(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るタイヤ試験機用コンベアを実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0018】
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係るタイヤ試験機用コンベアの適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係るタイヤ試験機用コンベアは、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0019】
本実施形態に係るタイヤ試験機35に用いられるタイヤ試験機用コンベア32は、
図1および
図3に示すように、客先コンベア10から搬送されて投入されるタイヤ11を倒伏状態で載置して搬送する入口コンベア9と、入口コンベア9の下流側に接続されて試験ステーション(試験台)34内へ延びるセンターコンベア30と、センターコンベア30の下流側に接続されて試験ステーション34で試験を行ったタイヤ11を搬送する出口コンベア31と、で形成されている。
【0020】
図1に示す本実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、タイヤ11の搬送方向が図の左から右であり、
図1において、入口コンベア9がセンターコンベア30の左側に、出口コンベア31がセンターコンベア30の右側に、配置される。そして、センターコンベア30はタイヤ試験機35を構成する試験ステーション34内に配置される。尚、タイヤ11の搬送方向が
図1と左右逆になる場合は、
図2のようになる。
図2に示す本実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32の変形例では、タイヤ11の搬送方向が図の右から左であり、
図2において、入口コンベア9がセンターコンベア30の右側に、出口コンベア31がセンターコンベア30の左側に、配置される。そして、
図1と同様に、センターコンベア30はタイヤ試験機35を構成する試験ステーション34内に配置される。尚、本実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、コンベアの流れに対して、下流側を搬送方向の前とし、上流側を搬送方向の後とするため、
図1において、搬送方向の前を図の右側、搬送方向の後を図の左側とし、
図2において、搬送方向の前を図の左側、搬送方向の後を図の右側とする。
【0021】
入口コンベア9、センターコンベア30、及び、出口コンベア31は、各々の上面にタイヤ11がその搬送のために倒伏状態で載置される。そして、入口コンベア9、センターコンベア30、及び、出口コンベア31の各々の上面が、タイヤ11の搬送面を形成する。そして、入口コンベア9、センターコンベア30、及び、出口コンベア31は、それぞれ、2本一対の搬送ベルト1、搬送ベルト23、及び、搬送ベルト38,39で形成されている。また、入口コンベア9、センターコンベア30、及び、出口コンベア31は、それぞれの幅方向でタイヤ11の搬送面を部分的に有するように構成されている。即ち、入口コンベア9及び出口コンベア31のそれぞれが、センターコンベア30の上流端及び下流端において、各コンベアがオーバーラップするように、センターコンベア30を形成する一対の搬送ベルト23の間に、入口コンベア9(詳しくは、入口コンベア9の一対の搬送ベルト1)及び出口コンベア31(詳しくは、出口コンベア31の一対の搬送ベルト38)が差し入れられる。
【0022】
上述のとおり、入口コンベア9及び出口コンベア31が、センターコンベア30の上流端及び下流端にて、センターコンベア30の一対の搬送ベルト23の間に、入口コンベア9及び出口コンベア31が差し入れられて構成されている。このため、入口コンベア9、センターコンベア30、及び、出口コンベア31という複数のコンベアを、隙間や段差がなく、タイヤ11を円滑に且つ素早く搬送することができる。
【0023】
