特許第6018715号(P6018715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018715
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】抗ウイルス化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 249/14 20060101AFI20161020BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20161020BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20161020BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20161020BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20161020BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20161020BHJP
   A61K 38/21 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   C07D249/14 506
   C07D405/12CSP
   C07D401/12
   C07D403/12
   A61K31/4196
   A61K31/5377
   A61K31/454
   A61K31/4439
   A61K31/506
   A61P31/14
   !A61P43/00 121
   !A61K37/66 G
【請求項の数】5
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2015-560619(P2015-560619)
(86)(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公表番号】特表2016-510046(P2016-510046A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】EP2014053780
(87)【国際公開番号】WO2014135422
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】61/772,924
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ディーン,チーンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジアーン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイカート,ロバート・ジェームズ
【審査官】 吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0186288(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第1157256(GB,A)
【文献】 独国特許出願公開第10036949(DE,A1)
【文献】 PLoS Medicine,2006年,Vol.3,No.5,e187,p.0595−0597
【文献】 STEWART,V.A. et al.,Priming with an adenovirus 35-circumsporozoite protein (CS) vaccine followed by RTS,S/AS01B boosting,Infect. Immun.,2007年 5月,Vol.75, No.5,p.2283-90
【文献】 DOUGLAS,A.D. et al.,Tailoring subunit vaccine immunogenicity: maximizing antibody and T cell responses by using combinat,Vaccine,2010年10月18日,Vol.28, No.44,p.7167-78
【文献】 Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2013年 6月,Vol.57,No.6,p.2743−2750
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY(STN)
C07D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化合物:
N3−(4−ブロモ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−N5−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−フラン−2−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(5−クロロ−2−トリフルオロメチル−ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(5−クロロ−ピリジン−2−イルメチル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
(5−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
2−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
N5−ベンジル−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(6−アミノ−ピリジン−3−イルメチル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
3−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
2−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(4−メタンスルホニル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ベンゾニトリル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−tert−ブチル−4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ベンゼンスルホンアミド;
N5−(3−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−[4−(ピロリジン−1−スルホニル)−ベンジル]−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−ベンジル]−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
2,6−ジクロロ−4−[5−(4−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ベンゾニトリル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−4−シアノ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
4−({5−[6−クロロ−4’−(プロパン−2−スルホニル)−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルアミノ]−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ}−メチル)−安息香酸 tert−ブチルエステル;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−ピペリジン−4−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
1−{4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−エタノン;および
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−ピリミジン−5−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン
からなる群から選択される化合物、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項2】
療法上の活性化合物として使用するための、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項3】
C型肝炎ウイルス感染の処置において使用するための、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物。
【請求項5】
C型肝炎ウイルス感染の処置において使用するための、請求項4に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)の阻害剤として、HCV感染の阻害剤として、そしてC型肝炎感染の予防および処置のために有用な式Iの化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、世界中で1億7千万人の人々、米国において3〜400万人の人々を冒す主要な健康問題である(Armstrong, G.L., et al., Ann. Intern. Med. 2006, 144:705-714; Lauer, G.M., et al., N. Eng. J. Med. 2001, 345:41-52)。HCV感染はかなりの数の感染者において慢性肝疾患、例えば硬変および肝細胞癌につながる。慢性HCV感染と関係する肝硬変および肝細胞癌は米国における肝臓移植の主因でもある。HCV感染に関する現在の処置には、ヌクレオシド類似体であるリバビリンとの組み合わせでのペグ化インターフェロン−αを用いた免疫療法が含まれる。リバビリンおよび2種類の現在認可されているHCV NS3プロテアーゼ阻害剤であるIncivekまたはVictrelisの1つとの組み合わせでのペグ化インターフェロン−αは、最も処置するのが困難な患者集団である遺伝子型1のHCVに感染した患者の処置に関する現在の標準治療である。しかし、現在のHCV処置は最適以下の持続性ウイルス陰性化率により妥協され、重篤な副作用ならびにプロテアーゼ阻害剤への耐性と関係している。従って、より優れた有効性、安全性、および耐性プロフィールを有する向上した抗ウイルス薬に関する明確な必要性が存在する。
【0003】
HCV侵入としても知られるHCVによるヒトの肝細胞の感染は、ウイルスにコードされるエンベロープ糖タンパク質E1およびE2ならびに宿主細胞の補助受容体の機能的相互作用、続いて受容体に媒介されるエンドサイトーシスプロセスにより媒介される。このHCV侵入の段階は療法介入に関する推定標的である。いくつかのウイルスにコードされる酵素も療法介入に関する推定標的であり、それにはメタロプロテアーゼ(NS2−3)、セリンプロテアーゼ(NS3、アミノ酸残基1〜180)、ヘリカーゼ(NS3、完全長)、NS3プロテアーゼ補助因子(NS4A)、膜タンパク質(NS4B)、亜鉛金属タンパク質(NS5A)およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)が含まれる。
【0004】
HCVの宿主細胞中への侵入の生物学を研究するための系が開発されてきた。E1およびE2糖タンパク質を用いてレトロウイルスの糖タンパク質を機能的に置き換えるシュードタイピング系が開発されている(Bartosch, B., Dubuisson, J. and Cosset, F.-L. J. Exp. Med. 2003, 197:633-642; Hsu, M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2003, 100:7271-7276)。これらの系は天然ウイルスに類似していると信じられている方法で宿主細胞に結合して侵入するHCVシュード粒子(pseudoparticles)をもたらし、そうしてそれらをウイルス侵入の段階を研究するためならびにこのプロセスを遮断する阻害剤を同定するための便利な道具にする。
【0005】
HCV感染の処置のための有効な療法学を開発する明確かつ長年未解決である必要性が存在する。具体的には、HCVウイルス侵入および複製を選択的に阻害し、HCVに感染した患者を処置する、およびHCVの再感染から肝移植患者を保護するために有用である化合物を開発する必要性が存在する。この出願は、HCV感染の予防において有効である新規化合物を開示する。加えて、開示される化合物は、例えばそれらの作用機序、結合、感染の予防、阻害有効性、および標的選択性に関して医薬的使用に関する利点を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Armstrong, G.L., et al., Ann. Intern. Med. 2006, 144:705-714
【非特許文献2】Lauer, G.M., et al., N. Eng.J. Med. 2001, 345:41-52
【非特許文献3】Bartosch, B., Dubuisson, J. and Cosset, F.-L. J. Exp. Med. 2003, 197:633-642
【非特許文献4】Hsu, M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2003, 100:7271-7276
【発明の概要】
【0007】
本出願は式Iの化合物:
【0008】
【化1】
【0009】
[Aは(CHであり;
mは0または1であり;
は場合により1個以上のAで置換されたフェニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
それぞれのAは独立してハロ低級アルキル、低級アルキル、ハロ、NHC(=O)OA、C(=O)OA、アミノ、S(=O)、シアノ、S(=O)N(A、またはC(=O)Aであり;
はH、低級アルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
それぞれのRは独立してハロ、シアノ、ハロ低級アルキル、またはR1’であり;
1’は場合によりR1”で置換されたフェニルであり;
1”は低級アルキルスルホニルであり;そして
nは0、1、2、または3である]
またはその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0010】
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を予防するための方法を提供する。
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための方法を提供する。
【0011】
本出願は、療法上有効量の式Iの化合物および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
句“a”または“an”実体は、本明細書で用いられる際、その実体の1以上を指し;例えば化合物(a compound)は1以上の化合物または少なくとも1の化合物を指す。従って、用語“a”(または“an”)、“1以上”、および“少なくとも1”は本明細書において互換的に用いることができる。
【0013】
この明細書で用いられる際、移行句においても特許請求の範囲の本文(body)においても、用語“含む”および“含むこと”は開放型の意味を有するものと解釈されるべきである。すなわち、その用語は句“少なくとも〜を有すること”または“少なくとも〜が含まれること”と同義的に解釈されるべきである。プロセスの文脈で用いられる際、用語“含むこと”は、そのプロセスに少なくとも列挙された工程が含まれるが、追加の工程が含まれてよいことを意味する。化合物または組成物の文脈において用いられる際、用語“含むこと”は、その化合物または組成物に少なくとも列挙された特徴または構成要素が含まれるが、追加の特徴または構成要素も含まれてよいことを意味する。
【0014】
本明細書で用いられる際、別途具体的に示さない限り、語“または”は“および/または”の“包括的な”意味で用いられており、“どちらか/または”の“排他的な”意味では用いられていない。
【0015】
用語“独立して”は、本明細書において変数があらゆる1つの例においてその同じ化合物内の同じまたは異なる定義を有する変数の存在または非存在にかかわらず適用されることを示すために用いられている。従って、R”が2回現れて“独立して炭素または窒素である”と定義される化合物において、両方のR”が炭素であることができ、両方のR”が窒素であることができ、または一方のR”が炭素であり他方が窒素であることができる。
【0016】
あらゆる変数が本発明において用いられている、または特許請求されている化合物を示す、および記述するあらゆる部分または式中に1回より多く現れる場合、それぞれの出現におけるその定義は全ての他の出現におけるその定義とは無関係である。また、置換基および/または変数の組み合わせはそのような化合物が結果として安定な化合物をもたらす場合のみ許容可能である。
【0017】
