特許第6018870号(P6018870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018870
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】直流電源装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20161020BHJP
   H02M 7/537 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H02M3/28 H
   H02M3/28 B
   H02M7/537 D
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-222639(P2012-222639)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-75928(P2014-75928A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】篠宮 健志
(72)【発明者】
【氏名】児島 徹郎
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 徹
(72)【発明者】
【氏名】川本 健泰
(72)【発明者】
【氏名】村岡 一史
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−368464(JP,A)
【文献】 特開2011−211886(JP,A)
【文献】 特開平06−237577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/537
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧源と,
スイッチング素子の動作により前記直流電圧源の直流電力を交流電力に変換する一次回路と,
前記一次回路の出力する交流電力を入力する変圧器と,
前記変圧器の出力する交流電力を直流電力に変換する二次回路と,
前記二次回路の直流出力側に並列接続され,共振用スイッチング素子と共振コンデンサが直列に接続された直列回路を有する共振回路と,
リアクトルとコンデンサを有し,前記二次回路の出力する直流電力を平滑するフィルタ回路と,を備え,
前記一次回路内のスイッチング素子のオンオフ状態を制御し,前記スイッチング素子をオン状態とする間に前記共振用スイッチング素子をオン状態とする制御装置を備えた直流電源装置において,
前記制御装置は、前記フィルタ回路のコンデンサが所定の電圧値以下の初期充電動作時に,前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子を所定回数オン状態とし,その後,前記共振用スイッチング素子の動作周期以上の所定期間前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子をオフ状態とする制御手段を備えたことを特徴とする直流電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直流電源装置において,
前記共振用スイッチング素子の動作周期以上の所定期間とは、フィルタ回路のリアクトルに流れる電流が所定値以下に減少し,前記フィルタ回路のコンデンサの電圧が所定値以上に上昇するまでの時間であることを特徴とする直流電源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の直流電源装置において,
前記制御手段が、前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子をオン状態とする前記所定回数は、前記直流電圧源の電圧と前記フィルタ回路及び前記共振回路の定数とに基づいて決定されることを特徴とする直流電源装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の直流電源装置において,
前記制御手段が、前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子をオン状態とする前記所定回数は、前記フィルタ回路のリアクトルに流れる電流が、前記共振回路によって流れる共振電流の最大電流値以下となるように決定されることを特徴とする直流電源装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の直流電源装置において,
前記制御装置は、前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子を所定回数オン状態とした最後の出力電圧極性を記憶し、前記所定期間経過後に前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子を再びオン状態とする場合に、前記記憶した出力電圧極性とは逆の極性を出力することを特徴とする直流電源装置。
【請求項6】
直流電圧源と,
