特許第6018746号(P6018746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018746多軸骨アンカー固定装置、および、多軸骨アンカー固定装置を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018746
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】多軸骨アンカー固定装置、および、多軸骨アンカー固定装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20161020BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61B17/70
   A61B17/86
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-251624(P2011-251624)
(22)【出願日】2011年11月17日
(65)【公開番号】特開2012-110700(P2012-110700A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年10月29日
(31)【優先権主張番号】10192079.1
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/416,137
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/449,349
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト・ポール
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−526007(JP,A)
【文献】 特開2003−204971(JP,A)
【文献】 特開2010−194309(JP,A)
【文献】 特表2010−534116(JP,A)
【文献】 特開2009−240776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸骨アンカー固定装置であって、
骨内にアンカー固定するためのシャフト(3)および頭(4)を有するアンカー固定要素(2)と、
上端(51)および下端(52)、内部にロッドを受けるためのチャネル(56)、ならびに前記上端(51)から前記下端(52)まで延在し、前記頭(4)を受けるための座部(54)を含む通路(53,54,55)を有する受け部(5,5′)と、
前記通路(53)に配置され、前記頭(4)に圧力を加えるように構成された圧力要素(6)とを備え、前記圧力要素はばね部分を有しない固体部材であり、前記頭は、前記受け部(5)に対して旋回可能であり、前記圧力要素(6)によって傾いてロック固定されることができ、
前記圧力要素(6,6′)の外壁は、少なくとも1つの、凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b)または変形可能部(601a′,601b′)のいずれか一方を含み、
前記受け部(5)の内壁は、変形可能部(501a,501b)または凹部(500a′,500b′)の他方を含み、
前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)は、塑性変形して変形部(502a,502b,602a′,602b′)となるように構成され、
前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)は、前記受け部(5)において止まり穴(500a,500b)と前記受け部(5)の内壁との間、または、前記圧力要素(6′)において止まり穴(500a,500b)と前記圧力要素(6′)の外壁との間に設けられ、
前記止まり穴(500a,500b)の閉鎖端はテーパ状であり、かつ水平方向に第1の中心軸(A,B)を有し、前記凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b,500a′,500b′)は水平方向に第2の中心軸(a,b)を有し、
前記変形部(502a,502b,602a′,602b′)と前記凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b,500a′,500b′)とが互いに係合している状態で、前記変形部と前記凹部との間の係合による所定の押圧力で前記圧力要素(6,6′)が下方に押圧されるように、前記第1の中心軸(A,B)と前記第2の中心軸(a,b)との間の距離が調節される、多軸骨アンカー固定装置。
【請求項2】
前記圧力要素(6)が前記受け部(5)に挿入されて前記頭(4)の上に停止すると、前記凹部(600a,600b)は、前記上端(51)に向かう軸方向において前記変形可能部(501a,501b)の上方に位置する下側端縁(601a,601b,611a,611b;621a,621b)を有する、請求項記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項3】
