(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の炊飯器における上記攪拌体は、洗米時に開かれて米を攪拌するものである。したがって、上記撹拌は、操作部から入力設定された時間だけ一定の回転速度で行われる。これに対して、昨今の炊飯器においては、炊飯機能の他に、上記撹拌体の撹拌機能を利用して、例えば総菜やお菓子の調理機能を備えたものがある。その場合には、上記内鍋内に入れた材料の加熱に伴う上記撹拌体に掛かる撹拌負荷の変動に応じて、撹拌力や撹拌時間を変化させる必要が生ずる。
【0005】
しかしながら、上記従来の炊飯器においては、上記攪拌体による撹拌は、入力設定された時間だけ一定の回転速度で行われるだけである。したがって、材料の加熱に伴う上記撹拌体に掛かる撹拌負荷の変動に対応できず、撹拌し過ぎたり、逆に充分撹拌できない場合がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、撹拌の対象となる被加熱物の状態変化によって撹拌体の回転負荷が変動しても、上記撹拌体の回転数を目標回転数に維持できる攪拌機能を有する加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
被加熱物を収容する収容部と、
上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記被加熱物を攪拌する攪拌体と、
上記攪拌体を回転駆動する駆動部と、
上記撹拌体の回転数を検出する回転数検出部と、
上記回転数検出部によって検出された上記撹拌体の回転数が、予め設定された目標回転数になるように、上記駆動部の出力値と上記駆動部の駆動時間との何れか一方を選択して制御する回転制御部と
を備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、回転制御部によって、回転数検出部で検出された撹拌体の回転数が目標回転数になるように、上記撹拌体を回転駆動する駆動部の出力値と上記駆動部の駆動時間との何れか一方を選択して制御するようにしている。したがって、被加熱物を加熱しながら撹拌する場合において、加熱に伴って被加熱物の硬さや粘性が変化して撹拌体の回転負荷が変化しても、上記撹拌体の回転数が上記目標回転数に維持される。
【0009】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記回転制御部は、上記回転数検出部により検出された上記撹拌体の回転数が上記目標回転数よりも小さい場合には、先ず上記駆動部の駆動時間を選択して段階的に増加させ、上記駆動時間が最大値に至った後は、上記駆動部の出力値を選択して段階的に増加させるように制御する。
【0010】
この実施の形態によれば、撹拌開始直後であって、上記撹拌体の回転数が上記目標回転数よりも小さい場合には、先ず、上記駆動部の駆動時間を段階的に増加させようにしている。したがって、上記撹拌体の急激な回転力の増加によって被加熱物が変形したり、破損したり、飛散したりするのを防止することができる。
【0011】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記回転制御部は、上記回転数検出部により検出された上記撹拌体の回転数が上記目標回転数を超えている場合には、先ず上記駆動部の出力値を選択して段階的に減少させ、上記出力値が最小値に至った後は、上記駆動部の駆動時間を選択して段階的に減少させるように制御する。
【0012】
この実施の形態によれば、上記撹拌体に対する回転負荷が小さくなって回転数が上記目標回転数を超えた場合には、先ず、上記駆動部の出力値を段階的に減少させるようにしている。したがって、上記被加熱物に対する物理的影響が大きい出力値を先に下げることによって、穏やかな撹拌を行うことができる。
【0013】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
粒あんのレシピを含む複数の調理レシピを記憶している調理レシピ記憶部を備え、
上記回転制御部は、上記調理レシピ記憶部に記憶された粒あんのレシピを実行する場合には、水分が小豆に浸透するのを促進するように設定された、調理開始時の第1目標回転数と、小豆が割れて多少煮崩れし、且つ焦げ付かないように設定された、小豆に水分が浸透した後の第2目標回転数との二つの目標回転数に基づいて、上記撹拌体の回転数を制御するようになっている。
【0014】