尚、センターコンベア30の一対の搬送ベルト23の幅は、試験ステーション34で試験するタイヤ11のサイズによって変化するリム径に応じて、センターコンベア30がリムに干渉しないように、センターコンベア30の一対の搬送ベルト23の幅を変更することができる。例えば、センターコンベア30の一対の搬送ベルト23の幅を、試験ステーション34で試験するタイヤ11の最小のリム径まで狭めることもできるし、それ以上の
図1,2に示す矢印の方向に幅を広げることもできる。そして、最小となるセンターコンベア30の一対の搬送ベルト23の間の幅(即ち、タイヤ11の最小のリム径に応じた一対の搬送ベルト23の間の幅)よりも、入口コンベア9の一対の搬送ベルト1及び出口コンベア31の一対の搬送ベルト38の幅が狭くなるように形成される。ここで、一対の搬送ベルト23の間の幅とは、一対の搬送ベルト23を含まない一対の搬送ベルト23の間の空間の幅方向の長さを意味する。また、一対の搬送ベルト1及び一対の搬送ベルト38の幅とは、一対の搬送ベルト1及び一対の搬送ベルト38を含んだ一方の搬送ベルト1及び一方の搬送ベルト38から他方の搬送ベルト1及び他方の搬送ベルト38までの幅方向の長さを意味する。これにより、センターコンベア30の幅が、タイヤ11の最小のリム径のために最も狭くされても、また、タイヤ11のより大きなリム径のために広げられても、センターコンベア30の一対の搬送ベルト23の間に差し入れられた入口コンベア9の一対の搬送ベルト1及び出口コンベア11の一対の搬送ベルト38の構成には影響がない。
【0024】
入口コンベア9は、幅方向の左右両側に設けられた一対の搬送ベルト1により形成される。幅方向の左右両側に設けられた一対の搬送ベルト1が掛け渡される搬送方向の前後に設けられたプーリは、それぞれ、軸方向に設けられた1本の駆動軸により連結される。そして、プーリ(
図1では、搬送方向後方のプーリ)を連結する駆動軸2aには、ベルトコンベア用サーボモータ2が接続されており、ベルトコンベア用サーボモータ2を回転させることにより、一対の搬送ベルト1を動かして、入口コンベア9を駆動することができる。入口コンベア9の上流側には、試験されるタイヤ11を供給する客先コンベア10が接続されるとともに、搬送方向に沿って下流側へ搬送されるタイヤ11の後端部12(
図5参照)を検出する光電センサ8が設けられている。また、入口コンベア9の下流側には、センターコンベア30に送り込まれるタイヤ11の先端部13(
図5参照)を検出する光電センサ7が設けられている。また、光電センサ7より、やや上流側には、センターコンベア30に送り込まれるタイヤ11の先端部13を検出する光電センサ37が設けられている。
【0025】
入口コンベア9の一対の搬送ベルト1の間には、エアシリンダ14(
図6参照)で昇降するルブリケータ5が設けられている。ルブリケータ5は、後述するようにタイヤ11内周のビード部15に潤滑剤(ルブリ液)を塗布するブラシ5aを備えている。
【0026】
入口コンベア9の幅方向両側には、搬送方向中央側を支点とし、先端を下流側に向けた一対のアーム部材3a,3bが設けられている。一対のアーム部材3a,3bには、それぞれ、後述するように回転するタイヤ11の外周面を中心側へ押し付ける押し付けローラ21(タイヤ回転手段)が取り付けられており、リンク機構4aとエアシリンダ4によって、幅方向内方及び外方へ左右対称に回動する。一対のアーム部材3a,3bの先端部に取り付けられた押し付けローラ21の1つ以上が、
図3に示すように、モータ22で回転駆動されるようになっている。
【0027】
入口コンベア9を形成する一対の搬送ベルト1の両外側には、一対のローラ部16が設けられている。ローラ部16は、フレーム(図示せず)に敷設された複数の載置ローラ16aにて構成されている。載置ローラ16aは、入口コンベア9の幅方向(入口コンベア9を形成する一対の搬送ベルト1によるタイヤ11の搬送方向と直交する方向)と平行な方向に回転軸を有する。そして、ローラ部16は、入口コンベア9の搬送面と平行して、倒伏状態のタイヤ11を水平面内で回転可能に載置する載置面を構成する。なお、ローラ部16を設ける所定位置として、入口コンベア9を形成する一対の搬送ベルト1間の内側であってもよく、一対の搬送ベルト1間の内側と一対の搬送ベルト1の両外側の両方であってもよい。ローラ部16の各載置ローラ16aは、タイヤ11を水平面内で回転自在に載置する載置面を構成するものであり、外周面に本体である載置ローラ16aの回転軸と直交する方向に向いた回転軸まわりに回転する複数の子ローラ(図示せず)を配列したものである。
