特許第6018788号(P6018788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018788
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】自動二輪車用タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/18 20060101AFI20161020BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20161020BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B60C9/18 J
   B60C11/00 C
   B60C11/00 D
   B60C9/22 A
   B60C9/22 B
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-100235(P2012-100235)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-226933(P2013-226933A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】八尾 優廣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 豊人
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−143351(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/020066(WO,A1)
【文献】 特開2000−001108(JP,A)
【文献】 特開2010−111163(JP,A)
【文献】 特開2008−222155(JP,A)
【文献】 特開2009−067340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/18
B60C 11/00
B60C 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配置され、かつゴム被覆された1本又は複数本のベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスプライからなるベルト層とを有する自動二輪車用タイヤであって、
前記ベルト層の外側に配されるトレッドゴムは、タイヤ赤道を含むセンター領域に配されるセンターゴムと、該センター領域の両側のショルダー領域に配される一対のショルダーゴムとを含み、
前記ベルト層は、前記センターゴムの内方に配されるセンタープライと、前記ショルダーゴムの内方に配されるショルダープライとを含み、
前記センターゴムのゴム硬度Hs1は、前記ショルダーゴムのゴム硬度Hs2よりも大であり、かつ
前記センタープライのプライ単位幅当たりの前記ベルトコードの打ち込み本数であるエンズE1は、前記ショルダープライのエンズE2よりも小であり、
前記ショルダープライの前記エンズE2は、60〜75(本/5cm)であることを特徴とする自動二輪車用タイヤ。
【請求項2】
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配置され、かつゴム被覆された1本又は複数本のベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスプライからなるベルト層とを有する自動二輪車用タイヤであって、
前記ベルト層の外側に配されるトレッドゴムは、タイヤ赤道を含むセンター領域に配されるセンターゴムと、該センター領域の両側のショルダー領域に配される一対のショルダーゴムとを含み、
前記ベルト層は、前記センターゴムの内方に配されるセンタープライと、前記ショルダーゴムの内方に配されるショルダープライとを含み、
前記ベルト層のタイヤ軸方向の外端は、前記トレッド部のタイヤ軸方向の外端であるトレッド端よりもタイヤ軸方向内側に位置し、
前記ベルト層の前記外端と、前記トレッド端とのタイヤ軸方向の距離が、3〜30mmであり、
前記センターゴムのゴム硬度Hs1は、前記ショルダーゴムのゴム硬度Hs2よりも大であり、かつ
前記センタープライのプライ単位幅当たりの前記ベルトコードの打ち込み本数であるエンズE1は、前記ショルダープライのエンズE2よりも小であり、
前記ショルダープライの前記エンズE2は、60〜75(本/5cm)であり
タイヤ回転軸を含む子午断面において、前記センターゴムの前記トレッド部の外面に沿った長さである展開幅L1cと、前記ショルダーゴムの展開幅L1sとの比L1s/L1cは、0.3〜2.5であり、
前記センターゴムの前記ゴム硬度Hs1と、前記ショルダーゴムの前記ゴム硬度Hs2との差Hs1−Hs2は、5度以下であり、