結合の末端における記号“”または結合を通って引かれた
【0018】
【化2】
【0019】
は、それぞれ官能基または他の化学的部分のそれがその一部である分子の残りの部分への結合の点を指す。従って、例えば:
【0020】
【化3】
【0021】

(明確な頂点において連結されているものとは対照的な)環系の中へと引かれた結合は、その結合が適切な環原子のいずれにも結合していてよいことを示す。
【0022】
用語“任意の”または“場合により”は、本明細書で用いられる際、続いて記載される事象または状況が起こってよいが起こらなくてもよいこと、ならびにその記載にその事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合が含まれることを意味する。例えば、“場合により置換された”は、その場合により置換された部分が水素原子または置換基を組み込むことができることを意味する。
【0023】
置換基が“非存在である”と指定された場合、その置換基は存在しない。
用語“約”は、本明細書において、おおよそ、ほぼ、おおまかに、またはおよそを意味するように用いられている。用語“約”が数値範囲と合わせて用いられる場合、それは示された数値の上および下の境界を拡張することによりその範囲を修正する。一般に、用語“約”は本明細書において数値を記載された値の上および下に20%の変動により修正するために用いられる。
【0024】
特定の化合物は互変異性を示し得る。互変異性化合物は2以上の相互転換可能な種として存在し得る。プロトン移動(Prototropic)互変異性体は、2個の原子間の共有結合した水素原子の移動の結果もたらされる。互変異性体は一般に平衡状態で存在し、個々の互変異性体を単離する試みは通常その化学的および物理的特性が化合物の混合物と一致する混合物をもたらす。その平衡状態の位置はその分子内の化学的特徴に依存する。例えば、多くの脂肪族アルデヒド類およびケトン類、例えばアセトアルデヒドではケト形が優勢であり;一方でフェノール類ではエノール形が優勢である。一般的なプロトン移動互変異性体には、ケト/エノール
【0025】
【化4】
【0026】
、アミド/イミド酸
【0027】
【化5】
【0028】
およびアミジン
【0029】
【化6】
【0030】
互変異性体が含まれる。後者の2つはヘテロアリールおよび複素環式環において特に一般的であり、本発明はその化合物の全ての互変異性形を包含する。
本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、別途定義しない限り、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されている意味を有する。本明細書において、当業者に既知の様々な方法論および材料への参照が行われる。薬理学の一般原則を述べている標準的な参考資料には、GoodmanおよびGilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics, 第10版, McGraw Hill Companies Inc., ニューヨーク(2001)が含まれる。当業者に既知のあらゆる適切な材料および/または方法を本発明の実施において利用することができる。しかし、好ましい材料および方法が記載される。以下の記載および実施例において参照が行われる材料、試薬等は、別途特筆しない限り商業的な源から得ることができる。
【0031】
本明細書で記載される定義は、付加されて化学的に関連する組み合わせ、例えば“ヘテロアルキルアリール”、“ハロアルキルヘテロアリール”、“アリールアルキルヘテロシクリル”、“アルキルカルボニル”、“アルコキシアルキル”等を形成することができる。用語“アルキル”が“フェニルアルキル”または“ヒドロキシアルキル”におけるように別の用語の後で接尾辞として用いられる場合、これは上記で定義したようなアルキル基が他の具体的に名前を挙げられた基から選択される1〜2個の置換基で置換されていることを指すことを意図している。従って、例えば“フェニルアルキル”は1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を指し、従ってベンジル、フェニルエチル、およびビフェニルが含まれる。“アルキルアミノアルキル”は1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。“ヒドロキシアルキル”には2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル等が含まれる。従って、本明細書で用いられる際、用語“ヒドロキシアルキル”は下記で定義するヘテロアルキル基の部分集合を定義するために用いられる。用語−(アラ)アルキルは未置換のアルキルまたはアラルキル基のどちらかを指す。用語(ヘテロ)アリールまたは(het)アリールはアリールまたはヘテロアリール基のどちらかを指す。
【0032】
用語“カルボニル”または“アシル”は、本明細書で用いられる際、式−C(=O)Rの基を意味し、ここでRは水素または本明細書で定義されるような低級アルキルである。
用語“エステル”は、本明細書で用いられる際、式−C(=O)ORの基を意味し、ここでRは本明細書で定義されるような低級アルキルである。
【0033】
用語“アルキル”は、本明細書で用いられる際、1〜10個の炭素原子を含有する未分枝または分枝鎖の飽和一価炭化水素残基を意味する。用語“低級アルキル”は1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素残基を意味する。“C10アルキル”は、本明細書で用いられる際、1〜10個の炭素からなるアルキルを指す。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルまたはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルが含まれる低級アルキル基が含まれるが、それらに限定されない。
【0034】
用語“アルキル”が“フェニルアルキル”または“ヒドロキシアルキル”におけるように別の用語の後で接尾辞として用いられる場合、これは上記で定義したようなアルキル基が他の具体的に名前を挙げられた基から選択される1〜2個の置換基で置換されていることを指すことを意図している。従って、例えば“フェニルアルキル”は基R’R”−を意味し、ここで、フェニルアルキル部分の結合点はアルキレン基上にあるであろうという理解のもと、R’はフェニル基であり、R”は本明細書で定義されるようなアルキレン基である。アリールアルキル基の例には、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルが含まれるが、それらに限定されない。用語“アリールアルキル”または“アラルキル”は、R’がアリール基であることを除いて同様に解釈される。用語“(het)アリールアルキル”または“(het)アラルキル”は、R’が場合によりアリールまたはヘテロアリール基であることを除いて同様に解釈される。
【0035】
用語“ハロアルキル”または“ハロ低級アルキル”または“低級ハロアルキル”は1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖炭化水素残基を指し、ここで1個以上の炭素原子が1個以上のハロゲン原子で置換されている。
【0036】
用語“アルキレン”または“アルキレニル”は、本明細書で用いられる際、別途示さない限り、1〜10個の炭素原子の2価飽和線状炭化水素基(例えば(CH)または2〜10個の炭素原子の分枝状飽和2価炭化水素基(例えば−CHMe−または−CHCH(i−Pr)CH−)を意味する。メチレンにおける場合を除いて、アルキレン基の開いた結合価(open valences)は同じ原子に結合していない。アルキレン基の例にはメチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンが含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
用語“アルコキシ”は、本明細書で用いられる際、−O−アルキル基を意味し、ここでアルキルは上記で定義された通り、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシであり、それらの異性体が含まれる。“低級アルコキシ”は、本明細書で用いられる際、前に定義したような“低級アルキル”基を有するアルコキシ基を意味する。“C10アルコキシ”は、本明細書で用いられる際、アルキルがC10である−O−アルキルを指す。
【0038】
用語“ハロアルコキシ”または“ハロ低級アルコキシ”または“低級ハロアルコキシ”は低級アルコキシ基を指し、ここで1個以上の炭素原子が1個以上のハロゲン原子で置換されている。
【0039】
用語“ヒドロキシアルキル”は、本明細書で用いられる際、本明細書で定義されたようなアルキル基を意味し、ここで異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子がヒドロキシル基で置き換えられている。
【0040】
用語“スルフィニル”は、本明細書で用いられる際、−SO−基を意味する。
用語“スルホニル”は、本明細書で用いられる際、−SO−基を意味する。
用語“アルキルスルホニル”および“アリールスルホニル”は、本明細書で用いられる際、式−S(=O)Rの基を指し、ここでRはそれぞれアルキルまたはアリールであり、アルキルおよびアリールは本明細書で定義された通りである。用語“ヘテロアルキルスルホニル”は、本明細書で用いられる際、本明細書において式−S(=O)Rの基を意味し、ここでRは本明細書で定義されたような“ヘテロアルキル”である。
【0041】
用語“低級アルキルスルホニルアミド”は、本明細書で用いられる際、式−S(=O)NRの基を指し、ここでそれぞれのRは独立して水素またはC1−3アルキルであり、低級アルキルは本明細書で定義された通りである。
【0042】
用語“トリフルオロメチルスルホニル”は、本明細書で用いられる際、式−S(=O)CFの基を指す。
用語“トリフルオロメチルスルフィニル”は、本明細書で用いられる際、式−S(=O)CFの基を指す。
【0043】
用語“トリフルオロメチルスルファニル”は、本明細書で用いられる際、式−SCFの基を指す。
用語“ニトロ”は、本明細書で用いられる際、式−N(=O)Oの基を指す。
【0044】
用語“カルボキシル”は、本明細書で用いられる際、式−C(=O)Rの基を指し、ここでそれぞれのRは独立して水素またはC1−3アルキルであり、低級アルキルは本明細書で定義された通りである。
【0045】
用語“シクロアルキル”は、3〜10個の環炭素原子の一価飽和単環式または二環式炭化水素基を意味する。特定の態様において、シクロアルキルは3〜8個の環炭素原子の一価飽和単環式炭化水素基を意味する。二環式は、1個以上の炭素原子を共有する2個の飽和炭素環からなることを意味する。特定のシクロアルキル基は単環式である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。二環式シクロアルキルの例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、またはビシクロ[2.2.2]オクタニルである。
【0046】
用語“アミノ”は、本明細書で用いられる際、式−NR’R”の基を意味し、ここでR’およびR”は独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。あるいは、R’およびR”はそれらが結合している窒素と一緒にヘテロシクロアルキルを形成することができる。用語“第一級アミノ”はR’およびR”の両方が水素である基を意味する。用語“第二級アミノ”はR’が水素でありR”は水素ではない基を意味する。用語“第三級アミノ”はR’およびR”の両方が水素ではない基を意味する。特定の第二級および第三級アミン類は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミンおよびジイソプロピルアミンである。
【0047】
用語“アミド”は、本明細書で用いられる際、式−C(=O)NR’R”または−NR’C(=O)R”の基を意味し、ここでR’およびR”は独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。
【0048】
用語“ヘテロアリール”は、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である5〜12個の環原子の一価芳香族複素環式単または二環式環系を意味する。ヘテロアリール部分の例には、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、またはキノキサリニルが含まれる。
【0049】
用語“ヘテロシクロアルキル”は、N、OおよびSから選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である3〜9個の環原子の一価飽和または部分的に不飽和の単または二環式環系を意味する。特定の態様において、ヘテロシクロアルキルは、N、OおよびSから選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である4〜7個の環原子の一価飽和単環式環系である。単環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、アジリジニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル,またはオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、3−オキサ−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、または3−チア−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−ピリジニル、またはジヒドロピラニルである。
【0050】
HCV侵入の阻害剤
本出願は、式Iの化合物:
【0051】
【化7】
【0052】
[Aは(CHであり;
mは0または1であり;
は場合により1個以上のAで置換されたフェニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
それぞれのAは独立してハロ低級アルキル、低級アルキル、ハロ、NHC(=O)OA、C(=O)OA、アミノ、S(=O)、シアノ、S(=O)N(A、またはC(=O)Aであり;
はH、低級アルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
それぞれのRは独立してハロ、シアノ、ハロ低級アルキル、またはR1’であり;
1’は場合によりR1”で置換されたフェニルであり;
1”は低級アルキルスルホニルであり;そして
nは0、1、2、または3である]
またはその医薬的に許容できる塩を提供する。
【0053】
本出願は、Aが(CHであり、mが1である式Iの化合物を提供する。
本出願は、Aが場合により1個以上のAで置換されたフェニルまたはヘテロアリールである式Iの化合物を提供する。
【0054】
本出願は、Aが(CHであり、mが1であり、Aが場合により1個以上のAで置換されたフェニルまたはヘテロアリールである式Iの化合物を提供する。
本出願は、Aが場合により1個以上のAで置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである式Iの化合物を提供する。
【0055】
本出願は、Aが(CHであり、mが1であり、Aが場合により1個以上のAで置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである式Iの化合物を提供する。
【0056】
本出願は、nが2である上記の式Iの化合物のいずれかを提供する。
本出願は、両方のRがClである上記の式Iの化合物を提供する。
本出願は、それぞれのAが独立してハロ低級アルキル、低級アルキル、ハロ、NHC(=O)OA、C(=O)OA、アミノ、S(=O)、シアノ、S(=O)N(A、またはC(=O)Aである上記の式Iの化合物のいずれかを提供する。
【0057】
本出願は、Aがハロ、ハロ低級アルキル、または低級アルキルである上記の式Iの化合物を提供する。
本出願は、あるいはAがNHC(=O)OAまたはC(=O)OAである上記の式Iの化合物を提供する。
【0058】
本出願は、それぞれのAが低級アルキルである上記の式Iの化合物を提供する。
本出願は、あるいはAがS(=O)またはS(=O)N(Aである上記の式Iの化合物を提供する。
【0059】
本出願は、それぞれのAが低級アルキルである上記の式Iの化合物を提供する。
本出願は、以下の化合物からなる群から選択される式Iの化合物を提供する:
N3−(4−ブロモ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−N5−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−フラン−2−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(5−クロロ−2−トリフルオロメチル−ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(5−クロロ−ピリジン−2−イルメチル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
