(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャブが前記航空機の乗降部に装着する際に、前記航空機の乗降部に近接する近接位置と前記近接位置に比べ前記航空機の乗降部から離れている遠隔位置との間で移動可能に構成されるドアロック部材と、
前記近接位置への前記ドアロック部材の移動及び前記遠隔位置への前記ドアロック部材の移動を検知するドアロック部材位置検知器と、を備え、
前記制御器は、前記ドア開閉検知器により前記ドアの開放を検知し、かつ、前記ドアロック部材位置検知器により前記近接位置への前記ドアロック部材の移動を検知すると、前記動力発生器の動作を許可する請求項1又は2に記載の旅客搭乗橋。
前記制御器は、前記ドア開閉検知器により前記ドアの開放を検知し、かつ、前記ドアロック部材位置検知器により前記近接位置への前記ドアロック部材の移動を検知すると、前記可動床の上方への移動を自動的に行うように前記動力発生器の動作を制御する請求項3に記載の旅客搭乗橋。
前記ドアロック部材位置検知器は、前記近接位置への前記ドアロック部材の移動を検知する第1検知器と、前記遠隔位置への前記ドアロック部材の移動を検知する第2検知器とを備える請求項3−6の何れかに記載の旅客搭乗橋。
前記制御器は、前記キャブが前記航空機の乗降部から離脱する際に、前記ドアロック部材位置検知器により前記近接位置から前記遠隔位置への前記ドアロック部材の移動を検知すると、前記可動床の下方への移動を自動的に行うように前記動力発生器の動作を制御する請求項3−7の何れかに記載の旅客搭乗橋。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
本発明者らは、航空機の乗降部のドア開閉時におけるキャブの可動床移動の制御について鋭意検討し、以下の知見を得た。つまり、航空機の乗降部のドアの開閉を検知するためのドア開閉検知器を設けることで、航空機の乗降部のドア開閉時におけるキャブの可動床移動の制御を適切に行い得ることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明の第1の態様の旅客搭乗橋は、トンネル部の先端に設けられ、航空機の乗降部に装着されて歩行通路を形成するキャブを備える旅客搭乗橋であって、キャブは、航空機の乗降部のドアシルとの接続に用いられ、上下に移動可能に構成される可動床と、航空機の乗降部のドアの開閉を検知するためのドア開閉検知器と、を備え、キャブが航空機の乗降部に装着する際に、キャブの歩行通路は、航空機の乗降部より下方に位置しており、ドアが開放されていないときは、可動床の上方への移動が禁止される。
【0015】
また、本発明の第2の態様の旅客搭乗橋は、第1の態様の旅客搭乗橋において、可動床の移動のための動力を発生する動力発生器と、ドア開閉検知器によりドアの開放を検知していない場合、動力発生器の動作を禁止する制御器と、を備える。
【0016】
かかる構成により、旅客搭乗橋において、航空機の乗降部のドアの開閉を検知するためのドア開閉検知器を設けることで、航空機の乗降部のドア開閉時におけるキャブの可動床移動の制御を適切に行い得る。つまり、キャブが航空機の乗降部に装着する際に、ドアの開放が検知されていないと、可動床の上方への移動が禁止される。よって、可動床と乗降部のドアとの接触を適切に防止できる。
【0017】
また、本発明の第3の態様の旅客搭乗橋は、第2の態様の旅客搭乗橋において、制御器は、ドア開閉検知器によりドアの開放を検知すると、可動床の上方への移動を自動的に行うように動力発生器の動作を制御する。
【0018】
かかる構成により、キャブが航空機の乗降部に装着する際に、ドアの開放操作に連動して、可動床の操作を自動的に行うことができる。よって、乗降部のドアが開放した後、可動床を上方へ速やかに移動できる。
【0019】
また、本発明の第4の態様の旅客搭乗橋は、第2又は第3の態様の旅客搭乗橋において、キャブが航空機の乗降部に装着する際に、航空機の乗降部に近接する近接位置と近接位置に比べ航空機の乗降部から離れている遠隔位置との間で移動可能に構成されるドアロック部材と、近接位置へのドアロック部材の移動及び遠隔位置へのドアロック部材の移動を検知するドアロック部材位置検知器と、を備え、制御器は、ドア開閉検知器によりドアの開放を検知し、かつ、ドアロック部材位置検知器により近接位置へのドアロック部材の移動を検知すると、動力発生器の動作を許可する。
【0020】
かかる構成により、ドアロック部材位置検知器を設けることで、キャブが航空機の乗降部に装着する際に、可動床と乗降部のドアとの接触を更に適切に防止できる。
【0021】
また、本発明の第5の態様の旅客搭乗橋は、第4の態様の旅客搭乗橋において、制御器は、ドア開閉検知器によりドアの開放を検知し、かつ、ドアロック部材位置検知器により近接位置へのドアロック部材の移動を検知すると、可動床の上方への移動を自動的に行うように動力発生器の動作を制御する。
【0022】
かかる構成により、キャブが航空機の乗降部に装着する際に、ドアの開放操作、近接位置へのドアロック部材の移動に連動して、可動床の操作を自動的に行うことができる。これにより、乗降部のドアが開放した後、可動床を上方へ速やかに移動できる。
【0023】
また、本発明の第6の態様の旅客搭乗橋は、第4又は第5の態様の旅客搭乗橋において、ドアロック部材は、近接位置において、外開きで開閉する構造のドアの移動を阻止する部材として用いられる。
【0024】
かかる構成により、外開きで開閉する構造のドアの移動を適切に阻止できる。
【0025】
また、本発明の第7の態様の旅客搭乗橋は、第4−第6の何れかに態様の旅客搭乗橋において、ドアロック部材は、近接位置において、キャブの歩行通路上の柵として用いられる。
【0026】
かかる構成により、ドアロック部材を、歩行通路上の乗客の適切な通行を可能にする柵として利用できる。
【0027】
