特許第6018583号(P6018583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018583
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】植物エキス調合工程
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/42 20060101AFI20161020BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20161020BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20161020BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61K36/42
   A61P3/02
   A61P3/10
   A23L33/105
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-551013(P2013-551013)
(86)(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公表番号】特表2014-505071(P2014-505071A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】IN2012000059
(87)【国際公開番号】WO2012101657
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】246/MUM/2011
(32)【優先日】2011年1月28日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513191675
【氏名又は名称】ピラマル エンタープライジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Piramal Enterprises Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,ソメッシュ
(72)【発明者】
【氏名】チァウハン,ビジェイ シンフ
(72)【発明者】
【氏名】スサール アシッシュ
【審査官】 春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/032966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A23L 33/00−33/29
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CiNii
医中誌WEB
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モモルディカ カランティアエキス調合する工程であって、
下記の段階
a)未熟で新鮮なモモルディカの実を潰し、刻んで
断続的に水を加え、生果汁を作る;
b)生果汁を濾過処理し、濾過した果汁を得る;
c)有機酸を加えることで果汁のpHの値を2.5から4の間に修正する;
d)濾過処理済み果汁を5分から25分間置くことでpH修正済み果汁を安定させることが出来る;
e)アルカリの力をかりて安定した果汁を中和する;
f)中性果汁を20分から30分の間、置いたままにする;
g)中和のために再度果汁のpHレベルを調べる;
h)中性果汁を乾燥させ、モモルディカ カランティアの乾燥エキスを得る
から構成される、工程。
【請求項2】
上記有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸からなるグループから少なくとも一つを選定することを特徴とする請求項1に記載の工程
【請求項3】
上記有機酸はクエン酸であることを特徴とする請求項1に記載の工程
【請求項4】
上記有機酸はレモン果汁であることを特徴とする請求項1に記載の工程
【請求項5】
上記段階c)における酸性のpHは3.8の値に調整されている、請求項1に記載の工程
【請求項6】
和に使用された上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムからなるグループから少なくとも一つを選定することとする、請求項1に記載の工程
【請求項7】
和に使われる上記アルカリの規定度は0.1Nから4Nの間であることを特徴とする請求項1に記載の工程