【0028】
ここで、一対のローラ部16または入口コンベア9を形成する一対の搬送ベルト1には図示しない昇降機構が備えられている。そして、一対のローラ部16または入口コンベア9を形成する一対の搬送ベルト1が、入口コンベア9の搬送面または一対のローラ部16の載置面に対して相対的に昇降するように構成される。尚、昇降機構は、エアシリンダ等により構成される。
【0029】
センターコンベア30は、入口コンベア9から受け取ったタイヤ11を、試験ステーション34に設けられた縦向きのスピンドル(下スピンドル24及び上スピンドル25)の回転中心位置(即ち、下スピンドル24のスピンドル芯20)に送り込む。なお、センターコンベア30の片軸は、ベルトコンベア用サーボモータ23aに接続されており、ベルトコンベア用サーボモータ23aを回転させることにより、センターコンベア30を駆動することができる。
図4(a),(b)に示すように、センターコンベア30は、幅方向の左右両側に設けられた一対の搬送ベルト23により形成される。一対の搬送ベルト23は、輪状のベルトにより形成されて、それぞれ、搬送方向の後に設けられたベルト駆動プーリ41aと搬送方向の前に設けられたベルト駆動プーリ42aとの間、搬送方向の後に設けられたベルト駆動プーリ41bと搬送方向の前に設けられたベルト駆動プーリ42bとの間に掛け渡される。また、一対の搬送ベルト23の幅方向の両側の外側には、搬送方向の前後いずれか一方のベルト駆動プーリ(本実施形態では、搬送方向の後に設けられたベルト駆動プーリ41a,41b)の回転軸上に配置された連結軸43a,43bを介して、搬送方向の前後いずれか一方のベルト駆動プーリ(本実施形態では、搬送方向の後に設けられたベルト駆動プーリ41a,41b)と連結された左右一対の第1プーリ44a,44bが備えられる。また、一対の搬送ベルト23の幅方向の両側の外側には、左右一対の第1プーリ44a,44bの下方に左右一対の第2プーリ46a,46bが設けられる。そして、左右一対の第1プーリ44aと左右一対の第2プーリ46aとの間、左右一対の第1プーリ44bと左右一対の第2プーリ46bとの間、にそれぞれ、輪状のベルトにより形成されるプーリ用ベルト45a,45bが掛け渡される。更に、左右一対の第2プーリ46a,46bは、左右一対の第2プーリ46a,46bの回転軸上に配置された駆動軸47により連結される。更に、駆動軸47は、左右一対の第2プーリ46a,46bのいずれか一方(本実施形態では、第2プーリ46a)側の端部が第2プーリ46aから突出するように形成されて、第2プーリ46aから突出した端部にベルトコンベア用サーボモータ(駆動機)48が接続される。
【0030】
そして、ベルトコンベア用サーボモータ48を回転させることにより、駆動軸47を介して、左右一対の第2プーリ46a,46bが回転する。そして、左右一対の第2プーリ46a,46bが回転することにより、プーリ用ベルト45a,45bを介して、左右一対の第1プーリ44a,44bが回転する。そして、左右一対の第1プーリ44a,44bが回転することにより、連結軸43a,43bを介して、ベルト駆動プーリ41a,41bが回転する。そして、ベルト駆動プーリ41a,41bが回転することにより、一対の搬送ベルト23が駆動されると共に、ベルト駆動プーリ42a,42bが回転する。以上により、センターコンベア30を駆動することができる。
【0031】
また、
図4(c)に示すように、センターコンベア30には、エアシリンダ49が接続されている。エアシリンダ49は、後述するLMガイド50の下部からLMガイド50を介してセンターコンベア30を構成する一対の搬送ベルト23を下方から支えるように配置される。そして、エアシリンダ49が上下方向に駆動(拡縮)することにより、センターコンベア30が上下動する。また、センターコンベア30は、エアシリンダ49を挟んで、LMガイド50を搬送方向の前方と後方に2本装備する。LMガイド50には、
