(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーザ発振器から発振されたレーザ光を集光する集光レンズと、レーザ加工位置から飛散するスパッタ等から前記集光レンズを保護する保護ガラスと、レーザ加工位置を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像位置を照明する照明手段とを備えたレーザ加工ヘッドであって、前記集光レンズと前記保護ガラスとの間に、リング状の照明手段を備え、前記保護ガラスの上方に備えた前記撮像手段に対する、前記照明手段からの照明光の直接入射及び前記保護ガラスからの反射光の入射を防止するために、リング状の照明手段の内側に遮光部材を備え、前記遮光部材は筒状であって、リング状の前記照明手段からの照明光をレーザ加工ヘッドの先端側へ反射するための光反射面を、前記遮光部材の外周面に備えていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るレーザ加工ヘッド1は、産業用ロボット(図示省略)におけるロボットアームの先端部に備えられているものである。なお、前記ロボットアームに対するレーザ加工ヘッド1の取付け構造は一般的な構成であってよいものであるから、ロボットアームに対するレーザ加工ヘッド1の取付け構造についての説明は省略する。
【0012】
前記レーザ加工ヘッド1には、ボックス本体29が備えられており、このボックス本体29の上側にはボルト等の固定具によって蓋部材31が取付けてある。そして、この蓋部材31の上部には筒状のレンズホルダ33が一体的に立設してあり、このレンズホルダ33の上端部には、光ファイバ35の端部を保持した光ファイバホルダ37が着脱可能に備えられている。そして、前記レンズホルダ33内には、前記光ファイバ35の出射端から出射されたレーザ光LBを平行光線化するコリメーションレンズ39が備えられている。
【0013】
前記ボックス本体29における底部29Bの下面には、ボルト等のごとき固定具によって軸受ボックス41が一体的に取付けてあり、この軸受ボックス41内には、筒状の回転体43がレーザ光LBの光軸回りに回転自在に備えられている。この回転体43は、後述するように、モータによって回転駆動されるものである。
【0014】
前記軸受ボックス41の下部にはボルト等のごとき固定具によってハウジングボックス45が一体的に備えられている。そして、このハウジングボックス45内には、前記コリメーションレンズ39によって平行光線化されたレーザ光LBを集光してワークWへ照射する集光レンズ47がレンズホルダ49を介して内装されている。
【0015】
前記集光レンズ47によってレーザ光LBを集光してワークWに照射するとき、レーザ光LBの光軸を屈折偏心させると共に回転するために、ウエッジ付ガラスが前記ボックス本体29内に備えられている。より詳細には、前記ボックス本体29は、
図3に示すように、環状の周壁部51を備えた箱状に形成してある。そして、このボックス本体29の前記底部29Bであって、前記レーザ光LBの光軸に一致する部分に上下方向の貫通穴53が形成してあり、この貫通穴53の部分に、筒状の前記回転体43が回転自在に備えられている。
【0016】
そして、前記回転体43の上端部には、前記ボックス本体29内において回転自在なリング板等のごとき回転部材55がボルト等のごとき固定具によって一体的に固定してある。したがって、前記回転部材55は回転体43の一部と見なすことができるものである。前記回転部材55には、
図3に示すように、放射外方向へ突出した複数の突出部57が備えられており、上記各突出部57の間には凹部59が備えられている。そして、前記回転体43を回転駆動するために、レーザ加工ヘッド1の適宜位置に備えたモータ61の駆動プーリ63に掛回したエンドレスベルト65が前記回転体43に掛回してある。したがって、前記モータ61を駆動することにより、前記回転体43を回転駆動することができるものである。
【0017】
前記ボックス本体29における前記蓋部材31には、モータなどのごとき回転用アクチュエータ67(
図1参照)が装着してあり、この回転用アクチュエータ67における回動軸69(
図3参照)には支持アーム71の基端部側が一体的に固定してある。前記支持アーム71の先端側は、前記回動軸69を回動することにより、前記回転部材55に対応した位置へ位置決め自在、かつ回転部材55に対応した位置から退避自在な構成である。
【0018】
換言すれば、前記支持アーム71の先端側は、レーザ光LBの光路に対して出入自在な構成である。そして、前記支持アーム71の先端側に形成した貫通穴の部分に回転自在に支持されたリング状のガラスホルダ73には、前記レーザ光LBの光軸を屈折偏心させるためのウエッジ付ガラス75が備えられている。このウエッジ付ガラス75は、上面又は下面の一方の面は光軸に対して傾斜した面(ウエッジを付けた面)に形成してあり、他方の面は、光軸に垂直な平面に形成してある。
【0019】
したがって、前記ウエッジ付ガラス75にレーザ光LBが入射されると、レーザ光LBの光軸は屈折偏心されるものである。よって、前記ウエッジ付ガラス75を回転すると、レーザ光LBの光軸は偏心回転されることになる。
【0020】