この実施の形態によれば、上記粒あんのレシピを実行する場合には、調理開始時には、水分が小豆に浸透するのを促進するように設定された上記第1目標回転数になるように、上記撹拌体の回転数が制御される。そして、小豆に水分が浸透した後には、小豆が割れて多少煮崩れし、且つ焦げ付かないように設定された、第2目標回転数になるように、上記撹拌体の回転数が制御される。したがって、小豆が十分に水分を含んでふっくら柔らかく仕上がり、且つ、水分を含んだ小豆が程よく割れて多少煮崩れして、滑らかで舌触りの良い粒あんを作成することができる。
【0015】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
煮物のレシピを含む複数の調理レシピを記憶している調理レシピ記憶部を備え、
上記回転制御部は、上記調理レシピ記憶部に記憶された煮物のレシピを実行する場合には、上記撹拌体の回転数が上記目標回転数を超えた場合の上記駆動部の出力値を、上記撹拌体の回転数を上記目標回転数に向かって上昇させている場合の上記出力値よりも低くして、上記撹拌体の回転数が上記目標回転数を超えた以降には穏やかな撹拌を行うようになっている。
【0016】
この実施の形態によれば、上記煮物のレシピを実行する場合には、上記撹拌体の回転数が上記目標回転数を超えた以後の上記駆動部の出力値を、上記撹拌体の回転数が上記目標回転数を超える前の上記出力値よりも低くして、穏やかな撹拌を行うことができる。したがって、根菜類等の煮崩れを防止し、且つ焦げ付き防止することができる。
【0017】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
スタードクリームのレシピを含む複数の調理レシピを記憶している調理レシピ記憶部を備え、
上記回転制御部は、上記調理レシピ記憶部に記憶されたカスタードクリームのレシピを実行する場合には、上記撹拌体の回転数を上記目標回転数まで上昇させる際に、上記駆動部の駆動時間が最大値以上になると上記駆動部の出力値を上昇させて、パワフルな撹拌を行うようになっている。
【0018】
この実施の形態によれば、上記カスタードクリームのレシピを実行する場合には、上記撹拌体の回転数を上記目標回転数まで上昇させる際に、上記駆動部の駆動時間が最大値以上になると、上記駆動部の出力値を上昇させてパワフルな撹拌を行うので、火が通って固まって負荷が大きくなっても回転数が低下するのを防止でき、焦げ付きを防止可能な撹拌数を維持できる。
【0019】
また、この発明の加熱調理器は、
被加熱物を収容する収容部と、
上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記被加熱物を攪拌する攪拌体と、
上記攪拌体を回転駆動する駆動部と、
上記撹拌体に掛かる負荷に応じて、上記駆動部の出力を変更する制御部と
を備えたことを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、制御部により、攪拌体に掛かる負荷に応じて、上記撹拌体を回転駆動する駆動部の出力を変更するようにしている。したがって、被加熱物を加熱しながら撹拌する場合において、加熱に伴って被加熱物の硬さや粘性が変化して上記撹拌体に掛かる負荷が変化した場合に、上記撹拌体の回転数を上記負荷の変化に応じた回転数に変更することが可能になる。
【0021】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記制御部は、上記撹拌体に掛かる負荷が小さくなると、上記駆動部の回転数を小さくするように上記出力を変更する。
【0022】
この実施の形態によれば、上記撹拌体に掛かる負荷が小さくなって上記撹拌体の回転数が上昇しようとすると、上記駆動部の出力が変更されて、上記駆動部の回転数が低下される。こうして、上記撹拌体の回転数を一定の回転数に維持することが可能になる。
【0023】
また、1実施の形態の加熱調理器では、
上記制御部は、上記撹拌体に掛かる負荷が変化しても、上記撹拌体の回転数が一定になるように上記駆動部の出力を変更する。
【0024】
この実施の形態によれば、上記撹拌体に掛かる負荷が変化しても、上記駆動部の出力が変更されて、上記撹拌体の回転数が一定に維持される。したがって、被加熱物を加熱しながら撹拌する場合において、加熱に伴って被加熱物の硬さや粘性が変化して上記撹拌体に掛かる負荷が変化しても、一定の速度で上記被加熱物を撹拌することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