また、第8の態様の旅客搭乗橋は、第4−第7のいずれかの態様の旅客搭乗橋において、ドアロック部材位置検知器は、近接位置へのドアロック部材の移動を検知する第1検知器と、遠隔位置へのドアロック部材の移動を検知する第2検知器とを備える。
【0028】
かかる構成により、ドアロック部材位置検知器で、近接位置へのドアロック部材の移動及び遠隔位置へのドアロック部材の移動を適切に検知できる。
【0029】
また、第9の態様の旅客搭乗橋は、第4−第8のいずれかの態様の旅客搭乗橋において、制御器は、キャブが航空機の乗降部から離脱する際に、ドアロック部材位置検知器により近接位置から遠隔位置へのドアロック部材の移動を検知すると、可動床の下方への移動を自動的に行うように動力発生器の動作を制御する。
【0030】
かかる構成により、キャブが航空機の乗降部から離脱する際に、ドアロック部材位置検知器の検知信号に基づいて、可動床を予め下降できる。よって、可動床と乗降部のドアとの接触を適切に防止できる。
【0031】
以下、本発明の実施形態の具体例について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。また、本発明の第1−第9の態様の旅客搭乗橋は、以下の具体的な説明に限定されない。
[装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態の旅客搭乗橋の一例を示す図である。ここでは、トンネル部10の全長が伸びた状態が示されている。
【0032】
以下、便宜上、旅客搭乗橋100のトンネル部10の全長が伸縮する方向を前後方向とし、旅客搭乗橋100に重力が作用する方向を上下方向とし、旅客搭乗橋100の幅方向(前後方向及び上下方向に直交する方向)を左右方向として説明する。また、
図1に示すように、旅客搭乗橋100において、航空機200側を「前」とし、ターミナルビル(図示せず)側を「後」として説明する。
【0033】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、ターミナルビルの出入口に接続されたロタンダ(後方円形室)12と、ロタンダ12に接続されたトンネル部10と、トンネル部10の前方の端部に配されたキャブ(前方円形室)20と、を備える。
【0034】
トンネル部10は、隣り合うトンネル10A、10Bが、外側と内側の相対関係において入れ子状に嵌合されており、トンネル部10の全長が前後方向に伸縮可能に構成されている。具体的には、ドライブコラム15が、トンネル部10を挟むようにトンネル部10の適所(具体的には、外側トンネル10Bの前方の部分)に連結されている。よって、ドライブコラム15の下端の駆動輪が地面18(エプロン18)の上を走行すると、トンネル部10に、前後方向の伸縮運動の動力が伝わる。そして、トンネル部10の全長が伸びることにより、トンネル部10の前方端に配されたキャブ20が航空機200の乗降部202(
図2等参照)に到達すると、空港のターミナルビルの乗降部と航空機200の乗降部202との間の乗客の歩行通路が形成される。このとき、ドライブコラム15の上下の伸縮運動により、トンネル部10が、ロタンダ12を基準に上下移動できる。
【0035】
なお、キャブ20内には、操作盤50(
図2等参照)が配置され、オペレータが、操作盤50のジョイスティック(図示せず)を用いて、旅客搭乗橋100の各機器(例えば、ドライブコラム15等)を操作できる。また、補助階段16は、トンネル部10の内部とエプロン18とを連絡するように、トンネル部10のサイドに設けられている。補助階段16は、例えば、オペレータがキャブ20に出入りするのに使用される。
[キャブの構成]
以下、本実施形態のキャブの構成について図面を参照しながら説明する。
【0036】
図2、
図3及び
図4は、本発明の実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
【0037】
図2及び
図3に示すように、キャブ20は、歩行通路21と、ドア開閉検知器22と、ドアロック部材23と、ドアロック部材位置検知器24と、クロージャー28と、段差解消装置30と、を備える。
【0038】
歩行通路21は、トンネル部10の先端で連結する固定床(図示せず)と、固定床に接続されて幅方向300に傾斜可能に構成されている傾斜床21Aとを備える。なお、このような傾斜床21Aの傾斜機構は、上記特許文献3−4に記載の傾斜機構と同じであっても構わない。よって、ここでは、本機構の詳細な説明は行わずに、以下に概説する。
【0039】
例えば、図示しない連結ヒンジ部等を介して、上記の固定床及び傾斜床21Aが連結されている。そして、パワーシリンダ又は電動モータ等の図示しない動力発生器の動力により傾斜床21Aの右端部又は左端部が上下に移動する。すると、傾斜床21Aの前端部は、連結ヒンジ部を中心として揺動し得る。これにより、傾斜床21Aは幅方向300に傾斜し得る。なお、傾斜床21Aの前端部には、合成ゴム製のバンパー21Bが配されている。バンパー21Bは、傾斜床21Aが航空機200の乗降部202に接触した時の衝撃を緩和する機能、及び、傾斜床21Aの前端部と航空機200の乗降部202との間隔を維持する機能を備える。
【0040】
クロージャー28は、前後方向に伸縮可能な蛇腹部(図示せず)と、蛇腹部の前端に設けられて航空機200に当接する門型の当接体(図示せず)とを備える。これにより、旅客搭乗橋100が航空機200に装着したとき、当接体が、前方へ傾倒することにより航空機200の乗降部202の周囲に当接できる。
【0041】
段差解消装置30は、昇降床31と、従動スロープ32と、ドアシル検知器39と、を備える。本実施形態では、この昇降床31が、航空機200の乗降部202のドアシル202A(詳細は後述)との接続に用いられ、上下に移動可能に構成される可動床の一例である。
【0042】
ここで、
図2及び
図3に示すように、傾斜床21Aの左寄りの部分には、乗客の通行方向301(前後方向)を長辺とする略長方形の開口部29が設けられている。また、傾斜床21Aを鉛直方向に平面視した場合に、矩形の昇降床31および従動スロープ32が、上記開口部29の略全域を覆うよう、傾斜床21Aの面内(つまり、歩行通路21の面内)に配置されている。