前記凹部の前記下側端縁と前記変形可能部(501a,501b)との間の軸方向の距離は、前記変形部が、前記凹部の前記下側端縁(601a,601b;611a,611b;621a,621b)に係合して前記頭と前記圧力要素との間に定められた摩擦力を発生する際に、前記圧力要素に圧力を加えるようなものである、請求項に記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項4】
前記変形可能部(501a,501b)は、前記受け部の前記内壁から前記通路内へ延在するテーパ状突出部に変形可能である、請求項1からのいずれかに記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項5】
前記止まり穴の閉端はテーパ状であり、前記通路の中心軸(M)に対して45°未満の角度(β)を有する、請求項またはに記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項6】
前記角度(β)が約22.5°である、請求項に記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項7】
前記凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b)は、前記通路の前記中心軸(M)に対して好ましくは約45°の角度を有する傾斜下側端縁(601a,611a,621a)を有する、請求項1からのいずれかに記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項8】
前記凹部(600a,600b)は、前記上端(51)に向かう軸方向において前記変形部(502a,502b)のための空間を提供する、請求項1からのいずれかに記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項9】
円周方向において180°ずれている、少なくとも2つの変形可能部(501a,501b)および対応する凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b)が設けられる、請求項1からのいずれかに記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項10】
前記変形可能部(601a′,601b′)は前記圧力要素(6′)に設けられ、前記圧力要素は、変形すると、前記受け部(5′)に設けられた前記凹部(500a′,500b′)の上側端縁(501a′,501b′)に係合する、請求項1に記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項11】
前記圧力要素(6,6′)は、上端(61)および下端(62)、同軸ボア(67)、前記下端の球形凹部(63)、ならびに前記上端の円筒形またはU字型凹部(64)を含み、前記円筒形またはU字型凹部(64)は前記受け部の前記チャネル(56)と並ぶ、請求項1から10のいずれかに記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項12】
多軸骨アンカー固定装置であって、
骨内にアンカー固定するためのシャフト(3)および頭(4)を有するアンカー固定要素(2)と、
上端(51)および下端(52)、内部にロッドを受けるためのチャネル(56)、ならびに前記上端(51)から前記下端(52)まで延在し、前記頭(4)を受けるための座部(54)を含む通路(53,54,55)を有する受け部(5)と、
前記通路(53)に配置され、前記頭(4)に圧力を加えるように構成された圧力要素(6)とを備え、前記圧力要素はばね部分を有しない固体部材であり、前記頭は、前記受け部(5)に対して旋回可能であり、前記圧力要素(6)によって傾いてロック固定されることができ、
前記圧力要素(6)は、前記受け部の内壁に対向する少なくとも1つの凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b)または突出部(602a′,602b′)を含み、
前記受け部は、自身の内壁に設けられた少なくとも1つの突出部(502a,502b)または凹部(500a′,500b′)を含み、前記圧力要素が前記受け部に挿入されて前記頭の上に停止すると、前記突出部(502a,502b,602a′,602b′)は、係合によって、前記圧力要素(6,6′)が所定の圧力で下方に押圧され、前記圧力要素によって前記頭(4)に力が加えられて、前記頭をロック固定する前に前記頭を摩擦によってある角度位置に維持するように、前記凹部の端縁(601a,601b;611a,611b;621a,621b,501a′,501b′)に係合する、多軸骨アンカー固定装置。
【請求項13】
180°ずれている、少なくとも2つの突出部(502a,502b,602a′,602b′)および対応する凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b,500a′,500b′)が設けられる、請求項12に記載の多軸骨アンカー固定装置。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載の多軸骨アンカー固定装置を製造するための方法であって、
