特許第6018635号(P6018635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018635検出器アレイ及びビームスプリッティングシステムを有する顕微鏡法機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018635
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】検出器アレイ及びビームスプリッティングシステムを有する顕微鏡法機器
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   G01N21/64 E
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-522789(P2014-522789)
(86)(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公表番号】特表2014-521953(P2014-521953A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】SE2012050820
(87)【国際公開番号】WO2013015733
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】61/511,093
(32)【優先日】2011年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598041463
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,ジェレミー・アール
(72)【発明者】
【氏名】カーツ,カイル・ジャスティン
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−526767(JP,A)
【文献】 特開平11−275429(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/085765(WO,A1)
【文献】 特開平04−104243(JP,A)
【文献】 特開昭62−238427(JP,A)
【文献】 特表平10−503289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/74
G01J 3/00− 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の複数の成分の別個の画像を取込むための機器であって、
複数の異なる発光チャネルであって、各々特定の成分に関連する発光チャネルで発光させるため、蛍光標識成分を励起する光の励起ビームで試料を照明する光源と、
複数の発光チャネルを取り込んで発光ビームを出力するための対物レンズと、
前記発光ビームを受け取ってそのビームを複数の発光チャネルに分離し、分離により得られた複数の発光チャネルを別個の実質的に平行な経路に向けて出力するスプリッティングシステムと、
当該機器の片側に配設された検出器マウントのアレイと、
1以上の検出器と
を備え
各検出器は、前記アレイの各検出器マウント配設されて、前記複数の発光チャネルのうちの1つの発光チャネルを受け取り、
前記複数の発光チャネルの、前記スプリッティングシステムと前記検出器との間における経路が、ほぼ等しい経路長を有し
前記スプリッティングシステムは、前記発光ビームを複数の発光チャネルに分離するための複数の光学フィルタを含むフィルタセットを複数備え、
前記スプリッティングシステムは、複数のフィルタセットの中から、前記発光ビームの経路内に設置されるフィルタセットを交換できるように構成されており、
前記複数のフィルタセットのうちの第1のフィルタセットが前記発光ビームの経路に設置された場合、前記第1のフィルタセットは、前記発光ビームを第1の複数の発光チャネルに分離し、
前記複数のフィルタセットのうちの第2のフィルタセットが前記発光ビームの経路に設置された場合、前記第2のフィルタセットは、前記発光ビームを、前記第1の複数の発光チャネルとは異なる第2の複数の発光チャネルに分離する、機器。
【請求項2】
前記発光チャネルを前記スプリッティングシステムに反射るポリクロイックミラー備える、請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記スプリッティングシステムが、複数のミラーを有し
