(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の側において全体的または部分的に金属化され、必要に応じて金属化されていない領域において、可視波長範囲において50%より高い透過率を有する、必要に応じて成形されたプラスチックフィルムの製造方法であって、
A)少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aとを含む、必要に応じて成形されたプラスチックフィルムを共押出し、ここで層Bは100μm以下の全層厚みおよび1μm未満のDIN EN ISO 4287に従い測定された表面粗さ(R3z価)を有し、およびプラスチックフィルムは1000μm以下の全層厚みを有し、
B)加工工程A)によって得られたプラスチックフィルムを、層B側において電気めっきすることによって金属化することを特徴とし、
ここで、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bは、少なくとも1つのビニルポリマーとしてアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)を含む、
方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によるプラスチックフィルムは、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層を有する側においてのみ金属化され、その結果、その後側の全部または一部の面倒なカバー処理が必要ではない。さらに、可視波長範囲における光透過率が高いために、低いエネルギー支出によって背面照射が可能である。プラスチックフィルムは、更に加工する前に、ポリカーボネート含有層側において、必要に応じて多色印刷によって、既知の方法で印刷することができるため、背面照明領域の単色または多色装飾が単純な方法において可能でもある。さらに、プラスチックフィルムは既知の成形方法によって成形することができ、その結果、非常に様々な形態の成形品をそれから製造することができる。
【0016】
従って、本発明は、
−少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aと
−少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと
を含むプラスチックフィルムの使用であって、
ポリカーボネートを含む層Aと少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bとを共押出し、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bは100μm以下の層厚みを有し、プラスチックフィルムは可視波長範囲において50%より高い透過率を有することを特徴とするプラスチックフィルムの、
金属化部材の製造における使用であって、金属化は好ましくは電気めっきによって行われる使用を提供する。
【0017】
プラスチックフィルムは、好ましくは部分的金属化部材の製造に適当であって、ここで金属化は部分的電気めっきによって行われる。
【0018】
本発明はさらに、
−少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aと
−少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと
を含む電気めっき可能なプラスチックフィルムであって、
ポリカーボネートを含む層Aと少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bとを共押出し、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bは100μm以下の層厚みを有し、プラスチックフィルムは可視波長範囲において50%より高い透過率を有することを特徴とする、
電気めっき可能なプラスチックフィルムを提供する。
【0019】
好ましくは、本発明によるプラスチックフィルムの全層厚みは1000μm以下、特に好ましくは750μm以下、非常に特に好ましくは600μm以下である。
【0020】
好ましい実施態様においては、層AとBとの間に更なる層は存在しない。
【0021】
非常に特に好ましい実施態様においては、本発明によるプラスチックフィルムは、1つの層Aと1つの層Bとを含む。好ましくは、層Aと接触していない側において層Bを印刷することができる。
【0022】
しかし、好ましい実施態様においては、本発明によるフィルムは、1より多くの層Aおよび/またはBを含む多層構造であってもよい。好ましい実施態様は、少なくとも1つの層Aが少なくとも2つの、好ましくは2つの層Bの間に配置されるような多層構造である。しかし、好ましい実施態様においては、本発明によるフィルムは、層AとBとの間に更なる層を有する多層構造であってもよい。しかし、好ましい実施態様においては、本発明によるフィルムは、層AとBとの間およびまたは外側を向く層A上において、更なる層を有する多層構造であってもよい。
【0023】
本発明によって層Aに適当なポリカーボネートは、全ての既知のポリカーボネートである。これらは、例えばおよび好ましくは、ホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよび熱可塑性ポリエステルカーボネートであってよい。
【0024】
好ましくは、ポリカーボネートは、10,000〜100,000、好ましくは15,000〜50,000、特に好ましくは20,000〜40,000、および非常に特に好ましくは24,000〜35,000の平均分子量M
wを有し、ここで平均分子量は、光散乱によって校正し、ジクロロメタン中またはフェノール/o-ジクロロベンゼンの同重量の混合物中において25℃で相対溶液粘度を測定することによって決定する。
【0025】
ポリカーボネートの調製は当業者に知られている。例えば、「Schnell、Chemistry and Physics of Polycarbonates、Polymer Reviews、第9巻、Interscience Publishers、New York、London、Sydney 1964年」、および「D.C. PREVORSEK、B.T. DEBONAおよびY. KESTEN、Corporate Research Center、Allied Chemical Corporation、Moristown、New Jersey 07960、Journal of Polymer Scienceにおける『Synthesis of Poly(ester)carbonate Copolymers』、Polymer Chemistry Edition、第19巻、第75-90頁(1980年)」、および「D. Freitag、U. Grigo、P.R. Mueller、N. Nouvertne、BAYER AG、Encyclopedia of Polymer Science and Engineeringにおける『Polycarbonates』、第11巻、第2版、1988年、第648-718頁」および最後に「Dres. U. Grigo、K. KircherおよびP.R. Mueller Becker/Braunにおける『Polycarbonate』、Kunststoff-Handbuch、第3/1巻、Polycarbonate、Polyacetale、Polyester、Celluloseester、Carl Hanser Verlag Munich、Vienna 1992年、第117-299頁」に記載され得る。
【0026】
本発明によって好ましいポリカーボネートの調製に適当なジヒドロキシアリール化合物は一般式(1):
HO−Z−OH (1)
〔式中、
Zは、1以上の芳香核を含んでよく、置換されていてよく、架橋部として脂肪族もしくは脂環式基またはアルキルアリールもしくはヘテロ原子を含んでよい、6〜30個の炭素原子を有する芳香族基である〕
の化合物である。
【0027】
一般式(1)中のZは、好ましくは一般式(1a):
【化1】
〔式中、
R
6およびR
7は、互いに独立してH、C
1〜C
18-アルキル、C
1〜C
18-アルコキシ、例えばClまたはBr等のハロゲン、または必要に応じて置換されたアリールまたはアラルキル、好ましくはHまたはC
1〜C
