(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記励振素子の径が前記C形ループ素子の径より小さくあるいは大きくされており、前記励振素子が所定間隔をもって前記C形ループ素子の下側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の円偏波アンテナ。
前記励振素子の径が前記C形ループ素子の径と同径とされており、前記励振素子が所定間隔をもって前記C形ループ素子の下側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の円偏波アンテナ。
前記励振素子の径が前記C形ループ素子の径より小さくあるいは大きくされており、前記励振素子が所定間隔をもって前記C形ループ素子の面と同じ面に配置されていることを特徴とする請求項1記載の円偏波アンテナ。
前記グランドプレーンに平行な面であって、前記給電導体の先端が接続されている前記励振素子の一端と前記切断部とのなす角が約+45°あるいは約+225°、または、約−45°あるいは約−225°とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の円偏波アンテナ。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な通信システムが開発及び使用されているが、円偏波モードの通信システムがある。このような通信システムにおける端末機器用のアンテナとしては円偏波アンテナが用いられる。端末機器としては、例えば、GPS(Global Positioning System)受信端末が知られているが、GPS受信端末に搭載されるGPS受信用アンテナとしては、パッチアンテナが主流とされている。GPS受信端末は、様々な用途の製品が開発及び使用されている。
【0003】
従来から円偏波モードのアンテナとして一般的に用いられているパッチアンテナ100の構成を
図18(a)〜(c)に示す。
図18(a)はパッチアンテナ100の構成を示す斜視図であり、
図18(b)はパッチアンテナ100の構成を示す上面図であり、
図18(c)はパッチアンテナ100の構成を示す正面図である。
これらの図に示すパッチアンテナ100は、グランドプレーン112に平行に配置された正方形とされているパッチ素子111を備え、パッチ素子111には対角する2つの角部を切り欠いた摂動部111aがそれぞれ形成されている。パッチ素子111の中心からずらせた位置に給電点111bが設けられており、給電点111bには給電ピン110の先端が接続されている。給電ピン110はグランドプレーン112に直立されており、下端は同軸構造の給電部113の中心導体に接続されている。給電部113のアース導体はグランドプレーン112に接続されている。これにより、パッチ素子111が給電ピン110により給電され、パッチアンテナ100から摂動部111aの作用により円偏波が放射される。
【0004】
図18(a)〜(c)に示すパッチアンテナ100のグランドプレーン112を水平面に配置した際の垂直面内の放射特性を
図19に示す。
図19はGPS帯の中心周波数である1575.4200MHzにおける放射特性であり、
図19を参照すると、天頂方向(0°)に最も強く放射されており、そのピーク値は約−2.6dBicとされている。仰角が低くなるにつれてゲインは低下しており、90°方向では天頂方向より約−3dBゲインが低下するようになり、−90°方向では天頂方向より約−4.5dBゲインが低下するようになることがわかる。
上記した従来のパッチアンテナ100は、導電体に近接させた場合に電気特性が著しく劣化してしまう。また、パッチアンテナは既製品として形状が固定化しまっているため、端末機器に取り付ける場合は、取り付けられる大きさを選定する必要があるが、小型になるほど電気特性は劣化することになる。
【0005】
パッチアンテナに替わる従来の円偏波モードのアンテナとして円偏波ループアンテナ(特許文献1参照)が知られている。この円偏波ループアンテナの構成を
図20(a)〜(c)に示す。
図20(a)は円偏波ループアンテナ200の構成を示す斜視図であり、
図20(b)は円偏波ループアンテナ200の構成を示す上面図であり、
図20(c)は円偏波ループアンテナ200の構成を示す正面図である。
これらの図に示す円偏波ループアンテナ200は、励振ループ素子211がグランドプレーン213に対向して平行に配置されており、励振ループ素子211上に同心の関係を保ちながらより大きな径の無給電素子とされるC形ループ素子212が平行に配置されている。L字状の給電導体210の先端は励振ループ素子211に接続されており、下端は同軸構造の給電部214の中心導体に接続されている。給電部214のアース導体はグランドプレーン213に接続されている。これにより、励振ループ素子211が給電導体210により給電されて、励振ループ素子211に電磁気的に結合されているC形ループ素子212が励振ループ素子211により励振される。また、C形ループ素子212には切断部212aが1ヶ所設けられており、この切断部212aと給電導体210とのなす角が+45°(あるいは−135°)付近とされている。この切断部212aの作用により、円偏波ループアンテナ200からは左旋円偏波が放射される。
【0006】