フィルタセットに含まれる複数の光学フィルタの各々が、前記複数の発光チャネルのうちの1つの発光チャネルを、前記複数のミラーのうちの1つのミラーに向けて反射るためのものであり、各ミラーが、前記発光チャネルを、前記別個の実質的に平行な経路のうちの1つの経路に反射るために配置され配向される、請求項1又は請求項2記載の機器。
【請求項4】
前記複数のミラーが、前記フィルタセットの周りに配設されている、請求項2又は請求項3記載の機器。
【請求項5】
前記光学フィルタがダイクロイックミラー又はポリクロイックミラーである、請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の機器。
【請求項6】
前記別個の実質的に平行な経路は、同一平面内に存在する、請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の機器。
【請求項7】
前記各検出器は、多角形の各頂点に配置されている、請求項2乃至請求項6のいずれか1項記載の機器。
【請求項8】
各検出器が、光検出器アレイ、CCDカメラ又はCMOSカメラを備える、請求項2乃至請求項7のいずれか1項記載の機器。
【請求項9】
前記スプリッティングシステムは、各検出器が受け取る発光チャネルに対応する像が、前記発光ビームに含まれる複数の発光チャネルの各々に対応する像と同一の配向を有するように、像の配向を保存する、請求項2乃至請求項8のいずれか1項記載の機器。
【請求項10】
前記各検出器は、多角形の各頂点に配置されるように、前記各検出器マウントに取り付けられる、請求項2乃至請求項9のいずれか1項記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光顕微鏡法に関し、特に、カメラシステムを有する蛍光顕微鏡法機器に関する。
【背景技術】
【0002】
多カメラ顕微鏡法は、改善された速度及び光学最適化を可能にする各蛍光発光チャネルのために専用カメラを提供する。しかし、蛍光発光チャネルを異なる光学経路に分割し、各発光チャネルを別個のカメラに向けることは、非対称でかつ複雑な光学システムをもたらすことが多い。例えば、顕微鏡の3つの異なる側に3つのカメラが位置する典型的な顕微鏡を考える。試料の3つの異なる蛍光標識された成分から発光される3つの発光チャネルからなる光は、対物レンズによって収集される。光は、対物レンズを出て、顕微鏡光学システムによって3つの別個のビームに分割される。各ビームは、別個の光学経路に沿って3つのカメラの1つのカメラに移動する発光チャネルの1つのチャネルの光からなる。
【0003】
しかし、カメラが顕微鏡の異なる側に位置するため、カメラに冷却液を搬送するために使用されるカメラケーブル及びチューブは、カメラを含む顕微鏡のそれぞれの側から突出する。結果として、顕微鏡の占有面積が大きくなる可能性があり、そのことが、制限された実験室空間に顕微鏡を設置しようとするときに問題となる場合がある。さらに、カメラレイアウトが非対称であり、また、不規則なケーブリング及びチューブ突出部が、顕微鏡の全体的な美観を実質的に損ないうる。これらの理由で、エンジニア、科学者及び顕微鏡製造業者は、顕微鏡の全体的な占有面積を低減し、美的に満足のいくレイアウトを有する顕微鏡を求め続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第102009060490号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
顕微鏡法機器であって、検出器が機器の一方の側に位置する、顕微鏡法機器が開示される。一態様では、顕微鏡法機器は、スプリッティングシステムと機器の一方の側に配設された検出器のアレイを含む。2つ以上の別個の発光チャネルからなるビームは、発光経路に沿ってスプリッティングシステムまで移動する。スプリッティングシステムは、発光チャネルを分離するため、各発光チャネルは、別個の経路に沿って、検出器のアレイ内の検出器の1つの検出器まで移動する。別個の発光チャネルが移動する2つ以上の経路は、実質的に平行であるため、各チャネルは、検出器のアレイ内の異なる検出器によって受取られる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な顕微鏡法機器の概略図である。
図2A】4つの顕微鏡機器に関連する検出システムの4つの例のうちの1つの例を示す図である。
図2B】4つの顕微鏡機器に関連する検出システムの4つの例のうちの1つの例を示す図である。
図2C】4つの顕微鏡機器に関連する検出システムの4つの例のうちの1つの例を示す図である。
図2D】4つの顕微鏡機器に関連する検出システムの4つの例のうちの1つの例を示す図である。
