【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(使用する樹脂について)
下記の実施例において、透明樹脂としては帝人化成株式会社製のポリカーボネートの透明樹脂「パンライトL−1225Y(商品名)」(ASTM D1003に基づく樹脂の光線透過率:90%、ヘイズ:3%、以下、単に透明樹脂と称する)、拡散性樹脂としては帝人化成株式会社製の拡散材が配合されたポリカーボネートの透明樹脂「パンライトML−2203(商品名)」(ASTM D1003に基づく樹脂の光線透過率:89%、ヘイズ:88%、以下、単に拡散性樹脂と称する)、高拡散性樹脂としては帝人化成株式会社製の拡散材が配合されたポリカーボネートの透明樹脂「パンライトML−1105(商品名)」(ASTM D1003に基づく樹脂の光線透過率:54%、ヘイズ:87%、以下、単に高拡散性樹脂と称する)を単独で用いた。
【0033】
(拡散シートの製造)
実施例1
透明樹脂を溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、金属製の冷却ロールとゴムロールの間に狭圧する方法において、冷却ロールに表面側の凹凸構造の雌型を刻設するとともに、ゴムロール側に裏面側の凹凸構造が刻設された離型性シート(賦型シート)を配置して拡散シートを製造した。
なお、凹凸構造は表面側及び裏面側の双方とも、ピッチが430μm、高さが111μmである。表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度は90°である。
【0034】
実施例2
単位レンズ列のピッチ及び高さをそれぞれ50μm、18μmにした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0035】
実施例3
単位レンズ列のピッチ及び高さをそれぞれ25μm、11μmにした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0036】
実施例4
裏面側の単位レンズ列のピッチ及び高さをそれぞれ25μm、11μmにした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0037】
実施例5
使用樹脂を拡散性樹脂に変更すると共に、単位レンズ列のピッチ及び高さをそれぞれ337μm、84μmにした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0038】
実施例6
透明樹脂を溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、金属製の冷却ロールとゴムロールの間に狭圧する方法において、冷却ロールに表面側の凹凸構造の雌型を刻設してレンズシートを製造した。なお、凹凸構造のピッチは193μm、高さは57μmである。
一方、拡散性樹脂を溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、金属製の冷却ロールとゴムロールの間に狭圧する方法でフラットシートを製造した。
上記のように製造したフラットシートの両面にそれぞれ上記のレンズシートを凹凸構造が外側になるように貼り付けて実施例6の拡散シートを得た。なお、表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度は90°である。
【0039】
実施例7
レンズシートを拡散性樹脂製とし、フラットシートを透明樹脂製とし、単位レンズ列のピッチを252μm、高さを67μmとした他は実施例6と同様にして拡散シートを得た。
【0040】
実施例8
透明樹脂を溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、金属製の冷却ロールとゴムロールの間に狭圧する方法において、冷却ロールに表面側の凹凸構造の雌型を刻設して表面側用のレンズシートを製造した。なお、単位レンズ列のピッチは430μm、高さは111μmである。
一方、単位レンズ列のピッチを25μm、高さを11μmにした他は、上記表面側用のレンズシートと同様にして裏面側用のレンズシートを製造した。
上記のように製造したレンズシートを凹凸構造が外側になるように、且つそれぞれの単位レンズ列の稜線方向の交差角度は90°になるように重ね合わせて拡散シートを得た。
【0041】
実施例9
単位レンズ列のピッチ及び高さをそれぞれ163μm、26μmにした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0042】
実施例10
単位レンズ列のピッチ及び高さをそれぞれ796μm、200μmにした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0043】
実施例11
表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度を75°にした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0044】
実施例12
表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度を60°にした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0045】
