特許第6018690号(P6018690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6018690
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】割賦支払電子記録債権管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20161020BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-233681(P2015-233681)
(22)【出願日】2015年11月30日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽根 建仁
(72)【発明者】
【氏名】遠山 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】中島 智子
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 激変する金融業界に向けたNTTデータの新たなるビジネス戦略 全銀電子債権ネットワークの利用における「共同中継センタ」サービス,BUSINESS COMMUNICATION 第47巻 第3号,日本,株式会社ビジネスコミュニケーション社,2010年 3月 1日,第47巻,第3号,第42-43頁
【文献】 山本 直人,電子債権記録機関の連携方式に関する一考察,電子情報通信学会2008年総合大会講演論文集 情報・システム1,2008年 3月 5日,第238頁
【文献】 藤村 明子,電子記録債権法の概要と技術的な課題,情報処理学会研究報告 Vol.2008 No.21 IPSJ SIG Technical Reports,日本,社団法人情報処理学会 ,2008年 3月 6日,第2008巻,第21号,第133-138頁
【文献】 平田 重敏,迫る 電子記録債権の時代,月刊金融ジャーナル VOL.52 NO.5 ,金融ジャーナル社,2011年 5月 1日,第52巻,第5号,第24-27頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
割賦支払による電子記録債権を管理するための、サーバコンピュータにより実行される方法であって、前記サーバコンピュータは、電子債権記録機関システムおよびクライアントコンピュータに接続され、
前記クライアントコンピュータから、電子記録債権の発生記録請求要求電文を受信するステップであって、前記発生記録請求要求電文は、前記電子記録債権の債権額、払込回数、支払期間、および/または割賦支払額を含む、ステップと、
前記受信した発生記録請求要求電文に基づいて、複数の電子記録債権データを生成するステップであって、前記生成した複数の電子記録債権データは、共通する識別番号を有し、前記生成した複数の電子記録債権データの各々は、前記支払期間内で異なる日付が割り当てられた支払期日を有する、ステップと、
前記生成した複数の電子記録債権データのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを作成するステップと、
前記作成した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと、
前記電子債権記録機関システムから、前記送信した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録結果データファイルを受信するステップと、
前記受信した複数の電子記録債権発生記録結果データファイルのそれぞれに割り当てられた記録番号を、前記生成した複数の電子記録債権データのそれぞれに割り当てるステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記サーバコンピュータは、第2のクライアントコンピュータに接続され、
前記電子債権記録機関システムから、前記送信した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録通知データファイルを受信するステップと、
前記受信した複数の電子記録債権発生記録通知データファイルを集約して、発生記録請求承諾要求電文を生成するステップと、
前記クライアントコンピュータから、発生記録請求承諾電文を受信するステップと、
前記受信した複数の電子記録債権発生記録通知データファイルのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録請求承諾データファイルを作成するステップと、
前記作成した複数の電子記録債権発生記録請求承諾データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クライアントコンピュータから、前記生成した複数の電子記録債権データの一部または全てに対応する変更記録請求要求電文を受信するステップであって、前記変更記録請求要求電文は、変更後債権額、変更後払込回数、変更後支払期間、および/または変更後割賦支払額を含む、ステップと、
前記受信した変更記録請求要求電文に基づいて、前記生成した複数の電子記録債権データを更新するステップと、
前記更新した複数の電子記録債権データのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権変更記録請求データファイルを作成するステップと、
前記作成した複数の電子記録債権変更記録請求データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと、
前記電子債権記録機関システムから、前記送信した複数の電子記録債権変更記録請求データファイルのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権変更記録結果データファイルを受信するステップと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記変更記録請求要求電文が、変更後払込回数または変更後支払期間を含む場合、
前記変更後払込回数が、変更前払込回数よりも少なく、または前記変更後支払期間が、変更前払込回数期間よりも短い場合、