図3A図2Dに示す検出システムのスプリッティングシステムの例示的な実装態様を示す図である。
図3B】4つの検出器マウントを有するバックプレートの概略実装態様の例を示す図である。
図4】スプリッティングシステムの光学フィルタに関連する例示的な透過率プロット及び反射率プロットである。
図5】動作時のスプリッティングシステムの例を示す図である。
図6】光学フィルタの2つの交換可能なセットを有するスプリッティングシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、例示的な顕微鏡法機器100の略図を示す。機器100は、対物レンズ102、ポリクロイックミラー104、励起フィルタ106、光源108、発光フィルタ110、チューブレンズ112、スプリッティングシステム114及び検出器の平面アレイ116を含む。光源108は、高強度で実質的に単色の光のビーム118を発光するレーザでありうる。励起フィルタ106及びポリクロイックミラー104は、励起光のビームを送信し、励起光のビームは、ステージ120の対物レンズ102及びアパーチャを通過し、ステージ120によって支持される顕微鏡スライド122上に配設された試料に至る。励起フィルタ106は、光の帯域外波長が光源108に入ることを防止する。試料の成分は、蛍光プローブで標識される。各タイプのプローブは、試料の特定の成分に特異的に結合するように設計され、各タイプの蛍光体は、特定のタイプのプローブに結合されるため、試料が励起光118で照明されると、異なる蛍光体は、電磁スペクトルの可視及び近可視部分内の異なる波長を有する光を発光する。結果として、試料の各成分は、関連する異なる波長を持つよう表示される。図1の例では、試料成分は、それぞれが可視スペクトル内の異なる波長の光を発光する、N個の異なるタイプの蛍光体で標識される。波長はλiで示され、ここで、iは1〜Nの範囲にある整数インデックスである。図1は、可視スペクトル内のある範囲の波長に対する強度のプロット124を含む。プロット124の各曲線は、特定の波長を中心とする非常に狭い範囲の波長にわたる強度分布を示す。例えば、曲線126は、第1のタイプの蛍光体から光の発光を生成する、波長λex1を中心とする狭い範囲の励起波長を示し、曲線128は、第1の蛍光体によって発光される、波長λem1を中心とする狭い範囲の発光波長を示す。波長λexi(iは1〜Nの範囲にある整数インデックスである)で示すN個の励起波長は、N個の異なるタイプの蛍光体からの発光を励起する。N個の異なるタイプの蛍光体のそれぞれは、波長λem1で示す対応する発光波長を発光する。発光波長が電磁スペクトルの可視部分内にあるとき、成分は、異なるカラーを有する試料の画像内に現れる。N個の励起波長は、「励起チャネル」と呼ばれ、N個のタイプの蛍光体から発光される光のN個の波長は「発光チャネル」と呼ばれる。N個の励起チャネルλexiは励起光118を含む。
【0008】
N個の発光チャネルの一部分は、対物レンズ102によって収集されコリメートされて、単一発光ビーム130になる。ビーム130は、ポリクロイックミラー104から反射して、機器100に関連するデカルト座標系131のz軸に平行に延びる中心光学発光軸に沿って進む。ビーム130は、迷走励起光を阻止する発光フィルタ110を通過する。チューブレンズ112は、単一レンズを表す又はいくつかのレンズ及び他の光学要素を表し、ビーム130がスプリッティングシステム114に入る前に検出器116の像面上にビーム130を合焦させる。代替の実施形態では、各ビームは、スプリッティングシステムの下流に配置された自分自身の別個のレンズを有しうる。スプリッティングシステム114は、ビーム130の発光チャネルを分離するため、各チャネルは、発光フィルタ(複数可)110を通って検出器の平面アレイ116内の検出器までN個の別個の実質的に平行な経路のうちの1つの経路をたどる。例えば、指向性矢印132及び134は実質的に平行な出力ビームを表し、出力ビーム132は検出器136に向けられる発光チャネルλem1であり、出力ビーム134は検出器138に向けられる発光チャネルλem2である。アレイ116内の各検出器は、光検出器アレイ、CCDカメラ又はCMOSカメラでありうる。代替の実施形態では、各ビームは、別個の励起フィルタを通過しうる。スプリッティングシステム114及び検出器の平面アレイ116は、機器100の検出システムを形成する。アレイ116内の検出器は、任意の適した配置構成を有しうるが、検出器は、スプリッティングシステム114に面するほぼ同じ平面内に存在する。
【0009】
