(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の顆粒剤またはカプセル剤(以下、本発明の製剤ともいう。)は、以下の第一粒子と第二粒子とを含有する。
第一粒子:イブプロフェンおよびその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)(以下「(A)成分」)を含み、制酸剤(B)(以下「(B)成分」)を含まない粒子。
第二粒子:(B)成分と、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびカルボキシビニルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の賦形剤(C)(以下「(C)成分」)とを含み、(A)成分を含まず、(C)成分に対する(B)成分の質量比(B/C)が1以下である粒子。
【0010】
(A)成分と(B)成分とを異なる粒子に含有させ、かつ(B)成分を含む粒子に(C)成分を、B/Cが1以下となる質量比で含有させることにより、過酷な条件下で保存した場合でも、それらの粒子の凝集を抑制できる。これは、(C)成分が(B)成分を保護するためと考えられる。
一方、(B)成分と(C)成分とが異なる粒子に含まれる場合や、同じ粒子に含まれてもB/Cが1を超える場合には、充分な凝集抑制効果が得られない。
【0011】
<第一粒子>
第一粒子は、(A)成分を含む。
第一粒子は、(A)成分からなるものであってもよく、(A)成分以外の他の成分をさらに含むものであってもよい。ただし該他の成分として、(B)成分は含まない。
(A)成分以外の他の成分をさらに含む場合、第一粒子は造粒粒子であることが好ましい。
【0012】
[(A)成分]
(A)成分は、イブプロフェンおよびその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明の製剤は、(A)成分を含むことにより解熱鎮痛効果を有する。
(A)成分は、第一粒子中に含まれ、第二粒子中には含まれない。
イブプロフェンの塩としては、たとえば、イブプロフェンナトリウム、イブプロフェンカリウム等が挙げられる。
第一粒子に含まれる(A)成分は1種でも2種以上でもよい。
【0013】
第一粒子が造粒粒子である場合、第一粒子中の(A)成分の含有量は、特に限定されないが、第一粒子の総質量に対し、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。第一粒子中の(A)成分の含有量が10質量%以上であると、製剤中の(A)成分の含有量が低くなりすぎず、所定量の(A)成分を投与するために必要な製剤の服用量が多量にならず、利便性の面で好ましい。80質量%以下であると、造粒のための任意成分を充分に含有させることができ、製造しやすい。
【0014】
本発明の製剤中の(A)成分の含有量は、特に限定されないが、本発明の製剤の総質量に対し、0.5〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が0.5質量%以上であると、所定量の(A)成分を投与するために必要な製剤の服用量が多量にならず、利便性の面で好ましい。(A)成分の含有量が50質量%以下であると、相対的に製剤中の第一粒子の含有量が少なくなり、製剤中に充分な量の第二粒子を含有させ、(A)成分による副作用を(B)成分によって充分に抑制することができる。
【0015】
[任意成分]
第一粒子は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分および(B)成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。
第一粒子が含有してもよい他の成分としては、たとえば(A)成分および(B)成分以外の他の薬効成分、添加剤等が挙げられる。添加剤としては、賦形剤、流動化剤、崩壊剤、結合剤、香料、矯味剤(甘味料)、色素、安定化剤等の通常の添加剤を使用することができる。
【0016】
他の薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、鎮咳去痰剤等が挙げられる。解熱鎮痛消炎剤としては、アセトアミノフェン、フェナセチン、メフェナム酸、ジクロフェナク、アスピリン、エテンザミド、サリチルアミド、サリチル酸、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェンブフェン、メピリゾール、インドメタシン、ロキソプロフェン等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、シプロヘプタジン塩酸塩水和物、ジフェンヒドラミン、クレマスチンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、オキサトミド、メキタジン、エピナスチン塩酸塩、エバスチン、セチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、ロラタジン等が挙げられる。
鎮咳去痰剤としては、コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン等が挙げられる。
【0017】
賦形剤としては、特に制限されず、例えば、(C)成分、(C)成分以外のセルロース類、糖類およびデンプン類から選ばれる1種以上の粉体が挙げられる。
(C)成分以外のセルロース類の粉体としては、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
