特許第6018624号(P6018624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018624タッチセンシング用光学フィルタ処理センサ・イン・ピクセル技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018624
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】タッチセンシング用光学フィルタ処理センサ・イン・ピクセル技術
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20161020BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G06F3/042 L
   G06F3/042 471
   G06F3/041 412
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-506545(P2014-506545)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-512622(P2014-512622A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012034226
(87)【国際公開番号】WO2012145496
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】61/477,007
(32)【優先日】2011年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513012130
【氏名又は名称】パーセプティブ ピクセル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100153028
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 忠
(72)【発明者】
【氏名】スロボディン,デーヴィッド・エリオット
【審査官】 原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−545828(JP,A)
【文献】 特開2010−040042(JP,A)
【文献】 特開2001−028452(JP,A)
【文献】 特開2008−241807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/042
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光源と、
前記光源によって放出された赤外光を受光し、受光した前記赤外光の少なくとも一部が導波路内で内部全反射を起こすように構成された導波路と、
前記導波路に対して配置されたフラストレイティング層と、
前記導波路および前記フラストレイティング層を介して知覚できる画像を表示するように構成され、複数のフォトセンサを含むセンサ・イン・ピクセル・ディスプレイであって、前記複数のフォトセンサは、接触点のところで前記導波路から外れる前記赤外光の少なくとも一部を感知するように構成され、前記画像の各ピクセルに対応するフォトセンサを有する、センサ・イン・ピクセル・ディスプレイと
を備え、
前記複数のフォトセンサの各々は光検出器を含み、該光検出器は、可視光をフィルタ処理するように構成された第1の層と、前記第1の層を透過した赤外光を感知するように構成された第2の層とを含み、赤外光を感知する際に前記光検出器によって生成された電気は、前記第1の層および前記第2の層の各々を通って流れ
前記フラストレイティング層は、前記導波路から外れる光を前記センサ・イン・ピクセル・ディスプレイの方に案内するよう構成された光案内ミクロ構造を含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記第1の層は、前記第2の層の上に位置し直接隣接し、前記赤外光は前記第1の層を前記センサ・イン・ピクセル・ディスプレイに向かう方向に透過する、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々は、赤外光に対する感度が、可視光に対する感度よりも高い、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々は、赤外光に対して感度があり、可視光に対して感度がない、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々において、
前記第1の層は、400ナノメートルと700ナノメートルの間の波長を有する光を吸収し、700ナノメートルよりも長い波長を有する光を透過するように構成され、
前記第2の層は、前記第1の層を透過する700ナノメートルと880ナノメートルとの間の波長を有する光を感知するように構成された、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々が、水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)を含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々は、微結晶質シリコンを含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々において、
前記第1の層は、1.7eVから1.8eVの実効バンドギャップを有する、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々において、
前記第1の層は、約0.2マイクロメートルから0.5マイクロメートルの厚さを有し、高濃度にドープされたp型アモルファスシリコンを含み、
前記第2の層は、水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)および微結晶質シリコンのうちの少なくとも一方を含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々において、
前記第1の層は、約0.2マイクロメートルから0.5マイクロメートルの厚さを有し、高濃度にドープされたn型アモルファスシリコンを含み、
前記第2の層は、水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)および微結晶質シリコンのうちの少なくとも一方を含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記複数のフォトセンサの各々において、
前記第1の層は、三元合金を含み、
前記第2の層は、水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)および微結晶質シリコンのうちの少なくとも一方を含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記三元合金は、ある比率のゲルマニウムおよび窒素を含むもの(a−SiGeN)である、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記三元合金は、ある比率のゲルマニウムおよび酸素を含むもの(a−SiGeO)である、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項14】
請求項11に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記三元合金は、ある比率のゲルマニウムおよび炭素を含むもの(a−SiGeC:H)である、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項15】
請求項11に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記三元合金は、a−SiGeN:H層を含む、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項16】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、前記フラストレイティング層は、前記センサ・イン・ピクセル・ディスプレイと接触する、タッチセンシティブディスプレイデバイス。
【請求項17】