【0043】
そして、本実施形態の段差解消装置30では、開口部29を介して下方から昇降床31の裏面に、様々な構造体がアクセスできるので、昇降床31の昇降移動(上下移動)のための動力及び昇降床31の水平移動のための動力を、昇降床31に容易に与えることができる。
【0044】
つまり、本実施形態の段差解消装置30では、昇降床31の開口部29の近傍において、昇降床31を昇降移動し得る昇降機構、及び昇降床31を通行方向301に水平移動し得る水平移動機構が設けられている。
【0045】
<昇降床31の昇降機構>
図4に示すように、昇降床31の昇降機構は、支持フレーム33と、リニアガイド34と、連結フレーム37と、動力発生器35と、を備える。
【0046】
本実施形態では、支持フレーム33は、左右方向に延びる一対のフレームと、上下方向に延びる一対のフレームとからなる、略矩形環状に構成されているが、これに限らない。例えば、支持フレーム33の形状は、井桁状であっても構わない。
【0047】
リニアガイド34は、テーブル34Aと、上下方向に延びるレール34Bとを備える。リニアガイド34のレール34Bは、支持フレーム33に、適宜の固定手段(例えば、ボルト)を用いて固定されている。また、連結フレーム37は、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて傾斜床21Aに固定されている。
【0048】
昇降床31は、昇降床31の水平移動機構(詳細は後述)を介して、支持フレーム33に支持されているが、このような昇降床31の支持構造については、後述する。
【0049】
動力発生器35は、昇降床31の昇降移動のための動力を発生する。動力発生器35は、昇降床31の昇降移動のための動力を発生できれば、どのような構成であっても構わない。例えば、このような動力発生器35の具体的な構成は、上記特許文献3−4に記載の構成と同じであっても構わない。よって、ここでは、本構成の詳細な説明は省略する。動力発生器35の駆動器として、例えば、パワーシリンダ又は電動モータ等を例示できる。
【0050】
以上により、動力発生器35の動力で支持フレーム33が、リニアガイド34を介して連結フレーム37に対して上下方向にスライドすると、昇降床31を昇降移動させることができる。
【0051】
このとき、
図3及び
図4に示すように、板状の従動スロープ32の前端部(固定端部)は、連結ヒンジ部38(連結揺動軸)を介して昇降床31の後端部に揺動自在に連結されている。また、
図4に示すように、従動スロープ32の後端部(自由端部)は、従動スロープ32の重力の作用(自重)により、フリーの状態で傾斜床21A上に置かれている。よって、従動スロープ32は、連結ヒンジ部38を中心に、昇降床31に対して相対的に揺動できるようになっている。
【0052】
以上により、昇降床31が上方に移動すると、連結ヒンジ部38も上方に移動し、これにより、昇降床31の主面と従動スロープ32の主面とのなす角に対応する従動スロープ32の傾斜角度θが連続的に大きくなる。同時に、従動スロープ32の後端部は、傾斜床21A上を前方に移動する。一方、昇降床31が下方に移動すると、連結ヒンジ部38も下方に移動し、これにより、従動スロープ32の上記傾斜角度θが連続的に小さくなる。同時に、従動スロープ32の後端部は、傾斜床21A上を後方に移動する。
【0053】
このようにして、本実施形態の旅客搭乗橋100では、昇降床31の昇降移動によって、従動スロープ32の傾斜角度θが変わり(つまり、従動スロープ32が昇降床31に対して相対的に揺動し)、従動スロープ32の後端部が、傾斜床21A上を通行方向301に直線移動するように構成されている。これにより、従動スロープ32は、昇降床31と傾斜床21A(歩行通路21)との間で傾斜路を形成している。
【0054】
<昇降床31の水平移動機構>
図4に示すように、昇降床31の水平移動機構は、リニアガイド44と、付勢機構41と、動力発生器45と、を備える。
【0055】
リニアガイド44は、テーブル44Aと、通行方向301(前後方向)に延びるレール44Bとを備える。リニアガイド44のレール44Bは、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど;図示せず)を用いて、支持フレーム33に固定されている。
【0056】
また、付勢機構41は、通行方向301に延びる円柱状のバネ軸42と、このバネ軸42に回りに嵌め込まれたバネ42A(弾性体)と、このバネ42Aの端に当接する一対のストッパ部材43A、43Bと、を備える。なお、バネ軸42の両端部にはネジ切りがなされ、当該両端部に適宜の固定手段(ナットなど)を螺着することにより、ストッパ部材43A、43Bの通行方向301の動きが規制されている。また、後端側のストッパ部材43Bは、適宜の固定手段(ボルトなど)を用いて、リニアガイド44のテーブル44Aに固定されている。一方、前端部のストッパ部材43Aは、適宜の固定手段(支持部材およびボルトなど)を用いて、昇降床31の裏面に固定されている。つまり、昇降床31は、付勢機構41を介して、リニアガイド44のテーブル44A上に搭載されている。これにより、昇降床31(および昇降床31に連結された従動スロープ32)は、リニアガイド44のテーブル44Aの通行方向301にスライドすることによって、同方向に水平移動し得る。なお、昇降床31の前端部には、合成ゴム製のバンパー31Bが配されている。バンパー31Bは、昇降床31が航空機200の乗降部202に接触した時の衝撃を緩和する機能、及び、昇降床31の前端部と航空機200の乗降部202との間隔を維持する機能を備える。
【0057】
動力発生器45は、昇降床31の水平移動のための動力を発生する。動力発生器45は、昇降床31の水平移動のための動力を発生できれば、どのような構成であっても構わない。例えば、このような動力発生器45の具体的な構成は、上記特許文献3−4に記載の構成と同じであっても構わない。よって、ここでは、本構成の詳細な説明は省略する。動力発生器45の駆動器として、例えば、パワーシリンダ又は電動モータ等を例示できる。
