特許第6018904号(P6018904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018904
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】指挟み防止装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20161020BHJP
   E05F 5/00 20060101ALI20161020BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   E06B7/36 F
   E05F5/00 D
   E06B3/46
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-276816(P2012-276816)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-118790(P2014-118790A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】石井 庸介
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−28287(JP,U)
【文献】 特開2000−314266(JP,A)
【文献】 特開平11−280351(JP,A)
【文献】 特開平3−286079(JP,A)
【文献】 特開2008−297759(JP,A)
【文献】 実開昭61−163875(JP,U)
【文献】 特開2000−8697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00− 13/04、17/00
E06B 7/00− 7/36
E06B 3/04− 3/46、
3/50− 3/52
E05D 15/00− 15/58
E05D 11/00− 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸と、前記引戸が移動する際に前記引戸に対して相対的に移動する移動部とに設けられる指挟み防止装置であって、
前記移動部に設けられて前記引戸に向って突出する突出部と、
前記引戸に設けられて前記突出部を収容する収容溝部と、
前記収容溝部内に設けられるストッパであって、前記引戸の移動時に前記引戸が指挟み防止位置に到達すると前記突出部に当接する第1の位置と、前記引戸の移動方向に前記突出部と当接しない第2の位置との間で移動可能なストッパと
前記ストッパに設けられる操作部であって、前記ストッパを前記第1の位置と前記第2の位置との間で変位する際に操作される操作部と、
前記ストッパを収容するハウジングであって、外側に面する壁部と、前記壁部に設けられて前記操作部を通す開口部とを備えるハウジングと
を具備することを特徴とする指挟み防止装置。
【請求項2】
前記壁部の内面に対して前記ストッパを接触しない位置に離間する離間手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の指挟み防止装置。
【請求項3】
前記ストッパにおいて、前記引戸が移動する際に移動方向に前記突出部に当接する部位には、前記引戸の移動に伴って前記突出部を乗り越える乗り越え部が形成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の指挟み防止装置。
【請求項4】
前記ストッパを前記第1の位置に付勢する付勢手段を具備する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の指挟み防止装置。
【請求項5】
前記ストッパを前記第1,2の位置に選択的に保持する保持手段を具備する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の指挟み防止装置。
【請求項6】
前記ストッパの移動をガイドするガイド部を具備する
ことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の指挟み防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸を引く際に、引戸と戸袋などとの間に指を挟むことを防止する指挟み防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引戸を引く際に、引戸と戸袋などとの間に指を挟むことを防止するための技術が提案されている。この種の技術では、引手部材は、引戸に対して出没可能に設けられている。引戸を引いて戸袋内内収める際に、引手部材が引戸に対して突出する。引手部材が引戸に対して突出することによって、当該突出した引手部材が戸袋の先端に当接する。
【0003】
引手部材が戸袋の先端に当接することによって、引戸と戸袋との間に指が挟まることを防止することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3773483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、戸袋は、木材を材料として形成されている。そして、引手部材は、樹脂や金属などを材料として形成されており、戸袋よりも硬い場合がある。このため、特許文献1に示される技術のように、引手部材を戸袋に当接することによって引戸の移動を停止し、引戸と戸袋との間に指が挟まることを防止する技術であると、引戸の移動速度が速い場合、戸袋に入力される荷重が大きくなり、戸袋が傷つくおそれがある。戸袋の先端が傷つくと、見栄えが悪くなり、好ましくない。
【0006】
本発明は、指挟みが発生することを防止しつつ、見栄えが低下することを抑制できる指挟み防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の指挟み防止装置は、引戸と、前記引戸が移動する際に前記引戸に対して相対的に移動する移動部とに設けられる。前記指挟み防止装置は、突出部と、収容溝部と、ストッパと、操作部と、ハウジングとを備える。
【0008】
前記突出部は、前記移動部に設けられて前記引戸に向って突出する。前記収容溝部は、前記引戸に設けられて前記突出部を収容する。前記ストッパは、前記収容溝部内に設けられる。前記ストッパは、前記引戸の移動時に前記引戸が指挟み防止位置に到達すると前記突出部に当接する第1の位置と、前記引戸の移動方向に前記突出部と当接しない第2の位置との間で移動可能である。前記操作部は、前記ストッパに設けられる。前記操作部は、前記ストッパを前記第1の位置と前記第2の位置との間で変位する際に操作される。前記ハウジングは、前記ストッパを収容する。前記ハウジングは、外側に面する壁部と、前記壁部に設けられて前記操作部を通す開口部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、指挟みが発生することを防止しつつ、見栄えが低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる引戸と、同引戸が設置される部位の近傍を示す斜視図。
図2図1に示すF2−F2線に沿って示す、同引戸の下端部と、同下端部の近傍を切断した状態を示す断面図。
図3】同引戸が全開位置にある状態において、同引戸の下端部において移動方向の一端部とその近傍を一部切り欠いて示す斜視図。
図4】同ストッパ装置が分解された状態を示す斜視図。
図5】同引戸において同ストッパ装置が固定される部位の近傍を拡大して示す平面図。
図6】同ストッパ装置のストッパが、第2の位置にある状態を示す平面図。
図7】同引戸を指挟み防止位置から全開位置まで移動する様子を示す平面図。
図8】本発明の第2の実施形態に係る指挟み防止装置のストッパ装置を示す分解斜視図。
図9】指挟み防止位置にある引戸において、同ストッパ装置の近傍を一部切り欠いて示す斜視図。
図10】同ストッパ装置のストッパを第2の位置に移動した状態を、図9と同様に示す斜視図。
図11】本発明の第3の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる引戸が指挟み防止位置に到達した状態において、ストッパ装置の近傍を示す正面図。
図12】同ストッパ装置のぶれ止めピンがストッパの傾斜面上を滑ることによって、同ストッパが同ぶれ止めピンを乗り越えた状態を、図11と同様に示す正面図。
図13】本発明の第4の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる引戸と、その近傍とを一部切り欠いて示す斜視図。
図14】本発明の第5の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる、2つの引戸とその近傍とを示す斜視図。
図15】本発明の第6の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる引戸が全開位置にある状態においてぶれ止めピンの近傍を移動方向に垂直な平面に沿って切断した状態を示す断面図。
