【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、独立請求項の特徴によって達成される。有利な発展形態および修正形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明の第1の考察として、生物組織をレーザ光によってアブレーションするとき、レーザ光を必ずしも組織自体に照射しなくてもよい。その代わりに、レーザ光を物質によって有利に吸収させることができ、この物質は、吸収の結果として本質的に自由電子または準自由電子の供給源としての役割を果たし、吸収したエネルギを、アブレーションする材料に伝える。このような物質としては、いわゆる光増感剤を最も効率的に使用することができる。光増感剤は、光量子の吸収後に光化学反応に入る感光性化合物を構成する。光増感剤の活性化は、適切な波長および十分な強度のレーザ光によって行うことができ、光増感剤は、光を吸収すると最初に比較的短い寿命の一重項状態に励起され、その後、より安定的な(長寿命の)三重項状態に遷移する。この励起状態は、例えば、除去する材料と直接反応することができる。
【0009】
したがって、本発明の第1の態様によると、材料加工方法であって、材料の加工される領域を囲む部分に光増感剤が供給され、加工用パルスレーザ光が出射され、材料の加工される領域が加工用パルスレーザ光によって照射される、方法、を開示する。
【0010】
この場合、加工用レーザ光は、100fs〜1nsの広い範囲における時間的な半値全幅を有するレーザパルスを放出することができ、この範囲は、漸増の中間値(incremental intermediate value)それぞれも含んでおり、増分値は100fsである。
【0011】
本発明のさらなる考察として、医療方法において、適切な場合に加工方法とともに実行される診断時に、加工またはアブレーションする領域を視覚化するマーカーを利用し、このマーカーは、光増感剤である、もしくは、適切な波長、持続時間、および強度を有するレーザダイオードまたは発光ダイオード(LED)を連続的またはパルス状に放射することによって励起され得る、またはその両方である。特に、アブレーション用と診断用とに同じ光増感剤を使用するようにすることができる。
【0012】
本発明のさらなる考察として、レーザ光によって加工またはアブレーションする材料の領域を、シースによって囲み、シースの内側の吸引流路システムと、シースに結合されているレーザ光アライメントユニットとを統合する。
【0013】
アブレーションもしくは診断またはその両方に使用される光増感剤およびレーザ光源の選択に関して、さまざまな可能性が存在する。本文書に提示する実施形態によると、光増感剤もしくはレーザパルスの波長またはその両方は、レーザ光の少なくとも一部分が光増感剤において単光子吸収によって吸収され、吸収が光増感剤の吸収極大の近傍であるように、選択する。したがって、この第1の実施形態は、線形光学に分類される。非線形光学に分類される第2の実施形態によると、光増感剤もしくはレーザパルスの波長またはその両方は、レーザ光の少なくとも一部分が光増感剤において2光子吸収によって吸収され、吸収が光増感剤の吸収極大の近傍であるように、選択する。同様に非線形光学に分類される第3の実施形態によると、光増感剤もしくはレーザパルスの波長またはその両方は、レーザ光の少なくとも一部分が光増感剤において多光子吸収によって吸収され、吸収される光子の数が3以上であり、吸収が光増感剤の吸収極大の近傍であるように、選択する。
【0014】
一実施形態によると、レーザパルスの繰り返し周波数は、1Hz〜10MHzの範囲内に設定されており、この範囲は漸増の中間値も含んでおり、増分値は1Hzである。この場合、レーザパルスを、それぞれが所定の数のレーザパルスを有するバーストの形で生成し、例えば、所定の数のバースト(例:1個のバースト)を、アブレーションする材料における加工する各領域に照射することもできる。レーザパルスは、バースト内で所定の様式で変化するパルスピーク強度を有することもできる。複数のレーザパルスのバーストの代わりに、個々のレーザパルスを使用することもできるが、レーザパルスの前にいわゆるASE(増幅自然放出)プレパルスが生じる。
【0015】
一実施形態によると、本方法は、歯の材料、特に、う蝕歯の材料のアブレーションまたは除去のために使用される。う蝕歯の材料はバクテリアの攻撃に起因する多孔構造を有することが知られており、この分野は本発明の有利な適用分野である。光増感剤は、この多孔構造の中に浸入することができ、したがって、除去するう蝕歯の材料の中にある程度埋め込まれ、(他の用途において要求されるように)除去する材料の表面に塗布する必要がない。