前記変更後払込回数または前記変更後支払期間に基づいて、口座間送金決済報告データファイルを作成するステップと、
前記作成した口座間送金決済報告データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変更記録請求要求電文が、変更後払込回数または変更後支払期間を含む場合、
前記変更後払込回数が、変更前払込回数よりも多く、または前記変更後支払期間が、変更前払込回数期間よりも長い場合、
前記変更記録請求要求電文に基づいて、電子記録債権発生記録請求データファイルを作成するステップと、
前記作成した電子記録債権発生記録請求データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
割賦支払による電子記録債権を管理するための、コンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、電子債権記録機関システムおよびクライアントコンピュータに接続され、
前記クライアントコンピュータから、電子記録債権の発生記録請求要求電文を受信する発生記録請求要求電文受信部であって、前記発生記録請求要求電文は、前記電子記録債権の債権額、払込回数、支払期間、および/または割賦支払額を含む、発生記録請求要求電文受信部と、
前記受信した発生記録請求要求電文に基づいて、複数の電子記録債権データを生成する電子記録債権データ生成部であって、前記生成した複数の電子記録債権データは、共通する識別番号を有し、前記生成した複数の電子記録債権データの各々は、前記支払期間内で異なる日付が割り当てられた支払期日を有する、電子記録債権データ生成部と、
前記生成した複数の電子記録債権データのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを作成する電子記録債権発生記録請求データファイル作成部と、
前記作成した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信する電子記録債権発生記録請求データファイル送信部と、
前記電子債権記録機関システムから、前記送信した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録結果データファイルを受信する電子記録債権発生記録結果データファイル受信部と、
前記受信した複数の電子記録債権発生記録結果データファイルのそれぞれに割り当てられた記録番号を、前記生成した複数の電子記録債権データのそれぞれに割り当てる記録番号割当部と
を備えたことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割賦支払電子記録債権管理システムおよび割賦支払電子記録債権管理方法に関し、特に、複数の電子記録債権を一組の割賦電子記録債権をして管理する割賦支払電子記録債権管理システムおよび割賦支払電子記録債権管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2008年12月に電子記録債権法が施行され、既存の指名債権や手形債権等とは異なる新たな金銭債権(電子記録債権)が利用できるようになっている。この電子記録債権によって、事業者は、企業間取引などで発生した債権の支払いに関して、インターネット(パソコン)やFAXなどで電子記録を行うことで、安全かつ簡易・迅速にその債権の発生および譲渡等を行うことができようになっている。
【0003】
電子記録債権を発生させる場合、全国銀行協会により設立された電子債権記録機関が保有する記録原簿に登録する必要がある。この登録は、全銀電子債権ネットワーク(いわゆる、「でんさいネット」)が提供するシステムを通じて行う必要がある。でんさいネットは、全国の金融機関によって共通して利用されることを理由に、徹底した共通仕様が規定されているが、電子記録債権を利用する場合は、その仕様に従う必要がある。
【0004】
上述した電子記録債権について、発生記録等に記録された発生記録日(発生記録の電子記録年月日、つまり電子記録債権の効力が発生する年月日)から支払期日までの最大期間(支払サイト)が、従来の「1年」から「10年」に延長されることになった。このことによって、設備投資等で、支払サイトが長期に及ぶ取引を行う場合でも、電子記録債権を利用した支払が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】”電子債権記録機関システムの仕組みと実務”,[online],株式会社 全銀電子債権ネットワーク,2013年6月13日,[検索日:平成27年10月22日],インターネット<URL:http://web.archive.org/web/20130619221522/http://www.densai.net/pdf/Pamphlet.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、事業者が設備投資を行う場合、リース会社等が事業者に代わって設備を購入し、事業者がリース会社に月賦等の割賦支払によって設備購入費を返済していくことが行われている。上述したように、電子記録債権の支払サイトが10年に延長されることで、事業者とリース会社との間における設備購入費の支払に、電子記録債権を利用することが予想される。
【0007】