前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)が変形すると前記凹部(600a,600b;610a,610b;620a,620b,500a′,500b′)の端縁(601a,601b,501a′,501b′)に係合可能なように前記凹部が軸方向において前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)に対して位置するように、前記圧力要素(6,6′)を前記受け部(5,5′)内に配置するステップと、
前記変形部(502a,502b,602a′,602b′)が突出部を形成し、前記突出部が前記凹部の前記端縁(601a,611a,621a,501a′,501b′)に係合することによって、前記圧力要素に力を加えて、前記頭をロック固定する前に前記頭を摩擦によってある角度位置に維持するように、前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)を変形させるステップとを備える、方法。
【請求項15】
前記凹部(600a,600b)は前記圧力要素(6)に形成され、前記突出部は前記受け部(5)に形成され、前記突出部は前記凹部の下側端縁(601a,601b)の上方に位置する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記凹部(500a′,500b′)は前記受け部(5′)に形成され、前記突出部は前記圧力要素(6′)に形成され、前記突出部は前記凹部の上側端縁(501a′,501b′)の下方に位置する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
変形はかしめによってなされる、請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)の変形は、かしめ工具(100)を用いて生じる、請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
変形は、手持ち式のかしめ工具(1000)を用いてなされる、請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
第1のステップにおいて、前記変形可能部(501a,501b,601a′,601b′)の変形が予備組立の間になされ、予備組立の後、さらなる変形がなされる、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨または椎骨内に安定化ロッドをアンカー固定するための多軸骨アンカー固定装置に関する。骨アンカー固定装置は、アンカー固定要素と、骨アンカー固定要素の頭を受けるため、およびアンカー固定要素に接続される安定化ロッドを受けるための受け部とを含む。アンカー固定要素は受け部に旋回可能に接続され、受け部内に配置された圧力要素を介して頭に圧力を加えることによって、傾いてロック固定され得る。圧力要素および受け部は、圧力要素が摩擦によって頭を締付けてロック固定の前に所望の角度位置を維持するように協働するよう構成される。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,716,356号には、ねじ要素と、ねじ要素に旋回可能に接続される受け部と、ねじ要素の頭に圧力を加えてねじ要素と受け部との間の角度をロック固定する圧力要素とを含む多軸骨ねじが記載されている。受け部は、安定化ロッドを受けるためのU字型チャネルを有する。圧力要素は、U字型チャネルと並んで内部にロッドを受ける円筒形凹部を含む。U字型チャネルと並んだ位置に圧力要素を保持するために、圧力要素の位置は、受け部に設けられたボアを通じてかしめることによって固定される。
【0003】
骨アンカー固定要素の頭を最終的な角度位置にロック固定する前に頭が受け部に対して自由に旋回可能である場合、受け部の整列およびロッドの挿入は、たとえば多数の骨アンカー固定具をロッドに接続する必要があるときなどの、より複雑な臨床用途において困難であり得る。
【0004】
米国特許第7,604,656号には、長尺の部材を骨部分に接続するために骨部分に係合可能な締結具が記載されている。締結具を受ける筐体は、締結具および長尺の部材に係合可能なスペーサも受ける。1つの実施例では、スペーサは、締結具および筐体に摩擦係合するようにピン部材によって促される。
【0005】
米国特許公開第2004/0267264号には多軸固定装置が記載されており、多軸骨ねじは、球形頭と受け部材との間に十分な摩擦を提供して、球形頭を受け部材内にロック固定する前にシャンクを所望の角度方向に維持できるように適合された係合部材を含む。係合部材は、たとえば、頭の周りのスナップリングによって、または球形頭に摩擦係合するように圧縮キャップに設けられたばね部材によって、または圧縮キャップに設けられたスロットによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,716,356号
【特許文献2】米国特許第7,604,656号
【特許文献3】米国特許公開第2004/0267264号(米国特許第7,087,057号)
【特許文献4】米国特許第5,681,319号
【特許文献5】米国特許第5,672,176号
【特許文献6】米国特許公開第2010/0137920号
【特許文献7】米国特許公開第2010/0160977号