【0016】
短パルスレーザ(例えばピコ秒レーザまたはフェムト秒レーザ)によって材料を加工するとき、加工用レーザ光の焦点における薄い表面層内でマイクロプラズマが発生し、個々のパルスの後、ナノ秒〜マイクロ秒のオーダーの時間内に崩壊する。アブレーション動作時、材料は、レーザ光子と準自由電子の相互作用によってイオン化されるのではなく、熱機械的な作用で侵襲的に最小限に分解される。一般的な目標は、つねにしきい値範囲内で、すなわち、つねに臨界電子密度(レーザ波長1064nmにおいて1.03×10
21電子/cm
3)以下でマイクロプラズマを発生させることである。これによって、特に、歯またはその他の組織の治療の場合のみならず、他の材料加工方法の場合にもアブレーション動作を行うことが可能になり、最大の医療的適合性および生物学的適合性が得られ、望ましくない副作用が回避される。特に、紫外線および多光子イオン化に伴う11,604.5K(太陽表面の温度の2倍)以上のプラズマ温度は、組織中に存在する水分子の非イオン化を達成する目的で、完全にまたは最大限に回避するべきである。さらに、歯の治療の場合における熱的影響および機械的影響を制限することに関連して、レーザパルスのパルス長は、約100fs〜100psの範囲内、特に、約10psのときに有利である。光増感剤による間接的なエネルギ入力と、ピコ秒レーザパルスの使用との新規の組合せによって、治療の生物学的適合性および医療的適合性が最大になる。特にストレス緩和に関して、ピコ秒レーザパルスでは、衝撃波などが伝わることなく、したがって痛みなしに治療を行うことができるように、光学的浸入深さ(optical penetration depth)が形成される。
【0017】
一実施形態によると、歯または組織の治療の場合、レーザパルスのエネルギ密度は、7.5J/cm
2未満の範囲に設定される。特に、レーザパルスのエネルギは、100μJ未満の範囲に設定することができ、組織の表面上もしくは光増感剤またはその両方における加工用レーザ光の焦点を、1μm〜100μmの範囲内の焦点径として設定することができ、特殊な光学系によって1μm〜5μmの範囲を達成することが可能である。これらの数値では、プラズマ密度がつねに臨界電子密度以下となる。光増感剤の本発明による使用によって、さらに、上記の値よりも大幅に低いレーザパルスのエネルギ密度(例えば1.0J/cm
2未満)を使用して生物組織をアブレーションすることができる。すなわち、レーザパルスのエネルギが適切であるとき、焦点に関連する従来の変数を使用することが可能であり、集光光学系に関して追加のコストが不要である。しかしながら、集光がより正確に行われるならば、より小さいレーザパルスエネルギを有するレーザ光源(例えば、下流の光増幅器を使用せずレーザ発振器のみからなるレーザ光源)を使用することができる(適切な場合)。これにより、特定の状況下では、本発明の方法を実行するためのレーザ加工装置の予測される総コストを低減することができる。具体的には、市販のレーザ発振器(例えば、固体レーザ発振器、特に、ピコ秒レーザ発振器)が、レーザ光源として十分である。最大限にコンパクトなレーザ光源を提供できるようにする目的で、例えば、特にピコ秒レーザとしてのレーザダイオードまたは複数のレーザダイオードの配置(アレイ)を使用することも考えられる。
【0018】
一般的には、本発明に従って光増感剤を使用することによって、材料のアブレーションにおいて、光増感剤を使用しない場合に必要であるレーザパルスのエネルギ密度よりも相当に低いエネルギ密度を使用することができる。
【0019】
さらなる実施形態によると、材料の特定の表面領域上において適切な方法でレーザ光を走査させる目的で、一般に、加工用レーザ光を使用してこの表面領域を加工する。このとき、加工用レーザ光が実質的に長方形(いわゆるトップハット)のビームプロファイルを有するならば、さらに有利である。その場合、走査動作において、加工用レーザ光の焦点によって覆われる各部分領域に正確に1個のレーザパルスが照射されるようにすることができる。この方策は、トップハットプロファイルではない場合にも提供することができ、これは例えば、走査動作時に、それぞれがレーザパルスによって覆われる互いに隣接する部分領域が空間的に互いに重なり、重なる表面積が部分領域の表面積の半分またはそれ以外の割合よりも小さいようにすることによる。たとえ「レーザ光断面」がガウスプロファイルであっても、このようにすることで、加工用レーザ光の焦点によって覆われる部分領域に本質的に1個のみのレーザパルスが照射されるようにすることが可能である。
【0020】