スイッチング素子の動作により前記直流電圧源の直流電力を交流電力に変換する一次回路と,
前記一次回路の出力する交流電力を入力する変圧器と,
前記変圧器の出力する交流電力を直流電力に変換する二次回路と,
前記二次回路の直流出力側に並列接続され,共振用スイッチング素子と共振コンデンサが直列に接続された直列回路を有する共振回路と,
リアクトルとコンデンサを有し,前記二次回路の出力する直流電力を平滑するフィルタ回路と,を備え,
前記一次回路のスイッチング素子のオンオフ状態を制御し、前記スイッチング素子をオン状態とする間に前記共振用スイッチング素子をオン状態とする制御装置を備えた直流電源装置の制御方法において,
前記フィルタ回路のコンデンサが所定の電圧値以下のときに,前記フィルタ回路のリアクトルに流れる電流が、前記共振回路によって流れる共振電流の最大電流値以下となる所定回数前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子をオン状態とし、
その後,フィルタ回路のリアクトルに流れる電流が所定値以下に減少し,前記フィルタ回路のコンデンサの電圧が所定値以上に上昇するまでの期間、前記スイッチング素子と前記共振用スイッチング素子をオフ状態とすることを特徴とする直流電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,直流電源装置に関し,特に鉄道車両に設置される半導体スイッチング素子を用いたDC−DC変換による直流電源装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電圧の大きさを任意の値に変える場合や,不安定な直流電源の安定化させる場合,あるいは入力と電気的に絶縁された直流電源を必要とする場合などにおいて,絶縁型DC−DCコンバータが用いられる。絶縁型DC−DCコンバータは,直流から交流を生成する一次回路と,絶縁用変圧器と,交流を直流に変換する二次回路(整流回路)から構成される。
【0003】
DC−DCコンバータにおいては,印加周波数を高くすることで絶縁用変圧器を小型化することができるが,高周波化に伴うスイッチング損失の抑制が課題となる。この課題を解決するため共振回路を利用してスイッチング損失を低減させるソフトスイッチング方式が知られており,特許文献1に記載された回路構成を図10に示す。このDC−DCコンバータは,直流を交流に変換する一次回路と,変圧器と,交流を直流に変換する二次回路と,平滑化フィルタから構成され,直流負荷に給電している。
【0004】
このDC−DCコンバータは,一次回路でのスイッチング損失を低減させるために,二次回路の出力端子間に共振コンデンサとスイッチング素子(以下,共振スイッチと略称する)の直列回路を接続している。そして,共振コンデンサと変圧器の二次側漏れインダクタンスにより共振回路を形成し,一次回路の主スイッチング素子のターンオフに先立って共振スイッチをオンさせ,共振コンデンサの充放電電流を利用して主スイッチング素子が遮断すべき変圧器の二次電流をゼロ,一次電流を変圧器の励磁電流のみのレベルまで低減させることで,擬似ゼロ電流遮断(以下,ゼロ電流遮断)を実現し,一次回路のターンオフ損失を大幅に低減させることができる。
【0005】
一方で,このようなDC−DCコンバータでは,負荷が軽負荷の場合や,初期起動時に以下に示す課題がある。
【0006】
一つ目に,連続動作中に接続される負荷が軽負荷となると,一次回路はパルス幅を短くして,供給するエネルギーを小さくするが,ソフトスイッチングの都合により,主スイッチング素子と共振スイッチのパルスの幅を共振回路の共振周期の1/2より長くする必要があるため,供給するエネルギーにも下限値がある。この供給エネルギーの下限値に対して,負荷で消費するエネルギーが小さいと,DC−DCコンバータの出力側フィルタコンデンサ電圧を一定に保つことができず,過電圧になるといった課題がある。
【0007】
二つ目に,DC−DCコンバータの出力側フィルタコンデンサ電圧が低いとき,たとえば出力側フィルタコンデンサの初期充電を行う際,変圧器の二次側端子電圧と出力側フィルタコンデンサ電圧の差電圧が大きく,この差電圧に応じて出力電流が流れるため,出力電流を抑制するのが難しく,過電流になってしまうといった課題がある。
【0008】
この二つの課題を解決するために,DC−DCコンバータのパルスを間引くことにより,所定の期間エネルギー供給を停止させる方法があり,例えば特許文献2には,平滑回路の出力電圧が前記目標電圧より大きい場合に,平滑回路の出力電圧が目標電圧となるように,デューティ信号出力手段が出力するパルス信号の単位時間当たりのパルス数を少なくするパルス数低減手段を備えることが示されている。
【0009】
また,特許文献3には,出力電圧が所定の基準電圧を超えると所定の連続するパルスをセットで間引く,すなわち1周期分のパルスを間引き,それでも出力電圧が基準電圧を超える場合,さらに継続して1周期分のパルスを間引く,すなわち,出力電圧が基準電圧を超えた場合,その出力電圧が基準電圧以下になるまでパルス信号の出力を1周期単位で,停止することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−368464号