図16】本発明の第7の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる2つの引戸とその近傍とを示す正面図。
図17】他方の引戸が全開位置にあり、かつ、一方の引戸が全閉位置にある状態を、同指挟み防止装置のストッパ装置の近傍において移動方向に垂直な平面に沿って切断した状態を示す断面図。
図18】同一方の引戸が全閉位置にある状態において、同他方の引戸を全開位置側に向って移動したときに同他方の引戸に設けられる突出部が同ストッパ装置のストッパに当接した状態を示す平面図。
図19】本発明の第8の実施形態に係る指挟み防止装置が設けられる、引戸とその周囲を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る指挟み防止装置を、図1〜7を用いて説明する。図1は、指挟み防止装置40が設けられる、引戸10と当該引戸10が設置される部位の近傍を示す斜視図である。まず、引戸10と、引戸10の周囲の構造について説明する。図1に示すように、引戸10は、開口部20を開閉する。開口部20は、例えば、壁部21と、戸袋22との間に設けられている。
【0012】
壁部21と戸袋22との間には、下部に敷居23が設けられている。敷居23には、引戸10が摺動する敷居溝部24が形成されている。敷居溝部24は、壁部21から戸袋22に向って延びている。引戸10の下端部11は、敷居溝部24内に収容される。引戸10の下端部11が敷居溝部24内に収容されることによって、引戸10は、敷居溝部24に沿って移動する。引戸10は、開口部20を全閉する全閉位置P1と、開口部20を最大に開く全開位置P2との間で移動可能である。図1中、全閉位置P1にある引戸10を2点鎖線で示している。
【0013】
図2は、図1に示すF2−F2線に沿って示す、引戸10の下端部11と、下端部11の近傍を示す断面図である。図2は、引戸10の下端部11を、引戸10の移動方向に垂直な平面に沿って切断した状態を示している。図2に示すように、引戸10の下端部11には、収容溝部12が形成されている。収容溝部12は、引戸10の移動方向一端から他端まで延びている。
【0014】
ここで、引戸10に方向を定義する。引戸10が開口部20に設置された状態において、敷居23側の一端を下端とし、反対側を上端として上下方向を定義Vする。引戸10において引戸10の移動方向に沿う面の内、一方を前面13とし、他方を後面14として、前後方向Lを定義する。図1では、手前側の面が前面13となる。引戸10の移動方向をMとする。方向V,L,Mは、互いに直交する。
【0015】
図2に示すように、敷居溝部24は、引戸10の前後方向に沿う厚みに対して、大きく形成されている。これは、引戸10をスムーズに移動することができるようにするためである。
【0016】
敷居溝部24の底壁部25には、ぶれ止めピン26が設けられている。ぶれ止めピン26は、上方に向かって突出している。ぶれ止めピン26は、引戸10の収容溝部12内に収容される。ぶれ止めピン26は、本実施形態では一例として、底壁部25に連結される円柱状の基部26aと、基部26aの上端に設けられる球体部26bとを備えている。なお、ぶれ止めピン26は、球体26bを備えない円柱形状であってもよい。ぶれ止めピン26の大きさと収容溝部12前後方向の幅の相対関係について、具体的に説明する。
【0017】
上記のように、敷居溝部24は、引戸10がスムーズに移動できるように、引戸10の厚みに対して大きく形成されている。このため、引戸10は、敷居溝部24内において、移動方向に沿って移動することに加えて、前後方向にも移動することができる。
【0018】
本実施形態では、引戸10は、木材を材料としている。このため、引戸10は、引戸10の周囲の湿気に応じて、反る場合がある。引戸10が反ると、敷居溝部24内での引戸10の位置によっては、後述する戸袋22内に引戸10を収容する際に、引戸10が戸袋22の開口縁に当接したり、または、引戸10が戸袋22の内面に擦ったりする場合がある。
【0019】
ぶれ止めピン26は、敷居溝部24の幅方向中心に配置されている。なお、敷居溝部24の幅方向は、引戸10の前後方向に平行である。また、収容溝部12の前後方向の幅は、ブレ止めピン26より若干大きい。このため、引戸10の移動の際に、ぶれ止めピン26が収容溝部12の内面に当たることは抑制される。
【0020】
また、ぶれ止めピン26は、引戸10が敷居溝部24内を前後方向に移動すると、収容溝部12の内面に接触することによって、敷居溝部24内での引戸10の位置を、幅方向中心に保つ。引戸10が敷居溝部24の幅方向中心にある状態では、引戸10が上記のように反った場合であっても、引戸10が戸袋22に接触することが抑制される。
【0021】
図1に示すように、戸袋22は、引戸10を収容する。戸袋22は、引戸10の前面13と対向する前壁部27と、引戸10の後面14と対向する後壁部28と、第1,2の壁部27,28とを連結する側壁部29とを有しており、全閉位置P1にある引戸10側の一端が開口する袋形状である。敷居23は、戸袋22内にも延びており、引戸10が全開位置P2にいたると、引戸10の全体が戸袋22内に収容される。
【0022】
開口部20の上端部には、鴨居30が設けられている。図1中では、鴨居30は、一部省略されており、その前壁部32が示されている。図1中範囲F11内は、引戸10の上端部15と鴨居30とを前後方向Lに沿って切断した状態を示している。範囲F11内に示すように、鴨居30は、鴨居溝部31を備えている。鴨居溝部31は、移動方向Mに延びている。引戸10の上端部15は、鴨居溝部31内に収容されている。
【0023】
引戸10の前面13と後面14とには、それぞれ、操作用凹部18が形成されている。操作用凹部18は、前面13と後面14とのそれぞれにおいて、移動方向Mの一端部に設けられている。操作用凹部18は、前面13と後面14とに対して凹んでいる。操作用凹部18は、作業者が引戸10を引くときに、手の指をかける部位である。操作用凹部18は、一例として、上下方向Vに長い長方形状である。
【0024】
指挟み防止装置40の説明に戻る。図1に示すように、指挟み防止装置40は、上記したぶれ止めピン26と、ストッパ装置50とを備えている。図3は、引戸10が全開位置P2にある状態において、引戸10の下端部11において移動方向Mの一端部16とその近傍を一部切り欠いて示す斜視図である。図3は、戸袋22の開口端も示している。
【0025】
図3に示すように、ストッパ装置50は、引戸10の下端部11において移動方向Mに沿う一端部16に設けられている。より具体的には、ストッパ装置50は、収容溝部12内の一端部16に設けられている。なお、引戸10の一端部16は、引戸10が全開位置P2にあるとき、言い換えると、図3に示すように引戸10が戸袋22内に完全に収容された状態において、戸袋22の開口端に面する端部である。
【0026】
図4は、ストッパ装置50の分解斜視図である。図4に示すように、ストッパ装置50は、ストッパ51と、ストッパ51を収容するケース52と、ケース52を覆うカバー53と、ケース52とカバー53とを引戸10に固定する金属製のブラケット54と、ケース52とカバー53とブラケット54とを一体に固定するねじ55と、付勢用ばね56とを備えている。なお、ストッパ装置50に定義される方向は、ストッパ装置50が引戸10に固定されたときの引戸10の方向に基づいて設定する。
【0027】
ケース52は、前端と下端とが開口する箱形状であり、後壁部57と、上壁部58と、両端壁部59,60とを備えている。ケース52の内部には、後述されるストッパ51が収容される。ストッパ51は、前後方向に見た平面形状は、略四角形である。ストッパ51は、外枠部61と、外枠部61内に設けられる補強壁部62とを備えている。補強壁部62は、一例として、ハニカム形状である。ストッパ51は、ケース52内で、上下方向Vに沿って移動することが可能な大きさを有している。ストッパ51の上下方向Vに沿う移動については、後で具体的に説明する。
【0028】
カバー53は、板形状であって、内側にストッパ51が収容された状態のケース52の前端の開口を覆う。ケース52がカバー53によって覆われることによって、ケース52とカバー53との一体物は、下端が開口する箱形状を構成する。カバー53の上端部53aには、カバー53の上壁部38に係合する係合爪部53bが形成されている。本実施形態では、係合爪部53bは複数設けられており、一例として3つ設けられている。ケース52の上壁部58には、カバー53の係合爪部53bが係合する、係合部52aが設けられている。
【0029】
ケース52の後壁部57の内面には、ボス部63が形成されている。ストッパ51の内側には、ボス部63が通る貫通孔64が形成されている。貫通孔64は、上下方向Vに延びる長孔形状である。カバー53には、当該カバー53がケース52の前端の開口を覆う状態にあるときに、ケース52のボス部63と対向する位置に貫通孔65が形成されている。
【0030】
