(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を上面に載置するステージと、前記ステージの上面に平行な長方形の断面を有し、長方形の前記断面の長辺に平行な線に沿って延在する凸部を有し、長方形の形状を有する第1の半導体素子を前記凸部の表面に吸着し且つ少なくとも前記凸部が弾性的に変形可能なコレットと、前記コレットの前記凸部が下方を向くように保持し、前記コレットを前記ステージ上の所定の位置で、前記コレットに対して所定の圧力を印加可能なホルダと、を備え、前記凸部は、Ha50〜Ha100の硬度を有するダイボンディング装置を用いたダイボンディング方法であって、
前記第1の半導体素子の長辺方向が前記コレットの前記断面の長辺方向に平行になるように、前記第1の半導体素子の上面を前記コレットの前記凸部の表面に吸着し、
前記ステージの上面に載置された前記基板の表面に、接着材を介して、前記第1の半導体素子の下面を対向させ、
前記第1の半導体素子の下面と前記基板の上面とが前記接着材を介して当接した状態で、前記コレットに対して前記ホルダにより上方から徐々に印加する圧力を増加して前記コレットの前記凸部を変形させることにより、前記第1の半導体素子の下面全体が前記接着材を介して前記基板の上面に接着する
ことを特徴とするダイボンディング方法。
基板を上面に載置するステージと、前記ステージの上面に平行な長方形の断面を有し、長方形の前記断面の対角を結ぶ線分に沿って延在する凸部を有し、長方形の形状を有する第1の半導体素子を前記凸部の表面に吸着し且つ少なくとも前記凸部が弾性的に変形可能なコレットと、前記コレットの前記凸部が下方を向くように保持し、前記コレットを前記ステージ上の所定の位置で、前記コレットに対して所定の圧力を印加可能なホルダと、を備え、前記凸部は、Ha50〜Ha100の硬度を有するダイボンディング装置を用いたダイボンディング方法であって、
前記第1の半導体素子の長辺方向が前記コレットの前記断面の長辺方向に平行になるように、前記第1の半導体素子の上面を前記コレットの前記凸部の表面に吸着し、
前記ステージの上面に載置された前記基板の表面に、接着材を介して、前記第1の半導体素子の下面を対向させ、
前記第1の半導体素子の下面と前記基板の上面とが前記接着材を介して当接した状態で、前記コレットに対して前記ホルダにより上方から徐々に印加する圧力を増加して前記コレットの前記凸部を変形させることにより、前記第1の半導体素子の下面全体が前記接着材を介して前記基板の上面に接着する
ことを特徴とするダイボンディング方法。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、薄厚チップをダイボンディングする際、チップ中央部が凸状のコレットでチップを吸引吸着し、チップ中央部から外側に向かって加圧を徐々に広げて行う。これにより、ボイドなどによる接着不良を解決している。
【0003】
しかし、上記形状のコレットでは、チップ端まで加圧して圧着するために高荷重が必要であり、荷重不足でチップ端まで加圧できないと接着不良が発生する懸念がある。
【0004】
さらにチップサイズが大きくなるに伴いコレットサイズも大きくする場合は、より高荷重が必要となる。
【0005】
一般的なダイボンディング装置の荷重の仕様は、最大10〜30Nである。したがって、チップの高容量化に伴うチップサイズの増大化により、前記一般装置では荷重が足りずに接着不良が発生する。
【0006】
また、チップ端まで加圧するためには高荷重が必要である。しかし、荷重が大きくなるとチップ中央部の面圧が大きくなり、ダイボンディングするチップや基板、基板上に積層したチップにダメージを与える。さらに、ダイボンディングする基板を配置するステージ部の負荷が大きくなり、ステージの耐久性に支障を来す可能性がある。
【0007】
昨今のチップの巨大化傾向に対応するためには、低荷重で接着性が良好なダイボンディング方法が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施例について、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係るダイボンディング装置100の構成を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示すダイボンディング装置100を長辺方向Yから見た側面図である。また、
図3は、
図1に示すダイボンディング装置100のコレット2を凸部側から見た構成を示す平面図である。また、
