特許第6018524号(P6018524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018524
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電力制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20161020BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20161020BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161020BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20161020BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20161020BHJP
   B60L 8/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H02J7/35 F
   H02J7/02 F
   H02J7/00 P
   B60L1/00 L
   B60L11/18 A
   B60L8/00
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-40259(P2013-40259)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-171274(P2014-171274A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】河村 秀樹
【審査官】 竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−027774(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/164798(WO,A1)
【文献】 特表2012−515526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を太陽光発電装置によって充電可能に構成された、電力制御装置(30)であって、
前記太陽光発電装置で発生した発電電力を電力変換して出力するように、前記太陽光発電装置に接続された、第一電力変換部(33)と、
前記第一電力変換部及び前記蓄電池に接続されていて、前記第一電力変換部の出力を電力変換して前記蓄電池の充電電力を当該蓄電池に出力するように設けられた、第二電力変換部(34)と、
前記第二電力変換部の作動継続時間が所定時間以上となり、且つ、前記第二電力変換部の出力電流が所定以下である状態が所定期間継続した場合以外は、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部の動作を連動させるべく、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部を制御するように設けられた、電力変換制御部(31)と、
を備えたことを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記第二電力変換部から出力される前記充電電力によって充電される前記蓄電池であって、電動車両の補機に電源電力を供給するように設けられた補機電池(23)が、前記第二電力変換部に接続されるようになっており、
前記第一電力変換部からの出力によって充電可能に、サブ電池(24)が、当該第一電力変換部に対して前記第二電力変換部と並列に接続されるようになっており、
前記電力変換制御部は、前記第一電力変換部の作動中における前記第二電力変換部の作動と停止との切替によって、前記第一電力変換部から前記補機電池及び前記サブ電池への電力供給の配分を制御するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記電力変換制御部は、前記第二電力変換部の出力電流に基づいて、前記第一電力変換部から前記補機電池及び前記サブ電池への電力供給の配分制御を実行することを特徴とする、請求項2に記載の電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池(二次電池とも称される)を太陽光発電装置によって充電可能に構成された、電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置に関連して、太陽光発電装置としてのソーラーセルを備えた電気走行車が知られている(例えば、特開平5−111112号公報等参照。)。この電気走行車は、主バッテリと、補機用バッテリと、切り替えスイッチと、充電制御手段と、を備えている。前記主バッテリは、走行用電動機を駆動するためのバッテリである。前記補機用バッテリは、補機類を駆動するためのバッテリである。