【特許文献2】特開2009−296763号
【特許文献3】特開2004−159473号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2および特許文献3に開示されている従来技術を本発明の前提とするソフトスイッチング式DC−DCコンバータに適用する場合,DC−DCコンバータの出力側のフィルタコンデンサが所定の電圧値に充電されている状態であれば,軽負荷状態におけるフィルタコンデンサの電圧上昇を防ぐのは容易である。しかしながら,出力側のフィルタコンデンサ電圧が低い場合(特にフィルタコンデンサがゼロ電圧で初期充電を行う場合)は,共振回路による共振エネルギーを利用しながら前記コンデンサの充電を行うため,特にフィルタコンデンサの容量に比べて相対的にフィルタリアクトルのインダクタンスが小さい場合,従来技術のパルス間引き動作では,フィルタコンデンサが十分に充電しないうちに出力電流が急速に増加してしまい,最悪の場合,過電流で機器破壊に至ってしまうといった課題がある。また,出力電流が共振回路に流れる共振電流よりも大きくなると,ソフトスイッチングによるゼロ電流遮断ができなくなる。
【0012】
さらに,通常の連続動作では,変圧器に対し正負交互にパルス電圧がかかるが,パルス間引き動作を行った場合,パルス間引き動作に入る直前の最後のパルスの極性と,パルス間引き動作が解除され再度パルス電圧が印加される際のパルスの極性に注意する必要がある。例えば,パルス間引き直前のパルスの極性と,パルス間引き解除直後のパルスの極性が同じ場合,パルス間引きによるパルスの停止時間が短いと変圧器が偏磁してしまうといった課題がある。偏磁が拡大すると,変圧器が磁気飽和を起こして,励磁電流が増大したり,電圧波形が歪むといった問題が出る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題を解決するために本発明は,主回路として,直流電力を交流電力に変換する一次回路と,一次回路の出力する交流電力を入力する変圧器と,前記変圧器の出力する交流電力を直流電力に変換する二次回路と,前記二次回路の直流出力側に接続され共振用スイッチング素子と共振コンデンサの直列回路を含む共振回路と,前記二次回路の出力を平滑するフィルタ回路とを備え,一方,制御回路として,前記一次回路内の主スイッチング素子と共振用スイッチング素子へパルス幅変調されたゲート信号を供給するとともに,前記主スイッチング素子と共振用スイッチング素子のゲート信号を禁止して,オンパルスを間引く処理をする制御装置を備え,このオンパルスを間引く処理は,前記二次回路の出力側に接続されるフィルタコンデンサの電圧,すなわち直流出力電圧が,直流出力電圧指令値から所定の電圧だけ大きくなったとき,あるいは,直流出力電圧が所定の電圧未満の場合に,共振回路を含むDC−DCコンバータの回路定数と入力電源電圧に基づいてパルスのオン回数を決定する手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また,オンパルスを間引く処理において,間引き直前の最後に出力するパルスの符号とを記憶し,間引き直後の最初に出力するパルスの符号が記憶した符号と逆極性となるように1周期の途中でパルス出力を停止,再開できる手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
この結果,間引き動作における変圧器の偏磁を防ぎながら,粒度の細かい間引き処理を実施することによりDC−DCコンバータの出力側フィルタコンデンサの初期充電における過電流を抑制し,経済的に信頼性を上げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の望ましい実施形態によれば,パルス間引き処理において変圧器の偏磁を防きながら粒度の細かい間引き処理を実施することにより,初期充電時の過電流を抑制することで機器の破壊を防ぎ,システムの信頼性をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1,2における直流電源装置の主回路の構成例を示す図である。
図2図1に示した直流電源装置における動作波形を示す図である。
図3】本発明の実施例1における制御装置を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施例1におけるパルス間引き処理部の機能ブロック図である。
図5図1に示した直流電源装置の従来における,フィルタコンデンサ初期充電時の動作波形を示す図である。
図6図1に示した直流電源装置の従来における,フィルタコンデンサ初期充電時の,フィルタリアクトル電流とフィルタコンデンサ電圧の動作波形を示す図である。
図7】本発明の実施例1における,フィルタコンデンサ初期充電時の動作波形を示す図である。
図8】本発明の実施例1における,フィルタコンデンサ初期充電時の,フィルタリアクトル電流とフィルタコンデンサ電圧の動作波形を示す図である。
図9】本発明の実施例2におけるパルス間引き処理部の機能ブロック図である。