【請求項8】
和段階の際、上記アルカリは安定した酸性果汁に滴下し加えられる、請求項1に記載の工程
【請求項9】
モルディカ カランティアの上記乾燥エキスは少なくとも、噴霧乾燥、真空乾燥、冷凍乾燥から成るグループから一様式が選ばれ、中和された果汁を処理することにより得られることを特徴とする、請求項1に記載の工程
【請求項10】
請求項1に記載の工程にしたがって調合されている、モモルディカ カランティアの上記乾燥エキスを含む合成物であって、
散剤、顆粒、カプセル剤、錠剤、薬包、懸濁剤、液剤、トローチ、チューインガム、ひし形ドロップ、丸剤から成るグループから選定することとする、合成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は植物エキス粉末調合の工程に関する。
【0002】
特に本開示はモモルディカ カランティアからの植物エキス粉末の調合工程に関する。
【背景技術】
【0003】
モモルディカはツルレイシもしくは苦瓜とも呼ばれている。果物の中でも最も苦いとされるウリ科の熱帯、亜熱帯つる植物であり、アジア、アフリカ、カリブ海諸島を含む地域で食用栽培が盛んである。果物の形状や苦みにより実質的に異なる多数の種類が存在する。
【0004】
モモルディカ カランティアの多数部位からの有効成分抽出工程とこれら有効成分による合成物は次の通り開示されている。IN81887、GB1435664、IN156263、US5098710、JP3112999、CN1180545、US6852695、US6831162 IN191582、CN1253734 CN1303698、IN188858、IN826/DEL/2000、IN768/MUM/2001、CN1418890、JP2005126370、CN1562340、CN1858223、JP2006314273、CN1709900、CN1872134、JP2008120701、TW200927139、CN101366806、CN101461514、CN101485429、CN101597389、CN101637491。
【0005】
これまでのモモルディカ カランティアの多数部位からの有効成分の抽出工程は、次のものを含む、いくつかの制限を受けるものであると報告されている:抽出のために有機溶剤の使用、工程中の熱の使用、抽出過程時の酵素の使用、抽出工程のための高性能機器の使用という制限である。
【0006】
また、この合成物は、有効期限が短く、加工で効能が減少することや高度な加工による高コストという、従前のモモルディカ組成物質の多くの短所を含むものである。
【0007】
それゆえ、簡単で、経費効率が良く、有害な有機溶剤を使用せず、かつ、成分の効能を向上させることのできるモモルディカ カランティアの有効成分抽出工程の必要性が感じられるのである。また、既成製品に比べて簡単、効果的で効力のあるモモルディカ カランティアの有効成分から成る合成物の必要性が感じられるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示のいくつかの課題は次のとおりである:
本開示の一つの課題は、長い有効期限を持つモモルディカ カランティアのエキスの調合工程を提供するものである。
【0009】
本開示のもう一つの課題は、酵素を使用しないモモルディカ カランティアのエキスの調合工程を提供することである。
【0010】
また、もう一つ本開示における課題は、有機溶剤を使用しないモモルディカ カランティアのエキスの調合工程を提供することである。
【0011】
また、もう一つの本開示における課題は、エキスの効力を増加させるモモルディカ カランティアのエキスの調合工程を提供するものである。
【0012】
また、もう一つの本開示における課題は、最終製品が非吸湿性であるモモルディカ カランティアのエキスの調合工程を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示により提供されるのは、
モモルディカ カランティアのエキス調合工程は次の段階から構成されている:
a)未熟で新鮮なモモルディカの実を潰し、刻んで
断続的に水を加え、生果汁を作る;
b)生果汁を濾過処理し、濾過した果汁を得る;
c)有機酸を加える事で果汁のピーエイチを2.5から4に修正する;
d)濾過処理済み果汁を5分から25分間置くことでピーエイチ修正済み果汁を安定させることが出来る;
e)アルカリの力をかりて安定した果汁を中和する;
f)中性果汁を20分から30分の間、置いたままにする;
g)中和のために再度果汁のピーエイチを調べる;