図4(a)に示すように、略L字型のフレーム50aが備えられる。フレーム50aは、搬送方向の前方(ベルト駆動プーリ42a,42b側)において一対の搬送ベルト23の双方を下方から支えると共に、搬送方向の後方(ベルト駆動プーリ41a,41b側)において、連結軸43aを下方から支えるようにフレーム50aが配置される。このような構成により、LMガイド50は、エアシリンダ49によるセンターコンベア30の上下動のガイドの役割をしている。そして、エアシリンダ49によるセンターコンベア30の下降動作で、センターコンベア30上のタイヤ11が後述する試験ステーション34の下スピンドル24のリム上に配置され、エアシリンダ49によるセンターコンベア30の上昇動作でタイヤ11が下スピンドル24のリムから引き剥がされる。
【0032】
図1及び
図3に示すように、出口コンベア31は、幅方向の左右両側に設けられた一対の搬送ベルト38及び一対の搬送ベルト39により形成される。一対の搬送ベルト38はドロップコンベアであり、搬送ベルト39と平行にして、センターコンベア30と接続することができると共に、折り曲げて下向きに配置することができる。そして、
図4(c)に示すように、この一対の搬送ベルト38の折り曲げによる旋回範囲をかわすように、センターコンベア30のLMガイド50のフレーム50aが配置される。尚、入口コンベア9の位置に出口コンベア31が配置される場合は、出口コンベア31の一対の搬送ベルト38の折り曲げによる旋回範囲をかわすように、駆動軸47が配置される。
【0033】
また、幅方向の左右両側に設けられた一対の搬送ベルト39が掛け渡される搬送方向の前後に設けられたプーリは、それぞれ、軸方向に設けられた1本の駆動軸により連結される。そして、プーリ(
図1では搬送方向前方のプーリ)を連結する駆動軸33aには、ベルトコンベア用サーボモータ33に接続される。そして、一対の搬送ベルト38及び一対の搬送ベルト39は、搬送ベルト38が掛け渡された搬送方向前方のプーリと搬送ベルト39が掛け渡された搬送方向後方のプーリとが連結されることにより、同期して駆動され、連続したコンベアとして構成される。これにより、ベルトコンベア用サーボモータ33を回転させることにより、一対の搬送ベルト38,39を同期させて運転して、出口コンベア31を駆動する。
【0034】
タイヤ試験機35は、
図1及び
図3に示すように、下スピンドル24及び上スピンドル25を有する試験ステーション34を備える。また、試験ステーション34には、下スピンドル24及び上スピンドル25を駆動させて試験するタイヤ11を下スピンドル24及び上スピンドル25で挟み込むことによりタイヤ11をチャッキング(chucking)するためのスライドビーム26、ガイドフレーム27a,27b、ボールネジ28a,28b、モータ29a,29bからなるチャッキング機構36が備えられている。即ち、チャッキング機構36は、下スピンドル24及び上スピンドル25を駆動させてチャッキング動作させるためのものである。上スピンドル25はスライドビーム26に取り付けられている。スライドビーム26は2本のガイドフレーム27a,27bの間に掛け渡されており、両側でボールネジ28a,28bに取り付けられている。ボールネジ28a,28bの片側にはモータ29a,29bが取り付けられ、同期してボールネジ28a,28bを駆動することでスライドビーム26を上下動させる。また、下スピンドル24はスピンドル芯20を備える。そして、スピンドル芯20にタイヤ軸心17(
図9参照)を合わせられたタイヤ11は、ボールネジ28a,28bを駆動してスライドビーム26を上下動させることにより、下スピンドル24及び上スピンドル25により挟み込まれて、試験ステーション34への搬送が完了する。
【0035】
以下に、本実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32において、客先コンベア10から搬送されるタイヤ11を入口コンベア9から試験ステーション34内のセンターコンベア30に搬送して、試験ステーション34において試験が終了したタイヤ11を出口コンベア31に搬出するまでの手順を、
図5〜
図11に基づいて説明する。
【0036】
客先コンベア10から入口コンベア9にタイヤ11が投入される際、
図6に示すように、ルブリケータ5は、入口コンベア9の搬送面6よりも下方に下降している。尚、ルブリケータ5の下降はエアシリンダ14により行われる。また、
