(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持体、剥離層、感光性樹脂層、カバーフィルムをこの順に積層したサンドブラスト用感光性フィルムにおいて、剥離層が(A’)アルカリ可溶性樹脂としてカルボキシル基含有アクリル樹脂を含み、かつ、感光性樹脂層が(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含み、剥離層の(A’)アルカリ可溶性樹脂が感光性樹脂層の(A)アルカリ可溶性樹脂と同一化合物であり、剥離層が非感光性であることを特徴とするサンドブラスト用感光性フィルム。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス、石材、金属、プラスチック、セラミック等を切削し、レリーフ形成するに際しては、サンドブラスト処理による加工が行われている。サンドブラスト処理とは、非処理体上にマスク材としてフォトリソグラフィー法等によりパターニングされた感光性樹脂層を設けた後、研磨剤を吹き付けて非マスク部を選択的に切削する処理である。
【0003】
このサンドブラスト処理用のマスク材として用いられる感光性樹脂組成物としては、例えば、ポリエステルフィルムなどの支持体に感光性樹脂層を設けたドライフィルムが用いられている。感光性樹脂層としては、アルカリ可溶性樹脂、および、ウレタン(メタ)アクリレート、および、光重合開始剤を含むことが一般的である。アルカリ可溶性樹脂としては、セルロース誘導体、または、カルボキシル基含有アクリル樹脂が使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
このような感光性樹脂組成物の耐ブラスト性を高くするためには、硬化後の被膜の弾性を高くする必要があり、そのためには、ウレタン(メタ)アクリレートの配合量をできるだけ多くする必要があった。しかしながら、ウレタン(メタ)アクリレートの配合量を多くすると、硬化前の段階で感光性樹脂層の粘着性が増してしまうため、支持体から剥がれず、感光性樹脂層を非処理体に転写することが困難であった。そこで、耐ブラスト性を犠牲にして、ウレタンアクリレートの配合量を低くする必要があった。
【0005】
この問題を解決するため、例えばポリビニルアルコールまたは部分けん化ポリ酢酸ビニルや、それにエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を添加した水溶性樹脂層を剥離層として設けることが一般的に実施されている(例えば、特許文献4、5)。この方法によって、支持体を感光性樹脂層から剥離することが可能となる。
【0006】
しかしながら、支持体を剥離する際に剥離層を60℃以上の温度で暖めてやらないと感光性樹脂層から支持体が剥離できず、加熱の工程が1工程増えてしまう欠点や、非処理体が大きな場合は、全面を加熱するのに多大な労力を必要とする欠点がある。また、剥離層は水系の塗工で設けられ、剥離層の乾燥に長時間必要となる問題や、また、剥離層上に感光性樹脂層を塗工する際にはじきが発生しやすいという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のサンドブラスト用感光性フィルムについて詳細に説明する。
【0014】
本発明のサンドブラスト用感光性フィルムは、
図1に示すように、支持体1、剥離層2、感光性樹脂層3、カバーフィルム4が積層した構造となっている。使用方法は、直接法および間接法がある。直接法は、まず、カバーフィルム4を除去し、次に、非処理体上に感光性樹脂層3が接触するようにしてラミネータ等を利用して貼り付ける。次に、支持体1側からレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光した後に支持体1を剥離層2と支持体1の界面から剥離する。もしくは、解像性を要求する場合は、光の屈折を少なくするため、支持体1を剥離したのち、剥離層2側からレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光する。露光した感光性樹脂層3部分は硬化される。この際、剥離層2は非感光性であるため、硬化は起こらない。次に、剥離層2および非露光部をアルカリ現像液によって洗い流し、水洗を実施する。次に、サンドブラスト処理を施し、非処理体を加工する。
【0015】
間接法は、非処理体が曲面である場合や立体的である場合、感光性フィルムをラミネートロールに通すことが不可能な場合、密着した露光が実施できない場合等に用いることが多い。まず、感光性フィルムをレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光した後に支持体1を剥離層2と支持体1の界面から剥離する。もしくは、解像性を要求する場合は、光の屈折を少なくするため、支持体1を剥離したのち剥離層2側からレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光する。露光した感光性樹脂層3部分は硬化される。この際、剥離層2は非感光性であるため、硬化は起こらない。次に、剥離層2および非露光部をアルカリ現像液によって洗い流し、水洗を実施する。これによりカバーフィルム4上に感光性樹脂層からなるレジスト画像が形成される。レジスト画像が接触するようにして非処理体に、水系粘着剤等を利用して貼り付ける。次に、カバーフィルム4を剥離し、非処理体上にレジスト画像を形成する。次に、サンドブラスト処理を施し、非処理体を加工する。
【0016】
支持体としては、活性光線を透過させる透明フィルムが好ましい。厚みについては、薄い方が光の屈折が少ないので好ましく、厚い方が塗工安定性に優れるため、10〜100μmが好ましい。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。