さらに、従来からGPS受信端末を腕時計に内蔵することが行われている。このGPS受信端末は、円偏波を受信するアンテナが必要とするが、腕時計の機能部は、腕時計の筐体のほぼ中央に配置されることから、筐体の中央部にアンテナなどを配置することはできない。すなわち、
図18(a)〜(c)に示すパッチアンテナ100を配置することができない。また、
図20(a)〜(c)に示す円偏波ループアンテナ200を腕時計に内蔵する場合は、L字状の給電導体210が筐体の中央部に位置していることから、給電導体210が邪魔になって腕時計の筐体に内蔵させることはできない。さらに、励振ループ素子211とC形ループ素子212との2段構成とされていることから、腕時計に搭載すると突出するようになってしまうことになる。
これを解決できる円偏波アンテナが知られている(特許文献2参照)。この円偏波アンテナの構成を
図21(a)〜(c)に示す。
図21(a)は円偏波アンテナ300の構成を示す斜視図であり、
図21(b)は円偏波アンテナ300の構成を示す上面図であり、
図21(c)は円偏波アンテナ300の構成を示す正面図である。
【0007】
これらの図に示す円偏波アンテナ300は、切断部311aが形成されているC形ループ素子311を備え、C形ループ素子311はグランドプレーン312上に平行に配置されている。C形ループ素子311の給電点311bには給電ピン310の一端が接続されており、他端は同軸構造の給電部313の中心導体に接続されている。給電部313のアース導体はグランドプレーン312に接続されている。これにより、C形ループ素子311が給電ピン310により給電されている。また、C形ループ素子311に1カ所設けられている切断部311aと給電点311bとのなす角が、図示するように+45°(あるいは−135°)付近とされていると、切断部311aの作用により、円偏波アンテナ300からは左旋円偏波が放射される。
【0008】
ここで、
図22(a)(b)を参照して円偏波アンテナ300の動作原理を説明する。
図22(a)に示す円偏波アンテナ300では、給電点311bに対するC形ループ素子311の切断部311aのなす角が+45°とされている。給電点311に給電される給電位相が変化していくと、
図22(a)の矢印で示す右回りの方向に電流が流れていくようになる。この電流は進行波に近い状態で流れることから、進行方向に対して左回りの左旋円偏波が放射されるようになる。
また、
図22(b)に示す円偏波アンテナ300では、給電点311bに対するC形ループ素子311の切断部311aのなす角が−45°とされている。給電点311に給電される給電位相が変化していくと、
図22(b)の矢印で示す左回りの方向に電流が流れていくようになる。この電流は進行波に近い状態で流れることから、進行方向に対して右回りの右旋円偏波が放射されるようになる。
このように、従来の円偏波アンテナ300は、進行波電流が流れることにより進行波電流の方向に応じた円偏波が放射されることが分かる。
【0009】
次に、
図21(a)〜(c)に示す円偏波アンテナ300のGPS帯における電圧定在波比(VSWR)の周波数特性を
図23に、グランドプレーン312を水平面に配置した際の垂直面内の放射特性を
図24に示す。この場合、GPS帯の中心周波数の自由空間波長をλとした時、例えばC形ループ素子311の円周長が約1.31λとされ、グランドプレーン312からのC形ループ素子311の高さが約0.15λとされ、給電点311bに対する切断部311aのなす角が約40°とされ、切断部311aの長さが約0.018λとされている。
図23を参照すると、GPS帯の中心周波数である1575.4200MHzにおいて約1.1909の最も良好なVSWR値が得られており、1555.4200MHzないし1595.4200MHzにおいて約1.85以下のVSWR値が得られていることがわかる。
また、
図24はGPS帯の中心周波数である1575.4200MHzにおける放射特性であり、
図24を参照すると、天頂方向(0°)に最も強く放射されており、そのピーク値は約−5.1dBicとされている。仰角が低くなるにつれてゲインは低下しており、90°方向では天頂方向より約−6dBゲインが低下するようになり、−90°方向では天頂方向より約−7.5dBゲインが低下することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図2】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナの寸法を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図3】本発明の実施例にかかる円偏波アンテナの動作原理を説明する図である。
【
図4】本発明の実施例にかかる他の円偏波アンテナの動作原理を説明する図である。
【
図5】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナを適用した構成を示す斜視図、上面図である。
【
図6】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナを適用した構成を断面図で示す正面図、本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナを適用した他の構成を断面図で示す正面図である。
【
