(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生理的スコアが異常スコア付けシステムを使って計算され、前記異常スコアは前記生理的パラメータ値の複数の生命徴候測定値に基づく、請求項1または2記載のシステム。
初期アラーム・レベルおよび増分デルタから前記複数のアラーム・レベルを生成する段階をさらに含み、前記複数のアラーム・レベルは前記初期アラーム・レベルおよび深刻さが増していく一つまたは複数のアラーム・レベルを含み、前記アラーム・レベルは前記初期アラーム・レベルおよび前記アラーム・レベルの他のアラーム・レベルから前記増分デルタ一つまたは複数ぶんだけ離間している、
請求項10ないし12のうちいずれか一項記載の方法。
複数の再装備条件のうちの少なくとも一つが満たされることに応答して、前記禁止されていないアラーム・レベルを再装備する段階をさらに含み、前記再装備条件は第一の再装備条件および第二の再装備条件を含み、
前記第一の再装備条件は:
所定の長さの時間が経過したこと;
前記所定の長さの時間の間、介入が実施されなかったこと;および
現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に比べて所定量だけ悪化したことを含み;
前記第二の再装備条件は:
前記所定の長さの時間が経過したこと;
前記所定の長さの時間の間に介入が実施されたこと;および
再装備条件が満たされることを含む、
請求項10ないし13のうちいずれか一項記載の方法。
【背景技術】
【0002】
患者の悪化の前にはしばしば異常な生命徴候〔バイタルサイン〕の期間がある。よって、臨床担当者はしばしば悪化の可能性を評価するために予測システムを用いる。そのようなシステムは、早期警告スコア(EWS: early warning scores)および修正型EWS(MEWS)スコア付けシステムといった異常スコア付けシステムを含む。異常スコア付けシステムは、生命徴候のような複数の生理的パラメータを統一された単位のシステムに統合し、個々の評価を組み合わせて、心停止または死のような予防可能な悪い事象につながりうる患者リスクを決定する。
【0003】
見本となるEWSスコア付けシステム(
図1)について、EWSはテーブルを使っていくつかの生命徴候に基づいて決定される。生命徴候が通常であるときは、0のスコアと評価される。各生命徴候の異常の度合いが高まるにつれて、その生命徴候について、より多くの点が評価される。すべての生命徴候に対する全スコアは、異常の指標であり、これがあらかじめ選択された閾値を超える場合には、対処行動が定義される(たとえば臨床担当者による診察またはいわゆる即応チームの活性化)。
【0004】
臨床担当者は典型的には異常スコア付けシステムを手動で実行する。しかしながら、手動でスコア付けすることに関する一つの課題は、病院のような医療機関の資源が限られているということである。したがって、たとえば一般病棟の患者が評価される頻度は高くなく、典型的には4〜8時間ごとである。患者は、この亜急性ケア設定では気づかれないうちに悪化することがある。この悪化の発見が遅れると、無用な合併症、集中治療室(ICU)入室、心停止、死などにつながることがある。
【0005】
これを軽減するために、患者の自動モニタリングがますます普及してきている。しかしながら、自動モニタリングに関する主要な課題は、アラーム疲れである。アラーム疲れは、アラームが実際に臨床上意味のあるものでない可能性が高いため臨床担当者が臨床アラームに不感になる状況である。
【0006】
アラーム負荷を減らすための一つのアプローチは、典型的には手動で、アラーム閾値を上げることである。しかしながら、同じシフトおよびその後のシフトの他の看護師がその高い閾値に気づかないことがあり、患者の健康について誤った感覚を信じ込んでしまうことがある。さらに、これは感度を下げ、患者悪化を検出しそこなう可能性を高める。もう一つのアプローチは、アラーム発報後の禁止期間を設定し、それにより再装備(rearming)条件が満たされるまで同様のアラームが発されないようにすることである。そのようなアプローチでは、再装備条件がアラームを減らすために決定的に重要である。
【0007】
典型的な再装備条件は、アラームのトリガーからの所定の禁止期間の経過である。これは、最初のアラーム後の任意のアラームは同様の生理データに基づいている可能性が高く、よって臨床担当者に対して何ら追加的な情報を与えるものではないという考えに基づいている。臨床担当者は、そのアラームに同意するのであれば患者を処置するためにすでに行動に出ることを計画しているか、あるいはアラームの有効性を疑っているかである。いずれにせよ、もう一つのアラームは不要であろう。よって、限られた時間期間の間、さらなるアラームを禁止することは理にかなっている。
【0008】
この再装備条件の一つの欠点は、アラーム禁止期間内で患者の状態が悪化する場合にも追加的なアラームが発されないということである。もう一つの欠点は、所定の時間の長さが一般的な患者人口に対する一般的なものであるということである。よって、所定の時間の長さはどの特定の患者について調整されたものでもない。さらに、所定の時間の長さは個人のダイナミクスに適応しない。
【0009】
自動モニタリング・システムに関する他の課題は、自動モニタリング・システムによって典型的に用いられる予測モデルから生じる。そのような予測モデルは典型的には人口データの大きなデータベース上でトレーニングされる。それにより、そのような予測モデルを使う決定は、大きな人口の一般的な特徴に基づいたものとなる。さらに、個々人と一般的なトレーニング人口との間の相違は典型的には考慮に入れられない。このようなトレーニングは、一般的なトレーニング人口とは異なる生理的な標準をもつある種の患者についての不必要な警報および/または警報を発しそこなうことにつながることがある。
【0010】
一つの解決策は、患者の健康な、またはベースラインとなる生理ダイナミクスの知識に基づいて予測モデルを調整することである。しかしながら、ベースライン・データは、しばしば実際には利用可能ではなく、特にICUでは、集められているデータがその患者の「正常な」生理状態を反映しているとは決して想定できない。
【0011】
もう一つの解決策は、発されるアラームの有効性についての臨床担当者からの直接的なフィードバックを、学習のために用いることである。しかしながら、そのようなアプローチは、この直接フィードバック学習の恩恵をもたないシステムについては可能ではない。さらに、予測されたイベントに応答して何時間も前もってアラームが発される場合、アラームの有効性についての臨床担当者からの即座のフィードバックは無意味である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2および
図3を参照しつつ、段階式アラーム方式を使って患者アラームを生成する方法100(
図4参照)の例解用の例が提供される。好適には、身につけられる患者モニタ、ベッドサイド患者モニタおよび中央患者モニタのような患者モニタが方法100を実行する。下記で詳細に論じるように、長い禁止期間と組み合わせて段階式のアラーム方式を使うことにより、患者の悪化には敏感でありながら、生成されるアラームが減らされる。