図10】直流電源装置の主回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は,本発明の実施例1,2を適用できる直流電源装置の主回路の構成例を示す図である。この直流電源装置は,直流電圧源10の電圧を入力し,直流を交流に変換する一次回路13,変圧器14,交流を直流に変換する二次回路15の組合せにより,絶縁して,電圧の異なる直流電圧を負荷20に供給するDC−DCコンバータによって構成されている。
【0020】
一次回路13は,直流電圧源10に並列接続された2つのフィルタコンデンサ11(FC11)および12(FC12)の直列回路に接続された3レベル回路である。すなわち,それぞれが逆並列ダイオードを有する4つの主スイッチング素子Q1〜Q4が直列接続され,2つずつの直列接続体が,それぞれ,上下アームを形成し,前記フィルタコンデンサ11(FC11)および12(FC12)に並列接続されている。また,上下のアーム内のそれぞれの主スイッチング素子の直列接続点間を,クランプダイオードD5,D6の直列接続回路で結び,かつ,これらダイオードD5,D6の直列接続点は,前記2つのフィルタコンデンサ11(FC11),12(FC12)の直列接続点に接続されている。そして,上下のアームの直列接続点aと,フィルタコンデンサ11(FC11)および12(FC12)の直列接続点bとの間が交流出力端子となり,変圧器14の一次巻線が接続されている。なお,前記直流電圧源10には,この電圧を検出する第4の電圧センサ22dが,前記フィルタコンデンサ11(FC11)および12(FC12)には,それらの電圧を検出する第1,第2の電圧センサ22a,22bが接続されている。
【0021】
一次回路13の交流出力電力を入力する変圧器14は,降圧した交流電力を二次回路15に出力する。二次回路15の直流出力側には,共振スイッチ16(Qz)と共振コンデンサ17の直列回路が接続され,共振スイッチ16がオンすると,変圧器14のインダクタンスによる共振リアクトルLzとにより共振回路が形成される。ここでは,共振スイッチ16(Qz)と共振コンデンサ17の直列回路を共振回路21と呼ぶことにする。なお,変圧器14の出力電流を検出する電流センサ23が設けられている。また,二次回路15の出力する直流電力を平滑化するフィルタリアクトル18(Ld)とフィルタコンデンサ19(FC2)が接続され,このフィルタコンデンサ19の両端電圧が,負荷20に供給される。なお,フィルタコンデンサ19(FC2)の電圧を検出する第3の電圧センサ22cが設けられている。
【0022】
以上の主回路構成に対し,制御回路として,第1〜第4の電圧センサ22a〜22dと,電流センサ23の出力信号を入力し,一次回路13を構成する主スイッチング素子Q1〜Q4および共振スイッチ16を構成するスイッチング素子Qzのゲートパルス信号G1〜G4およびGzを出力する制御装置24が備えられている。
【0023】
このDC−DCコンバータは,一次回路13内の主スイッチング素子Q1,Q4のターンオフのタイミングに合わせて共振スイッチ16を動作させ,共振電流Izを変圧器14の二次電流I2に重畳させることによって,一時的に二次電流I2をゼロ,一次電流I1を変圧器14の励磁電流のみのレベルまでに低減させることができる。このタイミングに合わせて一次回路13内の主スイッチング素子Q1,Q4をターンオフさせることで,一次回路13のターンオフ損失を大幅に低減させることができる。
【0024】
一次回路13を構成する主スイッチング素子Q1〜Q4がオフしている間,一次電流I1および二次電流I2はゼロとなっているが,二次回路15を構成するダイオードには還流電流が流れ続けている。その状態から,一次回路13を構成する主スイッチング素子Q1とQ2あるいはQ3とQ4がターンオンすると,一次電流I1と二次電流I2が流れ始め,二次電流I2の大きさは負荷電流Idに一致する。このとき,二次回路15を構成するダイオードの半数には二次電流I2と同じ大きさの電流が流れ,残りの半数のダイオードは電流ゼロとなる。
【0025】
このようなDC−DCコンバータにおいては,通常動作の場合,例えば,主スイッチング素子Q1,Q2がオフするに先だって,共振スイッチQzがオンして,共振電流を流した後に,主スイッチング素子Q1,Q2と共振スイッチQzがオフすることによって,ゼロ電流遮断が可能となる。
【0026】
図2は,図1に示した直流電源装置の主回路における動作波形を示す図である。この動作波形を用いて,図1の直流電源装置の通常の動作を説明する。
【0027】
時刻t0において,主スイッチング素子Q1がオフ,Q2がオン状態である。この状態から,時刻t1において主スイッチング素子Q1がターンオンし,主スイッチング素子Q1,Q2には電流Ipが流れる。このとき,二次回路15のダイオードD21,D24には電流Irが流れる。
【0028】
時刻t2において,共振スイッチQzがターンオンする。これによって共振リアクトルLzと共振コンデンサCzによって共振電流Izが流れ,共振コンデンサCzが充電される。この共振動作に伴って,主スイッチング素子Q1,Q2に流れる電流Ipと,ダイオードD21,D24を流れる電流Irも増加する。
【0029】