電子記録債権は、「割賦支払」の概念を有さず、単一の電子記録債権を発生させ、その支払期日を変更することができるにすぎない。つまり、電子記録債権では、複数回の支払を行うことができない。電子記録債権の発生記録請求を行う場合、電子債権記録機関と提携した金融機関(以下、「窓口金融機関」)が提供するシステムを通じて行われるものの、最終的にはでんさいネットに対して発生記録請求データファイルが送信され、でんさいネットが発生記録結果データファイルを作成することになる。このことから、その発生記録請求の仕組みはでんさいネットの仕様に依存することになる。このことから、電子記録債権が「割賦支払」の概念を有さない以上、現状の仕組みでは、電子記録債権の割賦支払を管理することができない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、割賦支払による電子記録債権を発生させることを可能にする割賦支払電子記録債権管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムは、割賦支払による電子記録債権を管理するための、サーバコンピュータにより実行される方法であって、前記サーバコンピュータは、電子債権記録機関システムおよびクライアントコンピュータに接続され、前記クライアントコンピュータから、電子記録債権の発生記録請求要求電文を受信するステップであって、前記発生記録請求要求電文は、前記電子記録債権の債権額、払込回数、支払期間、および/または割賦支払額を含む、ステップと、前記受信した発生記録請求要求電文に基づいて、複数の電子記録債権データを生成するステップであって、前記生成した複数の電子記録債権データは、共通する識別番号を有し、前記生成した複数の電子記録債権データの各々は、前記支払期間内で異なる日付が割り当てられた支払期日を有する、ステップと、前記生成した複数の電子記録債権データのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを作成するステップと、前記作成した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと、前記電子債権記録機関システムから、前記送信した複数の電子記録債権発生記録請求データファイルのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録結果データファイルを受信するステップと、前記受信した複数の電子記録債権発生記録結果データファイルのそれぞれに割り当てられた記録番号を、前記生成した複数の電子記録債権データのそれぞれに割り当てるステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムによれば、複数の電子記録債権を一組の電子記録債権として取り扱うことによって、割賦支払による電子記録債権を発生、変更および管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る、割賦支払電子記録債権管理システムの全体の構成の例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、割賦支払電子記録債権管理装置の構成の例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、割賦支払電子記録債権管理システムが実行する、割賦支払電子記録債権の発生記録請求の処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る、利用者データテーブルの例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る、電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェースの例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る、割賦支払電子記録債権データテーブルの例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る、電子記録債権発生記録請求承諾電文入力インタフェースの例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る、割賦支払電子記録債権管理システムが実行する、割賦支払電子記録債権の変更記録請求の処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係る、電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェースデータ入力インタフェースの例を示す図である。
図10図6で示した割賦支払電子記録債権データテーブルを更新する例を示す図である。
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る割賦支払電子記録債権管理システムを詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システム全体の構成の例を示す図である。図1において、割賦支払電子記録債権管理装置101は、専用線などのネットワーク102を介して、電子債権記録機関システム103に接続される。また、割賦支払電子記録債権管理装置101は、インターネットなどのネットワーク104を介して、債権者端末105および債務者端末106に接続される。
【0014】
割賦支払電子記録債権管理装置101は、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムに係るサービス(以下、「割賦支払電子記録債権管理サービス」)を提供する主要な装置であり、割賦支払電子記録債権管理サービスを提供する金融機関(以下、「サービス提供金融機関」)において設置・管理される。割賦支払電子記録債権管理装置101は、利用者からの割賦支払による電子記録債権(以下、「割賦支払電子記録債権」)の発生記録請求があると、共通フォーマットを有する複数の発生記録請求データファイルを作成して、当該発生記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信する。また、割賦支払電子記録債権管理装置101は、電子債権記録機関システム103から、送信した複数の発生記録請求データファイルに対応する、複数の発生記録結果データファイルを受信する。なお、割賦支払電子記録債権管理装置101は単独で実装されてもよく、または、従来から存在する、銀行の勘定系サービスを提供する銀行システムのサーバもしくはホストで実装されてもよい。また、割賦支払電子記録債権管理装置101は、単一のコンピューティングデバイスによって実装されてもよく、または複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されて実装されてもよい。
【0015】