図2は、単一の生命徴候(たとえば呼吸数)についての生命徴候測定値を使って患者の悪化を評価する一方、
図3は、典型的には生命徴候から計算できる異常性スコア(たとえばEWS)を使って患者悪化を評価する。
【0027】
生命徴候測定は、心拍数、体温、血中酸素飽和度、意識レベル、痛み、尿排出量などといった生命徴候の測定を含む。EWSおよびMEWSのような異常スコアは複数の生命徴候についての生命徴候測定値を、患者の死の危険を評価するスコアに組み合わせる。異常スコア付けシステムは、各生命徴候について「等しく深刻な」レート付け尺度に到達するよう非線形な重み付けを提供する。その点に関し、異常スコアにはいる生命徴候のすべてはこのレート付け尺度を使って評価され、合計されて異常スコアに到達する。典型的には、諸生命徴候は、異常スコアを計算するときには独立であると想定される。しかしながら、生命徴候のいくつかの組み合わせは他よりもより異常であり、それにより異常スコアはさらに、生命徴候の組み合わせについての諸スコアをさらに含むことができる。ある生命徴候に対する異常スコアの敏感さを改善するために、その生命徴候は異常スコアの決定の際により重く重み付けされることができる。追加的または代替的に、敏感さを改善するため、その生命徴候についてのスコア付け領域が洗練されることができる。異常スコア付けシステムは個々の患者、病棟、医療機関などに合わせて調整できることが考えられている。ある種の実施形態では、臨床担当者が、ユーザー入力装置の使用を通じて手動で異常スコア付けシステムを調整する。他の実施形態では、異常スコア付けシステムは、たとえば患者情報システムからの患者情報に基づいて自動的に調整される。
【0028】
図2および
図3の両例では、ほぼ12:30において、初期閾値が超えられる。
図2の場合、閾値は毎分28回の呼吸であり、
図3の場合、閾値は2のEWSである。初期閾値を超えることによって、アラームが発され、8時間などの長い禁止期間が同じ状態のアラームについて適用され、閾値が上げられる。その後、両方の例において、ほぼ17:00に第二の、より高い閾値が超えられる(すなわち、状況が悪化している)。
図2の場合、その閾値は毎分30回の呼吸であり、
図3の場合、その閾値は3のEWSである。第二の閾値を超えることによって、もう一つのアラームが鳴らされ、8時間などの長い禁止期間がこの新しい状態のアラームについて適用され、閾値が上げられる。
【0029】
図4を参照するに、段階式アラーム方式を使って患者アラームを生成する方法100のブロック図が与えられている。一または複数の患者の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が受領される(102)。生理的スコアは、少なくとも一つの生理的パラメータに基づく、血流力学上の安定性、または、死の危険のような患者の生理状態の、生理的スコア付けシステムに従った評価である。生理的パラメータは、患者の測定可能または観察可能な特徴である。生理的スコアの例は異常スコアを含み、生理的パラメータの例は生命徴候を含む。
【0030】
典型的には、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は、患者に付随するセンサーから、たとえば有線もしくは無線の通信ネットワークを介して自動的に受信される。しかしながら、他の実施形態では、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は、臨床担当者から、たとえばユーザー入力装置を介して手動で受領される。さらに、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は典型的には連続的に受領される。しかしながら、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は代替的には、タイマー事象(たとえば定期的タイマー)、患者事象、手動でトリガーされる事象(たとえば臨床担当者がボタンを押す)などといった事象の発生の際に受領されることができる。ある種の実施形態では、生理的スコアは生理的パラメータ値から間接的に受領される。それに関し、生理的スコアは生理的パラメータ値から自動的に計算される。たとえば、上記で論じたようにEWSが生命徴候測定値から計算される。
【0031】
異常スコア付けシステムは典型的には整数値を与える。しかしながら、これは、特に生命徴候が境界値のまわりをゆらいでいる場合には、異常スコアにおける離散的なジャンプにつながることがある。これを軽減するため、異常スコア付けシステムは区分的に線形化されることができる。
図5を参照するに、呼吸数についての区分線形化されたEWSスコア付けシステムの例が示されている。実線はスコア付けシステムの線形化されたバージョンを示し、破線はスコア付けシステムの離散的なバージョンを示す。ある種の実施形態では、線形化のために最良当てはめ〔ベストフィット〕手法が用いられるが、他の手法も考えられる。
【0032】
さらに、異常スコア付けシステムにおいて諸生命徴候に帰される個々のスコアは典型的には符号なしであるが、低すぎる生命徴候と高すぎる生命徴候についての生命徴候測定値の間の区別をするために、符号付きのスコアが用いられることが考えられる。たとえば、そのような区別は、高すぎるおよび低すぎる個々の生命徴候についてのスコアにそれぞれプラス(「+」)符号およびマイナス(「−」)符号を加えることによってできる。
図6を参照するに、呼吸に対する符号付きの異常スコア付けの例が示されている。
図5と同様に、実線はスコア付けシステムの区分線形化されたバージョンを示しており、破線はスコア付けシステムの離散バージョンを示している。
【0033】
生理的スコアを計算するとき、生理的スコアを計算するために必要とされる生理的パラメータの全部よりも少ないものについての生理的パラメータ値が受領される状況が生じることがある。生理的パラメータ値は欠陥のある測定および/または観察のため欠けていることがあるし、あるいは測定および/または観察の周期性の差から生じることがある。たとえば、毎分測定される心拍数と、30分ごとに測定される非侵襲的血圧(NIBP: non-invasive blood pressure)である。この状況に対する一つの解決策は、生理的スコアを計算するために必要とされる生理的パラメータのそれぞれについての最も最近の生理的パラメータ値をたとえばメモリ中に記憶することである(104)。それに関し、生理的パラメータ値は、対応する生理的パラメータについての新しい生理的パラメータ値が受領されるまで使われる。他の解決策は、欠けている情報を、他の生理的パラメータまたは生理的パラメータのモデル化された組み合わせから導出することである(たとえばECGおよびSpO
2はいずれも心拍数データを供給できる)。
【0034】