【0017】
カバーフィルムとしては、未硬化または硬化した感光性樹脂層を剥離できればよく、離型性の高い樹脂が用いられる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のフィルムが挙げられる。また、これらのフィルムにシリコーン等の離型剤が塗工されたフィルムが挙げられる。
【0018】
剥離層に含まれるアルカリ可溶性セルロース誘導体としては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等が挙げられる。
【0019】
剥離層に含まれるカルボキシル基含有アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸およびその他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体(以下、「重合性単量体」という)を共重合させてなるアクリル系重合体であればよい。
【0020】
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
上記エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
【0022】
上記その他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ビニル−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0023】
成分(A’)の酸価は、30〜500mgKOH/gであることが好ましく、100〜300mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が、30mgKOH/g未満ではアルカリ現像の時間が長くなる傾向があり、一方、500mgKOH/gを超えると、Tgが高くなり、被膜としてひび割れが発生しやすくなる。また、成分(A’)の質量平均分子量は、10000〜200000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましい。質量平均分子量が10000未満の場合、剥離層を被膜状態に形成するのが困難になることがあり、一方、200000を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
【0024】
剥離層に含まれる(C’)ウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とが反応した末端イソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応生成物をいう。前記ジオール化合物としては、末端にヒドロキシル基を有するポリエステル類、ポリエーテル類等が挙げられるが、ポリエステル類としては、ラクトン類が開環重合したポリエステル類、ポリカーボネート類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールと、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応で得られたポリエステル類が挙げられる。前記ラクトン類としては、具体的にはδ−バレロラクタン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、β,β−ジメチル−β−プロピオラクトン等が挙げられる。また、前記ポリカーボネート類としては、具体的にはビスフェノールA、ヒドロキノン、ジヒドロキシシクロヘキサノン等のジオールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲン、無水コハク酸等のカルボニル化合物との反応生成物が挙げられる。また、前記ポリエーテル類としては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール等を挙げることができる。
【0025】
上記ジオール化合物と反応するジイソシアネート化合物としては、具体的にはジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ナノメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式のジイソシアネート化合物を挙げることができ、その化合物の単独または2種類以上の混合物が使用できる。
【0026】
さらに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的にはヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、を挙げることができ、その単独または2種類以上が混合して使用できる。
【0027】
成分(C’)は、カルボキシル基を含有していてもよい。カルボキシル基を含有することで、樹脂層除去液に対する溶解性が向上する傾向にある。カルボキシル基を含有する成分(C’)は、最初に、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物とを両末端にイソシアネート基が残るように反応させ次いでこの反応物の末端イソシアネート基に、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させることによって得ることができる。
【0028】
成分(C’)の質量平均分子量は、1000〜40000とすることが好ましい。
【0029】
感光性樹脂層は、少なくとも(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有してなる。
【0030】