さらなる実施形態によると、加工時に焦点の空間位置が領域の表面上にあるように絶え間なく制御されるようにすることができる。後からさらに詳しく説明するように、この制御は、さまざまな実施形態におけるオートフォーカスユニットによって行うことができ、遮光保護(glare protection)の役割を果たす固定要素を使用することにより、光学手段によって行われる閉ループ制御を、レーザ光が漏れることなく実行することができる。
【0021】
組織の治療用に提供されるさらなる実施形態によると、例えばコヒーレントまたは非コヒーレントな電磁放射による励起後、特定のタイプの組織(特に、損傷した組織)に接触したときに特徴的に発色する、または検出可能な別の反応を示すマーカーを、組織に塗布することによって、光増感剤を塗布する前に、加工する領域が決定されるようにすることができる。この場合、診断用の光増感剤を構成する光増感剤によってマーカーを供給することができ、アブレーションに使用される光増感剤をアブレーション用の光増感剤と称することができる。しかしながら、このマーカーは、光増感剤の特性を持たない別の市販のマーカーによって形成することもできる。対照的に、一例としてアブレーション用の光増感剤は、マーカーの特性を持たない(すなわち、さまざまなタイプの組織に接触したときに発色しない)。
【0022】
さらなる実施形態によると、最初にマーカーとして使用され、次いでアブレーションに使用される光増感剤を使用することも可能である。この方式では、光増感剤のうち後からのアブレーションのためにレーザによって照射される領域のみが、診断時に色の変化を示す、または別のタイプの対応する反応を示すことにおいて、治療を単純化することができる。言い換えれば、診断に使用される光増感剤が、後からアブレーションに使用される光増感剤と同じである。この場合、診断時の光増感剤の吸収特性は、例えば後からのアブレーション時と同じである。
【0023】
さらなる実施形態によると、損傷した組織をマークするまたは示すことを目的とする、診断に使用されるマーカーまたは光増感剤は、追加の特性を有することができる。このようなマーカーまたは光増感剤は、例えば、酸(pH)インジケータとして、もしくは、細菌、ウイルス、腫瘍細胞のうちの少なくとも1種類のインジケータとして、またはその両方としての役割を果たすことができ、すなわち、特定の反応(例えば色の変化や蛍光発光)によって、接触している組織のpH値の高さ、あるいは、組織が細菌、ウイルス、腫瘍細胞の少なくとも1種類に感染している程度を示すことができる。さらに、光増感剤は、いわゆる3次元インジケータとしての役割を果たすことができるように設計することができ、すなわち、検出器上に画像化できるように光パルスを反射または逆反射することができ、光パルスが発せられてから特定の位置によって逆反射されるまでの経過時間を求めることによって、光増感剤によって覆われている表面の3次元トポグラフィを求めることができる。このような光増感剤は、損傷した組織がもはや存在せず、したがってさらなるアブレーション動作が必要ないことが同一の光増感剤によってすでに確認されている状況において、特に有利に使用することができる。以前のアブレーション動作によって形成された空洞(例えば歯の空洞)は、それ自体公知の方法においてその後に埋めるが、そのとき空洞の形状を求めなければならない。空洞の表面を覆う光増感剤を使用し、診断用レーザ光によって走査することで、受信される光パルスおよび経過時間によって空洞のトポグラフィを求めることができるならば、従来の(場合によっては)極めて高価な歯科方法に置き換えることができる。なお、このような方法は、本文書に特に説明した態様とは無関係に適用することのできる独立した発明とみなすことができ、これら独立した発明は、本出願に記載されているすべての態様および特徴と、当業者の判断において自由に組み合わせ得ることに留意されたい。
【0024】
さらなる実施形態によると、歯の治療における診断時に、マーカーまたは光増感剤を使用することなく、具体的には、組織において発生する信号の存在および(適切な場合に)その信号強度を求めることによって、加工する領域が決定されるようにすることができる。この場合、信号は、組織に照射される電磁放射の2次またはそれ以上の高調波とすることができる。電磁放射は、組織の表面におけるエネルギ密度が、組織を加工するのに要求されるエネルギ密度よりも小さい診断用レーザ光の電磁放射とすることができる。加工用レーザ光および診断用レーザ光は、同一のレーザ光源によって発生させることができる。特に、損傷していない歯の材料と、う蝕歯の材料とを区別する目的で、赤外領域においてLIBS(レーザ誘起プラズマ分光)法を用いて、診断用レーザ光によって組織を活性化することができ、この場合、2次高調波の後方散乱信号は健康な組織(例えば、再石灰化可能なコラーゲン繊維)を示し、このような信号が存在しなければ、う蝕歯の材料(すなわち不可逆的に損傷した(再石灰化不能な)コラーゲン繊維)を示す。組織の領域を診断用レーザ光によって走査し、後方散乱した2次高調波のデータを検出および格納することができ、領域のうち加工用レーザ光によって加工またはアブレーションを行う部分を、これらのデータを使用して決定することが可能である。
