOT/PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene) poly(styrenesulfonate))に所定の電圧を印加した状態で噴霧して上方(矢印Z1方向)に位置する撓み変形した基板5に薄膜(図示せず)を堆積するように構成されている。具体的には、ノズル1は、溶液材料を充填するように構成されているとともに、ノズル1の内部には、電極(図示せず)が設けられている。そして、この電極により溶液材料に電圧が印加されるように構成されている。また、ノズル1は、図1に示すように、複数設けられており、複数のノズル1は、基板5の辺(X方向)に沿って1列に配置されている。また、ノズル1は、マスク3の下方(矢印Z2方向)に配置されている。また、複数のノズル1は、X方向およびY方向に移動可能に構成されている。
【0023】
吸着ステージ2は、金属製であり、電気的に接地されている。また、本実施形態では、吸着ステージ2は、基板5のマスク3とは反対側(矢印Z1方向側)の表面を吸着する吸着部2aを有しており、吸着ステージ2の吸着部2aは、ガラスなどからなる基板5を撓み変形量d1を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成されている。すなわち、吸着ステージ2の吸着部2aの表面は、基板5の撓み変形量d1に対応する撓み形状を有している。なお、撓み変形量d1とは、基板5が撓んでいない水平な状態から、基板5の中央部が距離d1だけ下方に撓んだ状態を意味する。また、吸着部2aは、吸着ステージ2の矢印Z2方向側の表面である。
【0024】
また、図2および図3に示すように、吸着部2aの表面は、カテナリー曲線状(ロープなどの両端を持って垂らした時にできる曲線状)に形成されている。また、図3に示すように、吸着ステージ2の吸着部2aの表面は、下に凸のD形状(Y方向に沿った軸Aを中心に、X方向側の両方の端部が矢印Z1方向に反った形状)を有する。
【0025】
また、図1および図2に示すように、吸着ステージ2の下面(吸着部2a)に、基板5が載置(吸着)されている。そして、ノズル1と吸着ステージ2との間で電位差を持たせることで、ノズル1から噴出する溶液材料は吸着ステージ2に向かって飛行する。これにより、直接基板5を接地して塗布を行う必要がないので、非導電性の基板へも塗布が可能である。
【0026】
また、マスク3は、耐薬品性、加工精度、寸法安定性、耐絶縁性、剛性等が優れた樹脂により構成されている。たとえば、マスク3は、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PP(Polypropylene)、HDPE(High−density polyethylene)、PET(Polyethylene terephthalate)、EPOXY、ガラスエポキシ、ABS(Acrylonitrile butadiene styrene)、PEEK(Polyether ether ketone)、POM(Polyoxymethylene)などからなる。
【0027】
また、マスク3は、基板5の近傍に配置(基板5の下方に密着)されている。また、図4に示すように、マスク3には、平面視において、所定の開口パターン(略矩形形状(略正方形状))を有する開口部31が複数形成されている。なお、複数の開口部31は、格子状(マトリクス状)に配置されている。また、マスク3は、略矩形状に形成されており、略矩形状のマスク3の角部には、昇降部4に設けられるピン4a(図5参照)が貫通する貫通孔32が設けられている。なお、貫通孔32は、略矩形状のマスク3の対角線に沿って2つ設けられている。
【0028】
また、図5に示すように、昇降部4は、マスク3のX方向側の両方の端部3a(図4参照)を下方から支持する板状の支持部4bを有する。また、支持部4bの矢印Y1方向側(矢印Y2方向側)の端部には、マスク3の貫通孔32と係合するピン4aが設けられている。そして、マスク3の貫通孔32にピン4aが係合した状態で、マスク3の両方の端部3aが、支持部4bにより支持されるように構成されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、図6に示すように、マスク3は、マスク3の端部3a近傍が昇降部4に支持された状態で、マスク3の下方(矢印Z2方向)への撓み変形量(d2)が基板5の下方への撓み変形量(d1)以下の大きさ(d2≦d1)になるように構成されている。なお、図6では、マスク3の下方への撓み変形量(d2)が基板5の下方への撓み変形量よりも小さい(d2<d1)状態が示されている。すなわち、マスク3は、マスク3の端部3a近傍が昇降部4に支持された状態で、D形状に撓んだ形状(Y方向に沿った軸Aを中心に、X方向の両端部3aが矢印Z1方向に反った形状)を有する。そして、マスク3は、マスク3の端部3a近傍が昇降部4に支持された状態で、基板5に密着するように基板5に対して相対的に移動される際に、基板5への密着状態が進行するのに伴って、撓み変形量d2を有する状態から撓み変形量d1を有する状態(図2参照)に変化するように構成されている。
【0030】
次に、図6図8を参照して、エレクトロスプレー装置100におけるマスク3のセット方法について説明する。
【0031】
図6に示すように、撓み変形していない状態の基板5が、吸着ステージ2の吸着部2aに吸着されることにより、基板5が撓み変形量d1を有するように下方に撓ませた状態で吸着して維持される。また、マスク3の端部3a近傍が昇降部4により支持される。これにより、マスク3は、基板5の撓み変形量d1以下の大きさの撓み変形量d2を有するように下方に撓んだ状態となる。
【0032】
次に、図7に示すように、マスク3の端部3a近傍を支持した状態で、基板5に密着するように基板5に対して相対的にマスク3が移動される。具体的には、基板5(吸着ステージ2)は、静止しているとともに、マスク3が昇降部4により、上方(矢印Z1方向)に持ち上げられる。すなわち、マスク3が基板5に近づけられる。これにより、基板5の中央部近傍と、マスク3の中央部近傍とが当接した状態になる。
【0033】
そして、図8に示すように、昇降部4によりマスク3をさらに上方に持ち上げることにより、マスク3の形状が基板5の形状に倣いながら、マスク3が撓み変形量d2を有する状態から撓み変形量d1を有する状態に変化する。その結果、基板5の下面(矢印Z2方向側の面)の全面と、マスク3の上面(矢印Z1方向側の面)の全面とが密着した状態となる。これにより、マスク3のセットが完了される。
【0034】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0035】