その後,時刻t3で,主スイッチング素子Q1と共振スイッチQzのゲート信号がオフになるが,共振コンデンサCzが放電状態となっており,このとき負荷電流Idは共振回路21から供給されている状態であり,ダイオードD21,D24の電流Irはゼロになっている。したがって,このとき主スイッチング素子Q1,Q2を流れる電流Ipも,僅かに変圧器Trの励磁電流分だけが流れている。したがって,主スイッチング素子Q1と共振スイッチQzがオフすることによって,ソフトスイッチングが可能となる。
【0030】
時刻t4では,主スイッチング素子Q3がターンオンする。このとき,共振コンデンサCzからの放電が終わった状態では,二次回路15のダイオードD21〜D24には負荷電流Idが還流して流れている。
【0031】
時刻t5では,主スイッチング素子Q2がターンオフする。Q2に流れている電流は,通常動作時には,転流によって還流するわずかな電流しか流れずほぼゼロであるため,スイッチング損失は極小である。
【0032】
時刻t6では,主スイッチング素子Q4がターンオンし,主スイッチング素子Q3,Q4には電流Inが流れる。このとき,二次回路15のダイオードD22,D23には電流Ioが流れる。
【0033】
時刻t7において,共振スイッチQzがターンオンする。これによって共振リアクトルLzと共振コンデンサCzによって共振電流Izが流れ,共振コンデンサCzが充電される。この共振動作に伴って,主スイッチング素子Q3,Q4に流れる電流Inと,ダイオードD22,D23を流れる電流も増加する。
【0034】
その後,時刻t8では,主スイッチング素子Q4と共振スイッチQzのゲート信号がオフになるが,共振コンデンサCzが放電状態となっており,このとき負荷電流は共振回路21から供給されている状態であり,ダイオードD22,D23の電流Irはゼロになっている。したがって,このとき主スイッチング素子Q3,Q4を流れる電流Inも,僅かに変圧器Trの励磁電流分だけが流れている。したがって,主スイッチング素子Q4と共振スイッチQzがオフすることによって,ゼロ電流遮断が可能となり,ターンオフに伴うスイッチング損失を極小化できる。
【0035】
時刻t9では,主スイッチング素子Q2がターンオンする。このとき,共振コンデンサCzからの放電が終わった状態では,二次回路15のダイオードD21〜D24には負荷電流Idが還流して流れている。
【0036】
時刻t10では,主スイッチング素子Q3がターンオフする。Q3に流れている電流は,通常動作時には,転流によって還流するわずかな電流しか流れずほぼゼロであるため,スイッチング損失は極小である。
【0037】
以上のようにして,図1に示すDC−DCコンバータを用いた直流電源装置における一次回路の主スイッチング素子のゼロ電流遮断を実現している。
【0038】
図3は,本発明の実施例1における制御装置を示す機能ブロック図であり,図1における制御装置24の具体的な構成例を示す。直流電源装置の制御装置24は,第3の電圧センサ22cの出力信号を入力する第1のA/D変換器101aと,第1の電流センサ23の出力信号を入力する第2のA/D変換器101bと,第1の電圧センサの出力信号を入力する第3のA/D変換器101cと,第2の電圧センサの出力信号を入力する第4のA/D変換器101dと,第4の電圧センサ22dの出力信号を入力する第5のA/D変換器101eと,直流出力電圧指令Vd*と第1のA/D変換器101aの出力信号(直流出力電圧)Vdの偏差を求める第1の減算器102aと,第1の減算器102aの出力信号を入力して負荷電流指令Id*を出力する第1のPI制御器104aと,第1のPI制御器104aの出力する負荷電流指令Id*と第2のA/D変換器101bの出力信号(負荷電流推定値)Id’の偏差を求める第2の減算器102bと,第2の減算器102bの出力信号を入力する第2のPI制御器104bと,第2のPI制御器104bの出力信号と第1のA/D変換器101aの出力信号(直流出力電圧)Vdを加算する加算器103aと,第3のA/D変換器101cの出力信号と第4のA/D変換器101dの出力信号を加算する加算器103bと,加算器103bの出力信号を1/2で乗算する乗算器105aと,加算器103aの出力信号を乗算器105aの出力信号で除算する除算器106と,除算器106の出力信号と変圧器14の巻数比nを乗算し通流率γを演算する乗算器105bと,直流出力電圧指令Vd*と,第1のA/D変換器101aの出力信号(直流出力電圧)Vdと第5のA/D変換器101eの出力を入力し,パルス間引き処理を行って,パルスオフ信号POFF_FLGを出力するパルス間引き処理部108と,通流率γと,主スイッチング素子Q1〜Q4および共振スイッチQzをオンさせるオン指令ONcと,パルスオフ信号POFF_FLGを入力し,主スイッチング素子Q1〜4のゲートパルス信号G1〜4および共振スイッチQzのオンゲート信号Gzを出力するゲートパルス制御装置107から構成される。