糖類の粉体としては、キシロース等の単糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、異性化乳糖等の二糖又はオリゴ糖、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。
デンプン類の粉体としては、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン;ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が挙げられる。
これらの賦形剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0018】
流動化剤としては、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン等が挙げられる。これらの結合剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。これらの崩壊剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0019】
本発明の製剤に含まれる第一粒子の平均粒子径は、目的に応じて適宜設定できる。
たとえば本発明の製剤が顆粒剤である場合、第一粒子の平均粒子径は、1〜1000μmの範囲内であり、10〜800μmの範囲内が好ましい。
本発明の製剤がカプセル剤である場合、第一粒子の平均粒子径は、カプセルに収容可能な範囲内であればよく、特に限定されない。たとえば前記顆粒剤である場合と同様の範囲内(1〜1000μmの範囲内)であってよい。
本発明において「平均粒子径」は、篩い分けにより求められる値である。篩い分けは、第十六改正日本薬局方の「第2法 ふるい分け法」に規定される方法に準拠して実施できる。
【0020】
[第一粒子の製造方法]
第一粒子が(A)成分からなる場合、第一粒子としては、(A)成分の原末をそのまま使用できる。また、必要に応じて、該原末に対し、篩い分け、解砕、粉砕、等の整粒処理を施してもよい。
第一粒子が造粒粒子である場合、第一粒子は、流動層造粒、攪拌造粒等の公知の造粒方法により製造できる。
流動層造粒による第一粒子の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(A)成分及び必要に応じて任意成分を混合して粉体混合物を得る。得られた粉体混合物を流動層造粒機に投入し、流動層造粒機内に60〜100℃の空気を送り込んで粉体混合物を流動させる。粉体混合物を流動させつつ、流動層造粒機内に結合液を噴霧して造粒し、得られた造粒粒子を乾燥する。その後、さらに、得られた乾燥粒子を篩分けしてもよい。
結合液としては、上述した結合剤の水溶液または水分散液が挙げられる。結合液中の結合剤の含有量は、結合剤の種類等を勘案して適宜決定され、例えば、1〜20質量%とされる。結合液の噴霧量は、結合剤の種類や含有量等を勘案して適宜決定される。
造粒粒子の乾燥方法としては、特に限定されず、たとえば造粒粒子を乾燥流動層造粒機内で流動させながら乾燥する方法、造粒粒子を棚式乾燥機等で乾燥する方法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば60〜80℃とされる。
【0021】
本発明の製剤に含まれる第一粒子は1種でも2種以上でもよく、組成(たとえば(A)成分の含有量、任意成分の種類や含有量)が異なる2種以上の第一粒子を含有してもよい。
本発明の製剤中の第一粒子の含有量は、製剤中の(A)成分の所望の含有量に応じて設定され、特に限定されないが、本発明の製剤の総質量に対し、5〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
【0022】
<第二粒子>
第二粒子は、(B)成分と(C)成分とを含む。
第二粒子は、(B)成分および(C)成分以外の他の成分をさらに含むものであってもよい。ただし該他の成分として、(A)成分は含まない。
第二粒子は造粒粒子であることが好ましい。
【0023】
[(B)成分]
(B)成分は制酸剤である。
制酸剤は、胃液と反応してpHを上昇させる塩基性化合物である。
(B)成分としては、制酸剤として公知のもののなかから適宜選択でき、たとえば、第十六改正日本薬局方(広川書店)又は医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集、株式会社薬事日報社)に収載のものを用いることができる。
(B)成分としては、pH上昇効果が高いことから、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロサルタイト、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよび炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、胃の中でゲル化し、物理的に胃粘膜を保護する効果があることから、乾燥水酸化アルミニウムゲルが特に好ましい。
第二粒子に含まれる(B)成分は1種でも2種以上でもよい。
【0024】
第二粒子中の(B)成分の含有量は、(C)成分に対する(B)成分の質量比(B/C)が1以下となる範囲内であれば特に限定されないが、第二粒子の総質量に対し、0.5〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。第二粒子中の(B)成分の含有量が0.5質量%以上であると、本発明の製剤中に、(A)成分による副作用を抑制するのに充分な(B)成分を含有させるのに必要な第二粒子の量が少なく、所定量の(A)成分を投与するために必要な製剤の服用量が多量にならず、利便性の面で好ましい。50質量%以下であると、第二粒子を製造する際の乾燥時に粉化しにくく、造粒物を得やすい。
