特許第6018914号(P6018914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018914
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】密閉シールされた容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/20 20060101AFI20161020BHJP
   B29C 51/16 20060101ALI20161020BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161020BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20161020BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20161020BHJP
   B29L 22/00 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   B65D5/20 A
   B29C51/16
   B32B27/00 H
   B32B27/10
   B65D77/20 L
   B29L22:00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-513165(P2012-513165)
(86)(22)【出願日】2010年5月25日
(65)【公表番号】特表2012-528056(P2012-528056A)
(43)【公表日】2012年11月12日
(86)【国際出願番号】US2010036014
(87)【国際公開番号】WO2010138476
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2013年4月18日
(31)【優先権主張番号】61/180,943
(32)【優先日】2009年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504376810
【氏名又は名称】ミードウエストベコ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェイ・パークス
(72)【発明者】
【氏名】バリー・ジー・カルヴァート
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−207174(JP,A)
【文献】 特開2006−160353(JP,A)
【文献】 特開平07−205972(JP,A)
【文献】 特開平07−156942(JP,A)
【文献】 特開2000−153830(JP,A)
【文献】 特開平11−310220(JP,A)
【文献】 特開2001−270046(JP,A)
【文献】 特開2000−229652(JP,A)
【文献】 特開2008−150106(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/101839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/20
B29C 51/16
B32B 27/00
B32B 27/10
B65D 77/20
B29L 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)複数の内面及び外面と、包装される物品を収容するための内部空間とを有する、プレス成形された板材の単一トレイ構造体であって、基体部分と、この基体部分から上方に延在する壁部分と、側壁部分から終焉方向に延在するフランジ部分と、を含むプレス成形された板材の単一トレイ構造体を提供するステップと、
(2)前記プレス成形された単一トレイ構造体を、ブロー成形型の壁に対して挿入するステップと、
(3)ポリマーフィルムのブロー成形用パリソンをブロー成形型の中に押し出すステップと、
(4)前記ポリマーフィルムを単一トレイ構造体の内面に対してブローして、ポリマーフィルムを前記基体部分と、前記側壁部分と、前記フランジ部分との内面に継ぎ目無く、しわ無く、一体的に結合して、コーティングされた単一トレイ構成要素を生成するステップと、
(5)蓋構成要素を、前記コーティングされた単一トレイ構成要素の周縁フランジ部分に気密シールするステップと、
を備える、気密シールされた容器を製造する方法。
【請求項2】
前記複合ポリマーフィルムは、PET、LDPE、ナイロン、EVOH、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蓋構成要素は、PETポリマーを含む所定のポリマーから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
