特許第6018879号(P6018879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018879
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】球技用ボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 39/00 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   A63B39/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-243736(P2012-243736)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-90915(P2014-90915A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】片山 恵実
(72)【発明者】
【氏名】大冢 陽右
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/125969(WO,A1)
【文献】 特開平01−151470(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0207554(US,A1)
【文献】 実開昭60−177863(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 39/00
A63B 37/00
A63B 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体の中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸とz軸のうち、y軸とz軸の慣性モーメントが等しく、x軸の慣性モーメントが、y軸とz軸の慣性モーメントよりも大きく設定され、球体の中心を通る前記x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空コア部を前記球体の中心に設けたことを特徴とする、グランドゴルフまたはパークゴルフ用ボール。
【請求項2】
球体の中心を通る前記X軸に垂直な任意の軸周りの慣性モーメントが全て一定である請求項1記載のグランドゴルフまたはパークゴルフ用ボール。
【請求項3】
前記球体の中心を通る前記x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空コア部を前記球体の中心に設け、前記球体の中心を通る前記x軸に垂直な面に、球体の素材よりも高密度な素材からなる錘部を、x軸を中心に環状に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のグランドゴルフまたはパークゴルフ用ボール。
【請求項4】
前記球体の中心を通る前記x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空コア部を前記球体の中心に設け、かつ、球体の中心を通る前記X軸に球体の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部を設けており、前記回転促進部のX軸に垂直な任意の断面形状が円形であることを特徴とする請求項1又は2記載のグランドゴルフまたはパークゴルフ用ボール。
【請求項5】
前記球体の中心を通る前記x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空コア部を前記球体の中心に設け、球体の中心を通る前記X軸上に、球体の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部を設け、前記球体の中心を通る前記x軸に垂直な面に、球体の素材よりも高密度な素材からなる錘部を、x軸を中心に環状に配置しており、前記回転促進部のX軸に垂直な任意の断面形状が円形であることを特徴とする請求項1又は2記載のグランドゴルフまたはパークゴルフ用ボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接地面の影響を受け難い直進性に優れた競技用ボール、特にパークゴルフ用、グラウンドゴルフ用として好適な競技用ボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールを打撃するスポーツとしては、野球、テニス、ゴルフの他、最近では、グランドゴルフやパークゴルフも盛んである。
【0003】
ゴルフと、グランドゴルフやパークゴルフでは、ボールに求められる特性が異なる。
【0004】
ゴルフの場合は、打撃による到達距離のうち、9割がキャリー、残りがランであるのに対し、グランドゴルフやパークゴルフの場合は、キャリーよりもランの方が大きくなるように設計され、接地後のボールの直進性が要求される。
【0005】
このランに及ぼす影響因子としては、ボールの慣性モーメントがあり、この慣性モーメントに着目して、ボールの直進性、コントロール性を向上させたパークゴルフ用ボールが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−80844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ボールの慣性モーメントは、従来、ボールの中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸、z軸のいずれの軸でも、同じ値になるように設計されるのが技術常識になっている。
【0008】
そこで、この発明は、ボールの中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸、z軸のいずれの軸でも、慣性モーメントが同じ値になるように設計するというボール設計の技術常識を打破し、打撃したボールが地面に接地した際における接地面の影響が受け難い、直進性に優れた、特に、グランドゴルフやパークゴルフに適したボールを得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の球技用ボールは、球体の中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸とz軸のうち、y軸とz軸の慣性モーメントが等しく、x軸の慣性モーメントが、y軸とz軸の慣性モーメントよりも大きく設定している。
【0010】
このように、球体の中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸とz軸のうち、x軸の回りの慣性モーメントを、他の2軸の回りの慣性モーメントよりも大きくすると、x軸の回りの大きな慣性モーメントにより、ボールが地面に接地した際に、接地面の影響を受け難く、x軸を中心に回転し易く、ボールの直進性が向上する。
【0011】
球体の中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸とz軸のうち、x軸の回りの慣性モーメントを、他の2軸の回りの慣性モーメントよりも大きくするには、球体の中心を通る前記x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空のコア部を配置する方法を採用する。