h)中性果汁を乾燥させ、モモルディカ カランティアの乾燥エキスを得る。
【0014】
標準としては、有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸から成るグループから少なくとも一つ選定される。
【0015】
標準としては、有機酸はクエン酸である。
【0016】
標準としては、有機酸はレモン果汁である。
【0017】
標準としては、酸性ピーエイチは3.8に調整される。
【0018】
標準として、中性化に使用されるアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムから成るグループの中から少なくとも一つ選定される。
【0019】
標準として、中和に使われるアルカリの規定度は0.1Nから4Nの間のものである。
【0020】
本開示によると、中和段階においてアルカリは安定した酸性果汁に滴下し加えられる。
【0021】
本開示によるとモモルディカ カランティアの乾燥エキスは少なくとも、噴霧乾燥、真空乾燥、冷凍乾燥から成るグループから一様式が選ばれ、中和された果汁を処理することにより得られる。
【0022】
また、本開示によると、モモルディカ カランティアの乾燥エキスを含む合成物は散剤、顆粒、カプセル剤、錠剤、薬包、懸濁剤、液剤、トローチ、チューインガム、ひし形ドロップ、丸剤から成るグループから1つの剤形を選定され調合される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一側面において本開示はモモルディカ カランティアからの植物エキス粉末調合の工程を提供する。いかなる植物エキス抽出工程の着手の前に考慮するのは、抽出目的のための特定の植物の部位の選別である。従って、本開示における工程に従った第一段階は原材料の選別である。
【0024】
本開示の工程に従い、実は抽出工程のための原材料として使用される。
【0025】
標準として、緑色の未熟な実が原材料として使用される。
【0026】
標準として、原材料として使用される実は新鮮なものである。
【0027】
生果汁は、断続的に水を加えながら実を潰し、そして刻んで調合する。生果汁は濾過を受けて緑色の果汁を得る。
【0028】
ピーエイチ修正剤はピーエイチを予定値に調整するために緑色の酸性果汁に加えられる。
【0029】
標準として、弱酸性の有機酸はピーエイチ修正剤として使用される。
【0030】
標準として、有機酸は少なくともクエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸から成るグループ、もしくは同様、もしくはその組み合わせから少なくとも一つ選定される。
【0031】
一実施例によると、クエン酸がピーエイチ修正剤として使用された。
【0032】
ピーエイチ修正剤として使用する有機酸は天然源から得ることが出来る。代わりに、有機酸はまったくの合成物でもよい。一実施例において、レモン果汁がピーエイチ修正剤として使用された。他の実施例において、クエン酸がピーエイチ修正剤として使用された。
【0033】
標準として、予定されたピーエイチは2.5、3、3.5、4から成るグループから値が選ばれる。
【0034】
一実施例の開示によればピーエイチ予定値は3.5から4までに及ぶ。
【0035】
また他の本開示の実施例によれば、ピーエイチ予定値は3.8である。
【0036】
透明の果汁への有機酸追加は、モモルディカ カランティアの新鮮な実の大きく複雑なタンパク質を小さいペプチド断片に変換し、その結果患者の血糖レベルを抑える働きがあると信じられている。
【0037】
ピーエイチ予定値に達した加酸果汁エキスは5分から25分、好ましくは15分から20分の範囲で安定させることが出来る。
【0038】
安定した加酸果汁にアルカリを追加することにより、ピーエイチが6.5から7の範囲の中性果汁エキスを得る。
【0039】
本開示の好ましい実施例のよると中性果汁のピーエイチは概ね7である。
【0040】
標準として、アルカリを使用する加酸果汁の中和の段階においては、アルカリを追加後、20分から30分置いてからピーエイチを再度確認する。必要ならば、さらにアルカリを追加し、ピーエイチ6.5から7、好ましくは7に再調整する。
【0041】
標準として、加酸果汁の中和に使用されるアルカリには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウムおよび類似のもの、またはこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0042】