成分(A)アルカリ可溶性樹脂としては、上記に記載した、アルカリ可溶性セルロース誘導体またはカルボキシル基含有アクリル樹脂が挙げられる。(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、上記成分(C’)が挙げられる。
【0031】
成分(A)の酸価は、30〜500mgKOH/gであることが好ましく、100〜300mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が、30mgKOH/g未満ではアルカリ現像の時間が長くなる傾向があり、一方、500mgKOH/gを超えると、非処理体への貼り付きが悪くなる場合がある。
【0032】
また、成分(A)の質量平均分子量は、10000〜200000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましい。質量平均分子量が10000未満の場合、感光性樹脂層を被膜状態に形成するのが困難になることがあり、一方、200000を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
【0033】
成分(C)の質量平均分子量は、1000〜40000とすることが好ましい。
【0034】
成分(B)としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0035】
感光性樹脂層には、必要に応じて、上記成分(A)〜(C)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、光重合性単量体、溶剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、光減色材、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤および撥油剤等が挙げられ、各々0.01〜20質量%程度含有することができる。これらの成分は1種を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
上記光重合性単量体とは、成分(C)ウレタン(メタ)アクリレート以外の、分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物である。例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EOおよびPOは、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
また、上記光重合性単量体としては、分子内に3個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物を使用してもよい。分子内に3個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレートのうち少なくとも1種を含有するものが挙げられる。
【0038】
剥離層の(A’)/(C’)の質量比は、2/8〜9.5/0.5の範囲が好ましい。より好ましくは3/7〜9/1であり、さらに好ましくは4/6〜8/2である。値が大きければ大きいほど、支持体との剥離力が軽くなる。2/8未満であると、支持体との剥離力が重くなり、支持体が剥がれにくくなる場合がある。9.5/0.5より大きいと、(C’)が100質量%の場合と、特性が同等になる。剥離力の調整は、直接法および間接法によって変えることが好ましい。直接法を実施する際は、先にカバーフィルムを剥離し、後に支持体を剥離するため、感光性樹脂層とカバーフィルムの界面の剥離力に比べて、支持体と剥離層の界面の剥離力を重くする方が好ましい。間接法を実施する際は、先に支持体を剥離し、後にカバーフィルムを剥離するため、感光性樹脂層とカバーフィルムの界面の剥離力に比べて、支持体と剥離層の界面の剥離力を軽くする方が好ましい。
【0039】
感光性樹脂層の(A)/(C)の質量比は、上記剥離層の(A’)/(C’)の質量比よりも小さくすることが好ましい。(A)/(C)の質量比は、1/9〜6/4の範囲が好ましく、2/8〜5/5がより好ましい。1/9未満であると、粘性が向上し、感光前の被膜性が低下する場合がある。6/4より大きいと、耐ブラスト性が不十分な場合がある。
【0040】
剥離層の厚みは、0.5〜15μmであるのが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。この剥離層の厚みは、厚みが大きすぎると、解像性の低下、コスト高となる傾向がある。逆に薄すぎると、剥離性の低下が発生する傾向にある。また、感光性樹脂層の厚みは、10〜150μmであることが好ましく、30〜120μmであることがより好ましい。この感光性樹脂層の厚みは、厚みが大きすぎると、解像性の低下、コスト高、エッジフュージョン等の問題が発生しやすくなる。逆に薄すぎると、耐ブラスト性が低下する傾向にある。
【0041】
本発明において、剥離層の(A’)アルカリ可溶性樹脂および(C’)ウレタン(メタ)アクリレート化合物が、それぞれ感光性樹脂層の(A)アルカリ可溶性樹脂および(C)ウレタン(メタ)アクリレート化合物と同一化合物であることが好ましい。同一とは、化学構造式、分子量、酸価等が全て同一ということである。
【実施例】
【0042】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1〜14)
表1に示す各成分を混合し、剥離層用の塗工液を得た。なお、表1における各成分配合量の単位は、質量部を表す。得られた塗工液を、ワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱化学ポリエステルフィルム社製、支持体)上に塗工し、80℃で4分間乾燥し、溶剤成分を飛ばし、PETフィルムの片面上に剥離層1〜10(乾燥膜厚:4μm)を得た。