前記センターゴムのタイヤ軸方向の外端とセンタープライのタイヤ軸方向の外端とのタイヤ軸方向の距離は、0〜2cmであることを特徴とする自動二輪車用タイヤ。
【請求項3】
前記ショルダープライの前記エンズE2と、前記センタープライの前記エンズE1との差E2−E1は、5〜20(本/5cm)である請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項4】
前記ショルダーゴムは、前記センターゴム側に配される内側ショルダーゴムと、前記トレッド部のトレッド端側に配される外側ショルダーゴムとを含み、
前記ショルダープライは、前記センタープライ側に配される内側ショルダープライと、前記トレッド端側に配される外側ショルダープライとを含み、
前記内側ショルダーゴムのゴム硬度Hs2iは、前記外側ショルダーゴムのゴム硬度Hs2oよりも大であり、かつ
前記内側ショルダープライのエンズE2iは、前記外側ショルダープライのエンズE2oよりも小である請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項5】
前記トレッドゴムは、前記トレッド部の外面側のキャップゴムと、このキャップゴムのタイヤ半径方向内側のベースゴムとを含み、
前記キャップゴムは、前記センターゴムと、前記ショルダーゴムとを含み、
前記ベースゴムのゴム硬度Hs3は、前記センターゴムの前記ゴム硬度Hs1及び前記ショルダーゴムの前記ゴム硬度Hs2よりも大である請求項1乃至4のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項6】
前記ベースゴムは、タイヤ赤道から前記トレッド部のトレッド端に向かって、タイヤ半径方向の厚さが漸増する請求項5に記載の自動二輪車用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうる自動二輪車用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示されるように、自動二輪車用タイヤaは、キャンバーアングルが大きい旋回時においても十分な接地面積が得られるように、トレッド部bの外面bsが、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状で構成される。
【0003】
従来、このようなトレッド部bのトレッドゴムgを、タイヤ赤道cを中心とするセンター領域に配されるセンターゴムgcと、該センター領域の両側のショルダー領域に配されるショルダーゴムgsとに区分し、かつセンターゴムgcとショルダーゴムgsとの各ゴム硬度を互いに異ならせることが、下記特許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−35228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の自動二輪車用タイヤaは、センターゴムgcとショルダーゴムgsとの間の剛性差により、センターゴムgcが主に接地する直進時と、ショルダーゴムgsが主に接地する旋回時において、剛性感や踏ん張り感等の手応えが大きく異なる他、直進時から旋回時への過渡特性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、センターゴムのゴム硬度Hs1をショルダーゴムのゴム硬度Hs2よりも大きくし、かつセンタープライのエンズE1をショルダープライのエンズE2よりも小さくすることを基本として、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうる自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、前記カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配置され、かつゴム被覆された1本又は複数本のベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスプライからなるベルト層とを有する自動二輪車用タイヤであって、前記ベルト層の外側に配されるトレッドゴムは、タイヤ赤道を含むセンター領域に配されるセンターゴムと、該センター領域の両側のショルダー領域に配される一対のショルダーゴムとを含み、前記ベルト層は、前記センターゴムの内方に配されるセンタープライと、前記ショルダーゴムの内方に配されるショルダープライとを含み、前記センターゴムのゴム硬度Hs1は、前記ショルダーゴムのゴム硬度Hs2よりも大であり、かつ前記センタープライのプライ単位幅当たりの前記ベルトコードの打ち込み本数であるエンズE1は、前記ショルダープライのエンズE2よりも小であり、前記ショルダープライの前記エンズE2は、60〜75(本/5cm)であることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項2記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、前記カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配置され、かつゴム被覆された1本又は複数本のベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスプライからなるベルト層とを有する自動二輪車用タイヤであって、前記ベルト層の外側に配されるトレッドゴムは、タイヤ赤道を含むセンター領域に配されるセンターゴムと、該センター領域の両側のショルダー領域に配される一対のショルダーゴムとを含み、前記ベルト層は、前記センターゴムの内方に配されるセンタープライと、前記ショルダーゴムの内方に配されるショルダープライとを含み、前記ベルト層のタイヤ軸方向の外端は、前記トレッド部のタイヤ軸方向の外端であるトレッド端よりもタイヤ軸方向内側に位置し、前記ベルト層の前記外端と、前記トレッド端とのタイヤ軸方向の距離が、3〜30mmであり、前記センターゴムのゴム硬度Hs1は、前記ショルダーゴムのゴム硬度Hs2よりも大であり、かつ前記センタープライのプライ単位幅当たりの前記ベルトコードの打ち込み本数であるエンズE1は、前記ショルダープライのエンズE2よりも小であり、前記ショルダープライの前記エンズE2は、60〜75(本/5cm)であり、タイヤ回転軸を含む子午断面において、前記センターゴムの前記トレッド部の外面に沿った長さである展開幅L1cと、前記ショルダーゴムの展開幅L1sとの比L1s/L1cは、0.3〜2.5であり、
前記センターゴムの前記ゴム硬度Hs1と、前記ショルダーゴムの前記ゴム硬度Hs2との差Hs1−Hs2は、5度以下であり、前記センターゴムのタイヤ軸方向の外端とセンタープライのタイヤ軸方向の外端とのタイヤ軸方向の距離は、0〜2cmであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項記載の発明は、前記ショルダープライの前記エンズE2と、前記センタープライの前記エンズE1との差E2−E1は、5〜20(本/5cm)である請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤである。
【0013】
また、請求項記載の発明は、前記ショルダーゴムは、前記センターゴム側に配される内側ショルダーゴムと、前記トレッド部のトレッド端側に配される外側ショルダーゴムとを含み、前記ショルダープライは、前記センタープライ側に配される内側ショルダープライと、前記トレッド端側に配される外側ショルダープライとを含み、前記内側ショルダーゴムのゴム硬度Hs2iは、前記外側ショルダーゴムのゴム硬度Hs2oよりも大であり、かつ前記内側ショルダープライのエンズE2iは、前記外側ショルダープライのエンズE2oよりも小である請求項1乃至のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
【0014】
また、請求項記載の発明は、前記トレッドゴムは、前記トレッド部の外面側のキャップゴムと、このキャップゴムのタイヤ半径方向内側のベースゴムとを含み、前記キャップゴムは、前記センターゴムと、前記ショルダーゴムとを含み、前記ベースゴムのゴム硬度Hs3は、前記センターゴムの前記ゴム硬度Hs1及び前記ショルダーゴムの前記ゴム硬度Hs2よりも大である請求項1乃至のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
【0015】
また、請求項記載の発明は、前記ベースゴムは、タイヤ赤道から前記トレッド部のトレッド端に向かって、タイヤ半径方向の厚さが漸増する請求項に記載の自動二輪車用タイヤである。
【0016】
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
【0017】
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
【0018】
また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の自動二輪車用タイヤは、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、カーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内部に配置され、かつゴム被覆された1本又は複数本のベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスプライからなるベルト層とを有する。このようなベルト層は、高速走行時のトレッド部のせり出し量を抑制でき、高速耐久性やタイヤのユニフォミティを向上するのに役立つ。
【0020】
また、ベルト層の外側に配されるトレッドゴムは、タイヤ赤道を含むセンター領域に配されるセンターゴムと、該センター領域の両側のショルダー領域に配される一対のショルダーゴムとを含む。さらに、ベルト層は、センターゴムの内方に配されるセンタープライと、ショルダーゴムの内方に配されるショルダープライとを含む。