【特許文献8】米国特許公開第2009/0062867号
【特許文献9】米国特許公開第2006/0264933号
【特許文献10】国際公開第2010/103198号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、手術時の取扱いを向上させることができ、かつ単純な方法で製造可能な多軸骨アンカー固定装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1または13に記載の多軸骨アンカー固定装置によって、および請求項15に記載の多軸骨アンカー固定装置を製造するための方法によって達成される。さらなる発展が従属請求項において与えられる。
【発明の効果】
【0009】
この多軸骨アンカー固定装置を用いると、頭をロック固定せずに、頭を受け部に対して所望の角度位置に一時的に締付けることが達成され得る。これによって、受け部を調節可能な角度位置に維持できる。この状態で、圧力要素が頭に予荷重をかけることによって、頭はロック固定されないが自由に旋回することはできない。頭が一時的に締付けられると、特に多数の骨アンカー固定具をロッドに接続する必要がある場合に、ロッドに対する受け部の整列およびロッドの挿入が容易になる。
【0010】
ロッドが既に受け部に挿入されている場合、頭を完全に緩めずにロッドを調節することが依然として可能である。
【0011】
この多軸骨アンカー固定装置は、単純な設計の少数の部品しか含まない。頭をロック固定する前に頭を摩擦によって維持するためのメカニズムには、ばね部材またはばね部分が全くない。したがって多軸骨アンカー固定装置の製造が容易になる。さらに、既存の受け部および圧力要素を、それらの形を再設計せずに用いることができる。単にかしめボアの場所を変更することも可能である。
【0012】
圧力部材によって頭にかけられる予荷重の量は、かしめボアの位置および形を選択することによって単純な方法で正確に予め定められ得る。多軸骨アンカー固定装置は、圧力要素が自身の整列位置から抜出たり回転して外れたりすることができないような程度まで軸方向に回転可能に固定された、予め組立てられた態様で医師に提供される。これによって、医師による安全な取扱いが可能になる。
【0013】
受け部および圧力要素は、連続して低コストで製造可能である。
本発明のさらなる特徴および利点が、添付の図面による実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施例に係る多軸骨アンカー固定装置の斜視展開図である。
図2】組立てられた状態の図1の多軸骨アンカー固定装置を示す図である。
図3】頭を最終的にロック固定する前の、組立てられた状態の多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
図4a】圧力要素を受け部内に暫定的に固定する前の多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
図4b図4aの拡大部を示す図である。
図5a】圧力要素を受け部内に暫定的に固定した後の、予め組立てられた状態の多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
図5b図5aの拡大部を示す図である。
図6】圧力要素を受け部内に暫定的に固定するための工具の断面図である。
図7図6の拡大部を示す図である。
図8】頭をロック固定する前の多軸骨アンカー固定装置の変形実施例の断面図である。
図9】頭をロック固定する前の状態の多軸骨アンカー固定装置のさらなる変形実施例の断面図である。
図10】多軸骨アンカー固定装置の第2の実施例の斜視展開図である。
図11図10の骨アンカー固定装置の圧力要素の一部の拡大断面図である。
図12】圧力要素を受け部内に暫定的に固定する前の、第2の実施例の多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
図13】圧力要素を受け部内に暫定的に固定した後の、予め組立てられた状態の図12の多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
図14】手動操作可能な、さらなるかしめ工具の斜視展開図である。
図15】組立てられた状態の図14のかしめ工具の斜視図である。
図16】爪が開いた状態にあり、多軸骨アンカー固定装置がまだ挿入されていない状態の、図14および図15のかしめ工具の一部の拡大斜視図である。
図17】多軸骨アンカー固定装置が挿入されて、爪がまだ完全に閉じられていない状態の、図14および図15のかしめ工具の一部の拡大斜視図である。
図18】多軸骨アンカー固定装置が挿入されて、爪が閉じられた状態の、図14および図15のかしめ工具の一部の拡大斜視図である。
図19a)】多軸骨アンカー固定装置のロッド軸に対して垂直に切取った、多軸骨アンカー固定装置が挿入されて、爪がまだ閉じられていない状態の、図14および図15のかしめ工具の一部の断面図である。
図19b)】図19a)の一部の拡大断面図である。
図20a)】多軸骨アンカー固定装置のロッド軸に対して垂直に切取った、多軸骨アンカー固定装置が挿入されて、爪が閉じられた状態の、図14および図15のかしめ工具の一部の断面図である。