熱シール可能な層を、前記前記コーティングされた単一トレイ構成要素の前記フランジ部分の少なくとも一部分の上に、前記コーティングされたトレイ構成要素を前記蓋構成要素と気密シールする前に、堆積するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年5月26に出願された米国仮出願第61/180943号の出願日に依拠し、その内容の全体が参照として本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
新鮮な食物などの製品を保存するために、これら製品を気密シール又は密閉シールされた容器に梱包することが望ましい。このことは、そうしなければ製品を劣化させるか又は腐らせてしまう、ガス、液体、及び固体の進入を防止する。このような梱包容器は通常、プラスチックポリマーから作られた、熱成形されたトレイと、熱シールされたプラスチックフィルムから作られた蓋とを備え、プラスチックポリマーは、完成された容器の障壁特性及び構造特性の両方に貢献している。板紙は、その低いコストと生分解性とによって梱包材料として広く試用されてきた。しかし、ペーパーボードは障壁特性に劣り、障壁性能を与えるための少なくとも1つの障壁層を必要とする。
【0003】
特許文献1は、遮蔽フィルムと共にブロー成形されている、折り畳まれた板紙構造体からなるガス密容器を開示している。(図1Aに示すような)複数の折り線を有する板紙ブランクは、折られ、容器構造に組み立てられる。次いで、形成された容器は、(図1Bに示されるように)ブランクの重ねられたフラップを接着することによって固定される。次に、折られた容器構造体は吹き込み成形機の成形要素の中に挿入され、そこで熱可塑性ポリマー構造体がブロー成形され、容器構造体に継ぎ目がなく、皺が無く堆積される。結果的に生成される複合体容器は次いで、包装される製品を充填され、シール用フィルムが容器のフランジ端辺にシールされて、中の製品を保存する。これら複合体容器は満足のいくシール特性及び障壁特性を示すが、気密包装用途のためのそれらの使用は、依然として包装性能の面及び製造プロセスの効率及び実用性の面からの大幅な改良を必要としている。包装性能の面に対しては、板紙のブランクを折ることから形成された容器構造体は、多くの重なった継ぎ目を含み、これら継ぎ目は気密包装用途に対する重要な要求である完全なシールを妨げる。製造プロセスの面からは、折られた容器構造体の成形要素の中への適切な挿入と、一旦成形要素の中に配置された、折られた容器構造体の保持が、効果的な製造に対して必要とされ、これら要求は実質的な管理を必要とする。
【0004】
特許文献2は、トレイの内面に密着して接着されたガス不透過性を有する複合プラスチックを有する、成形された堅い多孔性のトレイと、容器のリムの周りに固定されたガス不透過性を有する複合プラスチックを備える蓋とを備える、ガス不透過性を有する容器を開示している。ガス不透過性を有する複合プラスチックは3つの層、すなわち、イオノメリックポリマー材料の2つの層の間に挟まれたガス不透過性を有する熱可塑性ポリマーから成る層を備えている。ガス不透過性を有する複合プラスチックは、引き抜き成形又は真空成形技術によって、トレイの内面にコーティングされている。
【0005】
気密シール、又はガス密の用途に対して示唆された他の既知の容器は、押し出し成形プロセスを使用してポリマーフィルムで予備コーティングされた板紙シートを使用している。コーティングされた後、次に板紙はプレスされて容器構造体を形成する。このような容器は、皺又は襞を備え、これら領域において、予備コーティングされた板紙のポリマーフィルムが皺又は襞の谷間に沿い、シールフィルムとトレイのフランジとの間に隙間又は溝を生じる。この特定の欠点は特許文献3において取り組まれている。ダンボールブランクがまず、ガス遮蔽コーティングで表面コーティングされ、次いでこの予備コーティングされたブランクがプレスされてトレイ状ダンボール構造体になる。プレス成形中に、ダンボール層と柔らかい溶着コーティング層は、熱又は摩擦によって一緒に溶かされて、プレスされたダンボール構造体の皺又は襞の谷が滑らかにされ、ダンボールとコーティング層とをガスを通さない方法で一緒に溶着するのを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第500939号明細書
【特許文献2】英国特許出願第2155770号明細書
