特許第6018875号(P6018875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018875
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】車両用ランプの点灯制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   B60Q1/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-230491(P2012-230491)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-80143(P2014-80143A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】紅林 俊彦
【審査官】 丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−118510(JP,A)
【文献】 特開2006−073400(JP,A)
【文献】 特開2004−051080(JP,A)
【文献】 特開2001−260777(JP,A)
【文献】 特開2009−006979(JP,A)
【文献】 特開2007−145188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のランプハウジングに組み込まれた主体となるランプと、前記第1のランプハウジングとは別体に構成された第2のランプハウジングに組み込まれて前記主体となるランプとは別体のランプとを含む複数のランプと、前記複数のランプの点灯を制御する点灯制御手段とを備える車両用ランプの点灯制御システムであって、前記第1のランプハウジングには、前記主体となるランプの点灯動作を行う第1のランプ点灯回路と、前記点灯制御手段から出力される点灯制御信号に基づいて所要の点灯信号を出力する制御回路が内装され前記第2のランプハウジングには、前記別体のランプの点灯動作を行う第2のランプ点灯回路が内装され、前記第1および第2のランプ点灯回路は前記制御回路から出力される点灯信号に基づいて点灯動作を行うことを特徴とする車両用ランプの点灯制御システム。
【請求項2】
前記主体となるランプと別体のランプはそれぞれ光源として半導体発光素子を備えており、前記第1のランプ点灯回路と前記第2のランプ点灯回路はそれぞれの半導体発光素子を発光するための同一構成の発光素子駆動回路として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプの点灯制御システム。
【請求項3】
前記別体のランプは同一の光源を異なる光度で点灯する複数のランプとして構成されており、前記制御回路から出力される点灯信号は変調された信号であり、前記第2のランプ点灯回路は当該点灯信号に基づいて当該光源を異なる光度で発光する点灯動作を行う構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ランプの点灯制御システム。
【請求項4】
前記主体となるランプと前記別体のランプは共通の電源ラインを有しており、前記点灯制御手段は当該共通の電源ラインをオン・オフ制御する構成であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用ランプの点灯制御システム。
【請求項5】
前記主体となるランプと前記点灯制御手段は前記点灯制御信号を伝送する主点灯制御ラインで接続され、前記主体となるランプと前記別体のランプは前記点灯信号を伝送する副点灯制御ラインで接続されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用ランプの点灯制御システム。
【請求項6】
前記第1のランプ点灯回路と前記制御回路はランプ制御手段として一体に構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用ランプの点灯制御システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のランプで構成される車両用ランプの点消灯や光度を制御するための点灯制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車には、HL(ヘッドランプ)のような主となるランプに加えて、CLL(クリアランスランプ)やDRL(デイタイム・ランニングランプ)のような補助となるランプが設けられる。近年の自動車ではこれら複数のランプを自動車の各種制御を行うための点灯制御装置として、ボディECU(電子制御ユニット)を利用して点灯制御を行う点灯制御システムが提供されている。例えば、図6はCLLとDRLを備えたHLの点灯制御システムの概念構成図であり、ここでは自動車の片側、例えば左側に装備されるランプについてのみ図示している。