(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プロセッサとメモリとを備えたコンピュータであって、前記メモリは前記プロセッサに請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記決済方法の主な例として、例えば、代理店を通じて携帯電話などを販売する場合に、携帯電話の販売元から代理店に対し、報奨金および委託手数料などを支払うケースが考えられる。
【0005】
上記ケースでは従来、販売元は、一定の間隔で(例えば、月次で)、代理店が販売した実績に応じて報奨金および委託手数料などを代理店が有する口座に振り込むことになる。
図11を参照して、この決済方法を説明する。
【0006】
本決済方法では、報奨金などの支払人である販売元、および報奨金などの受取人である代理店の双方で管理・運営されるコンピュータシステム(以下、販売元システム、代理店システム)において販売実績データ(販売個数および売上額など)が管理されるものとする。また、支払人口座から受取人口座への口座振込処理を実現するのに、従来の銀行システムおよび全国銀行データ通信システムが利用されるものとする。
【0007】
まず、ステップS1101において、代理店システムでは、一定の周期で、代理店が販売した携帯電話などの個数および/または売上額などを集計した販売実績データが作成される。
【0008】
次に、ステップS1101で作成された販売実績データが、販売元システムに送信される(ステップS1102)。この販売実績データの送信は、日次または月次などの所定の周期で実行される。
【0009】
販売元システムでは、ステップS1102で送信された販売実績データを受信し、当該販売実績データに基づいて、報奨金および/または委託手数料などを算出して、代理店に支払う決済額を算出する(ステップS1103)。通常、受取人口座への口座振込処理は、月次などのタイミングで実行されるので、ステップS1103の処理は、予め定められた口座振込予定日の前日夜間に月次で実行される。
【0010】
次に、販売元システムは、支払人口座を有する銀行の銀行システムに対し、ステップS1103で算出された決済額を対象とする受取人口座への口座振込依頼を行う(ステップS1104)。
【0011】
銀行システムは、販売元システムからの口座振込依頼に応答して、ステップS1103で算出された決済額を対象とする総合振込データを作成する(ステップS1105)。総合振込データは、全国の金融機関が互いに口座振込処理などを相互にやり取りするために定められた共通フォーマットを有する為替取引データである。
【0012】
銀行システムは、ステップS1105で作成した総合振込データを全国銀行データ通信システムに送信する。そして、全国銀行データ通信システムが、総合振込データを受信すると、受取人口座として指定された金融機関が提供するシステム(図示せず)に対し、総合振込データをオンラインで送信する(ステップS1106)。
【0013】
最後に、銀行システムでは、支払人口座から受取人口座への決済額の口座振込処理を実行する(ステップS1107)。
【0014】
以上、
図11を参照して、従来の銀行口座を通じた決済方法を説明したが、この決済方法は以下のような問題を有している。
【0015】
通常、支払人口座から受取人口座への口座振込処理は、支払人が主導することによって実行されるものであるので、受取人の希望する日にいつでも実行されるものではない。特に、上記口座振込処理が月次などの所定の周期(所定の入金日)で実行される場合は、受取人である代理店にとっては、口座振込予定日まで口座振込を待つ必要があり、それまでの間に十分な運転資金を確保することができない。
【0016】
また、口座振込処理は、銀行間のやり取りで全国銀行データ通信システムを経由するので、手順が煩雑になり、口座振込処理に対する手数料も高くなる。
【0017】
上記問題を、単一の銀行内での資金移動手段である口座振替を利用して、例えば、毎日等の頻度で、支払人口座から受取人口座への口座振替処理を実行することによって解決することができると考えられる。しかし、このような解決方法は、口座振替処理に対する手数料負担が増加することになる。
【0018】
特許文献1には、口座引落事前通知方法および口座引落代金事前支払方法が開示されている。特許文献1に開示された方法は、口座引落の予定日前にユーザに事前通知を行い、さらに、口座引落の予定日前に代金支払いを可能にする。
【0019】
また、特許文献2には、金融機関に口座を保有する顧客(支払者)の取引端末(支払者端末)と、当該支払者に商品またはサービス(商品等)を提供する他の顧客(請求者)の取引端末(請求者端末)とが通信ネットワークを介して接続可能な金融機関の資金移動支援システムによって実行され、前記商品等の代金に相当する資金を前記支払者の口座から請求者の口座へ移動する処理を支援する方法が開示されている。特許文献2に開示された方法は、総合振込において、請求者が請求データごとに事前確認や認否を行うことを可能にする。
【0020】