【0058】
以上により、本実施形態の旅客搭乗橋100では、昇降床31が、昇降床31の水平移動機構を用いて水平移動し得るとともに、本水平移動機構を介して支持フレーム33に支持され得る。
【0059】
このとき、
図10に示すように、上記の水平移動機構の付勢機構41を用いて、昇降床31のバンパー31Bが、航空機200の乗降部202に当接した位置から、更に、昇降床31を乗降部202に押しつけるよう、リニアガイド44のテーブル44Aを前方に水平移動させる。これにより、昇降床31(バンパー31B)の航空機200への付勢力が生じる。つまり、上記当接位置から昇降床31を乗降部202に押しつけるよう、上記テーブル44Aを前方に水平移動させると、ストッパ部材43Bが、バネ42Aの反力に抗してバネ軸42に沿って前方に移動する。すると、バネ42Aがストッパ部材43A、43Bによって圧縮され、これによって生じるバネ42Aの反力に基づいて、昇降床31(バンパー31B)の航空機200への付勢力が生じる。
【0060】
以上により、本実施形態の旅客搭乗橋100では、乗客の乗降に伴う航空機200の浮き沈みによって昇降床31(バンパー31B)と航空機200の乗降部202(外壁)との間の距離が変動する場合であっても、上記の水平移動機構の付勢機構41の作用によって、航空機200の浮き沈みに合わせて、昇降床31(バンパー31B)を通行方向301(前後方向)に追従移動させることができる。よって、昇降床31(バンパー31B)と航空機200の乗降部202(外壁)との間の隙間の発生を適切に防止できる。
【0061】
<航空機ドアのロック機構>
次に、キャブ20におけるドア201のロック機構について説明する。
【0062】
図2及び
図3に示すように、ドアロック部材23は、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、航空機200の乗降部202に近接する近接位置400と、この近接位置400に比べ航空機200の乗降部202から離れている遠隔位置401との間で移動可能に構成される。
【0063】
本実施形態のドア201のロック機構では、ドアロック部材23は、合成ゴム等の緩衝材23Bが巻かれたロッド23Aを備える。また、ドアロック部材23のロッド23Aの端部(固定端)が、上下方向にほぼ平行な垂直方向の回転軸25Aを有する回転支点25で固定されている。これにより、ロッド23Aは、回転支点25を中心に、幅方向300及び通行方向301を含む水平面上において回動できる。なお、ロッド23Aは、上記の近接位置400及び遠隔位置401を含む水平面上の所望の位置に、適宜の固定手段(例えば、ピン及びピン差し込み孔等)を用いて、オペレータの手動操作により固定できる。
【0064】
ここで、近接位置400は、ドアロック部材23と外開きで開閉する構造のドア201とが、干渉する位置に相当する。具体的には、ドアロック部材23は、近接位置400に置かれた場合、
図3で示すように、ドア201の開閉時の動線(
図3の一点鎖線参照)と交差する。よって、ドアロック部材23は、近接位置400において、外開きで開閉する構造のドア201の移動を阻止する部材に用いられる。これにより、ドア201の移動を適切に阻止できる。例えば、
図3に示すように、ドア201の開放の後、ドアロック部材23が、近接位置400に置かれている限りは、ドア201を閉めることを阻止できる。よって、このようなドアロック部材23は、ドア201の閉める際のドア201と昇降床31との間の接触を適切に防止し得るロック機構として有益である。
【0065】
遠隔位置401は、ドアロック部材23と外開きで開閉する構造のドア201とが、干渉しない位置に相当する。具体的には、ドアロック部材23は、遠隔位置401に置かれた場合、
図2で示すように、ドア201の開閉時の動線(
図2の一点鎖線参照)と交差しない。また、本遠隔位置401において、ドアロック部材23は格納される。よって、ドアロック部材23が遠隔位置401に置かれた場合、ドア201の移動が許容される。これにより、ドアロック部材23を、ドア201の移動に支障とならないように適切に格納できる。
【0066】
[制御系の構成]
次に、本実施形態の旅客搭乗橋100の制御系の構成について説明する。
【0067】
まず、本制御系の検知器について説明する。
【0068】
ドア開閉検知器22は、航空機200の乗降部202のドア201の開閉を検知する。本実施形態では、ドア開閉検知器22は、ドア201の開閉を適切に検知できるように、閉止状態のドア201の幅方向300の中心線上であって、キャブ20の天井付近に固定されている。ドア開閉検知器22は、乗降部202のドア201の開閉を検知できれば、どのような構成であっても構わない。ドア開閉検知器22として、例えば、赤外線センサ等の光検知器を例示できる。つまり、ドア開閉検知器22が赤外線センサの場合、ドア開閉検知器22からの赤外線のドア201での反射及び透過による赤外線エネルギーの変化量でドア201の開閉を検知できる。
【0069】
段差解消装置30のドアシル検知器39は、昇降床31に設けられている。本実施形態では、ドアシル検知器39は、昇降床31の先端部であって、左端部付近に固定されている。そして、ドアシル検知器39は、航空機200の乗降部202のドアシル202Aを検知する。具体的には、ドアシル検知器39は、昇降床31の昇降移動中、昇降床31の先端部が航空機200の乗降部202のドアシル202Aと同一平面上に到達すると、検知信号を出力する。ドアシル検知器39は、航空機200の乗降部202のドアシル202Aを検知できれば、どのような構成であっても構わない。ドアシル検知器39として、例えば、赤外線センサ等の光検知器を例示できる。つまり、ドアシル検知器39が赤外線センサの場合、ドアシル検知器39からの赤外線のドアシル202Aでの反射及び透過による赤外線エネルギーの変化量で乗降部202のドアシル202Aを検知できる。