【特許文献3】米国特許第6651874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラント内システム用の、より効率的で経済的なプロセスによって生産することができる、改良された遮蔽性能及びシール性能を有する気密シールされた容器に対する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
気密シールされた容器が開示されており、この容器はプラント内システムのための効率的かつ経済的なプロセスによって生産することができる。この容器は、基体部分、側壁部分、及びフランジ部分を有するコーティングされた単一トレイ構成要素と、このトレイ構成要素のフランジ部分に気密シールされた蓋構成要素とを備えている。選択された複合ポリマーフィルムが予備形成された単一トレイ構造体の内面にブロー成形されて、継ぎ目が無く、しわの無い、ポリマーフィルムと一体に接着された内面を有する、コーティングされた単一トレイ構成要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】特許文献1に開示されているダンボールブランクの透視図である。
図1B】特許文献1に開示されているような、図1Aのダンボールブランクから形成された、折られて組み立てられたトレイの透視図である。
図2A】基体部分18、側壁部分16a及び14a、及びフランジ部分12を示す、予備形成された単一トレイ構造体の1つの実施形態の底側面からの斜視図である。
図2B図2Aに示されたフランジ部分12の内側の詳細図である。
図3】予備形成され、コーティングされた単一トレイ構成要素の1つの実施形態の断面図である。
図4】開示されている気密シールされた容器の1つの実施形態の断面図であり、予備形成され、コーティングされた単一トレイ構成要素は、蓋構成要素にシールされている。
図5】開示されている予備形成され、コーティングされた単一トレイ構成要素の1つの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の開示は以下に、より十分に記載されるが、開示の実施形態の全てが必ずしも示されているわけではない。開示は、典型的な実施形態を参照して記載されたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができるとともに、均等形態は本開示の構成要素の置換とすることができることが、当業者に理解できる。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、本開示の教唆に対して特定の状況又は材料を適用するように多くの変形を行うことができる。
【0011】
本開示の気密シールされた容器は、
(A)(a)内面及び外面を有する、予備形成された単一トレイ構造体であって、
(i)基体部分と、
(ii)この基体部分から上方に延びる側壁部分と、
(iii)この側壁部分から周囲に延びるフランジ部分と、
を含む予備形成された単一トレイ構造体と、
(b)予備形成された単一トレイ構造の内面にブロー成形された複合ポリマーフィルムであって、この複合ポリマーフィルムは、継ぎ目が無く、しわの無い、単一トレイ構造体の内面に一体に接着された複合ポリマーフィルムと、
を備える、コーティングされた単一トレイ構成要素と、
(B)このコーティングされた単一トレイ構成要素のフランジ部分に気密シールされた蓋構成要素と、
を備えている。
【0012】
「予備形成された単一トレイ構造体」という用語は、一旦形成されると、この構造体をその無傷かつ使用可能な状態に維持するためにいずれの外的影響をも必要としない、単一かつ無傷の構造体を示す。
【0013】
様々な既知の包装材料を予備形成された単一トレイ構造体を形成するために使用することができる。このような材料の例は、これらに限定されるわけではないが、紙、板紙、段ボール、繊維ボード、プラスチック、積層材、紙/プラスチック複合材、ポリスチレン発泡体、ポリマー発泡体、及びアルミニウムを含む。さらに、包装材料は、単一トレイ構造体の形成の前に予備処理を施すことができる。例えば、板紙が予備形成された単一トレイ構造体のために使用される場合には、板紙はトレイ構造体に形成される前に選択された所定の材料で押出塗装することができる。代替的にいくつかの実施形態においては、板紙は、トレイ構造体に形成されるときに塗装を剥がされる場合がある。1つの典型的な実施形態においては、単一トレイ構造体は、トレイの外面を提供するクレーコートされた側とトレイの内面を提供するコートされていない側とを有する、約0.45mm(0.018インチ)の厚みを有する板紙のクレーコートSBS(ソリッド ブリーチト サルフェート:solid bleached sulphate)シートから形成される。
【0014】