ケース52内にストッパ51が収容されるとともにカバー53がケース52の前端開口を覆う状態になると、ボス部63は、ストッパ51の貫通孔64を貫通するとともに、カバー53の貫通孔65の縁に当接する。
【0031】
ボス部63の内側には、穴63aが形成されている。ストッパ51とケース52とカバー53とが、上記のように組み合わさると、カバー53の貫通孔65は、ボス部63の穴63aに連通する。ねじ55は、セルフタッピング式のねじである。ねじ55は、カバー53の貫通孔65とボス部63の穴63aとが連通した状態で、穴63aに挿入される。ねじ55がセルフタッピング式であることによって、ねじ55を穴63aに挿入するとともに回転すると、ねじ55がボス部63に螺合して固定される。
【0032】
ストッパ51に形成される貫通孔64は、上下方向Vに延びている。このため、貫通孔64内にボス部63が通っても、ストッパ51は、ケース52とカバー53とに対して上下方向Vに移動することができる。ストッパ51の貫通孔64について、具体的に説明する。
【0033】
図5は、引戸10においてストッパ装置50が固定される部位の近傍を拡大して示す平面図である。ストッパ装置50は、引戸10の収容溝部12内に収容されているので、図5では点線で示されている。図5では、ストッパ51を示すために、カバー53とブラケット54とは省略されている。
【0034】
図5に示すように、貫通孔64の上端は、ストッパ51の下端面51aがケース52とカバー53の下端と上下方向に同じ位置または若干上方にあるときにボス部63に当接する。ボス部63が貫通孔64の上端に当接する位置は、ストッパ51の最も下方に移動した位置である。ストッパ51が最も下方に移動した位置を、第1の位置P3とする。言い換えると、第1の位置P3は、ストッパ51が、ぶれ止めピン26側に最も移動した位置である。
【0035】
カバー53がケース52に組み付けられたときに、ケース52の下端とカバー53の下端とは、上下方向Vに対して垂直な同一平面上に配置される。また、ケース52とカバー53とが、後述されるブラケット54によって引戸10に固定されたとき、ケース52とカバー53とブラケット54の下端とは、上記同一平面上に位置する。この同一平面が、ストッパ装置50の下端面となる。ストッパ装置50が引戸10に固定されたとき、ストッパ装置50の下端面は、引戸10の下端面と面一、または、引戸10の下端面よりも若干上方に位置する。
【0036】
このため、ストッパ51が最下端にある状態では、ストッパ51の下端面は、引戸10の下端面と面一、または、下端面よりも上方に位置する。このため、ストッパ装置50は、引戸10の移動を阻害しない。
【0037】
図6は、ストッパ51が、最も上方に移動した位置にある状態を示す平面図である。最も上方に移動した位置を、第2の位置P4とする。言い換えると、第2の位置P4は、ストッパ51が、ぶれ止めピン26側から最も離れた位置である。
【0038】
図6に示すように、ボス部63が貫通孔64の下端に当接した状態では、ストッパ51と敷居23の底壁部25との間の長さは、ぶれ止めピン26の上下方向Vに沿う高さよりも大きくなる。このため、ストッパ51が図6に示すように上方に移動すると、ストッパ51は、ぶれ止めピン26を乗り越えることができる。
【0039】
なお、ストッパ51が第1の位置P3にある状態では、引戸10を開く際に、ストッパ51は、ぶれ止めピン26に当接する。ストッパ51がぶれ止めピン26に当接することによって、この当接した位置から引戸10が開くことが防止される。
【0040】
ストッパ51とぶれ止めピン26との相対位置は、引戸10が、指挟み防止位置P5まで開くと、ストッパ51がぶれ止めピン26に当接するように設定されている。指挟み防止位置P5は、後で具体的に説明される。
【0041】
図示しないが、ケース52とカバー53とに対するストッパ51の上下方向Vに沿う移動をスムーズにするために、貫通孔64の内面とボス部63との間に若干の隙間が形成されている。
【0042】
図4に示すように、付勢用ばね56は、一例として、2つ用いられている。図5に示すように、付勢用ばね56は、ストッパ51とケース52の上壁部58との間に設けられており、ストッパ51をケース52とカバー53とに対して下方に付勢している。ストッパ51には、付勢用ばね56の一部を収容する収容穴66が形成されている。収容穴66は、貫通孔64を挟んで移動方向M両側に1つずつ設けられており、上下方向Vに延びている。なお、収容穴66の位置は、貫通孔64を挟んで対称な位置である。つまり、付勢用ばね56は、貫通孔64を挟んで対称な位置に設けられている。
【0043】
ブラケット54は、ケース52とカバー53とストッパ51との一体物を引戸10に固定する機能と、ケース52とカバー53に対するストッパ51の上下方向Vに沿う移動がスムーズになされる状態を維持する機能と、ストッパ51がぶれ止めピン26に当接したときの衝撃をストッパ51と共に受ける機能とを有している。
【0044】
ブラケット54は、金属製である。図4に示すように、ブラケット54は、引戸10に固定される固定部67と、ケース52とカバー53とストッパ51との一体物を収容する保護部68とを備えている。
【0045】
保護部68は、上端と下端とが開口する、筒形状である。保護部68は、内側にケース52とカバー53とが嵌合する形状である。ケース52とカバー53とストッパ51との一体物は、例えば、保護部68の上端開口から挿入される。
【0046】
保護部68は、前壁部69と後壁部70とを備えている。前壁部69と後壁部70との移動方向Mに沿う他端部は、側壁部71によって互いに連結されている。前壁部69と後壁部70との移動方向Mに沿う一端部は、側壁部72によって連結されている。側壁部72は、前壁部69,70に対して、前後方向に沿うように折れ曲がっている。
【0047】
ブラケット54の側壁部72は、ブラケット54内にケース52とカバー53とが収容されたときに、ケース52とカバー53の移動方向Mに沿う一端よりも内側に位置する。このため、ケース52とカバー53とには、ブラケット54の側壁部72が収容される溝部74が形成される。なお、図4中には、カバー53に形成される溝部74のみ図示されているが、ケース52の後壁部57にも同様の溝部が形成されている。ケース52に形成される溝部とカバー53に形成される溝部74との下端は、開口している。
【0048】
ブラケット54の保護部68内に、上端開口を通してケース52とカバー53とストッパ51との一体物を挿入すると、側壁部72がケース52の溝部とカバー53の溝部74とに挿入される。
【0049】
ブラケット54の保護部68の前壁部69には、カバー53の貫通孔65に対向する位置に、貫通孔75が形成されている。保護部68内に、ケース52とカバー53とストッパ51との一体物が収容されると、ねじ55は、保護部68の貫通孔75とカバー53の貫通孔65とを通ってボス部63の穴63aに螺合する。このことによって、ケース52とカバー53とストッパ51とブラケット54とが、ねじ55によって、一体に固定される。ケース52とカバー53とブラケット54とは、本発明で言うハウジングの一例を構成している。
【0050】
図4に示すように、固定部67は、保護部68に一体に形成されている。固定部67は、保護部68の移動方向Mに沿って他端部から移動方向Mに沿って突出しており、移動方向Mに沿って保護部68に並んでいる。固定部67は、上下方向Vに垂直な固定面部76を備えている。固定面部76には、上下方向Vに貫通する貫通孔77が形成されている。固定面部76は、引戸10の収容溝部12の上部に、第1の固定用ねじ78によって固定される。固定用ねじ78は、貫通孔77を通る。
【0051】
このように、ブラケット54は、保護部68によってケース52とカバー53とストッパ51との一体物を保持するとともに、固定部67によってこれら一体物を引戸10に固定する。また、ケース52の上壁部58には、第2の固定用ねじ80を通す貫通孔58aが形成されている。貫通孔58aは、移動方向Mに沿って延びている。第2の固定用ねじ80は、貫通孔58aを通って収容溝部12の壁部に螺合する。ストッパ装置50は、第2の固定用ねじ80によっても引戸10に固定される。
【0052】
なお、図3に示すように、ストッパ装置50の上下方向Vに沿う高さは、収容溝部12の上下方向Vに沿う高さよりも高い。引戸10においてストッパ装置50が収容される部位は、収容溝部12を含むとともに、ストッパ装置50が嵌る形状に形成されている。
【0053】
次に、ブラケット54によって、ストッパ51の上下方向Vに沿うスムーズな移動が維持されることについて、具体的に説明する。引戸10は、木製である。このため、引戸10は、引戸10の周囲の湿気の状態など、周囲の環境に起因して反るなどする場合がある。ストッパ装置50のケース52とカバー53とは、一例として、樹脂製である。このため、引戸10が上記のように反るなどすると、引戸10内に収容されるストッパ装置50は、引戸10の反りに合わせて変形することが考えられる。
【0054】