図20b)】図20a)の一部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図3に示されるような第1の実施例に係る多軸骨アンカー固定装置1は、ねじ山シャフト3と頭4とを有するねじ部材2の形態の骨アンカー固定要素を含む。頭4は全体的に球形であり、工具に係合してねじ山シャフト3を骨に挿入するための凹部4aを自身の自由端に含む。骨アンカー固定装置は、ねじ部材2をロッド20に接続するための受け部5をさらに含む。圧力要素6が、受け部の内部で頭4の上に配置される。ロッド20を受け部内にしっかりと固定するため、および頭に圧力を加えるために、ロック固定装置、たとえば受け部5と協働する内ねじ7が設けられる。
【0016】
受け部は実質的に円筒形の一体部品であり、上端51および下端52を有する。上端から下端まで延在する通路が同軸ボア53によって形成され、ねじ部材2の頭4を受けるための座部54がこれに続く。座部54は下端52に開口部55を有し、この中をねじ部材のシャフト3が延在する。座部54は球形として示されているが、テーパ状であってもよいし、頭4が受け部5に対して旋回可能なように頭4を受けることができる任意の他の形であってもよい。上端51には実質的にU字型の凹部56が設けられており、これによって、ロッド20を受けるためのチャネルの側壁である2本の自由脚57,58が形成される。内ねじ7と協働するための内部ねじ山59が脚に設けられる。
【0017】
圧力要素6は一体形成される。圧力要素6は実質的に円筒形の構成であり、受け部5のボア53の内部での自身の軸方向の移動を可能にする外径を有する。圧力要素6は上端61および下端62を有する。圧力要素が受け部に挿入されると、下端62はねじ要素2の頭4に対向する。下端62には、頭4のサイズおよび形に適合された球形凹部63が設けられる。球形凹部は、頭の球形面と摩擦係合するように構成される。上端61にはU字型凹部64が設けられており、これによって、ロッド20を内部に受けるためのチャネルを形成する2本の自由脚65,66が形成される。さらに、圧力要素6は、工具(図示せず)を用いてねじ頭4にアクセスするための同軸ボア67を含む。図面に示されるように、圧力要素6は、自身に可撓性を付与し得るばね部分が全くない固体部材である。圧力要素6は、受け部5のU字型凹部56と圧力要素のU字型凹部64とが並ぶように受け部内に配置される。
【0018】
図3に示されるような組立てられた状態では、ねじ頭4は座部54内に位置し、圧力要素6はねじ頭4の上に配置される。圧力要素の自由脚65,66の高さは、ロッドが挿入されてチャネルの底部で停止すると、自由脚65,66がロッド20の上方に延在するように構成される。
【0019】
内ねじ7の形態のロック固定装置は、圧力要素6の自由脚65,66によって形成されるチャネル内へ延在する突出部71を有する。軸方向における突出部71のサイズは、内ねじ7を締めると、圧力要素の上端61と内ねじ7の下側との間に依然として隙間21がある状態で突出部71がロッドを圧迫するようなものである。したがって、単一の内ねじ7を用いてロッド20のみに圧力を加えることができ、続いて圧力要素6に圧力を加えることができる。なお、内ねじ7の形態の単一部品のロック固定装置の代わりに、2つの部品からなるロック固定装置を用いてもよい(図示せず)。2つの部品からなるロック固定装置は、受け部の脚57,58の間にねじ込まれる第1の部品を含む。第1の部品は、圧力要素6の上端61に作用する。さらに、内ねじの形態の第2の部品が第1の部品内に設けられ、ロッド20を圧迫する。これによって、頭4およびロッド20が独立して固定され得る。
【0020】
圧力要素6は、図3から図5に示されるように受け部5内に保持される。特に図4aおよび図4bに示されるように、受け部は、外面から、同軸ボア53の内壁からのある距離まで延在するかしめボアを形成する2つの止まり穴500a,500bを含む。止まり穴500a,500bは互いに180°ずれて、かつU字型凹部56によって形成されるチャネルに対して90°に配置される。止まり穴500a,500bは、同軸ボア53のボア軸Mに対して垂直に並ぶ。止まり穴は自身の端において、ボア軸Mに平行な軸に対して好ましくは45°未満、たとえば22.5°の角度αでテーパ状になっている。止まり穴500a,500bのボア軸AおよびBは、受け部の第2の端52から距離Hだけ離れて設けられる。
【0021】
止まり穴500a,500bの閉端と受け部の同軸ボア53との間の受け部の部分は、変形可能部501a,501bとして構成される。
【0022】
圧力要素6はこれに対応して、互いに180°ずれており、かつU字型凹部64によって形成されるチャネルから90°ずれた2つの凹部600a,600bを含む。凹部600a,600bは、ボア軸Mに対して垂直な中心軸a,bをそれぞれ有する。示される実施例では、凹部600a,600bは円錐形である。凹部600a,600bの下向きに延在するフランク601a,601bの各々は、中心ボア軸Mに対して約45°の角度βを有する。図4aおよび図4bに示されるように、圧力要素6をねじ要素の頭4の上に停止するように挿入すると、凹部600a,600bの中心軸a,bは、止まり穴500a,500bの中心軸A,Bの距離Hよりも大きい、受け部5の第2の端52からの距離hを有する。つまり、凹部600a,600bは、止まり穴500a,500bの上方に配置される。
【0023】