標準として、クエン酸果汁の中和に使用されるアルカリの規定度は0.1Nから4Nまで及ぶ。
【0043】
標準として、アルカリは安定した加酸果汁に滴下することにより添加し、その時間は5分から10分の間とされる。
【0044】
加酸果汁の中和は、アミノ酸中のペプチドのさらなる分解を確実に抑えている。それゆえ、新鮮な緑の未熟なモモルディカ カランティア(苦瓜)の実から本開示に従って調合された成分は実全体から得られた果汁に比べてより高い効能をもつことが認められる。
【0045】
こうして得られた中性果汁エキスは、モモルディカ カランティアの乾燥エキスを得るために噴霧乾燥、真空乾燥、冷凍乾燥から成るグループより少なくとも一つの手法を選定し、乾燥させられる。
【0046】
ポリペプチド‐p、チャランチンとモモルディカ カランティアの実の苦み成分は抗糖尿病活動を示している。
【0047】
本開示のもう一つの側面として、本開示における工程により調合されたモモルディカ カランティアの粉末エキスから成る植物合成物も提供する。
【0048】
標準として、この植物合成物は、散剤、顆粒、カプセル剤、錠剤、薬包、懸濁剤、液剤、トローチ、チューインガム、ひし形ドロップ、丸剤から成るグループから一つの剤形を選定し合成される。
【0049】
本開示はこれから後述の非限定実施例をあげて詳細を説明する。
【実施例】
【0050】
〔モモルディカ カランティア粉の調合〕
(実施例1)
5キログラムの新鮮で緑の未熟な種を含むもモモルディカ カランティア リンの実を埃や余分な粒子を除去し洗浄した。洗浄後の実は刻み、すり砕かれ、約500mlの水と共に懸濁液とした。懸濁液はヌッチェ濾過器を使用し濾過処理して果汁に分けた。果汁はその後15%のクエン酸を加え継続的にかき混ぜながらピーエイチを4.0まで調整し、酸化した。継続的に30分間は果汁をかき混ぜ、ピーエイチを再度確認した。ピーエイチ安定後、酸性果汁のピーエイチは15%の水酸化ナトリウム溶液を使用してピーエイチ7.0が得られるよう中和した。中性果汁をその後、30分間かき混ぜ続け、再度ピーエイチが7.0であることを確認した。ピーエイチが中性となった果汁はその後、継続的に700mmHg、55℃で断続吸引して濃縮され18Brix(糖度)の果汁を得た(全体積)。濃縮果汁は、60℃に調整、減圧された真空乾燥機により乾燥させて固有の風味と臭気を伴う176gmの緑がかった茶色の果汁粉粒体となった。
【0051】
果汁粉の構成成分分析は次の図表1に示すとおりである。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例2)
5キログラムの新鮮で緑の未熟な種を含むモモルディカ カランティア リンの実を埃や余分な粒子を除去し洗浄した。洗浄後の実は刻み、すり砕かれ、約500mlの水と共に懸濁液にし、高速遠心機を使用して果汁に分け、濾過した。果汁はその後継続的にかき混ぜながら15%のクエン酸を加えピーエイチを4.0まで調整して酸化させた。30分間は果汁をかき混ぜ続け、ピーエイチを再度確認した。ピーエイチ安定後、酸性果汁のピーエイチは15%の水酸化ナトリウム溶液を使用してピーエイチ7.0となるように中和した。中性果汁は継続的に30分間かき混ぜられて、再度ピーエイチ7.0を確認した。ピーエイチが中性となった果汁はその後、継続的に700mmHg、55℃で濃縮され16Brix(糖度)の果汁が得られた(全体積)。濃縮果汁は吸込温度155℃、排気温度70℃から80℃の濃霧乾燥で乾燥させて、特有の風味と臭気を伴う159gmの緑がかった茶色の果汁粉粒体となった。果汁粉の構成成分分析は図表2に示すとおりである。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例3)
5キログラムの新鮮で緑の未熟な種を含むモモルディカ カランティア リンの実を埃や余分な粒子を除去し洗浄した。洗浄後の実は刻み、すり砕かれ、約500mlの水と共に懸濁液にし、高速遠心機を使用して果汁に分け、濾過した。果汁は、その後ピーエイチを4.0に調整するためにかき混ぜ続けられながら15%のシュウ酸と共に酸化させた。30分間は果汁をかき混ぜ続け、ピーエイチを再度確認した。ピーエイチ安定後、酸性果汁は15%の水酸化カルシウム溶液と共に中和されピーエイチ7.0とした。中性果汁は継続的に30分間かき混ぜられてピーエイチが再度7.0であることを確認した。ピーエイチが中性となった果汁はその後、継続的に700mmHg、55℃で濃縮され18Brix(糖度)の果汁を得た(全体積)。濃縮果汁は−46℃に調整、減圧された冷凍乾燥で乾燥させて、特有の風味と臭気を伴う155gmの緑がかった茶色の果汁粉粒体となった。果汁粉の構成成分分析は図表3に示すとおりである。
