(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(1B)の離型剤粒子(W)の質量に対する樹脂粒子(A)の質量の質量比(樹脂粒子(A)の質量/離型剤粒子(W)の質量)が1/100〜50/100である、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[トナーの製造方法]
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、下記工程(1)〜(3)を含む。
工程(1):下記工程(1A)及び(1B)を含む離型剤粒子(WR)の分散液を得る工程
工程(1A):水性媒体中で、離型剤と、オキサゾリン基を含有するポリマーと、を分散させて、体積中位粒径が0.05μm以上1.5μm以下の離型剤粒子(W)の分散液を得る工程
工程(1B):工程(1A)で得られた離型剤粒子(W)と、樹脂粒子(A)とを、樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度又は離型剤粒子(W)を構成する離型剤の融点のいずれか低い温度以上で混合し、樹脂粒子(A)が離型剤粒子(W)に付着した離型剤粒子(WR)の分散液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた離型剤粒子(WR)の分散液と、ポリエステルを含有する樹脂粒子(B)の分散液とを混合し、凝集させて、凝集粒子を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた凝集粒子を融着させて、融着粒子を得る工程
【0009】
また、工程(2)は、次の工程(2A)を含んでいてもよく、工程(2A)の後に更に(2B)を含んでもよい。
工程(2A):工程(1)で得られた離型剤粒子(WR)の分散液、樹脂粒子(B)の分散液、及び凝集剤を、水性媒体中で混合して凝集粒子(1)を得る工程
工程(2B):工程(2A)で得られた凝集粒子(1)に、更に樹脂粒子(B)を一時に又は複数回分割して添加して、樹脂粒子(B)を付着してなる凝集粒子(2)を得る工程
なお、工程(2A)及び工程(2B)を実施する場合には、工程(3)における「工程(2)で得られた凝集粒子」とは、「工程(2B)で得られた凝集粒子(2)」のことをいう。また、工程(2A)を実施し、工程(2B)を実施しない場合には、工程(3)における「工程(2)で得られた凝集粒子」とは、「工程(2A)で得られた凝集粒子(1)」のことをいう。
【0010】
本発明によると、離型剤の脱離及び露出が抑制され、画像濃度及びカブリの抑制に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。本発明の製造方法により得られる静電荷像現像用トナーが、このような効果を奏する理由は定かではないが、次のように考えられる。
離型剤をオキサゾリン基を含有するポリマーにより分散することで、離型剤表面に種々の官能基と反応可能なオキサゾリン基が存在した離型剤粒子となる。これと、樹脂粒子を、加熱、混合すると、離型剤粒子表面に樹脂粒子が付着する際、樹脂中の反応活性部位とオキサゾリン基が化学的に結合した結果、強固に離型剤粒子表面に樹脂粒子が付着した粒子となると考えられる。こうして得られた樹脂粒子が付着した離型剤粒子を、更にトナーの主成分となる樹脂粒子と凝集、融着させてトナーとする際には、離型剤粒子表面の樹脂粒子とトナーの主成分の樹脂粒子の親和性が高いため、トナー製造工程においてトナーから離型剤粒子が脱離することが抑制される。また樹脂粒子に囲まれて離型剤粒子の動きが抑制されることから、離型剤がトナー内部で保持され、トナー表面への露出が抑制されるものと考えられる。このようにして得られたトナーは、現像性や帯電性に悪影響しやすい離型剤の遊離や表面への露出がないことから、主成分となる樹脂の性能を低下させることなく高い画像濃度を達成でき、また帯電性や現像性が不均一の場合に発生する画像欠陥であるカブリの発生も抑制できるトナーとなると考えられる。
【0011】
<工程(1)>
本発明のトナーの製造方法における工程(1)は、下記工程(1A)及び(1B)を含む離型剤粒子(WR)の分散液を得る工程である。
工程(1A):水性媒体中で、離型剤と、オキサゾリン基を含有するポリマーと、を分散させて、体積中位粒径が0.05μm以上1.5μm以下の離型剤粒子(W)の分散液を得る工程
工程(1B):工程(1A)で得られた離型剤粒子(W)と、樹脂粒子(A)とを、樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度又は離型剤粒子(W)を構成する離型剤の融点のいずれか低い温度以上で混合し、樹脂粒子(A)が離型剤粒子(W)に付着した離型剤粒子(WR)の分散液を得る工程
次に、工程(1)で使用される各成分、工程(1A)及び工程(1B)について説明する。
【0012】
〔工程(1A)〕
工程(1A)では、水性媒体中で、離型剤と、オキサゾリン基を含有するポリマーと、を分散させて、体積中位粒径が0.05μm以上1.5μm以下の離型剤粒子(W)の分散液を得る。
【0013】
(離型剤粒子)
(離型剤)
離型剤としては、炭化水素ワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミド、エステルワックス等が挙げられる。これらの離型剤は、単独で又は2種以上を併用することができ、2種以上を併用することが好ましい。
【0014】
トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点、オキサゾリン基を含有するポリマーによる分散性を向上させる観点から、炭化水素ワックス、エステルワックスが好ましく、炭化水素ワックス及びエステルワックスを併用することがより好ましい。
(炭化水素ワックス)
炭化水素ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びセレシン等から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。これらの中でも、トナーの離型性を向上させる観点から、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
【0015】
(エステルワックス)
エステルワックスとしては、植物系ワックス、天然又は合成の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、並びに酸変性ポリエチレンワックスのエステル化物等から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。植物系ワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス、及びキャンデリラワックス等から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。酸変性ポリエチレンワックスのエステル化物としては、例えば、ポリオレフィンをカルボン酸変性して得られる酸変性ポリオレフィンをアルコールでエステル化したワックス等が挙げられる。これらの中でも、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、並びにトナーの低温定着性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、植物系ワックスが好ましく、カルナウバワックスがより好ましい。
エステルワックスはカルボキシ基を有し、オキサゾリン基を含有するポリマーのオキサゾリン基と反応しやすく、離型剤粒子上にオキサゾリン基を含有するポリマーが存在しやすくなるため、本発明で用いる離型剤として好ましい。
本発明に用いられるエステルワックスの酸価は、オキサゾリン基を含有するポリマーとの反応性を向上させる観点から、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは0.7mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、トナーの帯電特性を向上させる観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは17mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下、より更に好ましくは10mgKOH/g以下である。
【0016】
離型剤の融点は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、トナーの離型性及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下である。2種以上を併用する場合、同様の観点から、いずれの融点も50℃以上100℃以下であることが好ましい。
本発明において、離型剤の融点は、示差走査熱量計を用いて測定することができ、具体的には実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される離型剤中、最も質量比の大きい離型剤の融点を、本発明における離型剤の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い融点を本発明における離型剤の融点とする。
【0017】
離型剤の使用量は、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、トナー中の樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
【0018】
炭化水素ワックス及びエステルワックスを併用する場合の炭化水素ワックスに対するエステルワックスの質量比は、エステルワックス/炭化水素ワックスの質量比として、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点、並びにトナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは1/99以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは5/95以上であり、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及びトナーの離型性を向上させる観点から、好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、更に好ましくは35/65以下、より更に好ましくは30/70以下であり、また好ましくは1/99〜50/50、より好ましくは3/97〜40/60、更に好ましくは5/95〜35/65、より更に好ましくは5/95〜30/70である。
【0019】
離型剤中の炭化水素ワックス及びエステルワックスの総量は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点、並びにトナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
【0020】
(オキサゾリン基を含有するポリマー)
オキサゾリン基を含有するポリマーは、離型剤を水性媒体中に分散させる観点から使用される。オキサゾリン基を含有するポリマーを用いることで、ポリマー主鎖が疎水性のワックスに吸着し、極性を持つオキサゾリン基が水性媒体への分散基となり、離型剤を水性媒体中に分散させることが可能となる。そして、続く工程(1B)において、樹脂中の反応活性部位とオキサゾリン基が化学的に結合するため、強固に離型剤粒子表面に樹脂粒子が付着した粒子とすることができる。さらに、離型剤中にカルボキシ基などの官能基を含む場合には、オキサゾリン基と反応し、より強固に離型剤表面に付着しやすく、離型剤粒子の分散安定性が向上するものと考えられる。
オキサゾリン基を含有するポリマーの数平均分子量は、離型剤及び樹脂との反応性を高める観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であり、また、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下である。
【0021】
オキサゾリン基を含有するポリマーのオキサゾリン基当量は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは50g‐solid/eq.以上、より好ましくは80g‐solid/eq.以上、更に好ましくは150g‐solid/eq.以上であり、また、好ましくは1000g‐solid/eq.以下、より好ましくは500g‐solid/eq.以下、更に好ましくは300g‐solid/eq.以下である。
なおオキサゾリン基当量とは、オキサゾリン基1モル当たりの重合体の質量を意味する。
【0022】
本発明に使用されるオキサゾリン基を含有するポリマーは、離型剤粒子の水性媒体への分散液に添加して使用するため、反応性の観点から、水分散性であるか、または水溶性であることが好ましく、水溶性であることがより好ましい。ここで「水溶性」とは、水に濁りや沈殿が生成することなく溶解できることを示す。より具体的には25℃における、水100gに対する溶解量が15g以上、好ましくは、25g以上であることを示す。
オキサゾリン基を含有するポリマーの市販品としては、エポクロス(登録商標)WS−300,WS−500,WS−700等の「エポクロスWSシリーズ」(日本触媒社製、水溶性タイプ、主鎖アクリル)、「Kシリーズ」(日本触媒社製、エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる。
【0023】
(水性媒体)
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、環境性の観点及び離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましく用いられる。
水性媒体中の水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上4以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の、水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、有機溶媒のトナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1以上5以下のアルコールが好ましい。
【0024】
(離型剤粒子(W)の製造)
離型剤粒子(W)は、離型剤を水性媒体に分散して離型剤粒子(W)の分散液として得る。
離型剤粒子(W)の分散液は、離型剤と水性媒体とを、オキサゾリン基を含有するポリマーの存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、ホモジナイザー、高圧分散機、超音波分散機等が好ましく、超音波分散機がより好ましい。分散時間は用いる分散機により適宜設定すればよい。
超音波分散機としては、例えば超音波ホモジナイザーが挙げられる。その市販品としては、「US−150T」、「US−300T」、「US−600T」(日本精機製作所社製)、SONIFIER 4020−400、SONIFIER 4020−800(ブランソン社製)が挙げられる。
