特許第6018634号(P6018634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018634
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】製造過程および製品
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/46 20060101AFI20161020BHJP
   A23F 5/40 20060101ALI20161020BHJP
   A23L 27/28 20160101ALI20161020BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20161020BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20161020BHJP
【FI】
   A23F5/46
   A23F5/40
   A23L27/28
   A23L27/00 A
   A23L5/00 D
【請求項の数】11
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-520688(P2014-520688)
(86)(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公表番号】特表2014-520561(P2014-520561A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012064391
(87)【国際公開番号】WO2013011148
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】1112488.0
(32)【優先日】2011年7月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテフェーン,フランス
【審査官】 白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−536957(JP,A)
【文献】 特開昭59−109133(JP,A)
【文献】 特開昭61−293343(JP,A)
【文献】 米国特許第05958497(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 3/00−5/50
A23L 2/00−2/40
PubMed
CiNii
CA/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーフレーバーの可溶性顆粒の製造方法であって、スプレードライコーヒーフレーバーをメイラードプロセスフレーバーおよびカラメルシュガーと組み合わせて微粉末を形成すること、この粉末を流動床中に懸濁すること、およびこれに糖結合剤水溶液をスプレーすることを含む、前記方法。
【請求項2】
結合剤が、少なくとも二糖である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
結合剤が、多糖である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
糖濃度が、それがスプレー可能であるが、それがミックスを凝集させる程度である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
キサンタンガムが使用され、溶液が0.2〜5.0重量%のキサンタンガムを含有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
炭水化物マトリックス内に被包された少なくとも1種のフレーバラントを含むスプレードライ組成物を付加的に添加し、ここで、マトリックスは、炭水化物マトリックスの全重量に基づき40〜80重量%の高分子量膜形成炭水化物;10〜30重量%の単糖、二糖および三糖;および10〜30重量%のマルトデキストリンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スプレードライ組成物が50重量%までの顆粒を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法によって調製可能なコーヒーフレーバー。
【請求項9】
インスタントコーヒーおよび50重量%までの請求項8に記載のコーヒーフレーバーを含む、可溶性1回分コーヒー粉末。
【請求項10】
インスタントコーヒーおよび50重量%までの請求項8に記載のコーヒーフレーバーを含むコーヒーフレーバーを含む、スリーインワンコーヒー粉末。
【請求項11】
消費組成物ベースおよび請求項8に記載のコーヒーフレーバーを含む、食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、コーヒー代替品の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーは、世界で最も人気のある飲料の1つであり、世界のいたる所で毎日大量に消費されている。さらに、それはまた、乳製品、菓子、焼成品、シリアルおよびアイスクリームなどの多くの他の食品に取り入れられている。コーヒーは、世界の温暖および熱帯地域原産の数種の低木の焙煎した種であるコーヒー豆を原料とする。これらはまた、気候変動により悪化する極度の気象条件およびさまざまな衝突がある地域でもある。これはしばしば、コーヒー豆の不足をもたらし、これは、玄人用コーヒーのみならず、より人気のあるインスタントコーヒーの価格の高騰に反映される。インスタントコーヒーは、焙煎し、粉末状にし、水に溶解し、そしてフリーズドライまたはスプレードライすることによりコーヒー豆から調製される。それは、飲まれるのみならず、多数の他の食品においても使用される。
【発明の概要】
【0003】
飲み物を作るために使用されるインスタントコーヒー粉末のいくらかまたはほとんどのための代替品を提供しつつ、その所望の質を保持することにより、価格の高騰の影響に対抗することが提案されている。これは、インスタントコーヒーのような味がするのみならず、そのように見えるコーヒー代替品顆粒を提供することにより達成することができることが、今や見出された。したがって、コーヒーフレーバーの可溶性顆粒の製造方法であって、スプレードライコーヒーフレーバーをメイラードプロセスフレーバーおよびカラメルシュガーと組み合わせて微粉末を形成すること、この粉末を流動床中に懸濁すること、およびこれに糖結合剤水溶液をスプレーすることを含む、前記方法を提供する。