ここで,ゲートパルス制御装置107は,オン指令ONcがオンのとき,通流率γに応じたパルス幅のゲートパルス信号G1〜G4を出力し,ゲートパルス信号Gzを所定のタイミングで出力する。また,パルスオフ信号POFF_FLGがオンのとき主スイッチング素子Q1,Q4のゲートパルス信号G1,G4,および共振スイッチQzのゲートパルス信号Gzをオフとする。さらに,ゲートパルス制御装置107は,オン指令ONcがオン中で,パルスオフ信号POFF_FLGがオンするタイミングで,最後に出力するゲートパルス信号を記憶し,その後パルスオフ信号POFF_FLGがオフするタイミングで,パルスオフの直前に出力したゲートパルス信号の極性と逆極性になるゲートパルス信号を出力する。例えば,ゲートパルス信号G1,G2をオン出力してパルスオフした場合,再度ゲートパルスのオン出力を再開するときは,ゲートパルス信号G3,G4を最初にオン出力するように動作する。
【0039】
図4は,本発明の実施例1におけるパルス間引き処理部108の機能ブロック図である。比較演算器201aは,直流出力電圧Vdと直流出力電圧指令Vd*と間欠運転基準電圧Vd_CINT_BSを入力し,直流出力電圧Vdが直流出力電圧指令Vd*に間欠運転基準電圧Vd_CINT_BSを加算した結果より大きければ,間欠運転条件成立フラグCINT_FLGをオン出力する。また,直流出力電圧Vdが直流出力電圧指令Vd*に一致するか,あるいは,所定の電圧(例えば直流出力電圧指令Vd*に間欠運転基準電圧Vd_CINT_BSを減算した値)より低ければ間欠条件成立フラグCINT_FLGをオフ出力する。
【0040】
比較演算器201bは,直流出力電圧Vdと,パルス間引き動作電圧Vd_PINT_LVを入力し,直流出力電圧Vdがパルス間引き動作電圧より低ければ,充電未完フラグDNCHG_FLGを出力する。
【0041】
パルス間引き数演算部202は,充電未完フラグDNCHG_FLGと直流電源電圧Eを入力し,パルス間引き条件成立フラグを出力する。
【0042】
ここで,パルス間引き数演算部202は,充電未完フラグDNCHG_FLGがオンの時に,直流電圧源の電圧Eを基に,連続的に出力できるパルスの数を決定し,出力されたパルスの数が所定の値以上となったら,パルス間引き条件成立フラグPINT_FLGをオン出力する。その後,連続的にオフする時間を決定し所定の時間経過後,パルス間引き条件成立フラグPINT_FLGをオフ出力する。
【0043】
論理和演算器203は,間欠運転条件成立フラグCINT_FLGとパルス間引き条件成立フラグPINT_FLGを入力し,論理和演算を行った結果をパルスオフ信号POFF_FLGとして出力する。これによりパルスオフ条件成立フラグ203がオンのタイミングでは主スイッチング素子Q1,Q4と共振スイッチQzのパルス出力が停止しオフのままとなり,パルスの間引き動作が行われる。
【0044】
以下パルス間引き数演算部202でのパルスオン回数,パルス間引き時間の設定方法と,フィルタコンデンサ19の初期充電時における動作例について詳細に説明する。
【0045】
例えば,変圧器や配線,スイッチング素子での損失がないものとして,直流電圧源10の電圧をEaとし,共振リアクトルLzのインダクタンスをLza,共振コンデンサ17の容量をCza,変圧器14の巻数比をn(=1次側巻数/2次側巻数),フィルタコンデンサ19の初期電圧値をゼロとする。初期充電時においては,ソフトスイッチングのため,通流率γを共振回路の共振周期の3/4相当で制限している最低通流率となっている。このため,図2に示した通常動作の波形に対し,図5に示すような充電動作特有の電圧,電流波形となる。この充電時の動作について図5を用いながら説明する。なお,図5では簡単のため,主スイッチング素子Q2,Q3の動作は省略している。
【0046】
時刻t11において,主スイッチング素子Q1がオンし,これと同時に共振スイッチQzがオンする。これにより共振電流が流れ,共振コンデンサCzが充電される。このときの電流をiz,時刻をt,共振リアクトルLzと共振コンデンサ17の共振角周波数をωz,共振周期をTzとすると,izは数1にて表される。
【0047】
【数1】
【0048】
また,共振コンデンサ17の充電電圧Vczは数2にて表される。
【0049】
【数2】
【0050】
いま,共振周期1周期中での共振コンデンサ17の最大電圧Vczmは,時刻が共振周期Tzの1/2のときで数2に数1を代入すると,
【0051】
【数3】
【0052】
となり,最大電圧は変圧器14の2次側出力電圧(Ea/2n)の2倍まで充電される。このときの共振エネルギーEzは数4となる。
【0053】
【数4】
【0054】
また,簡単のため,主スイッチング素子Q1またはQ4がオンの間,フィルタリアクトル18のダイオードD21,D23および共振コンデンサ17との接続側の電圧を変圧器14の2次側出力電圧(Ea/2n)一定として,フィルタリアクトル18に流れる電流ILdaは,フィルタコンデンサ19の初期電圧はゼロなので,フィルタリアクトル18のインダクタンスをLda,パルスオン時間をtonとすると数5のようになり,このエネルギーはELdxとなる。なおパルスオン時間tonは,通流率γを共振回路の共振周期の3/4相当で制限している最低通流率に相当する時間となる。
【0055】
【数5】
【0056】
【数6】
【0057】