【0056】
【表3】
【0057】
〔400mgのモモルディカ カランティアのカプセル剤の調合〕
(実施例4)
モモルディカ カランティア果汁粉、結晶セルロース、アエロジル、リン酸リカルシウムは40USメッシュスクリーンでふるいにかけ、混ぜてポピドン水溶液(PVPK-30)を使って顆粒にした。顆粒はその後60℃±5℃で乾燥し、30USメッシュスクリーンでふるいにかけて滑らかにし適切な大きさの硬いゼラチンのカプセル剤に充填した。
【0058】
カプセル剤の成分は下記図表4に示すとおりである。
【0059】
【表4】
【0060】
〔モモルディカ カランティアの顆粒調合〕
モモルディカ カランティアの果汁粉、カルボキシメチルセルロースナトリウム、サッカリンナトリウム、クエン酸、グリチルリチルナトリウムを40USメッシュスクリーンでふるいをかけて混合し顆粒にし、その後顆粒は60±5℃で乾燥させ30USメッシュスクリーンでふるいをかけ、バルクもしくは服用量毎のパックにして充填した。
【0061】
顆粒の成分は下記図表5に示すとおりである。
【0062】
【表5】
【0063】
〔モモルディカ カランティア600mg錠剤の調合〕
(実施例6)
実施例1のモモルディカ カランティアの果汁粉、結晶セルロース、アエロジル、リン酸カルシウムを40USメッシュスクリーンでふるいにかけ、混合し、ポピドン水溶液(PVPK-30)を使用して顆粒にした。顆粒はその後60±5℃で乾燥させ、30USメッシュスクリーンでふるいにかけ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウムを使用して滑らかにした。滑らかになった顆粒を適した金型、プレス、コーティングを使用して成型する。
【0064】
錠剤の成分は下記図表6に示すとおりである。
【0065】
【表6】
【0066】
(事例証拠)
1)本開示に従い、実施例4で得たカプセル剤一錠につき400mgのエキスを含量とするモモルディカ カランティアエキスをコントロール不良の2型糖尿病被験者に一日3錠投与した。
【0067】
一回の服用に400mgのカプセル剤一錠を一日3回、一か月間投与したところ、被験者の血糖値レベルが249mg/dLから159mg/dLまで減少したことが判明した。
【0068】
2)実施例4において使用されたモモルディカ カランティアの果汁粉の血糖低下作用につき、56歳女性、体重61キログラムのインシュリンを必要としないタイプの糖尿病患者に対して試験を行った。被験者の日常血糖値レベルは500mgのメトホルミン投与により234mg/dLを示した。
【0069】
被験者は90日間、実施例4にて得られたモモルディカ カランティアの果汁粉を一錠につき400mg含有する硬ゼラチンカプセル剤3錠を、一日につき同量のメトホルミンの投与と共に服用した。投薬は朝食前1錠、夕食前2錠である。
【0070】
被験者の血液分析によれば、被験者の血糖値レベルは3か月間の治療により234mg/dLから170mg/dLまで減少するという劇的な作用を示した。治療期間中。被験者はかなり穏やかな食事を取り穏やかな身体活動をしていた。
【0071】
3)実施例4において使用されたモモルディカ カランティアの果汁粉の血糖降下作用につき、61歳男性、体重67キログラムのインシュリンを必要としないタイプのコントロール不良の糖尿病患者に対して試験を行った。被験者は長い糖尿病の病歴があり口径薬を5年以上服用していた。被験者の日常血糖値レベルは1日3錠の500mgのメトホルミン投与により261mg/dLを示した。
【0072】
被験者は90日間、実施例4にて得られたモモルディカ カランティアの果汁粉を一錠につき400mg含有する硬ゼラチンカプセル剤3錠を、一日につき同量のメタホルミンの投与と共に服用した。投薬は朝食前1錠、夕食前2錠である。
【0073】
被験者の血液分析によると、被験者の血糖値レベルは3か月間の治療により261mg/dLから159mg/dLまで減少するという劇的な作用がみられた。
【0074】
4)コントロール不良な成人発症型糖尿病の62歳男性被験者は市販されているモモルディカ カランティアエキスの粉末が1錠につき400mg含まれているものを一日につき3錠服用した。
【0075】
1か月の後、被験者の血糖値レベルが249mg/dLから199mg/dLまで一貫して減少したことが判明した。
【0076】