HL100は走行ビームでの照明を行うHiL(ハイビームランプ)と、すれ違いビームでの照明を行うLoL(ロービームランプ)を1つのランプハウジングに内装し、これと別体のランプハウジング内にCLLとDRLを一体に組み込んだDRL/CLL101を備えている。HiLはバルブBULを光源とし、LoLはLED駆動回路102により発光されるLED1(発光ダイオード)を光源としている。また、CLLとDRLは1つのLED2(発光ダイオード)を共通光源としており、このLED2の発光時の光度をLoLと同様のLED駆動回路102により切り替えることによってCLLまたはDRLランプとして点灯を制御している。
【0003】
このHL100とDRL/CLL101はボディECU(B−ECU)103によって点灯制御されるようになっている。このボディECU103は運転者によって操作されるランプスイッチSWの切り替え状態や、自動車の走行環境の明るさを検出する照度センサSの検出出力に基づいて点灯制御信号を生成し、この点灯制御信号に基づいてエンジンルーム内に配設されているリレーボックス内の4つのリレースイッチRL11〜RL14を制御する。これらのリレースイッチRL11〜RL14はそれぞれ前記HiL,LoL,CLL,DRLにつながる各電源ラインL11〜L14をオン・オフ制御するように配線接続されており、ボディECU103はこれらのリレースイッチRL11〜RL14をそれぞれ制御することによって各ランプの点灯を制御している。図示しない右側のランプについても同じであるが、ここでは1つのリレースイッチで左右の各ランプを同時に制御しているので4個のリレースイッチRL11〜RL14で構成できる。そのため、これら4つのリレースイッチRL11〜RL14を内蔵するリレーボックスが大型化するとともに、これら各リレースイッチRL11〜RL14をそれぞれボディECU103に接続する制御ラインLcや、各リレースイッチRL11〜RL14を各ランプHiL,LoL,CLL,DRLに接続するための電源ラインL11〜L14を構成するハーネス本数が極めて多くなり、配線構造が複雑化するという問題もある。
【0004】
これに対し、特許文献1では複数のランプのそれぞれに電装コネクタを配設し、ボディECUに相当する制御ECUからの信号に基づいて各電装コネクタがそれぞれのランプの点灯制御を行う技術が提案されている。この技術は各電装コネクタが各ランプへの電源を制御するので図6に示したようなランプ数に対応する多数のリレースイッチが不要になるが、それに代えてランプ数に対応した数の電装コネクタが必要であり、システムの構成が複雑なものになる。また、制御ECUと各ランプとを接続する電源ラインや制御ラインの数も多く、ハーネス数を低減することも難しい。
【0005】
このようなことから、近年では、複合型HLに1つのランプECUを配設し、このランプECUによってHiL,LoL,CLL,DRLを点灯制御するシステムが提案されている。すなわち、ボディECUからの信号によってリレースイッチを制御してランプECUへの電源供給を制御し、同時にボディECUからの点灯制御信号によりランプECUが各ランプを点灯制御する構成である。このようにすれば、HL用に1つのリレースイッチを備えるのみでよいため小型化が可能になるとともに、ボディECUとランプECU、すなわち複合型HLとを各1本の電源ラインと制御ラインとで接続すればよく、ハーネスの本数を低減して配線構造が簡略化できる。
【0006】
しかし、この技術は複数のランプを1つの複合型ランプとして1つのランプハウジング内に組み立てたランプには適用できるが、これら複数のランプが独立したランプとして構成されたランプの場合、例えば、図6に示したようにCLLとDRLを一体化してHLとは別体のランプ(以下、C/DLと称する)として構成したような場合には、HLに内装したランプECUによって別体のC/DLを点灯制御することができなくなる。したがって、HLを構成しているHiLとLoLに対する電源ラインは1本で構成できるが、C/DLに対してはCLLとDRLにそれぞれリレースイッチを介して電源ラインを接続する必要があり、結果として合計で3つのリレースイッチと3本の電源ラインが必要になり、ハーネス本数を低減することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−62594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように従来の点灯制御システムはランプ数に対応してリレースイッチの数や、電源ラインと制御ライン等のハーネス本数が多くなるという問題がある。この問題を解決するためにランプECUを備えて点灯を一括制御するように構成した場合でも、一部のランプを別体のランプとして構成した場合にはリレースイッチの低減効果やハーネス本数の低減効果が得られなくなるという問題があり、点灯制御システムの簡易化やコストの削減を実現することが難しいという問題がある。
