(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018851
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】内視鏡の照明光学系
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20161020BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
A61B1/00 300T
A61B1/00 300Y
A61B1/00 300U
G02B23/26 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-200603(P2012-200603)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-54369(P2014-54369A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏明
【審査官】
▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−122662(JP,A)
【文献】
特開昭61−267726(JP,A)
【文献】
特開昭61−244322(JP,A)
【文献】
特開2003−319903(JP,A)
【文献】
特開2010−011916(JP,A)
【文献】
特開平11−326786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 − 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察光学系を挟んで配置され先端の出射端面から照明光を出射させる一対のライトガイドと、上記一対のライトガイドから出射する光を透過させる透明部材からなる配光部材とを備え、
上記配光部材と上記一対のライトガイドの上記出射端面は、互いの位置が変化しない固定状態で取り付けられること;
上記配光部材は、上記一対のライトガイドの上記出射端面に対向し、該一対のライトガイドからそれぞれ出射する光束を上記配光部材内部で一旦集光させる正のパワーを有する凸レンズ部を備えること;及び
上記凸レンズ部は、上記配光部材を上記固定状態で取り付けたときに、上記一対のライトガイドのそれぞれから出射される光束を、上記観察光学系の視野範囲において、上記観察光学系の光軸近傍で該観察光学系の視野角よりも大きく、かつ上記視野範囲の周縁側で上記視野角に略一致する配光角で、上記配光部材の出射端面から出射させる配光特性を有していること;
を特徴とする内視鏡の照明光学系。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡の照明光学系において、上記凸レンズ部は、上記一対のライトガイドのそれぞれの上記出射端面に対向する面として、上記観察光学系の光軸と上記一対のライトガイドとを含む断面上で上記観察光学系の光軸に近い側と遠い側が対称形状をなす凸面を有し、上記断面上における上記凸レンズ部の中心が、上記ライトガイドの中心に対して上記観察光学系の光軸に近い側に偏心して位置する内視鏡の照明光学系。
【請求項3】
請求項1記載の内視鏡の照明光学系において、上記凸レンズ部は、上記一対のライトガイドのそれぞれの上記出射端面に対向する面として、上記観察光学系の光軸と上記一対のライトガイドとを含む断面上で上記観察光学系の光軸に近い側と遠い側が非対称形状となる非球面を有し、該非球面は、上記断面上で上記観察光学系の光軸から遠い側の正のパワーが、上記観察光学系の光軸に近い側の正のパワーよりも強い内視鏡の照明光学系。
【請求項4】
請求項1記載の内視鏡の照明光学系において、上記凸レンズ部は、上記一対のライトガイドのそれぞれの上記出射端面に対向する面として、上記観察光学系の光軸と上記一対のライトガイドとを含む断面に沿って並列する複数の凸面を有し、上記断面上で上記観察光学系の光軸から遠い位置にある凸面の方が、上記観察光学系の光軸に近い位置にある凸面よりも正のパワーが強い内視鏡の照明光学系。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の内視鏡の照明光学系において、上記配光部材は、上記観察光学系の光路前方に光軸方向への貫通部を有し、上記凸レンズ部は上記貫通部を環状に囲んで形成されている内視鏡の照明光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に設けられる照明光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子内視鏡では横長のアスペクト比を有する撮像素子に対応させるべく、内視鏡の挿入部の先端に設けられた照明用の光学系における照明の範囲を横長にすることを求められる場合がある。横長の照明範囲を得るために、観察光学系(対物光学系)の両側に一対のライトガイドを配し、それぞれのライトガイドから出射する照明光をレンズを用いて配光するものが知られている。例えば、特許文献1や特許文献2の内視鏡では、観察光学系の両側(左右)に、上下方向に長い出射端面形状のライトガイドを設け、これらのライトガイドの出射端面を透明部材からなる先端部で覆っている。先端部はライトガイドの出射端面に対向する部分に光を拡散させるための凹面を有しており、視野範囲の周辺光量の不足を防ぐべく、集光効果を有する斜面部が先端部の出射側の外周縁部に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-207529号公報