図3に示すように、レーザ光LBの光路から前記ウエッジ付ガラス75が退避した位置、すなわち前記支持アーム71がストッパ77に当接し、前記ウエッジ付ガラス75が前記回転部材55から離反した位置にあるときは、前記コリメーションレンズ39によって平行光線化されたレーザ光LBは、前記回転部材55を通過して、前記集光レンズ47に直接入射される。したがって、光ファイバ35の出射端から出射されたレーザ光LBは、コリメーションレンズ39によって平行光線化されて直進し、前記集光レンズ47によって集光されてワークWへ照射される。よって、ワークWのレーザ切断加工が行われることになる。
【0021】
図3に示すごとき状態から、支持アーム71を時計回り方向に回動して、支持アーム71の先端側をレーザ光LBの光路内に進入すると、支持アーム71の先端側に備えられたガラスホルダ73は前記回転部材55に重なるように位置決めされる(
図4参照)。上述のように、前記回転部材55とガラスホルダ73とが重なるように位置決めしたとき、当該回転部材55とガラスホルダ73とを一体的に回転するために、前記ガラスホルダ73には、前記回転部材55に備えた前記凹部59に対して係合離脱自在な係合部材79が備えられている。(
図3,5参照)
したがって、前記凹部59に前記係合部材79が係合した状態にあるときに、前記回転部材55を回転すると、係合部材79を介してガラスホルダ73が回転されることになる。よって、前記ガラスホルダ73に備えたウエッジ付ガラス75を透過することによって光軸が屈折偏心されたレーザ光LBは偏心回動されることになる。このように、レーザ光LBの光軸を屈折偏心させて、偏心回動することにより、ワークのレーザ溶接が容易に行われ得るものである。
【0022】
ところで、前記回転部材55と前記係合部材79との位置的関係は相対的なものであるから、前記ガラスホルダ73に回転部材55を備えて、回転体43に係合部材79を備えた構成とすることも可能なものである。なお、前記説明においては、回転部材55に複数の突出部57を備えることによって凹部59を備えた場合について説明した。しかし、前記突出部57は1個であってもよいものである。この場合、前記係合部材79が突出部57に当接することによって一体的に押圧回転されることになるので、前記係合部材79は一種の当接部材又は被押圧部材と称することもできるものである。
【0023】
前述のごとき説明より理解されるように、本実施形態に係るレーザ加工ヘッド1に備えられた支持アーム71の先端側は、レーザ光LBの光路に対して出入自在である。そして、この支持アーム71の先端側に、ウエッジ付ガラス75を回転自在に備えた構成であるから、本実施形態に係るレーザ加工ヘッド1は、レーザ切断加工とレーザ溶接の両方に使用することができるものである。そして、前記ウエッジ付ガラス75をレーザ光LBの光路に位置決めしたときには、コリメーションレンズ39と集光レンズ47との間であって、前記コリメーションレンズ39によってレーザ光LBが平行光線化された領域内であるから、レーザ光LBの径は大径である。
【0024】
したがって、レーザ光LBがファイバーレーザであって高出力のレーザ光LBであっても、前記ウエッジ付ガラス75に入射されるレーザ光LBは大径であってエネルギー密度は小さなものであり、ウエッジ付ガラス75を損傷するようなことがないものである。また、コリメーションレンズ39によって平行光線化されたレーザ光LB内の領域であっても、ウエッジ付ガラス75は両面が非平行なガラスであるから、レーザ光LBの光軸を効果的に屈折偏心させることができるものである。
【0025】
前記レーザ加工ヘッド1において、前記ハウジングボックス45の側面にはレーザ加工位置の撮像を行うCCDカメラ等のごとき撮像手段81が備えられている。そして、前記ハウジングボックス内において前記集光レンズ47より下方位置であって、前記CCDカメラ81に対応した位置には、ワークWのレーザ加工位置からの光を前記CCDカメラ81方向へ反射する反射鏡83が備えられている。上記反射鏡83は、レーザ光LBの光路に対して出入自在に備えられている。
【0026】
すなわち、前記ハウジングボックス45には、レーザ光LBの光軸に対して直交する方向(
図1,2において紙面に対して垂直な方向)であって、前記ハウジングボックス45に対して出入自在なミラー出入用スライダ85が備えられており、このミラー出入用スライダ85に前記反射鏡83が傾斜して備えられている。なお、前記ミラー出入用スライダ85は、例えばリニアモータ、流体圧シリンダなどのごとき適宜のリニアアクチュエータ(図示省略)の作動によって往復動されるものである。
【0027】
上記構成より理解されるように、前記反射鏡83は、ワークWへレーザ光LBを照射してレーザ加工を行うときには、レーザ光LBの光路から退避されている。そして、前記CCDカメラ81によって加工位置を撮像するときに、前記CCDカメラ81に対応するように、レーザ光LBの光路内に移動位置決めされるものである。したがって、レーザ光LBを照射してレーザ加工を行った部分を、CCDカメラ81によって撮像することができ、レーザ加工を行った後のレーザ加工状態を観察することができるものである。
【0028】