図8の実線に示すように、ローラ部16の載置面は、入口コンベア9の搬送面6よりも下方にある。尚、ローラ部16の載置面の昇降は図示しない昇降機構により行われる。さらに、
図5に示すように、一対のアーム部材3a,3bはエアシリンダ4により幅方向外方へ回動されて開状態にあり、タイヤ11を搬送するための空間が入口コンベア9の搬送面6上に確保されている。
【0037】
そして、
図5に示すように、ベルトコンベア用サーボモータ2が回転されて入口コンベア9が駆動され、客先コンベア10から入口コンベア9に投入されたタイヤ11は、入口コンベア9上を搬送方向に沿って比較的低速の一定搬送速度Vで搬送される。そして、入口コンベア9の上流側の光電センサ8で、タイヤ11の外径で試験ステーション34より遠い側の端部(タイヤ外径の後端部)12を検出する。そして、光電センサ8がタイヤ外径の後端部12を検出した時間T1(s)を記録する。
【0038】
タイヤ11は入口コンベア9上をそのまま搬送方向に沿って一定の搬送速度Vで搬送され、
図7に示すように、下流側の光電センサ7で、タイヤ11の外径で試験ステーション34に近い側の端部(タイヤ外径の先端部)13を検出すると、一旦、ベルトコンベア用サーボモータ2の回転を停止して、入口コンベア9によるタイヤ11の搬送を停止すると共に、光電センサ7がタイヤ外径の先端部13を検出した時間T2(s)を記録する。
【0039】
このとき、タイヤ11が後端部12を光電センサ8で検出されてから、先端部13を光電センサ7で検出されて停止するまでの搬送距離ΔLは、光電センサ8で後端部12が検出された時刻T1、光電センサ7で先端部13が検出された時刻T2、2つの光電センサ7,8の距離L(mm)、入口コンベア9の搬送速度V(mm/s)とすると、次の(1)式に基づいて計算される。
ΔL=(T2−T1)×V (1)
そして、タイヤ外径Dは、(1)式で求めた搬送距離ΔLを用いて、次の(2)式に基づいて算出される。
D=L−ΔL (2)
【0040】
なお、搬送距離ΔLは、例えば、ベルトコンベア用サーボモータ2に取り付けたエンコーダのパルス数とパルス当たりの入口コンベア9の移動距離との関係から算出して求めることもでき、具体的には、上流側の光電センサ8でタイヤ11の後端部を検出した時刻T1から下流側の光電センサ7で先端部を検出した時刻T2までの間のパルス数をカウントし、カウントされたパルス数にパルス当たりの移動距離を乗算する方法で求めてもよい。
【0041】
なお、入口コンベア9によるタイヤ11の搬送速度は一定ではなく、高速から低速へ、段階的に変更されるように構成しても良い。例えば、まず、タイヤ11は、タイヤの先端部13が光電センサ37の位置に到達するまで、比較的高速の搬送速度V1で搬送されるものとする。次いで、タイヤ11は、タイヤの先端部13が光電センサ37の位置に到達したことをもって、比較的低速の搬送速度V2で搬送されるものとする。このように、前半にはタイヤ11を比較的高速で搬送して、後半は比較的低速で搬送することで、搬送時間を減らしつつ、光電センサ7の位置に正確にタイヤの先端部13を位置決めすることができる。この効果は、タイヤ11の入口コンベア9による搬送距離が、大きい場合に顕著となる。
【0042】
また、入口コンベア9によるタイヤ11の搬送速度を、高速から低速へ、段階的に変更されるように構成したとき、タイヤ外径Dは、タイヤ11が後端部12を光電センサ8で検出されてから、先端部13を光電センサ37で検出されて停止するまでの搬送距離ΔL2に基づき、計算してもよい。具体的には、搬送距離ΔL2は、光電センサ8で後端部12が検出された時刻T1、光電センサ37で先端部13が検出された時刻T3、2つの光電センサ8,37の距離L2(mm)、タイヤの先端部13が光電センサ37の位置に到達した後の入口コンベア9の搬送速度V2(mm/s)とすると、次の(3)式に基づいて計算される。
ΔL2=(T3−T1)×V2 (3)
そして、タイヤ外径Dは、(3)式で求めた搬送距離ΔL2を用いて、次の(4)式に基づいて算出される。
D=L2−ΔL2 (4)
【0043】
ここで、下流側の光電センサ7でタイヤ11の先端部13を検出してタイヤ11の搬送を停止した後から、後述する一対のアーム部材3a,3bがタイヤ11を上流側に押し付けてルブリケータ5に当接するまでの間において、且つ、ルブリケータ5がタイヤ11の内径内に収まる位置に配置されている状態において、