【0070】
ドアロック部材位置検知器24は、近接位置400へのドアロック部材23の移動及び遠隔位置401へのドアロック部材23の移動を検知する。例えば、ドアロック部材位置検知器24は、近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知する第1検知器24Aと、遠隔位置401へのドアロック部材23の移動を検知する第2検知器24Bとを備える。
【0071】
第1検知器24Aは、ドアロック部材23のロッド23Aの端部(自由端)に配されている。第1検知器24Aは、近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知できれば、どのような構成であっても構わない。第1検知器24Aとして、例えば、赤外線センサ等の光検知器を例示できる。つまり、第1検知器24Aが赤外線センサの場合、第1検知器24Aからの赤外線のドア201での反射及び透過による赤外線エネルギーの変化量で近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知できる。
【0072】
第2検知器24Bは、遠隔位置401の適所に配されている。第2検知器24Bは、遠隔位置401へのドアロック部材23の移動を検知できれば、どのような構成であっても構わない。第2検知器24Bとして、例えば、リミットスイッチ等を例示できる。つまり、第2検知器24Bがリミットスイッチの場合、ドアロック部材23が遠隔位置401に移動すると、ドアロック部材23との接触により、第2検知器24Bの接点が切り替わる。
【0073】
次に、制御系の制御器及び制御対象について説明する。
【0074】
操作盤50の制御器50Aは、ドア開閉検知器22により乗降部202のドア201の開放(オープン)を検知していない場合、動力発生器35の動作を禁止する。つまり、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、ドア201が開放されていないときは、昇降床31の上方への移動が禁止される。
【0075】
以上により、本実施形態の旅客搭乗橋100では、ドア開閉検知器22を設けることで、乗降部202のドア201の開閉時における昇降床31の昇降移動の制御を適切に行い得る。つまり、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、段差解消装置30の昇降床31と乗降部202のドア201との接触を適切に防止できる。
【0076】
そして、制御器50Aは、ドア開閉検知器22により乗降部202のドア201の開放を検知し、かつ、ドアロック部材位置検知器24により近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知すると、動力発生器35の動作を許可する。
【0077】
これにより、ドアロック部材位置検知器24を設けることで、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、段差解消装置30の昇降床31と乗降部202のドア201との接触を更に適切に防止できる。
【0078】
また、制御器50Aは、ドア開閉検知器22により乗降部202のドア201の開放を検知し、かつ、ドアロック部材位置検知器24により近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知すると、昇降床31の上方への移動を自動的に行うように動力発生器35の動作を制御する。
【0079】
以上により、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、ドア201の開放操作、近接位置400へのドアロック部材23の移動に連動して、段差解消装置30の昇降床31の操作を自動的に行うことができる。これにより、乗降部202のドア201が開放した後、昇降床31を上方へ速やかに移動できる。
【0080】
また、制御器50Aは、キャブ20が航空機200の乗降部202から離脱する際に、ドアロック部材位置検知器24により近接位置400から遠隔位置401へのドアロック部材23の移動を検知すると、昇降床31の下方への移動を自動的に行うように動力発生器35の動作を制御する。
【0081】
以上により、キャブ20が航空機200の乗降部202から離脱する際に、ドアロック部材位置検知器24の検知信号に基づいて、段差解消装置30の昇降床31を予め下降できる。よって、段差解消装置30の昇降床31と乗降部202のドア201との接触を適切に防止できる。
【0082】
制御器50Aは、制御機能を有するものであれば、どのような構成であっても構わない。制御器50Aは、例えば、演算部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備えてもよい。演算部としては、例えば、PLC、MPU、CPU等を例示できる。記憶部としては、例えば、メモリー等を例示できる。制御器50Aは、単独の制御器で構成されてもいいし、複数の制御器でも構成されてもいい。
【0083】
[動作]
図5、
図6、
図7及び
図8は、本発明の実施形態の旅客搭乗橋の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の旅客搭乗橋100の自動制御の動作は、制御器50Aの制御プログラムにより行われる。
【0084】
ここで、
図5のステップS1−ステップS7については、特開2002−37196号公報に記載のオートドッキング機能の動作と同じであっても構わない。よって、ここでは、ステップS1−ステップS7について、詳細な説明は行わずに、概説する。
【0085】
図5には、旅客搭乗橋100が、パーキング位置から航空機200への装着位置に移動するまでの動作が記載されている。
【0086】