【特許文献2】特許第4704386号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2の照明光学系は、ライトガイドから先端部に入射する光が最初に凹面によって拡散される発散光学系であるため、両側のライトガイドの配置間隔に対して先端部の有効径が大きくなりがちである。また、有効径の大きい先端部の周縁部に集光用の斜面部が形成されているため、この周縁部に粘膜などの異物が付着しやすく、異物が付着した場合に配光に悪影響が生じるおそれがある。
【0005】
また、観察光学系と照明光学系の位置が異なることが原因で、観察対象に近接した場合に視野範囲の一部への配光が不足することがある。例えば、ライトガイドを観察光学系の両側に配置した構成の場合、観察対象への近接状態で視野範囲の中心部で照明光量が不足するおそれがあるため、その対策が求められる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、有効径が小さく、視野範囲の全体に亘って適切な配光分布を得ることが可能な内視鏡の照明光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、観察光学系を挟んで配置され先端の出射端面から照明光を出射させる一対のライトガイドと、この一対のライトガイドから出射する光を透過させる透明部材からなる配光部材とを備えた内視鏡の照明光学系において、以下のように構成したことを特徴とする。
配光部材と一対のライトガイドの出射端面は、互いの位置が変化しない固定状態で取り付けられる。配光部材は、一対のライトガイドの出射端面に対向し、該一対のライトガイドからそれぞれ出射する光束を配光部材内部で一旦集光させる正のパワーを有する凸レンズ部を備える。配光部材の凸レンズ部は、
配光部材を固定状態で取り付けたときに、一対のライトガイドのそれぞれから出射される光束を、観察光学系の視野範囲において、観察光学系の光軸近傍で該観察光学系の視野角よりも大きく、かつ視野範囲の周縁側で視野角に略一致する配光角で、配光部材の出射
端面から出射させる配光特性を有している。
【0008】
配光部材の凸レンズ部の具体的構成として、各ライトガイドの出射
端面に対向する面を、観察光学系の光軸と一対のライトガイドとを含む断面上で観察光学系の光軸に近い側と遠い側が対称形状をなす凸面に設定した上で、この断面上における凸レンズ部の中心が、ライトガイドの中心に対して観察光学系の光軸に近い側に偏心して位置している形態を選択可能である。
【0009】
配光部材の凸レンズ部の異なる形態として、各ライトガイドの出射
端面に対向する面を、観察光学系の光軸と一対のライトガイドとを含む断面上で、観察光学系の光軸に近い側と遠い側が非対称形状となる非球面に設定し、該非球面における観察光学系の光軸から遠い側の正のパワーを、観察光学系の光軸に近い側の正のパワーよりも強くさせることも可能である。
【0010】
さらに別の態様として、凸レンズ部が、各ライトガイドの出射
端面に対向する面として、観察光学系の光軸と一対のライトガイドとを含む断面に沿って並列する複数の凸面を有し、観察光学系の光軸から遠い位置にある凸面の方が、観察光学系の光軸に近い位置にある凸面よりも強い正のパワーを有する構成にしてもよい。
【0011】
配光部材には観察光学系の光路前方に位置する光軸方向への貫通部を形成するとよい。この場合、凸レンズ部は貫通部を環状に囲む形状にすると形成が容易である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡の照明光学系によると、ライトガイドから出射された光束が配光部材の凸レンズ部によって一旦集光されるため、配光部材の有効径を小さくすることができる。また、配光部材の凸レンズ部は、
配光部材の出射
端面から出射される光束の配光角を、観察光学系の光軸に近い視野範囲の中心側で視野角よりも大きくし、視野範囲の周縁側で視野角に略一致させる配光特性を有しているため、観察対象に近接したときにも視野範囲の中心部での光量不足が起こりにくく、全体に亘って適切な配光分布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す観察光学系と照明光学系の断面図である。
【
図2】
図1の照明光学系を構成するライトガイドと観察光学系の位置関係を示す正面図である。
【
図3】
図1の照明光学系を構成するカバーレンズの正面図である。
【
図4】
図1の照明光学系による配光分布を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態を示す観察光学系と照明光学系の断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態を示す観察光学系と照明光学系の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は内視鏡の挿入部先端における観察光学系10と照明光学系20を示したものである。観察光学系10は円筒状の支持体12内に保持された対物レンズ群14と撮像素子16からなる。対物レンズ群14を通して被写体像が撮像素子16の撮像面上に結ばれ、光電変換により得られる画像信号が不図示の画像処理装置に送られて画像が表示、記録される。図中のO1は観察光学系10(対物レンズ群14)の光軸である。撮像素子16は横長矩形の撮像面を有しており、各図における矢印L方向が撮像素子16の撮像面の長辺方向、矢印Sが短辺方向である。