請求項1又は2に記載のタッチセンシティブディスプレイデバイスであって、タッチ入力を受け、該タッチ入力に基づいて前記導波路および前記フラストレイティング層を接触させるように設置されたクラッド層をさらに備えたタッチセンシティブディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年4月19日出願の米国仮特許出願番号第61/477,007号の利益を主張し、すべての目的のためにその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
本開示は、タッチセンシング用の光学フィルタ処理センサ・イン・ピクセル技術に関する。
【背景技術】
【0003】
集積型フォトセンサを有する液晶ディスプレイ(LCD)は、薄型形状因子の範囲内でかつ低コストでタッチ入力能力を可能にするために開発中である。薄膜トランジスタ(TFT)基板内に水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)フォトダイオードまたはフォトトランジスタを組み込んでいるセンサ・イン・ピクセル(SIP)LCDが、他者(例えば、AbileahおよびDen Boer)により以前に開示されている。これらのデバイス構造は、TFTプレート中に既に存在するa−Si:H層をうまく利用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この設計の潜在的な欠点は、表示した画像からの可視光がカラーフィルタ基板内のさまざまな光学的な層からLCD TFT基板に向けて反射して戻ることがあるので、タッチ信号−雑音比(SNR)が、可視環境光強度および表示した画像によって強く影響を受ける場合があることである。これが、予測不可能な動作および誤ったタッチをもたらすことがある。これに加えて、明確なタッチしきい値点が存在しないことがあり、ディスプレイを指でタッチしなくとも、タッチが記録されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術は、タッチセンシング用の光学フィルタ処理センサ・イン・ピクセル技術について記述される。
【0006】
一態様では、タッチセンシティブディスプレイデバイスは、赤外光源と、光源によって放出された赤外光を受光し、かつ受光した赤外光の少なくとも一部が導波路内で内部全反射を起こすように構成された導波路と、タッチ入力が与えられるときに導波路と接触するように導波路に対して配置されたフラストレイティング層とを含む。フラストレイティング層は、導波路内で内部全反射を起こす受光した赤外光の一部が接触点のところで導波路から外れるように、フラストレイティング層と導波路との間の接触点のところで導波路内での受光した赤外光の内部全反射の妨害を引き起こすように構成される。タッチセンシティブディスプレイデバイスはまた、導波路およびフラストレイティング層を介して知覚できる画像を表示するように構成され、かつ複数のフォトセンサを含むセンサ・イン・ピクセル・ディスプレイを含む。複数のフォトセンサは、画像の各ピクセルに対応するフォトセンサを有し、かつ接触点のところで導波路から外れる赤外光の少なくとも一部を感知するように構成される。
【0007】
実装形態は、1つまたは複数の下記の特徴を含むことができる。例えば、フォトセンサの各々は、赤外光に対して高感度であり、かつ赤外光と比較して可視光に対して感度が低い場合がある。この例では、フォトセンサの各々は、赤外光に対して高感度であり、かつ可視光に対して感度がない。
【0008】
フォトセンサの各々は、可視光を吸収しかつ赤外光を透過するように構成された第1の層と、第1の層を通って透過した赤外光を感知するように構成された第2の層とを含むことができる。フォトセンサの各々は、400と700ナノメートルとの間の波長を有する光を吸収し、かつ700ナノメートルよりも長い波長を有する光を透過するように構成された第1の層と、第1の層を通って透過する700と880ナノメートルとの間の波長を有する光を感知するように構成された第2の層とを含むことができる。
【0009】
フォトセンサの各々は、水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)を含むことができる。フォトセンサの各々は、微結晶質シリコンを含むことができる。フォトセンサの各々は、1.7から1.8eVの実効バンドギャップを有する第1の層と、第1の層を通って透過した光を感知するように構成された第2の層とを含むことができる。
【0010】
フォトセンサの各々は、約0.2から0.5マイクロメートル(ミクロン)の厚さを有し、かつ高濃度にドープしたp型アモルファスシリコンを含む第1の層と、第1の層を通って透過した光を感知するように構成され、かつ水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)および微結晶質シリコンのうちの少なくとも一方を含む第2の層とを含むことができる。フォトセンサの各々は、約0.2から0.5マイクロメートルの厚さを有し、かつ高濃度にドープしたn型アモルファスシリコンを含む第1の層と、第1の層を通って透過した光を感知するように構成され、かつ水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)および微結晶質シリコンのうちの少なくとも一方を含む第2の層とを含むことができる。
【0011】
ある例では、フォトセンサの各々は、三元合金を含む第1の層と、第1の層を通って透過した光を感知するように構成され、かつ水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)および微結晶質シリコンのうちの少なくとも一方を含む第2の層とを含むことができる。これらの例では、三元合金は、ある比率のゲルマニウムおよび窒素(a−SiGeN)、ある比率のゲルマニウムおよび酸素(a−SiGeO)、ある比率のゲルマニウムおよび炭素(a−SiGeC:H)、またはa−SiGeN:H層を含むことができる。
【0012】
ある実装形態では、フラストレイティング層は、可撓性フラストレイティング層が物理的に変形されるときに、可撓性フラストレイティング層が導波路と接触することを可能にするように導波路に対して配置された可撓性フラストレイティング層であることが可能である。これらの実装形態では、可撓性フラストレイティング層は、導波路内で内部全反射を起こす受光した赤外光の一部が接触点のところで導波路から外れるように可撓性フラストレイティング層が導波路と接触するように物理的に変形されるときに、可撓性フラストレイティング層と導波路との間の接触点のところで導波路内での受光した赤外光の内部全反射の妨害を引き起こすように構成される場合がある。さらに、これらの実装形態では、導波路は、センサ・イン・ピクセル・ディスプレイと接触することがある。
【0013】
ある例では、導波路は、可撓性導波路である場合があり、フラストレイティング層は、可撓性導波路が物理的に変形されるときにフラストレイティング層が可撓性導波路と接触することを可能にするように可撓性導波路に対して配置される場合があり、フラストレイティング層は、可撓性導波路内で内部全反射を起こす受光した赤外光の一部が接触点のところで可撓性導波路から外れるように可撓性導波路がフラストレイティング層と接触するように物理的に変形されるときに、フラストレイティング層と可撓性導波路との間の接触点のところで可撓性導波路内での受光した赤外光の内部全反射の妨害を引き起こすように構成される場合がある。これらの例では、フラストレイティング層は、センサ・イン・ピクセル・ディスプレイと接触することがある。
【0014】
さらに、タッチセンシティブディスプレイデバイスは、タッチ入力を受けかつタッチ入力に基づいて導波路およびフラストレイティング層を接触させるように設置されたクラッド層を含むことができる。フォトセンサの各々は、可視光をフィルタ処理するように構成された第1の層と、第1の層を通って透過した赤外光を感知するように構成された第2の層とを含む光検出器を含むことができる。赤外光を感知する際に光検出器によって生成された電気は、第1の層および第2の層の各々を通って流れることができる。これに加えて、フォトセンサの各々は、可視光をフィルタ処理するように構成された第1の層と、第1の層を通って透過した赤外光を感知するように構成された第2の層を含む光検出器とを含むことができる。第1の層は、光検出器の上方の窓として設置される場合があり、赤外光を感知する際に光検出器によって生成された電気は、第2の層を通って流れることができるが、第1の層を通って流れないことがある。
【0015】
記載した技術の実装形態は、ハードウェア、ハードウェア中に少なくとも部分的に実装された方法もしくはプロセス、またはプロセッサによって実行されたときに操作を実行する実行可能な命令でエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0016】