【0021】
しかも、センターゴムのゴム硬度Hs1は、ショルダーゴムのゴム硬度Hs2よりも大であり、かつセンタープライのプライ単位幅当たりのベルトコードの打ち込み本数であるエンズE1は、ショルダープライのエンズE2よりも小に設定される。
【0022】
このような自動二輪車用タイヤは、直進時に主に接地するセンターゴムの剛性が相対的に大に設定されるため、直進安定性能に優れる。一方、旋回時に主に接地するショルダーゴムは、その剛性が相対的に小に設定されるため、十分な初期グリップを得ることができ、操縦安定性能を向上しうる。
【0023】
また、センタープライは、前記エンズE1が相対的に小に設定されるため、直進時において、トレッド部の撓みを許容して、ショック吸収性を高めることができ、乗り心地を向上しうる。一方、ショルダープライは、前記エンズE2が相対的に大に設定されるため、旋回時において、該トレッド部の接地圧を上昇させて、旋回時の腰感を高めることができ、操縦安定性能を向上しうる。
【0024】
しかも、ショルダープライは、ショルダーゴムによって相対的に低くなりがちなショルダー領域のトレッド剛性を高めることができるため、センター領域とショルダー領域とのトレッド剛性の差を減少させることができ、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。
図2図1のトレッドゴム及びベルト層の拡大図である。
図3】他の実施形態の自動二輪車用タイヤの拡大図である。
図4】さらに他の実施形態の自動二輪車用タイヤの拡大図である。
図5】従来の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されたベルト層7とが設けられる。
【0027】
また、前記タイヤ1は、キャンバーアングルが大きい旋回時においても十分な接地面積が得られるように、トレッド部2のタイヤ軸方向の外端であるトレッド端2t、2t間の外面2Sが、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲してのびるとともに、トレッド端2t、2t間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅TWがタイヤ最大幅をなしている。
【0028】
前記トレッド部2は、ベルト層7の外側に配されたトレッドゴムGが設けられる。このトレッドゴムGは、タイヤ赤道Cを含むセンター領域Crに配されるセンターゴムGCと、該センター領域Crの両側のショルダー領域Shに配される一対のショルダーゴムGSとを含む。なお、センター領域Crとは、タイヤ赤道Cを中心とし、かつトレッド幅TWの20〜70%の幅領域とする。
【0029】
また、本実施形態のトレッドゴムGは、センターゴムGCのゴム硬度Hs1が、ショルダーゴムGSのゴム硬度Hs2よりも大に設定される。本明細書において、前記「ゴム硬度」は、JIS−K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによる硬さとする。
【0030】
このようなトレッドゴムGは、直進時に主に接地するセンターゴムGCの剛性が相対的に大に設定されるため、直進安定性能に優れる。一方、旋回時に主に接地するショルダーゴムGSは、その剛性が相対的に小に設定されるため、十分な初期グリップを得ることができ、操縦安定性能を向上しうる。
【0031】
上記のような作用を効果的に発揮させるために、センターゴムGCのゴム硬度Hs1と、ショルダーゴムGSの前記ゴム硬度Hs2との差Hs1−Hs2は、2〜5度であるのが望ましい。前記差Hs1−Hs2が2度未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。逆に、前記差Hs1−Hs2が5度を超えると、センターゴムGCとショルダーゴムGSとの剛性差が過度に大きくなり、直進時から旋回時への過渡特性が大幅に低下するおそれがある。このような観点より、前記差Hs1−Hs2は、より好ましくは2度以上であるのが望ましく、また、より好ましくは5度以下であるのが望ましい。
【0032】
同様に、前記センターゴムGCのゴム硬度Hs1は、好ましくは58度以上、さらに好ましくは61度以上であるのが望ましく、また、好ましくは70度以下、さらに好ましくは67度以下であるのが望ましい。
【0033】
さらに、前記ショルダーゴムGSのゴム硬度Hs2は、好ましくは68度以下、さらに好ましくは65度以下であるのが望ましく、また、好ましくは53度以上、さらに好ましくは56度以上であるのが望ましい。
【0034】
また、タイヤ回転軸を含む子午断面において、センターゴムGCのトレッド部2の外面2Sに沿った長さである展開幅L1cと、ショルダーゴムGSの展開幅L1sとの比L1s/L1cは、0.3〜2.5が望ましい。前記比L1s/L1cが2.5を超えると、センターゴムGCが接地する範囲が小さくなり、直進安定性能を十分に向上できないおそれがある。逆に、前記比L1s/L1cが0.3未満であると、ショルダーゴムGSが接地する範囲が小さくなり、操縦安定性能が低下するおそれがある。