図4に戻って参照すると、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は複数のアラーム・レベルと比較される(106)。アラーム・レベルは閾値、範囲などの一つまたは複数を含むことができる。典型的には、アラーム・レベルは臨床担当者によって決定されるおよび/または方法100を用いる病院などの医療機関のポリシーによって定義される。しかしながら、ある種の実施形態では、アラーム・レベルは動的に生成されることができる(108)。アラーム・レベルは個々の患者、病棟、医療機関などに合わせて調整できることが考えられている。ある種の実施形態では、臨床担当者は、医療スコア付けシステムの閾値のような生理的スコア付けシステムのパラメータを、ユーザー入力装置の使用を通じて手動で調整する。他の実施形態では、生理的スコア付けシステムは、たとえば患者情報システムからの患者情報に基づいて自動的に調整される。
【0035】
アラーム・レベルを選択することへのいかなる特定のアプローチも必須ではないが、アラーム・レベルは、患者の悪化への敏感さを最大にしつつ、アラームを最小にするよう選択されるべきである。
図7を参照するに、EWSスコア付けシステムについてのアラーム閾値と種々の禁止期間についての患者当たりの一日当たりの平均アラーム数との間の関係の例が与えられている。高いアラーム閾値および/または長い禁止期間が選ばれるときは、アラーム数は低い。対照的に、低い閾値が選ばれるときは、方法100は異常な生命徴候の検出のためにより敏感になる。しかしながら、長い禁止期間との組み合わせでは、禁止期間内のさらなる悪化の場合にはアラームは出されない。
【0036】
アラーム・レベルを動的に生成する(108)一つの手法は、デルタおよび初期アラーム・レベルの使用を通じてである。たとえば、異常スコアについての閾値3が初期アラーム・レベルを定義し、デルタが0.5の場合、初期アラームは3.0において鳴り、別のアラームは、たとえまだ初期アラーム・レベルの禁止期間内だったとしても、3.5において鳴る。該他のアラームを出したのち、3.5レベルについての新たな禁止期間が設定され、別のアラーム・レベル4が、患者がさらに悪化した場合にトリガーすべき次のアラーム・レベルとなる。デルタは個々の患者、病棟、医療機関などに合わせて調整されることができる。ある種の実施形態では、臨床担当者がユーザー入力装置の使用を通じて手動でデルタを調整する。他の実施形態では、デルタはたとえば患者情報システムからの患者医療記録に基づいて自動的に調整される。より重篤な患者(たとえばより高い異常スコアをもつ患者)については、悪化に対する感度を高めるために、より低いデルタが選ばれることができる。禁止期間後には、閾値は下げられる。
【0037】
図8を参照するに、グラフがEWSスコア付けシステムについてのデルタと患者当たり一日当たりのアラーム数との間の関係の例を示している。重要な観察は、デルタを実装することにより、方法100は、平均アラーム負荷に対する悪影響が最小限でありながら、患者状態のさらなる悪化に非常に敏感であるということである。さらに、デルタを高く設定しすぎると新たなアラームがほとんどトリガーされなくなり、一方、小さく設定しすぎると短期間にアラームのバーストが引き起こされることになりうる。デルタに対する合理的な値を評価する一つの手法は、アラーム間の時間差をプロットすることによる。
図9を参照するに、EWSスコア付けシステムについてのそのようなプロットの例が示されている。ここでは、480分における大きなピークが見え、これは480分(8時間)という選ばれた禁止期間からの論理的な帰結である。デルタについての小さな値(0.5)が選ばれる場合には、アラーム間の短い時間における大きなピークが見えるようになる。これはEWSにおける上昇傾向の間の迅速に相続くアラームによって引き起こされる。種々の設定における生成される事象の目視検査に基づくと、デルタについての合理的な値は1〜2のオーダーである。
【0038】
図4に戻って参照するに、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値がアラーム・レベルの禁止されていないものの中にはいることに応答して(110)、アラームが生成される。アラームは好適には、臨床担当者に、患者をチェックするよう通知し、ある種の実施形態では該アラームの深刻さを通知する。その後、トリガーされるアラーム・レベルについて、数時間のオーダーなどの長い禁止期間が設定される(112)。ある種の実施形態では、禁止期間は、より低いアラーム・レベルについてのアラームも抑制する。臨床担当者がアラームを逃さないことを保証するよう、禁止期間は典型的には、アラームがたとえば臨床担当者によって受取確認されたあとにのみ設定される。禁止期間の長さはアラーム・レベルの間で可変であることができる。ある種の実施形態では、看護師シフトの継続時間(たとえば8時間)に匹敵する禁止期間が用いられる。有利なことに、これは、シフトの間に変わっていない患者状態についてはアラームが出されないことを保証する一方、次のシフトの新しい看護師は既存の患者状態について改めて通知される。他の実施形態では、次の看護師シフトまでの禁止期間が用いられる。しかしながら、これは、各看護師シフトの始めに多数のアラームが鳴るという欠点がある。他の実施形態では、より高い異常スコアまたは生命徴候測定値についてはより短い禁止期間が用いられる。
【0039】
アラームを発するのに応答して(114)、ある種の実施形態では、アラームを発した後に、複数のアラーム・レベルにまたがる短い禁止期間が設定される。換言すれば、すべてのアラームをサスペンドする短い禁止期間が設定される。好適には、この短い禁止期間は5〜10分など、数分のオーダーである。一般病棟における看護師の典型的な応答時間は数分のオーダーであるので、有利なことに、これは、患者の健康を有意にまたは全く損なうことなくアラーム負荷を低減させる。
【0040】
異常スコアは、通信するのが容易な値であるという利点がある。たとえば、「患者xはEWS 6をもつ」。しかしながら、欠点は、個々の生命徴候の寄与がどうであるかをもはや明かさないということである。これは、特に打ち消し合ういくつかの生命徴候の改善と他の生命徴候の悪化がある場合に、異常スコアの組成における変化を検出しない危険につながる。一定の異常スコアのため、生命徴候が変動しているにもかかわらず状況が安定していると誤って評価することがありうるので、これは望ましくない。したがって、ある種の実施形態では、異常スコアの組成が組成変化について評価され(116)、組成変化に応答して(118)上記のようにアラームおよび禁止期間がトリガーされる。
【0041】
心拍数(HR: heart rate)および呼吸数(RR: respiration rate)から導出される異常スコア(今の場合EWS)の組成の変化の例が
図10に示されている。灰色の領域は無効なデータの期間であり、×(ばつ)印は出されていたであろうアラームを表す。破線の水平線は、異なる「EWS点」の数をスコア付けする領域についての境界である。EWS点〔ポイント〕は大きなフォントサイズで示されている。第一のアラームはHRのため時刻23:00付近に出される。これは両方のグラフにおける×印によって示されている。次いで、HRがいくぶん改善する一方、呼吸数がやや高すぎから非常に高すぎに悪化する。結果として、EWSは同じままである。しかしながら、たとえそうであっても、望ましく状況があり、新たなアラームが正当化される。