また、前記分散機を使用する前に、離型剤、オキサゾリン基を含有するポリマー、必要に応じて水性媒体を、あらかじめホモミキサー、ボールミル等の混合機で予備分散させておくことが好ましい。
【0025】
オキサゾリン基を含有するポリマーの使用量は、離型剤及び樹脂との反応性を高め、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、離型剤100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、離型剤粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である。
【0026】
本発明においては、離型剤粒子の水性媒体への分散は、オキサゾリン基を含有するポリマー及び樹脂粒子(A)による分散安定化を効果的に利用して離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、及び後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、界面活性剤を添加しない条件、又は界面活性剤の含有量が、離型剤100質量部に対して0.5質量部以下の条件で行うのが好ましい。
前記界面活性剤の例としては、後述の樹脂粒子(A)の製造において例示されるものと同じものが挙げられる。
【0027】
分散時の加熱温度は、具体的には、離型剤粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは離型剤の融点以上かつ80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下、更に好ましくは95℃以下である。
また分散時の加熱時間は、離型剤粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、更に好ましくは20分以上であり、また、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下である。
【0028】
離型剤粒子(W)の分散液の固形分濃度は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、取扱いを容易にする観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0029】
離型剤粒子(W)の体積中位粒径(D
50)は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、及び得られるトナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.20μm以上、更に好ましくは0.30μm以上であり、また、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.80μm以下、更に好ましくは0.70μm以下、より更に好ましくは0.65μm以下、より更に好ましくは0.60μm以下である。
ここで、体積中位粒径(D
50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、離型剤粒子(W)の体積中位粒径(D
50)は、実施例に記載の方法で求められる。
離型剤粒子(W)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、及び得られるトナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは40%以下であり、また、離型剤粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である。ここで、離型剤粒子の粒径分布は、実施例に記載の方法で求められる。
【0030】
〔工程(1B)〕
工程(1B)では、工程(1A)で得られた離型剤粒子(W)と、樹脂粒子(A)とを、樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度又は離型剤粒子(W)を構成する離型剤の融点のいずれか低い温度以上で混合し、樹脂粒子(A)が離型剤粒子(W)に付着した離型剤粒子(WR)の分散液を得る。より具体的には、例えば、離型剤粒子(W)の分散液と、樹脂粒子(A)とを前記温度で混合する、好ましくは、離型剤粒子(W)の分散液と、樹脂粒子(A)の分散液とを前記温度で混合する。
【0031】
(樹脂粒子(A))
樹脂粒子(A)は、離型剤粒子の分散安定化剤として、及び離型剤粒子と後述の樹脂粒子(B)との親和性向上剤として機能することで、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制する。
【0032】
樹脂粒子(A)を構成する樹脂は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、オキサゾリン基含有ポリマーとの反応性を向上させる観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点から、カルボキシ基のような親水性基を有するものが好ましい。
樹脂粒子(A)を構成する樹脂の酸価は、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点、離型剤の脱離及び露出の抑制の観点から、好ましくは6mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、より更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、また、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは55mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下である。樹脂粒子(A)を構成する樹脂の酸価は、カルボキシ基によるものが好ましい。
【0033】
樹脂粒子(A)を構成する樹脂は、例えば、ポリエステル、塩化ビニル系樹脂、及びアクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する。中でも、好ましくはポリエステル又は塩化ビニル系樹脂、より好ましくはポリエステルを含有する。
【0034】
(ポリエステル)
本発明における樹脂粒子(A)は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点から、好ましくはポリエステルを樹脂中90質量%以上含有する。
樹脂粒子(A)を構成する樹脂中のポリエステルの含有量は、同様の観点、並びにトナーの生産性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂中、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
樹脂粒子(A)を構成する樹脂としては、ポリエステル以外に、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。
【0035】
本発明で用いられるポリエステルの原料モノマーは、特に限定されず、任意のアルコール成分と、任意のカルボン酸成分とが用いられる。
カルボン酸成分としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、なかでもジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸の具体例としては、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。これらのなかでも、トナーの耐久性及び帯電性を向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸を含有することが好ましく、テレフタル酸がより好ましい。また、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、トナーの低温定着性を向上させる観点から、脂肪族ジカルボン酸を含有することが好ましく、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸及びその酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、及び炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、フマル酸又はドデセニルコハク酸がより更に好ましく、フマル酸がより更に好ましい。
【0036】
3価以上の多価カルボン酸としては、芳香族多価カルボン酸及び脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。3価以上の芳香族多価カルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、トリメリット酸及びその無水物が好ましく、トリメリット酸無水物がより好ましい。3価以上の脂肪族多価カルボン酸の具体例としては、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸等が挙げられる。
カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
また、アルコール成分としては、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
アルコール成分の具体例としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAの炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。前記アルコール成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルコール成分としては、トナーの耐久性を向上させる観点から、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAの炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物が好ましい。
【0038】
ポリエステルは、例えば、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、180℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、また、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下である。
重合禁止剤としては、tert−ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。
【0039】
ポリエステルの軟化点は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは165℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、より更に好ましくは125℃以下である。
ポリエステルのガラス転移温度は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは53℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
ポリエステルの酸価は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは6mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、より更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、また、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、アルコール成分とカルボン酸成分の種類、仕込み比率、重縮合の温度、反応時間を調節することにより所望のものを得ることができる。
【0040】
なお、本発明において、ポリエステルには、未変性のポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
【0041】
また、樹脂粒子が複数の樹脂を含有する場合には、前記樹脂粒子を構成する樹脂の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、各樹脂の混合物としての軟化点、ガラス転移温度、酸価を意味し、各々の値は前記ポリエステルの各特性の値の範囲内であることが好ましい。混合物としての軟化点、ガラス転移温度、酸価は、各々の値の加重平均、すなわち、各樹脂の特性値と含有割合の積の和により求めることができる。
【0042】
樹脂粒子(A)を構成する樹脂は、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有してもよい。トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、一方のポリエステル(I)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(II)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。また、2種類のポリエステルの軟化点の差は、同様の観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、また、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下である。ポリエステル(I)とポリエステル(II)との質量比(I/II)は、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
【0043】
(塩化ビニル系樹脂)
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、必要により、少なくとも1種の共重合し得るモノマーとの重合(好ましくは、乳化重合)によって得られる樹脂を含むことが好適である。ここで塩化ビニルモノマーと共重合し得るモノマーとしては、アクリル系モノマー、酢酸ビニル等が挙げられる。その他、国際公開第2010−140647号に示されるようにスチレン・アクリルオリゴマー及び/またはアクリル酸エステルオリゴマーの存在下で、塩化ビニルモノマーと、少なくとも1種の共重合し得るモノマーとを重合(好ましくは、乳化重合)させることで得られる塩化ビニル系樹脂を用いてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂として、市販の樹脂エマルションを用いてもよい。市販の樹脂エマルションとしては、界面活性剤を用いない、所謂ソープフリー型として市販されている、ビニブラン700、ビニブラン701(いずれも塩化ビニル共重合エマルション:日信化学工業社製)などが挙げられる。
【0044】