【0025】
本発明の製剤中の(B)成分の含有量は特に限定されないが、製剤中の(A)成分の含有量に対する(B)成分の質量比(B/A)が0.1以上2以下の範囲内となる量が好ましく、0.2以上1以下の範囲内となる量が好ましい。B/Aが0.1以上であると、(A)成分による胃荒れ等の副作用の発生を抑制する効果が向上する。B/Aが2以下であると、製剤の服用量が多量にならず、利便性が良好である。
【0026】
[(C)成分]
(C)成分は、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびカルボキシビニルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の賦形剤である。
カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシビニルポリマーとしてはそれぞれ、固形製剤に通常使用されるものを用いることができる。
(C)成分としては、上記のなかでも、カルメロース、カルボキシビニルポリマーが好ましい。
第二粒子に含まれる(C)成分は1種でも2種以上でもよい。
【0027】
第二粒子中の(C)成分の含有量は、(C)成分に対する(B)成分の質量比(B/C)が1以下となる範囲内となるように、(B)成分の含有量に応じて設定される。B/Cは、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下が特に好ましい。B/Cが1を超えると、充分な凝集抑制効果が発揮されない。
B/Cの下限は、0超であれば特に限定されないが、0.1以上が好ましい。(C)成分は、水膨潤性を有するため、(C)成分の比率が高くなるにつれて、造粒の際に嵩高くなり、流動不良が生じる可能性が高くなる。B/Cが0.1以上であると、流動不良を充分に抑制できる。
本発明の製剤中の(C)成分の含有量は、第二粒子における(C)成分に対する(B)成分の質量比(B/C)が1以下となる範囲内であれば特に限定されない。
【0028】
[任意成分]
本発明の製剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(C)成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。
第二粒子が含有してもよい他の成分としては、第一粒子の説明で挙げた任意成分と同様のもの(ただし(C)成分は除く)が挙げられる。
第二粒子が任意成分として(C)成分以外の他の賦形剤をさらに含有する場合、該他の賦形剤としては、乳糖、マンニトール、結晶セルロースが好ましい。(B)成分、特に乾燥水酸化アルミニウムゲルは、造粒しにくい粉体であるが、結晶セルロースを添加することで造粒性が向上する。また、乳糖やマンニトールを添加することで、濡れ性が高まり、粒径の制御性が向上する。
【0029】
第二粒子は、(B)成分と(C)成分と(必要に応じてさらに任意成分)を含む混合物を造粒してなる造粒粒子であることが好ましい。このような造粒粒子は、(B)成分の近傍に(C)成分が分布しているため、(C)成分を配合することによる効果が発揮されやすい。
【0030】
本発明の製剤に含まれる第二粒子の平均粒子径は、第一粒子の説明で挙げた平均粒子径と同様であってよい。第二粒子の平均粒子径と第一粒子の平均粒子とは同じでも異なってもよい。
【0031】
[第二粒子の製造方法]
第二粒子は、流動層造粒、攪拌造粒等の公知の造粒方法により製造できる。
流動層造粒による第二粒子の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(B)成分、(C)成分及び必要に応じて任意成分を混合して粉体混合物を得る。得られた粉体混合物を流動層造粒機に投入し、流動層造粒機内に60〜100℃の空気を送り込んで粉体混合物を流動させる。粉体混合物を流動させつつ、流動層造粒機内に結合液を噴霧して造粒し、得られた造粒粒子を乾燥する。その後、さらに、得られた乾燥粒子を篩分けしてもよい。
結合液としては、上述した結合剤の水溶液または水分散液が挙げられる。結合液中の結合剤の含有量は、結合剤の種類等を勘案して適宜決定され、例えば、1〜20質量%とされる。結合液の噴霧量は、結合剤の種類や含有量等を勘案して適宜決定される。
造粒粒子の乾燥方法としては、特に限定されず、たとえば造粒粒子を乾燥流動層造粒機内で流動させながら乾燥する方法、造粒粒子を棚式乾燥機等で乾燥する方法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば60〜90℃とされる。
【0032】
本発明の製剤に含まれる第二粒子は1種でも2種以上でもよく、組成(たとえば(B)成分および(C)成分の含有量、B/Cの値、任意成分の種類や含有量)が異なる2種以上の第二粒子を含有してもよい。
本発明の製剤中の第二粒子の含有量は、特に限定されないが、本発明の製剤の総質量に対し、5〜95質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
【0033】
<本発明の製剤の製造方法>
本発明の製剤の製造は、剤形に応じた公知の方法を用いて実施できる。
本発明の製剤の製造方法は、少なくとも、第一粒子と第二粒子とを混合する工程を含む。
第一粒子と第二粒子と(必要に応じて任意の粒子と)を混合し、得られた粒子混合物をそのまま顆粒剤とすることができる。また、得られた粒子混合物をカプセルに充填することでカプセル剤とすることができる。カプセルとしては、公知のものを用いることができる。