しかし、特許文献1は、単に入金予定日を事前に通知することのみが開示されており、入金日を変動させるなどの柔軟な対応が可能な口座入金方法については何ら開示されていない。
【0021】
また、特許文献2に開示された発明は、支払者が請求者からの口座振替を承認するものの、その口座振替に係る資金額が適正であるかを支払者が確認することができない。
【0022】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、受取人からの承認依頼に応じて、支払人口座から受取人口座への口座振替処理を実行する、従来には存在しなかった口座振替システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第1の態様は、第1のコンピュータおよび第2のコンピュータに接続されたコンピュータシステムによって実行される口座振替方法であって、前記コンピュータシステムは、受取人と支払人との間で定義された口座振替条件を記憶したデータ記憶部を備え、前記第1のコンピュータから口座振替額算出パラメータおよび口座振替希望日を含む、第1の承認依頼データを受信するステップと、前記口座振替額算出パラメータおよび前記口座振替条件に基づいて、口座振替額を算出するステップと、前記算出した口座振替額を含む、第2の承認依頼データを前記第2のコンピュータに送信するステップと、前記第2のコンピュータから承認電文を受信するステップと、前記承認電文を受信したことに応答して、前記算出した口座振替額および前記口座振替希望日に対応する口座振替データを作成するステップとを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第2の態様は、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第1の態様において、前記口座振替条件は、前記支払人が前記受取人による承認依頼に対する承認が必要であるか否かを示すコードを含み、前記口座振替額を算出するステップ、前記第2の承認依頼データを送信するステップ、および前記承認電文を受信するステップは、前記コードによって示される値に応じてスキップされることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第3の態様は、第1のコンピュータおよび第2のコンピュータに接続されたコンピュータシステムによって実行される口座振替方法であって、前記コンピュータシステムは、入金依頼データを記憶したデータ記憶部を備え、前記方法は、前記第2のコンピュータから、入金額を含む入金依頼データを受信するステップと、前記受信した入金依頼データを、前記データ記憶部に記憶するステップと、前記第1のコンピュータから口座振替額、口座振替希望日、受取人識別子、および支払人識別子を含む口座振替依頼データを受信するステップと、前記受取人識別子および前記支払人識別子に基づいて、前記データ記憶部に記憶された入金依頼データを取得するステップと、前記取得した入金依頼データに含まれる前記入金額と、前記口座振替依頼データに含まれる前記口座振替額とを比較するステップと、前記比較の結果に応じて、前記口座振替額および前記口座振替希望日に対応する口座振替データを作成するステップとを備えたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第4の態様は、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第3の態様において、前記データ記憶部に記憶された前記入金依頼データは、入金が実行されたか否かを示すコードをさらに含み、前記方法は、前記データ記憶部に記憶された前記入金依頼データの前記コードを、入金が実行されたことを示す値に更新するステップをさらに備えていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第5の態様は、口座振替のためのコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、第1のコンピュータおよび第2のコンピュータに接続され、受取人と支払人との間で定義された口座振替条件を記憶したデータ記憶部と、前記第1のコンピュータから口座振替額算出パラメータおよび口座振替希望日を含む、第1の承認依頼データを受信する承認依頼データ受信部と、前記口座振替額算出パラメータおよび前記口座振替条件に基づいて、口座振替額を算出する口座振替額算出部と、前記算出した口座振替額を含む、第2の承認依頼データを前記第2のコンピュータに送信する承認依頼データ送信部と、前記第2のコンピュータから承認電文を受信する承認電文受信部と、前記承認電文を受信したことに応答して、前記算出した口座振替額および前記口座振替希望日に対応する口座振替データを作成する口座振替データ作成部とを備えたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第6の態様は、口座振替のためのコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、第1のコンピュータおよび第2のコンピュータに接続され、入金依頼データを記憶したデータ記憶部と、前記第2のコンピュータから、入金額を含む入金依頼データを受信する入金依頼データ受信部と、前記受信した入金依頼データを、前記データ記憶部に記憶する入金依頼データ登録部と、前記第1のコンピュータから口座振替額、口座振替希望日、受取人識別子、および支払人識別子を含む口座振替依頼データを受信する口座振替依頼データ受信部と、