保護部68は、金属製であり、それゆえ、剛性が高い。このため、引戸10においてストッパ装置50が収容される部位が上記のように反るなどして変形しても、保護部68の剛性が高いことによって、保護部68が変形することを防止できる、または、変形しても、その変形の程度を小さくすることができる。
【0055】
ケース52とカバー53とが変形すると、ストッパ51においてケース52とカバー53とに接触する箇所が増加し、または、接触箇所に作用する押圧力が大きくなる。接触箇所が増加し、または、接触箇所に作用する押圧力が大きくなることによって、ストッパ51の上下方向Vに沿う移動が阻害される。
【0056】
しかしながら、保護部68によって上記変形が抑制される、または、変形の程度を小さくすることができることによって、ストッパ51のスムーズな移動が維持される。また、ブラケット54は、ストッパ51がぶれ止めピン26に当接したときにストッパ51に入力される衝撃を、ストッパ51とともに受ける。
【0057】
なお、ブラケット54ではなくケース52とカバー53とにストッパ装置50を引戸10に固定する形状や構造を設けることができる場合、ブラケット54がなくてもストッパ51のスムーズな移動が維持される場合、ブラケット54がなくてもストッパ51がぶれ止めピン26に当接するときの衝撃によってストッパ装置50が損傷しない場合などでは、ブラケット54は用いられなくてもよい。
【0058】
図4に示すように、ストッパ51において移動方向Mに沿う一端部には、移動方向Mに突出する操作部78が設けられている。ケース52の側壁部59には、ケース52内にストッパ51が収容されたときに、操作部78がストッパ51の上下方向の移動に伴って移動できるように開口部79が形成されている。操作部78は、開口部79内に収容される。
【0059】
図3に示すように、ストッパ装置50において移動方向Mに沿う一端部は、引戸10の端面から露出している。操作部78は、引戸10の移動方向Mに沿う一端の端面から外側に露出している。このため、操作部78は、外側から容易に操作することができる。操作部78に対する操作とは、当該操作部78を上下に移動することである。
【0060】
図4に示すように、ストッパ51とケース52とには、ストッパ51の上下方向Vに沿う移動をガイドするガイド部81が設けられている。ガイド部81は、ケース52に設けられるガイド用突出部82と、ストッパ51に設けられるガイド用収容部83とを備えている。
【0061】
ガイド用突出部82は、ケース52において側壁部59よりも移動方向Mに沿って内側でかつ下方に設けられており、上下方向Vに延びている。ガイド用収容部83は、ストッパ51の移動方向Mに沿って一端側の端面よりも移動方向Mに沿って内側に設けられており、下端が開口している。
【0062】
ストッパ51がケース52内に収容されると、ケース52のガイド用突出部82は、ストッパ51のガイド用収容部83内に収容される。ガイド用突出部82の上下方向Vに沿う長さは、ストッパ51が図5に示すように第1の位置P3にある状態と図6に示すように第2の位置P4にある状態との間で上下方向Vに沿って移動する際に、ガイド用突出部82の少なくとも一部がガイド用収容部83内に収容される長さを有している。
【0063】
図5の範囲F61内には、ガイド用突出部82がガイド用収容部83内に収容されている状態においてガイド用突出部82とガイド用収容部83とを拡大するとともに移動方向Mに沿って切断した状態を示している。範囲F61に示すように、ガイド用突出部82の移動方向両端面84,85は、移動方向Mに垂直な平面であり、上下方向Vに平行である。ガイド用収容部83の内面のうち、移動方向両端面86,87は、移動方向Mに垂直であり、上下方向Vに平行である。
【0064】
ガイド用収容部83は、ガイド用突出部82よりも若干大きい。これは、ケース52に対してストッパ51がスムーズに移動するようにするためである。ストッパ51がケース52内に収容された状態では、ガイド用突出部82において移動方向Mの他端側の端面85と、ガイド用収容部83において移動方向他端側の端面87とが互いに平行である。また、ガイド用突出部82の移動方向Mの一端側の端面84と、ガイド用収容部83の移動方向Mの一端側の端面86とが互いに平行になる。
【0065】
上記のように、ガイド用収容部83がガイド用突出部82に対して若干大きいが、これら端面85,87が面接触することによって、または、端面84,86が面接触することによって、ストッパ51の上下方向Vに沿う移動がガイドされる。
【0066】
範囲F61内に示すように、ガイド用収容部83の移動方向Mの一端側の外側の端面88は、前後方向Lに垂直な平面である。ケース52の側壁部59の内面89は、前後方向Lに垂直な平面である。内面89と端面88とは、互いに対向する。内面89と端面88との間には、隙間S1が設けられている。なお、内面89と端面88とが最も近づいた状態、つまり、端面85,87が面接触している状態であっても、隙間S1が形成される。
【0067】
次に、引戸10を全閉位置P1から全開位置P2に開く際の、指挟み防止装置40の動作を説明する。図1中、全閉位置P1にある引戸10は、2点鎖線で示されている。引戸10を開く際には、作業者は、操作用凹部18に手の指をかける。図1の範囲F12内には、操作用凹部18とその近傍を拡大して示している。範囲F12内には、作業者の手5を2点鎖線で示している。
【0068】
範囲F12内に示すように、作業者は、引戸10を全開位置P2まで移動する際には、一般的に、操作用凹部18の移動方向他端側に指を押し当てる。そして、操作用凹部18の移動方向他端側に指を押し当てた状態で、引戸10を全開位置P2まで押すことによって移動する。
【0069】
ストッパ装置50のストッパ51は、付勢用ばね56によって、第1の位置P3に保持される。ストッパ51が第1の位置P3にある状態で引戸10を全開位置P2に向って移動すると、引戸10が、指挟み防止位置P5にいたると、図5に示すように、ストッパ51が敷居23に設けられるぶれ止めピン26に当接する。ストッパ51がぶれ止めピン26に当接することによって、引戸10がそれ以上開かなくなる
ここで、指挟み防止位置P5について具体的に説明する。指挟み防止位置P5は、引戸10を全開位置P2まで開く際に、引戸10と戸袋22との間に作業者の手の指が挟まれないよう考慮された位置である。
【0070】
本実施形態では、引戸10には、操作用凹部18が設けられており、操作用凹部18の内面に押し当てられた作業者の手の指が、引戸10と戸袋22との間に引き込まれるおそれがある。
【0071】
図1に示すように、本実施形態では、指挟み防止位置P5は、操作用凹部18の移動方向Mに沿って他端の縁18aが戸袋22の開口側端面22aと面一になる位置である。面一になるとは、引戸10を前方から見たときに、操作用凹部18の移動方向他端の縁18aと戸袋22の端面22aとが重なる位置である。このため、図1の範囲F12内に示すように、ストッパ51がぶれ止めピン26に当接したときに作業者の手の指が引戸10と戸袋22との間に引き込まれることはない。
【0072】
上記は、前面13側から引戸10を移動した状態を説明したが、後面14側から引戸10を移動した場合であっても、引戸10は、指挟み防止位置P5で同様に停止する。
【0073】
なお、指挟み防止位置P5は、上記以外に設定されてもよい。例えば、引戸10を前方から後方に向って見たときに、操作用凹部18の全体が露出するように、操作用凹部18が戸袋22の端面22aより離れた位置にあるときに、ストッパ51とぶれ止めピン26とが互いに当接してもよい。
【0074】
ストッパ51とぶれ止めピン26とが当接することによって引戸10の移動が停止すると、作業者は、ストッパ51の操作部78を上方に移動する。ケース52の開口部79が引戸10の端面に開口しているので、作業者は、開口部79を通して操作部78を操作することができる。
【0075】
図6に示すように、作業者は、付勢用ばね56による付勢力に抗って、ストッパ51を上方に移動する。ストッパ51が第2の位置P4まで持ち上げられると、ボス部63が貫通孔64の下端に当接する。この当接によって、作業者は、ストッパ51が第2の位置P4まで移動されたことを認識することができる。他の例としては、ストッパ51が第2の位置P4まで移動したときに、ストッパ51の上端面がケース52の上端面に当接するようにしてもよい。この場合、ボス部63が貫通孔64の下端に当接していなくてもよい。この場合、作業者は、ストッパ51の上端面がケース52の上端面に当接することによって、ストッパ51が第2の位置P4まで移動したことを認識することができる。
【0076】
ストッパ51が第2の位置P4まで移動されると、ストッパ51と敷居23の底壁部25との間には、ぶれ止めピン26が通ることができるスペースが設けられる。作業者は、ストッパ51を第2の位置P4に維持したまま、引戸10を、図7に示すように指挟み防止位置P5から全開位置P2まで移動する。図7は、引戸10を移動する様子を図6のように示す平面図である。ストッパ51が第2の位置P4にあることによって、ぶれ止めピン26とストッパ51とが互いに当接することがなく、引戸10を戸袋22内に押し込むことができる。
【0077】