【0004】
他のスプレードライフレーバーを、メイラードフレーバーに加えて、添加してもよい。具体例は、PCT公開公報WO 01/35764に記載のものである。これは、炭水化物マトリックス内に被包された少なくとも1種のフレーバラントを含むスプレードライ組成物であって、マトリックスは、炭水化物マトリックスの全重量に基づき40〜80重量%の高分子量膜形成炭水化物;10〜30重量%の単糖、二糖および三糖;および10〜30重量%のマルトデキストリンであることを特徴とする、前記組成物を含む。かかるフレーバーは、全顆粒の最大限で50重量%まで使用してもよい。
【0005】
コーヒーフレーバーは、溶液および粉末形状の両方で広く利用可能であり、コーヒーフレーバーを与えるために食品において使用される。それは、NI(ネイチャーアイデンティカル)コーヒーであってもよく、または、それは、インスタントコーヒーを低比率で含有する、共にコーヒーフレーバーを模倣する成分を加えたコーヒーのブレンドであってもよい。かかる製品は、当該技術分野において周知であり、広く使用されており、例えば、マルトデキストリンなどの担体に適用するいくつかの液体構成成分の混合物を含む。成分は、コーヒー、ヘーゼルナッツ、キャラメル、バニラおよびそれらの混合物を含んでもよい。
【0006】
ときどき熱プロセスフレーバーとも称される、メイラードプロセスフレーバーは、フレーバー組成物の重要度の高い構成要素である。それらは、還元糖の、食品等級の窒素源、典型的にアミノ酸、ペプチド、食用タンパク質、植物タンパク質加水分解物および酵母、とのメイラード反応によって製造される。これらのフレーバー組成物は、スープ、スナックおよび調理済食事などの料理用および食欲をそそる風味のある製品において使用され、ここで、ローストポーク、チキンソテー、またはボイルドビーフなどの特定の味の提供を与え、増強する。多くのかかるフレーバーが、利用可能である。これは、外観が特徴的に暗い製品をもたらす。
【0007】
結合剤溶液は、少なくとも二糖である糖の水溶液である。例えば、それは、ショ糖またはマルトデキストリンであってもよい。しかしながら、それは、とくに多糖、とくに食品産業において広く使用されている多糖ガムの1種である。これらの例は、ペクチン、アラビアゴムおよびキサンタンガムを含む。
【0008】
糖濃度は、溶液がスプレー可能である(すなわち、粘性があり過ぎない)が、ミックスを凝集させる程度であるべきである。好適な濃度は、あらゆる場合に日常の実験によって容易に決定し得る。しかしながら、キサンタンについてのおおよその目安は、0.2〜5.0重量%、とくに0.5〜1.5%である。
【0009】
製造過程において、粉末成分(コーヒーフレーバー、プロセスフレーバーおよびカラメルシュガー、所望の場合他のスプレードライフレーバーを加える)が、流動床に別々に添加されてその中で懸濁され、混合され、均一なブレンドが得られる。そしてそれらに、結合剤溶液をスプレーする。これは、凝集をもたらし、粒子が形成される。得られる粒子は、所望の粒子径に達するまでふるいにかけられる(これは通常、125〜4000マイクロメートル、とくに125〜2000マイクロメートルの範囲である)。
【0010】
結合剤のスプレーは、標準的機器を使用して、当該技術分野において既知の通常の方法で、行ってもよい。我々が100%インスタントコーヒーと同じ外見および性能を有する凝集体を生産することができることが、この製造過程の特徴である。
得られる粒子状フレーバーは、固体の、非粘着性粒子であり、消費組成物において使用することができる。
【0011】
組成物を、飲料および他のコーヒーフレーバーの両方において部分的コーヒー代替品として使用してもよい。例えば、大袋入り(in loose)または小袋入り(in sachets)(例えば、1回分およびスリーインワン(コーヒー−砂糖−クリーマー))の可溶性コーヒー粉末において使用してもよい。かかる使用において、組成物は、インスタントコーヒーを、50%までの範囲で、およびいくつかの使用において、100重量%でさえも、フレーバーに何らかの影響を及ぼすことなく、置き換えることができる。これは、実質的な節約を提供する。30〜40重量%程度の代替レベルで、消費者は、一方がコーヒーおよび組成物であって、他方が100%コーヒーであるものの間のいかなる違いも検出することができないことが、観察されている。
【0012】
組成物はまた、コーヒーフレーバーを必要とするあらゆる食品において使用することができ、非限定の例は、ケーキ、ビスケットおよびシリアルバーなどの焼成品;朝食用シリアル;チーインガム;菓子;アイスクリーム;および乳製品を含む。したがって、食品ベースおよび上述のコーヒーフレーバーを含む食品もまた、提供する。「食品ベース」は、コーヒーフレーバー以外の食品の全成分の組合せを意味する。これらの成分は、食品の性質に依存して、当然変更するが、それらは、完全に標準的なものであり、当該技術分野において認識される比率で使用されることから、当業者には、上述のコーヒーフレーバーと配合するのに何ら困難性はないであろう。
ここで、製造過程を、以下の非限定の例を参照にさらに説明する。
【0013】

後述の実験を、言及されるパラメーターを利用して、流動床において行った。
流動床機器GPCG03、Glatt AG (Binzen, Germany)製
操作パラメーターを、以下の範囲内に維持した。
【表1】
【0014】
粒子状フレーバー組成物を、以下の表に示す成分から調製した。
【表2】
【0015】
【表3】
得られる組成物は、50〜500ミクロンの大きさのコーヒー色の粉末であった。
【0016】
組成物を、人気のある小袋形状のスリーインワンコーヒー飲料(50%砂糖、40%クリーマー、10%インスタントコーヒー、すべて重量)において試験した。テストサンプルは、以下のとおりである。
サンプル1−15%のコーヒーフレーバーは例の組成物であり、残りはインスタントコーヒーであった。
サンプル2−30%を置き換えた。
サンプル3−45%を置き換えた。
【0017】
コーヒーを、4種類のサンプルすべてから作り、専門家の味覚パネルへと提出し、100%インスタントコーヒーの参考組成物に対して試験した。パネルの見解は、以下のとおりである。
サンプル1−参考のものから区別できない。
サンプル2−専門家は違いに気付いた(しかし、一般消費者により検出不可能な範囲である)。
サンプル3−有意な差異があり、明らかに一般消費者により検出可能である。