【0042】
この例に基づく組成変化について異常スコアを評価する(116)(
図4)ための一つの手法は、
図11の部分
図A〜Cを使って説明される。以下で見るように、
図6の符号付きの異常スコア付けがここで格別な用途を見出す。部分
図A〜Cは、たとえば呼吸数(RR)および心拍数(HR)に基づく二次元の異常スコア(すなわちEWS)についての場合を示している。斜めの線は一定の異常スコアを示す。さらに、ハイライトされた正方形の領域119は、アラームを生成するよう設定されている最小アラーム・レベルを表す(この例では、レベル2が選ばれている)。
【0043】
部分
図Aを参照するに、点120は、呼吸が異常に低い(すなわち−0.5)ことについて0.5ポイントをスコア付けし、HRが異常に高い(すなわち1.7)ことに対して1.7ポイントをスコア付けする測定値を示している。このように、全異常スコアは2.2である。アラームがトリガーされたのち、部分
図Bにおいてハイライトされた四角122によって示されるように、より高いアラーム・レベルが自動的に選択される。この例は、1.0のデルタを想定している。部分
図Cにおけるハイライトされた長方形の領域124(禁止ゾーンとも称される)は、組成変化が気づかれないままとなるかもしれないという先述した問題を防止するために設定されている追加的な境界を示す。出された最後のアラーム(すなわち、部分
図Aのアラーム)のスコア・ベクトル126がハイライトされた長方形領域124の軸をなす。現在のスコア・ベクトル128がこの領域外にドリフトする場合には、たとえ次の絶対的なアラーム・レベル(この例では3.0)が上げられていないとしても、新たなアラームが鳴る。このドリフトの検出は、現在のスコア・ベクトル128と前のアラームのスコア・ベクトル126との間のベクトル距離φを連続的にチェックすることによってなされる。この距離が定義された、たとえばユーザー設定されたレベルεより大きければ、アラームが鳴り、ハイライトされた長方形領域124が再定義される。距離のこの計算は、標準的なベクトル代数を使ってできる。この代数は、この手法がより多くの生命徴候に拡張される場合にも本質的には同じままである。
【0044】
図12を参照するに、距離εの関数としてのアラームの数の例が示されている。値は初期EWSが3、デルタが1、禁止期間が480分についてのものである。見て取れるように、距離εが大きすぎると、方法100は組成の変化に敏感でなくなり、距離εが小さすぎると、ハイライトされた長方形領域124の幅がスコア・ベクトル組成の通常の変動と同様になるので、アラーム数が増す。
図12および生成されたアラームのうちいくつかの目視検査に基づくと、ハイライトされた長方形領域124の幅についての合理的な値は1〜4のオーダーである。
【0045】
図10の例は、
図13に示されるように「EWS空間」でもプロットできる。測定値は相互接続された点によって示され、矢印130が時間の方向を示す。
図10の二つのアラームはこの図では円132によって示されている。ハイライトされた長方形の領域134(εは2)は、上記のハイライトされた領域124と同様の禁止領域である。EWS組成の大きな変化のため、新たなアラームが出される。
【0046】
心拍数(HR)および呼吸数(RR)から導かれる異常スコア(この場合はEWS)の組成における変化のもう一つの例が
図14に示されている。灰色の領域が無効なデータの期間であり、×(ばつ)印はアラームが出されていたであろう時点である。破線の水平線は、異なる「EWS点」の数をスコア付けする領域についての境界である。EWS点〔ポイント〕は大きなフォントサイズで示されている。第一のアラームは、異常に低い呼吸数(3 EWS点のスコア)のため、×印で示される時刻12:15付近に出される。時刻17:15付近には絶対的なEWSはいまだ3点より低いスコアだが、呼吸が急速に増しつつあるので、状況は不安定である。何ら技術的方策が講じられないと、1)前のアラームは8時間未満前であったこと、2)呼吸についてのEWSはいまだ時刻12:15においてスコア付けされたものより低いこと、および3)前のアラーム・ベクトルに対する垂直距離φが小さいことのため、アラームは発されない。
【0047】
概略的には、上記の状況は
図11の部分
図Dに描かれている。部分
図Dは、たとえば呼吸数(RR)および心拍数(HR)に基づいて二次元の異常スコア(すなわちEWS)についての事例を示している。斜めの線は一定の異常スコアを示す。さらに、ハイライトされた正方形の領域136は、アラームを生成するよう設定されている最小アラーム・レベルを表し(この例では、レベル2が選ばれている)、より高いアラーム・レベルがハイライトされた四角138によって示されている。さらに、現在のスコア・ベクトル140および前のアラームのスコア・ベクトル142が示されている。
【0048】
この例に基づく組成変化についての異常スコアを評価するための一つの手法は、現在のスコア・ベクトル140と前のアラームのスコア・ベクトル142との間の内積を計算することを含む。内積<0(90°より大きな回転)については、アラームが発されることを許容するよう、禁止期間はオフにされるべきである。
【0049】
図15を参照するに、呈示される手法から帰結する低いアラーム負荷が示されている。初期アラーム・レベルは3.0、デルタは1.0、禁止期間は8時間である。患者当たり一日の一時間当たりの約0.02回のアラームの平均アラーム・レートになっている。25床の病棟については、これは約2時間当たり一回のアラームと同様になる。
【0050】
ここまでの議論は、所定の長さの時間が経過した後にアラーム・レベルを再装備することを扱ってきた。たとえば、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値があるアラーム・レベルの中にはいるとき、アラームがトリガーされ、所定の長さの禁止期間が設定されて、該禁止期間が終わるまで同じアラーム・レベルがそれ以上のアラームをトリガーすることを禁止する。しかしながら、再装備に向けた他のアプローチも考えられる。
図16を参照するに、再装備の適応的方法150のブロック図が提供される。
【0051】
適応的方法150は、アラームに応答して臨床担当者が講じる典型的な介入措置になじみがあることを前提としている。たとえば、血流力学的安定性のについてのアラームに応答して講じられる典型的な介入措置は、流体、昇圧剤または濃縮赤血球の投与を含む。さらに、適応的方法150は、アラームに応答して臨床担当者によって講じられる介入措置を記述する臨床データの少なくとも一つの源を前提としている。たとえば、そのような源は、ユーザー入力装置を介して講じられた介入措置に関するデータを臨床担当者が提供する患者情報システムであることができる。さらに、適応的方法150は、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値によってトリガーされるアラームが血流力学的安定性または栄養学的安定性といった生理的条件に関する患者の安定性を反映することを前提としている。以上が満たされている場合に、適応的方法150は再装備のために利用できる。