本開示の他の実施形態においては、予備形成された単一トレイ構造体を形成するために使用される包装材料の種類と材料特性とを、気密シールされた容器の最終使用用途に応じて変更し、最適化することができることが理解される。単一トレイ構造体の形成のために使用される材料の厚みは、開示されている気密シールされた容器の最終的な使用法及び望ましい特性によって変化する。例えば、板紙が予備形成された単一トレイ構造体に使用される場合には、板紙の厚みは、最終的な容器の剛性及び耐久性の要求を満足するように選択される。必要に応じて、250ミクロン(10ミル)〜750ミクロン(30ミル)の範囲の厚みを有する板紙を使用することができる。
【0015】
開示されている容器は、非常に多くの形状及び構成とすることができる。容器の形状の例は、それらに限られるわけではないが、円形状、丸角を有する矩形状、楕円形状、及び卵型を含むことができる。
【0016】
一実施形態においては、包装材料はプレス成形プロセスによって予備形成された単一トレイ構造体に形成することができる。しかし、トレイ構造体の形成のための他の既知の技術を使用することができる。必要に応じて、予備形成されたトレイ構造体は、明瞭な折り目のついた接合部よりむしろ、丸みを帯びた、又はフィレット状の角を備える形状に成形することができる。
【0017】
図2Aは、プレス成形プロセスから形成された予備形成された単一トレイ構造体の、底面及び側面から見た1つの典型的実施形態を示している。予備形成された単一トレイ構造体10は、基体部分18、この基体部分18から上方に延在する側壁部分14及び16、及びこれら側壁部分14及び16から周囲に延在するフランジ部分12を備えている。一典型実施形態において、開示された容器の内側から見た基体部分18と側壁部分14並びに16との間の移行部分はフィレットである。一典型実施形態において、容器の内側から見た側壁部分14並びに16と、フランジ部分12との間の移行部分は放射状又は丸い形状である。必要に応じて、基体部分18、側壁部分14並びに16、及びフランジ部分12の移行部分は、丸い形状の構造体であって、予備形成された単一トレイ構造体10への複合ポリマー層20の効果的なコーティングを促進する。
【0018】
図2Bは、予備形成された単一トレイ構造体10のフランジ部分12を詳細に示している。フランジ部分12は、製造上の襞又は折り目Cを備え、これら襞又は折り目Cは、開示されている容器の気密シール性の弱点を示す場合がある。この弱点は、予備成形された単一トレイ構造体10が本願に開示されているブロー成形プロセスを使用して選択された複合ポリマー層に、有効に、継ぎ目無く、折り目無く、一体に結合されている場合には、完全に除去されないにしても、最小化することはできる。
【0019】
図3は、断面図として見た、開示されているコーティングされた単一トレイ構成要素の一実施形態を示している。コーティングされたトレイ構成要素は、内面が複合ポリマーフィルム20でブロー成形された、予備形成された単一トレイ構造体10を備えている。一実施形態においては、ポリマーフィルム20は、ブロー成形プロセスによって容器10の内面に配置することができる。ポリマーフィルム20は、容器のフランジ部分12の範囲を超えて延在させることができる。示したように、ポリマーフィルム20及び任意にフランジ部分12の一部分を点“T”において取り除き、容器の輪郭のはっきりした端部を残すことができる。このように、ポリマーフィルムコーティング20をフランジ部分12の最も外側の端辺まで施すことができる。図4は、蓋構成要素22に気密シールされている、コーティングされた単一トレイ構成要素を示している。
【0020】
ポリマーフィルム20を予備形成された単一トレイ構成要素10の内面に配置するというブロー成形プロセスの故に、内面全体に亘るポリマーフィルム20の厚みは、均一でなくてもよい。ポリマー層を堆積させるための他の製作技術は、結果として、トレイ構造体10の表面全体に亘って、より均一かつポリマーフィルムの厚みの変化を少なくすることができる。気密シールの目的のためには、ポリマーフィルム20が均一な方法で適用されることはあまり重要ではなく、ポリマーフィルムが、トレイ構造体10が本質的に気密であるか、又は一旦シールされると気密になる領域においてトレイ構造体10を覆うことがより重要である。また、ポリマーフィルム20が、気密シールをトレイ構造体とシール用フィルム22の蓋構成要素との間に生成することができるように、フランジ部分12を覆うことも重要である。
【0021】
図2Bに示されているように、多くの折り目Cが一実施形態には提供されており、複合ポリマーフィルム20は、共押し出し材料とし、予備形成された単一トレイ構造体10の内面へのブロー成形プロセスのために約490°Fの温度で熔融することもできる。別の実施形態においては、共押し出しポリマーフィルム20を使用するよりもむしろ、複合ポリマーフィルム20を、ポリマー層を順に次々とブロー成形することによって、予備形成された単一トレイ構造体の内側に配置することができる。