【0009】
本発明の目的は構成部品点数を削減するとともにハーネス本数を低減し、システム構成の簡略化と低コスト化を測った車両用ランプの点灯制御システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は第1のランプハウジングに組み込まれた主体となるランプと、この第1のランプハウジングとは別体に構成された第2のランプハウジングに組み込まれて前記主体となるランプとは別体のランプとを含む複数のランプと、前記複数のランプの点灯を制御する点灯制御手段とを備える車両用ランプの点灯制御システムであって、前記第1のランプハウジングには、前記主体となるランプの点灯動作を行う第1のランプ点灯回路と、前記点灯制御手段から出力される点灯制御信号に基づいて所要の点灯信号を出力する制御回路が内装され、前記第2のランプハウジングには、前記別体のランプの点灯動作を行う第2のランプ点灯回路が内装され、前記第1および第2のランプ点灯回路は前記制御回路から出力される点灯信号に基づいて点灯動作を行うことを特徴としている。
【0011】
本発明において、主体となるランプと別体のランプはそれぞれ光源として半導体発光素子を備えており、第1のランプ点灯回路と第2のランプ点灯回路はそれぞれの半導体発光素子を発光するための同一構成の発光素子駆動回路として構成されることが好ましい。また、別体のランプは同一の光源を異なる光度で点灯する複数のランプとして構成されており、制御回路から出力される点灯信号は変調された信号であり、第2のランプ点灯回路は当該点灯信号に基づいて当該光源を異なる光度で発光する点灯動作を行う構成であることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、主体となるランプと別体のランプは共通の電源ラインを有しており、点灯制御手段は当該共通の電源ラインをオン・オフ制御する構成とすることが好ましい。また、主体となるランプと点灯制御手段は点灯制御信号を伝送する主点灯制御ラインで接続され、主体となるランプと別体のランプは点灯信号を伝送する副点灯制御ラインで接続される構成とする。さらに、第1のランプ点灯回路と制御回路はランプ制御回路として一体に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1のランプハウジングに組み込まれている主体となるランプの第1のランプ点灯回路と、第2のランプハウジングに組み込まれている別体のランプの第2のランプ点灯回路に、枝分かれした1本または2本の電源ラインを接続し、点灯制御手段は1本の主点灯制御ラインを主体となるランプの制御回路に接続し、さらに制御回路を別体のランプの第2のランプ点灯回路に1本の副点灯制御ラインで接続することにより複数のランプの点灯制御が実現できる。したがって、点灯制御手段と各ランプを接続するためのハーネス本数を低減してシステムの構成の簡易化を図り、かつシステムを容易に構築することができる。
【0014】
本発明によれば、第1のランプ点灯回路と第2のランプ点灯回路はそれぞれの半導体発光素子を発光するための同一構成の発光素子駆動回路として構成されるので、同一の駆動回路を利用して各ランプ点灯回路を構成することができ、部品種類を削減することができる。
【0015】
本発明によれば、主体となるランプの制御回路から変調された点灯信号を出力し、この点灯信号により第2のランプ点灯回路は別体のランプの光源を異なる光度で発光するので、1つのランプで光源とランプ点灯回路を共通化した複数のランプが構成でき、部品点数が削減できる。
【0016】
本発明によれば、主体となるランプと別体のランプは共通の電源ラインを有して点灯制御手段は当該共通の電源ラインをオン・オフ制御する構成とすることで、電源ラインを削減することができる。また、主体となるランプと点灯制御手段は点灯制御信号を伝送する主点灯制御ラインで接続され、主体となるランプと別体のランプは点灯信号を伝送する副点灯制御ラインで接続される構成とすることで点灯制御ラインを削減することができる。さらに、第1のランプ点灯回路と制御回路はランプ制御回路として一体に構成することにより、部品点数の削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のランプ点灯制御システムを装備した自動車の一例の概略斜視図。
図2】本発明の点灯制御システムの実施形態のブロック図。
図3】本発明の点灯制御システムの要部のブロック図。
図4】ボディECUの動作を説明するフローチャート。
図5】ランプECUの動作を説明するフローチャート。