なお、上記では、ストッパ51を第2の位置P4に維持した状態で引戸10を戸袋22内に押し込んだ。他の例としては、操作部78を操作することによってストッパ51をぶれ止めピン26よりも上方に移動した後、引戸10をストッパ51とぶれ止めピン26とが上下方向Vに重なる位置まで移動させたら、操作部の操作を解除してもよい。
【0078】
操作部78への操作が解除されることによって、ストッパ51は、付勢用ばね56の付勢力によって下方に移動されるので、ぶれ止めピン26と上下方向Vに当接する。しかしながら、ストッパ51の下端面51aは上下方向Vに垂直な平面であるので、当該下端面51aとぶれ止めピン26とが互いに擦ることになるが、この状態で引戸10を戸袋22内に押し込むことができる。
【0079】
なお、この場合、ストッパ51とぶれ止めピン26との間に摩擦力が発生するので、引戸10の移動に必要とする力が大きくなるので、好ましくは、ストッパ51を第2の位置P4、または、ぶれ止めピン26と上下方向Vに接触しない位置に位置決めた状態で引戸10を移動すると、引戸10の移動に必要な力を小さく抑えることができる。
【0080】
このように構成される指挟み防止装置40では、引戸10を全開位置P2に向って移動する際に、引戸10が指挟み防止位置P5に到達すると、ストッパ51とぶれ止めピン26とが当接することによって、引戸10の移動が停止される。
【0081】
作業者は、引戸10の移動が停止されると、操作部78を操作する。このため、作業者は、操作部78を操作する状態になると、引戸10と戸袋22との間に指を挟む恐れがあることを認識することができるので、引戸10と戸袋22との間に指を挟むことが発生することを防止することができる。
【0082】
また、ストッパ51は、付勢用ばね56によって第1の位置P3に付勢されるので、ストッパ51がぶれ止めピン26と上下方向Vに重ならない位置にあると、ストッパ51は、自動的に第1の位置P3に位置決められる。このため、引戸10と戸袋22との間に指が挟まれることの発生を、より一層防止することができる。
【0083】
また、ガイド部81によって、ケース52とカバー53とに対するストッパ51の上下方向Vに沿う移動をスムーズに行うことができる。
【0084】
また、ストッパ51においてケース52の開口部79を通して外側に露出する端面88とケース52の側壁部59の内面89との間には、隙間S1が設けられている。つまり、内面89と端面88とが常に接触しないので、ストッパ51の移動に伴って端面88が内面89に対して擦ることがないので、端面88が傷つくことが防止される。このため、引戸10の外観が悪くなることを抑制することができる。
【0085】
また、引戸10を指挟み防止位置P5に停止させるために互いに当接するストッパ51とぶれ止めピン26とが収容溝部12内に収容されることによって、これら互いに当接する部位が外側から隠れることになる。ストッパ51とぶれ止めピン26とは、互いに当接することによって当接した部分が擦れたりするが、上記のように、外側から隠れることによって、当該擦れたりする部分が露出しなくなるので、見栄えが悪くなることを抑制できる。さらに、収容溝部12が下端に開口することによって、ストッパ51が外側から見えづらくなるので、見栄えが悪くなることをより一層抑制することができる。
【0086】
また、ストッパ51とぶれ止めピン26とを当接させることによって引戸10の移動を停止するため、引戸10の移動停止するために操作用凹部18を戸袋22の先端と接触するように出没可能に設ける必要がない。このため、操作用凹部18などの引戸10を移動する際に作業者が指を添えたりする操作部のデザインを自由に選択することができる。
【0087】
また、操作用凹部18などの引戸10を移動する際に作業者が用いる操作部を戸袋22に接触する構造ではなくストッパ51とぶれ止めピン26とを接触させる構造によって引戸10の移動を停止するため、引戸10と戸袋22の前壁部27との間のクリアランスと、引戸10と戸袋22の後壁部28との間のクリアランスとによらずに、引戸10の移動を停止することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、付勢用ばね56が用いられている。他の例としては、付勢用ばね56が用いられなくてもよい。ボス部63の大きさと貫通孔64の大きさとの相対関係は、ボス部63と貫通孔64との間に隙間が設けられることによってボス部63と貫通孔64との間の摩擦を低減し、ストッパ51をスムーズに移動できるように設定されている。このため、ストッパ51は、その自重により、自動的に第1の位置P3に位置決められる。なお、本実施形態のように、付勢用ばね56が用いられることによって、ストッパ51を第1の位置P3に、より確実に位置決められるようになる。
【0089】
次に、本発明の第2の実施形態に係る指挟み防止装置を、図8〜10を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、貫通孔64の形状が第1の実施形態と異なる。また、付勢用ばね56が用いられない。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について説明する。
【0090】
図8は、本実施形態のストッパ装置50を示す分解斜視図である。図8に示すように、本実施形態では、貫通孔64は、ストッパ51を第2の位置P4、または、第1の位置P3に保持する保持用突出部90を備えている。保持用突出部90は、貫通孔64の内面のうち、移動方向Mに互いに対向する両面に設けられており、互いに相手側の面に向って突出している。
【0091】
保持用突出部90は、貫通孔64の上下方向Vの中間位置に設けられている。貫通孔64において、両保持用突出部90を境に上方と下方とには、それぞれ、ボス部63が収容可能なスペースS2,S3が設けられている。両保持用突出部90間には、隙間S4が形成されている。隙間S4の幅は、ボス部63よりも小さい。
【0092】
ストッパ51において貫通孔64を移動方向Mに挟む両側には、貫通孔64の縁部を変形可能とする変形用溝部91が形成されている。貫通孔64の縁部を変形させて隙間S4を広げることによって、ボス部63が隙間S4を通る。貫通孔64の縁部64aの両上端部には、変形要溝部91と貫通孔64とを連通する切込みS5が形成されている。切込みS5が形成されることによって、縁部64は下端部でストッパ51に支持されるようになり、いわゆる片持ち支持される。切込みS5は、貫通孔64の縁部64aによるボス部63の挟持力を適正にするために形成されている。
【0093】
図9は、指挟み防止位置P5にある引戸10において、ストッパ装置50の近傍を一部切り欠いて示す斜視図である。図9では、ストッパ51を明確に示すために、カバー53とブラケット54とは、省略されているが、実際には、第1の実施形態と同様に、カバー53とブラケット54とが用いられている。
【0094】
図9に示すように、ストッパ51がぶれ止めピン26に当接する位置である第1の位置P3にあるときは、ボス部63は、貫通孔64内において保持用突出部90の上方に設けられるスペースS2内に収容される。
【0095】
図10は、ストッパ51を第2の位置P4に移動した状態を、図9と同様に示す斜視図である。図10に示すように、ストッパ51を第2の位置P4に移動する場合は、操作部78を押し上げることによって、ボス部63が両保持用突出部90間の隙間S4を押し広げる。このことによって、ボス部63が隙間S4を通り、それゆえ、ストッパ51が上方に移動できる。
【0096】
図10に示すように、ストッパ51が第2の位置P4に移動すると、ボス部63は、貫通孔64内において、両保持用突出部90の下方に形成されるスペースS3内に収容される。ボス部63がスペースS3内に保持されることによって、ストッパ51は、第2の位置P4に保持される。
【0097】
ストッパ51を、図9に示すように、ぶれ止めピン26に当接する位置に移動する際には、操作部78を押し下げる。操作部78を押し下げることによって、ボス部63が隙間S4を押し広げるので、ストッパ51が第1の位置P3に移動する。
【0098】
本実施形態では、ストッパ51が第1の位置P3と第2の位置P4とに保持されるので、付勢用ばね56は、用いられていない。本実施形態では、上記のように、ストッパ51は、保持用突出部90によって、選択的に第2の位置P4と第1の位置P3とに保持される。
【0099】
本実施形態では、ストッパ51が第2の位置P4に保持されるので、作業者は、ストッパ51を第2の位置P4に保持するべく操作部78を押し上げ続けるなどの動作をする必要がなくなるので、引戸10を全開位置P2までスムーズに移動することができる。
【0100】
また、ストッパ51が第2の位置P4に保持されている状態は、指挟み防止装置40が機能しない状態である。ストッパ51が第1の位置P3に保持されている状態は、指挟み防止装置40が機能する状態である。
【0101】