図7】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナのVSWRの周波数特性を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナの放射特性を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナの励振素子の長さをパラメータとしたVSWRの周波数特性を示す図である。
【
図10】本発明の第2実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図11】本発明の第3実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図12】本発明の第4実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図13】本発明の第5実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図14】本発明の第6実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図15】本発明の第7実施例にかかる円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図16】本発明の実施例にかかる円偏波アンテナを腕時計に適用した構成を示す斜視図である。
【
図17】本発明の実施例にかかる円偏波アンテナをカメラに適用した構成を示す斜視図である。
【
図18】従来のパッチアンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図19】従来のパッチアンテナの放射特性を示す図である。
【
図20】従来の円偏波ループアンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図21】従来の円偏波アンテナの構成を示す斜視図、上面図、正面図である。
【
図22】従来の円偏波アンテナの動作原理を説明する図である。
【
図23】従来の円偏波アンテナのVSWRの周波数特性を示す図である。
【
図24】従来の円偏波アンテナの放射特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナの構成を
図1(a)〜(c)に示す。
図1(a)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の構成を示す斜視図であり、
図1(b)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の構成を示す上面図であり、
図1(c)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナ1は、1ヶ所に切断部12aが形成されている無給電素子とされる円形ループ状のC形ループ素子12がグランドプレーン13に対向して平行に配置されている。また、C形ループ素子12より径が若干小さくされており、C形ループ素子12と同心の関係を保ちながら、C形ループ素子12の切断部12aに対向して直下に円弧状の励振素子11が所定の間隔をもって平行に配置されている。これにより、励振素子11はC形ループ素子12に電磁気的に結合される。この励振素子11の一端の給電点11aに、グランドプレーン13に直立して配置されている給電導体10の先端が接続されて給電されており、給電導体10の下端は同軸構造の給電部14の中心導体に接続されている。給電部14のアース導体はグランドプレーン13に接続されている。これにより、励振素子11の給電点11aに給電導体10を介して給電され、励振素子11に電磁気的に結合されているC形ループ素子12が励振素子11により励振されるようになる。そして、C形ループ素子12に設けられている切断部12aの作用により、C形ループ素子12を備える円偏波アンテナ1からは円偏波が放射されるようになる。
【0018】
本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の寸法を示す図を
図2(a)〜(c)に示す。
図2(a)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の寸法を示す斜視図であり、
図2(b)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の寸法を示す上面図であり、
図2(c)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の寸法を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナ1は、C形ループ素子12の円周長がL1とされ、C形ループ素子12に設けられている切断部12aの長さがdとされている。また、励振素子11の長さがL2とされ、給電点11aに対する切断部12aのなす角がθとされている。さらに、平行に配置されているC形ループ素子12と励振素子11の間隔がcとされている。
【0019】