以上より明らかなように、この発明の加熱調理器は、回転制御部によって、回転数検出部で検出された撹拌体の回転数が目標回転数になるように、上記撹拌体を回転駆動する駆動部の出力値と上記駆動部の駆動時間との何れか一方を選択して制御するのでようにしている。したがって、被加熱物を加熱しながら撹拌する場合において、加熱に伴って被加熱物の硬さや粘性が変化して上記撹拌体の回転負荷が変化しても、上記撹拌体の回転数を上記目標回転数に維持することができる。
【0026】
すなわち、この発明によれば、メニューが「肉じゃが」の場合には、煮えてきて上記回転体の負荷が小さくなっても回転数が上昇することを防止して、必要以上の撹拌による煮崩れを防止できる。また、メニューが「カスタードクリーム」の場合には、火が通って固まって上記回転体の負荷が大きくなっても回転数が低下することを防止して、必要な撹拌数を維持できる。
【0027】
また、この発明の加熱調理器は、制御部によって、攪拌体に掛かる負荷に応じて、上記撹拌体を回転駆動する駆動部の出力を変更するようにしている。したがって、被加熱物を加熱しながら撹拌する場合において、加熱に伴って被加熱物の硬さや粘性が変化して上記撹拌体に掛かる負荷が変化した場合に、上記撹拌体の回転数を上記負荷の変化に応じた最適な回転数に変更することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態の加熱調理器としての炊飯器を斜め上方から見た概略斜視図である。
図1において、本炊飯器は、炊飯器本体1と、この炊飯器本体1に開閉可能に取り付けられた蓋体2とを備えている。そして、炊飯器本体1の前面には、蓋体2を開けるための開ボタン3が設けられている。一方、炊飯器本体1の後面からは、コードリール(図示せず)に引き出し可能に巻き付けられた電源コード4の先端部が突き出ている。
【0031】
上記蓋体2の上面には、炊き方や調理名などを表示する液晶表示部5と、複数の操作ボタン6,6,…とが設けられている。また、蓋体2の上面後部には蒸気排出口2aが設けられており、内鍋7(
図2参照)からの蒸気が排出される。
【0032】
図2は、上記炊飯器における蓋体2を開いた状態の概略斜視図である。
【0033】
上記炊飯器本体1には上記収容部としての内鍋7が収納されており、被加熱物としての米や水等が内鍋7内に入れられる。また、炊飯器本体1の上面の前部には被係止部8が設けられている。この被係止部8には、蓋体2の下面の前部に設けられた係止部9が解除可能に係止する。そして、炊飯器本体1内には蓋体2をロックするロック機構10が設けられており、このロック機構10が蓋体2をロックしていない場合に開ボタン3が押されると、被係止部8に対する係止部9の係止が解除される。一方、ロック機構10が蓋体2をロックしている場合には、開ボタン3が押されても係止部9の被係止部8への係止は解除されることはない。また、炊飯器本体1内には、内鍋7を誘導加熱するための誘導加熱コイル11が設置されている。尚、誘導加熱コイル11は加熱部の一例である。
【0034】
上記内鍋7は、例えばアルミニウム等の高熱伝導部材で形成され、その外面には加熱効率を向上させる例えばステンレス等の磁性体が貼り付けられる一方、内面には被加熱物の付着を防ぐためのフッ素樹脂がコーティングされている。
【0035】
上記蓋体2は、閉じられた際に内鍋7側に位置する内蓋12と、内鍋7側とは反対側に位置する外蓋13とを有している。外蓋13の後部における図中右側角部内には上記駆動部としての駆動モータ14が設置されている。また、外蓋13内の中央部には、炊飯器本体1と蓋体2との間に配置された回転体15を回転駆動するための連結軸(図示せず)が設置されており、駆動モータ14の回転駆動力がプーリ(図示せず)やベルト(図示せず)を介して伝達されて回転される。
【0036】
上記回転体15は、蓋体2に対して着脱可能に取り付けられている。すなわち、回転体15の蓋体2側からは回転軸19(
図3参照)の一端部が突出しており、この回転軸19の一端部が外蓋13の上記連結軸に着脱可能に連結される。こうして、回転体15は、蓋体2に対して着脱可能に取り付けられると共に、上記連結軸によって回転駆動されるようになっている。また、回転軸19は、回転体15に対しても回転可能になっている。
【0037】
上記回転体15は、角が丸まった長方形の形状を有しており、一側には第1攪拌アーム16aが取り付けられると共に、他側には第2攪拌アーム16bが取り付けられている。この第1,第2攪拌アーム16a,16bの夫々は、一端部が回転体15に回動可能に取り付けられており、他端部は上記一端部を中心に回動して回転体15から突出したり回転体15と並列したりするようになっている。そして、第1,第2攪拌アーム16a,16bの上記他端部が回転体15から突出した場合には内鍋7内の米等を撹拌する攪拌状態となり、回転体15と並列した場合には非攪拌状態となる。この攪拌状態と非攪拌状態とは、外蓋13の上記連結軸の回転方向によって切替可能になっている。