1つまたは複数の実装形態の詳細が、添付した図面および下記の説明中に明記される。他の特徴は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明確であろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一例のタッチセンシティブディスプレイの模式的断面図である。
図2A】フラストレイテッド内部全反射層の一例の模式的断面図である。
図2B】クラッド層の一例の模式的断面図である。
図3】フラストレイテッド内部全反射層の一例の模式的断面図である。
図4】一例のフォトセンサアレイの図である。
図5】さまざまなバンドギャップを有する感光性層を含む太陽電池についての量子効率対波長を図示するグラフである。
図6】フォトセンサの一例の模式的断面図である。
図7】フォトセンサの一例の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
環境光SNR問題およびタッチしきい値問題を軽減するために、SIP LCDを用いたフラストレイテッド内部全反射(FTIR)技術を集積することが望ましい場合がある。センサ・イン・ピクセル・ディスプレイを用いてFTIRタッチセンシング技術を集積するために、赤外(IR)光だけに高感度な(かつ環境光源からの可視光および表示した画像から反射される可視光に対して感度がない)SIPセンサを作ることがさらに望ましい場合がある。FTIRのある実装形態では、IR光は、タッチが内部全反射を妨げ、閉じ込められたIR光で励起された導波路から現れる。これらの実装形態では、IR光は、接触点のところで導波路を外れ、フォトセンサがIR光に高感度である場合には、SIP LCD内のフォトセンサによって検出される場合がある。典型的なFTIR構成では、IRフィルタを含む上部膜は、環境光がタッチSNRを妨げることを軽減するために使用される。人が表示された画像を見ることができるように、上部シートは可視光を透過しなければならないという理由で、上部膜は、上部シートに侵入する必要がある可視光には高感度でないSIPを設けたSIP LCDとともに使用される場合がある。環境光の強い影響がなくとも、問題は、この実装形態においてさえ表示された画像から反射した可視光で、依然として存在することがある。可視光に対して感度がないSIPを作ることによって、これが改善される場合がある。
【0019】
図1は、一例のタッチセンシティブディスプレイ100を図示する。タッチセンシティブディスプレイ100は、FTIR層110およびSIPディスプレイ120を含む。FTIR層110は、光源、導波路、およびフラストレイティング層を含むことができる。光源は、導波路中へと光(例えば、赤外光)を導入し、導入された光は、導波路内で内部全反射を起こす。タッチ入力がFTIR層110に与えられると、導波路およびフラストレイティング層は接触して、導波路内での光の内部全反射の妨害を引き起こす。導波路内での光の内部全反射の妨害は、導波路内の光の少なくとも一部を接触点のところで外れさせる。外れた光は、FTIR層110に与えられるタッチ入力の発生および場所を検出するために、感知される場合がある。FTIR層110は、任意のタイプのFTIR実装形態であってもよい。FTIR層のより詳細な例が、図2Aから図3に関して下記に記述される。
【0020】
SIPディスプレイ120は、FTIR層110を通して画像を表示するセンサ・イン・ピクセル・ディスプレイである。SIPディスプレイ120は、SIPディスプレイ120によって表示される画像の各ピクセルのところにフォトセンサを含む。SIPディスプレイ120のフォトセンサは、タッチ入力がFTIR層110に与えられときにFTIR層110から外れる光(例えば、赤外光)を検出する。SIPディスプレイ120は、SIPディスプレイ120のフォトセンサのうちのどれがFTIR層110から外れた光を検出するかに基づいて、タッチ入力の発生および場所を判断する。SIPディスプレイ120は、任意のタイプのセンサ・イン・ピクセル・ディスプレイであってもよい。例えば、SIPディスプレイ120は、SIP LCDまたはSIP有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであってもよい。SIPディスプレイ120は、FTIR層110に接触してもよい(例えば、FTIR層110に光学的に接着されてもよい)またはエアーギャップ(例えば、FTIR層110および/もしくはSIPディスプレイ120の表面上のマイクロラフネスによって規定される小さなエアーギャップ)によってFTIR層110から間隔を空けて離されてもよい。
【0021】
SIPディスプレイ120のセンサ出力は、適切なコンピュータまたは、調整、背景削除、雑音除去、および各フレームについての解析などのさまざまな良く知られた画像処理演算を取り扱うことができる別の電子デバイスに供給される。機械視覚追跡技術が、次に、取り込んだセンサデータを個別のタッチ事象およびストロークへと変換するために、コンピュータまたは別の電子デバイスによって利用される場合がある。このような処理は、任意の適切な計算システムによって実行される場合がある。
【0022】
図2Aは、一例のFTIR層200を図示する。示したように、FTIR層200は、放射光源202、導波路204、および導波路204の上方の可撓性フラストレイティング層206を含む。可撓性フラストレイティング層206は、小さなギャップ212が可撓性フラストレイティング層206と導波路204との間に存在するように、導波路204に対して設置される。ある実装形態では、突起214が、フラストレイティング層206上にまたはその一部として形成される場合があり、可撓性フラストレイティング層206と導波路204との間のギャップ212を維持する。このような実装形態では、突起214(例えば、表面粗さ)は、可撓性フラストレイティング層206と一体として形成されることが可能であり、すなわち、フラストレイティング層206とともに突起214は、継ぎ目のない連続した材料の一塊を形成する。
【0023】
ある実装形態では、突起214は、フラストレイティング層206の表面上に存在するマイクロラフネスの結果であり、そこでは突起214間の間隔がランダムまたはいくぶんかランダムである。あるケースでは、突起214は、フラストレイティング層206とは別の材料から形成される。例えば、ガラススペーサが、アクリル導波路をポリカーボネートフラストレイティング層とは分離するために使用される場合がある。突起214間の間隔は、ランダム、疑似ランダムまたは周期的であってもよい。
【0024】
電磁放射光(例えば、赤外(IR)放射光)は、放射光源202から放出され、導波路204へとカップリングされる。導波路204と導波路204の周囲の媒質との間の屈折率差のために、カップリングされた放射光のうちの少なくとも一部が、次にTIRを起こし、導波路204を下るように進む。例えば、導波路204は、空気により囲まれたアクリルの層から形成される場合がある。アクリル(n=1.49)と空気(n=1.0)との間の屈折率差を考えると、適切な入射角で導波路204へと放射光源202によって導入される放射光は、TIRによってアクリル層の内部でかつ層に沿って伝搬する。
【0025】
導波路204内を伝播する放射光のTIRを妨げるために、可撓性フラストレイティング層206は、導波路204と同程度の屈折率を有する材料から形成され、十分な接触が導波路層204と行われ得るように入力によって加えられる圧力に応答するために十分に柔軟である材料から形成される。例えば、可撓性フラストレイティング層206は、ポリビニルブチラール(PVB)などの比較的可撓性のある材料から形成される場合がある。フラストレイティング層206は、アクリル/ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、透明ポリウレタン(TPU)、またはトリアセテートセルロース(TAC)を含むが、これらに限定されない他の材料から形成される場合がある。したがって、フラストレイティング層206が導波路204と接触する場合には、TIRによって伝播する放射光の少なくとも一部は、「妨害され」、導波路204から外れる。あるケースでは、放射光210の少なくとも一部210aは、図2Aに示したように、導波路204内でのTIRによって伝播し続ける。これに加えて、ディスプレイの一部として一体化される場合には、フラストレイティング層206は、ディスプレイ光源によって放出される波長の範囲に対して透明である材料から形成されることがある。例えば、PVBは、スペクトルの可視領域および近赤外領域の両方に透過性が高い。