(5−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
2−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
N5−ベンジル−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(6−アミノ−ピリジン−3−イルメチル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
3−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
2−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(4−メタンスルホニル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ベンゾニトリル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−tert−ブチル−4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ベンゼンスルホンアミド;
N5−(3−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−[4−(ピロリジン−1−スルホニル)−ベンジル]−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−ベンジル]−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
2,6−ジクロロ−4−[5−(4−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ベンゾニトリル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−4−シアノ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
4−({5−[6−クロロ−4’−(プロパン−2−スルホニル)−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルアミノ]−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ}−メチル)−安息香酸 tert−ブチルエステル;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−ピペリジン−4−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
1−{4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−エタノン;および
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−ピリミジン−5−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン。
【0060】
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を予防するための方法を提供する。
本出願は、さらにそれを必要とする患者に療法上有効量の免疫系抑制剤を投与することを含む上記の方法を提供する。
【0061】
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための方法を提供する。
本出願は、さらにHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤の組み合わせを投与することを含む上記の方法のいずれかを提供する。
【0062】
本出願は、さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含む上記の方法のいずれかを提供する。
本出願は、免疫系調節剤がインターフェロンまたは化学的に誘導体化されたインターフェロンである上記の方法を提供する。
【0063】
本出願は、さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含み、その抗ウイルス剤がHCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCV NS5A阻害剤、またはそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される上記の方法のいずれかを提供する。
【0064】
本出願は、式Iの化合物および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物を提供する。
本出願は、HCVの予防のための医薬品の調製における式Iの化合物の使用を提供する。
【0065】
本出願は、HCVの処置のための医薬品の調製における式Iの化合物の使用を提供する。
本出願は、本明細書で記載されるようなあらゆる化合物、組成物、方法または使用を提供する。
【0066】
化合物
本発明により包含される、および本発明の範囲内の代表的な化合物の例を、以下の表で提供する。これらの例およびそれが従う調製は当業者が本発明をより明確に理解して実施することを可能にするために提供されている。それらは本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではなく、単にその説明的および代表的なものと考えられるべきである。
【0067】
一般に、この出願において用いられている命名法は、IUPAC系統的命名法の生成のためのBeilstein Instituteがコンピューター化したシステムであるAUTONOMTM v.4.0に基づいている。示された構造およびその構造を与えられた名前の間に矛盾が存在する場合、示された構造がより大きな重みを与えられるべきである。加えて、構造または構造の一部の立体化学が例えば太線または点線により示されていない場合、その構造またはその構造の一部はその全ての立体異性体を包含するものと解釈されるべきである。
【0068】
表Iは一般式Iに従う化合物の例を示す:
【0069】
【表1-1】
【0070】
【表1-2】
【0071】
【表1-3】
【0072】
【表1-4】
【0073】
【表1-5】
【0074】
【表1-6】
【0075】
合成
一般スキーム
以下のスキームは式Iの化合物を得るための一般的方法を示す。
【0076】
【化8】
【0077】
【化9】
【0078】
【化10】
【0079】
投与量および投与:
本発明の化合物は多種多様な経口投与剤形およびキャリヤー中で配合することができる。経口投与は錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン、シロップ、または懸濁液の形態であることができる。本発明の化合物は、数ある投与経路の中でも、連続的(静脈内点滴)局所的非経口、筋内、静脈内、皮下、経皮(浸透増進剤が含まれていてよい)、バッカル、経鼻、吸入および坐剤投与が含まれる他の投与経路により投与された際に有効である。好ましい投与の方法は一般に好都合な毎日の投与計画を用いて経口であり、それは苦痛の程度および患者の有効成分への反応に従って調節することができる。
【0080】
本発明の化合物(単数または複数)ならびにそれらの医薬的に使用可能な塩類を、1種類以上の従来の賦形剤、キャリヤー、または希釈剤と一緒に、医薬組成物および単位剤形の形態の中に配置することができる。医薬組成物および単位剤形は、追加の有効化合物または原理(principles)と共に、またはそれらなしで、従来の比率の従来の成分で構成されてよく、単位剤形は用いられるべき意図される1日投与量の範囲と釣り合うあらゆる適切な有効量の有効成分を含有していてよい。医薬組成物は、経口使用に関して固体、例えば錠剤もしくは充填されたカプセル、半固体、粉末、持続放出配合物、もしくは液体、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル剤、もしくは充填されたカプセルとして;または直腸もしくは腟投与に関して坐剤の形態で;または非経口使用に関して無菌の注射用溶液の形態で用いることができる。典型的な製剤は、約5%から約95%までの有効化合物(単数または複数)(w/w)を含有するであろう。用語“製剤”または“剤形”は有効化合物の固体および液体配合物の両方が含まれることを意図しており、当業者は有効成分は標的器官または組織に、ならびに所望の用量および薬物動態パラメーターに応じて異なる製剤中に存在することができることを理解しているであろう。
【0081】
用語“賦形剤”は、本明細書で用いられる際、医薬組成物の調製において有用であり、一般に安全、非毒性であり生物的にも他の点でも望ましくなくない化合物を指し、それには獣医学的使用ならびにヒトの医薬的使用に許容できる賦形剤が含まれる。この発明の化合物は単独で投与することができるが、一般に意図される投与経路および標準的な医薬的実践に関して選択された1種類以上の適切な医薬用賦形剤、希釈剤またはキャリヤーとの混合状態で投与されるであろう。
【0082】
“医薬的に許容できる”は、それが一般に安全、非毒性であり生物的にも他の点でも望ましくなくない医薬組成物の調製において有用であることを意味し、それが獣医学的使用ならびにヒトの医薬的使用に許容可能であることが含まれる。
【0083】
有効成分の“医薬的に許容できる塩”の形態は、最初に有効成分に非塩形態には存在しなかった望ましい薬物動態特性を与えることもでき、その有効成分の薬物動態にその体内での療法的活性に関してプラスの影響を及ぼすことさえできる。化合物の“医薬的に許容できる塩”という句は、医薬的に許容でき、親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。そのような塩類には以下のものが含まれる:(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等により形成される、もしくは有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等により形成される酸付加塩類;または(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられているか、または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等と配位しているかのどちらかである場合に形成される塩類。
【0084】
固体形態製剤には、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が含まれる。固体キャリヤーは、希釈剤、香味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入(encapsulating)材料としても作用することができる1種類以上の物質であることができる。粉末において、そのキャリヤーは一般に、微細に分割された有効構成要素との混合物である微細に分割された固体である。錠剤において、その有効構成要素は一般に必要な結合能力を有するキャリヤーと適切な比率で混合され、所望の形状および大きさで圧縮されている。適切なキャリヤーには、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう剤、カカオバター等が含まれるが、それらに限定されない。固体形態製剤は、有効構成要素に加えて、着色剤、香味、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有していてよい。
【0085】
経口投与にも適している液体配合物には、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤、水溶液、水性懸濁液が含まれる液体配合物が含まれる。これらには使用の少し前に液体形態製剤に変換することが意図されている固体形態製剤が含まれる。エマルジョンは溶液で、例えば水性プロピレングリコール溶液で調製することができ、または乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエート、もしくはアカシアを含有することができる。水溶液は、有効構成要素を水中で溶解させて適切な着色剤、香味、安定化、および増粘剤を添加することにより調製することができる。水性懸濁液は、微細に分割された有効構成要素を水中で粘性材料、例えば天然または合成ガム類、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤と共に分散させることにより調製することができる。
【0086】
本発明の化合物は(例えば注射、例えばボーラス注射または持続注入による)非経口投与のために配合することができ、アンプル、予め充填された注射器、小体積の注入における単位用量形態中に、または添加された保存剤を含む多数回用量の容器中に存在していてよい。その組成物は、油性または水性ビヒクル中での懸濁液、溶液、またはエマルジョンのような形態(例えば水性ポリエチレングリコール中での溶液)をとることができる。油性または非水性キャリヤー、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射可能な有機エステル類(例えばオレイン酸エチル)が含まれ、配合剤、例えば保存、湿潤、乳化または懸濁化、安定化および/または分散剤を含有することができる。あるいは、有効成分は、無菌の固体の無菌的な分離により、または使用前の適切なビヒクル、例えば無菌の発熱物質を含まない水による構成のための溶液からの凍結乾燥により得られる粉末形態であることができる。
【0087】
本発明の化合物は、表皮への局所投与のために軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして配合することができる。軟膏およびクリームは、例えば水性または油性の基剤を用いて適切な増粘および/またはゲル化剤を添加して配合することができる。ローションは水性または油性の基剤を用いて配合することができ、一般に1種類以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含有するであろう。口の中での局所投与に適した配合物には、有効成分を香味のある基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に含むトローチ剤;有効成分を不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア中に含む香錠;ならびに有効成分を適切な液体キャリヤー中に含むマウスウォッシュが含まれる。
【0088】
本発明の化合物は、坐剤として投与のために配合することができる。低融点ろう剤、例えば脂肪酸グリセリド類またはカカオバターの混合物は最初に融解し、有効構成要素が例えば撹拌により均質に分散する。次いで融解した均質な混合物を便利な大きさの型の中に注ぎ、放冷し、凝固させる。
【0089】
本発明の化合物は膣投与のために配合することができる。有効成分に加えて当該技術において適切であることが既知であるようなキャリヤーを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状物質またはスプレー。
【0090】
本発明の化合物は経鼻投与のために配合することができる。その溶液または懸濁液は、例えばドロッパー、ピペットまたはスプレーを用いた一般に用いられる手段により鼻腔に直接適用される。その配合物は単回または多数回用量形態で提供することができる。ドロッパーまたはピペットの後者の場合において、これは患者が適切な予め決められた量の溶液または懸濁液を投与することにより達成され得る。スプレーの場合、これは例えば計量噴霧スプレーポンプを用いて達成することができる。
【0091】
本発明の化合物は、特に呼吸道へのエアロゾル投与のために配合することができ、それには鼻内投与が含まれる。その化合物は一般に例えばおよそ5(5)ミクロン以下の小さい粒径を有するであろう。そのような粒径は当該技術で既知の手段により、例えば微粒子化により得ることができる。有効成分は適切な噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素または他の適切なガスと共に加圧されたパック中で提供される。エアロゾルは好都合には界面活性剤、例えばレシチンも含有する。薬物の用量は計量弁により制御することができる。あるいは、有効成分は乾燥粉末、例えばその化合物の適切な粉末基剤、例えばラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)中での粉末混合物の形態で提供することができる。粉末キャリヤーは鼻腔中でゲルを形成するであろう。その粉末組成物は単位用量形態で、例えば、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジ、またはそれからその粉末を吸入器を用いて投与することができるブリスターパック中に存在することが出来る。
【0092】