【0015】
照明光学系20は、構成要素として、一対のライトガイド22、24とカバーレンズ(配光部材)26を有する。
図2に示すように、ライトガイド22とライトガイド24は撮像素子16の長辺方向に観察光学系10を挟んで位置しており、ライトガイド22とライトガイド24のそれぞれの出射端面は観察光学系10の光軸O1を中心として対称な形状になっている。詳しくは、ライトガイド22とライトガイド24の出射端面はそれぞれ、光軸O1を中心とする円弧状辺22a、24aと、円弧状辺22a、24aの両端を結ぶ弦状辺22b、24bに囲まれる非円形をなす。弦状辺22b、24bは、観察光学系10を挟んで互いに平行な関係で位置している。
一対のライトガイド22、24とカバーレンズ26は、各ライトガイド22、24の出射端面とカバーレンズ26の互いの位置関係が変化しない固定状態で挿入部先端に取り付けられる。
【0016】
カバーレンズ26は透明部材で形成されており、
図3に示すように、光軸方向に貫通する円形の貫通穴28を中心に有する円環状の本体部30を有し、
図1に示すように、本体部30の一方の端面(挿入部の先端を向く側と反対の端面)上に凸レンズ部32が形成されている。本体部30は、挿入部先端に設けた図示を省略する支持部材に保持され、該保持状態で支持体12が貫通穴28に挿入される。つまり、本体部30は観察光学系10の前方を塞がない形状になっている。また、支持部材に本体部30を保持させた状態で、凸レンズ部32がライトガイド22とライトガイド24の出射端面に対向して位置する。凸レンズ部32は観察光学系10の光軸O1を中心とする円環状の領域に形成されている。
図3において、凸レンズ部32のうちライトガイド22とライトガイド24の出射端面に対向して位置する部分を、破線のハッチングを付して示す。なお、ライトガイド22とライトガイド24の出射端面から外れた位置では凸レンズ部32を省略することも可能である。
【0017】
図1に示すように、凸レンズ部32は、ライトガイド22やライトガイド24の出射端面に対向する面を凸面34とした凸レンズである。ライトガイド22やライトガイド24から出射される光束は、凸面34を通る際に屈折されてカバーレンズ26内で一旦集光され、発散される。カバーレンズ26において凸レンズ部32と反対側に形成された出射端面36は光軸O1と略直交する平面である。
【0018】
図1は、撮像素子16の撮像面の長手方向Lと平行で観察光学系10の光軸O1を含む断面位置を示しており、
図1に示す22K、24Kはそれぞれ、当該断面上における、光軸O1と直交する面内でのライトガイド22とライトガイド24の中心を示している。また、
図1に示すO2は、当該断面上における、光軸O1と直交する面内での凸レンズ部32の中心を示している。凸レンズ部32は、中心O2に関して、観察光学系10の光軸O1に近い側と遠い側が対称形状の凸面34を有している。凸レンズ部32は、ライトガイド22の中心22Kやライトガイド24の中心24Kよりも自身の中心O2が観察光学系10の光軸O1に近い側に位置するように偏心している。つまり、凸レンズ部32が、ライトガイド22やライトガイド24の出射端面よりも全体的に観察光学系10に近い側に偏心して位置している。
【0019】
内視鏡では一般に、観察光学系の視野角に一致させて照明光学系の配光角が設定されている。観察光学系によって観察される対象物の距離がある程度離れている場合は、照明の範囲が視野範囲をカバーする。しかし、観察光学系の両側に一対の照明光学系を配置した構成で、照明光学系の配光角を観察光学系の視野角と同等に設定すると、対象物に近接して観察する場合に、内視鏡先端における観察光学系と照明光学系の配置位置がずれていることに起因して、視野範囲の中心部に配光されずに暗くなってしまうおそれがある。これを防ぐには、照明光学系の配光角を視野角よりも大きく設定するとよい。但し、観察光学系が設けられている側と反対側に配光を広げても、視野範囲の中心部の明るさ向上に無関係であり、しかも配光角を大きくする分、無駄な配光が生じてしまう。本実施形態の照明光学系20では、ライトガイド22とライトガイド24の出射端面に対する凸レンズ部32の上記位置設定により、ライトガイド22とライトガイド24からそれぞれ出射された光が、カバーレンズ26によって
図4に示す配光分布22P、24Pで配光される。この配光分布22P、24Pは、視野範囲の中央側、すなわち観察光学系の光軸近傍で観察光学系の視野角よりも配光角が大きく、視野範囲の周縁側では観察光学系の視野角と略同じ配光角である。これにより、観察対象物への近接時に視野範囲の中心部へ確実に配光することができると共に、視野範囲の周辺への無駄な配光を最小限に抑えることができる。
【0020】
観察光学系10の光軸O1と一対のライトガイド22、24とを含む断面は無数に設定可能であり、