電子債権記録機関システム103は、全国銀行協会により設立された電子債権記録機関が提供するでんさいネットである。電子債権記録機関システム103は、電子記録債権の発生、譲渡などの記録を行うシステムであり、電子記録債権ごとの記録原簿を記憶した電子記録債権データベースを備える。電子債権記録機関システム103は、割賦支払電子記録債権管理装置101から発生記録請求データファイルを受信すると、該当の記録原簿レコードを電子記録債権データベースに追加し(この記録原簿への追加によって電子記録債権が発生する)、その発生記録に関する発生記録結果データファイルを作成し、割賦支払電子記録債権管理装置101に送信する。
【0016】
債権者端末105は、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムに係るサービスを利用する債権者が有するクライアントコンピュータ端末である。債権者端末105は、割賦支払電子記録債権管理システムによって提供される入力インタフェースを表示する。その入力インタフェース上で、例えば、債権者からの請求により電子記録債権を発生させる(債権者請求方式)場合に、債権者は、発生記録請求を行うために必要な情報を入力する。
【0017】
債務者端末106は、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムに係るサービスを利用する債務者が有するクライアントコンピュータ端末である。債務者端末106は、割賦支払電子記録債権管理システムによって提供される入力インタフェースを表示する。その入力インタフェース上で、例えば、債権者請求方式の場合に、債権者による発生記録請求に対して承諾を行うために必要な情報を入力する。
【0018】
上記入力インタフェースは、債権者端末105および債務者端末106上にインストールされてもよく、または、割賦支払電子記録債権管理装置101から送信されるWEB画面であってもよい。また、発生記録請求は、債務者からの請求により電子記録債権を発生させる、債務者請求方式であってもよい。
【0019】
上述した債権者端末105および債務者端末106は、例えば、通信機能を備えるパーソナルコンピュータ、ワークステーション、PDAなどの情報通信端末機器であってもよい。コンピューティングデバイスおよび情報通信端末機器は、中央処理装置(CPU)、メモリ、記憶装置などを備えるコンピューティングデバイスであって、メモリまたは記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをCPUが処理することによって統括的に制御され、本発明に係る処理を実行し、その機能を実現することができる。なお、上述したシステム構成は、例示のためのものであり、本発明を実行することができるシステム構成を限定するものではない。
【0020】
次に、図2のブロック図を参照して、上述した割賦支払電子記録債権管理装置101の構成を詳細に説明する。割賦支払電子記録債権管理装置101は、制御部201、主記憶部203、補助記憶部204、入力部205、出力部206、ネットワークI/F207、および、データベース208を備え、それらの各要素がシステムバス202を介して接続されている。
【0021】
制御部201は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、上記各構成要素の制御やデータの演算を行う。また、制御部201は、本実施形態に係る各種処理を実行するための、補助記憶部204に格納されている各種プログラムを主記憶部203に読み出して実行する。主記憶部203は、メインメモリとも呼ばれ、割賦支払電子記録債権管理装置101が受信した入力データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。
【0022】
補助記憶部204は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。主記憶部203は、補助記憶部204よりも記憶容量が相対的に小さいため、一時的なデータの記憶や演算処理などに使用されるのに対し、補助記憶部204は、必要なデータや情報の長期的な記憶および保存のために使用される。つまり、制御部201がプログラムを実行してデータの演算を実行する場合には、補助記憶部204から必要なデータやプログラムを主記憶部203に読み出し、演算結果のデータを長期的に記憶および保存するには制御部201が補助記憶部204に演算結果のデータを書き込む。
【0023】
入力部205は、債権者端末105および債務者端末106からの入力情報をネットワークI/F207を介して受信する。また、電子債権記録機関システム103から送信された発生記録結果データファイルをネットワークI/F207を介して受信する。
【0024】
出力部206は、債権者端末105からの決済口座情報の入力などを受信したことに応答して、発生記録請求データファイルを出力する。
【0025】
データベース208は、後述する割賦支払電子記録債権データテーブルなどのデータベーステーブルを備える。
【0026】
次に、図3を参照して、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムが実行する、割賦支払電子記録債権の発生記録請求の処理を説明する。本実施形態では、事業者が設備投資をする際に、リース会社を介して設備を購入するものとする。リース会社を債権者、事業者を債務者として債権者請求方式で割賦支払電子記録債権が発生するものとする。また、債権者および債務者の双方ともに、サービス提供金融機関を窓口として、電子記録債権を利用するものとする。
【0027】
発生記録の請求人となる債権者は、債権者端末105の表示部に表示された入力インタフェース(図示せず)から債権者の利用者番号および相手方(債務者)の利用者番号を入力する。ここで、利用者番号は、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムにおいて各利用者を識別する番号であり、例えば、電子債権記録機関システム103によって付与される利用者番号であってもよいが、その番号に限定されない。本実施形態では、債権者および債務者は、電子債権記録機関システム103に利用者番号が登録されているものとする。入力した利用者番号は、債権者端末105から割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される(ステップS301)。