図6】従来の点灯制御システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の点灯制御システムを装備した自動車CARの概略斜視図であり、図2は当該点灯制御システムのブロック図である。図1に示すように、本発明にかかる車両用ランプは、主体となるランプとして左右のHL1(ヘッドランプ:前照灯)、すなわちL(左)−HL,R(右)−HLを備えている。また、別体のランプとしてCLL(クリアランスランプ:車幅灯)とDRL(デイタイム・ランニングランプ:昼間走行ランプ)を一体化した左右の補助ランプ2(ここではL−C/DL,R−C/DLと称する)を備えている。前記L−HL,R−HLは自動車CARの前面の左右にそれぞれ配設されており、前記L−C/D,R−C/DLは前記R−HLとL−HLからそれぞれ離れた当該自動車CARの前バンパーの左右にそれぞれ配設されている。そして、これらの各ランプR−HL,L−HL,R−C/DL,L−C/DLは自動車CARの車室側の一部に設けられたボディECU(B−ECU)3によって点灯制御されるようになっている。このボディECU3は本発明の点灯制御手段を構成するものであり、運転席に設けられたランプスイッチSWと自動車の所定位置に配設された照度センサSが接続され、このランプスイッチSWの操作および照度センサSの検出出力に基づいて当該点灯制御を実行するようになっている。
【0019】
主体となるランプとしての前記L−HLとR−HLは、図2にL−HL1で代表して示すように、1つのランプハウジング10内にHiL(ハイビームランプ:走行ランプ)とLoL(ロービームランプ:すれ違いランプ)が一体的に組み込まれている。前記HiLはハロゲンバルブあるいは放電バルブ11を光源とするランプであり、前記LoLはLED(発光ダイオード)12を光源とするランプである。なお、このLED12を第1LEDと称する。また当該L−HLのランプハウジング10内には本発明のランプ制御手段を構成する1つのランプECU13が内装されており、このランプECU13によって前記HiLとLoLの点灯が制御される。このランプECU3は、詳細を後述する制御回路16と、前記バルブ11を発光させるためのバルブ発光回路14と、前記第1LED12を発光させる第1LED駆動回路15とで構成されている。この第1LED駆動回路15は本発明における第1ランプ点灯回路を構成することになる。
【0020】
別体のランプとしての前記L−C/DL,R−C/DLは、同図にL−C/DL2で代表して示すように、CLLとDRLを兼用するランプとして構成されており、光源として1つのLED21をランプハウジング20内に内装している。このLED21を第2LEDと称する。ここでは、この第2LED21を高光度で発光したときに当該C/DL2をDRLとして点灯し、それよりも相対的に低光度で発光したときに当該C/DL2をCLLとして点灯するように構成されている。また、このランプハウジング20内には前記第2LED21を発光させる動作を行う第2LED駆動回路22が配設されている。この第2LED駆動回路22は本発明における第2ランプ点灯回路を構成することになる。
【0021】
本発明の点灯制御手段としての前記ボディECU3は、前記L−HL1やL−C/DL2の近傍位置、例えば図1に示したようにエンジンルーム内に配設されたリレーボックスRLB内の1つのリレースイッチRL1に対して電源制御ラインLcで接続され、この電源制御ラインLcを通して当該リレースイッチRL1をオン・オフ制御することが可能とされている。このリレースイッチRL1は図示しない車載バッテリ(+B)と前記L−HL1のランプECU13を接続する電源ラインL0に介装されており、オン・オフ制御されることによってランプECU13に対して当該車載バッテリ電力を供給するようになっている。この電源ラインL0は一部において分岐されて前記L−C/DL2にも接続されている。また、前記ボディECU3は主点灯制御ラインL1によって前記ランプECU13に接続され、この主点灯制御ラインL1を通して当該ボディECU3で生成した点灯制御信号を前記ランプECU13に出力し、当該ランプECU13での点灯制御を実行することが可能とされている。
【0022】
前記ボディECU3に接続されている前記照度センサSは自車が走行する領域の照度を検出し、ボディECU3はこの照度センサSの検出出力に基づいて、自車の走行環境が「明」,「薄暗」,「暗」のいずれであるかを判定する。これらの明るさは「明」>「薄暗」>「暗」の順である。また、前記ボディECU3に接続されているランプスイッチSWは、ここでは「OFF」,「Auto」,「Hi」に切り替えることが可能とされている。
【0023】
図3は前記L−HL1と、前記L−C/DL2の内部構成の詳細を示すブロック図である。前記したように、L−HL1に内装されているランプECU13は、前記Hi光源としてのバルブ11を発光制御するためのバルブ発光回路14と、Lo光源としての第1LED12を点灯制御するための第1LED駆動回路15と、前記ボディECU3から出力される点灯制御信号に基づいてこれらバルブ発光回路14と第1LED駆動回路15をそれぞれ点灯制御する制御回路16を備えている。この制御回路16は例えばマイクロコンピュータで構成されており、ボディECU3からの点灯制御信号が入力されたときに、所要の演算を行って当該点灯制御信号に対応した点灯信号を生成し、この点灯信号により前記バルブ発光回路14と第1LED駆動回路15を駆動して前記バルブ11と第1LED12を発光させる。