本実施形態では、指挟み防止装置40の機能を停止する状態と機能する状態とを選択的に保持することができる。このため、例えば、子供など、引戸10と戸袋22との間に指を挟むおそれがある者が引戸を操作する場合は、常に、ストッパ51を第1の位置P3に保持することによって指挟み防止装置40が機能する状態とすることができる。そして、例えば大人など、指挟みを発生するおそれが少ない者が主に引戸を操作する場合では、ストッパ51を第2の位置P4に保持することによって指挟み防止装置40が機能しない状態にして引戸10を全開位置P2までスムーズに移動することができるようになる。
【0102】
次に、本発明の第3の実施形態に係る指挟み防止装置を、図11,12を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ストッパ51の形状が第1の実施形態に対して異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0103】
図11は、引戸10が指挟み防止位置P5に到達した状態において、ストッパ装置50の近傍を示す平面図である。図11では、ストッパ51の位置をわかりやすく示すために、カバー53とブラケット54とは図示が省略されているが、実際には、第1の実施形態と同様に、カバー53とブラケット54とが用いられている。
【0104】
図11に示すように、ストッパ51において移動方向Mの他端側の端部には、ぶれ止めピン26に当接する、上下方向Vに対して傾斜する傾斜面100が設けられている。傾斜面100は、ストッパ51の下端面51aの移動方向Mに沿う中腹部から、移動方向Mの他端側に向って上方に延びるように傾斜している。傾斜面100は、平面である。引戸10が指挟み防止位置P5にいたると、傾斜面100は、ぶれ止めピン26に当接する。
【0105】
図11に示すように、傾斜面100がぶれ止めピン26に当接する状態から引戸10をさらに戸袋22内に向って押し込むと、ぶれ止めピン26は、傾斜面100上を当該傾斜面100に対して滑るようになる。ぶれ止めピン26が傾斜面100上を滑ることに伴って、ストッパ51は、上方に向かって移動してぶれ止めピン26の上方に移動する。
【0106】
図12は、ぶれ止めピン26が傾斜面100上を滑ることによって、ストッパ51がぶれ止めピン26を乗り越えた状態を、図11と同様に示す正面図である。図12に示すように、ストッパ51がぶれ止めピン26を乗り越えることによって、作業者は、操作部78を操作することなく、引戸10を全開位置P2まで移動することができる。本実施形態では、第2の位置P4は、第2の位置P4にあるストッパ51の下端面51aとぶれ止めピン26との間に隙間ができるように設定されている。図12に示すように、引戸10の移動に伴ってストッパ51がぶれ止めピン26を乗り越えた状態では、ストッパ51の下端面51aはぶれ止めピン26に接触している。このため、図12に示すストッパは、第2の位置P4よりも下方に位置している。
【0107】
なお、図11,12に示すように、ストッパ51は、操作部78を備えてもよい。第1の実施形態と同様に、操作部78を操作してストッパ51をぶれ止めピン26の上方に移動することによって、引戸10を全開位置P2まで移動することができる。または、操作部78は設けられなくてもよい。
【0108】
次に、本実施形態の指挟み防止装置40の動作を説明する。操作者が引戸10を全閉位置P1から全開位置P2に向って移動すると、指挟み防止位置P5において、図11に示すように、ストッパ51の傾斜面100がぶれ止めピン26に当接する。
【0109】
傾斜面100にぶれ止めピン26が当接することによって、引戸10を移動するために必要な力が大きくなるので、引戸10の移動が一端停止される。引戸10の移動が停止されると、操作者は、ストッパ51がぶれ止めピン26を乗りこえるように、当初より大きな力で引戸10を全開位置P2に向って移動する。
【0110】
ストッパ51がぶれ止めピン26を乗り越える力が引戸10に入力されると、図12に示すように、ストッパ51はぶれ止めピン26を乗り越えるので、引戸10が全開位置P2まで移動する。
【0111】
なお、本実施形態では、ぶれ止めピン26は、球体部26bを備えており、上端部が球体となる形状である。他の例では、ぶれ止めピン26に代えて、傾斜面100に面接触する傾斜面を有する突出部が用いられてもよい。この突出部は、ぶれ止めピン26の機能である、引戸10を敷居23の敷居溝部24の幅方向中心に位置決める機能を有している。
【0112】
この場合、ストッパ51の傾斜面100と突出部の傾斜面とが互いに面接触することによって、ストッパ51が突出部を乗り越えやすくなる。このため、引戸10を全開位置P2までスムーズに移動することができる。
【0113】
本実施形態では、引戸10を移動することによって、操作部78を操作することなくストッパ51がぶれ止めピン26を乗り越えられるにするための一例として、ストッパ51が傾斜面100を有している。そして、傾斜面100は平面とした。他の例としては、傾斜面100は、平面でなく、曲面であってもよい。
【0114】
要するに、ストッパ51において指挟み防止位置P5にいたったときに突出部(本実施形態では、一例としてぶれ止めピン26)に当接する部位に、引戸10を引く動作に伴って突出部を乗り越える乗り越え部が設けられていればよい。上記傾斜面は、乗り越え部の一例である。
【0115】
次に、本発明の第4の実施形態に係る指挟み防止装置を、図13を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、戸袋22に代えて壁部110が用いられる点が、第1の実施形態に対して異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0116】
図13は、本実施形態の指挟み防止装置40が設けられる引戸10と、その近傍とを一部切り欠いて示す斜視図である。図13に示すように、本実施形態では、壁部110が設けられている。本実施形態では、開口部20は、壁部21と壁部110との間に形成されている。
【0117】
壁部110には、全開位置P2に移動した引戸10を収容する凹部111が形成されている。引戸10は、移動するにしたがい、凹部111内に収容される。作業者が引戸10の後面14に形成される操作用凹部18を用いて引戸10を後面14側から全開位置P2まで移動する際に、壁部110と引戸10との間に指を挟むおそれがある。
【0118】
本実施形態では、指挟み防止位置P5は、壁部110の開口部20側の端面112と、操作用凹部18において移動方向Mの他端側の縁18aとが前後方向に重なる位置に設定されている。本実施形態であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0119】
次に、本発明の第5の実施形態に係る指挟み防止装置を、図14を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、引戸10は、片引き戸構造ではなく、引き違い戸構造である。このため、引戸10に替えて、2つの引戸120,121が用いられる。本実施形態では、戸袋22は用いられてない。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点を、具体的に説明する。
【0120】
図14は、本実施形態の指挟み防止装置40が設けられる、2つの引戸120,121とその近傍とを示す斜視図である。本実施形態では、開口部20は、2つの引戸120,121によって開閉される大きさを有している。なお、引戸120,121は、ともに、引戸10と同じ構造である。このため、引戸120,121の各部位には、引戸10と同じ符号を付して説明を省略する。引戸120は、引戸121に対して前側に位置している。
【0121】
なお、引戸120の操作用凹部18は、前面13と後面14との各々の移動方向Mの他端部に設けられている。前面13と後面14に形成される操作用凹部18は、前後方向に重なる位置に配置されている。引戸121の操作用凹部18は、前面13と後面14との各々の移動方向Mの一端部に設けられている。前面13と後面14とに形成される操作用凹部18は、前後方向に重なる位置に配置されている。
【0122】
図14では、一方の引戸120が全閉位置P1にあり、他方の引戸121が全開位置P2にある状態を示している。ここで、引戸120,121において、それぞれの全閉位置P1と全開位置P2とについて、具体的に説明する。
【0123】
図14に示すように、本実施形態では、開口部20は、敷居23と、鴨居30と、敷居23と鴨居30の移動方向Mの両端に設けられる側壁部122,123とによって形成される。側壁部122,123は、敷居23と鴨居30とに連結されている。
【0124】
引戸120の全閉位置P1は、引戸120が他方の側壁部123に当接する位置である。引戸121の全閉位置P1は、引戸121が一方の側壁部122に当接する位置である。引戸120,121が全閉位置P1にあることによって、開口部20が塞がれる。
【0125】
引戸120の全開位置P2は、側壁部122に当接する位置である。引戸121の全開位置P2は、側壁部123に当接する位置である。引戸120,121の一方が全閉位置P1にある状態において、他方が全開位置P2にあると、開口部20において他方の引戸に覆われるべき範囲が全開状態になる。