【0022】
図5は、予備形成された単一トレイ構造体10の内面をコーティングするために使用するのに好適な、複合ポリマーフィルムの一典型実施形態を示している。複合ポリマーフィルム20は、トレイ構造体10に最も近いところから始まる4層を備え、これら層は、結合層21、低密度ポリエチレン(LDPE)層23、結合層21、及びポリエチレンテレフタレート(PET)層25である。一実施形態においては、これら層(結合層/LDPE/結合層/PET)は、約10%、50%、5%、及び35%のポリマーフィルム組成を構成している。一実施形態においては、複合ポリマー層は約0.1mm(4mil)の厚みを有することができる。
【0023】
別の実施形態においては、複合ポリマーフィルム20は、単一の層から複数の層構成までのいずれの層数を備えてもよい。必要に応じて、結合層は、これらポリマー層の間に配置して、1つのポリマー層の別の層との接着を助長するとともに1つのポリマー層の予備形成された単一トレイ構造体との接着を助長することができる。適切な場合には、結合層は、複合ポリマーフィルムと予備形成された単一トレイ構造体との間の取り外し可能な結合を付与して、2つの部分が使用後の再生目的のために分離することができるという追加的な利益を供与することができる。
【0024】
単一トレイ構造体の内面コーティングのための複合ポリマーフィルムは、変更し、最適化して望ましい包装性能を提供することができるということが理解される。複合ポリマーフィルムは、様々なポリマーを含むことができる。これらポリマーの例は、それらに限られるわけではないが、PET、LDPE、ナイロン、ポリエチレン‐ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリプロピレン、及びこれらポリマーの組み合わせを含む。
【0025】
様々な複合ポリマーフィルムを開示されている気密シールされた容器に使用することができる。このような複合ポリマー構成の例は、それらに限られるわけではないが、結合層/PET;結合層・LDPE/結合層/PET;結合層/EVOH/結合層/PET;結合層/ナイロン/結合層/PET;結合層/LDPE/結合層/EVOH/結合層/PET;結合層/LDPE/結合層/ナイロン/結合層/PET;結合層/ナイロン/結合層/EVOH/結合層/PET;結合層/EVOH/結合層/ナイロン/結合層/PETを含む。非二次元的なオーブン調理可能な用途用のような望ましい場合には、上記に与えられたすべての典型的な構成において、PETをポリプロピレンに置き換えることができる。
【0026】
複合ポリマーフィルムが予備形成された単一トレイ構造体に適用された後であって、かつ任意に過剰なフランジ部分の取り除きの後、コーティングされた単一トレイ構成要素は変換プラントに出荷され、そこでこのコーティングされた単一トレイ構成要素は、新鮮な食品又は個人用医療品のような包装される物品を荷積みされる。変換プラントにおいては、蓋構成要素22を、コーティングされた単一トレイ構成要素のコーティングされたフランジ部分に貼ることができる。いくつかの既知の技術を、蓋構成要素をコーティングされた単一トレイ構成要素にシールするために使用することができる。このような技術の例は、限定するわけではないが、接着結合、機械的締め付け、又はこれらの組み合わせを含む。
【0027】
一実施形態においては、蓋構成要素は、コーティングされた単一トレイ構成要素のフランジ部分に熱シールプロセスによって接着することができる。蓋構成要素は熱シール可能な材料から作ることができる。必要に応じて、コーティングされた単一トレイ構成要素の少なくともフランジ部分は、追加的に熱シール可能な材料でコーティングされて、さらにシール性能を高めることができる。
【0028】
一典型実施形態においては、蓋構成要素はPETポリマーから作ることができる。必要に応じて、蓋構成要素は熱シールコーティング組成でコーティングして、蓋構成要素及び単一トレイ構成要素のシール性能を高めることができる。このようなコーティングされたフィルムの例は、限定されるわけではないが、Mylar(登録商標)OL及びMylar(登録商標)RLの熱シール可能なポリマーフィルムを含む。両方の典型的な熱シール可能なポリマーフィルムは、デュポン−帝人フィルムズから商業的に入手可能である。開示の他の実施形態においては、蓋構成要素は、追加的な遮蔽剤を適用されているPETから作ることができ、このPETは熱シールコーティングを適用されていてもいなくてもよい。例えば非二次元のオーブン調理可能な用途に対して適当な場合には、PETではないシール用フィルムを、蓋構成要素の形成に使用することができる。蓋構成要素のシール用フィルムの構成の選択は、包装に対する要求に依存するということが理解される。多くのポリマー及び他のプラスティック材料がシール性能のために当業にて知られており、この明細書に列挙されている特定のポリマー材料は例として提供されているにすぎない。