円偏波アンテナ1をGPS帯のアンテナとした際の具体的な円偏波アンテナ1の寸法について説明すると、GPS帯の中心周波数の自由空間波長をλとした際に、C形ループ素子12の円周長L1は1λが最適値とされるが、円周長L1の範囲は約0.8λ〜約1.3λとされる。また、励振素子11の長さL2は0.25λが最適値とされるが、長さL2の範囲は約0.05λ〜約0.5λとされる。さらに、C形ループ素子12の切断部12aの長さdは0.03λが最適値とされるが、長さdの範囲は約0.001λ〜約0.25λとされる。さらにまた、C形ループ素子12と励振素子11の間隔cは0.01λが最適値とされるが、間隔cの範囲は約0.001λ〜約0.05λとされる。
【0020】
ここで、本発明の第1実施例の円偏波アンテナ1の構成を
図3(a)および
図4(a)に示すと共に、
図3(b)ないし
図3(g)および
図4(b)ないし
図4(g)を参照して円偏波アンテナ1の動作原理を説明する。
図3(a)に示す本発明の第1実施例の円偏波アンテナ1の構成は上記したとおりであり、
図3(a)に示す場合は、給電点11aの端部に対する切断部12aのなす角θが約+45°とされるように、励振素子11が切断部12aに対向している。また、円偏波アンテナ1の設計周波数の自由空間波長をλとした際に、例えば、C形ループ素子12の円周長は約1λとされ、励振素子11の素子長は約0.25λとされ、励振素子11とC形ループ素子12との間隔は約0.01λとされている。
【0021】
このような円偏波アンテナ1において給電導体10の端部の給電部14から給電された場合に、給電部14における位相をφとした時の励振素子11に流れる電流irと、C形ループ素子12に流れる電流icと、電流irと電流icとを合成した合成電流ベクトルioとを
図3(b)ないし
図3(f)に示している。
図3(b)は、給電部14におけるの位相φが0°の時であり、励振素子11に流れる電流irが最大となるが、C形ループ素子12に流れる電流icは最小となって、合成電流ベクトルioは紙面のほぼ右方向を向くベクトルとなる。給電部14における位相φが22.5°まで進むと、
図3(c)に示すように、励振素子11に流れる電流irがやや減少するが、C形ループ素子12に小さい電流icが流れるようになって、合成電流ベクトルioは紙面の左方向に少し回転したベクトルとなる。なお、電流icのピークはC形ループ素子12の切断部12aに対して±90°の図示する位置となる。さらに、給電部14における位相φが45°まで進むと、
図3(d)に示すように、励振素子11に流れる電流irがさらに減少するが、C形ループ素子12に流れる電流icは大きくなって、合成電流ベクトルioは紙面の左方向にさらに回転したベクトルとなる。さらに、給電部14における位相φが67.5°まで進むと、
図3(e)に示すように、励振素子11に流れる電流irがさらに減少して小さくなるが、C形ループ素子12に流れる電流icはさらに大きくなって、合成電流ベクトルioは紙面の左方向にさらに回転したベクトルとなる。さらに、給電部14における位相φが90°まで進むと、
図3(f)に示すように、励振素子11に流れる電流irは最小となるが、C形ループ素子12に流れる電流icは最大となって、合成電流ベクトルioは位相φが0°の時から左方向に90°回転したベクトルとなる。そして、合成電流ベクトルioが放射に寄与することから、円偏波アンテナ1からは進行方向に対して右回りの右旋円偏波が放射されるようになる。
【0022】
上記したように、
図3(a)に示す円偏波アンテナ1では、励振素子11により励振されたC形ループ素子12に定在波が立つようになり、電流icのピークはC形ループ素子12の切断部12aに対して±90°の位置となる。
図3(a)に示す円偏波アンテナ1を等価的に表すと、
図3(g)に示すようにC形ループ素子12は、切断部12aから約−90°の位置に給電部がある第1ダイポール素子12−1と、切断部12aから約+90°の位置に給電部がある第2ダイポール素子12−2とで等価的に動作していることになる。すなわち、第1ダイポール素子12−1と第2ダイポール素子12−2からの放射と、直交して配置された励振素子11からの放射とが合成されて、角θが約+45°とされている円偏波アンテナ1からは進行方向に対して右回りの右旋円偏波が放射されるようになる。
【0023】
また、
図4(a)に示す変形した円偏波アンテナ1’では、給電点11a’に対する切断部12aのなす角θが約−45°とされるように、励振素子11’が切断部12aに対向している。他の構成は
図3(a)に示す円偏波アンテナ1と同様とされている。
このような
図4(a)に示す円偏波アンテナ1’において給電導体10’の端部の給電部14から給電された場合に、給電部14における位相をφとした時の励振素子11’に流れる電流irと、C形ループ素子12に流れる電流icと、電流irと電流icとを合成した合成電流ベクトルioとを
図4(b)ないし
図4(f)に示している。
図4(b)は、給電部14における位相φが0°の時であり、励振素子11’に流れる電流irが最大となるが、C形ループ素子12に流れる電流icは最小となって、合成電流ベクトルioは紙面のほぼ左方向を向くベクトルとなる。給電部14における位相φが22.5°まで進むと、
図4(c)に示すように、励振素子11’に流れる電流irがやや減少するが、C形ループ素子12に小さい電流icが流れるようになって、合成電流ベクトルioは紙面の右方向に少し回転したベクトルとなる。なお、電流icのピークはC形ループ素子12の切断部12aに対して±90°の図示する位置となる。さらに、給電部14における位相φが45°まで進むと、