【0052】
生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータの生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が禁止されていないアラーム・レベル内にはいるとき、アラームがトリガーされ、そのアラーム・レベルは禁止される。アラーム・レベルを禁止するのに応答して、適応的方法150は、3時間など所定の長さの時間待つ(152)。典型的には、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータは予測的であり、そのためそれから生成されるアラームは患者悪化に先立ってトリガーされる。所定の長さの時間は典型的にはこの先行時間に対応し、典型的には生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値の生理的状態に依存して変わる。所定の長さの時間が経過したのち、該所定の長さの時間の間に、アラームに対処するために介入措置が投与されたかどうかについての判定154が、受領された臨床データに基づいてなされる。これは、介入が起こったという実際の知識または生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値のその生理的条件についての典型的な過去の介入措置の知識に基づくことができる。
【0053】
介入措置が講じられなかった場合、適応的方法150は、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータの現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、アラームの時点における生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に比べある閾値量だけ悪化してしまうまで待つ(156)。閾値量は固定でもよいし、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータの前の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に対する距離の半分など、可変でもよい。現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値がひとたび悪化したら、そのアラーム・レベルは再装備される(158)。このようにして再装備することにより、かなりの時間が経過したあとに臨床担当者による介入の欠如が、最初のアラームの時点での患者の状態が、その特定の患者について、受け入れ可能、正常または安定していると解釈される。したがって、現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が人口標準からすれば異常または不安定であっても、適応的方法はそれがこの患者については正常であることを学習する。
【0054】
介入措置が講じられた場合、これは臨床担当者による受取確認であると認識され、さらなるアラームは不要になる。適応的方法150は、少なくとも一つの再装備条件が満たされるまで待つ(160)。再装備条件は、固定した時間期間が経過した、現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、アラームの時点での生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に比べて所定量だけ悪化した、現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、アラームの時点での生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値などの前の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値からの距離の半分より大きく悪化した、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータの生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値がアラーム以来少なくとも一度ある固定した閾値を下回った、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータの生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値がアラーム・レベルについての現在の境界によって決定される閾値および適用される介入についての典型的な変化に基づく閾値を下回った、を含む。再装備条件は、単独で、または互いとの組み合わせにおいて用いられることができる。ひとたび介入が完了し、少なくとも一つの再装備条件が満たされると、アラーム・レベルが再装備される(158)。
【0055】
いくつかの実施形態では、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータは生命徴候インデックス(VIX: vital signs index)である。VIXは、典型的には、現在の生理的パラメータ値のような低遅延のデータと、任意的に、試験所試験結果のような高遅延データおよび/または人口学的情報のような静的データとを、患者の血流力学的状態、肺安定性、栄養学的安定性などといった患者の生理的条件の安定性を反映する単一の値に組み合わせる生理的スコア付けシステムである。VIX値は、連続的に、および/またはタイマー事象、ユーザー入力事象、新しいデータの入手可能性などといった事象の生起に際して計算されることができる。さらに、いくつかの実施形態では、VIX値は履歴解析のために保存される。
【0056】
生理的条件の安定性についてのVIX値は、予測変数に基づいてVIX値を生成するVIXモデルに、予測変数についての値を与えることによって計算される。予測変数は、生理的条件の安定性を決定するのに有意な、生命徴候、人種などの静的データから抽出された特徴などの一つまたは複数である。モデルによって生成されるVIX値は典型的には確率である。たとえば、VIX値は典型的には0から1までの間の範囲である。ここで、値が1に近いほど、患者が不安定である可能性が高い。VIXモデルはロジスティック回帰、多変量ロジスティック回帰、線形回帰およびサポート・ベクター・マシン学習のような任意の予測モデル方法論を用いることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、VIXモデルは次の形の血流力学的安定性についてのロジスティック回帰モデルを含む。
【0058】
【数1】
このモデルは、血流力学的安定性を決定する際に非常に重要な予測変数であるSBPおよびSIを考慮に入れ、0から1までの間のVIXを返す。VIXが高いほど、患者は安定でない。いくつかの実施形態では、SBPについての係数β