【0028】
割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205は、ステップS301で送信された利用者番号を受信し、制御部201が、当該利用者番号に基づいて、利用者データテーブル400から利用者データレコードを取得する(ステップS302)。
【0029】
図4は、利用者データテーブル400の例を示している。本実施形態では、債権者および債務者はいずれも利用者データテーブル400に登録されているものとし、図4に示すNo.1のレコードが債権者の利用者データレコード、No.2のレコードが債務者の利用者データレコードである。利用者データテーブル400は、本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムに登録された利用者に関する情報を記憶したデータベーステーブルであり、利用者番号、利用者氏名、決済で使用される口座情報(決済口座情報)、および端末アドレスを含む。端末アドレスは、利用者が有するコンピュータ端末のIPアドレスであり、債権者端末105がNo.1のレコードに、債務者端末106のアドレスがNo.2のレコードにそれぞれ設定されている。
【0030】
次に、割賦支払電子記録債権管理装置101の出力部206は、ステップS302で取得した利用者データレコード(債権者および債務者両方の利用者データレコード)を、債権者端末105に送信する(ステップS303)。債権者端末105は、利用者データレコードを受信すると、当該利用者データを電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース500の請求者情報表示欄および相手方情報表示欄にそれぞれ表示する。電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース500を、図5を参照して説明する。
【0031】
電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース500は、割賦支払として管理される電子記録債権を発生させるための情報電文を生成する入力インタフェースである。図5に示すように、電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース500は請求者情報表示欄501、相手方情報表示欄502、および債権情報入力欄503を含む。
【0032】
債権情報入力欄503は、割賦支払による電子記録債権に関する情報を入力する欄であり、債権金額、毎月支払金額(割賦支払が月払いの場合)、割賦支払の支払回数、毎月支払日、電子記録年月日(電子記録債権の発生記録日となる)、および最終支払期日などの情報が入力される。上述した債権情報入力欄503における入力項目の全てが入力される必要はない。例えば、以下の表1に示す入力項目を入力することによって、自動算出項目を算出するようにしてもよい。なお、支払期間とは、電子記録年月日から最終支払期日までの期間を意味する。
【0033】
【表1】
【0034】
電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース500において債権者が情報を入力すると、電子記録債権発生記録請求要求電文として債権者端末105から割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される(ステップS304)。電子記録債権発生記録請求要求電文は、少なくとも図5に示した請求者情報表示欄501に表示された債権者情報、相手方情報表示欄502に表示された債務者情報、および債権情報入力欄503に入力された(自動算出される項目を有する場合は、その自動算出項目も含む)債権情報を含む。
【0035】
次に、割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205が、ステップS304で送信された電子記録債権発生記録請求要求電文を受信すると、制御部201が、電子記録債権発生記録請求要求電文に基づいて、割賦支払電子記録債権データテーブル600にレコードを挿入する(ステップS305)。割賦支払電子記録債権データテーブル600を、図6を参照して説明する。
【0036】
割賦支払電子記録債権データテーブル600は、電子債権記録機関システム103の電子記録債権データベースに登録されることになる電子記録債権を管理するデータベーステーブルである。上述したように、電子債権記録機関システム103においては、電子記録債権を割賦支払で管理するという概念を有さず、単一の電子記録債権をそれぞれ管理しているにすぎない。本発明に係る割賦支払電子記録債権管理システムでは、複数の電子記録債権をグループ化し、1つの電子記録債権群として管理することによって、割賦支払による電子記録債権を実現している。
【0037】
図6に示すように、割賦支払電子記録債権データテーブル600は、割賦支払電子記録債権番号、記録番号、債権者利用者番号、債務者利用者番号、債権金額、支払期日、決済口座情報、および払込フラグを含む。本実施形態では、図5に示した電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース500において、支払回数が「60」回と指定されているので、60の電子記録債権を発生させることになる。割賦支払電子記録債権番号は、それら60の電子記録債権のそれぞれをグループ化するための1つの識別番号が割り当てられる。本実施形態では、60の電子記録債権の全てに同一の割賦支払電子記録債権番号が割り当てられているが、例えば、N桁のみ同一の番号を割り当て、残りの桁を連番とするといったように割賦支払電子記録債権番号が割り当てられてもよい。
【0038】
記録番号は、電子債権記録機関システム103に対して発生記録請求を行うことによって、電子債権記録機関システム103によって割り当てられる記録番号が設定される。債権金額は、本実施形態では、毎月支払額が「10,000」円と指定されているので、その額が設定される。支払期日は、本実施形態では、毎月支払日が25日と指定されているので、指定された電子記録年月日(発生記録日)から最終支払期日までの各月の25日が設定される。