【0024】
前記バルブ発光回路14は、前記制御回路16からの点灯信号によってオン・オフ動作されるパワーFET等からなるスイッチング素子FET1を有しており、前記バルブ11と電源との間に介装されている。このスイッチング素子FET1は前記制御回路16の点灯信号によってオンされたときに前記バルブ11に電源電力を給電して発光させるようになっている。なお、Hi光源として放電バルブを用いることも可能であり、この場合にはバルブ発光回路14は当該放電バルブを点灯させる回路として構成されることになるが、その場合でも点灯に際しては前記制御回路16からの点灯信号によって点灯が制御されるように構成される。
【0025】
前記第1のLED駆動回路15は、入力される電力に基づいて定電流を生成する定電流回路CIと、前記制御回路16からの点灯信号によってオン・オフ動作されるFET等からなるスイッチング素子FET2を有しており、これら定電流回路CIとスイッチング素子FET2は第1LED12と直列に接続されている。このスイッチング素子FET2は前記制御回路16の点灯信号によってオンされたときに第1LED12に定電流を給電して発光させるようになっている。
【0026】
前記L−C/DL2のランプハウジング20内には前記第2LED21を点灯制御するための第2LED駆動回路22が内装されている。この第2LED駆動回路は前記L−HL1のランプECU13に設けられている第1LED駆動回路15と同じ構成である。すなわち、前記ランプECU13を組み立てる際に用いられるLED駆動回路をそのまま利用したものである。そして、L−C/DL2の光源としての第2LED21を当該第2LED駆動回路22の定電流回路CIとスイッチング素子FET2に接続している。また、このスイッチング素子FET2は副点灯制御ラインL2を介して前記L−HL1のランプECU13内の制御回路16に接続されており、当該制御回路16からの点灯信号によってオン・オフ制御されるようになっている。第2LED駆動回路22ではスイッチング素子FET2をオンしたときに定電流回路CIで生成された定電流を第2LED21に供給して発光させることができる。
【0027】
なお、図示は省略したが右側のR−HLおよび右側のR−C/DLは、前記自動車CARに装備した状態では左右対称の配置であるが、回路構成はL−HLおよびL−C/DLと同じである。そして、図2示した前記リレースイッチRL1からの電源ラインL0がR−HLおよびR−C/DLに接続され、ボディECU3からの主点灯制御ラインL1がR−HLに接続されている。また、R−HLとR−C/DLは副点灯制御ラインL2によって接続されている。
【0028】
以上の点灯制御システムにおける点灯制御について説明する。図4はボディECU3の動作を説明するフローチャートである。ボディECU3は、ランプスイッチSWが「OFF」から「Auto」または「Hi」に切替えられたことを判定すると(S11)、制御ラインLcを介してリレースイッチRL1に制御信号を出力して当該リレースイッチRL1をオンし、車載バッテリの電力を左右のHL1とC/DL2にそれぞれ供給する(S12)。
【0029】
次いで、ランプスイッチSWが「Auto」であると判定すると(S13)、照度センサSの検出出力から自車の環境の明るさが「明」,「薄暗」,「暗」のいずれであるかを判定する(S14)。「明」と判定したときにはDRLを点灯するDRL信号を点灯制御信号として出力する(S15)。「薄暗」と判定したときにはCLLを点灯するCLL信号を点灯制御信号として出力する(S16)。「暗」と判定したときにはCLL信号と、LoLを点灯するLoL信号を点灯制御信号として出力する(S17)。一方、ステップS13においてランプスイッチSWが「Hi」であると判定したときには、CLL信号とLoL信号に加えてHiLを点灯するHiL信号を点灯制御信号として出力する(S18)。
【0030】
このようにボディECU3から出力される点灯制御信号は主点灯制御ラインLIを通してHL1のランプECU13に入力される。図5はランプECU13の動作を示すフローチャートである。このランプECU13は入力された点灯制御信号を判定し(S21)、点灯制御信号がDRL信号のときにはC/DL2の第2LED21を100%のデューティ比で発光するPWM(パルス幅変調)された第2LED発光信号(100%)を生成して出力する(S22)。また、ステップS21において、点灯制御信号がCLL信号、LoL信号、HiL信号のいずれかのときには同じC/DL2の第2LED21を50%のデューティ比で発光するPWMされた第2LED発光信号(50%)を生成して出力する(S23)。