【0038】
すなわち、本実施の形態においては、上記回転体15,第1攪拌アーム16aおよび第2攪拌アーム16bによって、上記撹拌体を構成しているのである。
【0039】
図3は、上記内鍋7および回転体15を蓋体2側から見た概略斜視図であり、上記攪拌状態を示している。これに対して、
図2は、上記非攪拌状態を示している。
【0040】
上記回転体15は、回転体本体17と、この回転体本体17の内鍋7側の表面に着脱可能に取り付けられた回転体カバー18とを有している。回転体本体17における回転体カバー18で覆われている箇所には、第1,第2攪拌アーム16a,16bの駆動機構(図示せず)が取り付けられており、回転体本体17における蓋体2側の中央部からは、上記駆動機構に外蓋11の上記連結軸からの回転駆動力を伝達するための回転軸19の一端部が突出している。
【0041】
尚、
図3においては、上記第1,第2攪拌アーム16a,16bを視認できるように、炊飯器本体1および蓋体2の図示を省略している。
【0042】
図4は、上記炊飯器における制御ブロック図である。
図4においては、主要な構成部のみ図示し、他の構成部の図示は省略している。
【0043】
例えば上記蓋体2の外蓋13に制御部20が設けられている。この制御部20は、上記回転制御部を構成しており、操作ボタン6,ロック機構10,温度センサ22および回転検出センサ23からの信号に基づいて、液晶表示部5,駆動モータ14,誘導加熱コイル用インバータ回路21等を制御する。
【0044】
上記誘導加熱コイル用インバータ回路21は、炊飯器本体1内に設置されて、誘導加熱コイル11に交番磁界を発生させるものである。また、温度センサ22は、内鍋7の底部の外面に接触するように炊飯器本体1に取り付けられており、内鍋7の温度を表す信号を制御部20に送出する。また、回転検出センサ23は、駆動モータ14の回転を表す信号として制御部20に送出する。
【0045】
ここで、上記回転検出センサ23の構成は、回転する回転体15の回転を検出できる構成であればよく、特にその構成を限定するものではない。本実施の形態では駆動モータ14の主軸の回転を検出しているが、回転体15の回転を直接検出しても良い。その場合には、例えば、回転体15の回転軸19が連結される外蓋13内の上記連結軸に光反射面を設け、外蓋13内には光照射部と光受光部とを含む回転検出センサ23を設置する。そして、上記光照射部から出射されて上記光反射面で反射された光を上記光受光部で受光し、この受光信号を上記回転を表す信号として制御部20に送出するように構成する。
【0046】
上記制御部20は、CPU(中央演算処理装置)24,記憶部25,回転体回転数算出部26およびタイマ27等を含んでいる。
【0047】
上記CPU24は、記憶部25に記憶されているプログラムを読み出して実行したり、記憶部25や温度センサ22および回転検出センサ23等から入力されるデータに対し、二進加算,論理演算,増減および比較等の演算を行ったりする。
【0048】
上記記憶部25には、内鍋7内に入れる被加熱物の種類(例えば白米や玄米)、その被加熱物の仕上げ方(例えば固めや柔らかめ)、および、調理レシピ(例えばシチューやお菓子)等の、夫々に対応するプログラムが予め記憶されている。また、記憶部25には、CPU24が上記プログラムを実行する際の設定値や判定値が記憶されている。また、記憶部25は、CPU24が上記プログラムを実行したり上記演算を行ったりする際に、作業メモリとしても使用される。すなわち、上記レシピ記憶部を記憶部25で構成するのである。
【0049】
上記回転体回転数算出部26は、回転検出センサ23からの駆動モータ14の回転を表す信号と、駆動モータ14の回転を回転軸19に伝達する伝達機構の入力部と出力部との回転比と、タイマ27からの計時信号とに基づいて、回転体15の回転数を算出する。すなわち、本実施の形態においては、上記回転数検出部を、回転検出センサ23とタイマ27と回転体回転数算出部26とによって構成するのである。
【0050】
ところで、調理機器において、総菜やお菓子を調理する場合には、被加熱物を加熱しながら撹拌することが多い。その際に、加熱に伴って被加熱物の硬さや粘性が変化するために撹拌体の回転負荷が経時変化する。したがって、撹拌の回転数を一定に保つためには、回転負荷の変化に応じて撹拌モータの出力や駆動時間を変化させる必要がある。
【0051】