【0039】
次に、割賦支払電子記録債権管理装置101の制御部201は、ステップS305で挿入した割賦支払電子記録債権データテーブル600の各レコードに基づいて、発生記録請求データファイルを作成する。そして、出力部206が、作成した発生記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信する(ステップS306)。発生記録請求データファイルは、電子債権記録機関システム103によって定められた全金融機関共通のフォーマットを有するデータファイルであり、相手方情報(本実施形態では、債権者請求方式であるので債務者情報)、債権金額、および支払期日などの情報を有する。上述したように、本実施形態では、60の電子記録債権を発生させることになるので、60の発生記録請求データファイルを作成し、それらを60回、電子債権記録機関システム103に送信することになる。
【0040】
電子債権記録機関システム103が、ステップS306で送信された発生記録請求データファイルを受信すると、発生記録請求通知データファイルを作成し、割賦支払電子記録債権管理装置101に送信する(ステップS307)。発生記録請求通知データファイルは、電子債権記録機関システム103によって定められた全金融機関共通のフォーマットを有するデータファイルであり、相手方に発生記録請求があったことを通知するためのファイルである。本実施形態では、債権者および債務者ともにサービス提供金融機関を窓口としているので、生記録請求通知データファイルは割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される。この発生記録請求通知データファイルについても、60回送信される。
【0041】
次に、割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205が、ステップ307で送信された発生記録請求通知データファイルを受信すると、制御部201は、受信した発生記録請求通知データファイルに基づいて(60の発生記録請求通知データファイルを集約することによって)、承諾要求電文を作成し、ステップS302で取得した利用者データレコードの端末アドレスが示す債務者端末106に送信する(ステップS308)。電子記録債権を発生させるに際に、相手方である債務者の承諾を得ることが必須となるので、このように承諾要求電文を送信することによって、相手方の承諾を得るものである。
【0042】
債務者端末106が、ステップS308で送信された承諾要求電文を受信すると、その承諾要求電文が、電子記録債権発生記録請求承諾電文入力インタフェース700に表示される。電子記録債権発生記録請求承諾電文入力インタフェース700を、図7を参照して説明する。
【0043】
電子記録債権発生記録請求承諾電文入力インタフェース700は、債権者による電子記録債権の発生記録を承諾したことを示す承諾電文を生成する入力インタフェースであり、債権者が入力した債務者情報(債務者情報表示欄701)、債権者情報(債権者情報表示欄702)、および債権情報(債権情報表示欄703)が表示される。
【0044】
このような状態で、債務者が承諾を実行すると(例えば、電子記録債権発生記録請求承諾電文入力インタフェース700に表示された「確認」ボタンを押下することによって)、債務者が承諾したことを示す承諾電文が割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される(ステップS309)。
【0045】
割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205が、ステップS309で送信された承諾電文を受信すると、制御部201は、ステップS306で作成した発生記録請求データファイル(60の)のそれぞれに対応する、発生記録請求承諾データファイルを作成する。そして、出力部206が、作成した発生記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信する(ステップS310)。発生記録請求承諾データファイルは、電子債権記録機関システム103によって定められた全金融機関共通のフォーマットを有するデータファイルであり、相手方情報(本実施形態では、債権者請求方式であるので債務者情報)、債権金額、および支払期日などの情報を有する。上述したように、本実施形態では、60の電子記録債権を発生させることになるので、60の発生記録請求データファイルを作成し、それらを60回、電子債権記録機関システム103に送信することになる。
【0046】
本来、電子記録債権の発生記録請求を行う場合は、1回の発生記録請求に対して1回の承諾を得ることになるが、本実施形態では、60の電子記録債権の発生記録請求に対して相手方による1回の承諾を得ることによって成立する。つまり、割賦支払電子記録債権管理装置101が相手方からの1回の承諾電文を受信し、その承諾電文から60の発生記録請求承諾データファイルを作成するので、相手方は、60回の承諾を行う必要はない。このようにして、60の電子記録債権の発生記録請求を1つにグループ化することによって、承諾も1回で済むことになり、相手方の承諾を行うことに対する負担を軽減することができる。
【0047】
電子債権記録機関システム103が、ステップS310で送信された発生記録請求承諾データファイルを受信すると、電子記録債権データベースに電子記録債権の登録を行い、60の電子記録債権が発生する(ステップS311)。そして、電子債権記録機関システム103は、60の発生記録請求に対応する発生記録結果データファイルを作成し、割賦支払電子記録債権管理装置101に送信する(ステップS312)。発生記録結果データファイルは、電子債権記録機関システム103によって定められた全金融機関共通のフォーマットを有するデータファイルであり、発生記録請求に対する記録結果を通知するためのものである。このデータファイルによって、割賦支払電子記録債権管理装置101は、60の電子記録債権のそれぞれに割り当てられた記録番号を知ることができる。
【0048】