【0035】
前記カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aにより構成される。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4に埋設されたビードコア5に至る本体部6aと、本体部6aに連なりかつビードコア5の回りで折り返される折返し部6bとを含む。
【0036】
また、前記カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば65〜90度の角度で傾けて配列されたカーカスコードを有する。このカーカスコードには、例えば、ナイロン、ポリエステル又はレーヨン等の有機繊維コード等が好適に採用される。カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、硬質のゴムからなるビードエーペックス8が配される。
【0037】
図1及び図2に示されるように、前記ベルト層7は、ゴム被覆された1本又は複数本のベルトコード9をタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻き付けることにより形成された少なくとも1枚、本実施形態では1枚のジョイントレスプライ7Aからなる。
【0038】
このようなベルト層7は、高速走行時のトレッド部2のせり出し量を抑制でき、高速耐久性やタイヤ1のユニフォミティを向上するのに役立つ。ベルトコード9としては、例えばアラミド、ナイロン、ポリエステル、又はレーヨン等の有機繊維コードや、スチールコードが好適に採用され、本実施形態ではアラミドコードが採用される。
【0039】
また、本実施形態のベルト層7は、センターゴムGCの内方に配されるセンタープライ7Cと、ショルダーゴムGSの内方に配されるショルダープライ7Sとを含む。このセンタープライ7Cのプライ単位幅当たりのベルトコード9の打ち込み本数であるエンズE1は、ショルダープライ7SのエンズE2よりも小に設定される。
【0040】
このようなベルト層7は、センタープライ7CのエンズE1が相対的に小に設定されるため、センターゴムGCが主に接地する直進時において、トレッド部2の撓みを許容して、ショック吸収性を高めることができ、乗り心地を向上しうる。一方、ショルダープライ7Sは、エンズE2が相対的に大に設定されるため、ショルダーゴムGSが主に接地する旋回時において、該トレッド部2の接地圧を上昇させて、旋回時の腰感を高めることができ、操縦安定性能を向上しうる。
【0041】
しかも、ショルダープライ7Sは、ショルダーゴムGSによって相対的に低くなりがちなショルダー領域Shのトレッド剛性を高めることができる。従って、タイヤ1は、センター領域Crとショルダー領域Shとのトレッド剛性の差を減少させることができ、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうる。
【0042】
このような作用を効果的に発揮させるために、ショルダープライ7Sの前記エンズE2と、センタープライ7Cの前記エンズE1との差E2−E1は、5〜20(本/5cm)であるのが望ましい。前記差E2−E1が5(本/5cm)未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。逆に、前記差E2−E1が20(本/5cm)を超えると、センター領域Crとショルダー領域Shとの剛性差が大きくなり、前記過渡特性を十分に向上できないおそれがある。このような観点より、前記差E2−E1は、より好ましくは10(本/5cm)以上であるのが望ましく、また、より好ましくは20(本/5cm)以下であるのが望ましい。
【0043】
同様に、センタープライ7Cの前記エンズE1は、好ましくは65(本/5cm)以下、さらに好ましくは55(本/5cm)以下であるのが望ましく、また、好ましくは20(本/5cm)以上、さらに好ましくは24(本/5cm)以上であるのが望ましい。
【0044】
また、ショルダープライ7Sの前記エンズE2は、好ましくは25(本/5cm)以上、さらに好ましくは35(本/5cm)以上であるのが望ましく、また、好ましくは70(本/5cm)以下、さらに好ましくは60(本/5cm)以下であるのが望ましい。
【0045】
また、センターゴムGCのタイヤ軸方向の外端GCtとセンタープライ7Cのタイヤ軸方向の外端7Ctとのタイヤ軸方向の距離L3が大きくなると、センタープライ7C及びショルダープライ7Sは、センターゴムGCとショルダーゴムGSとの剛性差を十分に緩和することができず、過渡特性を十分に向上できないおそれがある。このような観点より、前記距離L3は、好ましくは2cm以下、より好ましくは1cm以下、最も好ましくは0cmであるのが望ましい。
【0046】
なお、センタープライ7Cのタイヤ軸方向の外端7Ctは、該センタープライ7Cのタイヤ軸方向の最も外側に配されるベルトコード9によって定められるものとする。