まず、ステップS1では、オペレータが、操作盤50の操作パネル(図示せず)の機種選択ボタンを押すことにより、航空機200の機種の選択が行われる。この機種選択に基づいて、予め設定された複数の装着位置の中から機種に応じた所定の装着位置が決定される。
【0087】
次に、オペレータが操作パネルのスタートボタンを押すことで、以下の自動制御が開始する。なお、本実施形態では、スタートボタンは、オペレータがボタンを押しているときにのみ、ON状態となる方式のボタン、すなわち、デッドマンスイッチ方式のボタンで構成されている。従って、オペレータがボタンから手を離すと、以下の自動制御は強制的に中止される。
【0088】
ステップS2では、上記機種選択と、適宜の角度センサ(図示せず)及び位置センサ(図示せず)の検知結果とに基づいて、装着位置までの各種制御量(例えば、キャブ20の回転角度、トンネル部10の上下移動量、ドライブコラム15の駆動輪の回転角度及び走行距離)の演算が行われる。
【0089】
次いで、本演算結果を基に、ステップS4では、キャブ20の回転が行われ、ステップS5では、トンネル部10の上下移動が行われる。
【0090】
同時に、ステップS3及びステップS6では、ドライブコラム15の駆動輪の制御が行われる。具体的には、ステップS3において、上記駆動輪が、装着位置(目標位置)の方向に回転し、その後、ステップS6において、上記駆動輪が、この方向に向かってエプロン18上を走行する。
【0091】
そして、ステップS7では、光電式距離センサ(図示せず)の検知結果に基づいて、キャブ20の傾斜床21Aのバンパー21Bと航空機200との間の距離が予め定めた所定距離(例えば、1m)になったか否かが判定される。
【0092】
ステップS7の判定結果が、Noの場合には、そのまま、上記の動作が行われる。一方、Yesの場合には、ステップS8に進む。
【0093】
ステップS8では、幅方向300の傾斜角の角度調整検知器(図示せず)の出力信号に基づいてキャブ20の傾斜床21Aの幅方向300における傾斜角自動制御が行われる。具体的には、角度調整検知器の出力信号に基づいて傾斜床21Aの傾斜角が所定の目標値になるように、動力発生器が制御される。例えば、傾斜床21Aがエプロン18と平行になるように、動力発生器が制御される。これにより、制御器50Aは、キャブ20の傾斜床21Aと航空機200の乗降部202のドアシル202Aとが、平行になっていない場合に、角度調整検知器の出力信号に基づいて傾斜床21Aの幅方向300の傾斜角が自動的に制御される。
【0094】
その後、オペレータの手動操作により、キャブ20が、航空機200の乗降部202に取り付けられ、旅客搭乗橋100のキャブ20の航空機200への装着が完了する。
【0095】
また、オペレータの手動操作により、操作盤50のキースイッチ(図示せず)を用いて、旅客搭乗橋100がオートレベルモードに設定される。これにより、例えば、乗客の乗降により航空機200の機体が上下動する場合、このような上下動に合わせてキャブ20が追従するように、ドライブコラム15の上下の伸縮機構の制御が行われる。
【0096】
ここで、
図9に示すように、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、トンネル部10(
図1参照)の先端に連結する歩行通路21(傾斜床21A)は、航空機200の乗降部202より下方に位置している(以下、「格納位置」という)。これは以下の理由による。
【0097】
乗降部202のドア201の下端部は、ドア201の開閉時に、航空機200の乗降部202のドアシル202Aよりも下方に移動する場合がある。このため、乗降部202のドアシル202Aと、キャブ20の歩行通路21(傾斜床21A)とが、段差Gが存在しないよう、キャブ20の歩行通路21(傾斜床21A)の位置を設定すると、ドア201を開閉できない。つまり、乗降部202のドア201の開閉において、ドア201が、キャブ20の歩行通路21(傾斜床21A)に当たる。そこで、
図9に示すように、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、歩行通路21(傾斜床21A)を航空機200の乗降部202より下方に配し、これにより、ドア201の開閉が適切に行われる。
【0098】
図6には、段差解消装置30により、乗降部202のドアシル202Aと、キャブ20の昇降床31との段差Gが解消され、その後、昇降床31が、乗降部202のドアシル202Aに装着されるまでの動作が記載されている。
【0099】
まず、ステップS9では、ドア開閉検知器22の検知結果に基づいて、オペレータの手動操作により乗降部202のドア201が開放(オープン)されたか否かが判定される。
【0100】
ステップS9の判定結果が、Noの場合には、昇降床31が格納位置のままで維持され、昇降床31の上方への移動が禁止される。一方、Yesの場合には、次の判定ステップS10に進む。
【0101】
ステップS10では、ドアロック部材位置検知器24の検知結果に基づいて、オペレータの手動操作によりドアロック部材23が近接位置400に移動したか否かが判定される。
【0102】
ステップS10の判定結果が、Noの場合には、昇降床31が格納位置のままで維持され、昇降床31の上方への移動が禁止される。一方、Yesの場合には、次のステップS11に進み、動力発生器35の動力により、キャブ20の昇降床31の上方への移動が行われる。
【0103】
次いで、ステップS12では、ドアシル検知器39の検知結果に基づいて、乗降部202のドアシル202Aが検知されたか否かが判定される。つまり、
図4に示すように、キャブ20の昇降床31の先端部が、乗降部202のドアシル202Aと同一平面上に到達すると、ドアシル検知器39から検知信号が出力される。これにより、ドアシル検知器39の検知信号で乗降部202のドアシル202Aが検知されたと判定される。
【0104】