前記切り替えスイッチは、前記ソーラーセルに、前記主バッテリ及び前記補機用バッテリのいずれかを選択的に接続する。前記充電制御手段は、前記ソーラーセルの出力電力の大小に応じて前記主バッテリ及び前記補機用バッテリのいずれかを選択的に充電すべく、前記切り替えスイッチを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−111112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術の構成においては、前記ソーラーセルによって充電されるべき蓄電池が満充電に近い状態であっても、当該蓄電池の充電のための出力がなされ続ける場合があり得る。このような場合、当該蓄電池の充電のための出力が熱損失となって無駄な電力消費が発生してしまう等の不具合が生じる。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、この種の電力制御装置において、太陽光発電による発電電力をより効率的に利用可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電力制御装置は、蓄電池を太陽光発電装置によって充電可能に構成されている。この電力制御装置は、第一電力変換部と、第二電力変換部と、電力変換制御部と、を備えている。前記第一電力変換部は、前記太陽光発電装置で発生した発電電力を電力変換して出力するように、前記太陽光発電装置に接続されている。前記第二電力変換部は、前記第一電力変換部及び前記蓄電池に接続されている。この第二電力変換部は、前記第一電力変換部の出力を電力変換して前記蓄電池の充電電力を当該蓄電池に出力するように設けられている。前記電力変換制御部は、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部を制御するように設けられている。
【0006】
本発明の特徴は、前記電力変換制御部が、所定条件が成立した場合以外は、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部の動作を連動させるようになっていることにある。ここで、上述の「所定条件」には、前記第二電力変換部の作動継続時間が所定時間以上となったこと、及び/又は、前記第二電力変換部の出力電流が所定以下であることが含まれる。
【発明の効果】
【0007】
かかる構成を有する、本発明の電力制御装置においては、前記第一電力変換部は、前記太陽光発電装置で発生した発電電力を電力変換して出力する。前記第二電力変換部は、前記第一電力変換部の出力を電力変換して、前記充電電力を前記蓄電池に出力する。前記電力変換制御部は、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部を制御する。
【0008】
ところで、前記第二電力変換部の作動継続時間が所定時間以上となった場合、前記蓄電池に対して相当量の充電がなされたことが想定される。すなわち、この場合、当該蓄電池が満充電状態に相当程度近づいたことが想定される。また、前記第二電力変換部の作動時における出力電流が所定以下である場合も、前記蓄電池が満充電状態に相当程度近づいたことが想定される。そこで、本発明においては、前記電力変換制御部は、前記所定条件が成立した場合以外は、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部の動作を連動させるように、前記第一電力変換部及び前記第二電力変換部の動作を制御する。
【0009】
すなわち、前記電力変換制御部は、前記所定条件が成立しない場合は、前記第一電力変換部を作動させるときには、これに連動するように前記第二電力変換部を作動させる。すると、前記蓄電池の充電のための前記充電電力が出力される。一方、前記所定条件が成立した場合は、前記電力変換制御部は、前記第一電力変換部を作動させるときでも、前記第二電力変換部を作動させない。これにより、上述のような不具合の発生が良好に抑制されるとともに、前記第一電力変換部からの出力が良好に活用可能となる(例えば、前記第二電力変換部以外からの出力によって充電される他の蓄電池の充電等に供され得る。)。
【0010】
したがって、本発明によれば、前記太陽光発電装置の出力を従来よりもよりいっそう効率的に利用可能な構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の適用対象の一例である電動車両の概略図。
図2図1に示されている車両電力システムの機能ブロック図。
図3図2に示されているソーラーECUの動作の一具体例を示すフローチャート。
図4図2に示されているソーラーECUの動作の一具体例を示すフローチャート。
図5図2に示されているソーラーECUの動作の一具体例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、変形例は、当該実施形態の説明中に挿入されると首尾一貫した一実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0013】