前記受取人識別子および前記支払人識別子に基づいて、前記データ記憶部に記憶された入金依頼データを取得する入金依頼データ取得部と、前記取得した入金依頼データに含まれる前記入金額と、前記口座振替依頼データに含まれる前記口座振替額とを比較する入金額判定部と、前記比較の結果に応じて、前記口座振替額および前記口座振替希望日に対応する口座振替データを作成する口座振替データ作成部とを備えたことを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第7の態様は、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第1乃至第4の態様における方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0030】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第8の態様は、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第7の態様におけるプログラムを記録したコンピュータ可読記憶媒体である。
【0031】
また、本発明に係る口座振替システムおよび方法の第9の態様は、プロセッサとメモリを備えたコンピュータであって、メモリは前記プロセッサに本発明に係る口座振替システムおよび方法の第1乃至第4の態様におけるいずれかの方法を実行させるプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る口座振替システムおよび方法によれば、口座振替処理に対する手数料負担を増加させることなく、資金決済の期間短縮化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る口座振替システムを詳細に説明する。
【0035】
以降、本発明に係る口座振替システムを利用する、口座振替額の支払側を「支払人」と称する。また、口座振替額の受取側を「受取人」と称する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る口座振替システムを実現するコンピュータシステム全体の構成の例を示す図である。
【0037】
口座振替システム100は、銀行システム101、受取人コンピュータ103、および支払人コンピュータ105を備えている。
【0038】
銀行システム101は、インターネットバンキングサービスおよび総合振込サービスなどを提供するコンピュータデバイスであり、ならびに、本発明に係る口座振替システム100の主要な機能を備えている。銀行システム101は、口座振替サービスを提供する金融機関が従来から備えている勘定系システムに実装されてもよい。また、銀行システム101は、単一のコンピュータデバイスで実装されてもよく、または複数のコンピュータデバイスで実装されてもよい。
【0039】
受取人コンピュータ103は、受取人が利用するコンピュータデバイスであり、専用線またはインターネットなどの公衆回線などを含むネットワーク102を介して銀行システム101に接続されている。受取人コンピュータ103は、銀行システム101に対して承認依頼データを送信するなどの処理を実行する。本実施形態では、受取人コンピュータ103は、パーソナルコンピュータなどのクライアントコンピュータを想定しているが、受取人側で実装される業務システムなどにおいて実装されてもよい。
【0040】
支払人コンピュータ105は、支払人が利用するコンピュータデバイスであり、専用線またはインターネットなどの公衆回線を含むネットワーク104を介して銀行システム101に接続されている。支払人コンピュータ105は、銀行システム101から承認依頼データを受信し、それに応答して承認電文を送信するなどの処理を実行する。本実施形態では、支払人コンピュータ105は、パーソナルコンピュータなどのクライアントコンピュータを想定しているが、支払人側で実装される業務システムなどにおいて実装されてもよい。
【0041】
上述したコンピュータデバイスは、中央処理装置(CPU)、メモリ、記憶装置などの備えたコンピュータであってもよい。また、コンピュータデバイスは、メモリまたは記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを処理装置(CPU)が処理することによって統括的に制御され、本発明に係る処理を実施し、およびその機能を実現してもよい。なお、上述したシステム構成は、例示のためのものであり、本発明を実施することができるシステム構成を限定するものではない。
【0042】
次に、
図2のブロック図を参照して、上述した口座振替システム100の構成を詳細に説明する。
【0043】