そこで、本実施の形態においては、上記CPU24によって、被加熱物を加熱しながら撹拌する調理を行う場合には、回転体15の回転数制御を行うのである。以下、CPU24によって行われる回転体15の回転数制御について説明する。
【0052】
図5は、上記CPU24の制御の下に実行される各種調理制御動作の中で行われる回転体の回転数制御処理動作のフローチャートである。上記調理制御動作において被加熱物の撹拌モードに移行すると、上記回転体の回転数制御処理動作がスタートする。
【0053】
ここで、本実施の形態においては、上記駆動モータ14は、切替設定される駆動時間で間欠的に駆動されるようになっている。尚、以下のフローチャートにおける「回転数」の単位は[rps]であり、「駆動時間」の単位は[sec]である。
【0054】
ステップS1で、上記記憶部25から、実行している調理制御動作のメニューに関する駆動モータ14の出力デューティPの初期値P0と、駆動モータ14の駆動時間tの初期値t0とが読み出される。ここで、記憶部25には、上記設定値として、初期値P0と初期値t0とがメニュー毎に記憶されている。ステップS2で、駆動モータ14駆動時の出力デューティPとして初期値P0が設定される。同様に、駆動時間tとして初期値t0が設定される。ステップS3で、設定された出力デューティPで駆動時間tだけ駆動モータ14が駆動される。
【0055】
上記第1,第2攪拌アーム16a,16bによる撹拌の開始直後は、上記回転体15の回転力が強いと、「肉じゃが」のように被加熱物が比較的大きな硬い複数の固形物が多い場合には、上記固形物の被加熱物が破損したり、被加熱物が内鍋7から飛び出したりする。また、「カスタードクリーム」および「粒あん」のように被加熱物が液体状の場合には、上記液体状の被加熱物が飛散したり、被加熱物が滑らかに固まるのが阻害されたりする。そこで、出力デューティPの初期値P0としては、なるべく低く設定するのが好ましい。
【0056】
ステップS4で、上記回転体回転数算出部26によって、回転検出センサ23からの回転を表す信号とタイマ27からの計時信号とに基づいて、回転体15の回転数Sが算出される。ステップS5で、算出された回転数Sが「1」以下であるか否かが判別される。その結果、1以下であればステップS10に進み、そうでなければステップS6に進む。ステップS6で、記憶部25から、実行している調理制御動作のメニューに関する回転体15の目標回転数S
0が読み出される。ここで、記憶部25には、上記設定値として、目標回転数S
0がメニュー毎に記憶されている。ステップS7で、上記ステップS4において算出された回転数Sが、上記ステップS6において読み出された目標回転数S
0よりも小さいか否かが判別される。その結果、目標回転数S
0よりも小さければステップS8に進み、そうでなければステップS11に進む。
【0057】
ステップS8で、設定されている上記駆動モータ14の駆動時間tが、「Δt1」だけインクリメントされる。ステップS9で、更新された駆動モータ14の駆動時間tが、最大値t
max以上であるか否かが判別される。その結果、t
max以上であればステップS10に進む一方、そうでなければ上記ステップS3にリターンして、更新された駆動時間tで駆動モータ14が駆動される。
【0058】
こうして、上記駆動モータ14の始動時には、低い出力(出力デューティP)で、先ず駆動時間tを順次長くして駆動モータ14の回転数を上昇させるのである。そして、駆動時間tが最大値t
max以上になっても回転体15の回転数が目標回転数S
0に至らない場合には、ステップS10に進むのである。
【0059】
ステップS10で、設定されている上記駆動モータ14の出力デューティPが「ΔP1」だけインクリメントされる。そうした後、上記ステップS3にリターンして、更新された出力デューティPで駆動モータ14が駆動される。
【0060】
こうして、上記ステップS7において、回転数Sが目標回転数S
0以上であると判別されるとステップS11に進む。
【0061】
ステップS11で、算出された回転数Sが、目標回転数S
0であるか否かが判別される。その結果、目標回転数S
0であれば上記ステップS3にリターンして、目標回転数S
0が維持される。一方、目標回転数S
0でなければ(つまり、目標回転数S
0より大きければ)ステップS12に進む。
【0062】
ステップS12で、設定されている上記駆動モータ14の出力デューティPが「ΔP2」だけデクリメントされる。ステップS13で、更新された駆動モータ14の出力デューティPが、最小値P
min以下であるか否かが判別される。その結果、P