凹部と止まり穴との間の距離は、たとえばかしめ工具を介して止まり穴500a,500bに力を加えることによって変形可能部501a,501bを変形させると、変形した材料が受け部の内壁から突出して凹部600a,600bの下側フランク601a,601bをそれぞれ圧迫して、圧力要素6に下向きの力を加えるようなものである。図5aおよび図5bに示されるように、変形可能部501a,501bを変形させると変形部502a,502bがもたらされ、これらは圧力要素6の凹部600a,600bの下側フランク601a,601bに圧力を加える。たとえば、変形後、角度αは約45°であり、これは下側フランク601a,601bの角度とほぼ同じである。各自の変形可能部501a,501bおよび凹部600a,600bを有する止まり穴500a,500bは、変形可能部501a,501bを、凹部600a,600bに係合する変形部502a,502bに変形させることによって、結果として生じる圧力要素6に対する力が頭4に対する予荷重を発生させ、摩擦によって頭を締付けるように構成される。止まり穴および凹部のサイズおよびそれらの位置を選択することによって、所望の摩擦力を達成できる。この摩擦力によって、頭を所望の角度位置に維持することができ、また、摩擦力よりも大きい力をねじ要素または受け部のいずれか一方に加えることによって頭をこの位置から外れるように動かすことができる。同時に、圧力要素は、回転しないようにしっかりと固定され、受け部の上端51から離脱しないようにしっかりと固定される。凹部600a,600bは、変形した材料の一部を収容するための空間を提供する。また、凹部600a,600bは、圧力要素6が下向きに移動して頭を最終的にロック固定した時の突出部502a,502bのための空間を提供する。
【0024】
図6および図7、ならびに図4から図5を参照して、多軸骨アンカー固定装置を製造するための方法を説明する。図6および図7に示されるかしめ工具は一般的に骨アンカー固定装置用のホルダ100を含み、ホルダ100は、図4aおよび図4bに示されるように、挿入されたねじ要素2および圧力要素6を用いて受け部5を固定するように機能する。ロッド20は、圧力要素の自由脚65,66の変形を避けるための反対の力を提供するために挿入され得る。かしめ工具は2つのかしめ先端101a,101bをさらに含み、これらは互いに180°ずれて配置され、止まり穴500a,500bに導入されて変形可能部501a,501bを変形させることによって、変形部502a,502bを形成する変位材料が圧力要素の凹部600a,600bに係合するように寸法決めされる。特に図7に見られるように、かしめ先端101a,101bは、止まり穴500a,500bの底部よりも鋭い角度を有する。かしめ先端101a,101bは、変形部が凹部600a,600bの下側フランク601a,601bをそれぞれ圧迫するように、変形可能部を変形させる。その後、かしめ先端は引込む。かしめ処理は力によって駆動されてもよく、および/または経路によって制御されてもよい。
【0025】
かしめ先端が引込んだ後、多軸アンカー固定装置をホルダ100から取外すことができる。こうして多軸骨アンカー固定装置は、ねじ要素2が挿入されて、圧力要素が頭に若干の予荷重をかけることによって頭をある角度位置に摩擦によって保持するように圧力要素が保持された状態の、予め組立てられた状態になる。
【0026】
なお、止まり穴の形は異なり得る。特に、円錐形底部の角度は異なり得るか、底部は丸い形または他の形であり得る。圧力要素6に設けられる凹部も異なる形であり得る。図8に示されるように、凹部610a,610bは、たとえば、実質的に矩形の断面を有し得る。凹部の下側は、変形部502a,502bに係合するための傾斜端縁611a,611bを含む。
【0027】
図9に示されるように、圧力要素の凹部620a,620bの断面は、変形部502a,502bに係合するための傾斜下側フランク621a,621bを有する、たとえば台形であり得る。
【0028】
骨アンカー固定装置のすべての部分は、たとえばチタンなどの生体適合性金属、たとえばニチノールなどの生体適合性金属合金、もしくはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性プラスチック材料、またはそれらの組合せなどの生体適合性材料からなる。
【0029】
通常、ロッドを用いて骨部分または椎骨を安定化させるためには、いくつかの骨アンカー固定装置が必要である。使用時、骨アンカー固定装置は、図5a、図5bに示されるように予め組立てられている。ねじ部材を骨または椎骨にねじ込む。その後、受け部の各々がロッドを挿入するための正確な向きを有するまで、摩擦力よりも大きい力を加えることによって受け部を旋回させる。摩擦力によって、各受け部はこの角度位置に保持される。その後、骨アンカー固定装置を接続するロッドを挿入し、内ねじを締めて圧力要素を下向きに移動させて、受け部に対するねじ部材の角度位置が固定されるように頭を座部にロック固定する。ロッドは同時に内ねじによって固定される。変形部502a,502bは、圧力要素に設けられた凹部の下側フランクにしか係合しないため、凹部は、圧力要素の下向きの移動を可能にするための変形部用の十分な空間を提供する。
【0030】