12-アルキル、特に好ましくはHまたはC
1〜C
8-アルキル、および非常に特に好ましくはHまたはメチルを示し、ならびに
Xは、単結合、-SO
2-、-CO-、-O-、-S-、C
1〜C
6-アルキレン、C
2〜C
5-アルキリデンまたはC
1〜C
6-アルキル、好ましくはメチルもしくはエチルによって置換されていてよいC
5〜C
6-シクロアルキリデンを示し、または必要に応じてヘテロ原子を含む更なる芳香環と結合していてよいC
6〜C
12-アリーレンを示す〕
の基を示す。
【0028】
Xは、好ましくは単結合、C
1〜C
5-アルキレン、C
2〜C
5-アルキリデン、C
5〜C
6-シクロアルキリデン、-O-、-SO-、-CO-、-S-、-SO
2-、
または一般式(1b)または(1c):
【化2】
【化3】
〔式中、
R
8およびR
9は、各々のX
1に対して個々に選択してよく、互いに独立して水素またはC
1〜C
6-アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルを示し、および
X
1は、炭素を示し、および
nは、少なくとも1つの原子X
1上においてR
8およびR
9が同時にアルキルであるという条件で、4〜7、好ましくは4または5の整数を示す〕
の基を示す。
【0029】
このようなジヒドロキシアリール化合物は、例えばジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、インダンビスフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトンおよびα,α'-ビス(ヒドロキシフェニル)-ジイソプロピルベンゼンの群に属するビスフェノールが挙げられる。
【0030】
上記の化合物群に属する特に好ましいビスフェノールは、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラアルキルビスフェノールA、4,4-(メタ-フェニレンジイソプロピル)ジフェノール(ビスフェノールM)、4,4-(パラ-フェニレンジイソプロピル)ジフェノール、N-フェニル-イサチンビスフェノール、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2-ヒドロカルビル-3,3-ビス(4-ヒドロキシアリール)フタルイミジン型の、特に2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジンのビスフェノール、および必要に応じてこれらの混合物である。
【0031】
上記の化合物群に属する非常に特に好ましいビスフェノールは、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラアルキルビスフェノールA、4,4-(メタ-フェニレンジイソプロピル)ジフェノール(ビスフェノールM)、4,4-(パラ-フェニレンジイソプロピル)ジフェノール、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BP-TMC)および必要に応じてこれらの混合物である。
【0032】
特に好ましくは、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)または1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくホモポリカーボネートおよびモノマーの2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)および1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくコポリカーボネートが挙げられる。
【0033】
本発明による好ましいポリカーボネートを調製するため、ジヒドロキシアリール化合物をカルボン酸由来物と反応させる。
【0034】
適当なカルボン酸由来物は、例えばホスゲンまたはジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、4-tert-ブチルフェニル-フェニルカーボネート、ジ-(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル-4-イル-フェニルカーボネート、ジ-(ビフェニル-4-イル)カーボネート、4-(1-メチル-1-フェニルエチル)-フェニル-フェニルカーボネート、ジ-[4-(1-メチル-1-フェニルエチル)-フェニル]カーボネートおよびジ-(メチルサリチラート)カーボネートの群から選択されるジアリール化合物である。
【0035】
特に好ましいカルボン酸由来物は、ホスゲンまたは、溶融エステル交換法においては、ジフェニルカーボネートまたはジメチルカーボネートである。
【0036】
ポリエステルカーボネートは、好ましくは既述したジヒドロキシアリール化合物、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸および必要に応じて少なくとも1つのカルボン酸由来物の反応によって得られる。適当な芳香族ジカルボン酸は、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3,3'-または4,4'-ジフェニルジカルボン酸およびベンゾフェノンジカルボン酸である。ポリカーボネート中のカーボネート基の、好ましくは80モル%以下、特に好ましくは20〜50モル%の割合を、芳香族ジカルボン酸エステル基によって置き換えてよい。
【0037】
ポリカーボネートは、少量の分岐剤を用いることによって意図的および制御した方法で分岐させることができる。適当な分岐剤は、例えば:フロログルシノール、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ヘプテン;4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン;1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゼン;1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-エタン;トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルメタン;2,2-ビス-[4,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキシル]-プロパン;2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル-イソプロピル)-フェノール;2,6-ビス-(2-ヒドロキシ-5'-メチル-ベンジル)-4-メチルフェノール;2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-プロパン;ヘキサ-(4-(4-ヒドロキシフェニル-イソプロピル)-フェニル)-オルトテレフタル酸エステル;テトラ-(4-ヒドロキシフェニル)-メタン;テトラ-(4-(4-ヒドロキシフェニル-イソプロピル)-フェノキシ)-メタン;α,α,'α''-トリス-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン;2,4-ジヒドロキシ安息香酸;トリメシン酸;塩化シアヌル;3,3-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドール;1,4-ビス-(4',4''-ジヒドロキシトリフェニル)-メチル)-ベンゼンおよび特に:1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-エタンおよびビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドールである。
【0038】
用いるジヒドロキシアリール化合物を基準として0.05〜2モル%の、必要に応じて付随して用いる分岐剤または分岐剤の混合物を、ジヒドロキシアリール化合物と共に用いてよく、または合成の後期に添加してよい。
【0039】
連鎖停止剤として、好ましくはフェノール等のフェノール類、クレゾールおよび4-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノールまたはこれらの混合物が用いられる。これらは、好ましくはジヒドロキシアリール化合物1モル当たり、1〜20モル%、好ましくは2〜10モル%の量で用いる。好ましい連鎖停止剤は、フェノール、4-tert-ブチルフェノールまたはクミルフェノールである。