所望であれば、配合物は有効成分の持続または制御放出投与に適合した腸溶コーティングを用いて調製することができる。例えば、本発明の化合物は経皮または皮下薬物送達装置中で配合することができる。これらの送達システムは、その化合物の持続放出が必要である場合および処置計画に関する患者のコンプライアンスが重要である場合に好都合である。経皮送達システムにおける化合物は、しばしば皮膚接着性の固体支持体に付着している。対象の化合物は、浸透増進剤、例えばアゾン(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。持続放出送達システムは、手術または注射により皮下層中に皮下挿入される。皮下移植物(implants)はその化合物を脂溶性の膜、例えばシリコンゴム、または生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中に封入する。
【0093】
医薬用キャリヤー、希釈剤および賦形剤を伴う適切な配合物が、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, E. W. Martinによる編集, Mack Publishing Company, 第19版、ペンシルバニア州イーストンにおいて記載されている。熟練した配合科学者は、本発明の組成物を不安定にする、またはそれらの療法活性を損なうことなく、その配合を本明細書の教示の範囲内で改変して特定の投与経路のための数多くの配合物を提供することができる。
【0094】
本化合物の、例えばそれらを水または他のビヒクル中でより可溶性にするための改変は、わずかな改変(塩の配合、エステル化等)により容易に成し遂げることができ、それは十分に当該技術における通常の技術の範囲内である。患者における最大の有益な作用のために本化合物の薬物動態を管理するために特定の化合物の投与経路および投与計画を改変することも、十分に当該技術の通常の技術の範囲内である。
【0095】
用語“療法上有効量”は、本明細書で用いられる際、個人において疾患の症状を低減するために必要とされる量を意味する。その用量はそれぞれの特定の症例において個々の要求に対して調節されるであろう。その投与量は、数多くの要因、例えば処置すべき疾患の重症度、患者の年齢および全身の健康状態、それを用いてその患者が処置されている他の医薬品、投与の経路および形態ならびに関与する医師の好みおよび経験に応じて広い限界の範囲内で変動し得る。経口投与に関して、1日あたり約0.01〜約1000mg/kg体重の1日投与量が単剤療法において、および/または併用療法において適切であるはずである。好ましい1日投与量は、1日あたり約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは0.1〜約100mg/kg体重、最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重である。従って、70kgの人への投与に関して、投与量範囲は1日あたり約7mg〜0.7gであろう。1日投与量は単回投与量として、または分割された投与量、典型的には1日あたり1〜5投与量で投与することができる。一般に、処置はその化合物の最適用量未満であるより小さい投与量を用いて開始される。その後、その投与量を個々の患者に関する最適な作用に達するまで小さい増加量により増大させる。本明細書で記載される疾患の処置における当業者は、過度の実験なしで、そして個人的知識、経験およびこの出願の開示に頼って、所与の疾患および患者に関する本発明の化合物の療法上有効量を確かめることができるであろう。
【0096】
その医薬製剤は好ましくは単位剤形中にある。そのような形態において、製剤は適切な量の有効構成要素を含有する単位用量へと細分されている。単位剤形は、包装が別個の量の製剤を含有する包装された製剤、例えばパケット化された(packeted)錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末であることができる。また、その単位剤形はカプセル、錠剤、カシェ剤、もしくはトローチ剤自体であることができ、またはそれは適切な数の包装された形態のこれらのいずれかであることができる。
【0097】
適応症および処置の方法
適応症
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を予防するための方法を提供する。
【0098】
本出願は、さらにそれを必要とする患者に療法上有効量の免疫系抑制剤を投与することを含む上記の方法を提供する。
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための方法を提供する。
【0099】
本出願は、さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含む上記の方法のいずれかを提供する。
本出願は、免疫系調節剤がインターフェロンまたは化学的に誘導体化されたインターフェロンである上記の方法を提供する。
【0100】
本出願は、さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含み、その抗ウイルス剤がHCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCV NS5A阻害剤、またはそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される上記の方法のいずれかを提供する。
【0101】
併用療法
本発明の化合物およびそれらの同位体形態ならびにその医薬的に許容できる塩類は、単独で、またはHCVのライフサイクルに関わるウイルスもしくは細胞の要素もしくは機能を標的とする他の化合物との組み合わせで用いた場合に、HCV感染の処置および予防において有用である。本発明において有用な化合物のクラスには、限定ではなく、全てのクラスのHCV抗ウイルス薬が含まれる。
【0102】
併用療法に関して、本発明の化合物と組み合わせた場合に有用であり得る薬剤の機構的クラスには、例えばHCVポリメラーゼのヌクレオシドおよび非ヌクレオシド性阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、NS4B阻害剤、NS5A阻害剤、ならびに内部リボソーム導入部位(IRES)を機能的に阻害する薬剤、ならびにHCVの細胞付着もしくはウイルス侵入、HCVのRNA翻訳、HCVのRNA転写、複製またはHCVの成熟、組み立てもしくはウイルス放出を阻害する他の医薬品が含まれる。これらのクラス中の、そして本発明において有用な特定の化合物には、大環状、複素環式および線状HCVプロテアーゼ阻害剤、例えばテラプレビル(telaprevir)(VX−950)、ボセプレビル(boceprevir)(SCH−503034)、ナルラプレビル(narlaprevir)(SCH−9005 18)、ITMN−191(R−7227)、TMC−435350(TMC−435としても知られている)、MK−7009、BI−201335、BI−2061(シルプレビル(ciluprevir))、BMS−650032、ACH−1625、ACH−1095(HCV NS4Aプロテアーゼ補助因子阻害剤)、VX−500、VX−8 13、PHX−1766、PHX2054、IDX−136、IDX−3 16、ABT−450、EP−0 13420(および同種のもの)およびVBY−376が含まれるがそれらに限定されず;本発明において有用なヌクレオシド性HCVポリメラーゼ(レプリカーゼ)阻害剤には、R7128、PSI−785 1、IDX−184、IDX−102、R1479、UNX−08 189、PSI−6130、PSI−938およびPSI−879ならびに2’−C−メチル修飾ヌクレオシド(ヌクレオチド)類、4’−アザ修飾ヌクレオシド(ヌクレオチド)類、および7’−デアザ修飾ヌクレオシド(ヌクレオチド)類として得られる(derived)ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体ならびにHCV阻害剤が含まれる(がそれらに限定されない)様々な他のヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体ならびにHCV阻害剤が含まれるが、それらに限定されない。本発明において有用な非ヌクレオシド性HCVポリメラーゼ(レプリカーゼ)阻害剤には、HCV−796、HCV−371、VCH−759、VCH−916、VCH−222、ANA−598、MK−3281、ABT−333、ABT−072、PF−00868554、BI−207127、GS−9190、A−837093、JKT−109、GL−59728およびGL−60667が含まれるが、それらに限定されない。
【0103】
加えて、本発明の化合物は、シクロフィリンおよびイムノフィリン拮抗薬(例えば、限定ではなく、DEBIO化合物、NM−811ならびにシクロスポリンおよびその誘導体)、キナーゼ阻害剤、熱ショックタンパク質(例えばHSP90およびHSP70)の阻害剤、限定ではなく以下の薬剤が含まれ得る他の免疫調節剤:インターフェロン類(−アルファ、−ベータ、−オメガ、−ガンマ、−ラムダまたは合成物)、例えばIntron A、Roferon−A、Canferon−A300、Advaferon、Infergen、Humoferon、Sumiferon MP、Alfaferone、IFN−β、Feron等;ポリエチレングリコール誘導体化(ペグ化)インターフェロン化合物、例えばPEGインターフェロン−α−2a(Pegasys)、PEGインターフェロン−α−2b(PEGIntron)、ペグ化IFN−α−con1等;インターフェロン化合物の長期作用配合物および誘導体化、例えばアルブミン融合インターフェロン、Albuferon、Locteron等;様々なタイプの制御された送達システムを有するインターフェロン類(例えばITCA−638、DUROS皮下送達システムにより送達されるオメガ−インターフェロン);細胞におけるインターフェロンの合成を模する化合物、例えばレシキモド(resiquimod)等;インターロイキン類;1型ヘルパーT細胞応答の発現を増進する化合物、例えばSCV−07等;TOLL様受容体作動薬、例えばCpG−10101(actilon)、イソトラビン(isotorabine)、ANA773等;チモシンα−1;ANA−245およびANA−246;ヒスタミン二塩酸塩;プロパゲルマニウム;テトラクロロデカオキシド;ampligen;IMP−321;KRN−7000;抗体、例えばcivacir、XTL−6865等ならびに予防および療法ワクチン、例えばInnoVac C、HCV E1E2/MF59等との組み合わせで用いることができる。加えて、NS5A阻害剤、I型インターフェロン受容体作動薬(例えばIFN−α)およびII型インターフェロン受容体作動薬(例えばIFN−γ)を投与することを含む上記の方法のいずれも、有効量のTNF−α拮抗薬の投与により増強することができる。そのような併用療法における使用に適している典型的な限定的でないTNF−α拮抗薬には、ENBREL、REMICADE、およびHUMIRAが含まれる。
【0104】
加えて、本発明の化合物は、HCN感染の処置において有効であると考えられる抗原虫薬および他の抗ウイルス薬、例えば(限定ではない)プロドラッグであるニタゾキサニドとの組み合わせで用いることができる。ニタゾキサニドは、本発明において開示される化合物との組み合わせで、ならびにHCV感染の処置において有用な他の薬剤、例えばペグインターフェロンα−2aおよびリバビリンとの組み合わせで薬剤として用いることができる。
【0105】
本発明の化合物は、インターフェロン類の代替の形態およびペグ化インターフェロン類、リバビリンまたはその類似体(例えばタラババリン(tarabavarin)、レボビロン(levoviron)、マイクロRNA、低分子干渉RNA化合物(例えば、SIRPLEX−140−N等)、ヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体、免疫グロブリン類、肝臓保護剤(hepatoprotectants)、抗炎症剤およびNS5Aの他の阻害剤と共に用いることもできる。HCVのライフサイクルにおける他の標的の阻害剤には、NS3ヘリカーゼ阻害剤;NS4A補助因子阻害剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤、例えばISIS−14803、AVI−4065等;ベクターにコードされた低分子ヘアピン型RNA(shRNA);HCV特異的リボザイム、例えばheptazyme、RPI−13919等;侵入阻害剤、例えばHepeX−C、HuMax−HepC等;アルファグルコシダーゼ阻害剤、例えばセルゴシビル(celgosivir)、UT−231B等;KPE−02003002およびBIVN 401およびIMPDH阻害剤が含まれる。他の説明的なHCV阻害剤化合物には、以下の刊行物において開示されているHCV阻害剤化合物が含まれる:米国特許第5,807,876号;第6,498,178号;第6,344,465号;および第6,054,472号;PCT特許出願公開第WO97/40028号;第WO98/40381号;第WO00/56331号、WO02/04425号;第WO03/007945号;第WO03/010141号;第WO03/000254号;第WO01/32153号;第WO00/06529号;第WO00/18231号;第WO00/10573号;第WO00/13708号;第WO01/85172号;第WO03/037893号;第WO03/037894号;第WO03/037895号;第WO02/100851号;第WO02/100846号;第WO99/01582号;第WO00/09543号;第WO02/18369号;第WO98/17679号、WO00/056331号;第WO98/22496号;第WO99/07734号;第WO05/073216号、第WO05/073195号および第WO08/021927号。
【0106】
加えて、例えばリバビリンおよびインターフェロンの組み合わせは、本発明の化合物の少なくとも1種類と共に多剤併用療法として投与することができる。本発明は前記のクラスまたは化合物に限定されず、生物学的に有効な薬剤の既知および新規の化合物および組み合わせを意図している。本発明の併用療法には、本発明の群の化合物の本発明の群の他の化合物または本発明の群を除いた他の化合物とのあらゆる化学的に適合可能な組み合わせが、その組み合わせがこの発明の群の化合物の抗ウイルス活性またはその医薬組成物自体の抗ウイルス活性を排除しない限り含まれることが意図されている。
【0107】
併用療法は連続的、すなわちまず1つの薬剤、次いで第2の薬剤を用いた処置(例えば、それぞれの処置が本発明の異なる化合物を含む場合、または一方の処置が本発明の化合物を含み、他方が1種類以上の生物学的に有効な薬剤を含む場合)であることができ、またはそれは両方の薬剤を同じ時点で(同時に)用いる処置であることができる。連続的な療法は、第1療法の完了後に第2療法の開始前に適切な時間を含むことができる。両方の薬剤を同時に用いた処置は、同じ1日量で、または別個の用量であることができる。併用療法は2種類の薬剤に限定される必要はなく、3種類以上の薬剤が含まれてよい。同時および連続的併用療法の両方に関する投与量はその併用療法の構成要素の吸収、分布、代謝および排出率ならびに当業者に既知の他の要因に依存するであろう。投与量の値も緩和すべき病気の重症度により変動するであろう。さらに、あらゆる特定の対象に関して、特定の投与計画およびスケジュールを個人の必要性および併用療法を施す、または施すのを監督する当業者の判断に従って時間の経過にわたって調節することができることは理解されるべきである。
【0108】
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を予防するための方法を提供する。
本出願は、さらにそれを必要とする患者に療法上有効量の免疫系抑制剤を投与することを含む上記の方法を提供する。
【0109】
本出願は、それを必要とする患者に療法上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための方法を提供する。
本出願は、さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含む上記の方法のいずれかを提供する。
【0110】
本出願は、免疫系調節剤がインターフェロンまたは化学的に誘導体化されたインターフェロンである上記の方法を提供する。
本出願は、さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含み、その抗ウイルス剤がHCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCV NS5A阻害剤、またはそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される上記の方法のいずれかを提供する。
【0111】
実施例
略語