<構成>
図1を参照すると、電動車両10は、駆動輪11をモータージェネレータ12によって回転駆動することで走行可能に構成されている。モータージェネレータ12は、三相交流の回転電機であって、図示しない動力伝達機構を介して駆動輪11に連結されている。このモータージェネレータ12は、電動車両10の加速時に駆動輪11を駆動する電動機として動作するとともに、電動車両10の減速時に駆動輪11の回転を抑制する回生ブレーキ機能を奏する発電機としても動作するように設けられている。また、電動車両10には、給電により動作する補機13が搭載されている。
【0014】
さらに、電動車両10には、車両電力システム20が搭載されている。車両電力システム20は、ソーラーパネル21を備えている。本発明の「太陽光発電装置」としてのソーラーパネル21は、電動車両10におけるルーフ部分に搭載されている。図2を参照すると、このソーラーパネル21は、太陽光を受光することで、補機13を駆動したり各蓄電池(メイン電池22、補機電池23、及びサブ電池24)を充電したりするための電力を発生させるように設けられている。具体的には、本実施形態の車両電力システム20は、上述のソーラーパネル21、メイン電池22、補機電池23、及びサブ電池24に加えて、さらに、インバータ25と、メイン電池出力コンバータ26と、補機側電力ライン27と、補機電池側電力ライン28と、接続端子29と、ソーラーECU30と、を備えている。
【0015】
メイン電池22は、多数のニッケル水素電池等の蓄電池セルを直列及び並列に接続することで、高電圧(本実施形態においては約300V)を出力するように構成されている。補機電池23は、鉛蓄電池(本実施形態においては約12V)であって、補機13に電源電力を供給するように設けられている。サブ電池24は、多数のニッケル水素電池等の蓄電池セルを直列及び並列に接続することで、メイン電池22よりも低い所定の高電圧(本実施形態においては約30V)を出力するように構成されている。
【0016】
メイン電池22は、インバータ25を介して、モータージェネレータ12に接続されている。すなわち、メイン電池22は、モータージェネレータ12に電源電力を供給するように設けられている。また、メイン電池22は、メイン電池出力コンバータ26を介して、補機側電力ライン27に接続されている。メイン電池出力コンバータ26は、いわゆるバックコンバータであって、メイン電池22から出力された高電圧の電力を降圧して補機側電力ライン27に低電圧(約12V)の電力を出力するように設けられている。
【0017】
補機側電力ライン27は、補機13に向けて給電可能に、補機13に接続されている。また、補機側電力ライン27は、補機電池側電力ライン28に接続されている。補機電池側電力ライン28における一端には、接続端子29が設けられている。接続端子29は、補機電池23を着脱自在に接続するようになっている。ここで、「着脱自在」は、作業の煩雑さ(困難さ)や所要時間の長さを度外視して単に物理的に着脱可能であることを意味するものではなく、比較的単純な人為的操作によって容易に着脱できることを意味するものとする。
【0018】
本発明の「電力制御装置」としてのソーラーECU30は、ソーラーパネル21で発生した発電電力を電力変換することで、この電力変換後の電力に基づいてメイン電池22、補機電池23、及びサブ電池24を充電可能に構成されている。また、ソーラーECU30は、メイン電池出力コンバータ26の出力停止中に、補機13に対して給電可能に構成されている。以下、本実施形態におけるソーラーECU30について、より詳細に説明する。
【0019】
ソーラーECU30は、マイクロコンピュータ31と、電力変換器32と、を備えている。本発明の「電力変換制御部」としてのマイクロコンピュータ31は、車両電力システム20の運転状態に応じてインバータ25、メイン電池出力コンバータ26及び電力変換器32の動作を制御することで、ソーラーパネル21と上述の各蓄電池とモータージェネレータ12との間の電力の授受を制御するように構成されている。
【0020】
電力変換器32には、電力の入出力端子である、ソーラー側入力端子32b、補機側出力端子32d、メイン電池端子32f、及びサブ電池端子32h、が設けられている。ソーラー側入力端子32bは、ソーラーパネル21に接続されている。補機側出力端子32dは、補機電池側電力ライン28における上述の一端とは反対側の他端に接続されている。すなわち、補機側出力端子32dは、補機電池側電力ライン28及び接続端子29を介して補機電池23に接続可能に設けられている。また、補機13と補機電池23とは、電力変換器32に並列接続されている。メイン電池端子32fは、メイン電池22に接続されている。サブ電池端子32hは、サブ電池24に接続されている。
【0021】