本実施形態では、上記のように、マスク3の端部3a近傍が支持された状態で、マスク3の下方への撓み変形量d2が基板5の下方への撓み変形量d1以下の大きさになるようにマスク3を構成する。これにより、マスク3が基板5に密着するように、マスク3を基板5に対して相対的に移動させることにより、マスク3が撓み変形量d2を有する状態から撓み変形量d1を有する状態にすることができるので、マスク3と基板5との間に隙間がない状態でマスク3と基板5とを密着させることができる。その結果、基板5とマスク3との間に隙間ができることに起因してマスク3の開口パターンの転写性が悪くなるのを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、上記のように、基板5のマスク3とは反対側の表面を吸着する吸着部2aを有する吸着ステージ2を設けて、吸着ステージ2の吸着部2aを、基板5を撓み変形量d1を有するように撓ませた状態で吸着して維持するように構成する。これにより、基板5が撓んでいない場合でも、吸着ステージ2の吸着部2aにより基板5を撓み変形量d1を有するように撓ませた状態にすることができるので、容易に、マスク3の下方への撓み変形量d2が基板5の下方への撓み変形量d1以下の大きさになるようにすることができる。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、吸着ステージ2の吸着部2aの表面を、基板5の撓み変形量d1に対応する撓み形状を有するように構成する。これにより、基板5を吸着部2aの表面に吸着させるだけで、容易に、基板5を撓み変形量d1を有するように撓ませた状態にすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、上記のように、マスク3の端部3a近傍が支持された状態で基板5に密着するように基板5に対して相対的に移動される際に、基板5への密着状態が進行するのに伴って、撓み変形量d2を有する状態から撓み変形量d1を有する状態に変化するようにマスク3を構成する。これにより、マスク3を基板5に対して相対的に移動することにより、容易に、撓み変形量d2を有する状態のマスク3を、撓み変形量d1を有する状態に変化させることができる。
【0039】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0040】
たとえば、上記実施形態では、本発明の基板処理装置(膜形成装置)を、エレクトロスプレー装置の形態で示したが、本発明はこれに限られない。マスクが用いられる装置であれば、エレクトロスプレー装置以外の基板処理装置(膜形成装置)に本発明を適用してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、マスクの下方への撓み変形量(d2)が基板の下方への撓み変形量よりも小さい(d2<d1、図6参照)例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、マスクの下方への撓み変形量(d2)が基板の下方への撓み変形量と等しく(d2=d1)てもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、基板のマスクとは反対側の表面を吸着ステージの吸着部(吸着ステージの表面)に吸着させることにより、基板を撓み変形量d1を有するように撓ませる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を吸着ステージの吸着部(表面)に吸着させること以外の方法により、基板を撓み変形量d1を有するように撓ませてもよい。たとえば、基板の表面を吸着パッドなどにより吸着した後(または、基板の端部を把持した後)、基板を湾曲させることにより、基板を撓み変形量d1を有するように撓ませてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、マスクの両端を支持部により支持しているのみの構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、マスクの両端を外側に引っ張ることにより、一時的にマスクの撓み変形量を基板の撓み変形量よりも小さくしてもよい。そして、基板の中央部近傍とマスクの中央部近傍とを当接させた後、徐々にマスクの両端を引っ張る張力を小さくしながらマスクの形状を基板の形状に倣わせて、基板の下面の全面とマスクの上面の全面とを密着させる。なお、完全に張力をゼロにすると、マスクが撓んで基板と密着しないようになるので、密着状態を維持するだけの張力は必要である。このように、徐々にマスクの両端を引っ張る張力を小さくすることにより、マスクの開口部が変形するのを抑制することができる。また、マスクが自重によって比較的大きく撓む場合でも、マスクの両端を外側に引っ張ることにより、マスクの撓み変形量を基板の撓み変形量よりも小さくすることができるので、比較的大きく撓む部材によりマスクを形成した場合でも、基板とマスクとの間に隙間ができるのを抑制することができる。すなわち、マスクの撓み変形量の許容範囲を広げることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、基板およびマスクを、下に凸のD形状に撓ませる(Y方向に沿った軸A(図2参照)を中心に、基板およびマスクのX方向の両端部が矢印Z1方向に反った形状にする)例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板およびマスクを半球状に撓ませてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、マスクを基板に近づけることにより、マスクを基板に密着させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板をマスクに近づけることにより(または、基板とマスクとの両方を互いに近づけることにより)、マスクと基板とを相対的に移動させて密着させてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、マスクが樹脂から形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、マスクが金属から形成されていてもよい。なお、この場合にも、金属からなるマスクは、マスクの端部近傍が支持された状態のマスクの下方への撓み変形量は、吸着部に吸着された基板の下方への撓み変形量以下の大きさになる必要がある。
【0047】
また、上記実施形態では、吸着ステージにガラスなどからなる基板が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、吸着ステージにフィルム状の基板を配置してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ノズル
2 吸着ステージ
2a 吸着部
3 マスク
3a 端部
5 基板
100 エレクトロスプレー装置(基板処理装置、膜形成装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8