図4は、
図3のA−A線、B−B線、C−C線に沿ったコレット2の断面の一例を示す断面図である。
【0017】
図1および
図2に示すように、ダイボンディング装置100は、長方形の形状を有する第1の半導体素子5を基板4にダイボンディングするようになっている。
【0018】
このダイボンディング装置100は、ステージ1と、コレット2と、ホルダ3と、を備える。
【0019】
ステージ1は、基板4を上面に載置するようになっている。このステージ1は、例えば、基板4を載置した状態で所定の位置に移動可能になっている。なお、この基板4は、例えば、上面に配線が形成された可撓性基板、または、第1の半導体素子5とは別の第2の半導体素子である。
【0020】
コレット2は、ステージ1の上面1aに平行な長方形の断面を有する。この長方形の断面は、第1の方向(長辺方向)Yの長辺2yと、第2の方向(短辺方向)Zの短辺2zを有する。
【0021】
そして、
図1ないし
図3に示すように、コレット2は、この長方形の断面の長辺2yに平行な線に沿って延在し且つ弾性的に変形可能な凸部2xを有する。
【0022】
この凸部の段差d(
図4)は、例えば、後述のように、0.020mm〜0.300mmの範囲に設定される。なお、この凸部2xの段差dは、凸部2xの端部と凸部2xの中央部(頂点)との間の高度差を意味する。
【0023】
このコレット2は、例えば、ショアA硬さHa50〜ショアA硬さHa100の硬度を有する天然ゴム又は合成ゴムを主体とするゴム弾性体からなる。なお、このショアA硬さは、ISO868に準拠する。
【0024】
また、コレット2は、第1の半導体素子5の上面を凸部2xの表面2aに吸着するようになっている。
【0025】
例えば、コレット2には、コレット2の表面2aから裏面に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。そして、ホルダ3からこの貫通孔の空気を吸引することにより、表面2aに当接された第1の半導体素子5を吸着することができるようになっている。
【0026】
また、コレット2は、第1の半導体素子5の中心(重心)が凸部2xの表面の中心近傍に位置するように、第1の半導体素子5を吸着する。
【0027】
なお、ダイボンディングされる第1の半導体素子5の厚みは、例えば、50μm以下に設定される。また、第1の半導体素子5のサイズは、例えば、7mm×7mm以上である。第1の半導体素子5のこれらの条件では、後述の効果が特に顕著になる。
【0028】
ホルダ3は、コレット2の凸部2xが下方を向くように保持し、コレット2をステージ1上の所定の位置で、コレット2に対して所定の圧力を印加可能になっている。また、既述のように、このホルダ3には、通気口3aが設けられており、吸引手段(図示せず)により、この通気口3aを介してコレット2の該貫通孔の空気を吸引するようになっている。
【0029】
なお、コレット2を保持するホルダ3を搬送手段(図示せず)により搬送することにより、コレット2を所定の位置に移動させることができるようになっている。
【0030】
次に、以上のような構成を有するダイボンディング装置100によるダイボンディング方法の一例について説明する。
【0031】
図5は、実施例1のダイボンディング装置100によるダイボンディング方法の工程の一例を示す断面図である。
【0032】
先ず、第1の半導体素子5の長辺方向がコレット2の該断面の長辺方向に平行になるように、第1の半導体素子5の上面をコレット2の凸部2xの表面2aに吸着する。
【0033】
次に、既述の
図2に示すように、ステージ1の上面1aに載置された基板4の上面4aに、接着材(図示せず)を介して、第1の半導体素子5の下面5aを対向させる。
【0034】
最後に、
図5に示すように、第1の半導体素子5の下面5aと基板4の上面4aとが接着材を介して当接した状態で、コレット2に対してホルダ3により上方から印加する圧力を徐々に増加してコレット2の凸部2xを変形させる。すなわち、凸部2xから第1の半導体素子5に徐々に加圧が広がる。
【0035】
これにより、第1の半導体素子5の下面5a全体が接着材を介して基板4の上面4aに接着される。
【0036】
また、従来のコレットと比較すると、コレットの凸部からチップ端までの距離が短いため、本実施例のコレット2ではより小さい荷重で、チップ端まで加圧し圧着できる。
【0037】
これにより、ボイドなどの接着不良が発生しない必要荷重の低圧化により、半導体素子の受けるダメージやステージの繰り返し負荷の低減の効果がある。