【0040】
連鎖停止剤および分岐剤は、単独またはジヒドロキシアリール化合物と共に、合成に添加してよい。
【0041】
本発明によって層Aに好ましいポリカーボネートは、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)に基づくホモポリカーボネート、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくホモポリカーボネートおよび2つのモノマーの2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)および1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくコポリカーボネートである。2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)に基づくホモポリカーボネートが特に好ましい。
【0042】
ポリカーボネートはさらに安定剤を含んでよい。適当な安定剤は、例えばホスフィン、ホスファイトまたはSi含有安定剤、およびEP-A 0500496に記載されている更なる化合物である。例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス-(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラキス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスフォナイトおよびトリアリールホスファイトを挙げることができる。トリフェニルホスフィンおよびトリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
【0043】
本発明による多層生成物の層Aは、さらに1〜6価アルコール、特にグリセロール、ペンタエリスリトールまたはゲルベアルコールのエステルまたは部分エステル0.01〜0.5重量%を含んでよい。
【0044】
1価アルコールは、例えばステアリルアルコール、パルミチルアルコールおよびゲルベアルコールである。2価アルコールは、例えばグリコールである。3価アルコールは、例えばグリセロールである。4価アルコールは、例えばペンタエリスリトールおよびメソエリスリトールである。5価アルコールは、例えばアラビトール、リビトールおよびキシリトールである。6価アルコールは、例えばマンニトール、グルシトール(ソルビトール)およびズルシトールである。
【0045】
エステルは、好ましくはモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルまたは飽和脂肪族C
10〜C
36-モノカルボン酸および必要に応じてヒドロキシ-モノカルボン酸の、好ましくは飽和脂肪族C
14〜C
32-モノカルボン酸および必要に応じてヒドロキシ-モノカルボン酸とのその混合物、特にランダム混合物である。
【0046】
商業的に利用可能な脂肪酸エステル、特にペンタエリスリトールの脂肪酸エステルおよびグリセロールの脂肪酸エステルは、その調製の結果として、<60%の種々の部分エステルを含み得る。
【0047】
10〜36個の炭素原子を有する飽和脂肪族モノカルボン酸は、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびモンタン酸である。14〜22個の炭素原子を有する好ましい飽和脂肪族モノカルボン酸は、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸およびベヘン酸である。特に好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
【0048】
飽和脂肪族C
10〜C
36-カルボン酸および脂肪酸エステルは文献等において知られているか、または文献において既知の方法によって製造することができるかのいずかである。ペンタエリスリトール脂肪酸エステルは、例えば上述した特に好ましいモノカルボン酸のエステルが挙げられる。
【0049】
特に好ましくは、ステアリン酸およびパルミチン酸を用いた、ペンタエリスリトールのエステルおよびグリセロールのエステルが挙げられる。特に好ましくは、ステアリン酸およびパルミチン酸および必要に応じてヒドロキシステアリン酸を用いた、ゲルベアルコールのエステルおよびグリセロールのエステルも挙げられる。
【0050】
ポリカーボネートはさらに、有機色素、無機着色顔料、蛍光色素および/または光学的増白剤、好ましくは蛍光色素および/または有機色素を含んでよい。
【0051】
本発明によれば、層Aは電気めっき可能なビニルポリマーを含まず、好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)を含まない。
【0052】
特に好ましい実施態様においては、層Aは、−プラスチック組成物の全量を基準として−少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の少なくとも1つのポリカーボネートまたはポリカーボネートを含むブレンドを含むプラスチック組成物を含む。しかし、本発明によれば、このブレンドは、好ましくは電気めっき可能なビニルポリマー、すなわち電気めっきによって金属化することができるビニルポリマーを含まず、好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)を含まない。
【0053】
ポリカーボネートを含む特に好ましいブレンドは、ポリカーボネートおよび少なくとも1つのテレフタル酸の重縮合生成物もしくは共重縮合物、例えばおよび好ましくはポリ-もしくはコポリ-エチレンテレフタラート(PETまたはCoPET)、グリコール修飾PET(PETG)またはポリ-もしくはコポリ-ブチレンテレフタラート(PBTまたはCoPBT)またはポリ-もしくはコポリ-エチレンナフタレート(PENまたはCoPEN)等を含むものである。
【0054】
本発明によれば、ビニルポリマーは、電気めっき可能なプラスチック材料、すなわち電気めっきによって金属化できるプラスチック材料である。
【0055】
本発明によれば、これらは好ましくは、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、o-および/またはm-および/またはp-置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルメタクリレート、マレイン酸無水物、N-置換マレイミド、クロロプレン、1,3-ブタジエン、イソプレン、C
1〜C
18-アルキルアクリレートおよびC
1〜C
18-アルキルメタクリレートから選択される、1以上、好ましくは少なくとも2つのエチレン性不飽和モノマーのポリマーである。
【0056】
特に適当なビニルポリマーは:
−ゴム不含ビニルポリマー(A.1)
−ゴム含有ビニルポリマー、例えばゴム上へのビニルモノマーのグラフトコポリマー(A.2)
−ゴム不含(A.1)およびゴム含有(A.2)ビニルポリマーの混合物
である。
【0057】
好ましいビニルポリマーA.1は、一方で、スチレン、α-メチルスチレン、オルト-および/またはメタ-および/またはパラ-置換スチレンまたはこれらのモノマーの混合物(A.1.1)と、他方で、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルメタクリレート、マレイン酸無水物、N-置換マレイミドまたはこれらのモノマーの混合物(A.1.2)とのコポリマーである。
【0058】
これらのコポリマーは、好ましくは50〜98重量%のA.1.1および50〜2重量%のA.1.2を含む。
【0059】
特に好ましいコポリマーA.1は、スチレン、アクリロニトリルおよび必要に応じてメチルメタクリレートのコポリマー、α-メチルスチレン、アクリロニトリルおよび必要に応じてメチルメタクリレートのコポリマー、ならびにスチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリルおよび必要に応じてメチルメタクリレートのコポリマーである。
【0060】