主スイッチング素子Q1と共振スイッチQzがオフした後の時刻t12では,数6に数4の共振エネルギーが加算された分のエネルギー分の電流が,フィルタコンデンサ19の最大充電電流として,フィルタリアクトル18,フィルタコンデンサ19,共振回路21を還流して流れる。この電流ILdbは,リアクトルのエネルギーの式から数7となる。つまり,初期充電においては,パルス1回あたり数7に示す電流分増加する。1パルスだけオンパルスを出力したとき,図5の時刻t13での電流ILdbがこれに相当する。
【0058】
【数7】
【0059】
共振コンデンサ17が放電しきると,フィルタリアクトル18,フィルタコンデンサ19,ダイオードD21〜D24を還流して電流が流れる。時刻t14で主スイッチング素子Q4と共振スイッチQzがオンし,2パルス目が出力される。2パルス目は,数7により求めた1パルス目の電流ILdbに数5で求まる2パルス目でのILdaを加算し,数6により2パルス目でのエネルギーELdxを求め,数6に当てはめることで2パルス目でのフィルタリアクトル18の電流ILdbが求まる。図5の時刻t16での電流ILdがこれに相当する。3パルス目以降は,これを繰り返すことで,オンパルスの回数によるフィルタリアクトル18の電流ILdbが求まる。
【0060】
通常は,共振リアクトルLzと共振コンデンサ17の共振周期に対し,フィルタリアクトル18とフィルタコンデンサ19の共振周期は十分大きく,(すなわち,共振リアクトルLzのインダクタンスおよび共振コンデンサ17の静電容量に対し,フィルタリアクトル18のインダクタンスとフィルタコンデンサ19の静電容量は十分に大きく),フィルタコンデンサ19の静電容量は大きい。このため,図6に示すように,フィルタコンデンサ19はすぐには充電されないので,フィルタコンデンサ19の電圧Vdはすぐに上昇せず,また,パルスがオフしている期間でのフィルタリアクトル18を流れる電流ILdはほとんど減少しないため,数7に示した充電電流,すなわち図6のILdがスイッチングを行う(オンパルスを出力する)たびに増加し,共振動作に伴って急速に増加していく。このため,フィルタコンデンサ19の電圧がゼロからの初期充電時は,フィルタリアクトル18に流れる電流ILdが急増し過電流となってしまう。
【0061】
さらに,フィルタリアクトル18の電流が共振電流の最大値,すなわち数1より
【0062】
【数8】
【0063】
を上回ると,共振回路21から放電される電流だけではフィルタリアクトル18に流れる電流(充電電流)が不足し,不足分の電流はフィルタリアクトル18と変圧器14,ダイオードD21〜D24を通る経路で流れることになる。このため,変圧器14の二次電流をゼロにできなくなり,主スイッチング素子Q1〜Q4の遮断すべき一次電流を励磁電流レベルにまで低減できなくなり,ソフトスイッチングすることができなくなる。従って,初期充電時においてもソフトスイッチングを実現させるためには,フィルタリアクトル18に流れる電流を共振電流以下となるようにオンパルスの回数をパルス間引き数演算部202によって制限する。
【0064】
いま,直流電圧源の電圧Eaが定格電圧のとき初期充電時の最初のパルス動作にオンパルスをたとえば5回出力した場合においてフィルタリアクトル18を流れる電流ILdが出力電流の上限値に達したとする。
逆にフィルタリアクトル18に流れる電流を前述の上限値以下に制限したい場合には,このオンパルスを連続5回(2周期半)動作させ,その後は間引き処理によりパルスを停止させればよい。このようにしてパルス間引き数演算部でのパルスオン回数を決定すればよい。
【0065】
また,直流電圧源の電圧Eaが定格電圧より高電圧のときは,共振電流による供給エネルギーが大きくなるため,フィルタリアクトル18に流れる電流を前述の上限値以下に制限したい場合には,連続オンパルス回数を定格電圧時よりも少なくする必要がある。一方,直流電圧源の電圧Eaが定格電圧より低電圧の場合には,共振電流による供給エネルギーが小さくなるため,フィルタリアクトル18に流れる電流を前述の上限値以下に制限したい場合は,連続オンパルス回数を定格電圧時よりも多くすることができる。このように,直流電圧源の電圧によってフィルタリアクトルの電流を制限するための最大の連続オンパルス回数が変わるため,直流電圧源の電圧変動が大きい場合には,直流電圧Eに基づいて,オンパルス数を変えるようにしたほうがよい。
【0066】
さらに,直流電圧源の電圧Eは必ずしも,直接直流電圧源の電圧を検出する必要は無く,フィルタコンデンサ11,12の電圧の和を基に連続オンパルス回数を決定してもよい。
【0067】