一般的に用いられる略語には以下のものが含まれる:アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、気圧(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBNまたはBBN)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジ−tert−ブチルまたはboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカルアブストラクツ登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZまたはZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALまたはDIBAL−H)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、エチルイソプロピルエーテル(EtOiPr)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N、N,N’N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート 酢酸(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソ−プロパノール(IPA)、イソプロピルマグネシウムクロリド(iPrMgCl)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、ヘキサメチルジシラザンリチウム(LiHMDS)、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシルまたはMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、n−ブチルリチウム(nBuLi)、N−カルボキシ無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ジクロロ−((ビス−ジフェニルホスフィノ)フェロセニル)パラジウム(II)(Pd(dppf)Cl)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i−Pr)、ポンド毎平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(Q−Phos)、室温(周囲温度、rtまたはRT)、sec−ブチルリチウム(sBuLi)、tert−ブチルジメチルシリルまたはt−BuMeSi(TBDMS)、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)、トリエチルアミン(TEAまたはEtN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(TEMPO)、トリフレートまたはCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリルまたはMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOHまたはpTsOH)、4−Me−CSO−またはトシル(Ts)、およびN−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)。直鎖状(normal)(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)およびネオの接頭辞が含まれる従来の命名法は、アルキル部分と共に用いられた場合、それらの慣例的な意味を有する。(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0112】
一般的な条件
本発明の化合物は、下記で実施例の節において記載される説明的な合成反応において示される様々な方法により作ることができる。
【0113】
これらの化合物の調製において用いられる出発物質および試薬は一般に、商業的な供給業者、例えばAldrich Chemical Co.から入手可能であるか、または参考文献、例えばFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, 第1-15巻; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, 第1-5巻および補遺;ならびにOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, 第1-40巻において述べられている手順に従って当業者に既知の方法により調製されるかのどちらかである。実施例の節において示されている合成反応スキームは単にそれにより本発明の化合物を合成することができる一部の方法を説明するだけのものであり、これらの合成反応スキームに対する様々な修正を行うことができ、それはこの出願に含有される開示を参照した当業者に示唆されるであろうことは理解されるべきである。
【0114】
その出発物質および合成反応スキームの中間体は、所望であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等が含まれるがそれらに限定されない従来の技法を用いて単離および精製することができる。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータが含まれる従来の手段を用いて特性付けることができる。
【0115】
反することが明記されない限り、本明細書で記載される反応は典型的には不活性雰囲気下で大気圧において約−78℃から約150℃まで、しばしば約0℃から約125℃までの反応温度範囲で、より頻繁かつ好都合にはおよそ室温(または周囲温度)、例えば約20℃で実施される。
【0116】
本発明の化合物上の様々な置換基は、出発化合物中に存在している、中間体のいずれか1つに付加される、または最終産物の形成後に置換もしくは変換反応の既知の方法により付加されることができる。その置換基自体が反応性である場合、その置換基自体を当該技術で既知の技法に従って保護することができる。様々な保護基が当該技術で既知であり、用いることができる。可能な基の多くの例をGreenらによる“Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, 1999において見付けることができる。例えば、ニトロ基をニトロ化により付加することができ、そのニトロ基を他の基に、例えば還元によりアミノに、そのアミノ基のジアゾ化およびそのジアゾ基のハロゲンによる置換によりハロゲンに変換することができる。アシル基はフリーデル・クラフツアシル化により付加することができる。次いでそのアシル基を、ウォルフ・キシュナー還元およびクレメンゼン還元が含まれる様々な方法により対応するアルキル基に変換することができる。アミノ基をアルキル化してモノおよびジアルキルアミノ基を形成することができ;メルカプトおよびヒドロキシ基をアルキル化して対応するエーテル類を形成することができる。第一級アルコール類を当該技術で既知の酸化剤により酸化してカルボン酸またはアルデヒド類を形成することができ、第二級アルコール類を酸化してケトン類を形成することができる。従って、置換または変更(alteration)反応を用いて、出発物質、中間体、または単離された生成物が含まれる最終産物の分子全体を通して様々な置換基を提供することができる。
【実施例】
【0117】
調製例
中間体1
手順1、2
−(4−ブロモ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン(中間体1)
【0118】
【化11】
【0119】
2−ブロモ−1−クロロ−5−イソチオシアナト−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0120】
【化12】
【0121】
4−ブロモ−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン(15g、54.7mmol、当量:1.00)のジクロロメタン(13.2g、10.0ml、155mmol、当量:25.3)中における0℃の懸濁液に1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(11.7g、65.6mmol、当量:1.2)を添加した。その反応を徐々に室温まで温め、一夜撹拌した。その反応を濃縮し、クロマトグラフィー処理(220g Redisep、5〜15%ジクロロメタン/ヘキサン)すると、13.84g(80%)の淡黄色の油が得られた。
【0122】
(Z)−メチル N−4−ブロモ−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル−N’−シアノカルバムイミドチオエート
【0123】
【化13】
【0124】
2−ブロモ−1−クロロ−5−イソチオシアナト−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(13.84g、43.7mmol、当量:1.00)のジメトキシエタン(100mL)中における溶液に、ナトリウム水素シアナミド(sodium hydrogen cyanamide)(3.36g、52.5mmol、当量:1.2)およびメタノール(10mL)を添加した。30分後、ヨウ化メチル(15.9g、7ml、112mmol、当量:2.56)をそのマゼンタ色の溶液に添加し、その反応を室温で一夜撹拌した。その反応混合物を濃縮して乾燥させ、約50mLのアセトニトリル中で溶解させた。100mLの水を添加すると白色の沈殿が得られた。白色固体を濾過し、水ですすぎ、一夜空気乾燥させると16.0g(99%)の白色固体が得られた。
【0125】
−(4−ブロモ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン(中間体1)
【0126】
【化14】
【0127】
500mLの丸底フラスコ中で、(Z)−メチル N−4−ブロモ−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル−N’−シアノカルバムイミドチオエート(1.45g、3.89mmol、当量:1.00)をエタノール(15ml)と組み合わせて白色の懸濁液を得た。ヒドラジン(1.25g、1.22ml、38.9mmol、当量:10)を添加し、その反応混合物を70℃に加熱し、3時間撹拌した。その反応を冷却し、水(約40mL)をその反応に振盪しながら添加した。得られた懸濁液を濾過し、水で洗浄し、真空オーブンで45℃において週末にかけて乾燥させた。所望の生成物として白色固体を得た(1.12g、収率81%)。別の試料を母液から桃色固体として集めた(148mg、純度約90、収率9.6%)。
【0128】
MS m/z 356 [M+H]
中間体2
3−アミノ−5−(3,5−ジクロロアニリノ)−S−トリアゾール(中間体2)
【0129】
【化15】
【0130】
1−シアノ−3−(3,5−ジクロロフェニル)−2−メチル−2−チオイソ尿素
【0131】
【化16】
【0132】
1,3−ジクロロ−5−イソチオシアナトベンゼン(10g、49.0mmol、Adrich)のアセトニトリル(90ml)およびMeOH(100ml)中における溶液に、ナトリウム水素シアナミド(3.45g、53.9mmol)のMeOH(30ml)中における懸濁液を添加した。その反応を室温で1時間撹拌し、ヨウ化メチル(13.9g、6.13ml、98.0mmol)を添加した。撹拌を4時間継続し、その反応混合物を濾過し、アセトニトリルで洗浄すると、白色固体が所望の生成物として得られた(8.04g、収率63%)。
【0133】
3−アミノ−5−(3,5−ジクロロアニリノ)−s−トリアゾール(中間体2)
【0134】
【化17】
【0135】
(Z)−メチル N’−シアノ−N−(3,5−ジクロロフェニル)カルバムイミドチオエート(8g、30.8mmol)およびヒドラジン(9.85g、9.65ml、308mmol)のエタノール(120ml)中における溶液を70℃で3時間撹拌した。それを小さい体積まで濃縮し、水を添加して懸濁液を得た。その懸濁液を濾過し、水で洗浄すると白色固体が所望の生成物として得られた(7.44g、収率99%)。MS +m/z: 244.0 (M+H)+
N3−(4−ブロモ−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−N5−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物1)
【0136】
【化18】
【0137】
N3−(4−ブロモ−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体1(50mg、140μmol)および4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(48.8mg、280μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を室温で2日間撹拌し、NaBH4(31.8mg、841μmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をDCM中で再溶解させ、それを水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。その粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中3%〜5% MeOH)により精製し、DCMから再結晶させると淡黄色の粉末が所望の生成物として得られた(53mg、収率73%)。MS +m/z: 514 (M+H)+
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−(フラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物2)
【0138】
【化19】
【0139】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)およびフルフラール(85.1mg、886μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を室温で3日間撹拌した。得られた懸濁液を濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をDCM中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮すると固体が得られた。DCM/ヘキサン類による摩砕処理により白色固体が所望の生成物として得られた(50.5mg、収率54%)。MS +m/z: 324 (M+H)+
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−((5−メチルフラン−2−イル)メチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物3)
【0140】
【化20】
【0141】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(60mg、246μmol)および5−メチルフラン−2−カルバルデヒド(111.2mg、1.0μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で2日間撹拌すると懸濁液が得られ、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(55.8mg、1.47mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。DCMによる摩砕処理により、灰白色固体が所望の生成物として得られた(61.3mg、収率74%)。MS +m/z: 338 (M+H)+
N5−(5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物4)
【0142】
【化21】
【0143】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)および5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(85mg、408μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で2日間撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、その反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。ヘキサン類による摩砕処理により、白色固体が所望の生成物として得られた(88mg、収率70%)。MS +m/z: 436 (M+H)+
N5−((5−クロロピリジン−2−イル)メチル)−N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物5)
【0144】
【化22】
【0145】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)および5−クロロ−2−ホルミルピリジン(60mg、424μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を室温で1日、次いで45℃で2日間撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(163mg、4.3mmol)を少しずつ添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。DCMからの結晶化により白色固体が所望の生成物として得られた(96.6mg、収率90%)。 MS +m/z: 369 (M+H)+
tert−ブチル 5−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ピリジン−2−イルカルバメート(化合物6)
【0146】
【化23】