図1はその無数の断面位置の一つを示したものである。非円形の出射端面を持つライトガイド22、24の中心の位置は選択する断面位置によって変化するが、本実施形態では、
図1の断面位置に限らず、観察光学系10の光軸O1と一対のライトガイド22、24とを含むいずれの断面位置でも、ライトガイド22、24の中心よりも光軸O1に近い側に凸レンズ部32の中心O2が位置する。望ましくは本実施形態のように構成するとよいが、ライトガイドの形状などの条件によって、全ての断面位置で凸レンズ部の中心をライトガイドの中心よりも観察光学系の光軸に近い側に位置させることが難しい場合は、少なくとも
図1のように撮像素子の撮像面の長手方向と平行で観察光学系の光軸を通る断面位置において、凸レンズ部の中心をライトガイドの中心よりも観察光学系の光軸に近い側に位置させるとよい。
【0021】
なお、それぞれが非円形の出射端面を持つライトガイド22とライトガイド24の重心は、
図1の断面上において中心22K、24Kよりも光軸O1に近く位置する。前述のように本実施形態では、凸レンズ部32の中心O2の位置が、ライトガイド22の中心22Kやライトガイド24の中心24Kよりも観察光学系10の光軸O1に近い側に設定されているが、好ましい配光角を得るための条件設定として、ライトガイド22とライトガイド24の重心と凸レンズ部32の中心O2の関係を用いることもできる。つまり、ライトガイド22とライトガイド24の重心よりも観察光学系10の光軸O1に近い側に凸レンズ部32の中心O2を位置させる構成にしてもよい。
【0022】
図4と同様の配光分布を得る照明光学系の異なる実施形態を
図5と
図6に示す。ここでは、先の実施形態と共通する要素を省略して説明する。
図5に示す第2の実施形態の照明光学系120では、カバーレンズ26における凸レンズ部132において、ライトガイド22やライトガイド24の出射端面に対向する面が非球面の凸面134として形成されている。詳細には、
図5の断面上において凸面134は、ライトガイド22の中心22Kやライトガイド24の中心24Kの位置を基準として、観察光学系10の光軸O1から遠い外側部分の曲率が、観察光学系10の光軸O1に近い内側部分の曲率よりも大きくなっている。つまり凸レンズ部132は、
図5の断面上において、観察光学系10の光軸O1に遠い側の正のパワーが、観察光学系10の光軸O1から近い側の正のパワーよりも強い非軸対称の非球面レンズである。
【0023】
図6に示す第3の実施形態の照明光学系220では、カバーレンズ26における凸レンズ部232が、観察光学系10の光軸O1に近い側に位置する内側凸レンズ部232Aと、観察光学系10の光軸O1から遠い側に位置する外側凸レンズ部232Bで構成されている。外側凸レンズ部232Bの凸面234Bの曲率は、内側凸レンズ部232Aの凸面234Aの曲率よりも大きい。つまり、観察光学系10の光軸O1を中心とする視野範囲の外側に位置する外側凸レンズ部232Bの正のパワーが、視野範囲の内側に位置する内側凸レンズ部232Aの正のパワーよりも強くなっている。
【0024】
以上の各実施形態の照明光学系では、ライトガイド22やライトガイド24の出射端面から出射された光束が、カバーレンズ26の凸レンズ部32、132及び232によって一旦集光されてから拡散される。このカバーレンズ26によると、ライトガイド22やライトガイド24の出射端面に対向する面を凹面とするよりも有効径を小さくすることができる。カバーレンズ26の有効径が小さいことにより、内視鏡挿入部の小径化に寄与する。また、有効径が小さい本実施形態のカバーレンズ26では、その周辺部における外面形状や周辺部への異物の付着が照明効果に影響しにくく、効率の良い配光と視野周辺での光量ロスの抑制を図ることができる。特に、外部に露出する配光用レンズでは周辺部に異物が付着しやすいため、カバーレンズ26のように有効径を小さくすることの効果が高い。
【0025】
また、前述のように、カバーレンズ26の凸レンズ部32、132及び232は、出射端面36から出射される光束の配光角が、視野範囲の中央側(観察光学系の光軸近傍)で視野角よりも大きく、視野範囲の周縁側で視野角相当になる配光特性を有している。そのため、内視鏡の挿入部先端が観察対象に近接したときに視野範囲の中心部での光量不足が起こりにくく、かつ視野範囲周辺への照明光の無駄な広がりを防ぎ、視野の全体に亘って適切な配光分布を得ることができる。
【0026】
以上、図示実施形態に基いて本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲における改変が可能である。例えば、図示実施形態は電子内視鏡への適用例であるが、電子内視鏡以外のファイバースコープの照明光学系としても適用が可能である。
【0027】
また、本発明はライトガイドの出射端面が真円状の照明光学系にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 観察光学系
14 対物レンズ群
16 撮像素子
20 120 220 照明光学系
22 24 ライトガイド
22K 24K ライトガイドの中心
26 カバーレンズ(配光部材)
28 貫通穴
30 本体部
32 132 232 凸レンズ部
34 134 234A 234B 凸面
36 出射端面
232A 内側側凸レンズ部
232B 外側側凸レンズ部
O1 観察光学系の光軸
O2 凸レンズ部の中心