初期充電動作においては,直流出力電圧指令Vd*を目標値に対して所定の変化量を持たせて立ち上げるようにし,パルス間引き動作によって所定のパルス数を出力した後,フィルタリアクトル18の電流が減少するのと同時にフィルタコンデンサ19の充電電圧が徐々に増加し,パルスオフ期間中に間欠運転条件成立フラグCINT_FLGがオン出力となることによって,パルスオフ状態が継続する。パルス間引き数演算部202によるパルスオフの時間は,パルスオフ中のフィルタリアクトル18の電流(この傾きは(出力電圧/フィルタリアクトルのインダクタンス)となる)がある程度減少し,フィルタコンデンサ19の電圧がある程度上昇するまでの時間オフする必要がある。ただし,通常は,初期充電動作における直流出力電圧指令Vd*の立上げ変化量に対し,フィルタリアクトル18の電流減少とフィルタコンデンサ19の電圧上昇が十分早く,このパルス間引き数演算部202のパルスオフ時間は,必ずしもフィルタリアクトル18の電流がゼロになるまでの時間分確保する必要は無く,フィルタリアクトル18とフィルタコンデンサ19の共振周期の1/4以下よりも小さい値に設定しても十分である。この間欠運転条件成立フラグCINT_FLGがオン出力の間に,パルス間引き数演算部202の出力であるパルス間引き条件成立フラグPINT_FLGはオフ出力となり,その後,出力電圧指令Vd*が上昇し,間欠運転条件成立フラグCINT_FLGがオフ出力となることにより,パルス出力が再開され,充電動作が継続される。パルス出力再開時点では,フィルタコンデンサ19の電圧が上昇しているので,同じオンパルス数で,フィルタコンデンサ19の電圧がゼロの状態から充電動作するよりもフィルタリアクトル18の電流の上昇は抑えられる。
また,このパルス間引きの動作においては,ゲートパルス制御装置107によって,パルス間引きを行う直前のパルスの極性と,パルス間引きが解除され再度パルス出力が再開するときの極性は,図7の時刻t14,t15と,t21,t22に示すように逆極性となるように動作するため,変圧器14の偏磁を防ぐことができる。
このように,初期充電時のオンパルス数を予め設定し,オンパルスを間引く動作を行うことによって,図7図8に示すようにフィルタリアクトルに流れる電流が過電流とならないように抑制し,同時に変圧器の偏磁も防ぐことができる。本構成は,フィルタリアクトル18に流れる電流を検出して,所定の電流値以上になったらパルスを間引いて過電流を抑制するような構成とするよりも,フィルタリアクトル18を流れる電流を検出する電流センサが不要となるため,コスト低減できると共に、装置の経済的に信頼性を上げることができる。
【実施例2】
【0068】
図9は,本発明の実施例2におけるパルス間引き処理部108の機能ブロック図である。図4との相違点は,パルス間引き数演算部202に直流出力電圧Vdを入力している点である。これにより,パルスオフ間引き数演算部202でのパルス間引き条件成立フラグPINT_FLGのオン出力からオフ出力への切り替えを,所定の時間後に行うのではなく,直流出力電圧Vdに基づいて行う。パルス間引き数演算部202でのオンパルス回数とオンパルスを出力する時点での直流出力電圧Vdとから充電される電圧値を予測し,予測電圧に到達したところで,パルス間引き条件成立フラグPINT_FLGのオン出力からオフ出力へ切り替えて充電動作を継続する。予測電圧にほぼ到達している時点では,フィルタリアクトル18を流れる電流は小さくなっているため,この時点からパルス出力を再開して充電動作を継続する。予測電圧は,数7によりオン回数から求まる電流値ILdbのエネルギー分で充電される充電電圧ΔVc程度まで,直流出力電圧Vdが上昇した電圧とする。充電電圧ΔVcは数9による。
【0069】
【数9】
【0070】
上記した各実施例においては、一次回路として図1に示すような3レベル出力回路を適用した例を説明したが、図10に示すような2レベル出力回路にも適用することが可能である。この場合、図10におけるQ1及びQ4のスイッチングタイミングは、図2におけるQ1、図10におけるQ2及びQ3のスイッチングタイミングは、図2におけるQ4に置き換えられる。また、図5及び図7におけるQ1を図10におけるQ1及びQ4と、図5及び図7におけるQ4を図10におけるQ2及びQ3と置き換えることで、図10の回路においても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0071】
10…直流電圧源,11,12…フィルタコンデンサ,13…一次回路,14…変圧器,15…二次回路,16…共振スイッチ(Qz),17…共振コンデンサ,18…フィルタリアクトル,19…フィルタコンデンサ,20…負荷,21…共振回路,22a〜22d…電圧センサ,23…電流センサ,24…制御装置,101a〜101e…A/D変換器,102a,102b…減算器,103a,103b…加算器,104a,104b…PI制御器,105a,105b…乗算器,106…除算器,107…ゲートパルス制御装置,108…パルス間引き処理部,201a,201b…比較演算器,202…パルス間引き数演算部,203…論理和演算器,D5,D6…クランプダイオード,D21〜D24…整流ダイオード,E…直流電圧源の電圧,G1〜G4…Q1〜Q4へのオンゲート信号,Gz…共振スイッチQzへのオンゲート信号,I1…一次電流,I2…二次電流,Id…負荷電流,Id*…負荷電流指令,Ip,In…インバータ内電流,Io,Ir…コンバータ内電流,Iz…共振電流,Lz…共振リアクトル,ONc…オン指令信号,Q1〜Q4…インバータ内主スイッチング素子,Qz…共振スイッチ,Vd…直流出力電圧,Vd*…直流出力電圧指令,γ…通流率
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10