【0031】
次いで、再度点灯制御信号を判定し(S24)、点灯制御信号がLoL信号、HiL信号のいずれかのときにはHL1の第1LED12を連続的に発光する第1LED発光信号を生成して出力する(S25)。さらに、点灯制御信号を判定し(S26)、点灯制御信号がHiL信号のときにはHL1のバルブ11を発光するバルブ発光信号を生成して出力する(S27)。
【0032】
そして、ランプECU13からの点灯制御信号により、ステップS22において第2LED発光信号(100%)を出力したときには、C/DL2の第2LED21を高い光度で発光して当該C/DL2をDRLとして点灯する(S31)。ステップS23において第2LED発光信号(50%)を出力したときには、C/DL2の第2LED21を低い光度で発光して当該C/DL2をCLLとして点灯する(S32)。ステップS25において第1LED発光信号を出力したときには、HL1の第1LED12を所定の光度で発光してLoLを点灯する(S33)。ステップS27においてバルブ点灯信号を出力したときには、HL1のバルブ11を発光してHiLを点灯する(S34)。
【0033】
以上の点灯制御を個別に説明すると、ランプスイッチSWが「Auto」のときに、ランプECU13にDRL信号が入力されると、制御回路16は第2LED発光信号(100%)を生成し、この発光信号を副点灯制御ラインL2を通してC/DL2の第2LED駆動回路22に出力する。この第2LED発光信号は、前記したようにパルス幅変調されたPWM信号であり、当該信号がハイレベルの時にのみスイッチング素子FET2をオン動作させるものである。そして、この第2LED発光信号(100%)はデューティ比が100%、すなわち常時ハイレベルの第2LED発光信号である。この第2LED駆動回路22では、入力されている電力により定電流回路CIで定電流を生成して第2LED21に供給しているが、入力された第2LED発光信号(100%)によりスイッチング素子FET2を連続的にオン制御する。これにより、第2LED21は所定の光度での発光状態となり、C/DL2はDRLとして点灯する。
【0034】
ランプECU13にCLL信号が入力されると、制御回路16は第2LED発光信号(50%)を生成し、この発光信号を副点灯制御ラインL2を通してC/DL2の第2LED駆動回路22に出力する。この第2LED発光信号(50%)はデューティ比が50%、すなわちハイレベルが1/2の時間の発光信号である。この第2LED駆動回路22では、入力されている電力により定電流回路CIで定電流を生成して第2LED21に供給しているが、入力された第2LED発光信号(50%)によりスイッチング素子FET2を断続的にオン制御する。これにより、第2LED21はCLL信号のデューティ比に対応した時間だけ、すなわちDRL信号の場合と比較して1/2の時間だけスイッチング素子FET2がオン動作されるので、DRLでの発光よりも減光された光度での発光状態となり、C/DL2はCLLとして点灯する。なお、デューティ比の100%,50%についてはこの実施形態の値に限られるものでないことは言うまでもない。
【0035】
ランプECU13にLoL信号が入力されると、制御回路16は第1LED発光信号を生成し、この発光信号を第1LED駆動回路15に出力する。この第1LED駆動回路15では、入力されている電力により定電流回路CIで定電流を生成して第1LED21に供給しているが、入力された第1LED発光信号によりスイッチング素子FET2を連続的にオン制御する。これにより、第1LED12は所定の光度での発光状態となりLoLは点灯する。このとき、C/DL2では前記したようにCLL信号に基づいて第2LED21が低光度で発光してCLLが点灯状態となっている。したがって、LoLとCLLの両ランプの点灯によって所要のロービーム配光が得られることになる。
【0036】
ランプECU13にHiL信号が入力されると、制御回路16はバルブ発光信号を生成し、この発光信号をバルブ発光回路14に出力する。このバルブ発光回路14では、スイッチング素子FET1がオンされ、入力されている電力がバルブ11に給電される。これにより、バルブ11は所定の光度で発光され、HiLは点灯する。このとき、C/DL2では前記したようにCLL信号に基づいて第2LED21が低光度で発光してCLLが点灯状態となっており、同時にHLでは第LED12が所定の光度で発光している。したがって、HiLの点灯に加えてLoLとCLLの両ランプの点灯によって所要のハイビーム配光が得られることになる。
【0037】