【0044】
【表1】
【0045】
次に、表2に示す各成分を混合し、感光性樹脂層用の塗工液を得た。なお、表2における各成分配合量の単位は、質量部を表す。表3に示した剥離層と感光性樹脂層の組み合わせで、アプリケーターを用いて、剥離層上に感光性樹脂層用の塗工液を塗工し、80℃で8分間乾燥し、溶剤成分を飛ばし、剥離層上に感光性樹脂層1〜8(乾燥膜厚:70μm)を得た。乾燥後、シリコーンをコーティングしたPETフィルム(商品名:PET−75×1−A3、ニッパ社製、カバーフィルム)を感光性樹脂層面に貼り付け、実施例1〜14の感光性フィルムを作製した。なお、実施例1〜3、5〜14は参考例である。
【0046】
【表2】
【0047】
表1および表2において、各成分は以下の通りである。
(A−1);セルロースアセテートフタレート(和光純薬社製)
(A−2);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(信越化学工業社製)
(A−3);メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比58/15/27で共重合させた共重合樹脂(質量平均分子量70000)、
(A−4);メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比55/20/25で共重合させた共重合樹脂(質量平均分子量30000)
(B−1)2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
(B−2)4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(C−1)紫光(登録商標)UV―2000B(日本合成化学工業社製)
(C−2)紫光(登録商標)UV−3000B(日本合成化学工業社製)
(C−3)KRM(登録商標)8296(ダイセル・サイテック社製)
(C−4)EBECRYL(登録商標)210(ダイセル・サイテック社製)
(C−5)KRM(登録商標)7222(ダイセル・サイテック社製、酢酸エチルを溶剤とした80質量%溶液)。表中の数値は、溶剤を含む溶液の配合量である。
【0048】
【表3】
【0049】
感光性樹脂層塗工の際、感光性樹脂層を目視で観察し、直径2cm以上のはじきを観察したところ、実施例5〜9が2m
2あたり1個、実施例1〜4および10〜14が2m
2あたり3個であった。すなわち、剥離層が成分(A’)および(C’)を含有し、剥離層の(A’)および(C’)と感光性樹脂層の(A)および(C)がそれぞれ同一の化合物である場合、はじき発生数が少なかった。
【0050】
次に、実施例1〜14の感光性フィルムのカバーフィルムを剥離し、3mm厚のガラス板に貼り付けた。次に、フォトマスクを介して露光した。次いで、加熱処理無しで、支持体を剥離したが、実施例1〜12については、手で容易に剥離することが可能であった。一方、剥離層が成分(A’)および(C’)を含有し、(A’)/(C’)の質量比が(A)/(C)の質量比以下である実施例13、14は、カッターで先頭部を剥がし出し、高速で剥離することで、剥離が可能であったが、やや重い剥離力であった。続いて、0.5%炭酸ナトリウム水溶液にてアルカリ現像を実施し、剥離層および非露光部の感光性樹脂層を除去した。次に、サンドブラスト処理を実施したところ、良好な加工ができた。
【0051】
(比較例1〜8)
表2に示す各成分を混合し、感光性樹脂層1〜8用の塗工液を得た。剥離層は使用しないで、PETフィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱化学ポリエステルフィルム社製、支持体)上に直接感光性樹脂層に塗工し、80℃で8分間乾燥し、溶剤成分を飛ばし、PETフィルム上に感光性樹脂層(乾燥膜厚:70μm)を得た。乾燥後、シリコーンをコーティングしたPETフィルム(商品名:PET−75×1−A3、ニッパ社製、カバーフィルム)を感光性樹脂層面に貼り付け、比較例1〜8の感光性フィルムを作製した。
【0052】
比較例1〜8の感光性フィルムのカバーフィルムを剥離し、3mm厚のガラス板に貼り付けた。次に、フォトマスクを介して露光した。次いで、加熱処理無しで、支持体の剥離を試みたが、剥離が非常に困難であり、かつ、5回に1回は支持体であるPETフィルムが裂けてしまった。
【0053】
(比較例9〜16)
ポリビニルアルコール(商品名;クラレポバールPVA205)の8質量%水溶液100質量部にポリエチレングリコール#600(純正薬品)を2質量部混合し、剥離層用の塗工液を得た。得られた塗工液を、ワイヤーバーを用いて、PETフィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱化学ポリエステルフィルム社製、支持体)上に塗工し、80℃で8分間乾燥し、溶剤成分を飛ばし、PETフィルムの片面上に剥離層(乾燥膜厚:4μm)を得た。
【0054】
次に、表2に示す各成分を混合し、感光性樹脂層1〜8用の塗工液を得た。アプリケーターを用いて、剥離層上に得られた塗工液を塗工し、80℃で8分間乾燥し、溶剤成分を飛ばし、剥離層上に感光性樹脂層1〜8(乾燥膜厚:70μm)を得た。乾燥後シリコーンをコーティングしたPETフィルム(商品名:PET−75×1−A3、ニッパ社製、カバーフィルム)を感光性樹脂層面に貼り付け、比較例9〜16の感光性フィルムを作製した。感光性樹脂層を目視で観察し、直径2cm以上のはじきを観察したところ、2m
2あたり20個以上も多発していた。
【0055】
感光性フィルムのカバーフィルムを剥離し、3mm厚のガラス板に貼り付けた。次に、フォトマスクを介して露光した。次に、加熱処理無しで、支持体の剥離を試みたが、剥離が非常に困難であり、かつ、5回に1回は支持体であるPETフィルムが裂けてしまった。