図4(d)に示すように、励振素子11’に流れる電流irがさらに減少するが、C形ループ素子12に流れる電流icは大きくなって、合成電流ベクトルioは紙面の右方向にさらに回転したベクトルとなる。さらに、給電部14における位相φが67.5°まで進むと、
図4(e)に示すように、励振素子11’に流れる電流irがさらに減少して小さくなるが、C形ループ素子12に流れる電流icはさらに大きくなって、合成電流ベクトルioは紙面の右方向にさらに回転したベクトルとなる。さらに、給電部14における位相φが90°まで進むと、
図4(f)に示すように、励振素子11’に流れる電流irは最小となるが、C形ループ素子12に流れる電流icは最大となって、合成電流ベクトルioは位相φが0°の時から右方向に90°回転したベクトルとなる。そして、合成電流ベクトルioが放射に寄与することから、円偏波アンテナ1’からは進行方向に対して左回りの左旋円偏波が放射されるようになる。
【0024】
上記したように、
図4(a)に示す円偏波アンテナ1’では、励振素子11’により励振されたC形ループ素子12に定在波が立つようになり、電流icのピークはC形ループ素子12の切断部12aに対して±90°の位置となる。
図4(a)に示す円偏波アンテナ1’を等価的に表すと、
図4(g)に示すようにC形ループ素子12は、切断部12aから約−90°の位置に給電部がある第1ダイポール素子12−1と、切断部12aから約+90°の位置に給電部がある第2ダイポール素子12−2とで等価的に動作していることになる。すなわち、第1ダイポール素子12−1と第2ダイポール素子12−2からの放射と、直交して配置された励振素子11’からの放射とが合成されて、角θが約−45°とされている円偏波アンテナ1’からは左旋円偏波が放射されるようになる。
上記したように、給電点11a(11a’)に対する切断部12aのなす角θが+45°近傍あるいは+225°近傍の角度とされている円偏波アンテナ1の場合は、右旋円偏波が放射され、角θが−45°近傍あるいは−225°近傍の角度とされている円偏波アンテナ1’の場合は、左旋円偏波が放射される。この場合、角θは±45°あるいは±225°が最適値とされるが、右旋偏波用とされた場合の角θの範囲は約+0°〜約+90°あるいは約+180°〜+270°とされ、左旋偏波用とされた場合の角θの範囲は約−0°〜約−90°あるいは約−180°〜−270°とされる。
【0025】
本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナ1を適用した構成を
図5(a)(b)および
図6(a)に示す。
図5(a)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1を適用した構成を示す斜視図であり、
図5(b)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1を適用した構成を示す上面図であり、
図6(a)は第1実施例にかかる円偏波アンテナ1を適用した構成を断面図で示す正面図である。
これらの図に示すように、第1実施例の円偏波アンテナ1が適用される物品は、底部が閉じた円筒状とされているケース15と、ケース15の中央部に設けられた導電性の円板状とされた金属体16とを備えている。ケース15は、下部が円筒状の導電体からなる金属部15aとされ、上部が円筒状の樹脂等からなる絶縁部15bとされており、金属部15aの下面が導電性の裏蓋15cにより閉塞されている。第1実施例の円偏波アンテナ1は、ケース15の上部の絶縁部15bの内側に収納される。この場合、円偏波アンテナ1はケース15の内周面に近接するようになると共に、円偏波アンテナ1は金属体16に近接して配置されるようになる。なお、ケース15の裏蓋15cは円偏波アンテナ1のグランドプレーンとして機能する。また、ケース15の裏蓋15cの直上には受信機が組み込まれた回路基板17が内蔵されており、給電導体10の下端は回路基板17の入力端子にハンダ付け等の手段により電気的に接触されている。これにより、円偏波アンテナ1の受信信号が回路基板17に組み込まれた受信機に導かれる。
また、第1実施例の円偏波アンテナ1が適用される物品の変形例を
図6(b)に示す。
図6(b)に示す物品はケース15’の構成が異なっている。すなわち、
図6(b)に示す物品のケース15’は、円筒状の樹脂等からなる絶縁部15b’と、絶縁部15b’の下面が導電性の裏蓋15cにより閉塞された構成とされている。他の構成は
図5(a)(b)および
図6(a)に示す物品と同様の構成とされているので、その説明は省略する。
【0026】
本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナ1が、金属体16が中央部に設けられているケース15(15’)内に内蔵された際にも、円偏波アンテナ1は良好な電気特性を示すようになる。そこで、
図5(a)(b)、
図6(a)(b)に示すように第1実施例にかかる円偏波アンテナ1が金属体16が中央部に設けられているケース15(15’)内に内蔵された状態のVSWRの周波数特性を
図7に、ケース15(15’)を水平面に配置した際の垂直面内の放射特性を
図8に示す。この場合、使用周波数帯域はGPS帯とされ、円偏波アンテナ1の寸法は上記した最適値の寸法とされている。また、円偏波アンテナ1の励振素子11およびC形ループ素子12とケース15(15’)および金属体16との間の最小間隔は約0.001λとされている。