図8に示すように、エアシリンダ14が作動され、ルブリケータ5が入口コンベア9の搬送面6及びローラ部16の載置面から突出するように上昇する。なお、アーム部材3a,3bを動作させる前に入口コンベア9を駆動してタイヤ11をわずかに上流側へ戻しても良い。このようにするとタイヤ11をアーム部材3a,3bにて、より確実にルブリケータ5側へ押し戻すことができる。
【0044】
また、
図8の破線に示すように、図示しない昇降機構を駆動させることにより、ローラ部16の載置面を入口コンベア9の搬送面6よりも上昇させて、タイヤ11を入口コンベア9からローラ部16に移載する。即ち、ローラ部16の各載置ローラ上端(各載置ローラに子ローラが設けられている場合は、各載置ローラ上端の子ローラ)を入口コンベア9の搬送面6よりも上方に位置するように上昇させて、タイヤ11を入口コンベア9の搬送面6から載置面となるローラ部16の各載置ローラ上端に移載する。
【0045】
その後、エアシリンダ4を駆動させて、一対のアーム部材3a,3bを幅方向内方へ回動させて閉状態とし、一対のアーム部材3a,3bの押し付けローラ21によって、ローラ部16に載置されたタイヤ11を上流側へ押し付ける。すると、
図9に示すように、タイヤ11はローラ部16上で一対のアーム部材3a,3bに押されながらルブリケータ5に向かって接近し、ついにタイヤビード部15(
図10に示すタイヤ11の内周)がルブリケータ5に当接する。
【0046】
図9のように、タイヤ11が一対のアーム部材3a,3bの押し付けローラ21及びルブリケータ5でタイヤの外周及び内周から押し付けられた状態で、一対のアーム部材3a,3bの先端部に取り付けられた押し付けローラ21の一方がモータ22で回転駆動される。これにより、ローラ部16上のタイヤ11が水平面内で回転して、
図10に示すように、ルブリケータ5のブラシ7bがタイヤ11のビード部15に潤滑剤を塗布する。
【0047】
こののち、
図11に示すように、エアシリンダ4を駆動させて一対のアーム部材3a,3bを幅方向外方へ回動させて開状態とし、押し付けローラ21によるタイヤ11の押し付けを開放する。その後、
図8の実線に示すように、図示しない昇降機構を駆動させることにより、ローラ部16の載置面を入口コンベア9の搬送面6よりも下降させて、タイヤ11をローラ部16の載置面から再び入口コンベア9の搬送面6上に移載する。
【0048】
そして、ベルトコンベア用サーボモータ2を回転して入口コンベア9を駆動することによって、タイヤ11を再び試験ステーション34がある下流側へ搬送する。入口コンベア9によってタイヤ11が試験ステーション34側に少し移動すると、タイヤ11に潤滑剤を塗布し終わったルブリケータ5を、エアシリンダ14によって下降させて、入口コンベア9の搬送面6及びローラ部16の載置面より下方の待機位置へ戻す。
【0049】
そして、
図11の破線で示すように、入口コンベア9上をタイヤ11の先端部13が光電センサ7で検出される位置まで移動され、そこに位置決めされる。これにより、入口コンベア9の幅方向に位置決めされたタイヤ11の先端部13が、タイヤ11の外径寸法に関係なく、入口コンベア9の搬送方向の所定位置、すなわち、ある特定の同じ位置(
図11の破線で示す位置)に位置決めされる。
【0050】
そして、
図11の実線に示すように、入口コンベア9とセンターコンベア30が同期して駆動されて、タイヤ11の回転中心(タイヤ軸心17)が試験ステーション34の下スピンドル24の回転中心位置であるスピンドル芯20と一致するまで送り込まれる。
【0051】
ここで、入口コンベア9で先端部13が位置決めされた状態のタイヤ11を、タイヤ11の回転中心(タイヤ軸心17)とスピンドル芯20とが一致するまで搬送する際のタイヤ11の送り込み距離Xは、予め計測された下流側の光電センサ7の位置からスピンドル芯20までの搬送方向の距離M、即ち、入口コンベア9においてタイヤ11の先端部13が位置決めされた所定位置(
図11の破線で示す位置)からスピンドル芯20までの搬送方向の距離Mと、上述の(2)式または(4)式で求められたタイヤ11の外径寸法Dとから、次の(5)式に基づいて算出される。
X=M+D/2 (5)
【0052】