上述した実施例のさらなる変形例が考えられる。たとえば、受け部における1つの変形部、および圧力要素における1つの対応する凹部のみで十分である。しかし、3つ以上の変形部および対応する凹部を設けてもよい。
【0031】
図10から図13を参照して、骨アンカー固定装置の第2の実施例を説明する。上述した実施例と同一または同様の部品または部分には同じ参照番号を付し、それらの説明は繰返さない。第2の実施例は主に、頭に対する予荷重を用いた暫定的な固定に関する圧力要素および受け部の機能が逆になっている点で第1の実施例と異なる。
【0032】
図10に見られるように、受け部5′は、止まり穴500a,500bの代わりに2つの貫通孔500a′,500b′を有する。貫通孔の代わりに受け部の内壁の凹部でも十分であるが、貫通孔を設ける方が製造が容易であり、第1の実施例の止まり穴を有する既存の受け部を改良することができる。
【0033】
圧力要素6′は、180°ずれて配置され、かつチャネル64の内壁から脚65,66内へそれぞれ延在する、2つの凹部600a′,600b′を有する。これらの凹部は、第1の実施例の受け部の止まり穴500a,500bと同様に、約22.5°のテーパを有する実質的に三角形の断面を有し得る。凹部の上側端縁には、矩形凹部630a,630bがそれぞれ設けられており、その深さは凹部600a′,600b′の深さよりも小さい。凹部630a,630bは任意であり、かしめ工具の挿入を容易にし得る。
【0034】
圧力要素6′の外面と凹部600a′,600b′の底部との間に、図13に示されるような変形部602a′,602b′に変形可能な変形可能部601a′,601b′が形成される。図12に示されるような予め組立てられた非変形状態では、圧力要素6′は受け部5′内で、圧力要素6′が頭4の上に停止し、かつ、変形可能部が貫通孔500a′,500b′の上壁部の若干下方にあるような位置に置かれる。その後、かしめ先端(図示せず)が凹部600a′,600b′に導入され、変形可能部601a′,601b′が外側に向かって変形する。変形部602a′,602b′は、図13に示されるように、受け部5′の内側の貫通孔500a′,500b′の上壁部(501a′,501b′)に当接する。変形部602a′,602b′はこうして約45°のテーパを有する。変形部が貫通孔の上壁部(501a′,501b′)に当接すると、頭に下向きの力が加えられ、摩擦によって頭を締付ける。
【0035】
説明した実施例の凹部および止まり穴の形は、テーパ形状に限定されない。また、テーパの角度も説明した値に限定されない。変形可能部が変形すると下向きの力を達成する他の形も可能である。
【0036】
アンカー固定要素については、すべての種類のアンカー固定要素を用い、受け部と組合せることができる。これらのアンカー固定要素は、たとえば、異なる長さ、異なる直径を有するねじ、中空ねじ、異なるねじ山形状を有するねじ、釘、フック等である。頭とシャフトは、互いに接続可能な別の部分であり得る。
【0037】
受け部の形は、説明した実施例に限定されない。たとえば、受け部は、一方の側へのねじ部材のより大きな旋回角度を可能にするための非対称端部を有し得る。受け部の一部である挿入片に、頭用の座部を設けてもよい。また、ロッドを上部から導入したり、ロッドを閉じた凹部から案内しなければならない代わりに、ロッドを横から導入することを可能にする凹部を有することも可能である。2つ以上の部品からなるロック固定装置、外側ナット、外側キャップ、差込ロック固定装置または他のものを含むさまざまな種類のロック固定装置が可能である。
【0038】
さらなる変形例では、受け部は、ねじ要素を下端から導入できるように構成される。
図14および図15は、多軸骨アンカー固定装置を製造するために用いるかしめ工具のさらなる実施例を示す。かしめ工具1000は、予め組立てられた骨アンカー固定装置の圧力要素6とねじ頭4との間の摩擦力を高めるために適用され得る。図14および図15から理解できるように、かしめ工具1000は、一端に1対のハンドル1001,1001′および他端に1対の爪1002,1002′を有するトングの形態の手持ち式器具として実現される。ハンドル1001,1001′と爪1002,1002′との間に、2対のレバーが配置される。ピボット1003″を中心として旋回する第1の対のレバー1003,1003′は、一方側でハンドル1001,1001′に接続され、他方側でピボット1004″を中心として旋回する第2の対のレバー1004,1004′に接続される。レバー1004,1004′の対はピボット1005,1005′においてレバー1003,1003′の対にヒンジ接続され、その自由端において爪1002,1002′に接続される。爪1002,1002′は、自身の後端1002a,1002a′において、レバーアーム1003,1003′に接続されたレバー1004,1004′のそれぞれのレバーアームに固定される。レバー1004,1004′の他方のレバーアームは、細長い孔1002,1002b′,1002bを介して、それぞれの他方の爪1002′,1002に接続される。この構成によって、ハンドル1001,1001′をともに動かすと、爪1002,1002′が互いに向かって動くことによって、実質的に平行に並ぶ。かしめ工具1000は、爪1002,1002′を開いた位置に保持するばね(図示せず)を含み得、このばね力を、爪1002,1002′を閉じるハンドルによって克服する必要がある。ハンドル1001,1001′は、一連のレバーおよび爪と同じ方向にあるとして示される。しかし、ハンドル1001,1001′は、爪1002,1002′に対して垂直になるようにヒンジ1020において回転し得る。これは、ある特定の場合に有利であり得る。なお、かしめ工具は、ハンドルをともに押付けると爪が互いに向かって動く、任意の他のトング状の構成によって実現され得る。