スチレン-アクリロニトリルコポリマーが最もよく知られており、これはラジカル重合によって、特に乳化、懸濁、溶液または塊状重合によって調製することができる。コポリマーA.1は、好ましくは15,000〜200,000の分子量M
w(重量平均、光分散または沈降によって測定)を有する。
【0061】
更なる特に好ましいコポリマーA.1は、スチレンおよびマレイン酸無水物のランダムに合成されたコポリマーであり、これは例えば不完全な転化での連続塊状または溶液重合によって、対応するモノマーから調製することができる。それらの組成は広い範囲内において変えることができる。それらは、好ましくは5〜25重量%のマレイン酸無水物由来の繰返し単位を含む。
【0062】
スチレンの代わりに、これらのポリマーは、o-および/またはm-および/またはp-置換スチレン、例えばp-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレンおよび他の置換スチレン、例えばα-メチルスチレンを含んでもよい。
【0063】
ゴム含有ビニルポリマーA.2は、例えばゴム弾性特性を有するグラフトコポリマーを含み、これは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの次のモノマーから実質的に得ることができる:クロロプレン、1,3-ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、C
1〜C
18-アルキルアクリレートおよびC
1〜C
18-アルキルメタクリレート。このようなポリマーは、「Methoden der Organischen Chemie」(Houben-Weyl)、第14/1巻、Georg Thieme-Verlag、Stuttgart、1961年、第393-406頁およびC.B. Bucknall、「Toughened Plastics」、Appl. Science Publishers、London 1977年、第66〜106頁に記載されている。好ましいポリマーA.2は、部分架橋され、および20重量%より高い、好ましくは40重量%より高い、特に60重量%より高いゲル含有量(トルエン中において測定)を有する。
【0064】
好ましいゴム含有ビニルポリマーA.2は:
A.2.1 5〜95重量部、好ましくは30〜80重量部の、
A.2.1.1 50〜95重量部のスチレン、α-メチルスチレン、オルト-、メタ-および/もしくはパラ-もしくはハロ-スチレン、またはオルト-、メタ-および/もしくはパラ-メチルスチレン、メチルメタクリレートまたはこれらの化合物の混合物と
A.2.1.2 5〜50重量部のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルメタクリレート、マレイン酸無水物、C
1〜C
4-アルキル-またはフェニル-N-置換マレイミドまたはこれらの混合物
との混合物の
A.2.2 5〜95重量部、好ましくは20〜70重量部の、-10℃未満のガラス転移温度を有するゴムポリマー上への
グラフトコポリマーである。
【0065】
特に好ましいグラフトコポリマーA.2は、例えばスチレンおよび/またはアクリロニトリルおよび/またはアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートを用いてグラフトされた、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマーおよびアクリレートゴム、好ましくはスチレンおよびアクリロニトリルおよび必要に応じてさらにアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートによってグラフトされた、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマー;アクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンおよび/またはアルキルスチレンによってグラフトされた、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンまたはブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、ポリイソブテンまたはポリイソプレン、DE-A 2348377、第4頁、第14行ないし第5頁、第2行に記載されているように、好ましくはスチレンおよびアクリロニトリルおよび必要に応じてさらにアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニルおよび/またはアルキルスチレンによってグラフトされた、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンまたはブタジエン/アクリロニトリルコポリマーである。
【0066】
非常に特に好ましいゴム含有ビニルポリマーA.2は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABSコポリマー)である。
【0067】
特に好ましいグラフトコポリマーA.2は、
α.−グラフトコポリマーA.2を基準として−10〜70重量%、好ましくは15〜50重量%、特に20〜40重量%のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルまたは10〜70重量%、好ましくは15〜50重量%、特に20〜40重量%の、10〜50重量%、好ましくは20〜35重量%のアクリロニトリル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、特に好ましくはアクリロニトリルと、50〜90重量%、好ましくは65〜80重量%のスチレンとの混合物−重量%はアクリロニトリル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルおよびスチレンの混合物の全重量を基準とする−(グラフトベースA.2.1として)の
β.−グラフトポリマーA.2を基準として−30〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、特に60〜80重量%の、βを基準として少なくとも50重量%のブタジエン基を有するブタジエンポリマー(グラフトベースA.2.2として)上への
グラフト重合によって得ることができ、
ここで、グラフトベースβのゲル含有量は、好ましくは少なくとも40重量%(トルエン中において測定)であり、グラフト度Gは0.15〜0.55であり、グラフトポリマーA.2の平均粒径d50は0.05〜2μm、好ましくは0.1〜0.6μmである。
【0068】
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルαは、アクリル酸またはメタクリル酸と1〜18個の炭素原子を有する1価アルコールとのエステルである。特に好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレートおよびtert-ブチルメタクリレートが挙げられる。
【0069】
ブタジエンポリマーβは、ブタジエン基に加えて、βを基準として50重量%以下の、他のエチレン性不飽和モノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC
1〜C
4-アルキルエステル(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート)、ビニルエステルおよび/またはビニルエーテル)の基を含んでよい。ポリブタジエンが好ましい。
【0070】
グラフト重合において、グラフトモノマーはグラフトベース上に完全に重合されない;しかし、グラフトポリマーA.2は、グラフトベースの存在下におけるグラフトモノマーの重合によって得られる生成物を含むことが知られている。
【0071】
グラフト度Gは、グラフトベースに対する、グラフトされたグラフトモノマーの重量比(無次元数)である。
【0072】
平均粒径d
50は、それぞれ50重量%の粒子が存在する粒径である。これは、超遠心測定によって決定することができる(W. Scholtan、H. Lange、Kolloid、Z. und Z. Polymere 第250号(1972年)、第782〜796頁)。
【0073】
更なる特に好ましいゴム含有ビニルポリマーA.2は、