以上のようにこの実施形態の点灯制御システムではHiL,LoL,CLL,DRLを切り替えて点灯することが可能であるとともに、CLLとDRLをHLとは別体のランプとして構成し、CLLとDRLを独立して点灯制御場合でもリレーボックスに配設するリレースイッチの数を低減し、かつ電源ラインや制御ラインを構成するハーネスの本数を低減することができる。すなわち、図2に示したように、左右のHL1,C/DR2の全てに対して同時に電源を供給するために1つのリレースイッチRL1と、各HLに接続する2本または1本の枝分かれした電源ラインL0を設けるのみでよいので、リレーボックスを小型に構成できるとともに、電源ラインL0の本数を最小限の本数にすることができる。また、ボディECU3については、1つのリレースイッチRL1に対しての接続を行うための1本の制御ラインLcを接続するだけでよい。しかも、リレースイッチRL1、左右のHL1、左右のC/DL2は自動車のエンジンルーム内の互いに近接した位置に配設されているので、これらの電源ラインL0の長さは短くてよい。したがって、距離の離れたボディECU3と、リレースイッチRL1およびHL1,C/DL2を接続する点灯制御システムにおけるリレースイッチの個数を削減でき、かつこれらを接続するための電源ラインの本数が低減できる。
【0038】
また、ボディECU3と左右のHL1とを1本の枝分かれした主点灯制御ラインL1で接続するだけでよく、かつ左右のHL1とC/DR2はそれぞれ1本の副点灯制御ラインL2で相互接続するだけでよい。したがって、ボディECU3とHL1を接続する主点灯制御ラインL1の本数は最小本数でよく、しかも副点灯制御ラインL2は左右にそれぞれ1本でよい。したがって、主副の点灯制御ラインL1,L2のトータルの本数を低減し、かつこれらの総延設長さを短くすることができ、システムの構成の簡略化が実現でき、かつコスト低減に有効である。
【0039】
さらに、主体となるランプHL1の第1LED駆動回路15と、別体のランプC/DL2の第2LED駆動回路22は同一構成であるので、HL1のランプECU13を構成している第1LED駆動回路13をそのままC/DLの第2ランプECU22として構成できる。したがって、同じLED駆動回路を用いて第1と第2のLED駆動回路、すなわち本発明の第1と第2のランプ点灯回路が構成でき、部品種類を削減する上で有効である。また、主体となるランプHL1に設けたランプECU13は、第1LED駆動回路15と制御回路16が一体に構成されているので、ランプECU13を小型に構成し、ひいてはHL1を小型化することもできる。さらに、この実施形態ではランプECU13にバルブ発光回路14も一体に構成しているので、HL1のさらなる小型化が可能になる。
【0040】
実施形態ではHL1のHiLの光源をバルブで構成しているが、これをLEDで構成してもよく、その場合には第1LED駆動回路15と同じLED駆動回路を用いて発光させることができ、ランプECU13の構成をさらに簡略化、かつ小型化することができる。また、これとは反対にLoLの光源をLEDで構成しているが、この光源をバルブで構成したランプへの適用も可能である。この場合には、各ランプにおけるLED駆動回路、すなわち本発明におけるランプ駆動回路を、バルブの光度を制御することが可能なランプ点灯制御回路に置き替えればよい。このことはC/DLについても同じである。
【0041】
実施形態では、主ランプとしてのHLに対してCLLとDRLを兼用したC/DLを別体のランプとして構成した例を示したが、本発明における主体となるランプと別体のランプはこれらのランプに限定されるものではなく、自動車に配備される他のランプについても同様に適用することは可能である。また、ボディECU3については、ランプスイッチSWの切替えによって、マニュアルでHiL,LoL,DRL,CLLの各点灯の切替えができるように構成することは可能である。このことは別体のランプを実施形態とは異なるランプで構成した場合についても同様であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は点灯制御手段によって複数の個別に形成されたランプの点灯を制御する点灯制御システムに採用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 HL(L−HL,R−HL:主体となるランプ)
2 C/DL(L−C/DL,R−C/DL:別体のランプ)
HiL ハイビームランプ(走行ランプ)
LoL ロービームランプ(すれ違いランプ)
CLL クリアランスランプ(車幅灯)
DRL デイタイム・ランニングランプ(昼間走行ランプ)
S 照度センサ
SW ランプスイッチ
3 ボディECU(点灯制御手段)
11 バルブ(Hi光源)
12 第1LED(Lo光源)
13 ランプECU(ランプ制御手段)
14 バルブ発光回路
15 第1LED駆動回路(第1のランプ点灯回路)
21 第2LED(CLL・DRL光源)
22 第2LED駆動回路(第2のランプ点灯回路)
L0 電源ライン
L1 主点灯制御ライン
L2 副点灯制御ライン
Lc 電源制御ライン


図1
図2
図3
図4
図5
図6