その後も同じ状況下で被験者は実施例4による錠剤を一日3回服用した。1か月の治療後、被験者の血糖値レベルは159mg/dLまで減少した。
【0077】
5)コントロール不良な成人発症型糖尿病の70歳女性被験者は、市販されているモモルディカ カランティアエキスの粉末が1錠につき400mg含まれているものを一日につき3錠服用した。
【0078】
1か月の後、被験者の血糖値レベルが265mg/dLから215mg/dLまで一貫して減少したことが判明した。
【0079】
その後も同じ状況下で被験者は実施例4よる錠剤を一日3回服用した。1か月の治療後、被験者の血糖値レベルは145mg/dLまで減少した。
【0080】
〔安全性プロフィール〕
上記の各試験では中毒作用、副作用が確認されなかった。被験者の全身状態は治療に対していかなる有害な反応をも示していない。投薬計画も治療も患者に優しく、糖尿病患者に対しての投与が許容できる範囲にあるものである。
【0081】
〔他の利点〕
機能性食品は血中・尿中の糖レベルをコントロールするほかにも、糖尿病に関連した症状である疲労、衰弱、眠気、しびれ作用、頻尿、異常な喉の渇き、空腹、体重減少、足・足首のむくみ、足・手のひらのほてり、皮膚のかゆみ、皮膚乾燥、皮膚の黒い斑点、高血圧などを減少させ、就寝を快適にし、活動的な気分が高め、怠惰、かすみ目、常習的な経皮感染、創傷・ただれの治癒の遅れなどを改善するという、人間の健康問題に付加的な利点をもたらす。
【0082】
インシュリンを必要としない真性糖尿病成人患者において、20-35%の血糖レベルの減少が12週間後に発見されており、経口治療と共に補助療法として使用することが出来る。
【0083】
本開示はそれゆえ、モモルディカ カランティア果汁粉の特定合成物、果汁粉の調合工程とその医薬的利点を提供するものである。
【0084】
専門的な進歩:本開示によるモモルディカ カランティアの果汁粉の調合工程と製剤は下記の専門的進歩をもたらすものであるが、これらのみに制限されない。
【0085】
− 本開示は、糖尿病向け栄養補助食品に関してたんぱく質の強化や苦み成分のもつ血糖降下作用といったような自然合成物の栄養、医薬的特質を劣化させない調合工程を提供するものである。
【0086】
− 本開示によるモモルディカ カランティアの果汁粉の調合工程は簡単でかつ経費効率の良いものである。
【0087】
− 本開示によるモモルディカ カランティア果汁粉の調合工程はいかなる有害な溶剤の使用をも必要としないものであり、よって、安全なものである。
【0088】
− 本開示によるモモルディカ カランティア果汁粉の調合は、糖尿病に対して、相対的により高い効果が得られるものである。
【0089】
− 本開示によるモモルディカ カランティア果汁粉の調合は無毒で、消化が容易で栄養豊富であり、健康の保全と増進に資する自然食品である。
【0090】
本明細書の全体に渡り「なる」や変型の「からなる」や「なして」といったような単語は、述べられている要素、完全体、手段、もしくは、要素、完全体や手段の集まりを暗に意味するものと理解されるが、その他のいかなる要素、完全体、手段、もしくは要素、完全体や手段の集まりを除外するものではない。
【0091】
一つまたはそれ以上の望まれた対象や結果を達成するための発明の実施例における「少なくとも」や「少なくとも一つは」の表現の使用は、一つ、または一つ以上の要素、成分、量を示唆する。
【0092】
本明細書におけるいかなる文書、行為、材料、機器、論文、もしくはそれら同等なものに対する議論や分析は、単に本発明に関する文脈を明確にする目的でのみ含まれているものであって、本発明前にすでに存在したといえる基礎技術を承認したものではなく、また、当該分野における共通一般知識に本発明が含まれることを承認したものでもない。
【0093】
ここで示されたさまざまな物理パラメータ、容積、量の数値は近似値にすぎず、本発明とその請求項では、そこに示された物理パラメータ、容積、量の数値よりも高い値も、相反する記述がない限りは、許容されることが予想される。
【0094】
上記の特定の実施例は、現行の知識をもとに、簡単にその変更や適用を行い、基本的概念から出発することなく、即にその広い応用ができるよう、また、類推による理解を深めることのできるよう、発明の性質を全般的に示したものである。本文で使用した表現や用語は説明を目的とするもので、限定を目的としないことを理解すべきである。さらに、実施例は、好ましい物を取り上げてはいるが、技能ある者は、それら実施例に変更を加えて、実施例の意図と適用範囲を継承しつつその応用ができることを認識できるであろう。