割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205が、ステップS312で送信された発生記録結果データファイルを受信すると、制御部201は、その発生記録結果データファイルに含まれる記録番号に基づいて、割賦支払電子記録債権データテーブル600を更新する(ステップS313)。図6の6(b)に示すように、記録番号には、60の電子記録債権のそれぞれに一意に割り当てられた記録番号が設定される。
【0049】
このようにして、複数の電子記録債権をグループ化して1つの電子記録債権群として管理することによって、割賦支払による電子記録債権を管理することが可能になる。そして、債権者(発生記録請求者)によって入力された毎月支払額、毎月支払日、および支払期間などの情報から、割賦支払電子記録債権管理装置101がそれらの情報から複数の電子記録債権の発生記録請求を行うので、債権者の負担が軽減されることになる。
【0050】
なお、本実施形態では、割賦支払電子記録債権管理装置101は、債権者からの電子記録債権発生記録請求要求電文を受信した段階で、割賦支払電子記録債権データテーブル600にレコードを挿入し、発生記録結果データファイルを受信したことに応じて割賦支払電子記録債権データテーブル600のレコードを更新しているが、そのような形態に限定されない。例えば、ステップS305の処理が省略され、発生記録結果データファイルを受信したことに応じて、記録番号を含めて、新規に割賦支払電子記録債権データテーブル600にレコードを挿入するようにしてもよい。
【0051】
<変更記録請求>
次に、図8を参照して、図3の説明によって発生記録された割賦支払電子記録債権の債権情報の変更処理について説明する。例えば、5年の支払期間、毎月支払額が1万円である割賦支払電子記録債権が存在する状態において、債権者から、残りの2年分の期間のみ、毎月支払額を6千円に変更する要求があったものとする(変更記録請求)。
【0052】
変更記録の請求人となる債権者は、債権者端末105の表示部に表示された入力インタフェース(図示せず)から割賦支払電子記録債権番号を入力する。入力した割賦支払電子記録債権番号は、債権者端末105から割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される(ステップS801)。
【0053】
割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205は、ステップS801で送信された割賦支払電子記録債権番号を受信し、制御部201が、当該割賦支払電子記録債権番号に基づいて、割賦支払電子記録債権データテーブル600から全ての割賦支払電子記録債権データレコードを取得する(ステップS802)。
【0054】
次に、割賦支払電子記録債権管理装置101の出力部206は、ステップS802で取得した割賦支払電子記録債権データレコードを、債権者端末105に送信する(ステップS803)。債権者端末105は、割賦支払電子記録債権データレコードを受信すると、当該割賦支払電子記録債権データレコードに基づいて、電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900に、現在の支払回数、支払期間などを表示する(受信した割賦支払電子記録債権データレコードを編集することによって)。電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900を、図9を参照して説明する。
【0055】
電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900は、既存の割賦支払電子記録債権について変更記録請求を行うための情報電文を生成する入力インタフェースである。図9に示すように、電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900は請求者情報表示欄901、相手方情報表示欄902、および債権変更情報入力欄903を含む。
【0056】
債権変更情報入力欄903は、割賦支払による電子記録債権に関する変更情報を入力する欄であり、債権金額、毎月支払金額(割賦支払が月払いの場合)、割賦支払の支払回数、毎月支払日、電子記録年月日、最終支払期日、変更開始期間、および変更終了期間などの情報が入力される。
【0057】
本実施形態では、5年の支払期間のうち残りの2年分の期間のみ、毎月支払額を6千円に変更するので(すなわち、2019年4月15日から2020年3月31日まで)、債権情報入力欄803の毎月支払額には6千円が入力され、変更開始期間および変更終了期間には、上述した期間が入力される。
【0058】
電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900において債権者が情報を入力すると、電子記録債権変更記録請求要求電文として債権者端末105から割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される(ステップS804)。電子記録債権変更記録請求要求電文は、少なくとも図9に示した請求者情報表示欄901に表示された債権者情報、相手方情報表示欄902に表示された債務者情報、および債権変更情報入力欄903に入力された債権変更情報を含む。
【0059】
次に、割賦支払電子記録債権管理装置101の入力部205が、ステップS804で送信された電子記録債権変更記録請求要求電文を受信すると、制御部201が、電子記録債権変更記録請求要求電文に基づいて、割賦支払電子記録債権データテーブル600の対応するレコードを更新する(ステップS805)。本実施形態では、図10の10(a)から10(b)に更新されるように、割賦支払電子記録債権データテーブル600の該当のレコードを更新する。この例では、2年分の支払期間のレコードが変更されるので、24の割賦支払電子記録債権データレコードが更新対象となる。
【0060】