電力変換器32は、DC−DCコンバータである、ソーラー発電コンバータ33、補機側コンバータ34、及びメイン電池側コンバータ35を備えている。本発明の「第一電力変換部」としてのソーラー発電コンバータ33は、電力ラインであるソーラー入力ライン36bを介して、ソーラー側入力端子32bに接続されている。すなわち、ソーラー発電コンバータ33は、ソーラー入力ライン36b及びソーラー側入力端子32bを介して、ソーラーパネル21に接続されている。このソーラー発電コンバータ33は、最大電力点追随制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)に基づいてソーラーパネル21の出力を最適に制御しつつ、ソーラーパネル21で発生した発電電力を所定電圧(約30V)の電力に変換してソーラー給電ライン36cに出力するように設けられている。
【0022】
本発明の「第二電力変換部」としての補機側コンバータ34は、電力ラインである上述のソーラー給電ライン36cを介して、ソーラー発電コンバータ33に接続されている。また、補機側コンバータ34は、電力ラインである補機側出力ライン36dを介して、補機側出力端子32dに接続されている。すなわち、補機側コンバータ34は、補機側出力ライン36d、補機側出力端子32d、補機電池側電力ライン28及び接続端子29を介して、補機電池23に接続されている。この補機側コンバータ34は、いわゆるバックコンバータであって、ソーラー発電コンバータ33の出力を電力変換(具体的には降圧)して、補機側出力端子32dに、所定の低電圧の出力電力である補機側出力(この「補機側出力」には補機電池23の充電電力が含まれる)を出力するように設けられている。ここで、上述の「所定の低電圧」は、本実施形態においては、補機13あるいは補機電池23に供給するための低電圧(約12V)である。
【0023】
メイン電池側コンバータ35は、電力ラインであるメイン電池側出力ライン36fを介して、メイン電池端子32fに接続されている。すなわち、メイン電池側コンバータ35は、メイン電池側出力ライン36f及びメイン電池端子32fを介して、メイン電池22に接続されている。また、メイン電池側コンバータ35は、ソーラー給電ライン36cから分岐する電力ラインである第一分岐ライン36gを介して、ソーラー発電コンバータ33に接続されている。このメイン電池側コンバータ35は、いわゆるブーストコンバータであって、ソーラー発電コンバータ33の出力を電力変換(具体的には昇圧)して、補機側出力端子32dに、所定の高電圧のメイン電池充電電力を出力するように設けられている。ここで、上述の「所定の高電圧」は、メイン電池22の充電用の高電圧(約300V)である。
【0024】
ソーラー給電ライン36cから分岐するもう1つの電力ラインである第二分岐ライン36hは、サブ電池端子32hに接続されている。すなわち、ソーラー発電コンバータ33は、ソーラー給電ライン36c、第二分岐ライン36h及びサブ電池端子32hを介して、サブ電池24に接続されている。また、サブ電池24は、ソーラー発電コンバータ33に対して、補機側コンバータ34と並列に接続されている。
【0025】
ソーラー入力ライン36bには、入力電圧センサ41が設けられている。この入力電圧センサ41は、ソーラーパネル21で発生した発電電力における電圧に対応する出力を生じるようになっている。また、補機側出力ライン36dには、出力電圧センサ42及び出力電流センサ43が設けられている。出力電圧センサ42は、補機側出力端子32dの端子間電圧に対応する出力を生じるようになっている。出力電流センサ43は、補機側出力端子32dすなわち補機側出力ライン36dを通流する電流に対応する出力を生じるようになっている。
【0026】
マイクロコンピュータ31は、上述の各センサからの出力に基づいて、ソーラー発電コンバータ33、補機側コンバータ34、及びメイン電池側コンバータ35を制御するように設けられている。具体的には、マイクロコンピュータ31は、所定条件が成立した場合以外は、ソーラー発電コンバータ33及び補機側コンバータ34の動作を連動させるようになっている。ここで、上述の「所定条件」には、補機側コンバータ34の作動継続時間が所定時間以上となったこと、及び/又は、補機側コンバータ34の出力電流が所定以下であること(あるいは所定以下である状態が所定期間継続すること)が含まれる。
【0027】
<動作>
次に、本実施形態の構成における動作の概要、及び本実施形態の構成による作用・効果について説明する。
【0028】
マイクロコンピュータ31は、ソーラーパネル21における発電状況と、メイン電池22、補機電池23及びサブ電池24における充電残量と、モータージェネレータ12及び補機13における運転状態と、に応じて、電力分配を適宜行う。この電力分配の態様としては、以下のものがある。(1)ソーラーパネル21から補機13、メイン電池22、補機電池23、及びサブ電池24のうちの少なくともいずれか1つへの電力供給。(2)メイン電池22から補機13及び/又は補機電池23への電力供給。(3)サブ電池24から補機13、メイン電池22、及び補機電池23のうちの少なくともいずれか1つへの電力供給。(4)補機電池23から補機13への電力供給。(5)インバータ25を介してのモータージェネレータ12とメイン電池22との間の電力授受。
【0029】