【0026】
ある実装形態では、フラストレイティング層206は、ほぼ100μmから300μmの範囲内である実質的に一様な厚さを有するように構成されることがある。フラストレイティング層206について適切な厚さを選択する際に、下記の事項を考慮することできる。フラストレイティング層206が薄すぎる場合には、例えば、製造中に、うまく処理することおよび取り扱うことが困難であることがある。一方で、フラストレイティング層206が厚すぎる場合には、視差問題を引き起こすことがあり、ユーザーが関係を持とうとする(ディスプレイ光源によって生成される)実際の物体から(例えば、フラストレイティング層206の厚さだけ)接触点がずれるようにユーザーが視認する。代替実装形態では、フラストレイティング層206は、100μmより薄くなる(例えば、約10μmもしくは約30μm)または300μmより厚くなる(例えば、約1mmもしくは約2mm)ように構成される場合がある。
【0027】
可撓性フラストレイティング層206と導波路204との間のエアーギャップ212の存在のために、導波路204内のほんのわずかな妨害または妨害がないことは、ある外部刺激をないことにする。しかしながら、可撓性フラストレイティング層206が、例えば、ユーザーの指220によって押圧されると、可撓性フラストレイティング層206の一部は、押圧点に対応する領域201(破線の円によって識別される)内で導波路層204と接触する。可撓性フラストレイティング層206の一部が導波路204と接触すると、導波路204内の内部全反射は、領域201のところで妨げられ、少なくとも一部の放射光を導波路204から外れさせる。突起214が導波路204に接触するとはいえ、圧力がフラストレイティング層206に加えられていないときには、突起214と導波路204との間の接触面積は、フラストレイティング層206が押圧されたときの層206と導波路204との間の接触面積と比較して相対的小さいことに、留意すべきである。したがって、突起214と導波路204との間の接触領域において生じるはずのTIRの妨害は、圧力がフラストレイティング層206に加えられていないときには無視できる。
【0028】
図2Aに示したように、矢印「A」によって表示される放射光の一部は、導波路204の表面204aから外れる。SIPディスプレイ120は、表面204aから外れる放射光を画像化する。結果として、SIPディスプレイ120は、一連の瞬間にわたって、圧力が加えられていないときにフラストレイティング層206により接触される導波路204の部分と比して、可撓性フラストレイティング層206が導波路204のかなりの部分と接触するように可撓性フラストレイティング層206を変形させるために十分に強い接触点を識別して感知することが可能である。すなわち、図2Aに示した指220による接触などの、可撓性フラストレイティング層206上への「単一」の接触点について、導波路204と接触する可撓性フラストレイティング層206の区域に対応する単一の接触「区域」が、SIPディスプレイ120によって識別して感知される。同様に、2つ以上の物体(例えば、2本以上のユーザーの指)が同時に可撓性フラストレイティング層206に接触しかつ押圧すると、複数の接触区域がSIPディスプレイ120によって識別して(かつ同時に)感知される。議論を容易にするために、「接触点」という用語を、接触が起きる任意の領域または区域をより一般的に呼ぶように、本明細書の全体を通して使用することができる。
【0029】
放射光源202は、複数の発光ダイオード(LED)を含むことができ、これらは、電磁放射光を内部全反射へとカップリングすることを最大にするように、導波路204の端部に対して直接配置される。例えば、レーザーダイオードなどの電磁放射光の他の放射源が、代わりに使用されてもよい。ある実装形態では、放射源202は、電磁スペクトルの赤外(IR)部分内の放射光を放出するように選択されることが可能であり、その結果、放射光は可視放射光とは干渉しない。
【0030】
ある実装形態では、導波路204は、赤外光のTIRを支援する材料から形成されるが、ディスプレイとの干渉を最小にするようにディスプレイ光源によって放出される波長範囲に対してやはり透明である(または少なくとも透過性である)。例えば、導波路204は、ガラスまたはアクリルなどのプラスチックを含む材料から形成される場合がある。導波路204はまた、PMMA、PC、PVC、PVB、TPU、またはPETを含むが、これらに限定されない材料から形成されてもよい。フラストレイティング層206を局所的に押圧することは、フラストレイティング層206が導波路層204と接触するので、導波路層204またはフラストレイティング層206の実質的な局所的変形を引き起こすことができる。対照的に、導波路204とフラストレイティング層206との間の接触領域から遠くの導波路層204またはフラストレイティング層206の部分は、わずかしか変形しないまた変形しないことがある。このような明確な局所的変形は、柔軟なフラストレイティング層206と導波路層204との間の物理的な接触面積の増加をもたらすことができ、これによって接触点の領域において導波路204から外れるIRの量の増加を引き起こす。あるケースでは、導波路204の端部は、放射源202からの放射光のTIRカップリングを最大にするために磨かれる。
【0031】
ある実装形態では、導波路204は、ほぼ0.5mmから20mmの範囲内である実質的に一様な厚さを有するように構成される場合がある。導波路204のために適切な厚さを選択する際に、下記の事項を考慮することができる。あるケースでは、導波路204が薄すぎる場合には、導波路は十分に堅固な表面を与えないことがある、例えば、導波路は、使用中に加えられることが予想される典型的な接触力で過度に曲がることがある。あるいは、またはこれに加えて、不十分な量の光しか、導波路へとカップリングされない場合がある。あるケースでは、導波路204が厚すぎる場合には、これが重量およびコストの増加をもたらすことがある。あるいは、またはこれに加えて、タッチ視差が過大になることがある。
【0032】
ある実装形態では、クラッド層が、フラストレイティング層206の表面上にまたは上方に設置される場合がある。図2Bは、フラストレイティング層206の上方に設置されたクラッド層205の一例を図示する。フラストレイティング層206が指またはスタイラスなどの物体によって接触されるときに、クラッド層205は、フラストレイティング層206を損傷および/または汚染から保護することができる。ディスプレイの一部として一体化される場合には、クラッド層205はまた、ディスプレイ光源によって放出される波長範囲に対して透明である(または少なくとも透過性である)。
【0033】
図2Bの例に示したように、クラッド層205は、アンチグレア層205a、赤外(IR)フィルタ205bおよびノンウェッティング層205cを含むことができる。IRフィルタ層205bは、環境IR光が接触点として誤って検出されることの発生を低減する(例えば、防止する)ようにクラッド層205上に入射する環境IR光をフィルタで除去する。IRフィルタ層に使用されることが可能ある材料の一例は、Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd.から市販されているClearASを含む。アンチグレア層205aは、IRフィルタ層205bの上部表面上に配置される耐スクラッチ、低摩擦膜である。アンチグレア層として使用されることが可能な膜は、例えば、MacDermid Inc.から市販されているAutotexなどのテクスチャ付きポリエステル膜を含む。
【0034】
あるケースでは、クラッド層205のほとんどの領域は、フラストレイティング層206と接触することができ、その結果、クラッド層205がフラストレイティング層206を「濡らす」ように思われる。このような「ウェッティング」領域は、フラストレイティング層206とクラッド層205との間で反射される可視光の量を変えることがあり、暗い画像が表示されるときに斑点のように見えるタッチ感応デバイス200の部分を結果としてもたらす。しかしながら、IRフィルタ層205bの底部表面上にアンチウェッティング層205cを形成することによって、ウェッティング領域のサイズおよび数が少なくなる場合がある。アンチグレア層205aと同様に、アンチウェッティング層205cもまた、Autotexなどのポリエステル膜であってもよい。あるケースでは、表面フラストレイティング層206は、十分に粗く、その結果、クラッド層205中にアンチウェッティング層205cを含むことが、必ずしも必要ではない。あるいは、あるケースでは、クラッド層205は、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)膜またはアクリル膜の単一膜から形成されることが可能である。