【0047】
また、ベルト層7のタイヤ軸方向の外端7tは、トレッド端2tよりもタイヤ軸方向内側に位置するのが望ましい。これにより、ベルト層7の外端7tがサイドウォール部3の外面に接近するのが抑制されるため、該外端7tに歪が集中するのを抑制でき、耐久性能を向上しうる。
【0048】
このような作用を効果的に発揮させるために、ベルト層7の外端7tと、トレッド端2tとのタイヤ軸方向の距離L2は、3〜30mmであるのが望ましい。前記距離L2が3mm未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。逆に、前記距離L2が30mmを超えると、ショルダープライ7Sが、ショルダー領域Shのトレッド剛性を十分に高めることができず、操縦安定性能及び過渡特性を十分に向上できないおそれがある。このような観点より、前記距離L2は、より好ましくは5mm以上であるのが望ましく、また、より好ましくは20mm以下であるのが望ましい。
【0049】
図3には、本発明の他の実施形態のタイヤ1が示される。
この実施形態のタイヤ1は、ショルダーゴムGSが、センターゴムGC側に配される内側ショルダーゴムGSiと、トレッド部2のトレッド端2t側に配される外側ショルダーゴムGSoとを含む。この内側ショルダーゴムGSiのゴム硬度Hs2iは、外側ショルダーゴムGSoのゴム硬度Hs2oよりも大に設定される。
【0050】
これにより、フルバンクでの旋回時に主に接地する外側ショルダーゴムGSoは、その剛性が相対的に小に設定されるため、十分なグリップを発揮することができ、操縦安定性能を向上しうる。さらにセンターゴムGCから外側ショルダーゴムGSoに向かって、ゴム硬度を細分化して漸減させることができるため、直進時から旋回時への過渡特性をさらに向上しうる。
【0051】
このような作用を効果的に発揮させるために、内側ショルダーゴムGSiのゴム硬度Hs2iと、外側ショルダーゴムGSoのゴム硬度Hs2oとの差Hs2i−Hs2oは、好ましくは2度以上が望ましく、また、好ましくは5度以下、さらに好ましくは3度以下が望ましい。
【0052】
また、この実施形態のショルダープライ7Sは、センタープライ7C側に配される内側ショルダープライ7Siと、トレッド端2t側に配される外側ショルダープライ7Soとを含む。この内側ショルダープライ7SiのエンズE2iは、外側ショルダープライ7SoのエンズE2oよりも小に設定される。
【0053】
これにより、外側ショルダープライ7Soは、そのエンズE2oが相対的に大に設定されるため、外側ショルダーゴムGSoが主に接地するフルバンクでの旋回時において、該トレッド部2の接地圧を大幅に上昇させて、旋回時の腰感を高めることができ、操縦安定性能を向上しうる。
【0054】
しかも、外側ショルダープライ7Soは、外側ショルダーゴムGSoによって相対的に低くなりがちなトレッド端2t側のトレッド剛性を高めることができるため、トレッド剛性をタイヤ軸方向で均一に近づけることができ、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうる。
【0055】
このような作用を効果的に発揮させるために、外側ショルダープライ7SoのエンズE2oと前記内側ショルダープライ7SiのエンズE2iとの差E2o−E2iは、好ましくは5(本/5cm)以上、さらに好ましくは10(本/5cm)以上であるのが望ましく、また、好ましくは20(本/5cm)以下が望ましい。
【0056】
さらに、内側ショルダーゴムGSiのタイヤ軸方向の外端13と内側ショルダープライ7Siのタイヤ軸方向の外端15とのタイヤ軸方向の距離L5は、好ましくは2cm以下、より好ましくは1cm以下、最も好ましくは0cmが望ましい。
【0057】
図4には、本発明の他の実施形態のタイヤ1が示される。
この実施形態のタイヤ1は、トレッドゴムGが、トレッド部2の外面2S側のキャップゴム19と、このキャップゴム19のタイヤ半径方向内側のベースゴム20とを含む。
【0058】
前記キャップゴム19は、ゴム硬度Hs1が相対的に大きい前記センターゴムGCと、ゴム硬度Hs2が相対的に小さい前記ショルダーゴムGSとを含む。
【0059】
また、前記ベースゴム20は、そのゴム硬度Hs3が、センターゴムGCのゴム硬度Hs1及びショルダーゴムGSのゴム硬度Hs2よりも大に設定される。これにより、ベースゴム20は、トレッド端2t、2t間に亘って、トレッド剛性を高めることができ、直進安定性能、及び操縦安定性能をさらに向上しうる。なお、ベースゴム20のタイヤ半径方向の厚さW6は、トレッドゴムGのタイヤ半径方向の厚さW1の10〜80%程度が望ましい。
【0060】
このような作用を効果的に発揮させるために、ベースゴム20のゴム硬度Hs3と、センターゴムGCのゴム硬度Hs1との差Hs3−Hs1は、2〜14度が望ましい。前記差Hs3−Hs1が2度未満であると、上記作用を十分に向上できないおそれがある。逆に、前記差Hs3−Hs1が14度を超えると、トレッド剛性が過度に大きくなり、乗り心地が低下するおそれがある。このような観点より、前記差Hs3−Hs1は、好ましくは10度以下が望ましい。