以下、上記(1)の電力分配態様を中心に説明する。ソーラーパネル21が太陽光を受光することで、発電電力が発生する。このとき、ソーラー側入力端子32bにて、発電電力に対応して電圧が生じる。そこで、かかる端子電圧が、入力電圧センサ41によって測定される。そして、入力電圧センサ41によって測定された端子電圧が所定の基準電圧以上となったことがマイクロコンピュータ31によって判定されると、マイクロコンピュータ31は、ソーラー発電コンバータ33を駆動する。これにより、ソーラーパネル21で発生した発電電力が、所定電圧(約30V)の電力に変換されてソーラー給電ライン36cに出力される。
【0030】
上述のようにしてソーラー発電コンバータ33から出力された所定電圧の電力は、そのままサブ電池24の充電に供され得る。あるいは、かかる電力は、メイン電池側コンバータ35によって昇圧されることで、メイン電池22の充電に供され得る。あるいは、かかる電力は、補機側コンバータ34によって降圧されることで、補機電池23の充電及び/又は補機13における電力消費に供され得る。
【0031】
このように、本実施形態においては、ソーラー発電コンバータ33は、マイクロコンピュータ31の制御下で、ソーラーパネル21で発生した発電電力を電力変換して出力する。また、補機側コンバータ34は、マイクロコンピュータ31の制御下で、ソーラー発電コンバータ33の出力を電力変換して補機電池23に充電電力を出力する。ここで、ソーラー発電コンバータ33の作動中であって、補機側コンバータ34の停止中(補機電池23の充電電力を含む上述の補機側出力の出力停止中)には、ソーラー発電コンバータ33からの出力は、サブ電池24あるいはメイン電池22の充電に供され得る。一方、ソーラー発電コンバータ33の作動中であって、補機側コンバータ34の作動中には、ソーラー発電コンバータ33からの出力は、専ら上述の補機側出力(特に補機電池23の充電電力)に供される。
【0032】
ところで、補機側コンバータ34の作動継続時間が所定時間以上となって、補機側出力が所定時間以上出力され続けた場合、補機電池23に対して相当量の充電がなされたことが想定される。すなわち、この場合、補機電池23が満充電状態に相当程度近づいたことが想定される。また、補機側コンバータ34の出力電流が所定以下である場合も、補機電池23が満充電状態に相当程度近づいたことが想定される。そこで、本実施形態においては、マイクロコンピュータ31は、所定条件が成立した場合以外は、ソーラー発電コンバータ33及び補機側コンバータ34の動作を連動させるように、ソーラー発電コンバータ33及び補機側コンバータ34の動作を制御する。
【0033】
すなわち、マイクロコンピュータ31は、所定条件が成立しない場合は、ソーラー発電コンバータ33を作動させるときには、これに連動するように補機側コンバータ34を作動させる。すると、上述の補機側出力(特に補機電池23の充電電力)が出力される。一方、所定条件が成立した場合は、マイクロコンピュータ31は、ソーラー発電コンバータ33を作動させるときでも、補機側コンバータ34を作動させない。これにより、ソーラー発電コンバータ33の出力によるサブ電池24の充電が可能となる。
【0034】
このように、本実施形態においては、ソーラー発電コンバータ33の作動中における補機側コンバータ34の作動と停止との切替によって、補機側コンバータ34から補機電池23及びサブ電池24への電力供給の配分が制御される(かかる制御を、以下「配分制御」と称する。)。これにより、補機電池23が満充電状態に相当程度近づいたことが想定される場合に、ソーラー発電コンバータ33の作動中であっても補機側コンバータ34を適宜停止させることで、ソーラーパネル21の発電電力がサブ電池24の充電に有効に活用可能となる。したがって、本実施形態の構成によれば、ソーラーパネル21の出力を従来よりもよりいっそう効率的に利用可能となる。
【0035】
次に、本実施形態の構成における動作の一具体例について、図3図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図示されたフローチャートにおいては、「ステップ」は「S」と略記されている。図3図5のルーチンは、それぞれ、適宜のタイミングにて繰り返し起動される。かかるルーチンが起動されると、マイクロコンピュータ31によって、各ステップに対応する処理が実行される。
【0036】
図3のルーチンは、補機側コンバータ34の基本的な作動ON/OFF制御を行うルーチンである。かかるルーチンが起動されると、まず、ステップ210にて、後述する配分調整フラグがリセットされているか(値が「0」に設定されているか)否かが判定される。配分調整フラグがセットされている(値が「1」に設定されている)場合、すなわち、配分制御が行われている場合、ステップ210の判定が「NO」となる。この場合、ステップ220以降の処理がスキップされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0037】
