特許第6018829号(P6018829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018829電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018829
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H02M3/155 P
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-166654(P2012-166654)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-27793(P2014-27793A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】松井 重錦
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−281744(JP,A)
【文献】 特開2008−079378(JP,A)
【文献】 特開2008−193743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
G05F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバと、
前記ドライバのオン/オフ制御を行うデジタル制御回路と、
一定周期毎に前記ドライバのオン/オフ制御するための発振器信号を前記デジタル制御回路に出力する発振器と
を備え、
前記デジタル制御回路は、
前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有する
電力供給装置であって、
前記ドライバによって電流制御されるコイル、及び前記コイルに接続されたコンデンサの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較する比較器を更に備え、
前記比較器は、
nビットで動作するnビットモードと、
1ビットで動作する1ビットモードと
を有し、
前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記1ビットモードで前記コンデンサと前記コイルとの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較する
ことを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記請求項に記載された電力供給装置と、
前記電力供給装置から電力が供給される負荷と
を備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
ドライバのオン/オフ制御を行うデジタル制御ステップと、
一定周期毎に前記ドライバのオン/オフ制御するための発振器信号を出力する発振ステップと
を有し、
前記デジタル制御ステップは、
前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有する
電力供給方法であって、
前記ドライバによって電流制御されるコイル、及び前記コイルに接続されたコンデンサの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較器で比較する比較ステップを更に有し、
前記比較ステップは、
nビットで動作するnビットモードと、
1ビットで動作する1ビットモードと
を有し、
前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記1ビットモードで前記コンデンサと前記コイルとの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較する
ことを特徴とする電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法に関し、供給電力が少ない状態においても、効率を下げず、低電力で制御できる機構を持ち、かつ供給先の機器や、使用環境に応じて容易に調整可能な電力供給装置及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電力変換装置、特に、直流変換を行う装置において、内部に備えたスイッチング素子のオン/オフ制御によって負荷に供給する電力量を制御する電力供給装置がよく知られている。
【0003】
この電力供給装置は、アナログ回路方式およびデジタル回路方式が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71978号公報
【特許文献2】特表2005−512493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスイッチング電源では、アナログ回路により実現されているので、設定変更が困難であった。そのため、電力供給先の機器の仕様に応じて、リップル電圧やスイッチング周波数を調整することが困難になるという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の高周波数電圧調整器用のデジタル制御器では、デジタル回路にて実現されているので、高周波数のクロックパルスを発振している。そのため、特に、電力供給先の機器の消費電力が小さい場合には、相対的に、デジタル制御器の消費電力が大きくなるので、この消費電力を低減させることが課題であった。
【0007】
本発明の目的は、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、調節設定がデジタル設定(パラメータやソフト変更)のみで実行可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置及び電力供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、電源電圧に接続され、電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバと、前記ドライバのオン/オフ制御を行うデジタル制御回路と、一定周期毎に前記ドライバのオン/オフ制御するための発振器信号を前記デジタル制御回路に出力する発振器と、を備え、前記デジタル制御回路は、前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有する電力供給装置であって、前記ドライバによって電流制御されるコイル、及び前記コイルに接続されたコンデンサの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較する比較器を更に備え、前記比較器は、nビットで動作するnビットモードと、1ビットで動作する1ビットモードとを有し、前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記1ビットモードで前記コンデンサと前記コイルとの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較することを特徴とする電力供給装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、ドライバのオン/オフ制御を行うデジタル制御ステップと、一定周期毎に前記ドライバのオン/オフ制御するための発振器信号を出力する発振ステップと、前記ドライバの出力電流を検出する電流検出ステップとを有し、前記デジタル制御ステップは、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有する電力供給方法であって、前記ドライバによって電流制御されるコイル、及び前記コイルに接続されたコンデンサの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較器で比較する比較ステップを更に有し、前記比較ステップは、nビットで動作するnビットモードと、1ビットで動作する1ビットモードとを有し、前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記1ビットモードで前記コンデンサと前記コイルとの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較することを特徴とする電力供給方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、調節設定がデジタル設定(パラメータやソフト変更)のみで実行可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示した図。