【0147】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)およびtert−ブチル (5−ホルミルピリジン−2−イル)カルバメート(159mg、717μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で一夜撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(163mg、4.3mmol)を少しずつ添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、その反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中3%〜6% MeOH)により精製すると白色固体が所望の生成物として得られた(60.8mg、収率47%)。MS +m/z: 450 (M+H)+
tert−ブチル 4−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート(化合物7)
【0148】
【化24】
【0149】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体3(70mg、287μmol)および4−ホルミル−安息香酸 モノtert−ブチルエステル(150mg、727μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で一夜撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。EtOAc/ヘキサン類からの結晶化により白色固体が所望の生成物として得られた(116mg、収率93%)。MS +m/z: 434 (M+H)+
tert−ブチル 2−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート(化合物8)
【0150】
【化25】
【0151】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)およびtert−ブチル 2−ホルミルベンゾエート(150mg、727μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で2日間撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。その残留物をDCM/ヘキサン類で摩砕処理し、次いでEtOAc/ヘキサン類から再結晶させると、白色固体が所望の生成物として得られた(45mg、収率34%)。MS +m/z: 434 (M+H)+
その濾液もNaBH4(50mg)で処理し、上記のように仕上げ処理した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、DCM中2%〜5% MeOH)による精製により白色固体が所望の生成物として得られた(30mg、収率23%)。MS +m/z: 434 (M+H)+
N5−ベンジル−N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物9)
【0152】
【化26】
【0153】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)およびベンズアルデヒド(121.3mg、1.14mmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で2日間撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH4(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。DCMから結晶化すると白色固体が所望の生成物として得られた(94mg、収率98%)。MS +m/z: 334 (M+H)+
N5−((6−アミノピリジン−3−イル)メチル)−N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物10)
【0154】
【化27】
【0155】
tert−ブチル 5−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ピリジン−2−イルカルバメート 化合物6(50mg、111μmol)のDCM(1ml)中における溶液にTFA(1ml)を添加し、その反応を1時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、DCM(5ml)および飽和NaHCO(3ml)の間で分配した。層を分離し、水層をDCM(3×5ml)で抽出した。有機溶液を合わせてブライン(5ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、白色固体が所望の生成物として得られた(10.2mg、収率26%)。MS +m/z: 350 (M+H)+
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−((1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物11)
【0156】
【化28】
【0157】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)および1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(108.9mg、982μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で4日間撹拌して懸濁液を得て、−20℃に冷却し、濾過して固体を集めた。その固体をMeOH(5ml)中で再懸濁し、NaBH(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、その反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。DCM/ヘキサン類からの結晶化により白色固体が所望の生成物として得られた(66.6mg、収率69%)。MS +m/z: 338 (M+H)+
4−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)安息香酸;トリフルオロ酢酸塩(化合物12)
【0158】
【化29】
【0159】
tert−ブチル 4−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート 化合物7(52mg、120μmol)のDCM(0.8ml)中における溶液にTFA(0.8ml)を添加し、その反応を室温で3時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をDCM/ヘキサン類で摩砕処理すると、白色固体が所望の生成物として得られた(65.1mg、収率90%)。MS +m/z: 378 (M+H)+
3−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)安息香酸;トリフルオロ酢酸塩(化合物13)
【0160】
【化30】
【0161】
tert−ブチル 3−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート
【0162】
【化31】
【0163】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(70mg、287μmol)およびtert−ブチル 3−ホルミルベンゾエート(150mg、727μmol)のMeOH(3ml)中における溶液を45℃で2日間撹拌し、さらにtert−ブチル 3−ホルミルベンゾエート(30mg、145μmol)を添加し、撹拌をさらに6日間継続した。NaBH(65.1mg、1.72mmol)を添加し、その反応を1時間撹拌した。溶媒を除去し、反応混合物をEtOAc(5ml)中で再溶解させ、水(2×4ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。その粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中2%〜5% MeOH)により精製すると無色のゴム状物質(91.5mg)が得られ、それを次の反応のために用いた。
【0164】
3−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)安息香酸;トリフルオロ酢酸塩(化合物13)
【0165】
【化32】
【0166】
tert−ブチル 3−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート(95mg、175μmol)のDCM(1ml)中における溶液にTFA(1ml)を添加し、その反応を室温で2時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をジエチルエーテルで摩砕処理すると、白色固体が所望の生成物として得られた(46mg、収率43%)。MS +m/z: 378 (M+H)+
2−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)安息香酸;トリフルオロ酢酸塩(化合物14)
【0167】
【化33】
【0168】
tert−ブチル 2−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート 化合物8(30mg、69.1μmol)のDCM(1ml)中における溶液にTFA(1ml)を添加し、その反応を室温で2時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をジエチルエーテルで摩砕処理すると、白色固体が所望の生成物として得られた(18.5mg、収率44%)。MS +m/z: 378 (M+H)+
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−(4−(メチルスルホニル)ベンジル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物15)
【0169】
【化34】
【0170】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(200mg、819μmol)のMeOH(5mL)中における溶液に4−メチルスルホニルベンズアルデヒド(158mg、860μmol)の酢酸(75μl)およびMeOH(2mL)中における懸濁液を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(140mg、1.31mmol、Aldrich)を添加し、撹拌を3日間継続した。反応混合物をMeOH(6mL)で希釈し、0.1N HCl溶液(10ml)中に注いだ。得られた懸濁液を濾過し、水で洗浄すると灰白色固体が所望の生成物として得られた(228mg、収率67%)。MS +m/z: 412 (M+H)+
4−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾニトリル(化合物16)
【0171】
【化35】
【0172】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(100mg、410μmol)のMeOH(3.5mL)中における溶液に、4−ホルミルベンゾニトリル(53.7mg、410μmol)、続いて酢酸(36.7mg、35μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(52.6mg、492μmol)を添加し、撹拌を一夜継続した。反応混合物を0.1N HCl溶液(25ml)中に注いだ。体積を低減し、得られた懸濁液を濾過すると、灰白色固体が所望の生成物として得られた(109mg、収率67%)。MS +m/z: 358 (M+H)+
4−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(化合物17)
【0173】
【化36】
【0174】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(100mg、410μmol)のMeOH(5mL)中における溶液に、4−ホルミル−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド(96.1mg、451μmol)、続いて酢酸(36.7mg、35μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(65.7mg、615μmol)を添加し、撹拌を5日間継続した。反応混合物を0.1N HCl溶液(25ml)中に注いで懸濁液を得て、その懸濁液を濾過すると、灰白色固体が所望の生成物として得られた(119mg、収率66%)。MS +m/z: 441 (M+H)+
N−tert−ブチル−4−((3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゼンスルホンアミド(化合物18)
【0175】
【化37】
【0176】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(100mg、410μmol)のMeOH(5mL)中における溶液に、N−tert−ブチル−4−ホルミルベンゼンスルホンアミド(109mg、451μmol)、続いて酢酸(36.7mg、35μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(65.7mg、615μmol)を添加し、撹拌を3日間継続した。その反応混合物を0.1N HCl溶液(25ml)中に注ぎ、EtOAc(3×30ml)で抽出した。有機溶液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して残留物を得た。その粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中3%〜5% MeOH)により精製すると、灰白色固体が所望の生成物として得られた(98mg、収率51%)。MS +m/z: 469 (M+H)+
N5−(3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物19)
【0177】
【化38】
【0178】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(200mg、819μmol)のMeOH(3.5ml)中における溶液に、3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(94.0mg、451μmol)、続いて酢酸(36.7mg、35.0μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(52.6mg、492μmol)を添加し、撹拌を4日間継続した。その反応混合物を0.1N HCl溶液(20ml)中に注いだ。得られた懸濁液を濾過して固体を集めた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中2%〜4% MeOH)により精製すると、白色固体が所望の生成物として得られた(121.4mg、収率68%)。MS +m/z: 436 (M+H)+
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−(4−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンジル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物20)
【0179】
【化39】
【0180】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(100mg、410μmol)のMeOH(3.5ml)中における溶液に、4−(ピロリジン−1−イルスルホニル)ベンズアルデヒド(118mg、492μmol)、続いて酢酸(36.7mg、35μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(65.7mg、615μmol)を添加し、撹拌を6日間継続した。その反応混合物を0.1N HCl溶液(25ml)中に注いで懸濁液を得て、それを濾過すると白色固体が所望の生成物として得られた(151mg、収率79%)。MS +m/z: 467 (M+H)+
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−(4−(モルホリノスルホニル)ベンジル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物21)
【0181】
【化40】
【0182】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(100mg、410μmol)のMeOH(3.5ml)中における溶液に、4−(モルホリノスルホニル)ベンズアルデヒド(126mg、492μmol)、続いて酢酸(36.7mg、35μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で25分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(65.7mg、615μmol)を添加し、撹拌を6日間継続した。反応混合物を0.1N HCl溶液(25ml)中に注ぎ、EtOAc(3×15ml)で抽出した。有機溶液を合わせてブラインで洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中2%〜5% MeOH)により精製すると、白色の泡状物質が所望の生成物として得られた(158mg、収率80%)。MS +m/z: 483 (M+H)+