このように、タイヤ11の外径寸法Dがわかっており、タイヤ11の先端部13が位置決めされた所定位置から距離Mだけ搬送すると、センターコンベア30上において、タイヤ11が試験ステーション34のスピンドル芯20上に正確に位置決めされるため、試験ステーション34の下スピンドル24及び上スピンドル25の間でセンサやセンタリングアームなどのセンタリング機能を用いなくともタイヤ11を試験ステーション34のスピンドル芯20上に正確に位置決めできる。なお、上述した計算式には、計算に基づく位置と実停止位置の差を記録し、補正をかけることができるよう、補正項を含むことが可能である。この搬送において、入口コンベア9とセンターコンベア30は同期させて運転させることにより、タイヤ11を試験ステーション34に搬送する。入口コンベア9とセンターコンベア30の同期運転により、タイヤ11を正確に搬送距離Xだけ搬送するために、入口コンベア9をセンターコンベア30と間でのタイヤ11の受け渡しが重要であり、入口コンベア9をセンターコンベア30に差し込んでオーバーラップさせることが必要である。
【0053】
タイヤ11の先端部13が位置決めされた所定位置から入口コンベア9とセンターコンベア30の同期運転により、距離Mだけ搬送して、センターコンベア30の搬送を停止すると、タイヤ11が試験ステーション34のスピンドル芯20上に位置決めされて、試験ステーション34への搬送が完了する。そして、試験ステーション34のスピンドル芯30上に送り込まれたセンターコンベア30上のタイヤ11は、エアシリンダ49を駆動させてセンターコンベア30を下降させることで、下スピンドル24のリム上に載置される。その後、ボールネジ28a,28bを駆動してスライドビーム26を下降させることにより、下スピンドル24及び上スピンドル25によりタイヤ11をチャッキングして、タイヤ11に空気を送り込む。そして、下スピンドル24及び上スピンドル25を回転させることによりタイヤ11を回転させて、ドラムを接近させることによりタイヤ11に荷重を与えて、タイヤ11の試験を行う。
【0054】
タイヤ11の試験が終わったあと、下スピンドル24及び上スピンドル25の回転を停止させて、タイヤ11の空気を抜く。その後、ボールネジ28a,28bを駆動してスライドビーム26を上昇させることにより、上スピンドル24を上昇させると共に、エアシリンダ49を駆動させてセンターコンベア30を上昇させることにより、下スピンドル24のリムからタイヤ11がはがされる。そして、
図3に示すように、出口コンベア31のドロップコンベアである一対の搬送ベルト38を、一対の搬送ベルト39と平行にして、センターコンベア30と出口コンベア31とを接続し、センターコンベア30と出口コンベア31の同期運転により、タイヤ11を出口コンベア31に搬送する。
【0055】
尚、入口コンベア9に次のタイヤ11が待機している場合は、試験ステーション34で試験が終了したタイヤ11を出口コンベア31へ搬送を行うと共に、前述と同様に入口コンベア9の待機したタイヤ11をその外径に応じた搬送距離に基づいて試験ステーション34に搬送される。
【0056】
このように、本実施形態のタイヤ試験機用コンベア32は、ベルトコンベア用サーボモータ48を駆動することにより駆動軸47が回転し、駆動軸47に連結された左右一対の第2プーリ46a,46bが回転することにより左右一対の第2プーリ46a,46bとの間でプーリ用ベルト45a,45bが掛け渡された左右一対の第1プーリ44a,44bが回転し、左右一対の第1プーリ44a,44bが回転することにより左右一対の第1プーリ44a,44bに連結された左右一対のベルト駆動プーリ41a,41bが回転して、ベルト駆動プーリ41a,41bに掛け渡された搬送ベルト23が動くことにより、センターコンベア30を安定して駆動することができる。そして、ベルトコンベア用サーボモータ48はセンターコンベア30の幅方向の外側の下方に設けられるため、センターコンベア30の左右一対のベルト駆動プーリ41a,41b及び42a,42bの間に