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂としては、アクリル系モノマー単独、又は、アクリル系モノマーと、少なくとも1種の共重合し得るモノマーとの重合(例えば、乳化重合)によって得られるアクリル系樹脂を含むことが好適である。更に、これらのアクリル共重合体と反応して架橋し得るモノマーを用いてもよい。
アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の炭素数1以上18以下のヒドロキシ基を有していてもよいアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。ここで、(メタ)アクリルは、アクリル、メタクリル又はそれらの混合物を意味する。
また、アクリル系モノマーと共重合し得るモノマーとしては、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、無水マレイン酸、無水フマル酸、スチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、アクリル系樹脂エマルションを用いてもよく、アクリル樹脂エマルション、スチレン−アクリル共重合体樹脂エマルション、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂エマルション、シリコーン−アクリル樹脂エマルション、ポリエステル−アクリル樹脂エマルション、ウレタン−アクリル樹脂エマルション、変性アクリル樹脂エマルション、自己架橋型アクリル酸エステル樹脂エマルション、及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルションから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、アクリル樹脂エマルション、スチレン−アクリル共重合体樹脂エマルションが好ましい。
【0045】
樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは53℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
【0046】
樹脂粒子(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、離型剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
【0047】
(樹脂粒子(A)の製造)
樹脂粒子(A)は、樹脂、界面活性剤、及び前記の任意成分を水性媒体中で混合し、樹脂粒子(A)の分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
【0048】
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましい。水性媒体としては先述のものが挙げられる。
【0049】
本発明においては、樹脂粒子(A)を分散液として製造するに際して、樹脂粒子(A)による分散安定化を効果的に利用して離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、及び凝集粒子からの離型剤の脱離を抑制する観点から、界面活性剤を使用しない条件が好ましいが、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、本発明の効果を阻害しない範囲で界面活性剤を使用してもよい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、なかでも非イオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤とを併用することがより好ましく、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用する場合、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との質量比(非イオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下である。
【0050】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコ−ルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンオレイルエーテルがより好ましい。
【0051】
アニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。また、アルキル基としてはドデシル基が好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが更に好ましい。
アルキル硫酸塩としては、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、アルキル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、アルキル硫酸ナトリウムがより好ましい。また、アルキル基としてはドデシル基が好ましい。アルキル硫酸塩としては、ドデシル硫酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ドデシル硫酸ナトリウムが更に好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩としては、アルキルエーテル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、アルキルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。また、アルキル基としてはドデシル基が好ましい。アルキルエーテル硫酸塩としては、ドデシルエーテル硫酸塩が好ましく、ドデシルエーテル硫酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ドデシルエーテル硫酸ナトリウムが更に好ましい。
また、アニオン性界面活性剤として、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体等の、側鎖にカルボキシ基の塩を有する高分子化合物を用いることもできる。
【0052】
カチオン性界面活性剤の例としては、四級アンモニウム塩が好ましく、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0053】
界面活性剤の総使用量は、前述のように、凝集粒子からの離型剤の脱離を抑制する観点から、できるだけ少ない方がよいが、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。また、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。
【0054】
樹脂粒子(A)を含有する分散液を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機を用いて分散する方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して乳化する転相乳化法等が挙げられる。以下、転相乳化法について述べる。
【0055】
まず、樹脂、界面活性剤、及び着色剤等の前記の任意成分を溶融して混合し、又は有機溶媒中で溶解させて、樹脂混合物を得る。
樹脂が、複数の樹脂からなる場合には、複数の樹脂を予め、混合したものを用いてもよいが、他の成分を添加する際に同時に添加し、溶融、又は溶解して混合することによって得てもよい。
【0056】
樹脂混合物を得る方法としては、樹脂、界面活性剤、着色剤等の前記の任意成分、及びアルカリ水溶液を容器に入れ、撹拌機によって撹拌しながら、樹脂を溶融して均一に混合する方法が好ましい。ポリエステルの水性媒体への親和性を向上させ、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、アルカリ水溶液を使用することが好ましい。
アルカリ水溶液中のアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等やアンモニア等が挙げられるが、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。また、前記アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
【0057】
樹脂を溶融し混合する際の温度は、均質な樹脂粒子を得る観点から、樹脂のガラス転移温度以上が好ましく、水性媒体の沸点以下が好ましい。具体的には、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下である。
【0058】
次に、前記の樹脂混合物に水性媒体を添加して、転相し、樹脂粒子(A)を含有する分散液を得る。
水性媒体を添加する際の温度は、均質な樹脂粒子を得る観点から、樹脂のガラス転移温度以上が好ましく、水性媒体の沸点以下が好ましい。具体的には、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下である。
【0059】
水性媒体の添加速度は、小粒径の樹脂粒子を得る観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上であり、また、好ましくは50質量部/分以下、より好ましくは30質量部/分以下、更に好ましくは10質量部/分以下、より更に好ましくは5質量部/分以下である。転相後、樹脂粒子が得られた後の水性媒体の添加速度には制限はない。
【0060】
水性媒体の使用量は、トナーの生産性を向上させる観点、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは150質量部以上、更に好ましくは170質量部以上であり、また、好ましくは900質量部以下、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは300質量部以下である。
【0061】
(樹脂粒子(A)の分散液)
得られる樹脂粒子(A)の分散液の固形分濃度は、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点、取扱いを容易にする観点、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。なお、固形分には樹脂、顔料、界面活性剤などの不揮発性成分が含まれる。
【0062】
樹脂粒子(A)の分散液中の樹脂粒子(A)の体積中位粒径(D
50)は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.03μm以上であり、また、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.50μm以下、更に好ましくは0.20μm以下である。
ここで、体積中位粒径(D
50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、実施例に記載の方法で求められる。
また、樹脂粒子(A)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下であり、また、樹脂粒子(A)分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。なお、CV値は、下記式で表される値であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
【0063】
(離型剤粒子(WR)の分散液の製造)
離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、融着工程の加熱後でもトナー中に離型剤を含有させる観点、トナーの耐久性及び低温定着性を向上させる観点から、工程(1B)の離型剤粒子(W)の質量に対する樹脂粒子(A)の質量の質量比(樹脂粒子(A)の質量/離型剤粒子(W)の質量)は、好ましくは1/100〜50/100、より好ましくは5/100〜45/100、更に好ましくは10/100〜40/100、より更に好ましくは15/100〜36/100である。
【0064】
工程(1B)に用いる攪拌機は、特に限定されず、一般的な攪拌機を使用することができる。
攪拌の温度は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度又は離型剤粒子(W)を構成する離型剤の融点のいずれか低い温度以上で混合する。好ましくは、樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ離型剤粒子(W)を構成する離型剤の融点以上の温度で混合する。
具体的には、混合温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上、より更に好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下である。
また混合時間は、離型剤粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは5分以上、より好ましくは15分以上であり、また、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下である。
【0065】
工程(1B)で使用される撹拌手段は、例えば、ホモミキサー、ディスパー(商品名、プライミクス社製)、クレアミックス(商品名、エムテクニック社製)、キャビトロン(商品名、大平洋機工社製)、ナノマイザー(商品名、ナノマイザー社製)等を使用することもできる。なお、ディスパーを使用する場合には、全体が均一に混合されている状態において5分以上撹拌を行うことが好ましい。
【0066】
離型剤粒子(WR)の分散液の固形分濃度は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、取扱いを容易にする観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0067】
離型剤粒子(WR)の体積中位粒径(D
50)は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、及び得られるトナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、更に好ましくは0.20μm以上、より更に好ましくは0.30μm以上であり、また、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.80μm以下、更に好ましくは0.70μm以下、より更に好ましくは0.65μm以下、より更に好ましくは0.60μm以下である。
離型剤粒子(WR)の体積中位粒径(D
50)は、実施例に記載の方法で求められる。
離型剤粒子(WR)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、及び得られるトナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは37%以下であり、また、離型剤粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である。ここで、離型剤粒子の粒径分布は、実施例に記載の方法で求められる。