【0035】
クラッド層205内の膜は、例えば、光学接着剤を使用して全体として結合される場合がある。図2Bの例では、エアーギャップが、クラッド層205とフラストレイティング層206との間に存在する。クラッド層205とフラストレイティング層206との間のエアーギャップは、例えば、クラッド層205の底部表面の表面粗さ(例えば、ノンウェッティング層205cの表面粗さ)またはフラストレイティング層206の表面粗さを使用して維持されてもよい。
【0036】
図2Aに図示したように、フラストレイティング層206が導波路204と接触するときにFTIRによって導波路204を外れる放射光は、例えば、フラストレイティング層206の表面テクスチャ、フラストレイティング層206内部のバルク散乱、または導波路204とフラストレイティング層206との間の不完全な接触に起因してさまざまな方向に進むことがある。例えば、外れる放射光のあるものは、図2A中に矢印「B」によって示したように、フラストレイティング層206に向かう方向に進むことがある一方で、放射光のあるものは、図2A中に矢印「A」によって示したように、フラストレイティング層206から遠くへ進むことがある。フラストレイティング層206および導波路204の屈折率が同等である場合には、放射光の一部は、図2A中に矢印「B」によって示したように、放射光がTIRの妨害の直前に導波路204中を進んでいた方向に平行または実質的に平行(フラストレイティング層206と導波路204との間の屈折率の差に応じて、例えば、10°以内、20°以内、30°以内、または45°以内)である方向に外れるであろう。結果として、外れた放射光の一部は、SIPディスプレイ120には決して到達しないことがある。妨げられたTIR光から十分な量の光を取り込むことを可能にして、接触点を検出する1つの手法は、外れた放射光の大部分が決して画像化されないことがあるにも拘らず、導波路204内へと導入される放射光の強度を大きくすることである場合がある。しかしながら、この手法は、動作効率を低下させることがある。これゆえ、代替の手法は、導波路204を外れる放射光の少なくとも一部をSIPディスプレイ120へ向けて集めるおよび/または案内するようにフラストレイティング層206を構成することができる。
【0037】
柔軟なフラストレイティング層206が、(導波路204を外れ、フラストレイティング層206上に入射する)放射光をSIPディスプレイ120に向けて集めるおよび/または案内するように構成される実装形態では、フラストレイティング層206は、外れた放射光が、導波路204と可撓性フラストレイティング層206との間の接触点の実質的に下方であるSIPディスプレイ120上の位置に向けて案内されるような角度範囲内に外れた放射光を案内するように構成されることがある。SIPディスプレイ120に向けて放射光を集めることおよび案内することによって、動作効率が高くなることがある。結果として、出力が大きくない放射光源202が、使用されることが可能である。さらにその上、FTIRを外れた放射光のより多くをSIPディスプレイ120に向けて案内することによって、接触を感知しない確率が、減少される場合がある。
【0038】
フラストレイティング層は、人工的材料の内部にまたは表面上に形成された光案内ミクロ構造を有する人工的材料から形成されることが可能であり、光案内ミクロ構造は、1つまたは複数の特定の方向に放射光/光を案内するように構成される。導波路204から外れる放射光を向け直すためのこのような人工的材料および光案内ミクロ構造のさまざまな実装形態が、可撓性フラストレイティング層の内部にまたはその上に採用されることが可能である。例えば、反射コーティングが、可撓性フラストレイティング層上に形成されることが可能であり、導波路から外れる放射光をデバイスの内部へ戻すように反射する。同時係争中であり共同所有の、2010年4月9日出願の「Touch Sensing(タッチセンシング)」という名称の米国特許出願第12/757,937号に記載されたいずれかの技術および構造は、フラストレイティング層206に適用することが可能であり、この特許は、すべての目的にためにその全体が引用によって本明細書中に組み込まれている。
【0039】
図3は、別の一例のFTIR層300を図示する。示したように、FTIR層300は、放射光源302、可撓性導波路304、および導波路304に隣接したフラストレイティング層306を含む。フラストレイティング層306は、小さなギャップ312が、フラストレイティング層306と可撓性導波路304との間に存在するように、可撓性導波路304に対して設置される。ある実装形態では、突起314が、フラストレイティング層306上にまたはその一部として形成されることがあり、可撓性導波路304とフラストレイティング層306との間のギャップ312を維持する。このような実装形態では、突起314(例えば、表面粗さ)は、フラストレイティング層306と一体として形成されることが可能である、すなわち、フラストレイティング層306とともに突起314は、一塊の継ぎ目のない連続した材料を形成する。ある実装形態では、ランダムにまたはいくぶんかランダムに間隔を空けて設置された突起を有するマイクロラフネス層が、フラストレイティング層306の表面上に形成されることがあり、これが実質的に突起314として機能する。あるケースでは、突起314は、フラストレイティング層306および/または導波路304とは別の材料から形成される。例えば、ガラススペーサが、アクリル導波路をポリカーボネートフラストレイティング層とは分離するために使用される場合がある。突起314間の間隔は、ランダム、疑似ランダムまたは周期的であってもよい。
【0040】
電磁放射光(赤外(IR)放射光)は、放射光源302から放出され、可撓性導波路304へとカップリングされる。可撓性導波路304と導波路304の周囲の媒質との間の屈折率差のために、カップリングした放射光のうちの少なくとも一部が、次にTIRを起こし、可撓性導波路304を下るように進む。例えば、導波路304は、空気により囲まれた柔軟なアクリルの薄層から形成されてもよい。アクリル(n=1.49)と空気(n=1.0)との間の屈折率差を考えると、適切な入射角で導波路304内へと放射光源302によって導入される放射光は、TIRによってアクリル層の内部でかつこれに沿って伝搬する。
【0041】
導波路304は、入力によって加えられる圧力に応答するために十分に柔軟な材料から形成され、その結果、十分な接触がフラストレイティング層306と作られることが可能である。例えば、導波路304は、アクリル/ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または透明ポリウレタン(TPU)などの材料から形成されることが可能である。他の材料が、同様に使用されてもよい。
【0042】
導波路304内を伝播する放射光のTIRを妨げるために、フラストレイティング層306は、柔軟な導波路304と同等なまたはより大きな屈折率を有する材料から形成される。したがって、柔軟な導波路304がフラストレイティング層306と接触すると、TIRのために導波路304を伝播して下る放射光の少なくとも一部が、「妨害され」、導波路304から外れる。あるケースでは、放射光310の少なくとも一部は、図3に示したように、導波路304内をTIRによって伝播し続ける。堅固な材料または堅固でない材料のいずれかが、フラストレイティング層306を形成するために使用されることがある。これに加えて、ディスプレイの一部として一体化される場合には、フラストレイティング層306は、ディスプレイ光源によって放出される波長範囲に対して透明である(または少なくとも透過性である)材料から形成されることがある。例えば、フラストレイティング層306は、ガラスからまたはPMMAから形成されることがあり、この両者とも、スペクトルの可視領域および近赤外領域の両方に一般的に透過性である。あるいは、フラストレイティング層306は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)、TPUなどの相対的に可撓性材料から、またはPETもしくはPCなどのより堅固な材料から形成されることが可能である。他の材料が同様に使用されてもよい。
【0043】