図4に示すような空間が形成され、左右一対のベルト駆動プーリ41a,41b及び42a,42bの間の空間に入口コンベア9または出口コンベア31を差し込むことが可能になり、センターコンベア30と入口コンベア9または出口コンベア31を、隙間や段差がなく、また、駆動する駆動機を互いに干渉しあうことなく、適正に配置することができる。更に、センターコンベア30に入口コンベア9または出口コンベア31を差し込むことで、複数のコンベアを互いにオーバーラップして配置して、センターコンベアに入口コンベアまたは出口コンベアを同期して駆動させることにより、複数のコンベア間のタイヤ11の受け渡しがスムーズとなり、受け渡し時の搬送距離が正しく保持されるため、タイヤ11を円滑に且つ素早く搬送することができる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0058】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、入口コンベア9上でタイヤ11の先端部13と後端部12を検出するセンサを非接触式の光電センサ7,8としたが、このセンサは他の非接触式センサや接触式センサとすることもできる。
【0059】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32は、
図1および
図3に示すように、入口コンベア9と、センターコンベア30と、出口コンベア31とで形成されているが、センターコンベア30と出口コンベア31とを連続したセンターコンベア30として、センターコンベア30と入口コンベア9のみで形成しても良い。また、センターコンベア30と入口コンベア9とを連続したセンターコンベア30とし、センターコンベア30と出口コンベア31のみで形成しても良い。また、入口コンベア9及び出口コンベア31を、ベルトコンベア以外の他のコンベアとすることもできる。
【0060】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、センターコンベア30がエアシリンダ49とLMガイド50とを備えて、センターコンベア30が上下動できるように構成されているがそれに限らず、センターコンベア30が固定されているものであっても良い。かかる場合は、チャッキング機構36を上スピンドル25と下スピンドル24の双方を昇降自在な構造にして、チャッキング機構36で上スピンドル25を下降させると共に下スピンドル24を上昇させて、センターコンベア30上のタイヤ11をチャッキングするように構成すればよい。
【0061】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、ローラ部16は載置ローラ16aにその回転軸と直交する回転軸を有する子ローラを備えたものとしたが、タイヤを回転自在に載置するものであれば、他の構造のフリーローラとすることもできる。
【0062】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、昇降機構は、一対のローラ部16に取り付けて支持されているが、入口コンベア9に取り付けて支持することもできる。かかる場合は、昇降機構によって、ローラ部16の載置面に対して相対的に入口コンベア9の搬送面が同時に上下動する。
【0063】
上述した実施形態に係るタイヤ試験機用コンベア32では、ルブリケータ5は位置決めローラを備えていないが、ルブリケータ5がタイヤ11の内周を位置決めするように当接される一対の位置決めローラを備えることもできる。また、一対のアーム部材3a,3bにより、タイヤ11の外周面を中心側へ押し付ける構成であるが、一対のアーム部材3a,3bに加えて、先端を上流側に向け、押し付けローラを備えた一対の第2のアーム部材を更に設けて、一対のアーム部材3a,3bおよび第2のアーム部材により、四方向から回転するタイヤ50の外周面を中心側へ押し付けるように構成することもできる。この場合、
図5の状態にある入口コンベア9上のタイヤ11を、ルブリケータ5と、一対のアーム部材3a,3bおよび第2のアーム部材で挟み込む際には、ベルトコンベア用サーボモータ2を搬送方向と逆向きに回転させ、入口コンベア9上のタイヤ11を搬送方向と逆向きに低速の一定搬送速度で搬送させる。そして、上昇したルブリケータ5の位置決めローラが内周に当接される位置までタイヤ11が押し戻されると、一対のアーム部材3a,3bおよび第2アーム部材が幅方向内方へ回動され、一対のアーム部材3a,3bおよび第2アーム部材の各押し付けローラによって、タイヤ11の外周が中心側へ押し付けるように構成する。