【0025】
別の実施形態によると、医療の場合、コンピュータ制御によって加工方法が実行されるようにすることができ、具体的には、加工中、測定される紫外線の関数としてレーザパラメータがオンライン制御されるようにすることができる。一例として、この場合には皮膚科に関連する紫外線指数をしきい値基準として使用することができ、すなわち、紫外線指数の所定のしきい値より高い場合、紫外線指数がそのしきい値を再び下回るまでレーザ出力を自動的に下げる。さらには、他の状況または著しい変化が起きた場合の予防措置として、レーザ光が短時間または永続的に遮断されるようにすることもできる。この措置が考えられるのは、一例として、治療時間が想定される最大時間を超えた場合や、一箇所に放射されたパルスが多すぎるものと判断される場合、レーザが不安定であると判断された場合、あるいは装置において他の不具合が起きた場合である。
【0026】
さらなる実施形態によると、(医療以外の)被加工物の場合、実際の加工を行う(すなわち、加工する領域に加工用レーザ光を照射する)前に、診断の処理が行われるようにすることができ、例えば、被加工物の領域の材料のタイプを調べる診断の後、加工用レーザ光をオンにする、またはオンにしない。この場合、一例として、被加工物の領域に導くことのできる診断用レーザ光を使用することもできる。診断用レーザ光は、加工用レーザ光と同一のレーザ光源から発せられるが、加工またはアブレーションには使用できない平均強度を有する。被加工物から戻った放射(例えば、反射した放射、蛍光放射、熱放射、高次高調波、その他)を検出して評価することができ、その評価から材料のタイプを判断することができる。
【0027】
本発明の第2の態様によると、材料加工方法であって、加工モードにおいてパルスレーザ光が出射され、材料の加工される領域が、加工用パルスレーザ光によって照射され、加工される領域の周囲から放出される電磁放射が検出され、検出された電磁放射に応じてパルスレーザ光が設定される、方法、を開示する。
【0028】
一実施形態によると、電磁放射は紫外線とすることができ、なぜなら、紫外線のスペクトル範囲は、生物学的な耐性に関して最も妥当であるためである。しかしながら、別のスペクトル範囲、例えば赤外波長域の電磁放射を検出することも可能であり、なぜなら、IR−AおよびIR−Bの赤外線量の特定のしきい値を超えると、健康への有害な影響が存在しうるためである。この影響は、一般には線量に必ず依存するため、電磁スペクトルのさらなる波長域についてもあてはまる。
【0029】
一実施形態によると、電磁放射は、少なくとも1個の適切な検出器によって検出することができる。したがって、紫外線の場合には、1個または複数の紫外線検出器を設ける必要がある。加工中、複数の紫外線検出器を使用して、検出される紫外線の強度、波長、および紫外線指数を求めることができる。
【0030】
さらなる実施形態によると、少なくとも1個の紫外線ダイオードによって供給される信号を評価する場合、検出された紫外線が、所定の基準に対して高すぎる、または特定のしきい値を超えることが判明した場合に、加工用レーザ光の少なくとも1個のパラメータを修正することによって、加工手順をオンラインで制御することができる。修正する加工用レーザ光のパラメータは、一例として、パルスピーク強度、パルス幅、繰り返し周波数、バースト内のパルス数、または他の適切なパラメータ、またはこれらのうちの複数のパラメータとすることができる。少なくとも1個の紫外線検出器の信号が、検出される紫外線が再び許容範囲内にあることを示すまで、少なくとも1個のパラメータを修正する。
【0031】
本発明の第3の態様によると、材料加工の方法であって、加工モードにおいてパルスレーザ光が出射され、材料の加工される領域が加工用パルスレーザ光によって照射され、以下の条件、すなわち、加工用レーザ光によって生成されるプラズマの温度が、1eVに対応する11604.5Kを超えないこと、および、加工用レーザ光の交流電磁界中の電子の平均振動エネルギが0.021eV未満であること、のうちの少なくとも一方が満たされるように、パルスレーザ光が設定される、方法、を開示する。
【0032】