1は負である。SBPが低くなるにつれ、VIXは、患者がより安定でない状態に近づいていることを反映して、増大する傾向がある。さらに、SIについての係数β
2は正である。SIが高くなるほど、VIXは、やはり安定性の低下を反映して、増大する傾向がある。
【0059】
図17を参照するに、ある患者についてのVIXおよび対応する入力SBPおよびHRの、数時間にわたるプロットが示されている。時刻214.5において、患者のVIX値がアラート閾値をまたぐためアラートが生成される。最初のアラートに続く三時間の間、何の介入も講じられない。これは、最初のアラートの時点における患者のダイナミクスが、その特定の患者について正常または受け入れ可能であることを意味すると解釈される。したがって、三時間経過後、患者のVIXは最初のアラートの時点よりそれほど高くないため、何のアラートも生成されない。しかしながら、時刻222.5に達する時点までに、VIXは著しく増大しており、よってその患者についてさらなるアラートが発される。時刻226では、臨床担当者が昇圧剤を投与しており、このことは実際にその患者が血流力学的不安定性の臨床上注意すべき事象を経験したことを示している。
【0060】
いくつかの実施形態では、生理的スコア付けシステムおよび/または生理的パラメータはベースラインVIX(bVIX)である。bVIXは、過去の所定の長さの時間にわたってVIXがどのように振る舞ってきたかを示す生理的スコア付けシステムである。一連のVIX値における傾向を推定するために多くの方法が使用できる。いくつかの方法は、他よりも洗練されている。ある実施形態では、bVIXは、過去の所定の長さの時間内の最大VIX値または90百分位VIX値である。
【0061】
以上に鑑みて、対応する臨床担当者によって実施される介入措置またはその不在に関する臨床データを、最初のアラーム発報の際の患者の状態のコンテキストにおいて解釈することによって、患者の個々の生理的相違に敏感な再装備の方法が提供される。本方法は、直接的な臨床担当者フィードバックの不在において個人のダイナミクスを学習し、これに適応することのできる予測アラーム・システムを創り出すために好適に用いられることができる。
【0062】
図18を参照するに、ブロック図が、病院のような医療機関の情報技術(IT)インフラストラクチャー200のある実施形態を示している。ITインフラストラクチャー200は、通信ネットワーク208を介して相互接続された、一つまたは複数のベッドサイドまたは抽出検査(spot-check)患者モニタリング・システム202、患者情報システム204、一つまたは複数の患者情報表示システム206などを含む。通信ネットワーク208は、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラー・ネットワーク、データ・バスなどの一つまたは複数を含むことが考えられている。
【0063】
患者モニタリング・システム202は、医療機関によってケアされる患者(図示せず)についての生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領する。典型的には、患者モニタリング・システム202は、たとえば、心電図(ECG)電極、血圧センサー、SpO
2センサー、脈拍センサー、温度計、呼吸センサー、呼気センサー、非侵襲的血圧(NBP)センサーなどといった一つまたは複数のセンサー210を介して、あるいは試験所設備または他の患者モニタリング・システムのようなITインフラストラクチャー200の他のコンポーネントから自動的に収集される、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領する。しかしながら、患者モニタリング・システム202は、たとえばユーザー入力装置212を介して臨床担当者から手動で集められる生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領することができる。生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値がユーザー入力装置から受領されるある種の実施形態では、そのようなユーザー入力を容易にするためにディスプレイ214が用いられることができる。生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は典型的には連続的に受領されるが、代替的には、タイマー事象のような事象の生起に際して受領されることができる。
【0064】
患者モニタリング・システムが生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領するとき、患者悪化を検出するために段階式のアラーム方式を使って患者アラームを生成するための方法100を適用するために、対応する悪化検出モジュール216が用いられる。ある種の実施形態では、生理的スコア付けは、患者情報システム204内の患者情報に基づいて、患者に合わせて調整される。悪化が検出される限り、患者モニタリング・システムはアラームを生成する。ある種の実施形態では、アラームは聴覚的および/または視覚的警告として、たとえば対応するディスプレイを介して生成される。他の実施形態では、患者悪化の通知は、患者情報表示システム206の一つのようなITインフラストラクチャー200の別のコンポーネントに与えられる。さらに、ある種の実施形態では、所定の長さの時間の経過ではなく、
図16の方法150が、再装備するために用いられる。
【0065】
上記の機能を実行するために、患者モニタリング・システム202は好適には一つまたは複数のメモリ218および一つまたは複数のプロセッサ220を含む。患者モニタリング・システムの一般的な例は患者が身につけることのできる患者モニタ、ベッドサイド患者モニタ、抽出検査患者モニタおよび中央患者モニタである。メモリ218は、患者モニタリング・システムの上記の機能の一つまたは複数を実行するための実行可能な命令を記憶し、悪化検出モジュール216を好適に具現する。プロセッサ220は、メモリ218に記憶されている実行可能な命令を実行して、患者モニタリング・システム202に関連する機能を実施する。患者モニタリング・システム202が通信ネットワーク208を通じて通信するよう動作する場合は、患者モニタリング・システム202はさらに、プロセッサ220と通信ネットワーク208との間の通信を容易にする一つまたは複数の通信ユニット222を含む。
【0066】
中央記録医療データベースのような患者情報システム204は典型的には、たとえば電子カルテ(EMR: electronic medical records)を含む患者情報の中央貯蔵所としてはたらく。追加的または代替的に、患者情報システム204は、患者についての生理的スコア、生理的パラメータ値および臨床データの一つまたは複数を受領し、その一つまたは複数のメモリ224に記憶する。典型的には、生理的パラメータ値および生理的スコアは、たとえば通信ネットワーク208を介してITインフラストラクチャー200の諸コンポーネントから受領されるが、前記測定値は、一つまたは複数のユーザー入力装置212、226を介して手動で入力されることもできる。後者に関し、ディスプレイ228を介して呈示されたユーザー・インターフェースはそのような手動入力を容易にすることができる。患者情報システム204はさらに、ITインフラストラクチャー200の諸コンポーネントが、患者についてのEMRおよび/または生理的パラメータ値のような記憶されているデータに、通信ネットワーク208を介してアクセスすることを許容する。