これに対し、配分調整フラグがリセットされている場合(ステップ210=YES)、配分制御が行われていないので、処理がステップ220に進行し、補機側コンバータ34の作動要求があるか否かが判定される。補機側コンバータ34の作動要求がある場合(ステップ220=YES)、処理がステップ230に進行し、補機側コンバータ34の作動がオンされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。一方、補機側コンバータ34の作動要求がない場合(ステップ220=NO)、処理がステップ240に進行し、補機側コンバータ34が停止され、本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0038】
このように、図3の基本制御ルーチンにおいては、配分制御中ではない(すなわち配分調整フラグがリセットされている)場合には、ステップ220以降の処理によって、通常の補機側コンバータ34の作動ON/OFF制御が行われる。一方、配分制御中である(すなわち配分調整フラグがセットされている)場合には、ステップ220以降の処理からなる通常の作動ON/OFF制御がスキップ(禁止)される。
【0039】
図4のルーチンは、上述の配分制御を行うか否かを決定するためのルーチンである。本具体例においては、補機側コンバータ34の出力電流に基づいて配分制御が行われる。
【0040】
かかるルーチンが起動されると、まず、ステップ310にて、所定量の日射があるか否かが判定される。本具体例においては、この日射判定は、ソーラー発電コンバータ33が起動中であって、且つソーラー発電コンバータ33における出力電力が所定値以上であるか否かによって行われるものとする。所定量の日射がない場合(ステップ310=NO)、処理がステップ315に進行して、配分調整フラグがリセットされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。よって、以下、所定量の日射があるものとして(ステップ310=YES)、本具体例の説明を続行する。
【0041】
ステップ320においては、配分調整フラグがリセットされているか(値が「0」であるか)否かが判定される。ここでは、配分調整フラグがリセットされているものとして(ステップ320=YES)、本具体例の説明を続行する。なお、図4のルーチンにおける後述の処理によって配分調整フラグが一旦セットされた場合は、かかる配分調整フラグが再度リセットされるまでの、配分制御の実行中は、ステップ320の判定が「NO」となり、ステップ330以降の処理がスキップされて本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0042】
ステップ330においては、補機側コンバータ34が現在作動中であるか否かが判定される。配分制御が行われていない状況下(配分調整フラグがリセット状態:ステップ320=YES)にて補機側コンバータ34が現在停止中である場合(ステップ330=NO)、ステップ340以降の処理がスキップされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。一方、補機側コンバータ34が現在作動中である場合(ステップ330=YES)、処理がステップ340以降に進行する。
【0043】
ステップ340においては、補機側コンバータ34における現在の出力電流が、出力電流センサ43の出力に基づいて測定(検出)される。なお、本具体例においては、かかる電流測定値は、測定の都度、時刻データと関連付けられつつ、マイクロコンピュータ31に内蔵された不揮発性メモリに順次格納されるものとする。ここで、「不揮発性メモリ」は、給電中に書き換え可能にデータ等を記憶するとともに給電が停止されてもデータ等の記憶を保持するメモリであって、フラッシュROMやEEPROM(登録商標)等がこれに該当する。また、かかる不揮発性メモリ内における電流測定値データの格納量が所定量に達した場合には、新規データの格納の都度、最も古いデータが順次削除されるものとする。
【0044】
次に、処理がステップ350に進行し、電流測定値が所定値以下である状態が所定期間継続しているか否かが、上述の不揮発性メモリに格納された時系列的な電流値情報に基づいて判定される。ステップ350の判定が「NO」の場合、ステップ355以下の処理がスキップされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。一方、ステップ350の判定が「YES」の場合、処理がステップ355、360及び370に進行した後、本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0045】