【0126】
本実施形態では、引き違い戸構造であるので、戸袋22は用いられない。敷居23は、2つの敷居溝部24が形成されている。これら2つの敷居溝部24は互いに平行である。鴨居30は、2つの鴨居溝部31が設けられている。引戸120,121の上下端部11,15は、敷居溝部24と鴨居溝部31に収容される。
【0127】
本実施形態では、両引戸120,121の各々と敷居23に指挟み防止装置40が設けられている。図14に示すような引き違い戸構造では、奥側の引戸121を前側から開く際に、引戸120,121間に指を挟むことが考えられる。または、前側の引戸120を後ろ側から開く際に、引戸120,121間に指を挟む場合がある。
【0128】
本実施形態では、引戸120の指挟み防止位置P5は、全閉位置P1にある引戸121の移動方向Mの他端面と引戸120の操作用凹部18の他端側の縁18aとが前後方向に重なる位置である。引戸121の指挟み防止位置P5は、全閉位置P1にある引戸120の移動方向Mの一端面125と引戸121の操作用凹部18の一端側の縁18bとが前後方向に重なる位置である。
【0129】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0130】
次に、本発明の第6の実施形態に係る指挟み防止装置を、図15を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、引戸10に対するストッパ装置50の姿勢が第1の実施形態に対して異なる。また、本実施形態では、ぶれ止めピン26に加えて、ストッパ51と当接する突出部130が設けられる。また、収容溝部131が設けられる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点を具体的に説明する。
【0131】
図15は、全開位置P2にある引戸10においてぶれ止めピン26の近傍を移動方向Mに垂直な平面に沿って切断した状態を示す断面図である。図15に示すように、突出部130は、一例として、戸袋22の前壁部27の内面に設けられており、後壁部28側に向って突出している。突出部130は、ぶれ止めピン26の近傍に配置されている。
【0132】
引戸10の前面13において下端部11には、突出部130が収容される収容溝部131が形成されている。収容溝部131は、引戸10が全閉位置P1から全開位置P2まで移動する際に突出部130を収容できるよう、移動方向Mに延びている。
【0133】
本実施形態では、ストッパ装置50は、収容溝部12内ではなく、収容溝部131内に形成されている。本実施形態のストッパ装置50は、第1の実施形態に対して、90度回転した姿勢で収容溝部131内に固定されている。第1の実施形態において下端に開口しているカバー53の開口は、本実施形態では戸袋22の前壁部27に向って開口している。ストッパ51は、指挟み防止位置P5にいたると、突出部130に当接する。ストッパ51が戸袋22の後壁部28側に移動することによって、ストッパ51と突出部130との当接が解除される。このように、本実施形態では、ストッパ51は、前後方向Lに沿って移動する。本実施形態では、ストッパ51の第1の位置P3は、最も前方に移動した位置となる。第2の位置P4は、最も後方に移動した位置となる。
【0134】
なお、引戸10に対するストッパ装置50位置および姿勢は、第1の実施形態に対して、収容溝部131内に収容されることと、90度回転した姿勢であることが異なるのみであり、第1の実施形態と同様に引戸10の一端部16に設けられている。このため、本実施形態では、カバー53の開口部79を通して操作部78を操作することができる。
【0135】
本実施形態であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。なお、第2,3の施形態であっても、本実施形態のように、ストッパ装置50のストッパ51に当接するものとして、ぶれ止めピン26に代えて、突出部130が用いられてもよい。
【0136】
次に、本発明の第7の実施形態に係る指挟み防止装置を、図16〜19を用いて説明する。なお、第5の実施形態と同様の機能を有する構成は、第5の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ストッパ装置50のストッパ51に当接するものとして、ぶれ止めピン26に代えて、第6の実施形態で用いられた突出部130が用いられる。また、引戸10に対するストッパ装置50の姿勢が第5の実施形態に対して異なる。他の構造は、第5の実施形態と同じである。
【0137】
図16は、本実施形態で用いられる引戸120,121とその近傍とを示す正面図である。図16では、両引戸120,121は、全閉位置P1にある状態である。図17は、他方の引戸121が全開位置にあり、かつ、一方の引戸120が全閉位置P1にある状態を、ストッパ装置50の近傍において移動方向Mに垂直な平面に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0138】
図16,17に示すように、本実施形態では、他方の引戸121の前面13に突出部130が設けられる。突出部130は、引戸120に向って突出している。引戸120の後面14には、両引戸120の移動の際に突出部130を収容する収容溝部131が形成されている。収容溝部131は、移動方向Mに延びている。突出部130が収容溝部131に収容されることによって、両引戸120,121が移動方向Mに沿って移動することができる。突出部130は、引戸121の前面13の下端部において、端面124側に配置されている。端面124は、引戸121が全閉位置P1にあるときに、側壁部122側の端面である。
【0139】
本実施形態では、ストッパ装置50は、1つ用いられており、一方の引戸120の収容溝部131内に設けられている。一方の引戸120においてストッパ装置50が設けられる位置は、一端部16である。ストッパ装置50は、ストッパ51の移動方向が前後方向Lに沿うように、第5の実施形態の配置に対して、90度回転した姿勢である。このため、ケース52の開口は、引戸121側に向って開口しており、ストッパ51は、前後方向Lに沿って移動する。
【0140】
本実施形態では、第1の位置P3は、ストッパ51が最も後方に移動した位置である。第2の位置P4は、ストッパ51が最も前方に移動した位置である。
【0141】
図18は、一方の引戸120が全閉位置P1にある状態において、他方の引戸120を全開位置P2側に向って移動したときに他方の引戸121に設けられる突出部130がストッパ51に当接した状態を示す正面図である。図18に示すように、突出部130は、引戸121が指挟み防止位置P5にいたると、ストッパ51に当接する位置に設けられている。
【0142】
このように、本実施形態では、他方の引戸121に設けられる突出部130が、一方の引戸120に設けられるストッパ51に当接することによって、引戸121が指挟み防止位置P5にいたると、引戸121の移動が停止される。本実施形態であっても、操作部78は、第1の実施形態と同様に、開口部79を通して操作可能である。
【0143】
引戸121が指挟み防止位置P5にいたると、作業者は、操作部78を操作することによってストッパ51を、突出部130に当接しない位置に移動する。このことによって、引戸121を全開位置P2に移動することができる。
【0144】
なお、引戸120と引戸121とは、互いに同じ構造である。このため、引戸121が引戸120に対して指挟み防止位置P5にあることによって、引戸120が引戸121に対して指挟み防止位置P5にあることになる。
【0145】
つまり、両引戸120,121の相対位置が互いに指挟み防止位置P5にあるときに、ストッパ51は突出部130に当接する。両引戸120,121を同時に全閉位置P1から全開位置P2に向って移動する場合、両引戸120,121がともに開口部20の移動方向Mに沿って中央部でまで開いたときに、互いに指挟み防止位置P5になる。つまり、引戸120に対して引戸121が指挟み防止位置P5にあるとともに、引戸121に対して引戸120が指挟み防止位置P5にある状態であり、引戸120の後面14に形成される操作用凹部18の縁18bが図18と同様に引戸121の端面と前後方向に重なる状態である。
【0146】
本実施形態では、このような場合であっても、両引戸120,121の相対位置が、指挟み防止位置P5になるとストッパ51と突出部130とが当接することによって、両引戸120,121の移動が停止される。
【0147】
このため、本実施形態では、第5の実施形態と同様の効果が得られる。また、例えば、両引戸120,121を挟んで前後から引戸120,121が同時に移動される場合であっても、両引戸120,121の移動を、指挟み防止位置P5で停止することができる。
【0148】