第3の態様によるこのような方法は、第1の態様および第2の態様による上述した方法と組み合わせることができる。第2の態様による方法と組み合わせるときには、例えば、加工方法を開始する前に計算が行われるようにすることができ、この計算の目的は、加工用レーザ光の適切なパラメータとして、プラズマ温度および平均振動エネルギに関する上記の条件を達成できる、または達成するものと予測されるパラメータを、加工する材料の関連するパラメータを使用して確立することである。加工動作の実行中、第2の態様に従って電磁放射(例えば紫外線)を調べ、加工用レーザ光は、電磁放射の関数として絶え間なく再調整され、したがって、検出される電磁放射が所定の特定のしきい値を超えない。
【0033】
本発明のさらなる態様によると、第1の態様による方法に従って材料を加工するレーザ加工装置であって、加工用パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、材料の加工される領域の方向にレーザ光をデカップリングするレーザ光アライメントユニットと、材料の加工される領域を囲む部分の方向に光増感剤を出力する出力装置であって、特に、レーザ光アライメントユニットに接続されている、出力装置と、を備えている、レーザ加工装置、を開示する。
【0034】
本レーザ加工装置の一実施形態によると、レーザ光源は、さらなる増幅なしに出力パルスをアライメントユニットに供給することのできるレーザ発振器によって形成することができ、したがって、すでに上述したように、レーザ光源を高い費用効果で設計することができる。この場合、要求されるエネルギ密度に達することができるように、レーザ光をより正確に集光させる必要がある。しかしながら、レーザ発振器と、レーザパルスの光増幅器とからなるレーザ光源を使用することも可能であり、この場合、従来の集光で十分である。
【0035】
本レーザ加工装置の一実施形態によると、レーザパルスの波長および光増感剤は、加工用レーザ光の少なくとも一部分が光増感剤において単光子吸収によって吸収され、吸収が光増感剤の吸収極大の近傍であるように、選択する。
【0036】
本レーザ加工装置の一実施形態によると、レーザパルスの波長および光増感剤は、加工用レーザ光の少なくとも一部分が光増感剤においてN個の光子吸収(N≧2)によって吸収され、吸収が光増感剤の吸収極大の近傍であるように、選択する。
【0037】
一実施形態によると、レーザパルスは、100fs〜1nsの範囲における半値全幅を有し、この範囲は、漸増の中間値それぞれも含んでおり、増分値は100fsである。
【0038】
一実施形態によると、レーザパルスの波長は、100nm〜10.6μmの範囲内にあり、この範囲は、漸増の中間値それぞれも含んでおり、増分値は100nmである。したがって、この範囲は、例えば、波長が赤外波長域にあるEr:YSGGレーザの出力波長(λ=2.7μm)またはEr:YAGレーザの出力波長(λ=2.94μm)、またはCO2レーザ(出力波長は10.6μm)も含んでいる。適切な既存の光増感剤または今後開発される光増感剤と組み合わされるとき、上に指定した範囲内のすべての波長が考えられる。
【0039】
一実施形態によると、加工する組織の表面上もしくは光増感剤またはその両方におけるレーザパルスのエネルギ密度は、7.5J/cm
2未満の範囲にある。光増感剤の選択によっては、1.0J/cm
2またはそれ以下のエネルギ密度で十分なことがある。
【0040】
一実施形態によると、レーザパルスのエネルギは、100μJ未満の範囲にあり、特に、組織の表面上の加工用レーザ光の焦点は、1μm〜100μmの範囲内の焦点径として設定される。特殊な光学系を使用することで、1μm〜5μmの範囲を達成することができる。
【0041】
一実施形態によると、レーザパルスの繰り返し周波数は、1Hz〜10MHzの範囲内に設定される。
【0042】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、歯の材料、特にう蝕歯の材料をアブレーションまたは除去するための歯科用レーザ加工装置として設計されている。
【0043】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、レーザ光アライメントユニットに結合されている固定手段であって、加工する材料の部分を基準にして、レーザ光アライメントユニットの遠位端部を空間的に固定する、固定手段、をさらに備えている。
【0044】