図7を参照すると、GPS帯の中心周波数である1575.4200MHzにおいて約1.1974の最も良好なVSWR値が得られており、1555.4200MHzないし1595.4200MHzにおいて約1.91以下のVSWR値が得られていることがわかる。
図23に示す従来の円偏波アンテナ300のVSWRの周波数特性と対比すると、第1実施例の円偏波アンテナ1は、金属体16が中央部に設けられているケース15(15’)内に内蔵されていても、従来の円偏波アンテナ300のVSWRとほぼ同等の値が得られている。このように、第1実施例の円偏波アンテナ1では、金属体16が中央部に設けられているケース15(15’)内に内蔵されていても良好なVSWRの周波数特性が得られることがわかる。
【0027】
また、
図8はGPS帯の中心周波数である1575.4200MHzにおける放射特性であり、
図8を参照すると、天頂方向(0°)に最も強く放射されており、そのピーク値は約−2.5dBicと、従来の円偏波アンテナ300のゲインより約2.6dB向上したゲインが得られている。この放射のゲインは仰角が低くなるにつれて低下しており、90°方向では天頂方向より約−5dBゲインが低下するようになり、−90°方向では天頂方向より約−6dBゲインが低下するようになることがわかる。また、従来の円偏波アンテナ300の放射特性と対比すると、放射利得のアベレージが約2.5dB向上しており、より良好な放射特性が得られている。このように、第1実施例の円偏波アンテナ1では、金属等の導体に近接して配置されていても良好な放射特性が得られることがわかる。
【0028】
次に、本発明の第1実施例にかかる円偏波アンテナ1の励振素子11の長さL2をパラメータとしたVSWRの周波数特性を
図9(a)〜(c)に示す。この場合、使用周波数帯域はGPS帯とされ、円偏波アンテナ1の寸法は励振素子11の長さL2を除いて上記した最適値の寸法とされている。
図9(a)は励振素子11の長さL2を約0.255λと最適値より長くした時のVSWRの周波数特性であり、約1560MHzにおいて最良のVSWR値である1.0975が得られている。すなわち、励振素子11の長さL2を約0.255λとした時は共振周波数が約1560MHzとなる。
また、
図9(b)は励振素子11の長さL2を約0.25λと最適値にした時のVSWRの周波数特性であり、約1580MHzにおいて最良のVSWR値である1.1799が得られている。すなわち、励振素子11の長さL2を約0.25λとした時は共振周波数が約1580MHzとなる。
さらに、
図9(c)は励振素子11の長さL2を約0.245λと最適値より短くした時のVSWRの周波数特性であり、約1600MHzにおいて最良のVSWR値である1.0150が得られている。すなわち、励振素子11の長さL2を約0.245λとした時は共振周波数が約1600MHzとなる。
このように、励振素子11の長さL2が短くなるにつれて円偏波アンテナ1の共振周波数が高くなっていくことが分かる。このことから、円偏波アンテナ1を
図5,
図6に示すケース15(15’)に収納した際に、ケース15(15’)や内蔵されている金属体16により影響を受けて円偏波アンテナ1の共振周波数がずれても、励振素子11の長さL2を調整することにより共振周波数を所定の共振周波数に合わせ込むことができるようになる。
【0029】
次に、本発明の第2実施例にかかる円偏波アンテナ2の構成を
図10(a)〜(c)に示す。
図10(a)は第2実施例にかかる円偏波アンテナ2の構成を示す斜視図であり、
図10(b)は第2実施例にかかる円偏波アンテナ2の構成を示す上面図であり、
図10(c)は第2実施例にかかる円偏波アンテナ2の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第2実施例にかかる円偏波アンテナ2は、1ヶ所に切断部22aが形成されている無給電素子とされる円形のC形ループ素子22がグランドプレーン23に対向して平行に配置されている。また、C形ループ素子22と同径とされており、C形ループ素子22と同心の関係を保ちながら、C形ループ素子22の切断部22aに対向してC形ループ素子22の直下に所定の間隔をもって円弧状の励振素子21が平行に配置されている。これにより、励振素子21はC形ループ素子22に電磁気的に結合される。この励振素子21の一端の給電点21aには、グランドプレーン23に直立して配置されている給電導体20の先端が接続されており、給電導体20の下端は同軸構造の給電部24の中心導体に接続されている。給電部24のアース導体はグランドプレーン23に接続されている。これにより、励振素子21の給電点21aに給電導体20から給電されて、励振素子21に電磁気的に結合されているC形ループ素子22が励振素子21により励振されるようになる。そして、C形ループ素子22に設けられている切断部22aの作用により、C形ループ素子22を備える円偏波アンテナ2からは円偏波が放射されるようになる。
【0030】
次に、本発明の第3実施例にかかる円偏波アンテナ3の構成を
図11(a)〜(c)に示す。
図11(a)は第3実施例にかかる円偏波アンテナ3の構成を示す斜視図であり、
図11(b)は第3実施例にかかる円偏波アンテナ3の構成を示す上面図であり、