τ.グラフトベースA.2.2として、A.2を基準として20〜90重量%の、-20℃未満のガラス転移温度T
gを有するアクリレートゴムと
ε.グラフトモノマーA.2.1として、A.2を基準として10〜80重量%の、少なくとも1つの重合性エチレン性不飽和モノマー、A.2.2の不存在下において形成され、25℃より高いガラス転移温度T
gを有するホモポリマーまたはコポリマー
とのグラフトコポリマーである。
【0074】
ガラス転移温度T
gは、示差走査熱量測定(DSC)によって、標準ISO 113557-2に従って10K/分の加熱速度においてT
gを中心点温度として定義して、決定することができる(接線法)。
【0075】
ポリマーA.2のアクリレートゴムτは好ましくは、必要に応じてτを基準として40重量%以下の他の重合性エチレン性不飽和モノマーを用いた、アクリル酸アルキルエステルのポリマーである。好ましい重合性アクリル酸エステルは、C
1〜C
8-アルキルエステル、例えばメチル、エチル、ブチル、n-オクチルおよび2-エチルヘキシルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくはハロ-C
1-C
8-アルキルエステル、例えばクロロエチルアクリレート、およびこれらのモノマーの混合物を含む。
【0076】
架橋のために、1より多くの重合性二重結合を有するモノマーを共重合してよい。架橋モノマーの好ましい例は、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸ならびに3〜12個の炭素原子を有する不飽和1価アルコールまたは2〜4個のOH基および2〜20個の炭素原子を有する飽和ポリオールのエステル、例えばエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート;ポリ不飽和複素環式化合物、例えばトリビニルおよびトリアリルシアヌレート、多官能性ビニル化合物、例えばジ-及びトリ-ビニルベンゼン;またトリアリルホスヘェイトおよびジアリルフタラートのエステルである。
【0077】
好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタラートおよび少なくとも3つのエチレン性不飽和基を含む複素環式化合物である。
【0078】
特に好ましい架橋モノマーは、環式モノマーのトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリビニルシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、トリアリルベンゼンである。
【0079】
架橋モノマーの量は、グラフトベースτを基準として、好ましくは0.02〜5重量%、特に0.05〜2重量%である。
【0080】
少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する環式架橋モノマーの場合、グラフトベースτの量を1重量%未満に制限することが有利である。
【0081】
グラフトベースを調製するためにアクリル酸エステルと共に一緒に必要に応じて用いることができる好ましい「他の」重合性エチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC
1-C
6-アルキルエーテル、メチルメタクリレート、ブタジエンである。グラフトベースτとして好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含有量を有するエマルションポリマーである。
【0082】
A.2.2による更なる適当なグラフトベースは、DE-A 3704657、第5欄、第21行ないし第6欄、第52行;DE-A 3704655、第5欄、第24行ないし第6欄、第65行;DE-A 3631540、第6頁、第65行ないし第7頁、第45行;およびDE-A 3631539、第6頁、第54行ないし第7頁、第35行に記載されているような、グラフト活性点を有するシリコーンゴムである。
【0083】
グラフトベースA.2.2のゲル含有量は、ジメチルホルムアミド中、25℃で測定する(M. Hoffmann、H. Kroemer、R. Kuhn、Polymeranalytik 1 und II、Georg-Thieme-Verlag、Stuttgart 1977年)。
【0084】
グラフトポリマーA.2は、塊状、懸濁、乳化または塊状-懸濁法等の既知の方法によって調整することができる。
【0085】
特に好ましい実施態様において、層Bは、−プラスチック組成物の全量を基準として−少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の1以上の上述したビニルポリマー、または少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の1以上の上述したビニルポリマーの、1以上のポリカーボネートとのブレンドを含むプラスチック組成物を含む。特に好ましくは、層Bは、少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の1以上のアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABSコポリマー)または少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の1以上のアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABSコポリマー)の、1以上のポリカーボネートとのブレンドを含むプラスチック組成物を含む。
【0086】
このようなブレンドに適当なポリカーボネートまたはコポリカーボネートは、好ましくは層Aに対して上述したものである。本発明による層Bに好ましいポリカーボネートは、−層Bが少なくとも1つのビニルポリマーと少なくとも1つのポリカーボネートとのブレンドを含む限りにおいて−2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)に基づくホモポリカーボネート、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくホモポリカーボネートおよび2つのモノマーの2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)および1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくコポリカーボネートである。2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)に基づくホモポリカーボネートが特に好ましい。
【0087】
層Bは、70μm以下、好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下の全層厚みを好ましく有する。特に好ましくは、本発明によるプラスチックフィルムは、少なくとも1つのビニルポリマーを含む1つの層Bだけを含む。
【0088】
層Bの層厚みが小さいことによって、本発明によるプラスチックフィルムの光透過率は、ABSまたはABS/ポリカーボネートブレンドの成形体と比較して大幅に改良され、その結果、省エネルギーの方法によって、例えばLED等の比較的に弱い光源を用いてさえも、背面照明を達成することができる。
【0089】
好ましくは、本発明によるプラスチックフィルムは、可視波長範囲において70%より高い、好ましくは80%より高い透過率を有する。光の可視波長範囲は、380〜780nmの波長範囲に及ぶ。
【0090】
本発明によるプラスチックフィルムが、可視波長範囲における良好な透過率に加えて、わずかにしか透過しない低いヘイズ拡散光を有することが有利であり、様々な応用に好ましくあり得る。従って、本発明によるプラスチックフィルムが、可視波長範囲における良好な透過率に加えて、好ましくは20未満、特に好ましくは13未満、さらに特に好ましくは10未満である低いヘイズ値を有することが有利であり、好ましくあり得る。
【0091】
本発明によるプラスチックフィルムは、好ましくは層Aおよび層Bおよび必要に応じてこの層AとBとの間の更なる層の共押出によって製造されるプラスチックフィルムである。特に好ましくは非常に薄い層Bを製造することが有利であり得る。
【0092】