図2】第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置が備えるA/D変換器17の構成を示した図。
図3】第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置による処理手順を示したフローチャート。
図4】第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[第1の実施の形態]
(電力供給システムの概要)
第1の実施の形態に係る電力供給システム100の構成は、図1に示すように、例えば、スイッチング電源装置である電力供給装置10と、電力供給装置10に接続されるコイルLと、コイルLに接続されるコンデンサCoおよび負荷16とを備える。電源電圧Vccが入力電源電圧であり、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTが得られる。
【0015】
電力供給装置10に接続され、電力供給装置10から電力が供給される負荷16としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などのモバイル機器や、これらを構成する構成部品などである。
【0016】
電力供給装置10は、電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバ11と、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13と、例えば1MHzといった安定したクロック周期などの一定周期毎に、ドライバ11のオン/オフ制御するための発振器信号をデジタル制御回路13に出力する発振器15と、ドライバ11の出力電流を検出するコンパレータ21とを備える。
【0017】
ここで、発信器15は出力をオン/オフできる機構を有し、通常モードは、安定したクロック周期を連続(常にEN信号オン)で出力し、かつ低電力モードは、発振器15のEN信号オンにより、即座に安定したクロック周期を出力、EN信号オフでクロック停止となり、間欠動作を可能とするものである。つまり、発信器15はドライバ11をオン/オフするための一定のクロック周期(一定周期)信号をデジタル制御回路13に出力する。
【0018】
デジタル制御回路13は、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有する。
【0019】
デジタル制御回路13は、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定されたモードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御する。
【0020】
また、デジタル制御回路13は、通常制御モードから低電力制御モードに切り替えられたときに、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを停止させる。具体的には、デジタル制御回路13は、連続動作状態から必要なときのみ動作させる間欠動作状態へ切り替えられる。
【0021】
電力供給装置10は、ドライバ11によって電流制御されるコイルL、及びコイルLに接続されたコンデンサCoの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較するA/D変換器17を備える。
【0022】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されており、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となった場合に、ドライバ11のオン/オフ動作を開始させる。
【0023】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作の停止後、出力動作を予め設定された時間だけ起動する。
【0024】
具体的には、発信器15の発振信号は停止されており、検出器(1ビットA/D変換器17)により、電圧低下状態を検出した場合、即座にオンし、予め設定された時間だけ起動し、検出器(1ビットA/D変換器17)が反転(所定電圧以上を検出)で停止する。すなわち、デジタル制御回路13は、出力動作を予め設定された時間だけ起動し、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上となった場合、デジタル制御回路13は、出力動作を停止する。それまで、所定時間のオンオフを繰り返す。
【0025】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定する。即ち、連続回数を予め設定された回数以上繰り返した場合、通常モードに切り替わり、連続動作となる。
【0026】
(電力供給装置の詳細構成)
第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置10の構成について、詳細に説明する。
【0027】
電力供給装置10の模式的回路構成は、図1に示すように、電源電圧Vccに接続され、オン/オフ動作を行うドライバ11と、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13と、ドライバ11に流れる電流量が制御されるコイルLと、コイルLに接続されコイルLとともに整流動作を行うコンデンサCoと、例えば1MHzといった安定したクロック周期などの一定周期毎にドライバ11をオン/オフ制御するための発振器信号をデジタル制御回路13に出力する発振器(OSC)15と、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較するA/D変換器17と、A/D変換器17に閾電圧VTHを供給するメモリ19と、ドライバ11の出力電流を検出するコンパレータ21とを備える。
【0028】
なお、ドライバ11は、図示しないが、スイッチング素子を有しており、スイッチング素子のオン/オフを行う。例えば、スイッチング素子は、ドレインがコイルLに接続されソースが電源電圧Vccに接続されたpチャネルMOSFETQPと、ドレインがコイルLに接続されソースが接地電位に接続されたnチャネルMOSFETQNとからなるCMOSFETで構成される。
【0029】
デジタル制御回路13は、制御モードとして、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有している。低電力制御モードは、間欠的に動作させるので、その分、通常制御モードと比較して、消費電力は小さくなる。
【0030】
デジタル制御回路13は、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定された制御モードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御する。
【0031】
具体的には、デジタル制御回路13は、通常制御モードから低電力制御モードに切り替えられたときに、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを停止させ、低電力制御モードが設定されており、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となった場合に、ドライバ11のオン/オフ動作を開始させる。
【0032】
A/D変換器17も通常モードから低電力モードでnビット変換から1ビット変換へ切り替えられる低電力機能を備える。すなわち、A/D変換器17は、後述するように、10ビットでA/D変換する10ビットモードと、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードを有しており、通常制御モードが設定されている場合、10ビットモードで動作し、低電力制御モードが設定されている場合、1ビットモードで動作する。即ち、A/D変換器17は、1ビットモードでは、比較器となる。