【0029】
一旦、蓋構成要素が荷積みされた単一トレイ構成要素に適用されると、保存物品を含有する、気密シールされた包装が生産される。作り出されたシールの実際の特性は、容器の用途に依存する。食品に対しては、単一トレイ構成要素及び蓋構成要素は、許容できない時間内に、包装された製品の劣化を生じさせる場合のある臨界体積のガスを透過させないことが必要とされる場合がある。本開示の全体を通して、「気密シール」という用語は、漏れないという要求を十分に満たし、かつ十分に気密である、包装された製品の好適な保護を提供するシールを示すように使用されている。そのように、「気密シール」及び「気密にシールされた」という用語は、全ての完全なシール及び、包装された製品の満足できない劣化を生じることが無く、かつ包装材料を通じた透過とほぼ同じ程度の大きさの微小な漏れ又は不完全さを備える全てのシールを対象とするように使用されている。
【0030】
1つの実施形態においては、開示されている容器は蓋構成要素の上に配置されたトップカバーをさらに備えて、蓋構成要素に、したがって開示されている容器に剛性と頑丈さとを付与している。トップカバーは剛性又は半剛性を有する材料から作ることができる。例えば、トップカバーは紙板から作ることができる。1つの実施形態においては、トップカバーは熱シールプロセスによって蓋構成要素に貼り付けることができる。必要に応じて、熱シール可能な材料をトップカバーの少なくともリム部分にコーティングして、トップカバーと蓋構成要素との間の熱シール接着を強化することができる。
【0031】
1つの実施形態においては、開示されている気密シールされた容器は、
(1)複数の内面及び外面と、包装される物品を収容するための内部空間とを有する、予備成形された単一トレイ構造体であって、基体部分と、この基体部分から上方に延在する壁部分と、側壁部分から終焉方向に延在するフランジ部分と、を含む予備成形された単一トレイ構造体を提供するステップと、
(2)この予備成形された単一トレイ構造体を、ブロー成形用中空型の壁に対して挿入するステップと、
(3)ポリマーフィルムのブロー成形用パリソンをブロー成形用中空型の中に押し出すステップと、
(4)このポリマーフィルムを、単一トレイ構造体の内面に対してブローして、ポリマーフィルムを単一トレイ構造体の内面に継ぎ目無く、しわ無く、一体的に結合して、コーティングされた単一トレイ構成要素を生成するステップと、
(5)蓋構成要素を、このコーティングされた単一トレイ構成要素の周縁フランジ部分に気密シールするステップと、
を備えるプロセスによって製造することができる。
【0032】
シールの性能をさらに強化することが望まれる場合には、熱シール可能なコーティングの層を、蓋構成要素の気密シールの前に、コーティングされた単一トレイ構成要素の少なくともフランジ部分に適用することができる。
【0033】
記載された特定の実施形態は、どのようにして本開示を実現するか、のいくつかの例を示しているにすぎないことが理解される。当業者であれば、使用される材料、材料の組み合わせ、材料特性、及び容器のサイズ並びに形状における多くの変形が可能であることを容易に認識するであろう。
【0034】
ここに使用されているような、「トップ」、「底部」、「前」、「後」、「端部」、「側部」、「内部」、「外部」、「上部」、及び「下部」のような方向参照用語がパネルのそれぞれをそのような方位に限定するものではなく、単に容器のこれらパネルを互いから差別化する役目を果たすものであることが理解される。
【0035】
本開示は様々な特定の実施形態を参照することによって記載されてきたが、多くの変形を、記載された本発明概念の精神及び範囲内で使用することができることが理解される。本開示が、記載された実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲の記載によって規定される全範囲を有することが意図されている。
【符号の説明】
【0036】
10・・・予備形成された単一トレイ構造体
12・・・フランジ部分
14、16・・・側壁部分
18・・・基体部分
20・・・複合ポリマー層
21・・・結合層
22・・・蓋構成要素
23・・・低密度ポリエチレン(LDPE)層
25・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)層
C・・・折り目
図2A
図2B
図3
図4
図5
図1A
図1B