2,6−ジクロロ−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルアミノ)ベンゾニトリル(化合物22)
【0183】
【化41】
【0184】
2,6−ジクロロ−4−ニトロベンゾニトリル
【0185】
【化42】
【0186】
シアン化銅(I)(2.6g、29.0mmol、当量:2)のDMSO(5mL)中における溶液を60℃で1時間加熱した。亜硝酸tert−ブチル(5.98g、6.9ml、58.0mmol、当量:4.00)および2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン(3g、14.5mmol、当量:1.00)のDMSO(5mL)中における溶液を添加し、その反応を3時間撹拌した。反応混合物を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。有機性抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。クロマトグラフィー(200g Analogix、100%ヘキサン〜5% EtOAc/ヘキサン)により515mg(16%)の所望の生成物が淡褐色固体として得られた。
【0187】
4−アミノ−2,6−ジクロロベンゾニトリル
【0188】
【化43】
【0189】
2,6−ジクロロ−4−ニトロベンゾニトリル(2.46g、11.3mmol、当量:1.00)、鉄(3.17g、56.7mmol、当量:5)および塩化アンモニウム(6.06g、113mmol、当量:10)のメタノール(30mL)/水(10mL)中における溶液を還流状態で一夜加熱した。TLCは不完全な反応を示した。加熱を100度で6時間、次いで60度で一夜継続した。その反応混合物をセライト上で濾過した。濾液を酢酸エチル中で懸濁すると不溶性の固体が得られた。そのスラリーを濃縮して乾燥させ、水中で懸濁し、濾過し、水ですすいだ。その固体を丸底フラスコに移し、ベンゼン中で懸濁し、濃縮した。追加の分のベンゼンを添加し、もう一度濃縮すると、1.37g(65%)の所望の生成物が淡褐色固体として得られた。
【0190】
2,6−ジクロロ−4−イソチオシアナトベンゾニトリル
【0191】
【化44】
【0192】
4−アミノ−2,6−ジクロロベンゾニトリル(500mg、2.67mmol、当量:1.00)、チオホスゲン(1.35g、900μl、11.7mmol、当量:4.39)、トリエチルアミン(875mg、1.2ml、8.64mmol、当量:3.23)のベンゼン(30ml)中における懸濁液を還流状態で一夜加熱した。その褐色の反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィー処理(80g Analogix、0〜5%酢酸エチル/ヘキサン)すると、436mg(71%)の所望の生成物が淡褐色固体として得られた。
【0193】
(Z)−メチル N’−シアノ−N−(3,5−ジクロロ−4−シアノフェニル)カルバムイミドチオエート
【0194】
【化45】
【0195】
ナトリウムメトキシド(メタノール中0.5M)(5.7ml、2.85mmol、当量:1.22)をシアナミド(108mg、2.58mmol、当量:1.1)に添加した。15分間後、その溶液を2,6−ジクロロ−4−イソチオシアナトベンゾニトリル(537mg、2.34mmol、当量:1.00)のメタノール(5mL)中における溶液に添加した。1時間後、ヨウ化メチル(704mg、310μl、4.96mmol、当量:2.11)を添加し、その反応を室温で一夜撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、乾燥させると43mgの所望の生成物が褐色固体として得られた。濾液を濃縮してクロマトグラフィー処理(40g Analogix、50% EtOAc/ヘキサン〜75% EtOAc/ヘキサン)すると、191mgの所望の生成物が黄色固体として得られた。その固体を合わせて234mg(35%)の所望の生成物を得た。
【0196】
4−(5−アミノ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ)−2,6−ジクロロ−ベンゾニトリル
【0197】
【化46】
【0198】
(Z)−メチル N’−シアノ−N−(3,5−ジクロロ−4−シアノフェニル)カルバムイミドチオエート(234mg、821μmol、当量:1.00)およびヒドラジン(263mg、258μl、8.21mmol、当量:10)のエタノール(10mL)中における溶液を65℃で一夜加熱した。その反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィー処理(23 Supelco、100% DCM〜5%〜10% MeOH/DCM)すると、156mg(71%)の所望の生成物が灰白色固体として得られた。
【0199】
1H NMR (300MHz, DMSO) δ: 11.55 (s, 1H), 9.99 (s, 1H), 7.74 (s, 2H), 6.14 (s, 2H) ppm
2,6−ジクロロ−4−(5−(4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルアミノ)ベンゾニトリル(化合物22)
【0200】
【化47】
【0201】
4−(5−アミノ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ)−2,6−ジクロロ−ベンゾニトリル(60mg、223μmol)のMeOH(3.5ml)中における溶液に4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(46.6mg、268μmol、Aldrich)、続いて酢酸(36.7mg、35μl、611μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(32.2mg、349μmol)を添加し、4日間撹拌を継続した。その反応混合物を0.1N HCl溶液(20ml)中に注ぎ、EtOAc(3×20ml)で抽出した。有機溶液を合わせてブラインで洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。DCMからの結晶化により白色固体が所望の生成物として得られた(55mg、収率57%)。MS +m/z: 427 (M+H)+
tert−ブチル 4−((3−(3,5−ジクロロ−4−シアノフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート(化合物23)
【0202】
【化48】
【0203】
4−(5−アミノ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ)−2,6−ジクロロ−ベンゾニトリル(60mg、223μmol)のMeOH(3.5ml)中における溶液にtert−ブチル 4−ホルミルベンゾエート(55.2mg、268μmol)、続いて酢酸(21.0mg、20μl、349μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(32.2mg、349μmol)を添加し、撹拌を4日間継続した。その反応混合物を0.1N HCl溶液(20ml)中に注ぎ、静置した。得られた懸濁液を濾過して固体を集めた。超流体クロマトグラフィー(super fluid chromatography)およびアセトニトリルからの摩砕処理による精製により、白色固体が所望の生成物として得られた(54.5mg、収率53%)。MS +m/z: 459 (M+H)+
tert−ブチル 4−((3−(2−クロロ−4’−(イソプロピルスルホニル)−6−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート(化合物24)
【0204】
【化49】
【0205】
N3−(2−クロロ−4’−(イソプロピルスルホニル)−6−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン
【0206】
【化50】
【0207】
N3−(4−ブロモ−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体1(150mg、421μmol)、4−(イソプロピルスルホニル)フェニルボロン酸(240mg、1.05mmol)および3M KCO(351μl、1.05mmol)のDME(1ml)およびジオキサン(1ml)中における混合物をアルゴンで脱気し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(97.2mg、84.1μmol)を添加した。その反応混合物をマイクロ波中で125℃で3時間加熱し、MeOHで希釈し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中3%〜7% MeOH)により精製した。超流体クロマトグラフィーによりさらに精製すると、白色の泡状物質(32mg、収率16%)が所望の生成物として得られた。MS +m/z: 460 (M+H)+
tert−ブチル 4−((3−(2−クロロ−4’−(イソプロピルスルホニル)−6−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)メチル)ベンゾエート(化合物24)
【0208】
【化51】
【0209】
N3−(2−クロロ−4’−(イソプロピルスルホニル)−6−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(135mg、294μmol)のMeOH(3.5ml)中における溶液にtert−ブチル 4−ホルミルベンゾエート(85mg、412μmol)、続いて酢酸(52.4mg、50μl、873μmol)を添加した。その反応を室温で15分間撹拌し、2−ピコリンボラン錯体(42.4mg、396μmol)を添加し、撹拌を3日間継続した。その反応混合物を0.1N HCl溶液(20ml)中に注ぎ、得られた懸濁液を濾過して固体を集めた。その粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中3%〜5% MeOH)により精製すると白色固体が所望の生成物として得られた(94mg、収率49%)。MS +m/z: 650 (M+H)+
−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物25)
【0210】
【化52】
【0211】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(80mg、0.33mmol)の5mLのメタノール中における撹拌溶液に3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(114mg、0.66mmol)を添加し、その混合物を一夜撹拌した。次いで水素化ホウ素ナトリウム(24.8mg、0.656mmol)を添加し、その混合物を10分間撹拌した。
【0212】
20mLの水を添加し、その混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出し、有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、残留物をcombiflash機械上でクロマトグラフィー処理(6%メタノール/塩化メチレン)すると、54mg(41%)の所望の生成物が得られた。MS +m/z: 401.9 (M+H)+
−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物26)
【0213】
【化53】
【0214】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(80mg、0.33mmol)の5mLのメタノール中における撹拌溶液に、3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(114mg、0.66mmol)を添加した。その反応混合物を一夜撹拌し、その後水素化ホウ素ナトリウム(24.8mg、0.656mmol)を添加し、その混合物を10分間撹拌した。その反応を水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、残留物をcombiflash機械上でクロマトグラフィー処理(6%メタノール/塩化メチレン)すると、61mg(46%)の所望の生成物が得られた。MS +m/z: 401.9 (M+H)+
−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物27)
【0215】
【化54】
【0216】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(122mg、0.50mmol)のメタノール(8mL)中における室温での撹拌溶液に、1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−オン(89mg、0.50mmol)を添加した。その混合物を2時間撹拌し、その後シアノ水素化ホウ素ナトリウム(94.2mg、1.5mmol)および3滴の酢酸を添加した。その反応混合物を室温で6時間撹拌し、次いで水(25mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。その抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物をシリカゲルカラム上でクロマトグラフィー処理すると、16mg(8%)の所望の生成物が白色固体として得られた。MS +m/z: 404.9 (M+H)+
4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(化合物28)
【0217】
【化55】
【0218】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(122mg、0.5mmol)の10mlのメタノール、tert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(102mg、0.512mmol)中における撹拌溶液に酢酸(0.05mL)を添加した。その混合物を室温で15分間撹拌し、その後ピコリンボラン(112mg、1.047mmol)を添加した。その混合物を室温で一夜撹拌した。LCMSは87%の生成物および13%のSMを示した。追加のピコリンボラン(50mg、0.467mmol)を添加し、その混合物をさらに24時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を塩化メチレン中で溶解させ、飽和重炭酸ナトリウムで処理してpH=9にした。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(3×10mL)で抽出した。溶媒を約4mLまで低減し、残留物をシリカゲルカラム上に装填した。5%メタノール/塩化メチレンにより溶離すると、188mg(88%)の所望の生成物が白色固体として得られた。MS +m/z: 427.0 (M+H)+
−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;トリフルオロ−酢酸を含む化合物(化合物29)
【0219】
【化56】
【0220】
tert−ブチル 4−(3−(3,5−ジクロロフェニルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルアミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(180mg、0.42mmol)を30% TFA/塩化メチレン(10mL)中で溶解させ、その混合物を室温で30分間撹拌した。減圧下で溶媒を除去すると固体が得られ、それをジエチルエーテル(10mL)で洗浄すると178mg(96%)の所望の生成物が灰白色固体として得られた。MS +m/z: 327.0 (M+H)+
1−{4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−エタノン(化合物30)
【0221】
【化57】
【0222】
N3−(3,5−ジクロロフェニル)−N5−(ピペリジン−4−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 2,2,2−トリフルオロアセテート(50mg、0.113mmol)のアセトニトリル(5mL)中における撹拌懸濁液に、飽和重炭酸ナトリウム溶液(5mL)および無水酢酸(14mg、0.136mmol)を添加した。その反応混合物を室温で一夜撹拌した。その溶液をEtOAc(3×10mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去すると粗生成物が得られ、それをフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、35mg(84%)の所望の生成物が白色固体として得られた。MS +m/z: 369.0 (M+H)+