次に、制御部201が、ステップS805で更新した割賦支払電子記録債権データテーブル600の各レコードに基づいて、変更記録請求データファイルを作成する(ステップS806)。変更記録請求データファイルも発生記録請求データファイルと同様に、電子債権記録機関システム103によって定められた全金融機関共通のフォーマットを有するデータファイルであり、このデータファイルを電子債権記録機関システム103に送信することによって、該当の電子記録債権の変更記録請求を行うことができる。
【0061】
次に、電子債権記録機関システム103によって変更記録請求通知データファイルが作成され(ステップ807)、債権者による変更記録請求に対する債務者の承諾が行われるが、これらの処理のステップS807乃至809は、図3で説明したS307乃至309と同様であるので説明は省略する。
【0062】
ステップS810以降で、割賦支払電子記録債権管理装置101の出力部206が、作成した変更記録請求承諾データファイルを電子債権記録機関システム103に送信し(ステップS810)、電子債権記録機関システム103が電子記録債権データベースの登録を行い(ステップS811)、変更記録結果データファイルが割賦支払電子記録債権管理装置101に送信される(ステップS812)。なお、本実施形態では、24の電子記録債権が変更対象となるので、24回の変更記録請求データファイルの電子債権記録機関システム103への送信、および24回の変更記録結果データファイルの電子債権記録機関システム103からの受信が行われることになる。
【0063】
本実施形態においても、債権者からの変更記録請求に対し、債務者の1回のみの承諾によって変更記録請求が受け付けられるので、債務者の負担が軽減される。
【0064】
図9で示した電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900において、支払期間を短くし、または払込回数を減らす場合は、不要な電子記録債権が残ることになる。例えば、支払回数を60から48に減らす場合(例えば、毎月支払額を増やすことによって支払回数が減る場合、または債権金額自体が減る場合など)、最終支払期日から起算して12月分の電子記録債権が不要となる。この場合、不要な12月分の電子記録債権に対し、口座間送金決済報告データファイルを作成し、電子債権記録機関システム103に送信してもよい。口座間送金決済報告データファイルは、電子債権記録機関システム103によって定められた全金融機関共通のフォーマットを有するデータファイルであり、このデータファイルを電子債権記録機関システム103に送信することによって、該当の電子記録債権が支払済みとなり、記録原簿上で電子記録債権が消滅する。
【0065】
また、上述した支払期間を短くし、または払込回数を減らす場合の別の方法として、電子債権記録機関システム103に対して変更記録請求を行うことによって、不要な電子記録債権を削除してもよい。この方法では、削除対象となる電子記録債権を消滅させることを示す変更記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信し、相手方の承諾を得ることによって、記録原簿上で電子記録債権が消滅する。
【0066】
加えて、図9で示した電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース900において、支払期間を長くし、または払込回数を増やす場合は、追加の電子記録債権が必要となる。この場合、既に存在する割賦支払電子記録債権と同一の割賦支払電子記録債権番号を割り当て、割賦支払電子記録債権データテーブル600に追加の割賦支払電子記録債権データレコードを追加する。また、追加の電子記録債権発生記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信することによって、増加した払込回数分の電子記録債権が発生することになる。
【0067】
割賦支払電子記録債権管理装置101においても、割賦支払電子記録債権データテーブル600の該当のレコードの払込フラグを「1:支払済み」に更新する。
【0068】
なお、本実施形態では、電子記録債権の変更記録請求を行うことによって、割賦支払電子記録債権の債権内容を変更しているが、そのような形態に限定されない。例えば、変更対象となる電子記録債権全てについて、口座間送金決済報告データファイルを電子債権記録機関システム103に送信し(つまり、変更対象となる電子記録債権全てを払込済みにする)、新たに債権内容が変更された電子記録債権を発生させてもよい。電子記録債権の発生方法は、図3で説明したものと同様である。
【0069】
以上のように、本発明に係る割賦電子記録債権管理システムの説明を詳述したが、実施形態で説明した、割賦支払電子記録債権データテーブル600などの具体的なデータ構造は例示的なものにすぎず、特許請求する事項から逸脱しない範囲で変更がされてもよい。
【符号の説明】
【0070】
102 ネットワーク
104 ネットワーク
202 システムバス
400 利用者データテーブル
500 電子記録債権発生記録請求要求電文入力インタフェース
501 請求者情報表示欄
502 相手方情報表示欄
503 債権情報入力欄
600 割賦支払電子記録債権データテーブル
700 電子記録債権発生記録請求承諾電文入力インタフェース
701 債務者情報表示欄
702 債権者情報表示欄
703 債権情報表示欄
900 電子記録債権変更記録請求要求電文入力インタフェース
901 請求者情報表示欄
902 相手方情報表示欄
903 債権変更情報入力欄
【要約】
【課題】割賦支払による電子記録債権を管理する。
【解決手段】電子記録債権の発生記録請求要求電文を受信するステップと、発生記録請求要求電文に基づいて、複数の電子記録債権データを生成するステップと、複数の電子記録債権データのそれぞれに対応する、複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを作成するステップと、複数の電子記録債権発生記録請求データファイルを、前記電子債権記録機関システムに送信するステップと、電子債権記録機関システムから、複数の電子記録債権発生記録結果データファイルを受信するステップと、記録番号を複数の電子記録債権データのそれぞれに割り当てるステップとを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10