図11(c)は第3実施例にかかる円偏波アンテナ3の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第3実施例にかかる円偏波アンテナ3は、1ヶ所に切断部32aが形成されている無給電素子とされる円形のC形ループ素子32がグランドプレーン33に対向して平行に配置されている。また、C形ループ素子32より径が若干小さくされており、C形ループ素子32が配置されている面と同じ面に同心の関係を保ちながら、C形ループ素子32の切断部32aに対向して円弧状の励振素子31が所定の間隔をもって平行に配置されている。これにより、励振素子31はC形ループ素子32に電磁気的に結合される。この励振素子31の一端の給電点31aには、グランドプレーン33に直立して配置されている給電導体30の先端が接続されており、給電導体30の下端は同軸構造の給電部34の中心導体に接続されている。給電部34のアース導体はグランドプレーン33に接続されている。これにより、励振素子31の給電点31aに給電導体30から給電されて、励振素子31に電磁気的に結合されているC形ループ素子32が励振素子31により給電されるようになる。そして、C形ループ素子32に設けられている切断部32aの作用により、C形ループ素子32を備える円偏波アンテナ3からは円偏波が放射されるようになる。
【0031】
次に、本発明の第4実施例にかかる円偏波アンテナ4の構成を
図12(a)〜(c)に示す。
図12(a)は第4実施例にかかる円偏波アンテナ4の構成を示す斜視図であり、
図12(b)は第4実施例にかかる円偏波アンテナ4の構成を示す上面図であり、
図12(c)は第4実施例にかかる円偏波アンテナ4の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第4実施例にかかる円偏波アンテナ4は、1ヶ所に切断部42aが形成されている無給電素子とされる矩形のループ素子42がグランドプレーン43に対向して平行に配置されている。また、ループ素子42と同心の関係を保ちながら、ループ素子42の切断部42aに対向して直下に所定の間隔をもってループ素子42の一部の形状と相似するL字状の形状とされている励振素子41が平行に配置されている。これにより、励振素子41はループ素子42に電磁気的に結合される。この励振素子41の一端の給電点41aには、グランドプレーン43に直立して配置されている給電導体40の先端が接続されており、給電導体40の下端は同軸構造の給電部44の中心導体に接続されている。給電部44のアース導体はグランドプレーン43に接続されている。これにより、励振素子41の給電点41aに給電導体40から給電されて、励振素子41に電磁気的に結合されているループ素子42が励振素子41により給電されるようになる。そして、ループ素子42に設けられている切断部42aの作用により、ループ素子42を備える円偏波アンテナ4からは円偏波が放射されるようになる。
【0032】
次に、本発明の第5実施例にかかる円偏波アンテナ5の構成を
図13(a)〜(c)に示す。
図13(a)は第5実施例にかかる円偏波アンテナ5の構成を示す斜視図であり、
図13(b)は第5実施例にかかる円偏波アンテナ5の構成を示す上面図であり、
図13(c)は第5実施例にかかる円偏波アンテナ5の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第5実施例にかかる円偏波アンテナ5は、切断部52aと切断部52bとが対面するよう2ヶ所に形成されている無給電素子とされる円形のC形ループ素子52がグランドプレーン53に対向して平行に配置されている。また、C形ループ素子52より径が若干小さくされており、C形ループ素子52と同心の関係を保ちながら、C形ループ素子52の切断部52aに対向して直下に円弧状の励振素子51が所定の間隔をもって平行に配置されている。これにより、励振素子51はC形ループ素子52に電磁気的に結合される。この励振素子51の一端の給電点51aには、グランドプレーン53に直立して配置されている給電導体50の先端が接続されており、給電導体50の下端は同軸構造の給電部54の中心導体に接続されている。給電部54のアース導体はグランドプレーン53に接続されている。これにより、励振素子51の給電点51aに給電導体50から給電されて、励振素子51に電磁気的に結合されているC形ループ素子52が励振素子51により給電されるようになる。そして、C形ループ素子52に設けられている切断部52a,52bの作用により、C形ループ素子52を備える円偏波アンテナ5からは円偏波が放射されるようになる。
【0033】
次に、本発明の第6実施例にかかる円偏波アンテナ6の構成を
図14(a)〜(c)に示す。
図14(a)は第6実施例にかかる円偏波アンテナ6の構成を示す斜視図であり、
図14(b)は第6実施例にかかる円偏波アンテナ6の構成を示す上面図であり、
図14(c)は第6実施例にかかる円偏波アンテナ6の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第6実施例にかかる円偏波アンテナ6は、1ヶ所が切断されて重なり合っている切断重合部62aが形成されている無給電素子とされる円形のC形ループ素子62がグランドプレーン63に対向して平行に配置されている。また、C形ループ素子62より径が若干小さくされており、C形ループ素子62と同心の関係を保ちながら、C形ループ素子62の切断重合部62aに対向して直下に円弧状の励振素子61が所定の間隔をもって平行に配置されている。これにより、励振素子61はC形ループ素子62に電磁気的に結合される。この励振素子61の一端の給電点61aには、グランドプレーン63に直立して配置されている給電導体60の先端が接続されており、給電導体60の下端は同軸構造の給電部64の中心導体に接続されている。給電部64のアース導体はグランドプレーン63に接続されている。これにより、励振素子61の給電点61aに給電導体60から給電されて、励振素子61に電磁気的に結合されているC形ループ素子62が励振素子61により給電されるようになる。そして、C形ループ素子62に設けられている切断重合部62aの作用により、C形ループ素子62を備える円偏波アンテナ6からは円偏波が放射されるようになる。