【0033】
また、デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作の停止後、出力動作を予め設定された時間だけ起動させる。
【0034】
具体的には、発信器15の発振信号は停止されており、検出器(1ビットA/D変換器17)により、電圧低下状態を検出した場合、即座にオンし、予め設定された時間だけ起動し、検出器(1ビットA/D変換器17)が反転(所定電圧以上を検出)で停止する。すなわち、デジタル制御回路13は、出力動作を予め設定された時間だけ起動し、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上となった場合、デジタル制御回路13は、出力動作を停止する。それまで、所定時間のオンオフを繰り返す。
【0035】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作の停止後、出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定する。即ち、連続回数を予め設定された回数以上繰り返した場合、通常モードに切り替わり、連続動作となる。
【0036】
第1の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10が備えるA/D変換器17の構成は、図2に示すように表される。
【0037】
A/D変換器17は、nビットで動作するnビットモードと、1ビットで動作する1ビットモードとを有し、低電力制御モードが設定されている場合に、1ビットモードでコンデンサC0とコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較する。
【0038】
具体的には、A/D変換器17は、図2に示すように、出力電圧VOUTを一時的に保存するBUF(buffer)51と、BUF51から供給された出力電圧VOUTを保存するS/H回路と、入力値を比較するコンパレータユニット55と、コンパレータユニット55から供給された比較結果を一時的に記憶すると共に、メモリ19から供給された閾電圧VTHをDAC(digital to analog converter)59へ供給するSAR(Successive Approximation Register)ロジック回路57と、デジタル信号をアナログ信号へ変換するDAC(digital to analog converter)59と、パルスカウントを発生させるPULSCNT61と、バイアス回路63とを備える。
【0039】
A/D変換器17は、10ビットでA/D変換する10ビットモードと、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードを有している。A/D変換器17は、通常制御モードが設定されている場合、10ビットモードで動作し、低電力制御モードが設定されている場合、1ビットモードで動作する。
【0040】
また、A/D変換器17は、通常制御モードが設定されている場合(10ビットモードで動作する場合)、コンパレータユニット55と、SARロジック回路57と、DAC59とを10回ループさせることにより、閾電圧VTHをA/D変換する。
【0041】
一方、低電力制御モードが設定されている場合(1ビットモードで動作する場合)、A/D変換器17は、コンパレータユニット55と、DAC59と、PULSCNT61と、バイアス回路63とを用いて、出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する。具体的には、閾電圧VTHがDAC59を介して、コンパレータユニット55に供給されると共に、出力電圧VOUTが、BUF51からコンパレータユニット55に供給される。
【0042】
コンパレータユニット55が、出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較し、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている場合は、デジタル制御回路13にオフ信号を供給し、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下である場合は、デジタル制御回路13にオン信号を供給する。
【0043】
このように、A/D変換器17は、10ビットでA/D変換する10ビットモードと、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードとを切り替えて使用するので、同じハードを共有してA/D変換機能と比較機能とを実現することになり、ハードウェア資源を節約している。
【0044】
(電力供給装置の動作)
次に、第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置10の動作を説明する。
【0045】
第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置10による処理手順を示したフローチャートは、図3に示すように表される。
【0046】
(a)図3に示すように、電力供給装置10は通電されると、まず、通常制御モードが設定される(ステップS101)。これにより、発振器15による発振器信号の出力動作や、ドライバ11のオン/オフ動作等の電力供給装置10が備える各構成部の各種動作が連続的に実行される。
【0047】
(b)次に、電圧値確認制御処理を実行する(ステップS103)。ここでは、通常制御モードが設定されているので、A/D変換器17は10ビットモードで電圧値を確認、即ち、アナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する。
【0048】
(c)次に、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されたか否かが判定される(ステップS105)。
【0049】
(d)ステップS105において、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されると、処理がステップS103に移行される。一方、ドライバ11の出力電流が検出されなくなる、即ち、電流値が“0”(A)まで低下すると、デジタル制御回路13は、制御モードとして、低電力制御モードを設定する(ステップS107)。これにより、以降、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが間欠的に動作されることになる。
【0050】
(e)まず、発振器15による発振器信号の出力動作が停止される(ステップS109)。
【0051】
(f)そして、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されたか否かが判定される(ステップS111)。
【0052】
(g)ステップS111において、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されなくなる、即ち、電流値が“0”(A)まで低下すると(NOの場合)、デジタル制御回路13は、ドライバ11のオン/オフ動作を停止する(ステップS113)。
【0053】
(h)そして、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えたか否かが判定される(ステップS115)。具体的には、低電力制御モードが設定されているので、A/D変換器17は、1ビットモードで動作し、コンパレータユニット55と、DAC59と、PULSCNT61と、バイアス回路63とを用いて、出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較し、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている場合は、デジタル制御回路13にオフ信号を供給し、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下である場合は、デジタル制御回路13にオン信号を供給する。
【0054】