導波路304を局所的に押圧することは、導波路304がフラストレイティング層306と接触するので、フラストレイティング層306の実質的に局所的な変形を引き起こすことがある。対照的に、導波路304とフラストレイティング層306との間の接触領域から遠くのフラストレイティング層306の部分は、わずかしか変形しないまたは変形しないことがある。このような明確な局所的変形は、柔軟な導波路層304とフラストレイティング層306との間の物理的な接触面積の増加をもたらすことができ、これによって接触点の領域において柔軟な導波路304から外れるIRの量の増加を引き起こす。
【0044】
ある実装形態では、フラストレイティング層306は、ほぼ100μmから300μmの範囲内である実質的に一様な厚さを有するように構成されることがある。フラストレイティング層306についての適切な厚さを選択する際に、下記の事項を考慮することができる。フラストレイティング層306が薄すぎる場合には、例えば、製造中に、うまく処理することおよび取り扱うことが困難であることがある。一方で、フラストレイティング層306が厚すぎる場合には、視差問題を引き起こすことがあり、ユーザーが関係を持とうとする実際の表示された物体から(例えば、フラストレイティング層306の厚さだけ)接触点がずれるようにユーザーが視認する。代替実装形態では、フラストレイティング層306は、100μmより薄くなるように(例えば、約10μmもしくは約30μm)または300μmより厚くなるように(例えば、約1mmもしくは約2mm)構成される場合がある。
【0045】
フラストレイティング層306と可撓性導波路304との間のエアーギャップ312の存在のために、導波路304内でのほんのわずかな妨害または妨害がないことは、少しの外部刺激をないことにする。しかしながら、可撓性導波路304が、例えば、ユーザーの指320によって押圧されると、可撓性導波路層304の一部は、押圧点に対応する領域301(破線の円によって識別される)内でフラストレイティング層306と接触する。上に記述したように、ある実装形態では、可撓性導波路304とフラストレイティング層306との間の接触は、フラストレイティング層306の局所的な変形を引き起こすことがある。フラストレイティング層306が導波路204と接触すると、導波路304内での内部全反射は領域301内で妨げられ、少なくとも一部の放射光が可撓性導波路304から外れることを引き起こす。突起314が導波路304にやはり接触するとはいえ、突起314と導波路304との間の接触面積は、圧力が可撓性導波路304に加えられていないときには、可撓性導波路304が押圧されたときのフラストレイティング層306と可撓性導波路304との間の接触面積と比較して相対的に小さいことに、留意すべきである。したがって、突起314と導波路304との間の接触領域において生じるはずのTIRの妨害は、圧力が可撓性導波路304に加えられていないときには無視できる。
【0046】
図3に示したように、矢印「A」によって表示した放射光の一部は、可撓性導波路304の表面304aから外れ、SIPディスプレイ120に向かう方向に進む。SIPディスプレイ120は、表面304aから外れる放射光を画像化する。結果として、SIPディスプレイ120は、一連の瞬間にわたって、圧力が加えられていないときに導波路304によって接触されるフラストレイティング層306の部分と比して、可撓性導波路304がフラストレイティング層306のかなりの部分と接触するように可撓性導波路304を変形させるために十分に強い接触点を識別して感知することが可能である。すなわち、図3に示した指320による接触などの導波路304上への「単一」の接触点について、導波路304と接触するフラストレイティング層306の一部に対応する単一の接触「区域」が、SIPディスプレイ120によって識別して感知される。同様に、2つ以上の物体(例えば、2本以上のユーザーの指)が同時に導波路304に接触し、押圧すると、複数の接触区域がSIPディスプレイ120によって識別して(かつ同時に)感知される。議論を容易にするために、「接触点」という用語を、接触が起きる任意の領域または区域をより一般的に呼ぶように、本明細書の全体を通して使用することができる。
【0047】
放射光源302は、複数の発光ダイオード(LED)を含むことができ、これらは、電磁放射光の内部全反射へのカップリングを最大にするように、導波路304の端部に対して直接配置される。例えば、レーザーダイオードなどの電磁放射光の別の放射源が、代わりに使用されてもよい。ある実装形態では、放射源302を、電磁スペクトルの赤外(IR)部分内の放射光を放出するように選択することができ、この結果、その放出光は可視光とは干渉しない。
【0048】
ある実装形態では、可撓性導波路304は、赤外光のTIRを支援する材料から形成される。これに加えて、ディスプレイの一部として一体化される場合には、可撓性導波路304は、ディスプレイとの干渉を最小にするようにディスプレイ光源によって放出される波長範囲に対して透明である(または少なくとも透過性である)ように選択される場合がある。あるケースでは、柔軟な導波路304の端部は、放射源302からの放射光のTIRカップリングを最大にするために磨かれる。
【0049】
ある実装形態では、導波路304は、ほぼ0.50mmから2mmの範囲内である実質的に一様な厚さを有するように構成される場合がある。導波路304についての適切な厚さを選択する際に、下記の事項を考慮することができる。導波路304が薄すぎる場合には、不十分な量の光しか、放射源302から導波路304中へとカップリングされない場合がある。光源302用に1つまたは複数のレーザーを利用する実装形態では、しかしながら、より薄い導波路304を使用することが可能であり、光源302として1つまたは複数のLEDを利用する実装形態におけるよりも導波路304中へとカップリングする十分な量の放射光を依然として有することが可能である。あるいは、導波路304が厚すぎる場合には、軽いタッチに応答する導波路変形が、検出すべきタッチに対する十分な放射光アウトカップリングを引き起こすためには十分でないことがある。これに加えて、デバイスによって表示される出力画像の品質を劣化させることがあり、過大なタッチ視差を引き起こすことがある。
【0050】
あるケースでは、指、スタイラスまたは他の物体と導波路304を接触させることは、導波路304がフラストレイティング層306と接触するためには十分に押圧されない場合でさえ、導波路304内の内部全反射の偶然の妨害を引き起こすことがある。これに加えて、このような物体は、導波路304を損傷させることがある。したがって、ある実装形態では、クラッド層305は、導波路304と光学的に接触するか、またはクラッド層305と導波路304との間の薄いエアーギャップとともに層にされるかのいずれかで、可撓性導波路304の最上部上に設置される。クラッド層が導波路と光学的に接触する場合には、クラッド層305は、導波路304内での放射光の内部全反射を維持するために導波路304よりも小さな屈折率を有する材料から形成される。クラッド層305は、偶然のFTIRの発生を低減する(例えば、防止する)ことができ、導波路304と接触する物体との間のバリアとして働く。これに加えて、導波路304が指またはスタイラスなどの物体によって接触されるときに、クラッド層305は、損傷および/または汚染から導波路304を保護する。ディスプレイの一部として一体化される場合には、クラッド層305はまた、ディスプレイ光源によって放出される波長範囲に対して透明である(または少なくとも透過性である)。例えば、クラッド層は、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)膜またはアクリル膜から形成されることがある。
【0051】
ある実装形態では、クラッド層305は、複数の層を含む。図2Bに関連して上に記述したクラッド層は、クラッド層305として使用される場合がある。
【0052】
図3に図示したように、柔軟な導波路304がフラストレイティング層306と接触するときにFTIRのために柔軟な導波路304を外れる放射光は、例えば、フラストレイティング層306の表面テクスチャ、フラストレイティング層306内でのバルク散乱、または柔軟な導波路304とフラストレイティング層306との間の不完全な接触に起因して、さまざまな方向に進むことがある。例えば、柔軟な導波路304から外れる放射光の一部は、フラストレイティング層306から離れる方向に進むことがあるが、外れた放射光の一部は、フラストレイティング層306に向かって進むことがある。結果として、図3に矢印「B」によって示したように、外れた放射光の一部は、SIPディスプレイ120には決して到達しないことがある。決して画像化されない外れた放射光にも拘わらず、妨げられたTIRから十分な量の光を取り込むことを可能にして位置を与えるための1つの手法は、可撓性導波路304中へと導入される放射光の強度を大きくすることであってもよい。この手法は、しかしながら、動作効率を低下させることがある。これゆえ、代替の手法は、柔軟な導波路304を外れかつSIPディスプレイ120に向けてフラストレイティング層306上に入射する放射光を集めるおよび/または案内するようにフラストレイティング層306を構成することができる。