【実施例】
【0034】
本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各例で使用した原料を以下に示す。
【0035】
<使用原料>
[(A)成分]
イブプロフェン:BASF社製「イブプロフェン」。
【0036】
[(B)成分]
乾燥水酸化アルミニウムゲル:協和化学社製「乾燥水酸化アルミニウムゲル S−100」。
【0037】
[(C)成分]
カルメロース:ニチリン化学工業社製「カルメロース NS−300」。
カルボキシビニルポリマー:日光ケミカルズ社製「カーボポール」。
【0038】
[任意成分]
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:信越化学工業社製「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース LH−21、LH−31」。
ヒドロキシプロピルセルロース:日本曹達社製「ヒドロキシプロピルセルロース HPC−L、HPC−SSL」。
乳糖水和物:DMV社製「乳糖水和物 200M」。
マンニトール:ロケットジャパン社製「PEARLITOL 50C」。
結晶セルロース:旭化成ケミカルズ社製「結晶セルロース セオラスPH−302」。
軽質無水ケイ酸:ワイ・ケイ・エフ社製「サイリシア350」。
【0039】
<実施例1>
[1.顆粒1(第一粒子)の製造]
イブプロフェン600gと低置換度ヒドロキシプロピルセルロース240gとを混合し、コロプレックス160Z(パウレック社製)にて共粉砕した。
得られた共粉砕品の420gを流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に入れ、給気温度55℃、排気温度25〜45℃で、6質量%濃度のヒドロキシルプロピルセルロース水溶液を、固形分総量が21gとなるよう噴霧した。その後、給気温度65℃で排気温度が45℃になるまで乾燥し、造粒物(顆粒1)を得た。得られた顆粒1の平均粒子径は200μmであった。
【0040】
[2.顆粒2(第二粒子)の製造]
乾燥水酸化アルミニウムゲル21g、カルメロース45g、乳糖水和物40g、マンニトール40g、結晶セルロース125g、軽質無水ケイ酸0.6gを混合し、流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に入れ、給気温度80℃、排気温度25〜50℃で、9質量%濃度のヒドロキシルプロピルセルロース水溶液を固形分総量が19gとなるよう噴霧した。その後、給気温度80℃で排気温度が55℃になるまで乾燥し、造粒物(顆粒2)を得た。得られた顆粒2の平均粒子径は200μmであった。
【0041】
[3.顆粒剤の製造]
得られた顆粒1と顆粒2とを、表1に示す配合量(mg/日)となるようにビニール袋に量り取り、手混合して顆粒剤を得た。該配合量は1日当たりの投与量を示す。
【0042】
[4.凝集評価]
得られた顆粒剤について、アルミスティック包装材に充填し、50℃75%RH・6週間の条件で苛酷試験を行った。
苛酷試験後の顆粒剤の状態を観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
4以上の評価結果が問題のないレベルである。
(基準)
5:凝集が全く発生しない。
4:1〜2mm程度の凝集が発生するが、該凝集は、指で押すと簡単に崩れる。
3:3〜4mm程度の凝集が発生するが、該凝集は、指で押すと簡単に崩れる。
2:3〜4mm程度の凝集が発生し、該凝集が、指で押しても崩れない。
1:5〜10mm程度の粘着性のある凝集が発生し、該凝集が、指で押しても崩れない。
【0043】
<実施例2〜4、比較例1〜5、参考例A,B>
顆粒1、顆粒2それぞれを製造する際に用いる原料と使用量を、表1〜2に示す配合量(mg/日)となるように変更した以外は実施例1と同様にして顆粒剤を得た。
得られた顆粒剤について、前記と同様の凝集評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0044】
<比較例6>
イブプロフェン600gと低置換度ヒドロキシプロピルセルロース240gとを混合し、コロプレックス160Z(パウレック社製)にて共粉砕した。
得られた共粉砕品の63gと乾燥水酸化アルミニウムゲル21g、カルメロース90g、乳糖水和物40g、マンニトール40g、結晶セルロース80g、軽質無水ケイ酸0.6gを流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に入れ、給気温度55℃、排気温度25〜45℃で、6質量%濃度のヒドロキシルプロピルセルロース水溶液を、固形分総量が22gとなるよう噴霧した。その後、給気温度65℃で排気温度が45℃になるまで乾燥し、顆粒剤を得た。
得られた顆粒剤について、前記と同様の凝集評価を行った。結果を表3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
上記結果に示すように、実施例1〜5の顆粒剤は、凝集評価の結果が4または5であり、苛酷保存時の凝集が充分に抑制されていた。
一方、(C)成分を含まない比較例1の顆粒剤は、凝集評価の結果が1であった。顆粒2が(C)成分を含んでもB/Cが1超の比較例2〜3は、凝集評価の結果が3であった。(C)成分が顆粒1に配合され、顆粒2に配合されなかった比較例4〜5は、凝集評価の結果が2であった。(A)〜(C)成分を全て含む1種の粒子からなる比較例6の顆粒剤は、凝集評価の結果が1であった。
なお、参考例A、Bに示すとおり、(A)成分および(B)成分のいずれか一方を含まない場合は、上記のような凝集の問題は生じない。