【発明の効果】
【0013】
この発明の球技用ボールは、ボールが地面に接地した際に、接地面の影響を受け難く、x軸を中心に回転し易く、ボールの直進性に優れているので、グランドゴルフやパークゴルフに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)はこの発明の球技用ボールの第1の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図2】(a)はこの発明の球技用ボールの第2の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図3】(a)はこの発明の球技用ボールの第3の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図4】(a)はこの発明の球技用ボールの第4の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図5】(a)はこの発明の球技用ボールの第5の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図6】(a)はこの発明の球技用ボールの第6の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図7】(a)はこの発明の球技用ボールの第7の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図8】(a)はこの発明の球技用ボールの第8の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
図9】(a)はこの発明の球技用ボールの第9の実施形態を示す中央縦断面図であり、(b)は(a)のy軸を中心に90度回転した状態を示す中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施形態を図1図9を用いて説明する。この発明の実施形態は、図1図2および図5に示す3つの形態、並びにそれらの組合せをベースに、適宜、中空あるいは低密度素材や、高密度素材を配置することによって実現することができる。ただし、この発明の範囲は図1図9に示す形態には限定されず、種々の変更が可能である。
この発明の球技用ボール1は、球体の中心を通る互いに直交する3本のx軸、y軸とz軸のうち、y軸とz軸の慣性モーメントが等しく、x軸の慣性モーメントが、y軸とz軸の慣性モーメントよりも大きく設定したものである。
図1は、この発明の第1の実施形態の球技用ボール1を示し、この実施形態では、球体2の中心に、x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空あるいは低密度素材からなる、カプセル型のコア部3を球体2の中心に設けることによって、球体2の中心を通るx軸、y軸とz軸のうち、y軸とz軸の慣性モーメントが等しく、x軸の慣性モーメントが、y軸とz軸の慣性モーメントよりも大きくなるように設定している。
【0016】
例えば、グランドゴルフで使用する球技用ボール1は、重量が95g以下で、下限が80gと定められているので、球体2の中心に、中空あるいは低密度素材からなるコア部3を設けると、全体の重量が軽くなるので、球体2の素材の密度を、コア部3を設けない場合よりも高密度にして、全体の重量が前記の規定範囲内に入るように調整する。
【0017】
図2は、この発明の第2の実施形態の球技用ボール1を示し、この実施形態では、球体2の中心を通るx軸に垂直な面に、球体2の素材よりも高密度な素材からなる錘部4を、x軸を中心に環状に配置することにより、球体2の中心を通るx軸、y軸とz軸のうち、y軸とz軸の慣性モーメントが等しく、x軸の慣性モーメントが、y軸とz軸の慣性モーメントよりも大きくなるように設定している。
【0018】
図3に示す球技用ボール1は、この発明の第3の実施形態であり、球体2の中心に、x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空あるいは低密度素材からなるカプセル型のコア部3を球体2の中心に設け、さらに、球体2の中心を通るx軸に垂直な面に、球体2の素材よりも高密度な素材からなる錘部4を、x軸を中心に環状に配置している。
【0019】
図4に示す球技用ボール1は、この発明の第4の実施形態であり、球体2の中心に、中空あるいは低密度素材からなる球形のコア部3を設け、さらに、球体2の中心を通るx軸に垂直な面に、球体2の素材よりも高密度な素材からなる錘部4を、x軸を中心に環状に配置している。
【0020】
図5に示す球技用ボール1は、この発明の第5の実施形態であり、球体2の中心を通る前記X軸に、球体2の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部33を設けている。
【0021】
図6に示す球技用ボール1は、この発明の第6の実施形態であり、球体2の中心に、x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空あるいは低密度素材からなるカプセル型のコア部3を球体2の中心に設け、さらに、球体2の中心を通るX軸に、球体2の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部33を設けている。
【0022】
図7に示す球技用ボール1は、この発明の第7の実施形態であり、球体2の中心に、中空あるいは低密度素材からなる球形のコア部3を設け、さらに、球体2の中心を通るX軸に、球体2の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部33を設けている。
【0023】
図8に示す球技用ボール1は、この発明の第8の実施形態であり、球体2の中心に、中空あるいは低密度素材からなる球形のコア部3を設け、球体2の中心を通るX軸に、球体2の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部33を設け、さらに、球体2の中心を通るx軸に垂直な面に、球体2の素材よりも高密度な素材からなる錘部4を、x軸を中心に環状に配置している。なお、コア部3の素材が球体2の素材と同じ場合でも、この発明に含まれる。
【0024】
図9に示す球技用ボール1は、この発明の第9の実施形態であり、球体2の中心に、x軸に長軸、y軸とz軸に同一長さの短軸を有する中空あるいは低密度素材からなるカプセル型のコア部3を球体2の中心に設け、球体2の中心を通るx軸に、球体2の中心を挟んで等距離の位置に中空あるいは低密度素材からなる回転促進部33を設け、さらに、球体2の中心を通るx軸に垂直な面に、球体2の素材よりも高密度な素材からなる錘部4を配置している。
【0025】
この発明における球技用ボールの製造方法としては、例えば、x軸上に中空を配置するには、ボールを半分に割った状態で中空を配置し、その後にそれぞれを接合させる等、適宜設計することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 球技用ボール
2 球体
3 コア部
33 回転促進部
4 錘部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9