図2A〜2Dは、それぞれが検出器の異なる平面配置構成を表す検出システムの4つの例を示す。各図は、上述した対物レンズ102、ポリクロイックミラー104及びチューブレンズ112を含む。図2Aの例では、検出システムは、スプリッティングシステム202及び2つの検出器のアレイ204を含む。2つの検出器は、y軸に平行に配向するライン206に沿って存在する。スプリッティングシステム202は、2つの発光チャネルλem1及びλem2からなる光の発光ビーム208を受取り、2つのチャネルを分離するため、チャネルλem1は、ビーム210で出力されて検出器1に至り、チャネルλem2は、ビーム212で出力されて検出器2に至る。ビーム210及び212は、yz平面内に存在しかつ互いに実質的に平行である。図2Bの例では、検出システムは、スプリッティングシステム214及び3つの検出器のアレイ216を含む。3つの検出器は、yz軸平面内に存在する。スプリッティングシステム214は、3つの発光チャネルλem1、λem2及びλem3からなる光の発光ビーム220を受取り、チャネルを分離するため、チャネルλem1は、ビーム222で出力されて検出器1に至り、チャネルλem2は、ビーム224で出力されて検出器2に至り、チャネルλem3は、ビーム226で出力されて検出器3に至る。ビーム222、224及び226は、yz平面内に存在しかつ互いに実質的に平行である。ビーム222、224及び226が進む光学経路長がほぼ同じになるため、検出器2が検出器1及び3に比べてスプリッティングシステム214からより遠くに設置されることに留意されたい。他の実施形態では、検出器は、ビーム222及び226が進む光学経路長にほぼ一致するよう、ビーム224の光学経路長を増加させるために、ビーム224を内部で反射するミラーをスプリッティングシステム214内に含むことによって、xy平面に平行に配向されたラインに沿って存在しうる。検出器は、y方向に平行なラインに沿って配列されることに限定されず、検出器204及び216のリニアアレイは、xy平面内に存在する任意のラインに沿って配列されうる。他の実施形態では、出力ビーム及び検出器は、図2C及び図2Dで示す2次元幾何学配置構成を有しうる。図2Cの例では、検出システムは、スプリッティングシステム228及び3つの検出器のアレイ230を含む。3つの検出器は、各検出器が、xy平面に平行に配向される三角形232の頂点に位置するように配列される。この例では、スプリッティングシステム228は、光の発光ビーム220を受取り、チャネルを分離するため、チャネルλem1は、ビーム234で出力されて検出器1に至り、チャネルλem2は、ビーム236で出力されて検出器2に至り、チャネルλem3は、ビーム238で出力されて検出器3に至る。ビーム234、236及び238は、互いに実質的に平行である。図2Dの例では、検出システムは、スプリッティングシステム240及びxy平面に平行に配向される長方形244の頂点に各検出器が位置するように配列された4つの検出器のアレイ242を含む。この例では、スプリッティングシステム240は、4つのチャネルからなる光の発光ビーム246を受取り、チャネルを分離するため、チャネルλem1は、ビーム248で出力されて検出器1に至り、チャネルλem2は、ビーム250で出力されて検出器2に至り、チャネルλem3は、ビーム252で出力されて検出器3に至り、チャネルλem4は、ビーム254で出力されて検出器4に至る。ビーム248、250、252及び254は、互いに実質的に平行である。
【0010】
検出システムは、4つまでの検出器の平面アレイに限定されることを意図されない。他の実施形態では、検出システムは、平面幾何学的配置構成で5つ以上の検出器を有しうる。例えば、5つの検出器は、五角形の頂点に位置するように配列されることができ、6つの検出器は、六角形の頂点に位置するように配列されることができる。他の実施形態では、検出器は、不規則な平面配置構成を有することができ、平面の規則的な2次元幾何学的配置構成に限定されることを意図されない。
【0011】
上述した顕微鏡法機器の一方の側又は背面上の検出器の平面配置構成は、コンパクトであり、機器の占有面積を最小にする。顕微鏡法機器の一方の側又は背面上に検出器の全てを位置することによって、機器は、より狭いエリアにより迅速にかつ好都合に設置されることができ、ケーブル及び冷却液チューブが機器のいくいつかの異なる側から突出するのではなく、検出器を動作させるために使用されるケーブル及び冷却液チューブの全てが機器の一方の側から突出し、機器の美観を改善する。
【0012】