【0067】
上記の機能を実行するため、患者情報システム204は好適には一つまたは複数の通信ユニット230、メモリ224および一つまたは複数のプロセッサ232を含む。通信ユニット230は、プロセッサ232と通信ネットワーク208との間の通信を容易にする。メモリ224は、患者情報システム204の上記の機能の一つまたは複数を実行するようプロセッサ232を制御するための実行可能な命令を記憶する。プロセッサ232はメモリ224上に記憶されている実行可能な命令を実行する。
【0068】
患者情報表示システム206は、医療機関によってケアされている患者についての生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を、ITインフラストラクチャー200のあるコンポーネントから通信ネットワーク208を通じて受領する。追加的または代替的に、患者情報表示システム206は医療機関によってケアされている患者についてアラームを受領する。受領されたデータを使って、患者情報表示システム206は、そのデータを臨床担当者に対してグラフィックに呈示するためおよび/またはアラームを生成するために付随するディスプレイ234を更新する。アラーム生成に関し、たとえばディスプレイ234を介した聴覚的および/または視覚的なアラームが考えられている。さらに、ある種の実施形態では、患者情報表示システム206のユーザー入力装置236が、アラームを生成するITインフラストラクチャー200のコンポーネントに対してアラームの受取確認をするために用いられる。
【0069】
上記の機能を実行するために、患者情報表示システム206は好適には一つまたは複数の通信ユニット238、一つまたは複数のメモリ240および一つまたは複数のプロセッサ242を含む。通信ユニット238は、プロセッサ242と通信ネットワーク208との間の通信を容易にする。メモリ240は、患者情報表示システム206の上記の機能の一つまたは複数を実行するようプロセッサ242を制御するための実行可能な命令を記憶する。プロセッサ242はメモリ240上に記憶されている実行可能な命令を実行する。
【0070】
本稿での用法では、メモリは非一時的なコンピュータ可読媒体;磁気ディスクまたは他の磁気記憶媒体;光ディスクまたは他の光学式記憶媒体;ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)または他の電子的メモリデバイスまたはチップまたは一組の動作上相互接続されたチップ;記憶された命令がインターネット/イントラネットまたはローカル・エリア・ネットワークから取り出されうるインターネット/イントラネット・サーバーなどの一つまたは複数を含む。さらに、本稿での用法では、プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの一つまたは複数を含む;ユーザー入力装置は、マウス、キーボード、タッチスクリーン・ディスプレイ、一つまたは複数のボタン、一つまたは複数のスイッチ、一つまたは複数のトグルなどの一つまたは複数を含む;ディスプレイはLCDディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマ・ディスプレイ、プロジェクション・ディスプレイ、タッチスクリーン・ディスプレイなどの一つまたは複数を含む。
【0071】
本発明について、好ましい実施形態を参照して記述してきた。以上の詳細な記述を読み、理解すれば他の者にも修正および変更が思いつくことがある。たとえば、本稿に開示される方法およびシステムは一般病棟人口を念頭に作られていたが、アラーム・エスカレーションは、ICU、救急ケアまたは家庭モニタリングといった他のヘルスケア場面にも適用できる。本発明は、付属の請求項およびその等価物の範囲内にはいる限りそのような修正および変更すべてを含むものと解釈されることが意図されている。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
段階的なアラーム方式を使って患者アラームを生成するシステムであって:
生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領する段階と;
前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を複数のアラーム・レベルと比較する段階と;
ある生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が前記アラーム・レベルの禁止されていないゾーン内にはいることに応答して、アラームを発する段階と;
前記アラームを発したのちに前記禁止されていないアラーム・レベルについて第一の禁止期間を設定する段階とを
実行するようプログラムされた一つまたは複数のプロセッサを有する、システム。
〔態様2〕
生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領することが、前記生理的スコアを前記生理的値から計算することを含む、態様1記載のシステム。
〔態様3〕
前記生理的スコアが異常スコア付けシステムを使って計算され、前記異常スコアは前記生理的パラメータ値の複数の生命徴候測定値に基づく、態様1または2記載のシステム。
〔態様4〕
前記異常スコア付けシステムが区分線形化される、態様3記載のシステム。
〔態様5〕
前記第一の禁止期間が前記アラームの受取確認に応答して設定される、態様1ないし4のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様6〕
前記プロセッサがさらに:
初期アラーム・レベルおよびデルタから前記複数のアラーム・レベルを生成するようプログラムされており、前記複数のアラーム・レベルは前記初期アラーム・レベルおよび深刻さが増していく一つまたは複数のアラーム・レベルを含み、前記アラーム・レベルは前記初期アラーム・レベルおよび前記アラーム・レベルの他のアラーム・レベルから前記デルタ単位の増分だけ離間している、
態様1ないし5のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様7〕
前記プロセッサがさらに:
アラームを発するのに応答して、前記複数のアラーム・レベルのすべてにまたがる第二の禁止期間を設定するようプログラムされており、前記第二の禁止期間は前記第一の禁止期間より短い、
態様1ないし6のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様8〕
前記プロセッサがさらに:
前記生理的スコアの異常スコアを、組成の変化について評価し;
前記異常スコアの組成の変化に応答して、第二のアラームを発し;