銀行システム101は、データ受付部201、データ取得・登録部203、承認要否判定部204、口座振替額算出部205、入金額判定部206、口座振替データ作成部207、データ送信部208、口座処理部209、およびデータベース210を備えている。上記した要素はシステムバス202を介して互いに接続されている。
【0044】
データ受付部201は、受取人コンピュータ103から送信された承認依頼データを受信し、および、支払人コンピュータ105から送信された承認電文を受信する。また、データ受付部201は、支払人コンピュータ105から送信された入金依頼データを受信する。承認依頼データ、承認電文、および入金依頼データの詳細は後述する。
【0045】
データ取得・登録部203は、データベース210に記憶された口座振替条件データテーブルおよび入金依頼データテーブルから口座振替条件データレコードおよび入金依頼データレコードをそれぞれ取得する。また、データ取得・登録部203は、入金依頼データテーブルへのレコードの追加・更新を行う。口座振替条件データテーブルおよび入金依頼データテーブルの詳細は後述する。
【0046】
承認要否判定部204は、口座振替条件データテーブルから取得した口座振替条件データレコードを参照することによって、受取人コンピュータ103から送信された承認依頼データに係る承認依頼に対する承認が必要であるか否かを判定する。
【0047】
口座振替額算出部205は、受取人コンピュータ103から送信された承認依頼データに含まれる口座振替額算出パラメータと、データ取得・登録部203によって取得された口座振替条件データレコードに含まれる口座振替額算出条件とに基づいて、受取人からの承認依頼に係る口座振替額を算出する。
【0048】
入金額判定部206は、受取人コンピュータ103から送信された承認依頼データに含まれる口座振替額と、支払人コンピュータ105から送信された入金依頼データに含まれる入金額とを比較して、承認依頼を許可するか否かを判定する。
【0049】
口座振替データ作成部207は、受取人コンピュータ103から送信された承認依頼データに基づいて、口座振替データを作成する。
【0050】
データ送信部208は、承認依頼データを支払人コンピュータ105に送信する。
【0051】
口座処理部209は、本発明に係る口座振替システム100を提供する金融機関が保有する口座が支払人口座として指定された場合に、当該口座から口座振替額の口座振替処理を実行する。また、口座処理部209は、本発明に係る口座振替システム100を提供する金融機関が保有する口座が受取人口座として指定された場合に、当該口座に口座振替額の入金処理を実行する。
【0052】
データベース210は、後述する口座振替条件データテーブルおよび入金依頼データテーブルなどのデータベーステーブルを備えている。
【0053】
<第1の実施形態>
次に、
図3のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に係る口座振替・入金処理を説明する。本実施形態は、バッチ処理を想定しているが、バッチ処理に限定されず、バッチ処理や、オンライン処理とバッチ処理の組み合わせにより実装してもよい。
【0054】
本実施形態では、受取人が携帯電話などを販売する代理店であり、支払人が当該携帯電話の販売元であることを前提とする。
【0055】
まず、ステップS301において、受取人は、受取人コンピュータ103の表示部(図示せず)に表示された承認依頼入力インタフェース400から承認依頼データを入力する。入力された承認依頼データは、銀行システム101に送信される。
【0056】
図4は、承認依頼入力インタフェース400の例を示している。承認依頼入力インタフェース400は、支払人コンピュータ105に送信される承認依頼データを入力するための入力インタフェースである。承認依頼データは、支払人に対し、所定の口座振替希望日に所定の口座振替希望額を対象とする口座振替処理を実行することに対する承認を依頼することを示している。承認依頼入力インタフェース400は、受取人コンピュータ103のプロセッサが、記憶部に格納された所定のプログラムを実行することによって、銀行システム101とデータを送受信して、表示部に表示される。
【0057】
なお、承認依頼入力インタフェース400は、受取人が自身の識別番号(利用者番号)を入力および認証することによって、表示されるようにしてもよい。
【0058】
図4に示すように、承認依頼入力インタフェース400は、口座振替希望日入力ボックス401、販売個数入力ボックス402、支払人口座情報入力ボックス403、および受取人口座情報入力ボックス404を備えている。
【0059】
口座振替希望日入力ボックス401は、受取人が、支払人口座から受取人口座への口座振替処理が実行されることを希望する口座振替希望日を入力するための入力ボックスである。
【0060】
販売個数入力ボックス402は、受取人が販売した携帯電話の個数を入力するための入力ボックスである。本入力ボックスに入力される販売個数は、例えば、直近で口座振替を依頼したときから、今回依頼するときまでの間に販売した個数が入力される。