一実施形態によると、レーザハンドピースはアタッチメントを備えており、このアタッチメントは、固定手段としての役割を果たすのみならず、適切な場合、統合されている吸引流路システムと協働して、さまざまなプロセスガスを供給してさまざまな化学組成物もしくはさまざまな圧力条件またはその両方を生成することが可能であるように、加工する領域を囲む。組織または歯の治療の場合、例えば水銀(例えばアマルガム充填材として)をアブレーションして吸い出すことができる。
【0045】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、加工用パルスレーザ光の実質的に長方形のビームプロファイルを整形するビーム整形ユニット、をさらに備えている。
【0046】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、材料の領域を、加工用レーザ光または(適切な場合に)診断用レーザ光によって走査する走査ユニット、をさらに備えている。この場合、走査ユニットは、特に、加工用レーザ光の焦点によって覆われる部分領域に正確に1個のレーザパルスが照射されるように、設計することができる。例えば、1個のレーザパルスによって覆われる互いに隣接する部分領域それぞれが空間的に互いに重なり、重なる表面積が部分領域の半分よりも小さいように、走査ユニットを設計することができる。
【0047】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、材料の表面における焦点の空間位置を一定に保つオートフォーカスユニットをさらに備えている。
【0048】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、材料において、または材料を囲む部分において発生する信号の存在と(適切な場合に)この信号の強度とを検出する検出ユニット、をさらに備えている。検出ユニットは、例えば、材料に照射される電磁放射の2次またはそれ以上の高調波を検出するように設計されている光センサを有することができる。電磁放射は、加工用レーザ光のような同一のレーザ光源によって生成される診断用レーザ光の電磁放射とすることができ、または、インコヒーレントであり、特に連続的に発光する光源(例えば発光ダイオード(LED))の電磁放射とすることができる。
【0049】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、レーザ光源を加工モードまたは診断モードに設定するように設計されている制御ユニットを有することができ、加工モードでは、加工用パルスレーザ光が生成され、診断モードでは、材料の表面上のエネルギ密度が、材料を加工するのに要求されるエネルギ密度よりも小さい診断用レーザ光が生成される。診断用レーザ光は、原理的には、加工用レーザ光と同じレーザ光とすることができ、エネルギ密度が加工に要求されるエネルギ密度よりも小さいように、加工用レーザ光のエネルギが制御ユニットによって単に変更される。適切な場合、エネルギの代わりに、またはエネルギに加えて、エネルギ密度が低くなるようにフォーカシングを変更することも可能である。この場合、診断モードの目的は、どの材料を加工するかを決定することである。
【0050】
一実施形態によると、レーザ光アライメントユニットをハンドピースの形で形成することができ、この場合、光増感剤を出力する出力装置の少なくとも一部分をハンドピースの内側に配置することが可能であり、特に、ノズルを有する供給ラインの一端をハンドピース内に配置することができる。走査ユニットもしくはオートフォーカスユニットまたはその両方を、ハンドピースの内側に配置することもできる。
【0051】
一実施形態によると、レーザ加工装置は、マーカーを出力するさらなる出力装置をさらに備えており、特に、このさらなる出力装置の一部を、同様にハンドピースの内側に配置することが可能である。
【0052】
一実施形態によると、レーザパルスは、100fs〜1nsの範囲における半値全幅を有し、この範囲は、漸増の中間値それぞれも含んでおり、増分値は100fsである。
【0053】
本発明のさらなる態様によると、第2の態様による方法に従って材料を加工するレーザ加工装置であって、加工用パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、材料の加工される領域の方向にレーザ光をデカップリングするレーザ光アライメントユニットと、加工される領域の周囲部分から放出される紫外線を検出する紫外線検出器と、を備えている、レーザ加工装置、を開示する。
【0054】
さらなる実施形態は、本発明の第1の態様に関連して上述した特徴を、本発明のさらなる態様に適用することによって提供することができる。
【0055】
以下では、本発明について、さらなる実施形態の形で、図面を参照しながらさらに詳しく説明する。