【0068】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた離型剤粒子(WR)の分散液と、ポリエステルを含有する樹脂粒子(B)の分散液とを混合し、凝集させて、凝集粒子を得る工程である。
また、工程(2)は、次の工程(2A)を含んでいてもよく、工程(2A)の後に更に(2B)を含んでもよい。
工程(2A):工程(1)で得られた離型剤粒子(WR)の分散液、樹脂粒子(B)の分散液、及び凝集剤を、水性媒体中で混合して凝集粒子(1)を得る工程
工程(2B):工程(2A)で得られた凝集粒子(1)に、更に樹脂粒子(B)を一時に又は複数回分割して添加して、樹脂粒子(B)を付着してなる凝集粒子(2)(樹脂粒子(B)付着凝集粒子)を得る工程
次に、工程(2)で使用される各成分、工程(2A)及び工程(2B)について説明する。
【0069】
(樹脂粒子(B))
樹脂粒子(B)は、トナーの結着樹脂として機能する。
本発明における樹脂粒子(B)は、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点からポリエステルを含有する。
【0070】
樹脂粒子(B)を構成する樹脂中のポリエステルの含有量は、同様の観点から、樹脂中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
樹脂粒子(B)を構成する樹脂としては、ポリエステル以外に、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。
【0071】
樹脂粒子(B)に用いられるポリエステルは、前記の樹脂粒子(A)に用いられるポリエステルと同様の方法で、酸成分とアルコール成分とを重縮合反応させることによって製造することができる。好ましい酸成分及びアルコール成分の具体例は、前記の樹脂粒子(A)に用いられるポリエステルの場合と同様であり、樹脂粒子(A)に用いられるポリエステルと同じであることが好ましい。
【0072】
樹脂粒子(B)に用いられるポリエステルのガラス転移温度、軟化点、及び酸価は、樹脂粒子(A)に用いられるポリエステルと同じ範囲が好ましい。
また、樹脂粒子(B)に用いられるポリエステルは、軟化点が異なる2種類以上のポリエステルを含有してもよい。
【0073】
樹脂粒子(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、離型剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
【0074】
(着色剤)
樹脂粒子(B)は、樹脂のみからなる粒子であってもよく、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であってもよいが、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、着色剤を含有することが好ましく、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であることが好ましい。
樹脂粒子(B)が着色剤含有樹脂粒子である場合、着色剤の含有量は、印刷物の画像濃度を向上させる観点及び低温定着性を向上させる観点から、樹脂粒子(B)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
着色剤としては、顔料及び染料が用いられ、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、顔料が好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、無機系複合酸化物、ベンジジンイエロー、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン、フタロシアニングリーン等が挙げられ、これらの中でも銅フタロシアニンが好ましい。
染料の具体例としては、アクリジン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系等が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0075】
(樹脂粒子(B)の製造)
樹脂粒子(B)は、ポリエステルを含有する樹脂の他、界面活性剤、及び着色剤等の前記の任意成分を水性媒体中で混合し、樹脂粒子(B)の分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
水性媒体としては、樹脂粒子(A)の分散液に用いられる水性媒体と同じものが好ましく用いられる。
樹脂粒子(B)を含有する分散液を得る方法の好ましい態様は、樹脂粒子(A)の分散液を得る方法と同様である。
【0076】
離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び印刷物の画像濃度を向上させる観点から、樹脂粒子(B)を構成するポリエステルを架橋することが好ましく、オキサゾリン基を有する化合物により架橋することがより好ましい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、分子内にオキサゾリン基を複数含有するものが好ましく、オキサゾリン基を含有するポリマーがより好ましい。オキサゾリン基を含有するポリマーの重量平均分子量は、ポリエステルとの反応性を高める観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であり、また、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下である。
オキサゾリン基を含有するポリマーの市販品としては、日本触媒社製の「エポクロスWSシリーズ」(水溶性タイプ、主鎖アクリル)、「Kシリーズ」(エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる(いずれも商品名)。
オキサゾリン基を有する化合物の含有量あるいは添加量は、樹脂との架橋反応性を高め、生産性を向上させる観点から、樹脂粒子(B)の分散液中、樹脂100質量部に対して、固形分として好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0077】
オキサゾリン基を有する化合物を添加し、混合することにより、樹脂分散液に分散している樹脂粒子(B)に含まれるポリエステルを架橋する。架橋反応時の温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下である。架橋の存在は、赤外吸収スペクトル分析等の手法でアミド基の存在を分析することにより確認できる。
【0078】
樹脂粒子(B)の分散液の固形分濃度は、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点、取扱いを容易にする観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。なお、固形分には樹脂、顔料、界面活性剤などの不揮発性成分が含まれる。
【0079】
樹脂粒子(B)の分散液中の樹脂粒子(B)の体積中位粒径(D
50)は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.08μm以上、より更に好ましくは0.10μm以上であり、また、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.50μm以下、更に好ましくは0.30μm以下、より更に好ましくは0.20μm以下、より更に好ましくは0.15μm以下である。
また、樹脂粒子(B)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下であり、また、樹脂粒子(B)の分散液の生産性を向上させる観点から、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。なお、CV値は、下記式で表される値であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
【0080】
〔工程(2A)〕
前述のように、工程(2)は、次の工程(2A)を含んでいてもよく、工程(2A)を含むのが好ましい。また、工程(2A)のみでもよいが、工程(2A)の後に更に工程(2B)を含んでもよい。
工程(2A)では、前述の離型剤粒子(WR)の分散液、樹脂粒子(B)の分散液、及び凝集剤を、水性媒体中で混合して凝集粒子(1)を得る。この際、前述の離型剤粒子(WR)の分散液、樹脂粒子(B)の分散液、凝集剤、及び必要に応じて更に水性媒体を添加し、混合して凝集粒子(1)の分散液を得るのが好ましい。
(凝集粒子(1)の製造)
凝集粒子(1)は、樹脂粒子(B)、離型剤粒子(WR)、凝集剤、及び着色剤等の任意成分を水性媒体中で混合して凝集粒子(1)を得る方法によって製造する。ここで、上記成分を混合させる際に、凝集させ、凝集粒子(1)の分散液として得ることが好ましい。
【0081】
まず、樹脂粒子(B)及び離型剤粒子(WR)を水性媒体中で混合して、混合分散液を得る。
なお、樹脂粒子(B)中に着色剤を混合しなかった場合には、本混合分散液中に着色剤を混合することが好ましい。
また、混合分散液には、本発明の効果を阻害しない範囲で樹脂粒子(B)以外の樹脂粒子を混合してもよい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
【0082】
樹脂粒子(B)及び離型剤粒子(WR)を含む混合分散液中、樹脂粒子(B)の含有量は、トナーの低温定着性及び生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
また、樹脂粒子(B)及び離型剤粒子(WR)を含む混合分散液中、水性媒体の含有量は、トナーの生産性を向上させる観点及び凝集を制御して目的の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
また、着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点及び低温定着性を向上させる観点から、樹脂粒子(B)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
離型剤粒子(WR)の含有量は、トナーの離型性及び帯電性を向上させる観点から、樹脂粒子(B)100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
混合温度は、凝集を制御して目的の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは0℃以上40℃以下である。
【0083】
次に、混合分散液中の粒子を凝集させて、凝集粒子(1)の分散液を好適に得ることができる。凝集を効率的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤の具体例としては、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
凝集剤は、過剰な凝集を防ぎつつ目的の粒径のトナーを得る観点から、電解質を用いることが好ましく、塩を用いることがより好ましい。その価数としては1〜5価が好ましく、1〜2価がより好ましく、1価が更に好ましい。すなわち、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、前記無機金属塩、無機アンモニウム塩等が挙げられ、無機アンモニウム塩が好ましい。
凝集剤としては、凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、無機アンモニウム塩が好ましく、硫酸アンモニウムがより好ましい。
【0084】
凝集剤の使用量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)を構成する樹脂100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましい。また、樹脂粒子の凝集を制御して目的の粒径を得る観点から、樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)を構成する樹脂100質量部に対して1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。
【0085】
凝集の方法としては、混合分散液の入った容器に、凝集剤を好ましくは水性媒体溶液にして滴下する。樹脂粒子の凝集を制御して所望の粒径を得る観点から、水溶液として、滴下することが好ましい。凝集剤の水溶液の濃度は、樹脂粒子の凝集を制御して所望の粒径を得る観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。凝集剤は、一時に添加しても良いし、連続的あるいは断続的に添加してもよい。また、分割して添加することもできる。凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
凝集を制御して目的の粒径の凝集粒子を得る観点及びトナーの生産性を向上させる観点から、凝集剤の滴下時間は1分以上120分以下が好ましい。また、滴下温度は凝集を制御して目的の粒径の凝集粒子を得る観点から0℃以上50℃以下が好ましい。
更に、凝集を促進させ、凝集粒子の粒径を制御し粗大粒子の生成を抑制する観点から、凝集剤を添加した後に分散液の温度を上げることが好ましい。維持する温度としては、50℃以上70℃以下が好ましい。凝集粒子の体積中位粒径をモニタリングすることによって、凝集の進行を確認することが好ましい。体積中位粒径の測定は実施例に記載の方法によって行う。
【0086】
得られる凝集粒子(1)の体積中位粒径は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点及びトナー飛散を抑制する観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下であり、また、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上である。凝集粒子(1)の体積中位粒径は、具体的には実施例記載の方法で求められる。
【0087】
〔工程(2B)〕
工程(2B)は、工程(2A)で得られた凝集粒子(1)に、樹脂粒子(B)を一時に又は複数回分割して添加して、樹脂粒子(B)を付着してなる凝集粒子(2)(樹脂粒子(B)付着凝集粒子)を得る工程である。この際、工程(2A)で説明した凝集粒子(1)の分散液に、樹脂粒子(B)を一時に又は複数回分割して添加して、樹脂粒子(B)を付着してなる凝集粒子(2)(樹脂粒子(B)付着凝集粒子)の分散液を得るのが好ましい。
本工程(2B)を実施することにより、離型剤等がトナー粒子から流出することをより良好に防止することができる。
【0088】
工程(2B)において樹脂粒子(B)を複数回に分割して添加する場合、各々の樹脂粒子(B)の量は同量であることが好ましい。また、樹脂粒子(B)を複数回に分割して添加する場合、その回数については特に制限はないが、形成される凝集粒子(2)の粒径を制御する観点から、好ましくは2回以上であり、また、凝集粒子(2)の生産性を向上させる観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは8回以下である。