前記ハウジングボックス45の下側には、前記CCDカメラ81による撮像位置を照明する照明手段87が備えられている。そして、この照明手段87の下側には、レーザ光LBの照射位置から飛散するスパッタ等から前記集光レンズ47を保護する保護ガラス89が備えられている。より詳細には、前記ハウジングボックス45の下面には、環状の照明ハウジング91がボルト等のごとき固定具によって一体的に取付けられている。
【0029】
前記照明ハウジング91内には、例えばLEDなどのごとき複数の点光源93を同一円上に備えたリング状光源95が備えられている。そして、前記各点光源93から中心に向かって照射される照明光が前記反射鏡83へ直接入射することを防止するために、前記照明ハウジング91には遮光部材97が備えられている。上記遮光部材97は、下側が小径となるテーパ状の筒体に形成してあって前記リング状光源95の内側に備えられている。
【0030】
筒状の前記遮光部材97の下端部は前記各点光源93よりも下側に位置してある。そして、前記遮光部材97の外周面には、前記点光源93からの照明光をレーザ加工ヘッドの先端側(
図1,2において下方向)へ反射する環状の光反射面99が備えられている。したがって、各点光源93からの照明光は、遮光部材97の光反射面99によって下方向(レーザ加工ヘッドの先端側)のみへ反射されるものである。
【0031】
前記保護ガラス89は、前記照明ハウジング91の下面に着脱可能に備えられたリング状のガラスホルダ101に保持され、かつ前記遮光部材97の下端部に近接して配置されている。そして、前記ガラスホルダ101には、前記保護ガラス89の汚れを検出するための汚れ検出手段としての光ファイバ103が備えられている。
【0032】
したがって、前記各点光源93からの照明光が保護ガラス89へ照射され、保護ガラス89に付着している汚れ物質の部分において反射されると、保護ガラス89内を伝搬して前記光ファイバ103の端部に入射されることになる。よって、保護ガラス89に対する汚れ物質の付着量が多くなり、前記光ファイバ103に接続した光センサの検出値が予め設定した基準値より大きくなると、保護ガラス89の交換が行われるものである。
【0033】
既に理解されるように、前記CCDカメラ81によって加工位置を撮像すべく、各点光源93によって加工位置を照明すると、加工位置からの反射光は、光路中に位置決めされている反射鏡83によってCCDカメラ81方向へ反射され、加工位置の撮像が行われることになる。この際、各点光源93からの照射光は遮光部材97の外周面に備えた環状の光反射面99によって下方向へ反射され、前記保護ガラス89を透過してワークWの加工位置へ照射されることになる。
【0034】
上述のように、ワークWの加工位置を照明するとき、照明光の一部は前記保護ガラス89の上面でもって反射される。しかし、前記遮光部材97の下端部(先端部)と前記保護ガラス89は近接してあるので、前記保護ガラス89の上面での反射光が前記反射鏡83へ入射されることが抑制される。したがって、CCDカメラ81による撮像時に、保護ガラス89の上面での反射光が入射されて、画面が白くぼやける現象、すなわちハレーションを防止でき、ワークWの加工位置を鮮明に撮像することができるものである。
【0035】
前述のごとく、ワークWの加工位置を照明する際、各点光源93の照明光が保護ガラス89を透過するとき、保護ガラス89にスパッタ等の汚れ物質が付着していると、この汚れ物質部分で乱反射された反射光の一部が保護ガラス89内を伝搬し、光ファイバ103の端部に入射されることにより、保護ガラス89の汚れを検出することができるものである。
【0036】
レーザ加工位置から飛散するスパッタ等の汚れ物質が前記保護ガラス89に付着することを防止するために、前記保護ガラス89の下側には、保護ガラス89に付着する傾向にある汚染物質を吹き飛ばすためのエアー噴出ハウジング105(
図1参照)が備えられており、エアー噴出ハウジング105の下部に、レーザノズル107が着脱交換可能に備えられている。
【0037】
より詳細には、前記エアー噴出ハウジング105は、例えばボルト等のごとき取付具を介してレーザ加工ヘッド1に備えられているものであり、このエアー噴出ハウジング105は、レーザ光LBの光軸に対して直交する方向(
図1において右側方向)に開口した開口部109を備えた構成である。そして、前記エアー噴出ハウジング105の下部には、ワークWの加工部から前記集光レンズ47方向へ飛散する汚染物質を、前記開口部109に沿って外部へ吹き飛ばすためのエアー噴出部111が備えられている。
【0038】
したがって、レーザ光LBをワークWへ照射してレーザ加工を行うとき、レーザ加工位置から集光レンズ47方向へ飛散したスパッタ等の汚染物質は、エアー噴出部111から吹出されるエアーによって外部へ吹き飛ばされる。よって、保護ガラス89に付着する汚染物質を抑制することができるものである。
【0039】
前記説明より理解されるように、前記構成によれば、レーザ加工ヘッド1に備えたCCDカメラ81によってレーザ加工位置を撮像する際、各点光源93によって前記レーザ加工位置を照明するとき、保護ガラス89からの反射光によってハレーションを生じることが防止され、レーザ加工位置を鮮明に撮像することができるものである。また、前記構成によれば、保護ガラス89の汚れを検出することができると共に、保護ガラス89に対する汚れ物質の付着を抑制することができるものである。