【0061】
支払人口座情報入力ボックス403は、支払人が保有し、および、支払人口座から受取人口座への口座振替処理の際に、口座振替額が引き落とされる口座振替口座情報を入力するための入力ボックスである。
【0062】
受取人口座情報入力ボックス404は、受取人が保有し、および、受取人口座への口座振替額の入金に利用される受取人口座情報を入力するための入力ボックスである。
【0063】
本実施形態に係る承認依頼データは、支払人に対し口座振替を実行することの承認を依頼するものであり、口座振替は、同一銀行間で実行されるものである。したがって、口座振替に利用される口座を管理する金融機関は、本発明の口座振替システムに係るサービスを提供する金融機関となる。このことから、支払人口座情報入力ボックス403および受取人口座情報入力ボックス404において、金融機関名のみは入力されることなく、デフォルトで上記金融機関名が表示される。
【0064】
なお、支払人口座情報入力ボックス403および受取人口座情報入力ボックス404においては、必ずしも承認依頼データを入力する際に、支払人口座情報および受取人口座情報のそれぞれが入力される必要はなく、予め登録された口座情報が表示されるようにしてもよい。この場合、予め登録された口座情報に変更がある場合のみ、変更した口座情報が、支払人口座情報入力ボックス403および/または受取人口座情報入力ボックス404において入力されることになる。
【0065】
本実施形態では、支払人口座情報入力ボックス403および受取人口座情報入力ボックス404において、支店名などが入力される例を示しているが、支店名などを識別する識別番号が入力されてもよい。
【0066】
図3の説明に戻ると、ステップS301において、銀行システム101に送信される承認依頼データは、口座振替希望日、販売個数、支払人口座情報、および受取人口座情報を含むことになる。
【0067】
ステップS302では、銀行システム101のデータ受付部201は、ステップS301で送信された承認依頼データを受信する。そして、データ取得・登録部203は、受信した承認依頼データに含まれる支払人口座情報および受取人口座情報に基づいて、口座振替条件データテーブル500から該当のレコードを取得する。
【0068】
図5は、口座振替条件データテーブル500の例を示している。口座振替条件データテーブル500は、本発明の口座振替システム100に係るサービスを利用する、支払人と受取人との間で定義された口座振替条件を管理するためのデータベーステーブルである。
【0069】
口座振替条件データテーブル500は、項目「支払人口座情報」、「受取人口座情報」、「承認要否フラグ」、および「口座振替額算出条件」を備えている。
【0070】
項目「承認要否フラグ」は、受取人から支払人への口座振替依頼に対し、支払人の承認が必要であるか否かを示しており、例えば、「0:(承認不要)」または「1:(承認要)」などの値が設定されてもよい。
【0071】
項目「口座振替額算出条件」は、該当の支払人口座から引き落とされる口座振替額の算出条件を示している。口座振替額は、本項目で示される条件と、承認依頼入力インタフェース400の販売個数入力ボックス402で入力された販売個数などを含む口座振替額算出パラメータとに基づいて算出される。本実施形態では、携帯電話の販売個数に20,000円の額を乗じた額が、口座振替額として算出されることになるが、この条件は例示的なものにすぎず、1つまたは複数の口座振替額算出パラメータとの組み合わせで、様々な条件が定義されてもよい。
【0072】
なお、本実施形態では、承認依頼データに含まれる支払人口座情報および受取人口座情報に基づいて、支払人の口座振替条件データレコードを取得しているが、口座振替条件データテーブル500に代えて、利用者データテーブル(図示せず)を備える構成にしてもよい。この場合は、利用者データテーブルにおいて、支払人および受取人ごとに、上記口座振替額算出パラメータを管理することになる。データレコードを取得する際は、例えば、承認依頼データを作成する際に、支払人および受取人の識別番号(例えば、ユーザIDなど)を入力し、当該識別番号に基づいて、利用者データテーブルから該当のレコードを取得することになる。
【0073】
図3の説明に戻ると、ステップS303では、銀行システム101の承認要否判定部204は、ステップS303で取得した口座振替条件データテーブル500に含まれる項目「承認要否フラグ」を参照して、支払人の承認が必要であるか否かを判定する。この判定でYesの場合は、後続の処理に遷移し、Noの場合は、ステップS308に遷移する。
【0074】
このような構成とすることで、支払人が、受取人の承認依頼に対する自らの承認なしに、口座振替を実行してもよいと考えている場合に(つまり、項目「承認要否フラグ」に「0:(承認不要)」が設定されている場合)、その時点で口座振替処理を実行し、不要な後続処理を省略することができる。
【0075】
ステップS304では、銀行システム101の口座振替額算出部205は、ステップS302で受信した承認依頼データに含まれる販売個数、すなわち、口座振替額算出パラメータと、ステップS303で取得した口座振替条件データテーブル500に含まれる項目「口座振替額算出条件」とに基づいて、口座振替額を算出する。