前記第二のアラームを発したのちに前記禁止されていないアラーム・レベルについての禁止期間を設定するようプログラムされている、
態様1ないし7のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様9〕
前記プロセッサがさらに:
複数の再装備条件のうちの少なくとも一つが満たされることに応答して、前記禁止されていないアラーム・レベルを再装備するようプログラムされており、前記再装備条件は第一の再装備条件および第二の再装備条件を含み、
前記第一の再装備条件は:
所定の長さの時間が経過したこと;
前記所定の長さの時間の間、介入が実施されなかったこと;および
現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に比べて所定量だけ悪化したことを含み;
前記第二の再装備条件は:
前記所定の長さの時間が経過したこと;
前記所定の長さの時間の間に介入が実施されたこと;および
再装備条件が満たされることを含む、
態様1ないし8のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様10〕
前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、生理的状態の安定性の予測モデルを使って前記生理的パラメータ値から計算される生命徴候インデックス(VIX)値を含む、態様9記載の方法。
〔態様11〕
前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、過去の所定の長さの時間にわたるVIXの傾向を示すベースライン生命徴候インデックス(VIX)値を含む、態様9記載のシステム。
〔態様12〕
態様1ないし11のうちいずれか一項記載のシステムであって、さらに:
前記生理的パラメータ値の一つまたは複数の生命徴候を測定する一つまたは複数のセンサー;
前記生理的パラメータ値および/または前記生理的スコアの値を受領する一つまたは複数のユーザー入力装置;および
通信ネットワークであって、生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を当該システムと、前記通信ネットワークに接続された他のコンポーネントとの間で交換する通信ネットワーク;
のうちの少なくとも一つを含み、
前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は、前記センサー、前記ユーザー入力装置および前記通信ネットワークの少なくとも一つから受領される、
システム。
〔態様13〕
段階的なアラーム方式を使って患者アラームを生成する方法であって:
生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領する段階と;
前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を複数のアラーム・レベルと比較する段階と;
ある生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が前記アラーム・レベルの禁止されていないゾーン内にはいることに応答して、アラームを発する段階と;
前記アラームを発したのちに前記禁止されていないアラーム・レベルについて第一の禁止期間を設定する段階とを含む、
方法。
〔態様14〕
生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領する段階が、前記生理的スコアを前記生理的値から計算することを含む、態様13記載の方法。
〔態様15〕
前記生理的スコアの異常スコアを、組成の変化について評価する段階と;
前記異常スコアの組成の変化に応答して、第二のアラームを発する段階と;
前記第二のアラームを発したのちに前記アラーム・レベルの前記禁止されていないゾーンについての禁止期間を設定する段階とを含む、
態様13または14記載の方法。
〔態様16〕
前記第一の禁止期間が前記アラームの受取確認に応答して設定される、態様13ないし15のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様17〕
初期アラーム・レベルおよび増分デルタから前記複数のアラーム・レベルを生成する段階をさらに含み、前記複数のアラーム・レベルは前記初期アラーム・レベルおよび深刻さが増していく一つまたは複数のアラーム・レベルを含み、前記アラーム・レベルは前記初期アラーム・レベルおよび前記アラーム・レベルの他のアラーム・レベルから前記増分デルタ一つまたは複数ぶんだけ離間している、
態様13ないし16のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様18〕
複数の再装備条件のうちの少なくとも一つが満たされることに応答して、前記禁止されていないアラーム・レベルを再装備する段階をさらに含み、前記再装備条件は第一の再装備条件および第二の再装備条件を含み、
前記第一の再装備条件は:
所定の長さの時間が経過したこと;
前記所定の長さの時間の間、介入が実施されなかったこと;および
現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が、前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に比べて所定量だけ悪化したことを含み;
前記第二の再装備条件は:
前記所定の長さの時間が経過したこと;
前記所定の長さの時間の間に介入が実施されたこと;および
再装備条件が満たされることを含む、
態様13ないし17のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様19〕
態様13ないし18のうちいずれか一項記載の方法を実行するよう一つまたは複数のプロセッサを制御するソフトウェアを担持する非一時的なコンピュータ可読媒体。
〔態様20〕
禁止されたアラーム・レベルを再装備するシステムであって:
生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値を受領し;
前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値は複数のアラーム・レベルと比較し;
ある生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が前記アラーム・レベルの禁止されていないゾーン内にはいることに応答して、アラームを発し;
前記禁止されていないアラーム・レベルについて禁止期間を設定し;
前記禁止期間を設定することに応答して、所定の長さの時間だけ待ち;
前記所定の長さの時間の間に介入措置が講じられたかどうかを判定し;
介入措置が講じられておらず、現在の生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値が前記生理的スコアおよび/または生理的パラメータ値に比べて所定量悪化したことを判別するのに応答して、前記禁止されていないアラーム・レベルを再装備するようプログラムされた一つまたは複数のプロセッサを有する、
システム。