【0053】
フラストレイティング層306が、柔軟な導波路304を外れかつ層306上に入射する放射光を集めるおよび/または案内するように構成される実装形態では、フラストレイティング層306は、外れた放射光が、柔軟な導波路304とフラストレイティング層306との間の接触点の実質的に下方にある位置に向けて案内されるような角度範囲内に外れた放射光を案内するように構成されることがある。SIPディスプレイ120の最適な区域に向けて放射光を集めることおよび案内することによって、動作効率が高くなることがある。結果として、出力が大きくない放射光源302を使用することが可能であり、迷光問題を軽減することができる。さらにその上、SIPディスプレイ120に向けて外れた放射光のFTIRのより多くを案内することによって、接触を感知しない確率を、減少させることができる。フラストレイティング層は、人工的材料の内部にまたは表面上に形成された光案内ミクロ構造を有する人工的材料から形成される場合があり、光案内ミクロ構造は、1つまたは複数の特定の方向に放射光/光を案内するように構成される。
【0054】
あるケースでは、フラストレイティング層上にまたは内部に利用される人工的なミクロ構造は、回折光学素子(DOE)を含む。一般には、DOE構造は、光の波長の程度の屈折率変動のパターンを含み、入射放射光を主に回折する構造である。DOE構造は、コヒーレントな光の2つの波面間の干渉パターンとしてディジタル的に発生されるまたは光学的に記録される場合がある。ある実装形態では、DOE中の屈折率変化のパターンは、材料に干渉パターンを転写することによって形成される場合があり、その結果、干渉パターンの強度最小値および最大値を表す一連の干渉縞が、反射率変動のパターンに対応する。例えば、干渉パターンは、干渉リソグラフィなどの技術を使用して記録材料に転写される場合がある。パターンは、1つまたは複数の異なる材料の全体にわたる屈折率または厚さの周期的変動、ランダムな変動、いくぶんかランダムな変動、または数学的に複雑であり確定的な変動によって表される場合がある。あるケースでは、転写された干渉パターンの干渉縞は、回折格子構造に対応する。設計および構成に応じて、DOE構造は、1つまたは複数の方向に入射放射光を伝達するまたは反射する。DOE構造は、材料の表面上または表面内に形成される表面拡散構造、または材料バルクの少なくとも一部を介して一体として形成される体積拡散構造を含むことができる。
【0055】
DOE構造は、2つのカテゴリー:薄いホログラム構造および厚い(体積)ホログラム構造、内になると考えることができるホログラフィック光学素子(HOE)と呼ばれる構造の類を含む。一般的には、薄いホログラム構造は、放射光が入射する表面に実質的に垂直に変化する屈折率変動の表面構造または平面を含み、1つまたは複数の特定の方向へとある波長範囲を透過して案内するために一般には使用される。ホログラム構造は、反射で動作するように、鏡などの別の反射素子とともに使用される場合がある。一方で、厚いホログラム構造は、放射光が入射する表面に実質的に平行に延びる反射率変動面を含むことができ、1つまたは複数の特定の方向へと1つまたは複数の特定の入射角で入射する狭い波長範囲を反射するまたは透過するためにブラッグ選択性を一般には使用する。
【0056】
ある実装形態では、HOE中の反射率変動面は、材料に干渉パターンを転写することによって形成される場合があり、その結果、干渉パターンの強度最小値および最大値を表す一連の干渉縞が反射率変動面に対応する。例えば、干渉パターンは、干渉リソグラフィなどの技術を使用して記録材料に転写されることが可能である。あるケースでは、転写された干渉パターンの干渉縞は、回折格子構造に対応する。
【0057】
光学モデリングソフトウェアパッケージが、所望の方向に放射光を向けるために、薄いホログラム構造または厚いホログラム構造の設計を容易にするために利用可能である。Code V(登録商標)は、所望の方向に放射光を向けるために、薄いホログラム構造または厚いホログラム構造を設計するために使用されることが可能であるそのような光学モデリングソフトウェアパッケージの一例である。他の光学モデリングソフトウェアパッケージもまた、利用可能である。
【0058】
同時係争中であり共同所有の、2010年4月9日出願の「Touch Sensing(タッチセンシング)」という名称の米国特許出願第12/757,693号に記載されたいずれかの技術および構造は、フラストレイティング層306に適用することが可能であり、この特許は、すべての目的にためにその全体が引用によって本明細書中に組み込まれている。
【0059】
SIPディスプレイ120において使用されるフォトセンサに関して、a−Si:Hは、特にTFT製造に典型的な(10分の数マイクロメートルの)薄い厚さでは(≒700nmよりも長い波長の)赤外光に感度がない。a−Si:Hは、1.7eVのバンドギャップを有する。ある実装形態では、水素化シリコンゲルマニウム合金(a−SiGe:H)または微結晶質シリコンが、a−Si:Hと比較してさらに(より長い波長の)赤外スペクトルへと光応答を拡張するためにフォトセンサにおいて使用される場合がある。例えば、1.4eVのバンドギャップを有するa−SiGe:Hは、850nm光に高感度であるはずである。しかしながら、a−SiGe:Hはまた、同様に可視光に対しても依然として高感度である。FTIRタッチセンシングに対して必要なIR光感度を維持しながら、このような材料の可視感度を低下させるための技術が、下記に記述される。
【0060】
図4は、一例のフォトセンサアレイ400を図示する。フォトセンサアレイ400がSIPディスプレイ120内の各ピクセルに対するフォトセンサを含んだ状態で、フォトセンサアレイ400が、SIPディスプレイ120において使用される場合がある。図4は簡潔のために9個のフォトセンサを図示するが、フォトセンサアレイ400は、はるかに多くのフォトセンサを含むことができる。
【0061】
フォトセンサアレイ400内のフォトセンサは、TFTプロセスに適合性のある材料に基づき、赤外(IR)光に高感度であり、可視光に対して感度が低いまたは感度がまったくない。TFTプロセスは、a−Si:Hに一般に基づくが、多結晶シリコンまたはアモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)などのアモルファス半導電性酸化物材料にやはり基づく場合がある。示したように、フォトセンサアレイ400内のフォトセンサの各々は、上部層410および底部層420を有する2層フォトセンサである。上部層410は、大雑把に400〜700nmの可視光を吸収し、700nmよりも長い波長を有する光を大部分透過する。透過した光は、底部層420上に入射し、底部層は、a−SiGe:Hフォトセンシング層、微結晶質シリコンまたは小さなバンドギャップのアモルファス半導電性酸化物である場合がある。ガリウム含有量に応じて、a−SiGe:Hは、透過した近赤外光の、理想的には700から880nmの範囲内の一部に対して高感度である。一般的には、a−SiGe:Hがはるかに大きな吸収係数を有するので、a−SiGe:Hは、底部フォトセンサ材料として微結晶質シリコンよりも好ましい場合があり、したがって、はるかに薄い層を使用することができる。これは、TFT製造時間およびプロセスとさらに適合性がある。しかしながら、微結晶質シリコンが、ある実装形態においては使用されることがある。上部層が可視光を吸収するために大雑把に1.7から1.8eVのバンドギャップを有し、小さなバンドギャップの底部層が赤外光を検出するように合金組成を選択することによって、類似の構造が、アモルファス半導電性酸化物のケースにおいて思い付き得ることが理解される。
【0062】
図5は、さまざまなバンドギャップを有するフォトセンシティブ層を備えた太陽電池についての量子効率対波長を示し、最大がa−Si:Hであり、最小が微結晶質シリコンである。これらの間には、増加する量のゲルマニウムを有し、対応してより小さなバンドギャップを有する層がある。量子効率は、層の光吸収の良い表現である。図4に示した開示の2層フォトセンサを実装するために、1.7から1.8eVの実効バンドギャップを有する上部層410が使用される場合がある。このバンドギャップを用いると、大部分の可視光が吸収されるであろう。
【0063】