【0076】
次に、銀行システム101のデータ送信部208は、ステップS302で受信した承認依頼データに、ステップS304で算出された口座振替額を含めて、支払人コンピュータ105に送信する(ステップS305)。
【0077】
支払人コンピュータ105は、ステップS305で送信された承認依頼データを受信する。そして、支払人コンピュータ105の表示部(図示せず)に承認入力インタフェース600を表示すると、受信した承認依頼データに含まれる情報が表示される。
【0078】
図6は、承認入力インタフェース600の例を示している。承認入力インタフェース600は、支払人が、受取人からの承認依頼を承認するか否かを示す承認電文を入力するための入力インタフェースである。承認入力インタフェース600は、支払人コンピュータ105のプロセッサが、記憶部に格納された所定のプログラムを実行することによって、銀行システム101とデータを送受信して、表示部に表示される。
【0079】
なお、承認入力インタフェース600は、支払人が自身の識別番号(利用者番号)を入力および認証することによって、表示されるようにしてもよい。また、銀行システム101から承認依頼データを受信したことに応答して、支払人コンピュータ105の表示部に、承認依頼データを受信したことを示す所定のインジケーションを表示するように構成してもよい。
【0080】
図6に示すように、承認入力インタフェース600は、承認ボタン601および非承認ボタン602を備えている。
【0081】
図3に説明を戻すと、ステップS306において、支払人が、承認入力インタフェース600上に表示された承認ボタン601または非承認ボタン602を押下することによって、承認電文が銀行システム101に送信される。支払人が承認ボタン601を押下していた場合、承認電文は、受取人からの承認依頼を承認したことを示すことになる。一方、支払人が非承認ボタン602を押下していた場合、承認電文は、受取人からの承認依頼を承認していないことを示すことになる。
【0082】
銀行システム101のデータ受付部201は、ステップS306で送信された承認電文を受信する。そして、承認要否判定部204が承認電文を参照して、支払人が承認依頼を承認したか否かを判定する(ステップS307)。この判定でYesの場合は、後続の処理に遷移し、Noの場合は、処理を終了する。
【0083】
次に、口座振替データ作成部207は、受取人コンピュータ103から送信された承認依頼データに基づいて、口座振替データを作成する(ステップS308)。口座振替データは、口座振替処理などの為替取引を相互にやり取りするために定められた共通フォーマットを有している。
【0084】
最後に、口座処理部209は、受取人が依頼した口座振替希望日および口座振替希望額を対象として、従来の方式によって支払人口座から口座振替額が引き落とされ(ステップS309)、および、受取人口座への入金処理が実行される(ステップS310)。なお、支払人口座から口座振替処理が実行され口座振替額が引き落とされたことを示すインジケーションが、支払人コンピュータ105に送信されてもよい。また、受取人口座への入金処理が実行されたことを示すインジケーションが、受取人コンピュータ103に送信されてもよい。
【0085】
このように本発明の第1の実施形態によれば、受取人の承認依頼によって、支払人口座から受取人口座への口座振替処理が実行されるので、受取人が主導して、希望に応じた口座振替日および口座振替額を対象とする口座振替処理を実行することができる。したがって、受取人にとっては、従来の固定された口座振替日まで資金の入金を待つ必要がなくなり、ひいては、十分な運転資金が確保できないといった問題も解消する。
【0086】
また、受取人が入力した口座振替額算出パラメータと、受取人および支払人間で取り決められた口座振替額算出条件とに基づいて、口座振替額が算出されるので、支払人は適切に算出された口座振替額を対象に、承認依頼を承認することができる。
【0087】
また、単純に支払人口座から受取人口座への口座振替処理を毎日実行することとは異なり、受取人からの依頼に応じて口座振替処理を実行するので、口座振替処理に対する手数料負担が増加することはない。加えて、支払人口座から受取人口座への資金移動手段として、口座振替を利用するので、従来の口座振込よりも手数料を低くおさえることができる。
【0088】
さらに、受取人の承認依頼に応じて口座振替処理を実行するので、支払人が意図していない口座振替処理が実行されてしまうことを回避することができる。
【0089】
<第2の実施形態>
次に、
図7のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施形態に係る口座振替処理を説明する。
【0090】
本実施形態においても、受取人が携帯電話などを販売する代理店であり、支払人が当該携帯電話の販売元であることを前提とする。
【0091】