スプリッティングシステムは、顕微鏡法機器の発光軸に沿って位置する光学フィルタのセット及び光学フィルタのセットの周りに配置されたミラーの第2のセットによって実装されうる。各フィルタは、他の波長の透過を可能にしながら、特定のチャネルをミラーのうちの1つのミラーに反射するように構成される。各ミラーは、チャネルのうちの1つのチャネルを、対応する検出器に反射するように配向される。チャネルは、図2に示す例を参照して上述したように、実質的に平行な出力ビームで反射されて検出器に至る。図3Aは、図2Dに示す検出システムのスプリッティングシステム240の例示的な実装態様を示す。スプリッティングシステム240は、z軸に平行に延びる発光軸302に沿って配列される4つの光学フィルタ1〜4のセットを含み、また、フィルタのセットの周りに径方向に分配された4つのミラー1〜4を含む。
【0013】
実際には、検出システムの検出器は、顕微鏡法機器及び検出器の背面内の検出器マウントに取付けられ、検出器の位置は、理想的な平面からの検出器の距離に関してわずかに変動する場合がある。図3Bは、4つの検出器マウント306〜309を有する背面プレート304のほぼ実装態様の例を示す。マウントは、xy平面内で長方形平面配置構成を有する。結果として、検出器1〜4は、対応するマウント306〜309に挿入されると、実質的に平面である。4つの別個のマウントは、同様に、検出器のそれぞれの位置がxy平面及びz平面内で調整されることを可能にして、フィルタを通過するビーム、色収差及び光学経路長変動の他の発生源による屈折を補正する。
【0014】
顕微鏡法システムの検出器の数はスケールアップ又はスケールダウンされることができる。換言すれば、図3Bに示す検出システムを含む顕微鏡法システムは、任意の1検出器、2検出器又は3検出器及び対応するフィルタを除去することによって、4検出器の検出システム242から3検出器、2検出器又は単一検出器の検出システムにスケールダウンされうる。同様に、検出システムは、検出器マウント内に検出器を設置し、対応するフィルタをスプリッティングシステムに付加することによって、単一検出器、2検出器又は3検出器の検出システムからスケールアップされうる。例えば、図3Bでは、検出器4がマウント309に付加されると、対応するフィルタ4が、スプリッティングシステム240に付加され、検出システムは、3検出器システムから4検出器システムにスケールアップされる。代替的に、検出器4がマウント309から除去されると、対応するフィルタ4が、スプリッティングシステム240から除去され、検出システムは、4検出器システムから3検出器システムにスケールダウンされる。
【0015】
フィルタ1〜4は、ダイクロイックミラー又はポリクロイックミラーでありうる。各フィルタは、チャネルのうちの1つのチャネルを対応するミラーに反射する。図4は、フィルタ1〜4にそれぞれ関連する反射率特性及び透過率特性を表す例示的な透過率及び反射率プロット401〜404を示す。各プロットでは、軸406などの水平軸は波長を表し、軸408などの垂直軸は、透過率及び反射率をパーセンテージとして表し、軸410などの垂直軸はチャネル強度を表し、破線の曲線412などの破線の曲線は反射率を表し、点線の曲線414などの点線の曲線は透過率を表す。各フィルタは、他の波長を透過させながら、発光チャネルのうちの1つのチャネルを反射する。特に、例示的なプロットは、フィルタ1が発光チャネルλem1を反射し、フィルタ2が発光チャネルλem2を反射し、フィルタ3が発光チャネルλem3を反射し、フィルタ4が発光チャネルλem4を反射することを明らかにする。
【0016】
図5は、動作時の図3に示す例示的なスプリッティングシステム240を示し、フィルタは、図4を参照して述べるように、光を反射及び透過させるように構成される。4つのチャネルλem1、λem2、λem3及びλem4からなる発光ビーム502は、スプリッティングシステム240に入る前に対物レンズ102によって収集され、ポリクロイックミラー104によって反射され、チューブレンズ112によってコリメートされる。発光ビーム502がスプリッティングシステム240を通過するとき、フィルタ1はミラー1に向かってチャネルλem1を反射し、フィルタ2はミラー2に向かってチャネルλem2を反射し、フィルタ3はミラー3に向かってチャネルλem3を反射し、フィルタ4はミラー4に向かってチャネルλem4を反射する。図5の例に示すように、ミラー1〜4は、フィルタ1〜4のセットの周りに径方向に分配され、各チャネルが、他のチャネルに関連する出力ビームに実質的に平行である出力ビームで反射されるように配向される。特に、図5では、ミラー1〜4は、各チャネルλem1、λem2、λem3及びλem4がそれぞれ、径方向に分配された実質的に平行な別個の出力ビームに沿って反射されて、それぞれ検出器1〜4に至るように配向される。