工程(2B)においては、樹脂粒子(B)は、工程(2A)における樹脂粒子(B)と同じものであってもよく、異なる組成の樹脂粒子(B)であってもよいが、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点、生産性を向上させる観点から、好ましくは同じ樹脂粒子(B)である。
工程(2B)における樹脂粒子(B)の添加時期は、凝集粒子(1)に付着させることができれば特に制限はないが、凝集粒子(2)の粒径を制御する観点から、最初の凝集剤の添加終了後、融着工程までの間であることが好ましい。
凝集粒子(1)分散液に樹脂粒子(B)分散液を添加するときには、凝集粒子(1)に樹脂粒子(B)を効率的に付着させるために、前記凝集剤を本工程で用いてもよい。
【0089】
本工程における系内の温度は、トナーの耐久性を向上させカブリを抑制する観点、及び得られる画質を向上させる観点から、50℃以上70℃以下が好ましい。当該温度範囲で凝集粒子(2)の製造を行うと、得られるトナーの耐久性や印刷物の画質が良好になる。その理由は定かではないが、凝集粒子(2)同士の融着が生じないために、粗大粒子の発生が抑制され、粒度分布がシャープとなるためであると考えられる。
【0090】
凝集粒子(2)の分散液における凝集粒子(1)と、工程(2B)で添加する樹脂粒子(B)との配合比(凝集粒子(1)/樹脂粒子(B))は、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、質量比で、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上であり、また、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。
工程(2A)及び工程(2B)を行う場合には、それぞれの工程で添加する樹脂粒子(B)の質量比、すなわち(工程(2A)で添加する樹脂粒子(B)の質量/工程(2B)で添加する樹脂粒子(B)の質量)は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、及び得られる画質を向上させる観点から、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは55/45〜90/10、更に好ましくは60/40〜80/20である。
凝集粒子(2)の体積中位粒径(D
50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、より更に好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、更に好ましくは8μm以下、より更に好ましくは6μm以下である。
【0091】
樹脂粒子(B)を添加し、トナーとして適度な粒径に成長したところで凝集を抑制させるのが好ましい。
凝集を抑制させる方法としては、分散液を希釈することにより凝集粒子及び凝集剤の濃度を急激に低下させ更なる凝集を抑制する方法、分散液を冷却する方法、凝集停止剤を添加する方法等が挙げられるが、作業性及び生産性を高める観点から、分散液を希釈することにより凝集粒子及び凝集剤の濃度を急激に低下させ更なる凝集を抑制する方法が好ましい。
水性媒体は、例えば、前述の水性媒体が用いられる。
希釈後の分散液中の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、更なる凝集を抑制して目的の粒径の融着粒子を得る観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下である。
また、不必要な凝集を確実に防止する観点から、凝集停止剤を添加して凝集を停止させてもよい。凝集停止剤としては、界面活性剤を用いることが好ましく、アニオン性界面活性剤を用いることがより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。
前記凝集停止剤は1種で用いてもよいが、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0092】
前記凝集停止剤の添加量は、凝集を停止する観点から、凝集粒子(1)を構成する樹脂あるいは凝集粒子(2)を構成する樹脂(すなわち、凝集粒子(1)を構成する樹脂及び樹脂粒子(B)を構成する樹脂の総量)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、また、トナーへの残留を低減する観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。凝集停止剤は、前記添加量であれば、いかなる形態で添加してもよいが、生産性を向上させる観点から、水溶液で添加することが好ましい。
【0093】
凝集停止剤を添加する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、凝集粒子分散液を保持する温度と同じであることが好ましく、50℃以上70℃以下であることが好ましい。
【0094】
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得られた凝集粒子を融着させて、融着粒子を得る工程である。
ここで、「工程(2)で得られた凝集粒子」とは、工程(2B)を実施しない場合には工程(2A)で得られた凝集粒子(1)のことをいい、工程(2B)を実施する場合には工程(2B)で得られた凝集粒子(2)のことをいう。
融着の際、工程(2)で得られた凝集粒子中の樹脂粒子や離型剤粒子が、主として物理的に付着している状態であったものが、融着されて一体となり、融着粒子となっていると推定される。
【0095】
融着時における加熱温度は、凝集粒子の融着性を向上させる観点及びトナーの生産性を向上させる観点から、凝集粒子を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ100℃以下となるような温度であることが好ましく、より好ましくは凝集粒子を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ90℃以下となるような温度、更に好ましくは凝集粒子を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ85℃以下となるような温度である。
本工程における保持時間は、凝集粒子の融着性を向上させる観点、トナーの耐久性、帯電性及び生産性を向上させる観点から、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上であり、また、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下、より更に好ましくは3時間以下である。
【0096】
離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、高画質の画像を得る観点から、本工程で得られる融着粒子の体積中位粒径は、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは6μm以下である。
なお、本工程で得られる融着粒子の平均粒径は、凝集粒子(2)の平均粒径以下であることが好ましい。すなわち、本工程において、融着粒子同士の凝集、融着が生じないことが好ましい。
【0097】
[後処理工程]
本発明においては、工程(3)の後に後処理工程を行ってもよく、融着粒子を単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
工程(3)で得られた融着粒子は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)の製造の際に非イオン性界面活性剤を用いた場合、添加した非イオン性界面活性剤も除去することが好ましいため、非イオン性界面活性剤の曇点以下で水性媒体により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましいが、乾燥時の温度は、融着粒子自体の温度が、融着粒子を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃以上低くなるように設定することが好ましく、10℃以上低くなるように設定することがより好ましい。
乾燥方法としては、真空低温乾燥法、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以下、さらには1.0質量%以下に調整することが好ましい。
【0098】
トナー粒子又は後述するトナーの体積中位粒径(D
50)は、離型剤のトナー粒子からの遊離や表面への露出を抑制しカブリを抑制する観点、高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは6μm以下である。
トナー粒子又は後述するトナーのCV値は、画質を向上させる観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは28%以下、更に好ましくは27%以下である。また、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。
トナー粒子の体積中位粒径(D
50)及びCV値は、実施例記載の方法で求められる。
【0099】
[静電荷像現像用トナー]
乾燥等を行うことによって得られるトナー粒子を本発明のトナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を処理したものを静電荷像現像用トナーとして用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの軟化点は、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは60℃以上であり、また、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
【0100】
本発明の製造方法によって得られた静電荷像現像用トナーは、前記トナー粒子をそのままトナーとして使用してもよいが、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤の添加量は、外添剤による処理前のトナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.7質量部以下である。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
【0101】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の静電荷像現像用トナーの製造方法を開示する。
<1> 下記工程(1)〜(3)を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法。
工程(1):下記工程(1A)及び(1B)を含む離型剤粒子(WR)の分散液を得る工程
工程(1A):水性媒体中で、離型剤と、オキサゾリン基を含有するポリマーと、を分散させて、体積中位粒径が0.05μm以上1.5μm以下の離型剤粒子(W)の分散液を得る工程
工程(1B):工程(1A)で得られた離型剤粒子(W)と、樹脂粒子(A)とを、樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度又は離型剤粒子(W)を構成する離型剤の融点のいずれか低い温度以上で混合し、樹脂粒子(A)が離型剤粒子(W)に付着した離型剤粒子(WR)の分散液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた離型剤粒子(WR)の分散液と、ポリエステルを含有する樹脂粒子(B)の分散液とを混合し、凝集させて、凝集粒子を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた凝集粒子を融着させて、融着粒子を得る工程
【0102】
<2> 離型剤が、好ましくは、炭化水素ワックス又はエステルワックスであり、より好ましくは、炭化水素ワックス及びエステルワックスである、<1>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<3> 炭化水素ワックスが、好ましくは、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びセレシン等から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャー・トロプシュワックスから選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは、パラフィンワックスである、<2>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<4> エステルワックスが、好ましくは、植物系ワックス、天然又は合成の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、並びに酸変性ポリエチレンワックスのエステル化物等から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、カルナウバワックス、ライスワックス、及びキャンデリラワックス等から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは、カルナウバワックスである、<2>又は<3>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<5> エステルワックスが、カルボキシ基を有する、<2>〜<4>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<6> エステルワックスの酸価が、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは0.7mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは17mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下、より更に好ましくは10mgKOH/g以下である、<2>〜<5>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<7> 離型剤の融点が、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<8> 離型剤の使用量が、トナー中の樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である、<1>〜<7>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<9> 離型剤が炭化水素ワックス及びエステルワックスを含み、炭化水素ワックスに対するエステルワックスの質量比が、エステルワックス/炭化水素ワックスの質量比として、好ましくは1/99以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは5/95以上であり、好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、更に好ましくは35/65以下、より更に好ましくは30/70以下であり、また好ましくは1/99〜50/50、より好ましくは3/97〜40/60、更に好ましくは5/95〜35/65、より更に好ましくは5/95〜30/70である、<1>〜<8>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<10> 離型剤中の炭化水素ワックス及びエステルワックスの総量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である、<1>〜<9>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0103】