本発明の好ましい実施態様において、本発明によるプラスチックフィルムの層Bの表面は、1μm未満、好ましくは0.5μm未満の表面粗さ(R3z価)を好ましく有する。表面粗さは、DIN EN ISO 4287に従い、Hommel T1000を用いて測定することができる。このような好ましい表面粗さは、特に、電気めっきによって非常に薄い高光沢の金属層を適用する場合に有利であるが、これは視覚的に知覚可能な不均一性または拡散効果の結果として金属層の光沢効果を損なわないためである。
【0093】
本発明によるプラスチックフィルムは、金属化、特に部分的金属化プラスチック成形品、好ましくは背面照明可能なプラスチック成形品を製造するのに適当である。このようなプラスチック成形品は、特に自動車内装部門、航空機内装部門、鉄道内装部門、家庭用品部門、コンピューター部門およびエレクトロニクス部門における応用に用いることができる。適当な応用分野は、例えば背面照明付きのシンボル、フレーム、ボタン等を備える操作、装飾または表示部品である。
【0094】
本発明によるプラスチックフィルムは、金属の付着が層B上だけで有利に起こるような方法で電気めっきによって金属化することができる。従って、電気めっきによるフィルムの金属化において、金属付着を防ぐために、フィルムの後側の全てまたは一部をカバーする必要はない。
【0095】
金属化、特に部分的金属化プラスチック成形品の製造において、本発明においては、任意に成形されたフィルムを電気めっきによってまず金属化し、好ましくは部分的に金属化し、次いで熱可塑性プラスチックを用いてフィルムのバック成形によって成形を行うような方法で金属化を行うことができる。しかし、これに代え、本発明によるプラスチックフィルムを成形し、非熱可塑性プラスチックを用いてそれをバック成形し、その後初めて電気めっきによって金属化、好ましくは部分的金属化を行うことによって、最終の非金属化成形品を製造することができる。本発明によるプラスチックフィルムは、−好ましくは成形より先に−層A側において印刷することができる。このような印刷は単色または多色であってよく、着色または多色の背面照明付きの成形品を単純な方法によって製造することができるという利点を提供する。
【0096】
従って、本発明は、一方の側において全体的または部分的に金属化され、および必要に応じて金属化されていない領域において、可視波長範囲において50%より高い、好ましくは70%より高い、特に好ましくは80%より高い透過率を有する任意に成形されたプラスチックフィルムを製造するための方法であって、
A)少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aとを含む任意に成形されたプラスチックフィルムを共押出し、ここで層Bは100μm以下の全層厚みを有し、プラスチックフィルムは1000μm以下の全層厚みを有し、および
B)加工工程A)によって得られるプラスチックフィルムを、層B側において電気めっきによって金属化する
ことを特徴とする方法も提供する。
【0097】
工程B)において、加工工程A)によって得られるプラスチックフィルムを、好ましくは、金属めっきによって層B側において部分的にのみ金属化する。
【0098】
本発明は、金属化、好ましくは部分的に金属化したプラスチック成形品を製造する方法であって、
a)少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aとを含むプラスチックフィルムを共押出し、ここで層Bは100μm以下の全層厚みを有し、およびプラスチックフィルムは1000μm以下の全層厚みおよび可視波長範囲における50%より高い、好ましくは70%より高い、特に好ましくは80%より高い透過率を有し、
b)加工工程a)によって得られるプラスチックフィルムを、層Aを有する側において必要に応じて印刷し、
c)加工工程a)またはb)によって得られるプラスチックフィルムを必要に応じて成形し、
d)成形後、加工工程c)によって得られるプラスチックフィルムを、層Aを有する側において、または印刷された側において、熱可塑性プラスチックを用いて、好ましくは電気めっき可能でない熱可塑性プラスチックを用いてバック成形し、および
e)バック成形後、加工工程d)によって得られるプラスチック成形品を、電気めっきによって、層B側において金属化、好ましくは部分的に金属化する
ことを特徴とする方法を更に提供する。
【0099】
層Aを有する側におけるプラスチックフィルムの印刷は、次の成形および熱可塑性プラスチックを用いたバック成形の加工工程に耐えるあらゆる印刷用インクを用いて行うことができる。これらは、好ましくはポリアクリレートおよび/またはポリカーボネートに基づく印刷用インクである。このような印刷用インクは、当業者に知られており、例えばWO-A 2009/138217に記載されている。
【0100】
加工工程a)またはb)の後に、好ましくは加工工程c)を行う。
【0101】
プラスチックフィルムの成形および熱可塑性プラスチックを用いたバック成形の加工工程は当業者に知られている。
【0102】
プラスチックフィルムを成形するための好ましい方法は、いわゆる高圧成形(HPF法)であり、これは当業者に知られており、例えばWO-A 2009/043539およびEP-A 371425に記載されている。
【0103】
バック成形に適当な熱可塑性プラスチックは、原理上、あらゆる従来の射出成形材料、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネートブレンド、ポリスチレン、ABS、ABSブレンド、ポリアミド、PVCおよびPMMA等である。バック成形に好ましい材料は、ポリカーボネートまたは種々のポリカーボネートブレンドである。ポリカーボネートまたはポリカーボネートブレンドは、良好な光透過率および本発明によるフィルムの層Aへの優れた接着性という本発明による利点を提供する。さらに、電気めっきによるその上への金属の付着は不可能であり、その結果、最終のプラスチック成形品の電気めっきの場合においてさえも、後側の部分的または完全なカバー、およびそれによる次のこのようなカバーの除去は必要でないため、ポリカーボネートまたはポリカーボネートブレンドは、本発明によるフィルムのバック成形に特に適当である。
【0104】
この金属化に対して、電気めっきによって付着させることができるあらゆる金属が考えられる。例えばおよび好ましくは、それらは、クロム、金、カドミウム、銅、真ちゅう、ニッケル、銀、亜鉛または錫であってよい。このような金属の複数の金属被膜の組み合わせも適用することができる。特に好ましい金属は、銅、ニッケルおよびクロムである。クロムが非常に特に好ましく、特に高光沢クロムおよび艶なしクロム被膜に対して非常に特に好ましい。
【0105】
電気めっきによるプラスチック表面の金属化は、当業者に知られている(例えばDE 10208674 A1参照)。個々の加工工程は、以下の例によって記載されている。
【0106】
電気めっきされるプラスチック成形体(フィルムまたは成形品)を、まずホルダー上、一般にはいわゆる電気めっきフレーム上、に設置し、接触させる。好ましくは、部分的電気めっきの場合における接触装置が後の金属のない透明な、つまり目に見える表面領域において起こらないような方法において、接触を行う。
【0107】
プラスチックフィルムまたはプラスチック成形品の電気めっきについて、次の電解被覆のために、良好に接着する電気伝導層を用いて、金属化しようとする表面領域を被覆することによってプラスチック材料に適当な前処理を施す必要があることが知られている。これは様々な方法によって行うことができ、例えば物理的気相蒸着(PVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、熱射出、化学エッチング法またはプラズマ被覆等によって行うことができる。
【0108】
特にアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)に基づく電気めっき可能なビニルポリマーの調製について、既知の方法、例えばコロイド法または直接金属化等によって、その調製を行うことができる。コロイド法において、加工工程の順番は、好ましくはエッチング、活性化、促進、化学ニッケル被覆または銅被覆であり、直接金属化においてはエッチング、活性化、架橋および薄い金属層の適用によるものであり、これによって薄い金属層、好ましくは厚みがわずか数μm以下の薄い金属層を両方の場合において適用される。1μm未満の層厚みを有するニッケル層および3μm未満の層厚みを有する銅層をそのように適用することができる。他の金属層も可能である。