(i)一方、ステップS111において、ドライバ11の出力電流が検出されると、ステップS113をパスして、処理がステップS115に移行される。
【0055】
(j)ステップS115において、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えていると判定されると(YESの場合)、即ち、デジタル制御回路13にオフ信号が供給されると、処理がステップS111に移行される。
【0056】
(k)一方、ステップS115において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下であると判定されると(NOの場合)、即ち、デジタル制御回路13にオン信号が供給されると、デジタル制御回路13は、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数に達したか否かを判定する(ステップS117)。ここで、連続繰返回数とは、低電力制御モードが設定されている場合において、間欠的に動作される発振器15による発振器信号の出力動作が、実行される回数の上限値であり、予め設定されている。即ち、設定された時間オンする回数が連続で繰り返される回数を意味する。この連続繰返回数により、低電力制御モードの設定期間が決定される。ここでは、連続繰返回数は、“3”回と設定されているとする。
【0057】
(l)ステップS117において、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数に達したと判定された場合(YESの場合)、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが開始される(ステップS119)。
【0058】
(m)一方、ステップS117において、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数を以下であると判定された場合(NOの場合)、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが開始された後(ステップS121)、設定時間が経過したか否かが判定される(ステップS123)。この設定時間は、低電力制御モードが設定されている場合において、発振器15による発振器信号の出力動作が開始されてから停止されるまでの時間であり、予め設定されている。
【0059】
第1の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10のタイミングチャートは、図4に示すように表される。
【0060】
図4に示すように、時刻t1において、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されなくなる、即ち、コンパレータ21からの出力信号がローレベルになると、t3時点において、通常制御モードから、低電圧制御モードへ切り替えられる。
【0061】
これにより、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが、停止される。ドライバ11のオン/オフ動作が停止されることにより、電力供給が停止するので、コンデンサCoから自然放電が開始する。
【0062】
また、時刻t5において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となり、A/D変換器17からの出力信号がローレベルになると、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが、開始される。これにより電力供給が再開するので、コンデンサCoの充電が開始する。
【0063】
時刻t5から所定時間が経過した時刻t7において、発振器15による発振器信号の出力動作が停止される。
【0064】
そして、時刻t9において、コンパレータ21からの出力信号がローレベルになり、かつ、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている、即ち、A/D変換器17からの出力信号がハイレベルであるので、ドライバ11のオン/オフ動作が停止される。
【0065】
ここでは、連続繰返回数は、“3”回と設定されているので、時刻t11において、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数に達したと判定され、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが、開始される。
【0066】
その後、時刻t13において、低電圧制御モードから通常制御モードへ切り替えられる。これにより、発振器15による発振器信号の出力動作や、ドライバ11のオン/オフ動作等の電力供給装置10が備える各構成部の各種動作が連続的に実行される。
【0067】
このように、第1の実施の形態に係る電力供給装置10によれば、通常制御モードと、低電力制御モードとを有し、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定されたモードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御するので、低電力制御モードで制御している期間について消費電力を低減することができる。例えば、通常モードにおける消費電力が、1(mA)であるとすると、低電力制御モードで制御することにより、100(μA)程度まで節電することができる。
【0068】
また、負荷16の消費電力が小さいときには、低電力制御モードにて制御を行い、負荷16の消費電力が大きいときには、通常制御モードにて制御を行うので、負荷16の消費電力に対する電力供給装置10の消費電力の割合を低減することができる。
【0069】
さらに、デジタル制御回路13により、各制御が実行されるので、負荷16の仕様に応じて、リップル電圧やスイッチング周波数等の各種設定を容易に調整することができる。
【0070】
本発明によれば、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御ステップと、一定周期毎にドライバ11のオン/オフ制御するための発振器信号を出力する発振ステップと、ドライバ11の出力電流を検出する電流検出ステップとを有し、デジタル制御ステップは、発振ステップによる発振器信号の出力動作とドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、発振ステップによる発振器信号の出力動作とドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有する電力供給方法を提供できる。
【0071】
また、本発明によれば、デジタル制御ステップは、電流検出ステップにより検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定されたモードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御する電力供給方法を提供できる。
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、デジタル設定による調整が可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することができる。
【0073】
(その他の実施の形態)
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0074】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の電力供給装置及び電力供給方法は、直流変換を行う装置において、内部に備えたスイッチング素子のオン/オフ制御によって負荷に供給する電力量を制御するスイッチング電源装置等の電力変換装置に適用される。
【符号の説明】
【0076】
10…電力供給装置
11…ドライバ
13…デジタル制御回路
15…発振器
16…負荷
17…A/D変換器(比較器)
19…メモリ
21…コンパレータ(電流検出器)
51…BUF
55…コンパレータユニット
57…SARロジック回路
59…DAC
61…PULSCNT
63…バイアス回路
100…電力供給システム
図1
図2
図3
図4