<11> オキサゾリン基を含有するポリマーの数平均分子量が、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であり、また、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下である、<1>〜<10>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<12> オキサゾリン基を含有するポリマーのオキサゾリン基当量が、好ましくは50g‐solid/eq.以上、より好ましくは80g‐solid/eq.以上、更に好ましくは150g‐solid/eq.以上であり、また、好ましくは1000g‐solid/eq.以下、より好ましくは500g‐solid/eq.以下、更に好ましくは300g‐solid/eq.以下である、<1>〜<11>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<13> 水性媒体が、好ましくは水を主成分とするものであり、より好ましくは水である、<1>〜<12>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<14> 水性媒体中の水の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である、<1>〜<13>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0104】
<15> 工程(1A)の分散処理の温度が離型剤の融点以上である、<1>〜<14>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<16> 工程(1A)が、離型剤と水性媒体とを、オキサゾリン基を含有するポリマーの存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散させて、前記離型剤粒子(W)の分散液を得る工程である、<1>〜<15>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<17> 分散機が、好ましくは、ホモジナイザー、高圧分散機、及び超音波分散機等から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは超音波分散機である、<16>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<18> 工程(1A)における、オキサゾリン基を含有するポリマーの使用量が、離型剤100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である、<1>〜<17>いずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<19> 工程(1A)が、界面活性剤を添加しない条件、又は界面活性剤の含有量が、離型剤100質量部に対して0.5質量部以下の条件で行われる、<1>〜<18>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<20> 工程(1A)の分散時の加熱温度が、好ましくは離型剤の融点以上かつ80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下、更に好ましくは95℃以下である、<1>〜<19>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<21> 工程(1A)の分散時の加熱時間が、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、更に好ましくは20分以上であり、また、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下である、<1>〜<20>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<22> 工程(1A)で得られる離型剤粒子(W)の分散液の固形分濃度が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である、<1>〜<21>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<23> 離型剤粒子(W)の体積中位粒径(D
50)が、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.20μm以上、更に好ましくは0.30μm以上であり、また、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.80μm以下、更に好ましくは0.70μm以下、より更に好ましくは0.65μm以下、より更に好ましくは0.60μm以下である、<1>〜<22>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<24> 離型剤粒子(W)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)が、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは40%以下であり、また、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である、<1>〜<23>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0105】
<25> 工程(1B)において、好ましくは、離型剤粒子(W)の分散液と、樹脂粒子(A)とを前記温度で混合する、より好ましくは、離型剤粒子(W)の分散液と、樹脂粒子(A)の分散液とを前記温度で混合する、<1>〜<24>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<26> 樹脂粒子(A)を構成する樹脂が、好ましくは親水性基を有する、<1>〜<25>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<27> 樹脂粒子(A)を構成する樹脂の酸価が、好ましくは6mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、より更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、また、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは55mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下である、<1>〜<26>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<28> 樹脂粒子(A)を構成する樹脂の酸価が、カルボキシ基によるものである、<27>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<29> 樹脂粒子(A)を構成する樹脂が、好ましくは、ポリエステル、塩化ビニル系樹脂、及びアクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有し、より好ましくは、ポリエステル又は塩化ビニル系樹脂を含有し、更に好ましくはポリエステルを含有する、<1>〜<28>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<30> ポリエステルの軟化点が、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、また、好ましくは165℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、より更に好ましくは125℃以下である、<29>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<31> ポリエステルのガラス転移温度が、好ましくは50℃以上、より好ましくは53℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である、<29>又は<30>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<32> ポリエステルの酸価が、好ましくは6mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、より更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、また、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である、<29>〜<31>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<33> 樹脂粒子(A)を構成する樹脂のガラス転移温度が、好ましくは50℃以上、より好ましくは53℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下である、<1>〜<32>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<34> 樹脂粒子(A)が、分散液として製造されるに際して、界面活性剤の総使用量が、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である、<1>〜<33>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<35> 工程(1B)において樹脂粒子(A)の分散液を混合する場合、樹脂粒子(A)の分散液の固形分濃度が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である、<1>〜<34>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<36> 工程(1B)の樹脂粒子(A)の体積中位粒径(D
50)が、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.03μm以上であり、また、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.50μm以下、更に好ましくは0.20μm以下である、<1>〜<35>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<37> 樹脂粒子(A)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)が、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下であり、また、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である、<1>〜<36>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0106】
<38> 工程(1B)の離型剤粒子(W)の質量に対する樹脂粒子(A)の質量の質量比(樹脂粒子(A)の質量/離型剤粒子(W)の質量)は、好ましくは1/100〜50/100、より好ましくは5/100〜45/100、更に好ましくは10/100〜40/100、より更に好ましくは15/100〜36/100である、<1>〜<37>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<39> 離型剤粒子(WR)の分散液の固形分濃度が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である、<1>〜<38>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<40> 離型剤粒子(WR)の体積中位粒径(D
50)が、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、更に好ましくは0.20μm以上、より更に好ましくは0.30μm以上であり、また、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.80μm以下、更に好ましくは0.70μm以下、より更に好ましくは0.65μm以下、より更に好ましくは0.60μm以下である、<1>〜<39>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<41> 離型剤粒子(WR)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)が、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは37%以下であり、また、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である、<1>〜<40>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0107】
<42> 工程(2)が、好ましくは、次の工程(2A)を含み、より好ましくは工程(2A)の後に更に(2B)を含む、<1>〜<41>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
工程(2A):工程(1)で得られた離型剤粒子(WR)の分散液、樹脂粒子(B)の分散液、及び凝集剤を、水性媒体中で混合して凝集粒子(1)を得る工程
工程(2B):工程(2A)で得られた凝集粒子(1)に、更に樹脂粒子(B)を一時に又は複数回分割して添加して、樹脂粒子(B)を付着してなる凝集粒子(2)(樹脂粒子(B)付着凝集粒子)を得る工程