ステップ355においては、配分調整フラグがセットされる。ステップ360においては、補機側コンバータ34の動作が停止される。ステップ370においては、カウンタK、Cp、及びCmの初期値の設定が行われる。ここで、Kは、配分制御の態様(所定期間の補機側コンバータ34の停止と作動継続との実行態様)に関するカウンタである。このカウンタKの初期値は、上述の電流値等をパラメータするマップに基づいて、K0に設定される。Cpは、補機側コンバータ34の作動停止を所定期間行うためのカウンタ(以下「停止カウンタCp」と称する)であって、初期値が0に設定される。Cmは、配分制御下で補機側コンバータ34の作動を所定時間行うためのカウンタ(以下「作動カウンタCm」と称する)であって、初期値が0に設定される。
【0046】
図5のルーチンは、配分制御を実行するためのルーチンである。かかるルーチンが起動されると、まず、ステップ410にて、上述のステップ310と同様に、日射判定が行われる。所定量の日射がない場合(ステップ410=NO)、処理がステップ415に進行して、配分調整フラグがリセットされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。よって、以下、所定量の日射があるものとして(ステップ410=YES)、本具体例の説明を続行する。
【0047】
ステップ420においては、配分調整フラグがセットされているか否かが判定される。配分調整フラグがセットされていない場合(ステップ420=NO)、ステップ430以降の処理がスキップされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。すなわち、図4のルーチンによって配分調整フラグがセットされるまでは、図5のルーチンにおいては、処理はステップ430以降には進行しない。よって、ここでは、配分調整フラグがセットされているものとして(ステップ420=YES)、本具体例の説明を続行する。
【0048】
ステップ430においては、補機側コンバータ34が現在停止中であるか否かが判定される。ここで、現時点は、図4のルーチンによって配分調整フラグがセットされた直後の、図5のルーチンの起動時であるものとする。すると、この場合、補機側コンバータ34は現在停止中であるので(ステップ360参照)、ステップ430の判定が「YES」となり、処理がステップ440に進行する。
【0049】
ステップ440においては、上述の停止カウンタCpがカウントアップ(インクリメント)される。そして、続くステップ450にて、停止カウンタCpのカウント値が所定値Cprに達したか否かが判定される。ここでは、停止カウンタCpは1回しかカウントアップされていないため、判定が「NO」となり、これ以降の処理がスキップされて本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0050】
その後、再度図4及び図5のルーチンの起動タイミングが到来すると、図4のルーチンにおいては、日射があれば(ステップ310=YES)、配分調整フラグがセットされたままの状態であるので(ステップ320=NO)、図4のルーチンの処理が一旦終了する。また、図5のルーチンにおいては、日射があれば(ステップ410=YES)、配分調整フラグがセットされたままの状態であるので(ステップ420=YES)、処理がステップ430以降に進行する。そして、補機側コンバータ34の停止期間が所定期間に達するまでは、ステップ450の判定が「NO」となり、上述の動作が繰り返されて停止カウンタCpがカウントアップされつつ、図5のルーチンの処理が一旦終了する。
【0051】
このようにして、補機側コンバータ34が所定期間停止されている間(停止カウンタCpのカウント値が所定値Cprに達するまでの間)は、ソーラー発電コンバータ33からの出力によってサブ電池24の充電を行うことができる。そして、停止カウンタCpのカウント値が所定値Cprに達すると(ステップ450=YES)、処理がステップ455に進行し、補機側コンバータ34の作動が再開されるとともに、停止カウンタCpがリセットされる。
【0052】
続いて、処理がステップ460に進行する。ステップ460においては、カウンタKの値が0であるか否かが判定される。ここでは、カウンタKの値はK0のままであるので(ステップ460=NO:但しK0はここでは「2」以上の自然数であるものとする)、処理がステップ470に進行してカウンタKの値がデクリメントされ、本ルーチンの処理が一旦終了する。なお、後述するように、カウンタKの値が0である場合は(ステップ460=YES)、処理がステップ475に進行して配分調整フラグがリセットされた後、本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0053】
上述のようにして、停止カウンタCpのカウント値が所定値Cprに達するまでの所定期間、補機側コンバータ34の作動が停止された後は、配分制御下にて補機側コンバータ34の所定時間の動作が開始する。補機側コンバータ34の作動中は、ステップ430の判定が「NO」となり、処理がステップ430からステップ480に進行する。
【0054】
ステップ480においては、作動カウンタCmがカウントアップ(インクリメント)される。続くステップ490においては、作動カウンタCmのカウント値が所定値Cmrに達したか否かが判定される。ここでは、作動カウンタCmは1回しかカウントアップされていないため、判定が「NO」となり、これ以降の処理がスキップされて本ルーチンの処理が一旦終了する。