【0109】
コロイド法によるABSに基づくビニルポリマーの調製を、例えば表面の粗面化によって行い、例えばクロム/硫酸エッチング液(400g/l:CrO
3および400g/l:H
2SO
4)中において、加工温度を好ましくはABSの場合には60℃およびABS/PCブレンドの場合には69℃とし、ABSの成分、ブタジエンを表面から酸化させ、微視的な範囲の空洞を形成させる。錫のシェルによって囲まれ、いわゆる活性剤中においてコロイドを形成するパラジウム核をその空洞中に導入する。更なる工程において、その核が空洞中に接着することを確かにする錫のシェルを、好ましくは45〜50℃の温度において、その核が遊離するまで促進剤(テトラフルオロホウ酸:17g/l)中に移す。パラジウムの高い標準電位によって、次の工程、ニッケル槽(硫酸ニッケル;電子供与体としてアンモニアおよび次亜リン酸ナトリウム)中における化学(外部電流のない)ニッケルめっきにおいて、反応が開始することが確保される。自身は酸化される還元剤は、ニッケル付着に必要な電子を放出する。このように、第一の薄い導電ニッケル層は、その空洞を充填することによって形成し、プラスチック材料との強い機械的連結性を有し、それに対応して良好に接着する。
【0110】
そのように適用された薄い金属層または種々の方法によって製造された薄い導電層は、次いで、電気めっきによる更なる金属層の付着のためのベースを形成する。電気めっきによる金属付着は、薄い導電層、例えば上述した薄い金属層等を有する領域においてのみ行われる。
【0111】
部分的電気めっきの場合、例えば次にその領域を背面照射するために、特定の領域において電気めっきによる金属付着を意図的に防ぐことがある。
【0112】
例えば、層Bの一部を意図的に取り除くこともできる。例えば、これは適当なレーザー法によって行うことができる。非導電かつ電気めっき可能でない透明な被膜を、好ましくは保護ラッカー状で用いて層Bの領域を意図的に被覆することも更に可能であり、これは好ましくは電気めっき後でさえもプラスチック表面上に残る。電気めっきのために層Bを調製する前に、いずれの例も用いる。
【0113】
電気めっきのための調製として適用された薄い導電層、例えば薄い金属層等を意図的に除去することが更に可能である。これは、例えばレーザーアブレーションまたはエッチング法によって行うことができ、レーザーアブレーションによっては導電層のより正確な領域を取り除くことができる。このような方法および更なる方法は既知であり、例えばDE 10208674 A1に記載されている。
【0114】
従って、好ましくはプラスチックフィルムまたはプラスチック成形品を、部分的電気めっきの前に、
−薄い金属層を、化学的にまたは電気めっきすることによって層B側に適用し、および薄い金属層を次いで部分的に除去し、または
−層Bを部分的に除去し、または
−電気めっき可能でない透明な被膜を、好ましくはラッカー状で用いて、層Bを部分的に被覆する
ような方法で前処理する。
【0115】
次の実施例は、本発明を実施例によって説明するのに役立つものであって、限定して解釈すべきではない。
【実施例】
【0116】
次の材料を実施例において用いた:
実施例1〜3においてポリカーボネート含有層を製造するため、Bayer MaterialScience AG製のポリカーボネート型Makrolon(登録商標)3108(UV安定化のない高粘度ビスフェノールAポリカーボネート(メルトフローレート(MFR):ISO 1133に従い300℃および1.2kgにおいて、6.5g/10分))
実施例1〜3においてビニルポリマー含有層を製造するため、および実施例4においてABSシートを製造するため、Lanxess Deutschland GmbH製のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー型Novodur(登録商標)P2HE (ISO 1133に従い220℃および10kgにおいて、MFR:7g/10分)
実施例5においてフィルムを製造するため、Bayer MaterialScience AG製のポリカーボネート/ABSブレンド型Bayblend(登録商標)T 65(ISO 1133に従い260℃および5kgにおいて、MFR:11g/10分)
【0117】
実施例1(本発明による):本発明による共押出フィルムの製造
共押出フィルムを製造するために用いた系は:
・少なくとも1つのポリカーボネートを含む層の押出のための、直径(D)60mmおよび長さ33Dを有するスクリューを備えた押出機。このスクリューはガス抜きゾーンを有する;
・少なくとも1つのビニルポリマーを含む層を適用するための、長さ30Dおよび直径30mmを有するスクリューを備える共押出機;
・溶融ポンプ;
・偏向ヘッド;
・幅450mmを有する特別の共押出シートダイ;
・水平のロール配置であって、第3ロールが水平方向に対して+/-45°で旋回可能である、3ロール平滑カレンダー;
・ローラーベルト
・厚み測定;
・保護フィルムを両側に適用するための装置;
・引取装置;
・巻取場
を含む。
【0118】
基礎材料Makrolon(登録商標)3108の粒質物を押出機の充填ホッパーに供給し、Novodur(登録商標)P2HEの粒質物を共押出機の充填ホッパーに供給した。材料の溶融および供給を、押出機または共押出機のシリンダー/スクリュー樹脂加工系において行った。この2つの材料の溶融物を一緒に共押出ダイに送った。溶融物は、ダイから平滑カレンダーに移り、この平滑カレンダーのロールは表3に記述されている温度を有した。フィルムの最終の成形および冷却を、(3つのロールからなる)平滑カレンダー上において行った。フィルム表面を構造化するため、ゴムロール(第4または表面)、クロム製磨きロール(第1表面)または鋼製構造化ロール(第2および第6表面)を用いた。フィルム表面を構造化するために用いるゴムロールは、Nauta Roll社のUS-4368240に開示されている。
【0119】
本発明による共押出フィルムに対して、両側に高光沢なフィルム表面を製造するために、2つのクロム製ロールを平滑カレンダーに用いた。次の加工パラメーターを選択した:
【0120】
【表1】
【0121】
両側に光沢があり、260μmの全層厚みおよび25μmの層厚みの共押出ABSコポリマー層を有する透明な共押出フィルムが得られた。このフィルムの光学特性は実施例6に記載されている。
【0122】
実施例2(本発明による):本発明による共押出フィルムの製造
本発明によるフィルムは、実施例1による共押出系において、Makrolon(登録商標)3108およびNovodur(登録商標)P2HEより、次の条件下で共押出を行った:
【0123】
【表2】
【0124】
両側に光沢があり、380μmの全層厚みおよび25μmの層厚みの共押出ABSコポリマー層を有する透明な共押出フィルムが得られた。このフィルムの光学特性は実施例6に記載されている。
【0125】
実施例3(本発明による):本発明による共押出フィルムの製造
共押出フィルムを製造するための系は
・直径(D)105mmおよび長さ41Dを有するスクリューを備える、少なくとも1つのポリカーボネートを含む層の押出のための押出機。このスクリューはガス抜きゾーンを有する;
・長さ44Dおよび直径35mmを有するスクリューを備える、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層を適用するための共押出機;
・偏向ヘッド;
・幅1500mmを有する特別の共押出シートダイ;
・水平のロール配置であって、第3ロールが水平方向に対して+/-45°で旋回可能である、3ロール平滑カレンダー;
・ローラーベルト
・厚み測定;
・保護フィルムを両側に適用するための装置;
・引取装置;
・巻取場
を含む。
【0126】
基礎材料Makrolon(登録商標)3108の粒質物を押出機の充填ホッパーに供給し、Novodur(登録商標)P2HEの粒質物を共押出機の充填ホッパーに供給した。材料の溶融および供給を、押出機または共押出機のシリンダー/スクリュー樹脂加工系において行った。この2つの材料の溶融物を一緒に共押出ダイに送った。溶融物は、ダイから平滑カレンダーに移り、そのロールは表3に記述されている温度を有した。フィルムの最終の成形および冷却を平滑カレンダー上において行った。表面を平滑化するため、クロム製磨きロールを用いた。次いでフィルムを巻取場に送り、保護フィルムを両側に適用し、次いでフィルムを巻き上げた。