<43> 樹脂粒子(B)を構成する樹脂中のポリエステルの含有量が、樹脂中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である、<1>〜<42>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<44> 樹脂粒子(B)を構成する樹脂が、好ましくは、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有する、<43>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<45> 一方のポリエステル(I)の軟化点は好ましくは70℃以上115℃未満であり、他方のポリエステル(II)の軟化点は115℃以上165℃以下である、<44>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<46> 2種類のポリエステルの軟化点の差が、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、また、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下である、<44>又は<45>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<47> ポリエステル(I)とポリエステル(II)との質量比(I/II)は、好ましくは10/90〜90/10であり、より好ましくは50/50〜90/10である、<44>〜<46>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<48> 樹脂粒子(B)の分散液の固形分濃度が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である、<1>〜<47>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<49> 樹脂粒子(B)の体積中位粒径(D
50)が、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.08μm以上、より更に好ましくは0.10μm以上であり、また、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.50μm以下、更に好ましくは0.30μm以下、より更に好ましくは0.20μm以下、より更に好ましくは0.15μm以下である、<1>〜<48>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<50> 樹脂粒子(B)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)が、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下であり、また、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である、<1>〜<49>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<51> 樹脂粒子(B)及び離型剤粒子(WR)を含む混合分散液中、樹脂粒子(B)の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である、<1>〜<50>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<52> 樹脂粒子(B)及び離型剤粒子(WR)を含む混合分散液中、樹離型剤粒子(WR)の含有量が、樹脂粒子(B)100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である、<1>〜<51>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<53> 工程(2)において、凝集剤を添加する、<1>〜<52>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<54> 凝集剤の使用量が、樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは35質量部以下であり、また、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である、<53>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<55> 凝集剤を水溶液として滴下する、<53>又は<54>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<56> 凝集剤の水溶液の濃度が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である、<53>〜<55>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<57> 凝集粒子(1)の体積中位粒径が、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下であり、また、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上である、<1>〜<56>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<58> 樹脂粒子(B)の添加の回数は、好ましくは2回以上であり、また、好ましくは10回以下、より好ましくは8回以下である、<1>〜<57>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<59> 凝集粒子(2)の分散液における凝集粒子(1)と、工程(2B)で添加する樹脂粒子(B)との配合比(凝集粒子(1)/樹脂粒子(B))が、質量比で、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上であり、また、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である、<42>〜<58>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<60> 工程(2A)で添加する樹脂粒子(B)の質量/工程(2B)で添加する樹脂粒子(B)の質量が、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは55/45〜90/10、更に好ましくは60/40〜80/20である、<42>〜<59>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<61> 凝集粒子(2)の体積中位粒径(D
50)が、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、より更に好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、更に好ましくは8μm以下、より更に好ましくは6μm以下である、<42>〜<60>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0108】
<62> 融着時における加熱温度が、凝集粒子を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ100℃以下となるような温度であることが好ましく、より好ましくは凝集粒子を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ90℃以下となるような温度、更に好ましくは凝集粒子を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ85℃以下となるような温度である、<1>〜<61>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<63> 工程(3)で得られる融着粒子の体積中位粒径が、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは6μm以下である、<1>〜<62>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<64> トナーの体積中位粒径(D
50)が、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは6μm以下である、<1>〜<63>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【実施例】
【0109】
ポリエステル、樹脂粒子、トナー等の各性状値は次の方法により測定、評価した。
【0110】
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
【0111】
[樹脂及びトナーの軟化点]
フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
【0112】
[樹脂のガラス転移温度]
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/minで測定した。観測されるピークのうち、ピーク面積が最大のピーク温度を吸熱の最大ピーク温度とした。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移温度とした。
【0113】
[離型剤の融点]
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とした。
【0114】
[樹脂粒子及び離型剤粒子の体積中位粒径(D
50)及び粒径分布(CV値)]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(堀場製作所社製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D
50)及び体積平均粒径を測定した。また、CV値(粒径分布)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
【0115】
[樹脂粒子及び離型剤粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計「FD−230」(ケツト科学研究所社製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分%を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−M
M:水分(%)=[(W−W
0)/W]×100
W:乾燥前の試料質量(初期試料質量)
W
0:乾燥後の試料質量(絶対乾燥質量)
【0116】
[凝集粒子の体積中位粒径(D
50)及び粒径分布(CV値)]
上記粒子の体積中位粒径(D
50)は以下の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザーIIIバージョン3.51」(ベックマンコールター社製)
・電解液:「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)
・測定条件:凝集粒子を含有する試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)及び体積平均粒径を求めた。
また、粒径分布としてCV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
【0117】
[トナー粒子(融着粒子)の体積中位粒径(D
50)及び粒径分布(CV値)]
トナー粒子(融着粒子)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
測定機、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、凝集粒子の体積中位粒径と同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン109P」(花王社製、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D
50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
【0118】
[印刷物の画像濃度]
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス社製)に市販のプリンタ「Microline5400」(沖データ社製)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm
2となるベタ画像を出力し、印刷物を得た。
印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(沖データ社製)を30枚敷き、出力した印刷物のベタ画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(Gretag−Macbeth社製、光射条件;標準光源D
50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて、画像上の任意の3点を測定した値を平均し画像濃度とした。反射画像濃度の値が大きいほど、画像濃度に優れる。
【0119】
[感光体カブリ]
市販のプリンタ「Microline5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、画像のない白色画像を、上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(沖データ社製)を用いて印字し、A4の半分まで転写した時点でマシンを停止させ、転写前の感光体表面に透明なメンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810−3−18」(3M社製)を貼付け、感光体表面のトナーを採取する。
未使用のエクセレントホワイト紙面上に、リファレンスとしてのメンディングテープと、感光体上のトナーを採取したメンディングテープをそれぞれ貼付し、測色計「SpectroEye」(Gretag−Macbeth社製、光射条件;標準光源D
50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて、それぞれCIE L
*a
*b
*を測色する。感光体表面のトナーを採取したメンディングテープとリファレンスとの色差ΔE={(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2}
1/2を求め、その値をカブリとする。ΔEは値が小さいほどカブリが少ないことを示す。
【0120】
製造例1
(ポリエステルAの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン33g、テレフタル酸672g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、210℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、210℃の温度下で5時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持させて、ポリエステルAを得た。ポリエステルAの物性を表1に示す。