【0038】
ここで、コレットの凸部の段差の大きさ、荷重、および、ボイド発生状況の関係について検討する。
【0039】
図6は、コレット2の凸部2Xの段差の大きさ、荷重、および、ボイド発生状況の関係を測定した結果の一例を示す図である。なお、既述のように、コレット2の凸部2xの段差dは、凸部2xの端部と凸部2xの中央部(頂点)との間の高度差を意味する。
【0040】
図6に示すように、荷重が25N以上の場合、凸部2xの段差dが0.020mm〜0.300mmの範囲で、ボイドが発生していない結果が得られた。
【0041】
そこで、既述のように、凸部2xの段差dを0.020mm〜0.300mmの範囲に設定することにより、ボイドの発生を抑制する効果がより顕著になるといえる。
【0042】
以上のように、本実施例1に係るダイボンディング装置によれば、可撓性基板と半導体素子とを固定する接着剤のボイドの発生および半導体素子に対するダメージを抑制しつつ、可撓性基板上に半導体素子をダイボンディングすることができる。
【実施例2】
【0043】
既述の実施例1では、コレットの凸部が長辺に平行な線に沿って延在する構成の一例について、説明した。
【0044】
本実施例2においては、コレットの凸部が長方形の断面の対角を結ぶ線分に沿って延在する構成の一例について、説明する。
【0045】
なお、本実施例2が適用されるダイボンディング装置の全体的な構成は、
図1、
図2に示すダイボンディング装置100と同様である。
【0046】
図7は、実施例2に係るコレット2を凸部2X側から見た構成を示す平面図である。また、
図8は、
図7のA−A線、B−B線、C−C線に沿ったコレット2の断面の一例を示す断面図である。
【0047】
図7および
図8に示すように、コレット2は、実施例1と同様に、ステージ1の上面1aに平行な長方形の断面を有する。この長方形の断面は、第1の方向(長辺方向)Yの長辺2yと、第2の方向(短辺方向)Zの短辺2zを有する。そして、
図7および
図8に示すように、コレット2は、この長方形の断面の対角2s、2tを結ぶ線分に沿って延在し且つ弾性的に変形可能な凸部2xを有する。該線分は、
図7に示すように、ステージ1側から見て直線状になっている。
【0048】
また、この凸部の段差d(
図8)は、例えば、実施例1と同様に、0.020mm〜0.300mmの範囲に設定される。なお、この凸部2xの段差dは、凸部2xの端部と凸部2xの中央部(頂点)との間の高度差を意味する。
【0049】
また、コレット2は、実施例1と同様に、第1の半導体素子5の上面を凸部2xの表面2aに吸着するようになっている。
【0050】
また、実施例1と同様に、コレット2には、コレット2の表面2aから裏面に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。そして、ホルダ3からこの貫通孔の空気を吸引することにより、表面2aに当接された第1の半導体素子5を吸着することができるようになっている。
【0051】
また、実施例1と同様に、コレット2は、第1の半導体素子5の中心(重心)が凸部2xの表面の中心近傍に位置するように、第1の半導体素子5を吸着する。
【0052】
なお、実施例2に係るダイボンディング装置のその他の構成は、
図1、
図2に示す実施例1と同様である。
【0053】
以上のような構成を有する実施例2に係るダイボンディング装置によるダイボンディング方法は、実施例1と同様である。
【0054】
すなわち、先ず、第1の半導体素子5の長辺方向がコレット2の該断面の長辺方向に平行になるように、第1の半導体素子5の上面をコレット2の凸部2xの表面2aに吸着する。
【0055】
次に、既述の
図2に示すように、ステージ1の上面1aに載置された基板4の上面4aに、接着材(図示せず)を介して、第1の半導体素子5の下面5aを対向させる。
【0056】
最後に、
図5に示すように、第1の半導体素子5の下面5aと基板4の上面4aとが接着材を介して当接した状態で、コレット2に対してホルダ3により上方から印加する圧力を徐々に増加してコレット2の凸部2xを変形させる。すなわち、凸部2xの対角2s、2tを結ぶ線分の領域から第1の半導体素子5に徐々に加圧が広がる。
【0057】
これにより、第1の半導体素子5の下面5a全体が接着材を介して基板4の上面4aに接着される。
【0058】
また、従来のコレットと比較すると、コレットの凸部からチップ端までの距離が短いため、本実施例のコレット2ではより小さい荷重で、チップ端まで加圧し圧着できる。