【0017】
スプリッティングシステムの光学要素は、チャネルに関連する像の配向を保存するように配列される。例えば、試料が励起光によって照明され、各タイプの蛍光標識された成分が、異なる発光チャネル内の光を発光するとき、各タイプの成分は、発光チャネル波長に対応するカラーの関連する像を有する。スプリッティングシステムは、発光チャネル波長に従って異なる像を分離し、各像は、検出器のうちの1つの検出器によって取込まれる。スプリッティングシステムの光学要素は、成分の別個の像を再配向しない。図5はまた、発光チャネルλem1、λem2、λem3及びλem4内の光をそれぞれ発光するために蛍光標識される、試料の4つの異なるタイプの成分の像の配向を表すために使用される4つの文字「J」、「K」、「P」及び「F」を含む。スプリッティングシステム240は、関連する発光チャネル波長に従って像を分離するが、像が、2回反射され、最終的に対応する検出器まで透過されるため、各像の配向が保存される。例えば、スプリッティングシステム240に入る直前の文字「J」、「K」、「P」及び「F」に関連する像のxy平面配向は、検出器1〜4のxy平面内の文字「J」、「K」、「P」及び「F」の配向と同じである。換言すれば、像は、像の配向が不変の状態で検出器1〜4に到達する。
【0018】
他の実施形態では、スプリッティングシステムは、2つ以上のセットのフィルタを有しうる。フィルタの各セットは、発光チャネルの異なるセットを反射する。図6は、フィルタの2つのセットを有するスプリッティングシステム602の例を示す。図6の例では、フィルタの各セットは、そのセットを、y方向に前後に摺動させることによって切換えることを可能にするシャシ内に搭載される。図6は、フィルタのセット1及び2に関連する発光チャネルの2つのセットの例示的なプロット604を含む。フィルタのセット1は、実線のピークで示すチャネルの第1のセットλem1、λem2、λem3及びλem4を反射するように構成され、フィルタのセット2は、破線のピークで示すチャネルの第2のセットλ’em1、λ’em2、λ’em3及びλ’em4を反射するように構成される。フィルタのセット1が、チャネルの2つのセットからなる発光ビームの経路内に設置されると、セット1は、図5を参照して上述した方法でチャネルの第1のセットλem1、λem2、λem3及びλem4を分離する。フィルタのセット2が、発光ビームの経路内に設置されると、セット2は、上述した方法でチャネルの第1のセットλ’em1、λ’em2、λ’em3及びλ’em4を分離する。
【0019】
説明のための先の説明は、本開示の完全な理解を提供するために特定の用語を使用した。しかし、本明細書で述べるシステム及び方法を実施するために、特定の詳細は必要とされないことが当業者に明らかになるであろう。特定の例の先の詳細は、例証及び説明のために提示される。それらは、本開示を網羅すること又は述べる厳密な形態に本開示を制限することを意図されない。例えば、図1を参照して、励起フィルタ106及び光源108の場所は、発光フィルタ110、チューブレンズ112、スプリッティングシステム114及び検出器の平面アレイ116の場所と切換えられることができ、ポリクロマティックミラー104は、励起ビーム118を対物レンズ102に反射し、発光ビーム130を透過させるポリクロイックミラーと置換されうる。明らかに、多くの変更及び変形が、先の教示を考慮して可能である。本開示の原理及び実用的な用途を最もよく説明し、それにより、当業者が、企図される特定の使用に合う種々の変更によって本開示及び種々の例を最もよく利用することを可能にするために、例が示され述べられる。本開示の範囲が、添付特許請求の範囲及びその均等物によって規定されることが意図される。
【符号の説明】
【0020】
100 顕微鏡法機器
102 対物レンズ
104 ポリクロイックミラー
106 励起フィルタ
108 光源
110 発光フィルタ
112 チューブレンズ
114、214、228、240、602 スプリッティングシステム
116 検出器の平面アレイ
120 ステージ
122 顕微鏡スライド
118、130、208、210、212、220、222、224、226、234、236、238、246、248、250、252、254、502 ビーム
132、134 指向性矢印
136、138 検出器
304 背面プレート
306、307、308、309 検出器マウント
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6