【0121】
製造例2
(ポリエステルBの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、220℃まで昇温し、5時間維持した後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、ポリエステルBを得た。ポリエステルBの物性を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
[樹脂粒子分散液の製造]
製造例3
(樹脂粒子分散液A−1の製造)
2リットル容のステンレス釜で、ポリエステルA 390.0g、ポリエステルB 210.0g、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業社製)30g、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液「ネオペレックスG−15」(アニオン性界面活性剤、花王社製)40.0g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル「エマルゲン430」(非イオン性界面活性剤、花王社製、HLB:16.2)6.0g、及び5質量%水酸化カリウム水溶液278.5gをカイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)で撹拌しながら、95℃でポリエステルを溶融させた。カイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)の撹拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)の撹拌下、脱イオン水1222gを6g/minで滴下した。また、系の温度は95℃に保持した。滴下後、25℃まで冷却し、カイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)の撹拌下、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(日本触媒社製)28gを添加し、その後95℃まで温度を上げ95℃で1時間保持した。
冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂粒子分散液A−1を得た。得られた樹脂粒子分散液A−1中の樹脂粒子の体積中位粒径(D
50)は0.13μm、CV値は25%、固形分濃度は31質量%であった。
【0124】
製造例4
(樹脂粒子分散液A−2の製造)
2リットル容のステンレス釜で、ポリエステルA 390.0g、ポリエステルB 210.0g、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液「ネオペレックスG−15」(アニオン性界面活性剤、花王社製)40.0g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル「エマルゲン430」(非イオン性界面活性剤、花王社製、HLB:16.2)6.0g、及び5質量%水酸化カリウム水溶液278.5gをカイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)で撹拌しながら、95℃でポリエステルを溶融させた。カイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)の撹拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の撹拌機で200r/min(周速1.2m/sec)の撹拌下、脱イオン水1222gを6g/minで滴下した。また、系の温度は95℃に保持した。滴下後、25℃まで冷却した。
冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂粒子分散液A−1を得た。得られた樹脂粒子分散液A−1中の樹脂粒子の体積中位粒径(D
50)は0.10μm、CV値は22%、固形分濃度は30質量%であった。
【0125】
【表2】
【0126】
[離型剤粒子(W)の分散液の製造]
製造例5
(離型剤粒子分散液W−1の製造)
1リットル容のビーカーにて、脱イオン水200gにオキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(日本触媒社製、不揮発分25質量%、数平均分子量20,000)1.7gを溶解させた後、カルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(加藤洋行社製、融点83℃、酸価5mgKOH/g)5g、及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋社製、融点75℃)45gを添加し、分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(日本精機製作所社製)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した後、脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、離型剤粒子分散液W−1を得た。
【0127】
製造例6
(離型剤粒子分散液W−2の製造)
製造例5(W−1の製造)において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」1.7gを、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−500」(日本触媒社製、不揮発分40質量%、数平均分子量20,000)1.1gに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液W−2を得た。
【0128】
製造例7
(離型剤粒子分散液W−3の製造)
製造例5(W−1の製造)において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」1.7gを、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−300」(日本触媒社製、不揮発分10質量%、数平均分子量15,000)4.3gに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液W−3を得た。
【0129】
製造例8
(離型剤粒子分散液W−4の製造)
製造例5(W−1の製造)において、パラフィンワックス「HNP−9」をパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋社製、融点68℃)に変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液W−4を得た。
【0130】
製造例9
(離型剤粒子分散液W−5の製造)
製造例5(W−1の製造)において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液を添加しなかったところ、離型剤を分散させることができず固化したため、分散液が得られなかった。
【0131】
製造例10
(離型剤粒子分散液W−6の製造)
製造例5(W−1の製造)において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」1.7gを、2,2´−ビス(2−オキサゾリン) 0.43gに変更したところ、離型剤を分散させることができず固化したため、分散液が得られなかった。
【0132】
製造例11
(離型剤粒子分散液W−7の製造)
製造例5(W−1の製造)において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」1.7gを、ポリビニルアルコール(重合度1500)を脱イオン水へ溶解させた10%ポリビニルアルコール水溶液4.3gに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液W−7を得た。
【0133】
製造例12
(離型剤粒子分散液W−8の製造)
1リットル容のビーカーに、脱イオン水225g、カルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(加藤洋行社製、融点83℃、酸価5mgKOH/g)5g、及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋社製、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌し、カルナウバワックスとパラフィンワックスとが一体となって溶融した溶融混合物を得た。ついで、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(日本触媒社製、不揮発分25質量%、数平均分子量20,000)1.7gを添加し、90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(日本精機製作所社製)を用いて15分間分散処理を行った。ここに塩化ビニル系樹脂エマルション「ビニブラン701」(日信化学工業社製、固形分30質量%、酸価46mgKOH/g、ガラス転移温度70℃、平均粒径30nm)9.0gを添加し、超音波ホモジナイザーにて15分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した後、脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、離型剤粒子分散液W−8を得た。
【0134】
製造例13
(離型剤粒子分散液W−9の製造)
1リットル容のビーカーにて、脱イオン水200gに15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液「ネオペレックスG−15」(アニオン性界面活性剤、花王社製)3.3gを溶解させた後、カルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(加藤洋行社製、融点83℃、酸価5mgKOH/g)5g、及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋社製、融点75℃)45gを添加し、分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(日本精機製作所社製)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した後、脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、離型剤粒子分散液W−9を得た。
得られた離型剤粒子分散液W−1〜9中の離型剤粒子の体積中位粒径を表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】
[離型剤粒子(WR)の分散液の製造]
製造例14
(離型剤粒子分散液WR−1の製造)
離型剤粒子分散液W−1 250.0gと樹脂粒子分散液A−2 31.3gとを、1リットル容のビーカーに入れ、スターラーによる撹拌の下、95℃まで昇温し、95℃で30分間保持した後、冷却した。必要に応じて脱イオン水を加えて、固形分濃度を20質量%に調整し、離型剤粒子分散液WR−1を得た。
【0137】
製造例15
(離型剤粒子分散液WR−2の製造)
製造例14(WR−1の製造)において、樹脂粒子分散液A−2 31.3gを、塩化ビニル系樹脂エマルション「ビニブラン701」(日信化学工業社製、固形分30質量%、酸価46mgKOH/g、ガラス転移温度70℃、平均粒径30nm)29.3gに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液WR−2を得た。
【0138】
製造例16
(離型剤粒子分散液WR−3の製造)
製造例14(WR−1の製造)において、樹脂粒子分散液A−2 31.3gを、市販のスチレン−アクリル共重合体樹脂エマルション「EF−005」(日本触媒社製、固形分42質量%、酸価20mgKOH/g、ガラス転移温度50℃、平均粒径0.15μm)41.0gに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液WR−3を得た。
【0139】
製造例17〜21
(離型剤粒子分散液WR−4〜8の製造)
製造例14(WR−1の製造)において、離型剤粒子(W)の分散液を表4に示すものへと変更した以外は同様にして、離型剤粒子(WR)の分散液を得た。
得られた離型剤粒子分散液WR−1〜8中の離型剤粒子の体積中位粒径を表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
実施例1
(トナー1の作製)
樹脂粒子分散液A−1 250gと脱イオン水58gと離型剤粒子分散液WR−1(樹脂粒子が付着した離型剤粒子分散液)41gを、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した2リットル容4つロフラスコに入れ、25℃で混合した。次に、カイ型の撹拌機で撹拌下、この混合物に硫酸アンモニウム27.4gを331.9gの脱イオン水に溶解させた水溶液に25%アンモニア水を添加してpH8.0へ調整した水溶液を25℃で30分かけて滴下した。次いで、得られた混合溶液を60℃まで昇温し、60℃で保持し体積中位粒径(D
50)が4.7μmの凝集粒子を形成した。
続いて、樹脂粒子分散液A−1 75gと脱イオン水 17.4gを混合した混合液を180分かけて滴下し、体積中位粒径(D
50)が5.1μmの凝集粒子分散液を得た。
得られた凝集粒子分散液と、脱イオン水4110gを、5リットル容フラスコに入れた後、80℃まで2時間かけて昇温し2時間保持した後、体積中位粒径(D
50)が5.0μmの融着粒子を得た。その後、25℃まで冷却した。
得られた融着粒子を含む分散液を吸引濾過で固形分を分離した後、脱イオン水で洗浄し、真空低温乾燥機(ADVANTEC東洋社製、形式名:DRV622DA)にて33℃で乾燥を行い、トナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ「lRY50」(日本アエロジル社製、個数平均粒径0.04μm)2.5質量部、疎水性シリカ「キャボシールTS720」(キャボット社製、個数平均粒径0.012μm)1.0質量部、及び有機微粒子「ファインスフェアP2000」(日本ペイント社製、個数平均粒径0.5μm)0.8質量部をヘンシェルミキサーで外添処理し、150メッシュの篩いを通過した微粒子をシアントナーとした。
使用した離型剤粒子分散液及び樹脂粒子分散液の種類、物性等、及び得られたトナーの物性、評価結果を表5に示す。
【0142】
実施例2〜6、比較例1〜4
(トナー2〜10の作製)
実施例1において、複合粒子分散液を表5に示すものへと変更した以外は同様にしてトナーを得た。
使用した離型剤粒子分散液及び樹脂粒子分散液の種類、物性等、及び得られたトナーの物性、評価結果を表5に示す。
【0143】
【表5】
【0144】
表5から、実施例1〜6のトナーは、比較例1〜4のトナーに比べて、いずれも印字物の画像濃度に優れ、感光体カブリの抑制にも優れることがわかる。