ステップS12の判定結果が、Noの場合には、そのまま、上記の昇降床31の上方への移動動作が行われる。一方、Yesの場合には、ステップS13に進み、動力発生器35の動力による昇降床31の上方への移動が停止する。これにより、乗降部202のドアシル202Aと旅客搭乗橋100のキャブ20の昇降床31との間の段差が存在しないよう、昇降床31の先端部が、乗降部202のドアシル202Aと同一平面上に移動したとき、昇降床31の昇降移動を適切に停止できる。
【0105】
次いで、ステップS14では、動力発生器45の動力により、キャブ20の昇降床31の前方への水平移動が行われる。
【0106】
そして、ステップS15では、図示しないリミットスイッチの検知結果に基づいて、昇降床31のバンパー31Bと乗降部202のドアシル202Aとの接触が検知されたか否かが判定される。このリミットスイッチは、付勢機構41に配しても構わない。例えば、
図10に示すように、リミットスイッチは、バンパー31Bとドアシル202Aとの接触の後、ストッパ部材43Bが、バネ42Aの反力に抗してバネ軸42に沿って前方に所定量だけ移動するとオンする検知器であっても構わない。これにより、バンパー31Bとドアシル202Aとの接触の押圧力を容易に設定できる。
【0107】
ステップS15の判定結果が、Noの場合には、そのまま、上記の昇降床31の前方への水平移動が行われる。一方、Yesの場合には、ステップS16に進み、動力発生器45の動力によるキャブ20の昇降床31の前方への水平移動が停止する。
【0108】
このようにして、本実施形態の旅客搭乗橋100では、ドア開閉検知器22の検知信号に基づいて、乗降部202のドア201の開閉時における昇降床31の昇降移動の制御を適切に行い得る。つまり、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、ドア201の開放が検知されていない場合、昇降床31の上方への移動が禁止される。よって、段差解消装置30の昇降床31と乗降部202のドア201との接触を適切に防止できる。
【0109】
また、ドアロック部材位置検知器24の検知信号に基づいて、乗降部202のドア201の開閉時における昇降床31の昇降移動の制御を適切に行い得る。つまり、ドアロック部材23が近接位置400に移動していない場合、昇降床31の上方への移動が禁止されるので、段差解消装置30の昇降床31と乗降部202のドア201との接触を更に適切に防止できる。
【0110】
以上により、本実施形態の昇降床31の昇降移動の自動制御では、ドア開閉検知器22の検知信号に基づく移動禁止機能と、ドアロック部材位置検知器24の検知信号に基づく移動禁止機能とが相俟って、昇降床31とドア201との接触を適切かつ十分に防止し得る。
【0111】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100では、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、ドア201の開放操作及び近接位置400のドアロック部材23の移動に連動して、段差解消装置30の昇降床31の操作を自動的に行うことができる。よって、乗降部202のドア201が開放した後、昇降床31を上方へ速やかに移動できる。
【0112】
図7には、キャブ20が航空機200の乗降部202から離脱する際において、旅客搭乗橋100の昇降床31が格納位置に移動するまでの動作が記載されている。
【0113】
まず、ステップS20では、ドアロック部材位置検知器24の検知結果に基づいて、オペレータの手動操作によりドアロック部材23が遠隔位置401に移動したか否かが判定される。
【0114】
ステップS20の判定結果が、Noの場合には、そのままの状態が維持される。一方、Yesの場合には、次の判定ステップS21に進む。
【0115】
ステップS21では、図示しないリミットスイッチの検知結果に基づいて、昇降床31が格納位置にあるか否かが判定される。
【0116】
ステップS21の判定結果が、Noの場合、ステップS22で、動力発生器45の動力により、キャブ20の昇降床31の後方への水平移動が行われる。また、ステップS23で、動力発生器35の動力により、キャブ20の昇降床31の下方への移動が行われる。これにより、
図9に示すように、昇降床31は格納位置に移動する。
【0117】
このようにして、本実施形態の旅客搭乗橋100では、キャブ20が航空機200の乗降部202から離脱する際に、ドアロック部材位置検知器24の検知信号に基づいて、段差解消装置30の昇降床31を予め下降できる。よって、段差解消装置30の昇降床31と乗降部202のドア201との接触を適切に防止できる。
【0118】
その後、オペレータの手動操作により、ドア201が閉められる。また、オペレータの手動操作により、操作盤50のキースイッチ(図示せず)を用いて、旅客搭乗橋100のオートレベルモードが解除される。また、オペレータの手動により、キャブ20の傾斜床21Aのバンパー21Bと航空機200との間の距離が予め定めた所定距離(例えば、1m)になるよう、旅客搭乗橋100が操作される。
【0119】
図8には、旅客搭乗橋100が、上記の状態からパーキング位置に移動するまでの動作が記載されている。
【0120】
ステップS24では、オペレータが、操作盤50の操作パネル(図示せず)の機種選択ボタンを押すことにより、パーキング位置の選択が行われる。なお、
図8のステップS25−ステップS31については、
図2のステップS2−ステップS8の説明を参酌すれば、容易に理解できる。よって、これらのステップS25−ステップS31の動作の説明は省略する。
【0121】
(第1変形例)
本実施形態の旅客搭乗橋100では、ドアロック部材23は、緩衝材23Bが巻かれたロッド23Aを備え、かかるドアロック部材23を、近接位置400において、外開きで開閉する構造のドア201の移動を阻止する部材として用いる例が示されている。しかし、このようなドアロック部材は、近接位置400において、キャブ20の歩行通路21上の柵(例えば、歩行通路21上の乗客進入防止用の防護柵など)として用いられても構わない。これにより、このようなドアロック部材を、歩行通路21上の乗客の適切な通行を可能にする柵として利用できる。