【0034】
次に、本発明の第7実施例にかかる円偏波アンテナ7の構成を
図15(a)〜(c)に示す。
図15(a)は第7実施例にかかる円偏波アンテナ7の構成を示す斜視図であり、
図15(b)は第7実施例にかかる円偏波アンテナ7の構成を示す上面図であり、
図15(c)は第7実施例にかかる円偏波アンテナ7の構成を示す正面図である。
これらの図に示す本発明の第7実施例にかかる円偏波アンテナ7は、切断されて重なり合っている切断重合部72aと切断重合部72bとが対面するように2ヶ所に形成されている無給電素子とされる円形のC形ループ素子72がグランドプレーン73に対向して平行に配置されている。また、C形ループ素子72より径が若干小さくされており、C形ループ素子72と同心の関係を保ちながら、C形ループ素子72の切断重合部72aに対向して直下に円弧状の励振素子71が所定の間隔をもって平行に配置されている。これにより、励振素子71はC形ループ素子72に電磁気的に結合される。この励振素子71の一端の給電点71aには、グランドプレーン73に直立して配置されている給電導体70の先端が接続されており、給電導体70の下端は同軸構造の給電部74の中心導体に接続されている。給電部74のアース導体はグランドプレーン73に接続されている。これにより、励振素子71の給電点71aに給電導体70から給電されて、励振素子71に電磁気的に結合されているC形ループ素子72が励振素子71により給電されるようになる。そして、C形ループ素子72に設けられている切断重合部72a,72bの作用により、C形ループ素子72を備える円偏波アンテナ7からは円偏波が放射されるようになる。
【0035】
上記した第2実施例の円偏波アンテナ2ないし第7実施例の円偏波アンテナ7は、GPS帯のアンテナとすることができ、この場合の円偏波アンテナ2〜7の寸法は、上記した第1実施例の円偏波アンテナ1と同様とされる。なお、第2実施例ないし第4実施例の円偏波アンテナ2〜4および第6実施例の円偏波アンテナ6の給電点21a〜41a,61aに対する切断部22a〜42a,切断重合部62aのなす角θが+45°近傍あるいは+225°近傍の角度とされている場合、および、第5実施例および第7実施例の円偏波アンテナ5,7の給電点51a,71aに対する一方の切断部52a,一方の切断重合部72aのなす角θが+45°近傍あるいは+225°近傍の角度とされている場合は、円偏波アンテナ2〜7から右旋円偏波が放射され、角θが−45°近傍あるいは−225°近傍の角度とされている場合は、円偏波アンテナ2〜7から左旋円偏波が放射される。この場合、角θは±45°あるいは±225°が最適値とされるが、右旋偏波用とされた場合の角θの範囲は約+0°〜約+90°あるいは約+180°〜+270°とされ、左旋偏波用とされた場合の角θの範囲は約−0°〜約−90°あるいは約−180°〜−270°とされる。また、第2実施例ないし第7実施例の円偏波アンテナ2〜7の励振素子21〜71の長さを調整することにより、共振周波数が所定の共振周波数になるよう調整することができる。
【0036】
次に、本発明の実施例にかかる円偏波アンテナをGPS受信機が内蔵されている腕時計に適用した構成を示す斜視図を
図16に示す。
図16に示すように、腕時計80は金属製の本体80aを備えており、本体80aの上面は透明素材とされるガラス等の蓋で閉じられている。本体80aの上部とガラス等の蓋との間に円偏波アンテナ8が内蔵されている。本体80aの文字盤は金属製とされており、文字盤の下にはムーブメントおよびGPS受信機の回路基板が内蔵されている。円偏波アンテナ8は、本体80aの内周面からの間隔は約0.001λ以上とされると共に、文字盤からの間隔も約0.001λ以上とされている。この円偏波アンテナ8は、本発明の第1実施例ないし第3実施例の円偏波アンテナ1〜3および第5実施例ないし第7実施例円偏波アンテナ5〜7のいずれかの円偏波アンテナとすることができる。
【0037】
次に、本発明の実施例にかかる円偏波アンテナをGPS受信機が内蔵されているカメラに適用した構成を示す斜視図を
図17に示す。
図17に示すように、カメラ90は金属製の本体90aを備えており、本体90aの上部には液晶表示部91が設けられている。この液晶表示部91の周囲に矩形の円偏波アンテナ9が内蔵されている。円偏波アンテナ9の上面の液晶表示部91は、電磁波に対して透明な素材で構成されている。また、カメラ90の本体90a内にはカメラの機能部とGPS受信基板が内蔵されている。液晶表示部91に配置された円偏波アンテナ9の本体90aからの間隔は約0.001λ以上とされている。この円偏波アンテナ9としては、本発明の第4実施例の円偏波アンテナ4を長方形になるよう変形させた円偏波アンテナを採用することができる。