【0059】
これにより、ボイドなどの接着不良が発生しない必要荷重の低圧化により、半導体素子の受けるダメージやステージの繰り返し負荷の低減の効果がある。
【0060】
以上のように、本実施例2に係るダイボンディング装置によれば、実施例1と同様に、可撓性基板と半導体素子とを固定する接着剤のボイドの発生および半導体素子に対するダメージを抑制しつつ、可撓性基板上に半導体素子をダイボンディングすることができる。
【実施例3】
【0061】
本実施例3においては、コレットの凸部が長方形の断面の対角を結ぶ線分に沿って延在する構成の他の例について、説明する。
【0062】
なお、本実施例3が適用されるダイボンディング装置の全体的な構成は、
図1、
図2に示すダイボンディング装置100と同様である。
【0063】
図9は、実施例3に係るコレット2を凸部側から見た構成を示す平面図である。また、
図10は、
図9のA−A線、B−B線、C−C線に沿ったコレット2の断面の一例を示す断面図である。また、
図11は、
図9のD−D線に沿ったコレット2の断面の一例を示す断面図である。
【0064】
図9ないし
図11に示すように、コレット2は、実施例1と同様に、ステージ1の上面1aに平行な長方形の断面を有する。この長方形の断面は、第1の方向(長辺方向)Yの長辺2yと、第2の方向(短辺方向)Zの短辺2zを有する。そして、
図9ないし
図11に示すように、コレット2は、この長方形の断面の対角2s、2tを結ぶ線分に沿って延在し且つ弾性的に変形可能な凸部2xを有する。該線分は、図に示すように、ステージ1側から見て略S字状になっている。
【0065】
また、この凸部の段差d(
図8)は、例えば、実施例1と同様に、0.020mm〜0.300mmの範囲に設定される。なお、この凸部2xの段差dは、凸部2xの端部と凸部2xの中央部(頂点)との間の高度差を意味する。
【0066】
また、コレット2は、実施例1と同様に、第1の半導体素子5の上面を凸部2xの表面2aに吸着するようになっている。
【0067】
また、実施例1と同様に、コレット2には、コレット2の表面2aから裏面に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。そして、ホルダ3からこの貫通孔の空気を吸引することにより、表面2aに当接された第1の半導体素子5を吸着することができるようになっている。
【0068】
また、実施例1と同様に、コレット2は、第1の半導体素子5の中心(重心)が凸部2xの表面の中心近傍に位置するように、第1の半導体素子5を吸着する。
【0069】
なお、実施例3に係るダイボンディング装置のその他の構成は、
図1、
図2に示す実施例1と同様である。
【0070】
以上のような構成を有する実施例3に係るダイボンディング装置によるダイボンディング方法は、実施例1と同様である。
【0071】
すなわち、先ず、第1の半導体素子5の長辺方向がコレット2の該断面の長辺方向に平行になるように、第1の半導体素子5の上面をコレット2の凸部2xの表面2aに吸着する。
【0072】
次に、既述の
図2に示すように、ステージ1の上面1aに載置された基板4の上面4aに、接着材(図示せず)を介して、第1の半導体素子5の下面5aを対向させる。
【0073】
最後に、
図5に示すように、第1の半導体素子5の下面5aと基板4の上面4aとが接着材を介して当接した状態で、コレット2に対してホルダ3により上方から印加する圧力を徐々に増加してコレット2の凸部2xを変形させる。すなわち、凸部2xの対角2s、2tを結ぶ線分の領域から第1の半導体素子5に徐々に加圧が広がる。
【0074】
これにより、第1の半導体素子5の下面5a全体が接着材を介して基板4の上面4aに接着される。
【0075】
また、従来のコレットと比較すると、コレットの凸部からチップ端までの距離が短いため、本実施例のコレット2ではより小さい荷重で、チップ端まで加圧し圧着できる。
【0076】
これにより、ボイドなどの接着不良が発生しない必要荷重の低圧化により、半導体素子の受けるダメージやステージの繰り返し負荷の低減の効果がある。
【0077】
以上のように、本実施例3に係るダイボンディング装置によれば、実施例1と同様に、可撓性基板と半導体素子とを固定する接着剤のボイドの発生および半導体素子に対するダメージを抑制しつつ、可撓性基板上に半導体素子をダイボンディングすることができる。
【0078】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。