まず、ステップS701において、支払人は、支払人コンピュータ105の表示部(図示せず)に表示された入金依頼入力インタフェース800から入金依頼データを入力する。入力された入金依頼データは、銀行システム101に送信される。
【0092】
本実施形態では、ステップS701の処理が日次で実行されることを前提としているが、そのような形態には限定されず、2日ごと、3日ごと、または週次などの所定のタイミングで実行されてもよい。
【0093】
図8は、入金依頼入力インタフェース800の例を示している。入金依頼入力インタフェース800は、受取人に対し、入金対象日に対する入金額の入金処理を依頼することを示す入金依頼データを入力するための入力インタフェースである。入金依頼入力インタフェース800は、支払人コンピュータ105のプロセッサが記憶部に格納された所定のプログラムを実行することによって、銀行システム101とデータを送受信して、表示部に表示される。
【0094】
なお、入金依頼入力インタフェース800は、支払人が自身の識別番号(利用者番号)を入力および認証することによって、表示されるようにしてもよい。
【0095】
図8に示すように、入金依頼入力インタフェース800は、入金対象日入力ボックス801、入金額入力ボックス802、受取人口座情報入力ボックス803、および支払人口座情報入力ボックス804を備えている。
【0096】
例えば、2014年12月1日に受取人が販売した携帯電話の売上額に応じて算出される報奨金および委託手数料などの、2014年12月1日を対象に受取人に支払われる金額が、入金額入力ボックス802に入力される。そして、この場合、入金対象日入力ボックス801には、2014年12月1日の日付が入力される。
【0097】
図7のステップS701の処理、つまり、入金依頼データの入力処理が、例えば、週次で実行される場合は、前回の実行日から1週間分の受取人に支払われる金額が入金額入力ボックス802に入力される。また、入金対象日入力ボックス801には、その1週間のうちの任意の日付が入力される。
【0098】
受取人口座情報入力ボックス803は、受取人が保有し、および、受取人口座への口座振替額の入金に利用される受取人口座情報を入力するための入力ボックスである。
【0099】
支払人口座情報入力ボックス804は、支払人が保有し、および、支払人口座から受取人口座への口座振替の再に、口座振替額が引き落とされる口座振替口座情報を入力するための入力ボックスである。
【0100】
受取人口座情報入力ボックス803および支払人口座情報入力ボックス804においても、
図4で説明した支払人口座情報入力ボックス403および受取人口座情報入力ボックス404と同様に、金融機関名のみは入力されることなく、デフォルトで表示される。
【0101】
なお、受取人口座情報入力ボックス803および支払人口座情報入力ボックス804においては、必ずしも入金依頼データを入力する際に、受取人口座情報および支払人口座情報のそれぞれが入力される必要はなく、予め登録された口座情報が表示されるようにしてもよい。この場合、予め登録された口座情報に変更がある場合のみ、変更した口座情報が、受取人口座情報入力ボックス803および/または支払人口座情報入力ボックス804において入力されることになる。
【0102】
本実施形態では、受取人口座情報入力ボックス803および支払人口座情報入力ボックス804において、支店名などが入力される例を示しているが、支店名などを識別する識別番号が入力されてもよい。
【0103】
図7の説明に戻ると、ステップS701において、銀行システム101に送信される入金依頼データは、入金対象日、入金予定額、受取人口座情報、および支払人口座情報を含むことになる。
【0104】
ステップS702では、銀行システム101のデータ受付部201は、ステップS701で送信された入金依頼データを受信する。そして、データ取得・登録部203は、受信した入金依頼データに基づいて、入金依頼データテーブル1000にレコードを追加する。
【0105】
図10は、入金依頼データテーブル1000の例を示している。入金依頼データテーブル1000は、支払人が受取人に入金することになる入金額などを、ステップS701で説明した入金依頼データ入力処理を実行した日付単位で管理するためのデータベーステーブルである。
【0106】
入金依頼データテーブル1000は、項目「支払人口座情報」(項目「金融機関」コードなどを含む)、「受取人口座情報」(項目「金融機関」コードなどを含む)、「入金額」、「入金対象日」および「入金済フラグ」を備えている。
【0107】
項目「支払人口座情報」、「受取人口座情報」、「入金額」および「入金対象日」は、入金依頼入力インタフェース800の支払人口座情報入力ボックス804、受取人口座情報入力ボックス803、入金対象日入力ボックス801、および入金額入力ボックス802で入力された値がそれぞれ設定される。
【0108】
項目「払込済フラグ」は、後述する受取人からの口座振替依頼に応じて、該当の入金依頼データレコードに対する入金額の入金が行われると、「1:(入金済み)」が設定される。なお、項目「払込済フラグ」を備える代わりに、上記口座入金が行われたことに応じて、該当の入金依頼データレコードを削除する構成にしてもよい。