min以下であればステップS14に進む一方、そうでなければ上記ステップS3にリターンして、更新された出力デューティPで駆動モータ14が駆動される。
【0063】
こうして、上記回転体15に対する負荷が小さくなり、回転体15の回転数が上がって目標回転数S
0を超えると、先ず出力(出力デューティP)を順次小さくして駆動モータ14の回転数を下降させるのである。そして、出力デューティPが最小値P
min以下になっても回転体15の回転数が目標回転数S
0に至らない場合には、ステップS14に進むのである。
【0064】
ステップS14で、設定されている上記駆動モータ14の駆動時間tが、「Δt2」だけデンクリメントされる。そうした後、上記ステップS3にリターンして、更新された駆動時間tで駆動モータ14が駆動される。
【0065】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記第1,第2攪拌アーム16a,16bの回転時に、加熱温度の上昇に伴う被加熱物の物性や形状の変化によって回転体15に掛かる負荷が変動しても、駆動モータ14の出力値あるいは駆動時間を変更して、回転体15の回転数がメニュー毎に定められた目標回転数S
0を維持するように制御している。したがって、メニューが「肉じゃが」の場合には、煮えてきて負荷が小さくなっても回転数が上昇することを防止して、必要以上の撹拌による煮崩れを防止できる。また、メニューが「カスタードクリーム」の場合には、火が通って固まって負荷が大きくなっても回転数が低下することを防止して、必要な撹拌数を維持できる。また、メニューが「粒あん」の場合には、火が通って小豆が多少に崩れて負荷が大きくなっても回転数が低下することを防止して、焦げ付きを防止できるのである。
【0066】
その場合、撹拌開始直後における上記駆動モータ14の出力デューティPの初期値P0は、本実施の形態においては低く設定されている。したがって、硬い複数の固形物である被加熱物が、互いに衝突して破損したり、内鍋7から飛び出したりするのを防止できる。あるいは、液体状の被加熱物が飛散したり、滑らかに固まることが阻害されたりするのを防止できる。
【0067】
また、撹拌開始直後において、上記回転体15の回転数を目標回転数S
0まで上昇させる場合には、先ず、駆動時間tを順次長くして駆動モータ14の回転数を上昇させるようにしている。したがって、急激な出力(出力デューティP)の変化によって被加熱物が変形したり、破損したり、飛散したりするのを防止できる。さらに、上記駆動時間tが最大値t
max以上になると、駆動モータ14の出力デューティPを上昇させるようにしている。したがって、上記「カスタードクリーム」の場合に、火が通って固まって負荷が大きくなってもパワフルな回転を行って回転数が低下するのを防止でき、焦げ付きを防止可能な撹拌数を維持できる。
【0068】
これに対して、負荷が小さくなって回転体15の回転数が目標回転数S
0よりも上昇した場合には、先ず、出力デューティPを順次小さくして駆動モータ14の回転数を下降させるようにしている。したがって、被加熱物に対する物理的影響が駆動時間tよりも大きい出力デューティPを先に下げることによって、穏やかな撹拌を行うことができるのである。その場合、回転体15の回転数を目標回転数S
0に向かって上昇させている場合の出力デューティPよりも低い出力デューティPとなるため、特に、煮物の場合には、穏やかな撹拌を行うことによって、根菜類等の煮崩れを防止し、且つ焦げ付き防止することができる。
【0069】
尚、上記実施の形態においては、この発明を、炊飯器を例に上げて説明している。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、撹拌装置を有する加熱調理器であれば適用することができる。例えば、撹拌装置を設けたレンジやオーブンレンジ等にも適用可能である。
【0070】
また、上記実施の形態においては、上記制御部の記憶部25には、メニュー毎に一つの目標回転数S
0を記憶している。しかしながら、この発明はこれに限るものではなく、被加熱物の加熱による状態変化が大きい場合には、状態変化に応じて最適な目標回転数を複数設定して、これらを記憶部25に記憶しても良い。そうすることによってよりきめ細かな撹拌を実現でき、特にお菓子作りの場合には好ましい。例えば、上記「粒あん」の場合には、小豆に水分を含ませることによってふっくら柔らかく仕上がる。そのために、調理開始時の第1目標回転数S
00は、水分が小豆に浸透するの促進するように設定し、小豆が十分に水分を吸収した後の第2目標回転数S
01は、小豆が割れて多少煮崩れ、且つ焦げ付かないように設定するのがよい。