【0055】
その後、補機側コンバータ34の作動継続時間が、作動カウンタCmが所定値Cmrに達するまでの所定時間に達すると、ステップ490の判定が「YES」となり、処理がステップ495に進行する。ステップ495においては、補機側コンバータ34が再度停止するとともに、作動カウンタCmがリセットされる。そして、処理がステップ460に進行する。
【0056】
ステップ460においては、上述と同様に、カウンタKの値が0であるか否かが判定される。ここでは、カウンタKの値は「「K0」−1>0」であるので、ステップ460の判定が「NO」となり、処理がステップ470に進行する。この場合、配分制御が続行され、再度、停止カウンタCpを用いた所定期間の補機側コンバータ34の作動停止が行われる。
【0057】
このようにして、カウンタKの初期値であるK0の値に基づいて、所定期間の補機側コンバータ34の停止と作動継続とがくり返される。そして、所定期間の停止に続く補機側コンバータ34の再起動後(ステップ455)、カウンタKの値が0となっている場合(ステップ460=YES)、処理がステップ475に進行して配分調整フラグがリセットされた後、本ルーチンの処理が一旦終了する。これにより、配分制御が一旦終了する。
【0058】
<変形例>
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、上述の実施形態の一部、及び、複数の変形例の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0059】
本発明は、上述した具体的な装置構成に限定されない。例えば、本発明は、電気自動車及びハイブリッド自動車のいずれに対しても好適に適用可能である。また、サブ電池24は、省略され得る。また、インバータ25を介して出力される、モータージェネレータ12による回生電力が、メイン電池22を介さずに補機13側(補機電池23側)やソーラーECU30側に供給されるように、車両電力システム20が構成されていてもよい。また、インバータ25を制御するために、ソーラーECU30におけるマイクロコンピュータ31とは別のマイクロコンピュータが設けられていてもよい。さらに、各電池やコンバータの出力電圧も、上述の具体例から適宜変更され得る。
【0060】
本発明は、上述した具体的な動作態様に限定されない。例えば、ステップ310等の日照判定は、例えば、周知の日照量センサを用いて行ってもよい。あるいは、かかる日射判定は、例えば、ソーラーパネル21の短絡電流の測定値が所定値以上であるか否かによって行ってもよい。なお、かかる日射判定は、所定量の日射がない状態が所定時間継続しているか否かによって行われてもよい。また、所定値Cmr、Cprは、上述のK0と同様に、マップによって設定されてもよい。あるいは、K0、Cmr、Cprは、予め設定された特定の値(車両電力システム20の運転状態によらない一定値)であってもよい。
【0061】
図4のルーチンにおけるステップ350の処理にて、電流測定値が所定値以下である状態が所定期間継続しているか否かに代えて、現在の電流測定値が所定値以下であるか否かの判定が行われてもよい。また、ステップ350の処理にて、上述のような電流測定値に関する判定に加えて、補機側コンバータ34の作動継続時間が所定時間以上となったか否かの判定が行われてもよい。あるいは、ステップ340及び350の処理に代えて、補機側コンバータ34の作動継続時間が所定時間以上となったか否かの判定が行われてもよい。
【0062】
上述の具体例においては、電流測定値に基づいて配分調整フラグがセットされた場合に、所定期間の補機側コンバータ34の停止と作動継続とが、初期値K0に基づいて適宜行われる(繰り返される)ようになっていたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、例えば、補機側コンバータ34の作動継続時間が所定時間以上となった場合に配分調整フラグがセットされるとともに、かかるフラグがセットされた場合には所定期間の補機側コンバータ34の作動停止が1回行われた後にフラグがリセットされるように、補機側コンバータ34の制御が行われてもよい。これは、上述の初期値K0の値が「1」である場合に相当する。
【0063】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構成及びその均等物の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構成をも含む。
【符号の説明】
【0064】
10…電動車両、12…モータージェネレータ、13…補機、20…車両電力システム、21…ソーラーパネル、22…メイン電池、23…補機電池、24…サブ電池、30…ソーラーECU、31…マイクロコンピュータ、32…電力変換器、33…ソーラー発電コンバータ、34…補機側コンバータ、43…出力電流センサ。
図1
図2
図3
図4
図5