【0109】
なお、ステップS701において、入金依頼データが支払人コンピュータ105から受取人コンピュータ103に送信されてもよい。この場合は、受取人コンピュータ103の補助記憶部(図示せず)においても、入金依頼データテーブル1000と同等の構成を有するデータベースまたはデータファイルを有し、当該データベースまたはデータファイルに、支払人コンピュータ105から送信された入金依頼データが追加されることになる。
【0110】
図7の説明に戻ると、ステップS703では、受取人コンピュータ103の表示部(図示せず)に表示された口座振替依頼入力インタフェース900から口座振替依頼データを入力する。入力された口座振替依頼データは、銀行システム101に送信される。
【0111】
図9は、口座振替依頼入力インタフェース900の例を示している。口座振替依頼入力インタフェース900は、支払人コンピュータ105に送信される口座振替依頼データを入力するための入力インタフェースである。口座振替依頼データは、支払人に対し、所定の口座振替希望日に所定の口座振替希望額を対象とする口座振替処理を実行することを依頼することを示している。口座振替依頼入力インタフェース900は、受取人コンピュータ103のプロセッサが、記憶部に格納された所定のプログラムを実行することによって、銀行システム101とデータを送受信して、表示部に表示される。
【0112】
なお、口座振替依頼入力インタフェース900は、受取人が自身の識別番号(利用者番号)を入力および認証することによって、表示されるようにしてもよい。
【0113】
図9に示すように、口座振替依頼入力インタフェース900は、口座振替希望日入力ボックス901、口座振替希望額入力ボックス902、支払人口座情報入力ボックス903、および受取人口座情報入力ボックス904を備えている。
【0114】
口座振替希望日入力ボックス901、支払人口座情報入力ボックス903、および受取人口座情報入力ボックス904は、
図4で説明した承認依頼入力インタフェース400の口座振替希望日入力ボックス401、支払人口座情報入力ボックス403、および受取人口座情報入力ボックス404とそれぞれ同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0115】
口座振替希望額入力ボックス902は、受取人が、支払人口座から引き落とされることになる口座振替額、すなわち、受取人が希望する口座振替額を入力するための入力ボックスである。
【0116】
また、本実施形態では、口座振替依頼入力インタフェース900において口座振替希望額を入力する形態となっているが、第1の実施形態のように販売個数などの口座振替額算出パラメータを入力し、口座振替額算出条件に基づいて口座振替額を算出する構成としてもよい。
【0117】
ステップS704では、銀行システム101のデータ受付部201は、ステップS703で送信された口座振替依頼データを受信する。そして、データ取得・登録部203は、受信した口座振替依頼データに含まれる支払人口座情報および受取人口座情報に基づいて、入金依頼データテーブル1000から該当のすべてのレコードを取得する。ここで、入金依頼データレコードは、項目「払込済フラグ」に「空白:(未入金)」のレコードのみが取得される。
【0118】
次に、銀行システム101の入金額判定部206は、ステップS704で取得した入金依頼データレコードの項目「入金額」合算し、合算した額と、ステップS704で受信した口座振替依頼データに含まれる口座振替希望額とが一致するか否かを判定する(ステップS705)。この判定でYesの場合は、後続の処理に遷移し、Noの場合は、処理を終了する。
【0119】
次に、口座振替データ作成部207は、受取人コンピュータ103から送信された口座振替依頼データに基づいて、口座振替データを作成する(ステップS706)。
【0120】
その後のステップS707およびステップS708の処理は、
図3で説明したステップS309およびステップS310と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0121】
最後に、銀行システム101のデータ取得・登録部203は、ステップS703で受信した口座振替依頼データに含まれる支払人口座情報および受取人口座情報に基づいて、入金依頼データテーブル1000の該当のレコードを更新する(ステップS709)。具体的には、入金依頼データテーブル1000の該当レコードの項目「払込済フラグ」が「1:(入金済み)」に更新される。
【0122】
このように本発明の第2の実施形態によれば、支払人が定期的に入金依頼データを送信し、銀行システム101においてその入金依頼に係る入金額の合計を管理するので、支払人の承認がなくとも、受取人からの口座振替依頼額が適正な額であるかを判定することができる。
【0123】
以上のように、本発明に係る口座振替システム100の説明を詳述したが、実施形態で説明した、口座振替条件データテーブル500および入金依頼データテーブル1000などの具体的なデータ構造は例示的なものにすぎず、特許請求する事項から逸脱しない範囲で変更がされてもよい。