実施例13
表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度を45°にした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0046】
実施例14
表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度を30°にした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0047】
比較例1
表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向の交差角度を15°にした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0048】
比較例2
表面側の単位レンズ列の稜線方向と裏面側の単位レンズ列の稜線方向を平行にした他は実施例1と同様にして拡散シートを得た。
【0049】
比較例3
PETフィルムの表面にアクリルビーズを付着させた市販の拡散シート(恵和株式会社製、商品名:オパルスBS−913、総厚:270μm 、HAZE:89%)を拡散シートとした。
【0050】
比較例4
高拡散性樹脂を溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、金属製の冷却ロールとゴムロールの間に狭圧する方法でフラットシートを製造し、拡散シートとした。
【0051】
実施例A1
図5に示したような、LED4が直線状に配列された基板3aと、基板3aの端縁からから斜め上に延伸された反射板3bと、反射板3bの端縁に設けられた拡散シート取り付け部3cを有する照明器具を用意し、実施例1の拡散シートを、外側の単位レンズ列の稜線方向がLEDの配列方向と直交するように、且つLED4の配列方向と略平行な軸に沿って拡散シート1が湾曲するように取り付けて照明器具とした。但し、
図5に示した拡散シート1の単位レンズ列は模式的なものであり、実際の単位レンズ列は図示したものよりもずっと小さく、肉眼では判別困難である。
LEDの配列方向に対する単位レンズ列の稜線方向の角度、単位レンズ列のピッチ及び高さについては他の実施例、比較例のものと共に表1に示す。
この照明器具について、直下照度、眼に対する刺激(輝点)の有無、モアレの有無、LEDランプイメージの有無について測定、判定した。測定・判定結果については他の実施例、比較例のものと共に表1に示す。
【0052】
実施例A2〜A14、比較例A1〜A4
実施例2〜14、比較例1〜比較例4の拡散シートを用いた他は実施例A1と同様にして照明器具とした。
【0053】
実施例B1
外側の単位レンズ列の稜線方向をLEDの配列方向に対して平行にした他は実施例A1と同様にして照明器具とした。
【0054】
比較例B1
比較例2の拡散シートを用いた他は実施例B1と同様にして照明器具とした。
【0055】
対照例
拡散シートを用いなかった他は実施例A1と同様にして照明器具とした。
【0056】
【表1】
【0057】
直下照度の測定:
測定装置として、縦38cm横57cm高さ75cmで底面がなく上面の中央部に測定用の窓が開けられ内側が黒く塗られた箱と、前記測定用の窓に取り付けられた照度計(オールインワンデジタルマルチメータ MT−8210:(株)マザーツール社製)からなる測定箱を用いた。
机上に実施例、比較例、対照例の照明器具を上向けに載置した状態で点灯し、30分以上放置して光量を安定させてから、照度計が照明器具の真上にくるように上記の測定箱を照明器具の上に被せ、照度を測定した。
【0058】
眼に対する刺激(輝点)の有無:
照明器具を横向きに設置し、3m離れた位置から肉眼で観察させ、眼に対する刺激がLEDを直視した場合と蛍光灯を直視した場合のどちらに近いかをパネラー5人により目視判定させた。評価はLEDに近いと答えたパネラーの人数により下記の基準で判定した。
○:0人
△:1〜2人
×:3〜5人
【0059】
モアレの有無:
照明器具を横向きに設置し、3m離れた位置から肉眼で観察させ、モアレを観察できるか否かをパネラー5人により目視判定させた。評価はモアレを観察できたパネラーの人数により下記の基準で判定した。
○:0人
△:1〜2人
×:3〜5人
【0060】
LEDランプイメージの有無:
照明器具を横向きに設置し、3m離れた位置から肉眼で観察させ、LEDの位置を判別できるか否かをパネラー5人により目視判定させた。評価はLEDの位置を判別できたパネラーの人数により下記の基準で判定した。
○:0人
△:1〜2人
×:3〜5人
【0061】
なお、
図6〜
図12に実施例A1(
図6)、実施例A5(
図7)、比較例A2(
図8)、比較例A3(
図9)、比較例A4(
図10)、比較例B1(
図11)、対称例(
図12)の各照明器具のランプイメージの写真を示す。この写真から、本発明の実施例A1及びA5の照明器具では、単に眼に対する刺激が小さくなるだけでなく、LEDのランプイメージを好適に消すことが出来ることが判る。なお、比較例A3の照明器具もランプイメージが消えているが、分厚く、拡散性の高いフラットシートを使用しているため、光線透過率が低く、本発明の効果を奏していない。