次に、本発明の第8の実施形態に係る指挟み防止装置を、図19を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、引戸10に対する移動方向Mに沿うストッパ装置50の位置が、第1の実施形態に対して異なる。また、引戸10に対するストッパ装置50の位置が異なることに伴って、操作部78の移動方向Mに沿う長さが異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。
【0149】
図19は、本実施形態の引戸10と、その周囲を示す正面図である。図19では、引戸10は、ぶれ止めピン26がストッパ51に当接した状態を示している。図19中、範囲F23を拡大して示している。範囲F23は、引戸10においてストッパ装置50の近傍を拡大して示している。
【0150】
図19に示すように、本実施形態では、ストッパ装置50は、引戸10の移動方向Mの一端部16ではなく、移動方向Mに沿って中央部に設けられている。これは、ぶれ止めピン26が敷居23上において戸袋22の内側の部分に設けられているためである。
【0151】
操作部78は、引戸10の端面まで延びており、それゆえ、操作者が操作可能になっている。
【0152】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、敷居23に設けられる既存のぶれ止めピン26を利用している。このため、ぶれ止めピン26によっては、ストッパ装置50は、引戸10の端面の近傍に配置されていない場合もある。
【0153】
しかしながら、本実施形態のように、操作部78を、引戸10の端面まで延ばすことによって、言い換えると、引戸10の外側から操作可能の位置まで操作部78を延ばすことによって、ぶれ止めピン26の位置に関わらず、ぶれ止めピン26を利用することができる。
【0154】
なお、第1〜8の実施形態では、指挟み防止装置は、引戸10の下端部に設けられている。具体的には、第1〜5の実施形態では、敷居23に設けられるぶれ止めピン26を利用するとともに引戸10の下端部11にストッパ装置50を設けている。第6の実施形態では、戸袋22の下端部に突出部130が設けられるとともに、引戸10の下端部11にストッパ装置50が設けられている。第7の実施形態では、他方の引戸121の下端部11に突出部130が設けられるとともに一方の引戸120の下端部にストッパ装置50が設けられている。
【0155】
他の例としては、例えば、指挟み防止装置40は、引戸10の上端部に設けられてもよい。この具体的な例としては、第1〜5の実施形態では、ぶれ止めピン26に代えて、第6の実施形態で説明したような突出部130を鴨居30の鴨居溝部31の上壁部31aに設ける。突出部130は、下方に向って突出する。引戸10の上端面10aには、突出部130を収容する収容溝部131を設ける。そして、収容溝部131内にストッパ装置50を設ける。このように、敷居23を利用するのではなく、鴨居30を利用してもよい。
【0156】
第6の実施形態では、戸袋22の上端部に突出部130を設けるとともに、ストッパ装置50を引戸10の上端部15に設けてもよい。第7の実施形態では、他方の引戸121の上端部に突出部130を設けるとともに、一方の引戸120の上端部に収容溝部131を設けて、収容溝部131内にストッパ装置50を設ける。
【0157】
また、第1〜5の実施形態では、指挟み防止装置40の一部として、既存のぶれ止めピン26を利用した。他の例としては、ぶれ止めピン26とは、別に、ストッパ51に当接する突出部を設けてもよい。この場合、この突出部の位置は、ストッパ装置50の位置に応じて決定することができる。
【0158】
言い換えると、ぶれ止めピン26を利用する場合、ぶれ止めピン26は既存であるため、ストッパ装置50は、ぶれ止めピンの位置に応じて決定される。このため、第8の実施形態のように、操作部78を長くするなどして対応する必要がある。しかしながら、ぶれ止めピン26とは別途に突出部を用いることによって、ストッパ装置50を、操作しやすい位置に設けることができる。なお、ぶれ止めピン26を用いることによって、指挟み防止装置40を引戸10とその周囲に設ける場合、部品点数を削減することができる。
【0159】
第1〜5,8の実施形態では、敷居23は、本発明で言う移動部の一例である。つまり、移動する引戸10に対して、敷居23は、相対的に移動する。第6の実施形態では、戸袋22の前壁部27は、本発明で言う移動部の一例である。つまり、移動する引戸10に対して、戸袋22の前壁部27は、相対的に移動する。第7の実施形態では、引戸120に対して、引戸121が本発明で言う移動部の一例である。つまり、移動する引戸120に対して、引戸121は、相対的に移動する。また、上記のように、鴨居30に突出部を設けるとともに、引戸の上端部に収容溝部とストッパ装置50を設ける場合は、鴨居30は、本発明で言う移動部の一例となる。
【0160】
また、第1〜3,6の実施形態では、指挟み防止位置P5は、一例として、操作用凹部18の縁と戸袋22の先端が前後方向に重なる位置とした。これは、本発明で言う指挟み防止位置の一例である。指挟み防止位置は、操作用凹部の形状に起因して変化する。例えば、第1〜8の実施形態では、操作用凹部18の形状は、一例として、上下方向Vに長い長方形状である。このため、操作用凹部18の周縁のうち、戸袋22側の縁18aが戸袋22の先端面と前後方向に重なる位置を、指挟み防止位置としている。要するに、指挟み防止位置は、引戸10と戸袋22との間に指を挟むおそれがない位置に設定されればよい。この場合、指挟み防止位置は、全開位置の近傍であることが好ましい。同様に、第4,5,7,8の実施形態であっても、指挟み防止位置P5は、一例である。
【0161】
また、第1〜8の実施形態では、第1の位置P3は、ストッパ51の移動範囲のうちぶれ止めピン26または突出部130に最も近づく位置である。これは、本発明で言う第1の位置の一例である。第1の位置は、引戸の移動時に移動方向に突出部に当接する位置であればよい。第1〜8の実施形態では、第2の位置P4は、ストッパ51の移動範囲のうちぶれ止めピン26または突出部130に対して最も離れる位置である。これは、本発明で言う第2の位置の一例である。第2の位置は、引戸の移動時に移動方向に突出部に当接しない位置であればよい。なお、第3の実施形態では、ストッパ51がぶれ止めピン26を乗り上げた状態では、下端面51aがぶれ止めピン26に当接しており、ストッパ51は第2の位置P4よりも低い位置にある。しかしながら、ストッパ51は、この位置にあっても、移動方向にぶれ止めピン26には当接していない。第3の実施形態では、この位置が、本発明で言う第2の位置の一例となる。
【0162】
第1〜8の実施形態では、ケース52とカバー53とブラケット54とは、本発明で言うハウジングの一例を構成している。ケース52とカバー53とブラケット54とは、引戸10,120内でのストッパ51の移動が阻害されることを防止し、スムーズな移動を維持する機能を有している。
【0163】
第1〜8の実施形態では、付勢用ばね56は、本発明で言う付勢手段の一例である。他の例としては、例えば、コイルスプリングではなく、ゴムなどの弾性部材が用いられてもよい。
【0164】
第1〜8の実施形態では、本発明で言うガイド部の一例として、ガイド部81が設けられている。ガイド部81は、貫通孔64を挟んで一方側にのみ設けえられている。他の例としては、ガイド部81が、貫通孔64を挟んで他方側にも設けられてもよい。
【0165】
第1〜8の実施形態では、ガイド用突出部82とガイド用収容部83とは、本発明で言う離間手段の一例を構成している。
【0166】
なお、第1〜8の実施形態では、引戸10,120,121は、例えば、下端部に戸車が設けられる引戸である。他の例としては、引戸10,120,121は、吊り戸式の引戸であってもよい。下端部に戸車が設けられる引戸である場合、第1の実施形態に記載したように、ストッパ装置50が引戸10の移動を阻害しないために、ストッパ装置50の下端面は、引戸の下端面と面一、または、引戸10の下端面よりも若干上方に位置する構造とした。上記のように、引戸が吊り戸式である場合は、引戸の下端は浮いている状態であるため、ストッパ装置50の下端面は、引戸の下端面と面一、または、引戸10の下端面よりも若干上方にある必要はない。例えば、引戸の移動を阻害しない範囲であれば、ストッパ装置50の下端面は、引戸の下端面よりも下方にあってもよい。
【0167】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0168】
10…引戸、12…収容溝部、22…戸袋(移動部)、23…敷居、24…敷居溝部、26…ぶれ止めピン(突出部)、30…鴨居、31…鴨居溝部、40…指挟み防止装置、51…ストッパ、52…ケース(ハウジング)、53…カバー(ハウジング)、54…ブラケット(ハウジング)、56…付勢用ばね(付勢手段)、78…操作部、81…ガイド部(離間手段)、90…保持用突出部(保持手段)、100…傾斜面(乗り越え部)、120…引戸(移動部)、121…引戸(移動部)、130…突出部、131…収容溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19