【0039】
図16により詳細に示されるように、爪1002,1002′の各々は、多軸骨アンカー固定装置の受け部5を押込嵌合の態様で収容可能な凹部1006,1006′を有する。かしめ工具1000の軸に沿った軸方向における凹部1006,1006′の端には止め具1007,1007′が設けられており、受け部5000が爪1002,1002′の一方に挿入されると、受け部の上端部5001が止め具に当接する。受け部5000は、一方側へのより大きい旋回角度を提供するための非対称の傾斜下方端5002と、後で折取可能な延長部5003とを含む。この形は例に過ぎず、工具は任意の他の受け部に適用可能である。
【0040】
各凹部1006,1006′の内壁には、かしめ先端1008,1008′が設けられる。かしめ先端1008,1008′は、受け部5000の止まり穴500a,500bの中心軸A,Bに対応する位置にある。したがって、多軸骨アンカー固定装置が挿入されて止め具1007に当接すると、かしめ先端1008,1008′は、止まり穴500a,500bの中心軸A,Bの方向を向く。
【0041】
各凹部1006,1006′の両側に、爪1002は歯1009,1009′を含む。図18に示されるように爪1002,1002′が受け部5000の周りに閉じられるまでともに動くと、一方の爪1002の歯1009が他方の爪1002′の歯1009′の間の空間に係合する。
【0042】
次に、図16から図20を参照して動作を説明する。骨アンカー固定装置5000は、上述のように、ねじ要素2が挿入されて、かつ、圧力要素6のU字型凹部64が受け部5000のU字型凹部56と並ぶようにかしめることによって圧力要素6が保持された状態の、予め組立てられた状態で提供され得る。圧力要素の凹部600a,600b内へ突出する変形部502a,502bによって、圧力要素6は頭4に予荷重をかけて、頭4を摩擦によって一定の角度位置に保持する。
【0043】
予め組立てられた多軸骨アンカー固定装置の圧力要素6と頭4との間の摩擦力が低過ぎる場合、付加的なかしめ工程が適用され得る。付加的なかしめ工程によって、医師または任意の他の補助人員は、圧力要素6と頭4との間に高摩擦力を有する多軸骨アンカー固定装置を作製し得る。これは、手術の前または手術中の任意の時点でなされ得る。付加的なかしめはたとえば、ねじ要素を骨にねじ込む前、またはねじ要素を骨にねじ込んだ後に行われ得る。図面に示されるようなかしめ工具1000は、ねじ要素を骨に挿入した後にかしめを実行するのに好適である。手術前、付加的なかしめ工程を実行するために任意の他のかしめ工具またはかしめ工具1000が用いられ得る。
【0044】
図面に示されるようなかしめ工具1000を用いて、第1の工程において、止まり穴500a,500bがかしめ先端1008,1008′と並ぶように、多軸骨アンカー固定装置をかしめ工具1000の爪1002,1002′の間に挿入する。止め具1007,1007′が設けられているため、かしめ先端1008,1008′は自動的に正確な位置にある。図19a)および図19b)に示されるように、爪1002,1002′が開いているとき、受け部5000の上端1001は止め具1007,1007′に当接して、骨アンカー固定装置がさらに挿入されないようにする。かしめ先端1008,1008′の中心軸は、止まり穴500a,500bの中心軸A,Bとそれぞれ同軸である。
【0045】
その後、ハンドル1001,1001′をともに押付けることによって、図20a)および図20b)に示されるように爪1002,1002′を閉じる。かしめ先端1008,1008′が変形部502a,502bの方向に動いて変形部502a,502bをさらに変形させることによって、変形部502a,502bは圧力要素6の凹部600a,600b内へさらに延在し、圧力要素に下向きの圧力を加える。これによって、圧力要素6によって頭4に加えられる予荷重が増大するため、圧力要素と頭との間の摩擦力が高まる。かしめ先端の移動は、凹部1006,1006′の内側輪郭と、受け部5000の外側輪郭との形状嵌合係合によって制限される。この係合によって止め具が与えられるため、かしめ先端1008,1008′は定められた長さの経路に沿って移動して定められた変形を発生させ、摩擦力を高める。爪1002,1002′は、下側の爪1002′の歯1009′が上側の爪1002の歯1009に係合すると、形状嵌合接続で互いに係合する。
【0046】
このかしめ工具は、圧力要素6と頭4との間に一定の高摩擦力を確実に生成することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 骨アンカー固定装置、2 ねじ部材、3 ねじ山シャフト、4 ねじ頭、5 受け部、6 圧力要素、7 内ねじ、20 ロッド。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19a)】
図19b)】
図20a)】
図20b)】