【0061】
さらに、ベースゴム20は、タイヤ赤道Cからトレッド端2tに向かって、タイヤ半径方向の厚さW6が漸増する。これにより、ベースゴム20は、ショルダーゴムGSによって低くなりがちなショルダー領域Shのトレッド剛性を高めることができるため、旋回時の腰感を高めることができ、操縦安定性能を向上しうる。
【0062】
このような作用を効果的に発揮させるために、ベースゴム20は、トレッド端2tにおける厚さW6tとタイヤ赤道Cにおける厚さW6cとの比W6t/W6cは、1〜5倍が望ましい。前記比W6t/W6cが1倍未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。逆に、前記比W6t/W6cが5倍を超えると、タイヤ赤道C側とトレッド端2t側との間のトレッド剛性の差が大きくなり、過渡特性が低下するおそれがある。このような観点より、前記比W6t/W6cは、より好ましくは1.5倍以上が望ましく、また、より好ましくは3倍以下が望ましい。
【0063】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例1】
【0064】
図1の基本構造を有し、かつ図2に示すトレッドゴム及びベルト層を有するタイヤが製造され、それらの性能がテストされた。また、比較として、図5に示される従来のタイヤ(ベルト層のエンズ:40本/5cm)についても同様にテストされた。共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:
前輪:120/70ZR17
後輪:180/55ZR17
リムサイズ:
前輪:MT3.50×17
後輪:MT5.50×17
トレッド幅TW:182mm
テスト方法は、次の通りである。
【0065】
<過渡特性・乗り心地・操縦安定性能・直進安定性能>
各供試タイヤを、上記リムにリム組みし、内圧(前輪:250kPa、後輪:290kPa)充填して、排気量750ccの自動二輪車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースを周回したときの「過渡特性」、「乗り心地」、「操縦安定性能」及び「直進安定性能」を、ドライバーによる官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で表示している。数値が大きいほど良好である。
【0066】
【表1】
【0067】
テストの結果、実施例のタイヤは、乗り心地、操縦安定性能、及び直進安定性能を維持しつつ、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうることが確認できた。
【実施例2】
【0068】
図1の基本構造を有し、かつ図3に示すトレッドゴム及びベルト層を有するタイヤが製造され、それらの性能がテストされた。また、比較として、図5に示される従来のタイヤについても同様にテストされた。
共通仕様は、下記に示す項目を除いて実施例1と同一である。また、テスト方法も、実施例1と同一である。
センターゴムの展開幅L1c:90mm
ベルト層の外端とトレッド端との距離L2:5mm
センターゴムの外端とセンタープライの外端との距離L3:0mm
テストの結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
テストの結果、実施例のタイヤは、乗り心地、操縦安定性能、及び直進安定性能を維持しつつ、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうることが確認できた。
【実施例3】
【0071】
図1の基本構造を有し、かつ図4に示すトレッドゴム及びベルト層を有するタイヤが製造され、それらの性能がテストされた。また、比較として、図5に示される従来のタイヤについても同様にテストされた。
共通仕様は、下記に示す項目を除いて実施例1、実施例2と同一である。また、テスト方法も、実施例1と同一である。
センターゴムの展開幅L1c:90mm
ベルト層の外端とトレッド端との距離L2:5mm
センタープライのエンズE1:30本/5cm
ショルダープライのエンズE2:50本/5cm
センターゴムの外端とセンタープライの外端との距離L3:0mm
内側ショルダーゴムの外端と内側ショルダープライの外端との距離L5:0mm
テストの結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
テストの結果、実施例のタイヤは、乗り心地、操縦安定性能、及び直進安定性能を維持しつつ、直進時から旋回時への過渡特性を向上しうることが確認できた。
【符号の説明】
【0074】
1 自動二輪車用タイヤ
G トレッドゴム
GC センターゴム
GS ショルダーゴム
7C センタープライ
7S ショルダープライ
図1
図2
図3
図4
図5