【0127】
本発明による共押出フィルムに対して、両側に高光沢なフィルム表面を製造するために、2つのクロム製ロールを平滑カレンダーに用いた。次の加工パラメーターを選択した:
【0128】
【表3】
【0129】
両側に光沢があり、375μmの全層厚みおよび25μmの層厚みの共押出ABSコポリマー層を有する、幅1310mmの透明な共押出フィルムが得られた。このフィルムの光学特性は実施例6に記載されている。
【0130】
実施例4(本発明によらない):本発明によらないABSプラスチックシートの製造
厚み2.4mmのシートを、商業的に利用可能な射出成形機においてNovodur(登録商標)P2HEより製造した。
このシートの光学特性は実施例6に記載されている。
【0131】
実施例5(本発明によらない):本発明によらない、ポリカーボネート/ABSブレンド製の1層プラスチックフィルムの製造
Bayblend(登録商標)T 65製の、両側に光沢がある厚み375μmのフィルムを押出した。
このフィルムの光学特性は実施例6に記載されている。
【0132】
実施例6:光学特性および電気めっき特性
可視波長範囲における透過率(光透過率(Ty(C2°))を測定するため(ASTM D 1003に従って)、Hunter Associates Laboratory, Inc.製のUltraScan PROを用いた。ヘイズ値測定のため(ASTM D 1003に従って)、Byk-Gardner製のHazegard Plusを用いた。
得られた結果を表4にまとめる。
【0133】
【表4】
【0134】
本発明による実施例1〜3からのフィルムのみが高い光透過率を有することが、光学測定より明らかである。それが、電気めっきおよび金属によりカバーされていない領域を取り除いた後、フィルムを、特に省エネルギー光源を用いても照射できるための要件となる。省エネルギー光源を用いてさえも照射が良好であることは、さらに本発明によるフィルムのヘイズ値が低いことによっても促進される。
【0135】
さらに、本発明によるフィルムは、電気めっきによってABS層側において金属化することもできる。この金属化は、他方の側を対応するカバーまたはマスキングすることなく、選択的にABS層側において行うことができ、一方、実施例4からのシートおよび実施例5からのフィルムは、対応する保護がなければ、例えばマスキングの形状でなければ、両側において金属化されるであろう。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
〔1〕−少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aと
−少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと
を含むプラスチックフィルムの使用であって、
ポリカーボネートを含む層Aと少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bとを共押出し、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bは100μm以下の層厚みを有し、プラスチックフィルムは可視波長範囲において50%より高い透過率を有することを特徴とするプラスチックフィルムの、金属化部材の製造における使用。
〔2〕層Bは、少なくとも1つのビニルポリマーとしてアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)を含むことを特徴とする、〔1〕に記載の使用。
〔3〕プラスチックフィルムは、可視波長範囲において70%より高い、好ましくは80%より高い透過率を有することを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の使用。
〔4〕層Bは、70μm以下、好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下の全層厚みを有することを特徴とする、〔1〕〜〔3〕の少なくとも1つに記載の使用。
〔5〕プラスチックフィルムの全厚みは、1000μm以下、好ましくは750μm以下であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕の少なくとも1つに記載の使用。
〔6〕層Bの表面は、1μm未満の表面粗さを有することを特徴とする、〔1〕〜〔5〕の少なくとも1つに記載の使用。
〔7〕部分的電気めっきによって金属化を行うことを特徴とする、〔1〕〜〔6〕の少なくとも1つに記載の使用。
〔8〕プラスチック成形品、好ましくは背面照明可能なプラスチック成形品の金属化のために、プラスチックフィルムを用いることを特徴とする、〔1〕〜〔7〕の少なくとも1つに記載の使用。
〔9〕プラスチック成形品は、自動車内装部門、航空機内装部門、鉄道内装部門、家庭用品部門、コンピューター部門およびエレクトロニクス部門用であることを特徴とする、〔8〕に記載の使用。
〔10〕一方の側において全体的または部分的に金属化され、必要に応じて金属化されていない領域において、可視波長範囲において50%より高い透過率を有する、必要に応じて成形されたプラスチックフィルムの製造方法であって、
A)少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aとを含む、必要に応じて成形されたプラスチックフィルムを共押出し、ここで層Bは100μm以下の全層厚みを有し、およびプラスチックフィルムは1000μm以下の全層厚みを有し、
B)加工工程A)によって得られたプラスチックフィルムを、層B側において電気めっきすることによって金属化する
ことを特徴とする、方法。
〔11〕工程B)において、加工工程A)によって得られるプラスチックフィルムを、層B側において電気めっきすることによって部分的にのみ金属化することを特徴とする、〔10〕に記載の方法。
〔12〕加工工程A)によって得られるプラスチックフィルムは、必要に応じて金属化されてない領域において、可視波長範囲において70%より高い、好ましくは80%より高い透過率を有することを特徴とする、〔10〕または〔11〕に記載の方法。
〔13〕全体的または部分的に金属化したプラスチック成形品の製造方法であって、
a)少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aとを含むプラスチックフィルムを共押出し、ここで層Bは100μm以下の全層厚みを有し、およびプラスチックフィルムは1000μm以下の全層厚みおよび可視波長範囲における50%より高い透過率を有し、
b)加工工程a)によって得られるプラスチックフィルムを、層Aを有する側において必要に応じて印刷し、
c)加工工程a)またはb)によって得られるプラスチックフィルムを必要に応じて成形し、
d)成形後、加工工程c)によって得られるプラスチックフィルムを、層Aを有する側において、または印刷された側において、熱可塑性プラスチックを用いて、好ましくは電気めっき可能でない熱可塑性プラスチックを用いてバック成形し、
e)バック成形後、加工工程d)によって得られるプラスチック成形品を、電気めっきによって、層B側において全体的または部分的に金属化する
ことを特徴とする方法。
〔14〕プラスチックフィルムまたはプラスチック成形品を、部分的電気めっきの前に、
−薄い金属層を、化学的にまたは電気めっきすることによって層B側に適用し、および薄い金属層を次いで部分的に除去し、または
−層Bを部分的に除去し、または
−電気めっき可能でない被膜を用いて、層Bを部分的に被覆する
ような方法で前処理することを特徴とする、〔10〕または〔13〕に記載の方法。
〔15〕−少なくとも1つのポリカーボネートを含む少なくとも1つの層Aと
−少なくとも1つのビニルポリマーを含む少なくとも1つの層Bと
を含む電気めっき可能なプラスチックフィルムであって、
ポリカーボネートを含む層Aと少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bとを共押出し、少なくとも1つのビニルポリマーを含む層Bは100μm以下の層厚みを有し、プラスチックフィルムは可視波長範囲において50%より高い透過率を有する
ことを特徴とする電気めっき可能なプラスチックフィルム。