−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N−ピリミジン−5−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン(化合物31)
【0223】
【化58】
【0224】
ピリミジン−5−カルバルデヒド(54mg、0.5mmol)およびN3−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン 中間体2(122mg、0.50mmol)およびピコリンボラン(54mg、0.5mmol)の溶液を室温で4時間撹拌した。その混合物を水(20mL)中に注ぎ、EtOAc(3×10mL)で抽出した。その抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を2mLまで低減した。残った残留物を25gシリカゲルカラム上に装填し、酢酸エチル中5% MeOHで溶離すると128mg(76.2%)の所望の生成物が白色固体として得られた。MS +m/z: 335.90 (M+H)+
生物学的実施例
偽型HCV粒子(HCVpp)レポーターアッセイを用いた化合物のHCV GT1bおよびGT1a侵入阻害活性の決定。
【0225】
偽型ウイルス粒子の生成のための哺乳類発現プラスミド。
GT1a H77株(Proc Natl Acad Sci USA 1997 94:8738-43)またはGT1b Con1株(Science 1999 285:110-3)のHCVのE1およびE2エンベロープタンパク質を発現するプラスミドを、HCVコアタンパク質の最後の60アミノ酸ならびにHCVのE1およびE2タンパク質の全部をコードする核酸をpcDNA3.1(+)ベクター中にクローニングすることにより構築した。水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質G(VSV G)を発現するプラスミドpVSV−GはClontechからのものである(カタログ番号631530)。蛍ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するHIVパッケージングコンストラクトは、エンベロープ欠損pNL.4.3.Luc−R.Eベクター(Virology 1995 206:935-44)に基づいてHIVエンベロープタンパク質の一部をさらに欠損させることにより改変された。
【0226】
一過性トランスフェクションしたHEK−293T細胞における偽型ウイルス粒子の生成。
偽型HCV GT1aおよびGT1b粒子(HCVpp)および偽型VSV G粒子(VSVpp)を一過性トランスフェクションしたHEK−293T細胞(ATCCカタログ番号CRL−573)から生成した。HCVppを生成するため、HEK−293T細胞に等量のHCVエンベロープタンパク質を発現するプラスミドおよびHIVパッケージングゲノムをポリエチレンイミン(Polysciencesカタログ番号23966)をトランスフェクション試薬として用いることによりトランスフェクションした。VSVppを生成するため、HEK−293T細胞に等量のVSV Gを発現するプラスミドおよびHIVパッケージングゲノムをポリエチレンイミンを用いることによりトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、トランスフェクション混合物を含有する細胞培養培地を10%ウシ胎児血清(Invitrogenカタログ番号10082−147)および2mM L−グルタミン(Invitrogenカタログ番号25030−081)を補った新しいダルベッコ変法イーグル培地(DMEM−Glutamax(商標)−I;Invitrogenカタログ番号10569−010)と取り替えた。上清をトランスフェクションの48時間後に集め、無菌の0.45μmフィルターを通して濾過した。上清の分割量(Aliquots)を使用まで−80℃で凍結および保管した。
【0227】
より効率的なHCV侵入を可能にするため、高いCD81発現レベルを有するHuh7−高CD81細胞をFITC標識CD81抗体JS−81(BD Biosciencesカタログ番号561956)を用いたフローサイトメトリー選別により濃縮した(enriched)。そのHuh7−高CD81細胞をダルベッコ変法イーグル培地(DMEM−Glutamax(商標)−I;Invitrogenカタログ番号10569−010)中で培養した。その培地に10%ウシ胎児血清(Invitrogenカタログ番号10082−147)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogenカタログ番号15070−063)を補った。細胞を加湿した5% CO雰囲気中で維持した。
【0228】
Huh7−高CD81細胞における化合物のHCVpp侵入阻害活性の決定
Huh7−高CD81細胞を96ウェルプレート(Perkin Elmer、カタログ番号6005660)中でウェルあたり8000細胞の細胞密度で蒔いた。細胞は10%ウシ胎児血清(Invitrogenカタログ番号10082−147)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogenカタログ番号15070−063)を補った100μlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM−Glutamax(商標)−I、Invitrogenカタログ番号10569−010)中で蒔いた。細胞を37℃および5%CO2で24時間平衡化させ、その時点で化合物および偽型ウイルスを添加した。アッセイの日にHCVppの分割量を37℃の水浴中で融解させ、使用まで4℃で保った。化合物(または対照として培地)を2% DMSOおよび2%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM−Glutamax(商標)−I中で3倍希釈系列で希釈した。それぞれの培養ウェル中の100μlのプレーティング培地を除去した後、50μlの化合物希釈物および50μlの融解させたHCVppを添加した。蛍ルシフェラーゼレポーターシグナルを化合物およびHCVppの添加の72時間後にSteady−Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、カタログ番号E2520)を製造業者の説明書に従って用いて読み取った。EC50値を蛍ルシフェラーゼレポーターのレベルにおいて化合物の非存在下での対照試料と比較して50%の低減が観察される化合物の濃度として定義し、化合物の用量反応データの非線形当てはめにより決定した。
【0229】
Huh7−高CD81細胞における化合物の選択性の決定
Huh7 hCD81細胞アッセイのプレートおよび化合物の希釈度はHCVppアッセイにおけるものと同じ形式で設定された。細胞を蒔いた24時間後、融解させたVSVppを10%ウシ胎児血清を補ったDMEM−Glutamax(商標)−I中で800倍希釈した。培養ウェルからの細胞プレーティング培地の除去の後、50μlの化合物希釈物および50μlの希釈したVSVppをウェルに添加した。蛍ルシフェラーゼレポーターシグナルを化合物およびVSVppの添加の72時間後にSteady−Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、カタログ番号E2520)を用いて読み取った。EC50値を蛍ルシフェラーゼレポーターのレベルにおいて化合物の非存在下での対照試料と比較して50%の低減が観察される化合物の濃度として定義し、化合物の用量反応データの非線形当てはめにより決定した。EC50は最大阻害百分率が90%未満であり70%より大きい場合は近似された。代表的なアッセイデータを下記の表IIにおいて見付けることができる。
【0230】
【表2-1】
【0231】
【表2-2】
【0232】
前記の発明は、明確さおよび理解を目的に、説明および例としていくらか詳細に記載されてきた。添付された特許請求の範囲内で変更および修正を実施することができることは当業者には明らかであろう。
【0233】
従って、上記の記載は説明的であることを意図しており、制限的であることは意図していないことは理解されるべきである。従って、本発明の範囲は上記の記載への参照により決定されるべきではなく、以下の添付された特許請求の範囲への参照により、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の完全な範囲と共に決定されるべきである。
【0234】
この出願において引用された全ての特許、特許出願および刊行物は、それぞれの個々の
特許、特許出願または刊行物がそのように個々に示された場合と同程度まで、全ての目的
に関して参照によりそのまま本明細書に援用される。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]式Iの化合物:
【化59】
[Aは(CHA’であり;
mは0または1であり;
は1個以上のA”で場合により置換されていてもよいフェニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
それぞれのA”は独立してハロ低級アルキル、低級アルキル、ハロ、NHC(=O)OA、C(=O)OA、アミノ、S(=O)、シアノ、S(=O)N(A、またはC(=O)Aであり;
はH、低級アルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
それぞれのRは独立してハロ、シアノ、ハロ低級アルキル、またはR1’であり;
1’はR1”で場合により置換されていてもよいフェニルであり;
1”は低級アルキルスルホニルであり;そして
nは0、1、2、または3である]
またはその医薬的に許容できる塩。
[2]Aが(CHA’であり、mが1である、[1]に記載の化合物。
[3]A’が1個以上のA”で場合により置換されていてもよいフェニルまたはヘテロアリールである、[2]に記載の化合物。
[4]A’が1個以上のA”で場合により置換されていてもよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、[2]に記載の化合物。
[5]nが2である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
[6]両方のRがClである、[5]に記載の化合物。
[7]それぞれのA”が独立してハロ低級アルキル、低級アルキル、ハロ、NHC(=O)OA、C(=O)OA、アミノ、S(=O)、シアノ、S(=O)N(A、またはC(=O)Aである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[8]A”がハロ、ハロ低級アルキル、または低級アルキルである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[9]A”がNHC(=O)OAまたはC(=O)OAである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[10]A”がS(=O)またはS(=O)N(Aである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[11]それぞれのAが低級アルキルである、[9]または[10]のどちらかに記載の化合物。
[12]以下の化合物:
N3−(4−ブロモ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−N5−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−フラン−2−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(5−クロロ−2−トリフルオロメチル−ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(5−クロロ−ピリジン−2−イルメチル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
(5−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
2−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
N5−ベンジル−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N5−(6−アミノ−ピリジン−3−イルメチル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
3−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
2−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(4−メタンスルホニル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ベンゾニトリル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−tert−ブチル−4−{[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−ベンゼンスルホンアミド;
N5−(3−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−[4−(ピロリジン−1−スルホニル)−ベンジル]−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−ベンジル]−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
2,6−ジクロロ−4−[5−(4−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ベンゾニトリル;
4−{[5−(3,5−ジクロロ−4−シアノ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−メチル}−安息香酸 tert−ブチルエステル;
4−({5−[6−クロロ−4’−(プロパン−2−スルホニル)−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルアミノ]−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ}−メチル)−安息香酸 tert−ブチルエステル;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル;
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−ピペリジン−4−イル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン;
1−{4−[5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−2H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−エタノン;および
N3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−N5−ピリミジン−5−イルメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3,5−ジアミン
からなる群から選択される化合物。
[13]それを必要とする患者に療法上有効量の[1]〜[12]のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を予防するための方法。
[14]さらにそれを必要とする患者に療法上有効量の免疫系抑制剤を投与することを含む、[13に記載の方法。
[15]それを必要とする患者に療法上有効量の[1]〜[12]のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を処置するための方法。
[16]さらにHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤の組み合わせを投与することを含む、[13]〜[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17]さらに免疫系調節剤またはHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤またはそれらの組み合わせを投与することを含む、[13]〜[16]のいずれか1項に記載の方法。
[18]免疫系調節剤がインターフェロンまたは化学的に誘導体化されたインターフェロンである、[17]に記載の方法。
[19]抗ウイルス剤がHCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCV NS5A阻害剤、またはそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される、[17]に記載の方法。
[20][1]〜[12]のいずれか1項に記載の化合物および医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物。