【0122】
(第2変形例)
本実施形態の旅客搭乗橋100では、外開きで開閉する構造のドア201が示されている。しかし、かかる航空機200のドアは、内開きで開閉する構造であっても構わない。このとき、第1検知器24Aが赤外線センサの場合、第1検知器24Aからの赤外線の航空機機体での反射による赤外線エネルギーの変化量で近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知できる。
【0123】
(第3変形例)
本実施形態の旅客搭乗橋100では、ドアシル検知器39は、昇降床31の昇降移動(上下移動)中、昇降床31の先端部が航空機200の乗降部202のドアシル202Aと同一平面上に到達すると、検知信号を出力する例が示されている。しかし、このような昇降床31に代えて、段差解消装置30は、キャブ20の歩行通路21に対して、適宜の連結ヒンジ部を用いて揺動する揺動床(図示せず)を備えても構わない。本変形例では、この揺動床が、航空機200の乗降部202のドアシル202Aとの接続に用いられ、上下に移動可能に構成される可動床の一例である。
【0124】
そして、ドアシル検知器39は、揺動床の揺動中、揺動床の先端部が航空機200の乗降部202のドアシル202Aと同一平面上に到達すると、検知信号を出力しても構わない。
【0125】
(第4変形例)
本実施形態の旅客搭乗橋100では、制御器50Aは、乗降部202のドア201の開放を検知し、かつ、近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知すると、昇降床31の上方への移動を自動で行うように動力発生器35を制御する例が示されている。しかし、このような自動制御に代えて、昇降床31の上方への移動をオペレータの手動操作により行っても構わない。また、制御器50Aは、乗降部202のドア201の開放を検知すると、直ちに、上記の動力発生器35の自動制御を行っても構わない。
【0126】
(第5変形例)
本実施形態の旅客搭乗橋100では、ドアロック部材23のロッド23Aが、上下方向とほぼ平行な垂直方向の回転軸25Aを有する回転支点25を中心に、幅方向300及び通行方向301を含む水平面上において回動する例が示されている。しかし、このようなドアロック部材23は、キャブ20が航空機200の乗降部202に装着する際に、航空機200の乗降部202に近接する近接位置400と、この近接位置400に比べ航空機200の乗降部202から離れている遠隔位置401との間で移動可能であれば、どのような構成であっても構わない。
【0127】
例えば、
図11に示すように、ドア201と平行に置かれたドアロック部材123のロッド123Aの端部が、通行方向301とほぼ平行な水平方向の回転軸125Aを有する回転支点125で固定されてもよい。これにより、ドアロック部材123が、本回転支点125を中心に、上下方向及び幅方向300を含む垂直平面上において回動しても構わない。また、図示を省略するが、ドア201と平行に置かれたドアロック部材が、幅方向300又は通行方向301に平行移動しても構わない。
【0128】
なお、前者のロッド123Aが垂直平面上で回動する場合、例えば、ロッド123Aの長手方向が幅方向300と平行な状態(すなわち略水平状態)に回動してドア201の開閉動作と干渉する状態であれば、ドアロック部材123は、航空機200の乗降部202に近接する近接位置500に存在する。ロッド123Aの長手方向が上下方向と平行な状態(すなわち略垂直状態)に回動してドア201の開閉動作と干渉しない状態であれば、ドアロック部材123は、近接位置500に比べ航空機200の乗降部202から離れている遠隔位置(図示せず)に存在する。
【0129】
また、後者のうち、ドアロック部材が幅方向300に平行移動する場合、例えば、ロッド123Aが左側に平行移動してドア201の開閉動作と干渉する位置にあれば、ドアロック部材123は、航空機200の乗降部202に近接する近接位置500に存在する。ロッド123Aが右側に平行移動してドア201の開閉動作と干渉しない位置にあれば、ドアロック部材123は、近接位置500に比べ航空機200の乗降部202から離れている遠隔位置(図示せず)に存在する。
【0130】
さらに、後者のうち、ドアロック部材が通行方向301に平行移動する場合、例えば、ロッド123Aが前方に平行移動してドア201の開閉動作と干渉する位置にあれば、ドアロック部材123は、航空機200の乗降部202に近接する近接位置500に存在する。ロッド123Aが後方に平行移動してドア201の開閉動作と干渉しない位置にあれば、ドアロック部材123は、近接位置500に比べ航空機200の乗降部202から離れている遠隔位置(図示せず)に存在する。
【0131】
(第6変形例)
本実施形態の旅客搭乗橋100では、ドアロック部材位置検知器24が、近接位置400へのドアロック部材23の移動を検知する第1検知器24Aと、遠隔位置401へのドアロック部材23の移動を検知する第2検知器24Bとを備える例が示されている。
【0132】
しかし、このようなドアロック部材位置検知器は、1個の検知器(例えば、ドアロック部材23の移動量、回転角度を検知するエンコーダ等)であっても構わない。
【0133】
なお、本実施形態の旅客搭乗橋100では、ロッド23Aを、近接位置400及び遠隔位置401を含む水平面上の所望の位置に、適宜の固定手段を用いて、オペレータの手動操作により固定する例が示されている。しかし、本変形例の場合、制御器50Aが、ドアロック部材位置検知器としてのエンコーダの出力に基づいて、ロッド23Aが、上記水平面上の所望の位置に移動可能なように、ドアロック部材23の動力発生器(図示せず)の動作を制御しても構わない。
【0134】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。