図6は、フォトセンサアレイ400において使用される場合があるフォトセンサ600の一例を図示する。図6に示したように、フォトセンサ600は、光検出器610(例えば、フォトダイオードまたはフォトダイオードデバイス)を含む。フォトセンサ600内では、上部層410および底部層420は、光検出器610の一部である。この例では、光検出器610に入射する光(例えば、赤外光)を検出する際に、電気は、上部層410および底部層420を通って流れる。したがって、電気が、可視光に対してフィルタとして働く上部層410を通って流れるという理由で、上部層410において使用される材料は、赤外光だけを感知する際に上部層410の強い影響を制限するように設計される場合がある。この点において、上部層410は、可視光を吸収する際に生成される光電流を制限するように設計されることが可能である。
【0064】
太陽電池とは異なり、上部層410は、光電流を生成するためには非常に低い量子効率を有することがある。下記は、ほんのわずかな光電流を生成するまたは光電流を生成しない上部可視フィルタ層410を実装するためのさまざまな可能性を要約する。フォトダイオードまたはフォトトランジスタの性能に影響を及ぼさないことが望ましく、そのため層410の導電性が織り込まれていることに、留意することが重要である。
【0065】
ある実装形態では、厚く(≒0.2〜0.5マイクロメートル)高濃度にドープしたp型またはn型アモルファスシリコンが、上部層410用に使用されることがある。層410中の高いホウ素またはリン濃度は、短い光生成キャリアライフタイムを確実にし、したがってフォトダイオード実装形態内での小さな可視光の光電流を確実にするであろう。厚さは、ダイオードに過大な直列抵抗を追加せずに大部分の可視光を吸収するように最適化されることが可能である。
【0066】
ある例では、三元合金が、上部層410用に使用される場合がある。アモルファスシリコンバンドギャップは、ゲルマニウムを加えることによって小さくなり、窒素、酸素または炭素を加えることによって大きくなることが、一般的に知られている。光感度などの電気的特性が、特に三元合金のケースでは、合金化することで著しく低下することも、やはり知られている。バンドギャップ≒1.7eVの層は、ゲルマニウムと窒素、酸素または炭素との適正な比率を有するこれらの三元合金:a−SiGeN、a−SiGeO、またはa−SiGeC:H層の間で用意されることが可能である。a−SiN:HがTFTの製造においてゲート誘電体として典型的に使用されるという理由で、a−SiGeN:Hが望ましいことがある。プラズマ化学気相堆積(PECVD)システムは、シランおよびアンモニアガスからSiNを堆積するための供給設備を有する。a−SiGeN:Hは、シラン、ゲルマンおよびアンモニアを使用して類似の方法でPECVDから形成される場合がある。この層の悪い導電性がそれほど心配ではないフォトトランジスタ設計のケースにおいて、この手法が使用されることがある。
【0067】
図7は、フォトセンサアレイ400において使用される場合があるフォトセンサ700の別の一例を図示する。図7に示したように、フォトセンサ700は、光検出器710(例えば、フォトダイオードまたはフォトダイオードデバイス)を含む。フォトセンサ700内では、底部層420が、光検出器710の一部であり、上部層410は一部ではない。上部層410は、光検出器710それ自体の外部にあり、光検出器710の上方に設置された光フィルタ「窓」として単純に機能する。この例では、光検出器710上に入射する光(例えば、赤外光)を検出する際に、電気は、底部層420を通って流れるが、電気は上部層410を通っては流れない。したがって、電気が上部層410を通って流れないという理由で、上部層410用に使用される材料は、可視光を吸収する際に生成される光電流に関してほとんど心配せずに選択される場合がある。本開示の全体を通して記述した材料のうちのいずれかを、フォトセンサ700における上部層410用に使用することができる。
【0068】
多数の実装形態を説明してきた。それにも拘わらず、さまざまな変形を行い得ることが、理解されるであろう。
【0069】
開示した実装形態のうちのあるものでは、FTIRに基づくタッチサンサーは、センサ・イン・ピクセル・ディスプレイとともに使用される場合があり、例えば、指などの適切な入力機構によって導波路になされる接触の結果として、FTIRに基づくタッチセンサから外れる光からもたらされ、センサ・イン・ピクセル・ディスプレイ内のフォトセンサによって観測される光の変化に基づいて、タッチ事象が検知される場合がある。任意のタイプのFTIRに基づくタッチセンサを使用することができる。例えば、本開示の全体を通して記述したセンサ・イン・ピクセル・ディスプレイおよびフォトセンサ技術は、同時係争中であり共同所有の、2010年4月9日出願の「Touch Sensing(タッチセンシング)」という名称の米国特許出願第12/757,693号、同時係争中であり共同所有の、2010年4月9日出願の「Touch Sensing(タッチセンシング)」という名称の米国特許出願第12/757,937号、および同時係争中であり共同所有の、2010年6月1日出願の「Touch Sensing(タッチセンシング)」という名称の米国特許出願第12/791,663号に記載されたFTIRに基づくタッチセンサと一体化される場合がある。米国特許出願第12/757,693号、第12/757,937号、および第12/791,663号は、すべての目的にためにその全体が引用によって本明細書中に組み込まれている。
【0070】
記述したシステム、方法、および技術は、ディジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの要素の組み合わせで実装される場合がある。これらの技術を実装する装置は、適切な入力および出力デバイス、コンピュータプロセッサ、およびプログラマブルプロセッサによる実行のために機械可読記憶デバイス中に実体的に具体化されたコンピュータプログラム製品を含むことができる。これらの技術を実装するプロセスは、入力データ上で動作することおよび適切な出力を生成することによって所望の機能を実行する命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって実行される場合がある。本技術は、1つまたは複数のコンピュータプログラム内に実装されることがあり、プログラムは、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、ならびに少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、これらにデータおよび命令を送信するようにカップリングされた少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能である。各コンピュータプログラムは、高レベル手続型言語もしくはオブジェクト指向プログラミング言語において、または望まれる場合にはアセンブリ言語もしくは機械言語において実装されることがあり、いずれにせよ、言語は、コンパイル済み言語またはインタープリト済み言語であってもよい。適切なプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサおよび特殊用途マイクロプロセッサの両方を含む。一般的には、プロセッサは、読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令およびデータを受信するであろう。コンピュータプログラム命令およびデータを実体的に具体化することに適した記憶デバイスは、例として、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、およびコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)を含む不揮発性メモリのすべての形式を含む。上記のいずれかは、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補われる、またはその中に組み込まれることが可能である。
【0071】
さまざまな修正を行い得ることが理解されるであろう。例えば、他の有用な実装形態は、開示した技術のステップが異なる順番で実行される場合に、ならびに/または開示したシステム内の構成要素が異なる方式で組み合わせられるおよび/もしくは別の構成要素によって置き換えられるか補われる場合に達成されるはずである。したがって、他の実装形態は、別記の特許請求の範囲の範囲内である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7